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【発明の名称】 成形金型
【発明者】 【氏名】林 達也

【氏名】近藤 豊

【要約】 【課題】内型部と外型部の相対移動量を一層微小なものとし、成形品の内周面と外周面の間の同軸度を一層高精度に設定し得る成形金型を提供する。

【構成】円筒体の成形金型は、キャビティ6を形成する外型部3および内型部4と、内型部4に対する外型部3の半径方向位置を調整する調整機構5とを備えている。この調整機構5は、外型部3をx方向に加圧する第1の加圧部材51を備えている。この第1の加圧部材51は、外型部3をx方向に案内するための第1のテーパ面Aを具備する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティを形成する内型部および外型部を備え、内型部と外型部を相対移動可能にした成形金型であって、
内型部または外型部の何れか一方を第1の方向に加圧する第1の加圧部材と、第1の加圧部材を前記第1の方向に案内する第1のテーパ面とを具備する成形金型。
【請求項2】
さらに前記一方の型部を第2の方向に加圧する第2の加圧部材と、第2の加圧部材を前記第2の方向に案内する第2のテーパ面とを具備する請求項1記載の成形金型。
【請求項3】
第1の方向および第2の方向が、成形品の半径方向で互いに直交している請求項2記載の成形金型。
【請求項4】
第1および第2のテーパ面の傾斜角が、1°以上10°以下である請求項2記載の成形金型。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は成形金型、特に小型の部材成形に好適な成形金型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、流体軸受装置に組み込まれる樹脂製ハウジングの成形金型として、ハウジングの内周面と外周面の間の同軸度を高める目的で、キャビティを形成する内型部と外型部を半径方向に相対移動可能としたものが知られている。この成形金型における内型部と外型部の半径方向の相対移動は、微小な進退動作が可能な送り手段を、断面矩形状をなす外型部の外壁の二面に当接させ、これらを調整することにより行われる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−88427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで一般に、部材寸法が小さくなるにつれて、成形すべき部材に求められる各種精度(同軸度、平行度等)のオーダーは小さくなる。例えば、近年、上記の流体軸受装置においては、一層の小型化、高速回転化、高回転精度化等の要請が厳しさを増してきているが、上記のようにマイクロメーターヘッドの進退量と外型部の移動量とが同期した構成では、求められる同軸度を満足できないケースが増加しつつある。
【0004】
本発明の課題は、内型部と外型部の相対移動量を一層微小なものとすることができ、これにより成形品に求められる各種精度を一層高め得る成形金型を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明では、キャビティを形成する内型部および外型部を備え、内型部と外型部を相対移動可能にした成形金型であって、内型部または外型部の何れか一方を第1の方向に加圧する第1の加圧部材と、第1の加圧部材を前記第1の方向に案内する第1のテーパ面とを具備する成形金型を提供する。
【0006】
上記のように、本発明に係る成形金型は、内型部または外型部の何れか一方を第1の方向に加圧する第1の加圧部材と、第1の加圧部材を前記第1の方向に案内する第1のテーパ面とを具備することを特徴とするものである。かかる構成によれば、何れか一方の型部の第1の方向への移動量を、第1のテーパ面の傾斜角に応じて低減することが可能となる。すなわち、例えば第1の加圧部材の進退量を1とし、第1のテーパ面の傾斜角をαとした場合、前記一方の型部の第1の方向への進退量はtanαとなるので、傾斜角αを45°未満に設定すれば、従来構成に比べ、当該型部の進退量をtanα倍に抑制することができる。これにより、従来構成に比べ、成形すべき成形品の一層の高精度化が容易に可能となる。なお、第1のテーパ面は、第1の加圧部材とこれをガイドする部材の一方又は双方に設けることができる。
【0007】
本発明にかかる成形金型には、さらに、前記一方の型部を第2の方向に加圧する第2の加圧部材と、第2の加圧部材を前記第2の方向に案内する第2のテーパ面とを設けることができる。これにより、成形金型を二方向で微量移動させることが可能となり、成形品の一層の高精度化が可能となる。もちろん、この第2のテーパ面も第1のテーパ面と同様に、第2の加圧部材とこれをガイドする部材の一方又は双方に設けることができる。
【0008】
前記第1および第2の方向は、成形品の半径方向で互いに直交させることができる。これにより、内型部と外型部の半径方向の位置決めを高精度に行い、成形品の内面と外面との間の同軸度を高めることができる。
【0009】
第1および第2のテーパ面の傾斜角は、成形品に求められる精度にもよるが、大きすぎると内型部と外型部の相対的な位置調整を高精度に行うのが難しくなり、一方、小さ過ぎると型部の移動量を得るのに必要な第1および第2の加圧部材の進退ストロークが大きくなり、金型が大型化すると共にその構造が複雑化する。そのため、第1および第2のテーパ面の傾斜角は1°以上10°以下に設定するのが望ましく、2°以上5°以下に設定するのが一層望ましい。上述したテーパ面の傾斜角を大きくした場合および小さくした場合のデメリットをバランス良く解消するためである。
【0010】
このように、本発明に係る成形金型は、キャビティを形成する内型部と外型部の何れか一方に対し他方を高精度に位置決めできるから、内面と外面との間で高い同軸度が求められる円筒体、例えば流体軸受装置用のハウジングを成形する成形金型として好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、内型部と外型部の相対移動量を一層微小なものとすることができ、これにより成形品に求められる精度を一層高め得る成形金型を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1(a)は、本発明にかかる成形金型を概念的に示すもので、同図に示す成形金型は円筒体の成形金型を概念的に示すものである。この成形金型は、固定型1と、例えば図示しないガイドピン等でガイドされ、固定型1に対して軸方向(成形品の軸線方向)に移動可能な可動型2とで構成される。
【0014】
固定型1は、キャビティ6に連通するゲート1aと、その内周面3aがキャビティ6の外壁面となり、半径方向に移動可能な外型部3と、外型部3の半径方向位置を調整する調整機構5とを備えている。ゲート1aとしては、点ゲート(多点ゲートを含む)、リングゲート、フィルムゲート等公知のゲート形状を採用可能であり、成形品のサイズ・形状や射出材料に応じて適宜選択される。
【0015】
可動型2は、その外周面4aがキャビティ6の内壁面を構成する内型部(コアピン)4を備えている。本実施形態で、内型部4は固定側の型部となる。
【0016】
図1(b)に示すように、外型部3および調整機構5は、固定型1に設けられる収容部7に収容される。調整機構5は、外型部3の第1の方向(図中、x軸方向)の位置決めを行うべく、断面矩形状をなす外型部3の外壁面3bの180°対向する位置に配置された第1の加圧部材51および支持部材52と、外型部3の第2の方向(図中、y軸方向)の位置決めを行うべく、上記と同様に、外型部3の外壁面3bの180°対向する位置に配置された第2の加圧部材53および支持部材54とで構成されている。各加圧部材51、53および支持部材52、54には、例えば調整ねじ等、精密送りが可能な送り手段55が接続されており、これを進退動作させることにより、各加圧部材および支持部材の位置調整、すなわち外型部3の半径方向の位置決めが行われる。
【0017】
本実施形態で、第1の加圧部材51の外面、およびこれが当接する収容部7の内壁面には、外型部3をx軸方向に移動させるべく、y軸に対して角度αだけ傾斜し、加圧部材51をx軸方向に案内する第1のテーパ面Aが設けられている。従って、例えば第1の加圧部材51をLだけ図中下方に前進させると、それと同時に第1の加圧部材51は−x軸方向にL×tanαだけ前進する。つまりこの場合、第1の加圧部材51によって外型部3に付与される送り量(外型部3の移動量)は−x軸方向にL×tanαとなるので、第1のテーパ面Aの傾斜角αを45°未満に設定しておけば、従来のように直接的に外型部3を移動させる場合に比べ、外型部3のx軸方向への移動量をL×(1−tanα)分だけ減少させることができる。
【0018】
同様に、第2の加圧部材53の外面、およびこれが当接する収容部7の内壁面には、外型部3をy軸方向に移動させるべく、x軸に対して角度αだけ傾斜し、第2の加圧部材53をy軸方向に案内する第2のテーパ面Bが設けられている。従って、上記同様に、従来構成に比べ、外型部3のy軸方向への移動量をL×(1−tanα)分だけ減少させることができる。
【0019】
以上の構成からなる成形金型において、円筒体の成形は、例えば、以下示す態様で行うことができる。まず、上記構成の成形金型を射出成形機にセッティングした状態で、調整機構5で外型部3の位置調整を行い、外型部3の外壁面3bを二対の調整機構5で拘束する。そして、成形金型の温度が安定した状態で成形を行う(試成形)。成形時には、図示しない射出成形機のノズルから射出された溶融樹脂Pが、図示しないランナーを通ってゲート1bに入り、ゲート1bからキャビティ6内に充填される。キャビティ6内に充填された溶融樹脂Pを冷却・固化させ、可動型2を移動させて型開きし、成形品を取り出す。
【0020】
次いで、取り出した成形品の内周面と外周面の同軸度を測定する。そして、この測定結果に基づいて調整機構5の加圧部材51、53および支持部材52、54に接続された送り手段55をそれぞれ操作して外型部3の半径方向位置を調整し、同軸度の狂いを修正する。この調整作業は、必要に応じて複数回行ってもよい。調整作業が完了した後、本成形を行う。なお、支持部材52、54については、これを進退方向で弾性的に支持することにより、支持部材52、54の位置調整を省略することも可能である。
【0021】
なお、射出する溶融樹脂Pは、非晶性樹脂・結晶性樹脂の何れをベース樹脂として用いても良く、これらは成形品に求められる特性に応じて適宜選択可能である。非晶性樹脂としては、ポリサルフォン(PSU)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリエーテルイミド(PEI)等が使用可能で、また、結晶性樹脂としては、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等が使用可能である。これらはあくまでも例示であり、使用可能なベース樹脂を限定するものではない。これらのベース樹脂には、必要に応じて強化材(繊維状、粉末状等の形態は問わない)や潤滑剤、導電材等の各種充填材を一種または二種以上配合することもできる。
【0022】
上述したように、同軸度の狂いに応じて、調整機構5により外型部3を半径方向に調整移動させて、内型部4に対する半径方向位置を調整することにより、両者の軸心の同軸度を高精度なものとすることができる。特に、本実施形態では、外型部3を二軸方向に加圧する第1および第2の加圧部材51、53にそれぞれテーパ面を設けている。従って、テーパ面のテーパ角を適切な値に設定しさえすれば、従来のように、加圧部材(送り手段)の進退量と外型部の移動量が同値になる構成に比べ、外型部3の移動量を小さくすることができ、これにより、円筒体の内周面と外周面の間の同軸度を一層高めることが可能となる。
【0023】
なお、成形すべき円筒体のサイズおよび求められる同軸度等によっても異なるが、テーパ面A、Bの傾斜角αが大きすぎると、送り手段55を進退させた場合の第1および第2の加圧部材51、53の移動量が大きくなり、所定精度で同軸度の狂いを修正するのが難しくなる。一方、傾斜角αが小さすぎると外型部3の移動量を得るのに必要な第1および第2の加圧部材51、53の進退ストロークが大きくなり、金型が大型化すると共にその構造が複雑化する。以上のことから、テーパ面A、Bの傾斜角αは、1°以上10°以下に設定するのが望ましく、さらに言えば2°以上5°以下に設定するのがより望ましい。テーパ面A、Bの傾斜角αを大きくした場合および小さくした場合のデメリットをバランス良く解消するためである。
【0024】
以上では、第1のテーパ面Aと第2のテーパ面Bとを、加圧部材51、53および収容部7の双方に設ける構成について説明を行ったが、第1のテーパ面Aおよび第2のテーパ面Bは、図2(a)に示すように、加圧部材51、53にのみ設ける他、図2(b)に示すように、収容部7にのみ設けることもできる。また、本実施形態では、第1のテーパ面Aおよび第2のテーパ面Bの傾斜角を共にαとしているが、各テーパ面の傾斜角は相互に異ならせることもできる。
【0025】
また、以上では、外型部3を半径方向に調整移動させる構成について説明を行ったが、外型部3を固定し、内型部4を半径方向に調整移動させる構成とすることもできる。
【0026】
以上のようにして成形された円筒体は、内周面と外周面の間における同軸度の狂いが極めて小さなものとなるから、上述した成形金型は、例えば、以下示す構成の流体軸受装置用のハウジングを成形する際に好適に用いることができる。
【0027】
図3は流体軸受装置10の一例を示すものである。この流体軸受装置10は、軸部材11と、軸部材11の軸部11aを内周に挿入可能な軸受スリーブ12と、軸受スリーブ12を収容するハウジング13と、ハウジング13の一端側開口を封口する蓋部材14と、ハウジング13の他端側に位置するシール部材15とを備えている。なお、説明の便宜上、蓋部材14の側を下側、シール部材15の側を上側として以下説明を行う。
【0028】
軸部材11は、例えばステンレス鋼等の金属材料で、軸部11aとその一端に一体又は別体に設けられたフランジ部11bとで構成される。あるいは、軸部11aを金属、フランジ部11bを樹脂で構成したハイブリッド構造とすることもできる。
【0029】
軸受スリーブ12は、焼結金属の多孔質体、特に銅を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成される。この軸受スリーブ12は、焼結金属の他、黄銅等の軟質金属で形成することもできる。
【0030】
軸受スリーブ12の内周面12aには、ラジアル軸受部R1、R2のラジアル軸受面となる上下2つの領域が軸方向に離隔して設けられ、これら2つの領域には、図示は省略するが、例えば、ヘリングボーン形状に配列された複数の動圧溝がそれぞれ形成される。
【0031】
また、軸受スリーブ12の下側端面12bの全部又は一部環状領域には、第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受面となる領域が設けられ、当該領域には、図示は省略するが、例えば、スパイラル形状やヘリングボーン形状に配列された複数の動圧溝が形成されている。
【0032】
ハウジング13は、上述した成形金型を用いて成形された樹脂の射出成形品で、略円筒状に形成されている。ハウジング13の内周面13aは平滑な円筒面に形成されている。
【0033】
ハウジング13の下端開口部には、樹脂または金属材料で形成された有底略円筒状の蓋部材14が固定される。この蓋部材14は、円筒状の側部14aと、側部14aの下端開口を封口する底部14bとを備え、これらは一体形成されている。底部14bの上側端面14b1の全部または一部環状領域には、第2スラスト軸受部T2のスラスト軸受面となる領域が設けられ、該スラスト軸受面となる領域には、図示は省略するが、例えばスパイラル形状やヘリングボーン形状に配列された複数の動圧溝が形成されている。
【0034】
蓋部材14は、その外周面14a1がハウジングの内周面13aの下端部に圧入、接着等適宜の手段で固定される。このとき、軸部材11のフランジ部11bは、軸受スリーブ12の下側端面12bと蓋部材14の底部14bの上側端面14b1との間に形成される空間に収容される。蓋部材14の側部14aの上側端面14a2は、軸受スリーブ12の下側端面12bと当接しており、これによって後述のスラスト軸受隙間が規定幅に管理される。
【0035】
ハウジング13の上端開口部には、金属材料や樹脂材料で形成された環状のシール部材15が圧入、接着、あるいはこれを併用した適宜の手段で固定される。シール部材15の内周面15aは上方に向かうにつれてテーパ状に拡径しており、この内周面15aと、これに対向する軸部11aの外周面11a1との間には、上方に向かうにつれて半径方向寸法が漸次拡大する環状のシール空間Sが形成される。シール部材15で密封された流体軸受装置10の内部空間には、潤滑流体として例えば潤滑油が注油され、流体軸受装置10内が潤滑油で満たされる。この状態で、潤滑油の油面は常にシール空間Sの範囲内に維持される。なお、部品点数および組立工数の削減のため、シール部材15をハウジング13と一体成形することもできる。
【0036】
上記構成の流体軸受装置10において、軸部材11が回転すると、軸受スリーブ12の内周面12aの上下二箇所に離隔形成されたラジアル軸受面となる領域は、軸部材11の外周面11a1とラジアル軸受隙間を介して対向する。軸部材11の回転に伴い、各ラジアル軸受隙間に潤滑油の動圧が発生し、その圧力によって軸部材11がラジアル方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材11をラジアル方向に回転自在に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2とが形成される。
【0037】
また、軸部材11が回転すると、軸受スリーブ12の下側端面12bに形成されたスラスト軸受面となる領域は、軸部材11のフランジ部11bの上側端面11b1とスラスト軸受隙間を介して対向する。同時に、蓋部材14の上側端面14b1に形成されたスラスト軸受面となる領域が、軸部材11のフランジ部11bの下側端面11b2とスラスト軸受隙間を介して対向する。軸部材11の回転に伴い、両スラスト軸受隙間に潤滑油の動圧が発生し、その圧力によって軸部材11が両スラスト方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材11を両スラスト方向に回転自在に非接触支持する第1スラスト軸受部T1と第2スラスト軸受部T2とが形成される。
【0038】
以上の構成からなる流体軸受装置10は、例えば図4に示すスピンドルモータに組み込まれる。この情報機器用スピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、流体軸受装置10と、流体軸受装置10の軸部材11に取り付けられたディスクハブ16と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル17およびロータマグネット18と、ベース部材19とを備えている。ステータコイル17はベース部材19の外周に取り付けられ、ロータマグネット18は、ディスクハブ16の内周に取り付けられている。ディスクハブ16は、その外周に磁気ディスク等のディスクDを一または複数枚保持する。ベース部材19の内周に流体軸受装置10のハウジング13が装着されている。ステータコイル17に通電すると、ステータコイル17とロータマグネット18との間に発生する電磁力でロータマグネット18が回転し、それに伴ってディスクハブ16、軸部材11が一体に回転する。
【0039】
上記のように、流体軸受装置10は、ハウジング13をベース部材19の内周に、接着、圧入等の手段で固定することによってモータに組み込まれることとなる。この際、ハウジング13の内周面と外周面の間の同軸度に狂いがあると、ハウジング13の内周に固定される軸受スリーブ12の内周面精度を悪化させる恐れがある。この内周面精度の悪化はラジアル軸受隙間の幅精度を悪化させ、これがモータ(流体軸受装置10)の回転精度を悪化させる一因となる。これに対し、上記の成形金型を用いてハウジング13を射出成形すれば、内周面と外周面の間における同軸度の狂いが極めて微小なものとなるから、小型化、高速回転化、高回転精度化等の要請に資することができる。
【0040】
なお、本発明に係る成形金型は、流体軸受装置用のハウジングのみならず、内周面と外周面の間で高い同軸度が求められる他の円筒体を成形する際にも好適に用いることが可能である。
【0041】
また、図示は省略するが、本発明にかかる成形金型は、以上で説明を行った両端を開口させた円筒体のみならず、一端を閉じた有底筒状の円筒体を成形する際に用いることも可能である。
【0042】
また、本発明の構成は、上述したような断面真円状の円筒体のみならず、断面非真円形状(例えば、楕円形状)の円筒体、さらには、断面矩形状の中空体を成形する成形金型にも好適に用いることが可能である。
【0043】
さらに、本発明の構成は、半径方向の位置決めのみならず、軸方向の位置決めを行う成形金型にも好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】(a)図は、本発明に係る樹脂製円筒体の成形金型の縦断面図、(b)図は、成形金型の要部を拡大した横断面図である。
【図2】成形金型に設けられるテーパ面の他の構成を示す図である。
【図3】本発明に係る成形金型で成形されたハウジングを組み込んだ流体軸受装置の断面図である。
【図4】流体軸受装置を組み込んだ情報機器用スピンドルモータの一例を示す概要図である。
【符号の説明】
【0045】
1 固定型
2 可動型
3 外型部
4 内型部
5 調整機構
6 キャビティ
10 流体軸受装置
11 軸部材
12 軸受スリーブ
13 ハウジング
51 第1の加圧部材
53 第2の加圧部材
55 送り手段
A 第1のテーパ面
B 第2のテーパ面
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部
S シール空間
α 傾斜角
【出願人】 【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
【出願日】 平成18年9月4日(2006.9.4)
【代理人】 【識別番号】100064584
【弁理士】
【氏名又は名称】江原 省吾

【識別番号】100093997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀佳

【識別番号】100101616
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 吉之

【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦

【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛


【公開番号】 特開2008−62387(P2008−62387A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−239180(P2006−239180)