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【発明の名称】 射出成形金型
【発明者】 【氏名】内田 茂

【要約】 【課題】複数のキャビティに溶融樹脂を同一の圧力、速度で充填でき、成形品の品質を均一にすることができる射出成形金型を提供する。

【構成】固定金型13と、この固定金型13と接離可能な可動金型14と、固定金型13と可動金型14との間に設けられた胴部成形キャビティ部27及びこの胴部成形キャビティ部27の開口端に鍔部成形キャビティ部28を有し、鍔付き成形品Aを成形する複数のキャビティ26と、固定金型13に設けられた樹脂注入口と連通する樹脂通路17を有するホットランナ16と、このホットランナ16に設けられ溶融樹脂を複数のキャビティ26に分配して充填する複数のノズル部20を有するエッジゲート19とからなり、エッジゲート19のノズル部20に低熱伝導材料からなる位置決めブロック22を固定し、この位置決めブロック22を、固定金型13を構成する部材に係合してエッジゲート19を固定したことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定金型と、この固定金型と接離可能な可動金型と、前記固定金型と可動金型との間に設けられた胴部成形キャビティ部及びこの胴部成形キャビティ部の開口端に鍔部成形キャビティ部を有し、鍔付き成形品を成形する複数のキャビティと、前記固定金型に設けられた樹脂注入口と連通する樹脂通路を有するホットランナと、このホットランナに設けられ溶融樹脂を前記複数のキャビティに分配して充填する複数のノズル部を有するエッジゲートとからなり、
前記エッジゲートのノズル部に低熱伝導材料からなる位置決めブロックを固定し、この位置決めブロックを、前記固定金型を構成する部材に係合して前記エッジゲートを固定したことを特徴とする射出成形金型。
【請求項2】
前記位置決めブロックは、熱硬化性樹脂材料からなり、内側は前記エッジゲートのノズル部に嵌着され、外側は前記固定金型を構成する部材に設けた凹溝に係合していることを特徴とする請求項1記載の射出成形金型。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、試験管、筆記具等の鍔付き成形品を複数個同時に成形する射出成形金型に関する。
【背景技術】
【0002】
試験管、筆記具等の筒状成形品を成形する射出成形金型は、1台の成形用金型に複数のキャビティを設け、樹脂注入口から注入された溶融樹脂をホットランナで分配して各キャビティに導くように構成されている。
【0003】
この射出成形金型は、1回の射出成形によって複数個の成形品を同時に成形できるように構成したもので、基本的には、中央部に設けられたスプルー部に1つの樹脂注入口と、これと連通して複数に分岐する分岐ゲートを有している。一方、金型本体には複数のキャビティが設けられ、これらキャビティに連通する複数のノズル部を有するエッジゲートを有したホットランナが設けられている。そして、ホットランナの樹脂通路からの樹脂圧力が分岐ゲートを介してキャビティの胴部成形用キャビティ部に開口するエッジゲートに均一に分配するようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、射出成形金型として、胴部成形キャビティ部及びこの胴部成形キャビティ部の開口端に鍔部成形キャビティ部を有し、鍔付き成形品を成形するキャビティ有し、ホットランナから鍔部成形キャビティ部の側部に通じるエッジゲートを設けた注射器シリンジの射出成形金型が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2005−41020号公報
【特許文献2】特許第3496880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2に示すような射出成形金型は、エッジゲートに複数のノズル部を備え、これらノズル部から各キャビティに通じる開口に同一の圧力と速度で溶融樹脂を射出するようになっている。しかし、エッジゲートの軸心、つまりホットランナの軸心部と接続されている部分を中心として首振り(回動)すると、ノズル部とキャビティに通じる開口とが位置ずれし、各キャビティに充填される溶融樹脂の圧力、速度が各キャビティで均一にならないという不具合が生じ、成形品の品質にバラツキが生じるという問題がある。
この発明は、前記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、複数のキャビティに溶融樹脂を同一の圧力、速度で充填でき、成形品の品質を均一にすることができる射出成形金型を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、前記目的を達成するために、請求項1は、固定金型と、この固定金型と接離可能な可動金型と、前記固定金型と可動金型との間に設けられた胴部成形キャビティ部及びこの胴部成形キャビティ部の開口端に鍔部成形キャビティ部を有し、鍔付き成形品を成形する複数のキャビティと、前記固定金型に設けられた樹脂注入口と連通する樹脂通路を有するホットランナと、このホットランナに設けられ溶融樹脂を前記複数のキャビティに分配して充填する複数のノズル部を有するエッジゲートとからなり、前記エッジゲートのノズル部に低熱伝導材料からなる位置決めブロックを固定し、この位置決めブロックを、前記固定金型を構成する部材に係合して前記エッジゲートを固定したことを特徴とする射出成形金型にある。
【0007】
請求項2は、請求項1の前記位置決めブロックは、熱硬化性樹脂材料からなり、内側は前記エッジゲートのノズル部に嵌着され、外側は前記固定金型を構成する部材に設けた凹溝に係合していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、エッジゲートのノズル部に位置決めブロックを固定し、この位置決めブロックを固定金型を構成する部材に係合固定することにより、複数のキャビティに溶融樹脂を同一の圧力、速度で充填でき、成形品の品質を均一することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は射出成形金型の縦断側面図、図2は図1のA−A線に沿う断面図、図3は図2のB−B線に沿う断面図、図4は図2のC部を拡大した断面図、図5は鍔付き成形品の斜視図である。射出成形金型11は試験管、筆記具等の鍔付き成形品Aを成形する金型であって、図1に示すように、1台の射出成形金型11には複数個の鍔付き成形品Aを同時に成形することができる複数の成形部12が設けられている。
【0011】
射出成形金型11について説明すると、固定金型13と可動金型14とからなり、分割面15で分割されるようになっている。固定金型13には樹脂注入口(図示しない)と連通するホットランナ16が設けられ、樹脂注入口から注入された溶融樹脂を複数の成形部12に分岐して導くようになっている。
【0012】
ホットランナ16の軸心部には樹脂通路17が設けられ、この樹脂通路17の外周囲にはヒータ18が巻装されている。ホットランナ16の下端部、つまり樹脂通路17の下流側にはエッジゲート19が設けられている。エッジゲート19は、例えば、Be−Cu等の熱伝導合金によって形成され、樹脂通路17と連通する樹脂通路19aを有する円筒部19bと、この円筒部19bと一体に設けられた末広がりの拡幅部19cを有している。拡幅部19cには成形部12の数に対応して複数、本実施形態では左右に二股に分岐されるノズル部20が設けられ、これらノズル部20には樹脂通路19aと連通する分岐ゲート20a,20bが斜め下方に向って穿設されている。これら分岐ゲート20a,20bの下流側には分岐ゲート20a,20bより小径で、横方向に穿設されたノズル孔21a,21bが設けられ、ノズル孔21a,21bはエッジゲート19の左右側面に開口している。なお、エッジゲート19の周囲には樹脂断熱層19dが設けられている。
【0013】
さらに、図2〜図4に示すように、エッジゲート19の拡幅部19cとなる左右に二股に分岐されるノズル部20の周囲は、固定金型13を構成する部材13aに形成された樹脂断熱層19dで囲繞されている。このノズル部20には低熱伝導材料、例えばベスペル(登録商標)等の熱硬化性樹脂材料からなる位置決めブロック22が嵌着されている。この位置決めブロック22は、例えばU字状で、その内側22aはノズル部20の下面、両側面に接合されている。また、固定金型13を構成する部材13aには位置決めブロック22の外側22bと対向して凹溝23xが設けられ、この凹溝23xには位置決めブロック22の外側22bが係合されている。
【0014】
従って、エッジゲート19のノズル部20は位置決めブロック22によって固定金型13を構成する部材13aに固定されている。従って、エッジゲート19がその軸心oを中心として首振り(矢印a方向に回動)しようとしても、位置決めブロック22によって阻止されてノズル部20の位置が変わらないように構成されている。しかも、位置決めブロック22は熱伝導率材料が悪い材質で形成されているため、溶融樹脂の熱影響がノズル部20に加わることはない。
【0015】
また、エッジゲート19の円筒部19bはホットランナ16の下端部に軸心に沿って穿設された取付け穴23に挿入され、円筒部19bの上端面は取付け穴23の底面23aに当接している。エッジゲート19の軸心上の下端部には取付け穴24が穿設され、この取付け穴24にはセラミック等の耐熱性を有し、かつ熱膨張係数の小さい材料からなる受け駒25が固定されている。この受け駒25は前記可動金型14に設けられたゲートパッド25aに当接している。そして、エッジゲート19に樹脂圧が加わってもエッジゲート19が図面上、下方へ下がるのを防止している。
【0016】
次に、成形部12について説明すると、鍔付き成形品Aを成形するキャビティ26は、真円筒状の胴部成形キャビティ部27と楕円形状の鍔部成形キャビティ部28とから構成されている。胴部成形キャビティ部27及び鍔部成形キャビティ部28は、固定金型13に設けられたキャビティ外筒部29と、可動金型14に設けられ、キャビティ外筒部29の内部に挿入されるキャビティ内筒部30との間の間隙によって構成されている。
【0017】
さらに、図2及び図4に示すように、鍔部成形キャビティ部28の外周部で、楕円形状の短径部にはエッジゲート19のノズル孔21a(21b)と対向しており、エッジゲート19のノズル孔21a(21b)から射出される溶融樹脂が鍔部成形キャビティ部28に充填されるようになっている。
さらに、キャビティ内筒部30の内腔30aには外周面に間隙部31を存して軸方向にパイプ32が同心的に設けられている。このパイプ32の内部は冷却水往路33、間隙部31は冷却水往路33とパイプ32の先端部で連通する冷却水復路34が設けられている。冷却水往路33は冷却水供給源(図示しない)の吐出側と連通し、冷却水復路34は冷却水供給源の吸込み側と連通する冷却水循環路が構成されている。そして、キャビティ26内に充填された溶融樹脂を内側から均一に冷却するようになっている。
【0018】
キャビティ外筒部29の外周部にはその全長に亘って螺旋状の冷却水路(図示しない)が設けられ、キャビティ26内に充填された溶融樹脂を外側から均一に冷却するようになっている。
【0019】
さらに、前記胴部成形キャビティ部27の先端部には半球状部35が設けられている。胴部成形キャビティ部27の先端側には固定金型13に固定されるブロック36が設けられている。このブロック36には半球状部35を形成する凹陥部37が設けられている。
【0020】
次に、前述のように構成された射出成形金型の作用について説明する。
【0021】
射出成形機から溶融樹脂が樹脂注入口(図示しない)から射出成形金型11に射出されると、溶融樹脂はホットランナ16の樹脂通路17に導かれる。樹脂通路17の溶融樹脂は、ホットランナ16からエッジゲート19の樹脂通路19aを介して分岐ゲート20a,20bに導かれ、このエッジゲート19の周囲に設けられた樹脂断熱層19d、ノズル孔21a,21bを介してキャビティ26に充填される。すなわち、分岐ゲート20a,20bからノズル孔21a,21bを介してキャビティ26に溶融樹脂が充填される際に、樹脂断熱層19d内の半溶融状態の樹脂の一部は射出された溶融樹脂と一緒にキャビティ26に充填されるが、溶融樹脂は、鍔部成形キャビティ部28から胴部成形キャビティ部27及び半球状部35の順に充填される。
【0022】
このとき、エッジゲート19は溶融樹脂の圧力によって下方へ押圧されるが、エッジゲート19に固定された受け駒25は可動金型14に設けられたゲートパッド25aに当接しているため、エッジゲート19が下がるのを防止できる。
【0023】
また、エッジゲート19のノズル部20は位置決めブロック22によって固定金型13を構成する部材13aに固定されている。従って、エッジゲート19がその軸心oを中心として首振り(矢印a方向に回動)しようとしても、位置決めブロック22によって阻止されてノズル部20の位置が変わらない。しかも、位置決めブロック22は熱伝導率が悪い材質で形成されているため、溶融樹脂の熱影響がノズル部20に加わることはない。
【0024】
また、キャビティ26の外側を囲むように冷却水路が設けられているため、キャビティ26内に充填された溶融樹脂を外側から均一に冷却される。キャビティ26の内側には冷却水供給源から流入された冷却水が冷却水往路33を流れ、パイプ32の先端部で折り返して冷却水復路34に流れる冷却水循環路が形成されているため、キャビティ26内に充填された溶融樹脂は内側からも均一に冷却される。
【0025】
従って、キャビティ26内の樹脂は短時間に冷却固化される。樹脂が冷却固化された後、固定金型13に対して可動金型14が後退すると、固定金型13と可動金型14は分割面15で分割され、キャビティ26の形状に倣った図5に示すような、鍔付き成形品Aが得られる。
【0026】
また、前記実施形態においては、試験管、筆記具等の円筒成形品の成形について説明したが、角筒状成形品等の成形にも適用できる。
【0027】
なお、この発明は、前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明の第1の実施形態を示す射出成形金型の縦断側面図。
【図2】同実施形態を示し、図1のA−A線に沿う断面図。
【図3】同実施形態を示し、図2のB−B線に沿う断面図。
【図4】同実施形態を示し、図2のC部を拡大した断面図。
【図5】同実施形態を示し、鍔付き成形品の斜視図。
【符号の説明】
【0029】
11…射出成形金型、13…固定金型、14…可動金型、15…分割面、16…ホットランナ、17…樹脂通路、19…エッジゲート、20…ノズル部、21a,21b…ノズル孔、22…位置決めブロック、26…キャビティ、27…胴部成形キャビティ部、28…鍔部成形キャビティ部
【出願人】 【識別番号】391013069
【氏名又は名称】池上金型工業株式会社
【出願日】 平成18年8月28日(2006.8.28)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦

【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲

【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠

【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊

【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司

【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘

【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男

【識別番号】100092196
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 良郎


【公開番号】 特開2008−49679(P2008−49679A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−231158(P2006−231158)