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【発明の名称】 射出成形機
【発明者】 【氏名】谷口 吉哉

【要約】 【課題】型締め用サーボモータの回転力でその原動部が回転駆動されるクランク機構を備えた射出成形機において、クランク機構の動作信頼性や耐久性を向上させること。

【構成】その一端側を回転中心としてテールストックにそれぞれ回転可能に保持され、上記の回転中心が同一線上にあるように配置された1対の第1アームと、その一端側が、1対の第1アームの他端側にそれぞれ相対回転可能であるように結合されると共に、その他端側が、可動ダイプレートの保持部に相対回転可能であるように結合された第2アームとを、備えた構成において、1対の第1アームの一端側に、型締め用サーボモータの回転を同時に伝達する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
型締め用サーボモータの回転力によって駆動されるクランク機構を備えた射出成形機において、
その一端側を回転中心としてテールストックにそれぞれ回転可能に保持され、前記回転中心が同一線上にあるように配置された1対の第1アームと、
その一端側が、1対の前記第1アームの他端側にそれぞれ相対回転可能であるように結合されると共に、その他端側が、可動ダイプレートの保持部に相対回転可能であるように結合された第2アームとを、備え、
1対の前記第1アームの一端側に、前記型締め用サーボモータの回転を同時に伝達するようにしたことを特徴とする射出成形機。
【請求項2】
請求項1に記載の射出成形機において、
前記型締め用サーボモータの回転が、プーリとタイミングベルトよりなる減速回転伝達系を介して、1対の前記第1アームの一端側に同時に伝達されることを特徴とする射出成形機。
【請求項3】
請求項2に記載の射出成形機において、
前記減速回転伝達系は、2段階の減速を行うことを特徴とする射出成形機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、型締め用サーボモータの回転力でその原動部が回転駆動されるクランク機構(型締め機構)を備えた射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
その原動部が回転駆動されることでクランク運動し、力を拡大して作用点に伝達可能なクランク機構よりなる型締め機構は公知である。このクランク機構よりなる型締め機構は、型締め用サーボモータの回転をボールネジ機構によって一旦直線運動に変換して、ボールネジ機構の直動部によりトグルリンク機構を駆動することによって、型開閉を行うようにした構成に較べると、最大型締め力は小さいものの、構造がはるかにシンプルなものとなる。
【0003】
図6は、従来のクランク機構(型締め機構)とそれに回転を伝達する減速回転伝達系などを示す、一部を割愛した簡略した要部断側面図である。
【0004】
図6において、101はテールストックであり、図6においては、テールストック101は左右で分離されて描かれているが、実際には、テールストック101は全体が一体に連なった構造物となっている。102A、102Bは、テールストック101に軸受103を介して回転可能に保持された1対の第1回転軸で、対をなす第1回転軸102A、102Bはその回転中心が同一線上にあるように配置されている。各第1回転軸102A、102Bには、それぞれ第1アーム104A、104Bの一端側が固定されていて、この1対の第1アーム104A、104Bの他端側には、この他端側同士を一体に結合する連結軸105が固定されている。この連結軸105の中間部には、第2アーム106の一端側が軸受103を介して回転可能に保持されていて、第2アーム106の他端側は、図示していないが、可動側金型を搭載した可動ダイプレートに軸受を介して回転可能に保持された第2回転軸に固定されている。そして、対をなす第1アーム104A、104Bと単一の第2アーム106とそれらの回転軸支部とにより、クランク機構が構成されている。なお、上記のように、1対の第1アーム104A、104Bを設ける所以は、1対の第1アーム104A、104Bの他端側で1つの第2アーム106の一端側を保持・結合することで、力を支承するメカニズムをバランスのよいものとし、かつ、機械的強度に優れたものとするためであるが、第1回転軸102A、102Bの回転中心の延長線が、第2アーム106の回転軌跡とオーバーラップする都合上、2つの第1回転軸は互いに独立したものとなっている。
【0005】
また、図6において、107は、テールストック101に搭載された型締め用サーボモータ(型開閉用サーボモータ)、108は、型締め用サーボモータ107の出力軸に固定された小径の駆動プーリ、109は、一方の第1回転軸102Aに固定されて、駆動プーリ108(型締め用サーボモータ107)の回転を図示せぬタイミングベルトを介して伝達される大径の被動プーリである。そして、駆動プーリ108、図示せぬタイミングベルト、被動プーリ109によって、減速回転伝達系が構成されている。
【0006】
図6に示す構成において、型締め用サーボモータ107の回転は、駆動プーリ108、図示せぬタイミングベルト、被動プーリ109からなる減速回転伝達系によって減速されて、一方の第1回転軸102Aに伝達され、この一方の第1回転軸102Aにその一端側を固定された一方の第1アーム104Aが、その一端側を回転中心として回転駆動される。これによって、第2アーム106が、一方の第1アーム104Aの回転に追従して連携追従動作(第2アーム106が、可動ダイプレートに軸支結合されたその他端側を直線運動させるように、第1アーム104Aの回転に追従して所定の軌跡で回動動作)すると共に、他方の第1アーム104Bが、一方の第1アーム104Aの回転に追従して、他方の第1回転軸102Bと一体となってその一端側を回転中心として回転する。このような動作によって、図示せぬ可動ダイプレートが前進駆動または後退駆動されることで、型閉じ・型締めまたは型開きが行われるようになっていた。
【0007】
つまり、上記したように、従来のクランク機構よりなる型締め機構では、対をなす第1回転軸および対をなす第1アームのうちの一方(第1回転軸102Aと第1アーム104A)のみを回転駆動し、一方の第1アーム104Aから連結軸105を介して他方の第1アーム104Bおよび第1回転軸102Bを回転駆動する、片側駆動方式(片軸駆動方式)のクランク機構を採っていた。
【0008】
なお、上記のような片側駆動方式のクランク機構をもつ射出成形機に関する従来技術としては、特開平1−280521号公報(特許文献1)に示した技術が挙げられる。ただし、この特許文献1では、サーボモータのロータを一方の第1回転軸に直結した構成を採っている。
【特許文献1】特開平1−280521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、図6に示した従来技術や、特許文献1に開示された従来技術においては、上述したように、対をなす第1回転軸および対をなす第1アームのうちの一方のみを回転駆動し、一方の第1アームから連結軸を介して他方の第1アームおよび第1回転軸を回転駆動する、片側駆動方式(片軸駆動方式)のクランク機構の構成を採っている。しかしながら、このような片側駆動方式のクランク機構では、前記他方の第1アームや第1回転軸が直接駆動されるのではなく、追従して回転動作するので、回転軸支部の公差内の微小クリアランスなどにより不要な分力が生成され易く、また、第2アームへの力の伝達がバランスの悪いものとなっていること等によって、回転軸支部に偏摩耗やガタなどが生じ易く、動作信頼性や耐久性の点において問題があるものとなっていた。
【0010】
また、図6に示した従来技術では、型開閉用サーボモータの回転をプーリとタイミングベルトよりなる減速回転伝達系を介して、クランク機構の原動部に伝達するようにしているが、その減速回転伝達系は単に1段の減速を行う構成であるので、より大きな減速を行うには限界があり、より低トルクの型開閉用サーボモータを用いることにも限界のあるものとなっていた。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、型締め用サーボモータの回転力でその原動部が回転駆動されるクランク機構(型締め機構)を備えた射出成形機において、クランク機構の動作信頼性や耐久性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記した目的を達成するために、その一端側を回転中心としてテールストックにそれぞれ回転可能に保持され、上記の回転中心が同一線上にあるように配置された1対の第1アームと、その一端側が、1対の第1アームの他端側にそれぞれ相対回転可能であるように結合されると共に、その他端側が、可動ダイプレートの保持部に相対回転可能であるように結合された第2アームとを、備えた構成において、1対の第1アームの一端側に、型締め用サーボモータの回転を同時に伝達するように、構成する。
また、型締め用サーボモータの回転が、プーリとタイミングベルトよりなる減速回転伝達系を介して、1対の第1アームの一端側に同時に伝達され、減速回転伝達系は2段階の減速を行うように、構成する。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、その一端側を回転中心としてテールストックにそれぞれ回転可能に保持され、上記の回転中心が同一線上にあるように配置された1対の第1アームと、その一端側が、1対の第1アームの他端側にそれぞれ相対回転可能であるように結合されると共に、その他端側が、可動ダイプレートの保持部に相対回転可能であるように結合された第2アームとを、備えた構成において、1対の第1アームの一端側に、型締め用サーボモータの回転を同時に伝達するようにしているので、つまり、対をなす第1アームの回転中心である各第1アームの一端部を、それぞれ減速回転伝達系を介して型締め用サーボモータにより同時に直接回転駆動する、ツイン駆動方式(両軸駆動方式)のクランク機構の駆動形態を採っているので、片側駆動方式のクランク機構に較べると、第2アームへの力の伝達を2つの力の伝達経路から均等に行うことができ、従来に較べると回転軸支部に偏摩耗やガタなどが発生する虞が可及的に低減でき、以って、動作信頼性や耐久性に優れたクランク機構を実現することができる。
また、2段の減速を行う減速回転伝達系によって、型締め用モータの回転を減速させるようにしているので、1段の減速を行う減速回転伝達系に較べると、型締め用モータの回転を大幅に減速させることができ、これにより、型締め用サーボモータとして、その価格が低回転高トルクモータよりもはるかに安価である高回転低トルクモータを用いることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図1〜図4は、本発明の一実施形態(以下、本実施形態と記す)による電動式の射出成形機に係り、図1は、本実施形態の射出成形機の簡略化し且つ一部を切断した正面図である。
【0015】
図1において、1はメインフレーム部材、2は、メインフレーム部材1上に正面から見て右側に配置された射出系メカニズム、3は、メインフレーム1上に正面から見て左側に配置された型開閉系メカニズムである。
【0016】
射出系メカニズム2において、4は、メインフレーム部材1上に適宜のベース部材を介して固定され、射出系メカニズム2全体を前後進可能であるように支持したレール部材、5は、レール部材4に摺動可能に介装された直動ガイド6上に固定されたヘッドストック、7は、レール部材4に摺動可能に介装された直動ガイド8上に固定されると共に、ロードセルブロック9を介してヘッドストック5に固定された保持ブロック、10は、レール部材4に摺動可能に介装された直動ガイド11上に固定されて、ヘッドストック5に対して前後進可能とされた直動ブロック、12は、ヘッドストック5にその後端側を固定された加熱シリンダ、13は、加熱シリンダ12の先端側に固定されたノズル、14は、加熱シリンダ12内に回転並びに前後進可能に配設されたスクリュ、15は、スクリュ14の後端を固定すると共に、直動ブロック10に回転可能に保持された回転体、16は、回転体15に固定されると共に、直動ブロック10に搭載された図示せぬ計量用サーボモータの回転を、図示せぬ駆動プーリ、タイミングベルトを介して伝達される被動プーリ、17は、保持ブロック7に搭載された射出用サーボモータ、18は、射出用サーボモータ17の出力軸に固定された駆動プーリ、19は、射出用サーボモータ17の回転を駆動プーリ18、図示せぬタイミングベルトを介して伝達される被動プーリ、20は、被動プーリ19の回転を直線運動に変換するボールネジ機構、20aは、保持ブロック7に回転可能に保持されると共に、その端部に被動プーリ19を固定したボールネジ機構20のネジ軸、20bは、ネジ軸20aに螺合されると共に、直動ブロック10に固定されたボールネジ機構20のナット体である。
【0017】
図1に示す射出系メカニズム2において、成形運転時には、図示せぬノズルタッチ/バック用モータ、ノズルタッチ/バック機構によって、加熱シリンダ12の先端のノズル13は、後記する固定ダイプレート21に固定された図示せぬ固定側金型の樹脂注入口周辺に、所定の力で押し付けられている。このようなノズルタッチ状態において、計量工程時には、スクリュ14が図示せぬ計量用サーボモータによって回転駆動され、これによって、スクリュ14の根本側に供給された原料樹脂が、混練・可塑化されつつ、スクリュ14のネジ送り作用でスクリュ14の頭部側へ移送され、スクリュ14の頭部より前に(先に)溶融樹脂が溜まるにしたがってスクリュ14が後退する。このスクリュ14の後退に際して、射出用サーボモータ17が圧力フィードバック制御されて、背圧の制御が行われ、スクリュ14の頭部より先に(前に)所定量の溶融樹脂が蓄えられた時点で、スクリュ回転は停止される。また、射出時には、射出用サーボモータ17が回転駆動されることで、ボールネジ機構20のナット体20bが前進駆動され、これによって、直動ブロック10と一体となってスクリュ14が前進駆動されて、スクリュ14の頭部より先に蓄えられた溶融樹脂が金型内に射出・充填される。
【0018】
また、図1に示す型開閉系メカニズム3において、21は、メインフレーム部材1上に適宜のベース部材を介して固定され、図示せぬ固定側金型を搭載した固定ダイプレート、22は、メインフレーム部材1上に適宜のベース部材を介して固定されたレール部材、23は、レール部材22に摺動可能に介装された直動ガイド24上に固定され、成形運転時には固定位置を維持されるテールストック、25は、固定ダイプレート21とテールストック23にその両端をそれぞれ固定された複数本のタイバー、26は、レール部材22に摺動可能に介装された直動ガイド27上に固定され、タイバー25に挿通・案内されて固定ダイプレート21とテールストック23との間で前後進可能であると共に、図示せぬ可動側金型を搭載した可動ダイプレート、28は、テールストック23に搭載された型締め用サーボモータ(型開閉用サーボモータ)、29は、型締め用サーボモータ28の回転力でその原動部が回転駆動されることで、可動ダイプレート26を前後進駆動するクランク機構である。
【0019】
上記のクランク機構29は型締め機構として機能するもので、型締め用サーボモータ28の回転を減速回転伝達系を介して伝達されて、型閉じ過程の後期以降には可動ダイプレート26を固定ダイプレート21側に前進させる力を拡大し、型締め状態時には、30〜50トン程度の型締め力を発現可能となっている。
【0020】
以下、上記のクランク機構29の詳細を説明する。図2は、クランク機構29とそれに回転を伝達する減速回転伝達系などを示す、一部を割愛した簡略した要部断側面図であり、図3は、クランク機構29へ回転を伝達する減速回転伝達系などを示す要部正面図である。
【0021】
図2、図3において、23aは、テールストック23と一体の1対の支持プレート部であり、図2おいては、テールストック23は左右で分離されて描かれているが、実際には、テールストック23は全体が一体に連なった構造物となっている。31は、テールストック23に、固形潤滑剤入りの転がり軸受32を介して回転可能に保持された1対の第1回転軸で、対をなす第1回転軸31はその回転中心が同一線上にあるように配置されている。各第1回転軸31の一端側には、それぞれ第1アーム33の一端側が固定されていて、この1対の第1アーム33の他端側には、この他端側同士を一体に結合する連結軸34が固定されている。この連結軸34の中間部には、第2アーム35の一端側が固形潤滑剤入りの転がり軸受32を介して回転可能に保持されていて、第2アーム35の他端側は、可動ダイプレート26の膨出部26aに固形潤滑剤入りの転がり軸受32を介して回転可能に保持された第2回転軸36に固定されている。そして、対をなす第1アーム33と単一の第2アーム35とそれらの回転軸支部とにより、クランク機構29が構成されており、クランク機構29の各回転軸支部(4つの回転軸支部)には、全て固形潤滑剤入りの転がり軸受32が用いられている。なお、この固形潤滑剤入りの転がり軸受32の詳細については後述する。
【0022】
また、図2、図3において、37は、テールストック23に搭載された前記した型締め用サーボモータ28の出力軸に固定された小径の駆動プーリである。38は、テールストック23に軸受39を介して回転可能に保持された回転軸で、この回転軸38には駆動プーリ37よりも大径の第1中間プーリ40が固定されていて、この第1中間プーリ40と駆動プーリ37にはタイミングベルト41が掛け回されている。42は、回転軸38の両端にそれぞれ固定された、第1中間プーリ40よりも小径の対をなす第2中間プーリ、43は、上記の対をなす第1回転軸31の他端側にそれぞれ固定された大径の被動プーリで、対応するもの同士の第2中間プーリ42と被動プーリ43には、タイミングベルト44がそれぞれ掛け回されている。そして、駆動プーリ37、タイミングベルト41、第1中間プーリ40、回転軸38、第2中間プーリ42、タイミングベルト44、被動プーリ43によって、減速回転伝達系が構成されている。
【0023】
上記した減速回転伝達系およびクランク機構29をもつ型開閉系メカニズム3において、型閉じ・型締め工程時には、型締め用サーボモータ28が所定方向に回転駆動されて、型締め用サーボモータ28の回転は、駆動プーリ37、タイミングベルト41を介して第1中間プーリ40に伝達され、さらに、第1中間プーリ40の回転は、回転軸38、第2中間プーリ42、タイミングベルト44を介して被動プーリ43に伝達されて、これにより、対をなす第1回転軸31(クランク機構29の原動軸である対をなす第1回転軸31)が同時に回転駆動される。対をなす第1回転軸31が回転駆動されると、これと一体ととなっている対をなす第1アーム33が、第1回転軸31を回転中心として同時に所定方向に回転駆動され、これに伴って、第2アーム35が所定の連携追従動作(第2アーム35が、第2回転軸36に固定されたその他端側を直線運動させるように、第1アーム33の回転に追従して所定の軌跡で回動動作)をして、この第2アーム35の動作で、可動ダイプレート26が固定ダイプレート21に向かう方向に前進駆動されて、やがて金型タッチが行われる。金型タッチ後も、型締め用サーボモータ28は所定量だけ同方向に回転駆動され、クランク機構29がトグル機構として機能することで、拡大された力が金型に付加され、所定の型締め力が発生した時点で、型締め用サーボモータ28の回転は停止されて、型締め完了状態となる。また、型開き工程時には、型締め用サーボモータ28が先とは逆方向に回転駆動され、型締め用サーボモータ28の回転は、同様の減速回転伝達系を介して、対をなす第1回転軸31に伝達され、これにより、クランク機構29が先とは逆方向に駆動されて、可動ダイプレート26が固定ダイプレート21から離間する方向に後退駆動される。
【0024】
次に、クランク機構29の各回転軸支部(4つの回転軸支部)に用いている固形潤滑剤入りの転がり軸受32の構成について説明する。図4は、本実施形態で用いている固形潤滑剤入りの転がり軸受32の断面図である。
【0025】
図4に示すように固形潤滑剤入りの転がり軸受32は、外輪51と、複数のニードルローラ(針状ころ)52と、固形潤滑剤53とを、具備したものとなっており、外輪51の内周面側に均一厚みで被着された固形潤滑剤53に埋め込まれる形で、複数のニードルローラ52が回転可能なように配設されている。各ニードルローラ52は、その一部のみを固形潤滑剤53から露呈されており、各ニードルローラ52の露出部に接するように、前記した第1回転軸31または連結軸34または第2回転軸36が、固形潤滑剤入りの転がり軸受32に嵌め込まれている。固形潤滑剤53は、微粒子の高分子ポリオレフィン樹脂と潤滑油(グリース)を混合したものを熱処理して固形化してものからなっており、回転する部材の回転に伴ってニードルローラ52が回転することにより、潤滑油が適量だけ(すなわち、円滑回転を保証しつつ、油漏れがないように)長期にわたって浸み出す構造となっている。したがって、クランク機構29の各回転軸支部に固形潤滑剤入りの転がり軸受32を用いることで、非常に長期にわたって(非常に長時間の連続運転下においても)、無給油で回転運動を安定して支承できるようになっている。また、クリーン性に優れると共に、給油レスで済むので、ランニングコストも抑えられるようになっている。
【0026】
以上のように本実施形態の射出成形機では、対をなす第1回転軸31および対をなす第1アーム33を、それぞれ減速回転伝達系を介して型締め用サーボモータ28により同時に直接回転駆動する、ツイン駆動方式(両軸駆動方式)のクランク機構の駆動形態を採っている。このため、片側駆動方式(片軸駆動方式)のクランク機構に較べると、第2アーム35への力の伝達を2つの力の伝達経路から均等に行うことができ、従来に較べると回転軸支部に偏摩耗やガタなどが発生する虞を可及的に低減できて、以って、動作信頼性や耐久性に優れたクランク機構を実現することができるようになっている。
【0027】
また、本実施形態では、型締め用サーボモータ28の回転は、駆動プーリ37、タイミングベルト41、第1中間プーリ40からなる1段目の減速系でまず減速され、第2中間プーリ42、タイミングベルト44、被動プーリ43からなる2段目の減速系でさらに減速され、このような2段の減速によって、型締め用サーボモータ28の回転を大きく減速させることが可能なようになっている。したがって、1段の減速系に較べると、その回転数をさらに1/3〜1/4程度に減速することが容易に可能となっており、これにより、型締め用サーボモータ28として、その価格が低回転高トルクモータよりもはるかに安価である高回転低トルクモータを用いることを可能としている。
【0028】
なお、上述した実施形態のツイン駆動方式(両軸駆動方式)のクランク機構の構成は、1つの例であって、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が考えられ、これらは総て本発明の範疇に含まれることは言うまでもない。
【0029】
例えば、上述した実施形態では、対をなす第1アーム33の他端側同士を、連結軸34によって一体に結合する構成としているが、連結軸34は第2アーム35の一端側に固定するようにしてもよい。図5は、前記した実施形態の変形例を示す前記図2に対応する図であり、図5においては、前記した実施形態と均等な構成要素には同一符号を付してある。図5に示した構成が、先の構成と相違するのは、第2アーム35の一端側に連結軸34の中央部を固定してあり、連結軸34の両側は、対をなす1対の第1アーム33の他端側に、固形潤滑剤入りの転がり軸受32を介して回転可能に保持されている点であり、他の構成は前記した実施形態と同様である。
【0030】
また、上述した実施形態や図5に示した変形例では、第2アーム35の他端側は、可動ダイプレート26側に回転可能に保持された第2回転軸36に固定されたものとしているが、この第2回転軸36に代替して可動ダイプレート26側に固定された固定軸を設け、この固定軸に対して第2アーム35の他端側が固形潤滑剤入りの転がり軸受32を介して回転可能であるように、構成してもよい。
【0031】
また、上述した実施形態や図5に示した変形例では、第1回転軸31と第1アーム33とを別部材としているが、第1回転軸31と第1アーム33を一体物としてもよく、同様に、第2アーム35と第2回転軸36とを別部材ではなく一体物としてもよい。あるいはまた、連結軸34を、一方の第1アーム33と一体に形成したものや、第2アーム35と一体に形成したものとしてもよい。
【0032】
さらにまた、クランク機構29の回転軸支部に用いる軸受は、固形潤滑剤入りの転がり軸受32以外にも、任意の転がり軸受やすべり軸受を用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態に係る射出成形機の、簡略化し且つ一部を切断した正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る射出成形機における、クランク機構とそれに回転を伝達する減速回転伝達系などを示す、一部を割愛した簡略した要部断側面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る射出成形機における、クランク機構へ回転を伝達する減速回転伝達系などを示す要部正面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る射出成形機において、クランク機構の各回転軸支部に用いている固形潤滑剤入りの転がり軸受の断面図である。
【図5】本発明の一実施形態の変形例に係る射出成形機における、クランク機構とそれに回転を伝達する減速回転伝達系などを示す、一部を割愛した簡略した要部断側面図である。
【図6】従来技術による、クランク機構とそれに回転を伝達する減速回転伝達系などを示す、一部を割愛した簡略した要部断側面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 メインフレーム部材
2 射出系メカニズム
3 型開閉系メカニズム
4 レール部材
5 ヘッドストック
6 直動ガイド
7 保持ブロック
8 直動ガイド
9 ロードセルブロック
10 直動ブロック
11 直動ガイド
12 加熱シリンダ
13 ノズル
14 スクリュ
15 回転体
16 被動プーリ
17 射出用サーボモータ
18 駆動プーリ
19 被動プーリ
20 ボールネジ機構
20a ボールネジ機構のネジ軸
20b ボールネジ機構のナット体
21 固定ダイプレート
22 レール部材
23 テールストック
23a テールストックの支持プレート部
24 直動ガイド
25 タイバー
26 可動ダイプレート
26a 膨出部
27 直動ガイド
28 型締め用サーボモータ(型開閉用サーボモータ)
29 クランク機構
31 第1回転軸
32 固形潤滑剤入りの転がり軸受
33 第1アーム
34 連結軸
35 第2アーム
36 第2回転軸
37 駆動プーリ
38 回転軸
39 軸受
40 第1中間プーリ
41 タイミングベルト
42 第2中間プーリ
43 被動プーリ
44 タイミングベルト
51 外輪
52 ニードルローラ(針状ころ)
53 固形潤滑剤
【出願人】 【識別番号】000222587
【氏名又は名称】東洋機械金属株式会社
【出願日】 平成18年9月5日(2006.9.5)
【代理人】 【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所


【公開番号】 特開2008−62446(P2008−62446A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−240695(P2006−240695)