| 【発明の名称】 |
型締装置の制御方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】基村 隆
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| 【要約】 |
【課題】本発明は、型タッチを自動的にあるいは容易に判断することができ、熟練した操作者でなくても容易に低圧型締力を設定することができるような型締装置の制御方法を提供することを課題とする。
【構成】可動金型11bに低圧型締力を加えて固定金型11bに向かって移動させることにより型閉を行い、可動金型11bが固定金型11aに近接した位置において低圧型締力より大きな型締力を可動金型11bに加えて型締を行う。低圧型締力の値と、低圧型締力を可動金型11bに加えて固定金型11aに向けて移動させたときに可動金型11bが停止した位置との相関関係に基づいて、低圧型締力の設定値を求める。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 可動金型に低圧型締力を加えて固定金型に向かって移動させることにより型閉を行い、前記可動金型が前記固定金型に近接した位置において該低圧型締力より大きな型締力を前記可動金型に加えて型締を行う型締装置の制御方法であって、 前記低圧型締力の値と、前記低圧型締力を前記可動金型に加えて前記固定金型に向けて移動させたときに前記可動金型が停止した位置との相関関係に基づいて、前記低圧型締力の設定値を求めることを特徴とする型締装置の制御方法。 【請求項2】 請求項1記載の型締装置の制御方法であって、 前記相関関係をグラフに表した際に現れる変曲点に対応する位置において、前記可動金型と前記固定金型が接触したと判断することを特徴とする型締装置の制御方法。 【請求項3】 請求項1記載の型締装置の制御方法であって、 一回の型閉工程を行う際に前記低圧型締力の値を順次変化させて前記可動金型の停止位置を検出することにより、前記相関関係を求めることを特徴とする型締装置の制御方法。 【請求項4】 請求項1記載の型締装置の制御方法であって、 前記低圧型締力の値を段階的に変化させながら、各値毎に型閉を行って前記可動金型の停止位置を検出することで、前記相関関係を求めることを特徴とする型締装置の制御方法。 【請求項5】 請求項4記載の型締装置の制御方法であって、 前記低圧型締力の値を少なくとも3回変化させることを特徴とする型締装置の制御方法。 【請求項6】 請求項1記載の型締装置の制御方法であって、 前記相関関係は型締力センサの検出値と前記可動金型が停止した位置との関係であることを特徴とする型締装置の制御方法。 【請求項7】 請求項2記載の型締装置の制御方法であって、 前記変曲点に対応する前記低圧型締力の値に所定の値を加えた値を前記低圧型締力の前記設定値とすることを特徴とする型締装置の制御方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は型締装置の制御方法に係わり、特に射出成形機の型閉工程における型締力を設定するための型締装置の制御方法に関する。 【背景技術】 【0002】 射出成形機等の成形機では、加熱シリンダ内で加熱されて溶融させられた樹脂を高圧で金型装置のキャビティ空間に射出して充填する。キャビティ空間に充填された樹脂は冷却され、固化することにより成形品となる。金型装置は、一般的に、固定金型と可動金型とよりなり、型締装置によって可動金型を固定金型に対して進退させることにより、型閉、型締及び型開が行なわれる。型締装置は、固定金型が取り付けられる固定プラテン、可動金型が取り付けられる可動プラテン、及び可動プラテンを進退させるための移動機構を有する。すなわち、トグル機構等の移動機構を駆動して可動プラテンを固定プラテンに対して接近または離間方向に移動することで金型装置の型閉、型締及び型開を行なう。 【0003】 上述のような型締装置において、金型が最大に開いた状態(型開限位置)から、可動プラテンを移動して可動金型を移動し(型閉工程)、固定金型に接触させる(型タッチ)。その後、更に可動金型を固定金型に対して押圧することにより所望の型締力を発生させる(型締工程)。 【0004】 型閉工程においては、金型は開いた状態であり、可動プラテンを移動させるために加える力は小さいが、可動プラテンを早く型タッチ状態にするためにある程度の力を加えて、可動プラテンの移動速度を大きくする必要がある。ただし、大きな速度のまま可動金型が固定金型に接触すると大きな衝撃となるので、接触する手前で可動プラテンの移動速度を落とし、小さな速度で移動させながら可動金型を固定金型に接近させる接触させる。このときに、可動プラテンを小さな速度で移動させるために加える力を一般的に「低圧型締力」と称する。 【0005】 低圧型締力で可動プラテンを移動させて、可動金型が固定金型に接触したら、金型に型締力を作用させるために、可動プラテンに大きな力を加える。このときに可動プラテンに加える力を一般的に「型締力」と称する。可動プラテンをトグル機構により移動させて型締力を発生させる場合には、可動金型が固定金型に接触する僅かに手前から可動プラテンに型締力を作用させることで、可動金型を加速しながら固定プラテンに接触させることもある。このように型締力を加え始める位置を、一般的に「金型保護位置」と称する。 【0006】 上述の低圧型締力は、型タッチ時の衝撃が小さくなるように、なるべく小さな力とすることが好ましい。ただし、可動プラテンの摺動抵抗に負けないだけの力を加える必要がある。また、型タッチする前に金型に設けられた位置決めピンが嵌合の際に摺動抵抗が発生する場合もある。さらに、図1に示すような圧縮成型用の金型の場合にも、型タッチする前に固定金型1の堰部材3が可動金型2に当接するため、低圧型締力に対抗する力が発生する。 【0007】 このように、金型によっては、型タッチ付近では低圧型締力に対抗する力が作用するため、低圧型締力が小さ過ぎると可動プラテンは型タッチする手前で停止してしまう。したがって、低圧型締力の設定値は金型毎に求める必要があるが、低圧型締力の設定値を求める作業は熟練した操作者の経験や判断にたよるところが多い。 【0008】 ここで、型閉力を複数回検出し、検出値の平均値及び標準偏差に対応した調整値を求め、この平均値及び調整値から閾値を求めることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。 【特許文献1】特開2004−330529号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 上述の特許文献1に記載の型閉力の調整は、予め検出した型閉力(低圧型締力に相当)の統計をとって、型閉力の閾値を求めるもので、型タッチが行われる際の低圧型締力は依然として操作者が判断して設定するものである。 【0010】 本発明は上述の問題に鑑みなされたものであり、型タッチを自動的にあるいは容易に判断することができ、熟練した操作者でなくても容易に低圧型締力を設定することができるような型締装置の制御方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0011】 上述の目的を達成するために、本発明によれば、可動金型に低圧型締力を加えて固定金型に向かって移動させることにより型閉を行い、前記可動金型が前記固定金型に近接した位置において該低圧型締力より大きな型締力を前記可動金型に加えて型締を行う型締装置の制御方法であって、前記低圧型締力の値と、前記低圧型締力を前記可動金型に加えて前記固定金型に向けて移動させたときに前記可動金型が停止した位置との相関関係に基づいて、前記低圧型締力の設定値を求めることを特徴とする型締装置の制御方法が提供される。 【0012】 本発明による型締装置の制御方法において、前記相関関係をグラフに表した際に現れる変曲点に対応する位置において、前記可動金型と前記固定金型が接触したと判断することが好ましい。また、一回の型閉工程を行う際に前記低圧型締力の値を順次変化させて前記可動金型の停止位置を検出することにより、前記相関関係を求めることとしてもよい。あるいは、前記低圧型締力の値を段階的に変化させながら、各値毎に型閉を行って前記可動金型の停止位置を検出することで、前記相関関係を求めることとしてもよい。また、前記低圧型締力の値を少なくとも3回変化させることが好ましい。また、前記相関関係は型締力センサの検出値と前記可動金型が停止した位置との関係であることとしてもよい。さらに、前記変曲点に対応する前記低圧型締力の値に所定の値を加えた値を前記低圧型締力の前記設定値とすることとしてもよい。 【発明の効果】 【0013】 本発明によれば、低圧型締力と可動金型の停止位置との相関関係に基づいて、型タッチを自動的にあるいは容易に判断することができ、熟練した操作者でなくても容易に低圧型締力を設定することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0014】 以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。 【0015】 図2は本発明の一実施形態による制御方法が実行される射出成形機の型締装置の概略図である。 【0016】 図2において、射出成形機の型締装置10は、フレーム17と、フレーム17に固定された固定プラテン12と、固定プラテン12との間に所定の距離を置いてフレーム17に対して移動可能に配設されたトグルサポート15とを具備する。固定プラテン12とトグルサポート15との間には、複数(例えば、四本)のタイバー16が延在している。 【0017】 可動プラテン13は、固定プラテン12に対向して配設され、タイバー16に沿って進退(図における左右方向に移動)可能に配設される。金型装置11は、固定金型11aと可動金型11bとから成る。固定金型11aは、固定プラテン12における可動プラテン13と対向する金型取付面に取り付けられる。一方、可動金型11bは、可動プラテン13における固定プラテン12と対向する金型取付面に取り付けられる。 【0018】 なお、可動プラテン13の後端 (図における左端)にはエジェクタピン(図示せず)を移動させるための駆動装置が取り付けられてもよい。 【0019】 可動プラテン13とトグルサポート15との間には、トグル式型締装置としてのトグル機構20が取り付けられる。トグルサポート15の後端にはトグル機構20を作動させる型締モータ26が配設される。型締モータ26は、回転運動を往復運動に変換するボールねじ機構等から成る運動方向変換装置(図示せず)を備え、駆動軸25を進退(図における左右方向に移動)させることによって、トグル機構20を作動させることができる。なお、型締モータ26は、サーボモータであることが,好ましく、回転数を検出するエンコーダとしての型開閉位置センサ27を備える。 【0020】 トグル機構20は、駆動軸25に取り付けられたクロスヘッド24、クロスヘッド24に揺動可能に取り付けられた第2トグルレバー23、トグルサポート15に揺動可能に取り付けられた第1トグルレバー21、及び、可動プラテン13に揺動可能に取り付けられたトグルアーム22を有する。第1トグルレバー21と第2トグルレバー23との間、及び、第1トグルレバー21とトグルアーム22との間は、それぞれ、リンク結合される。なお、トグル機構20は、いわゆる、内巻五節点ダブルトグル機構であり、上下が対称の構成を有する。 【0021】 型締モータ26を駆動して、被駆動部材としてのクロスヘッド24を進退させることによって、トグル機構20を作動させることができる。この場合、クロスヘッド24を前進(図における右方向に移動)させると、可動プラテン13が前進させられて型閉が行われる。そして、型締モータ26による推進力にトグル倍率を乗じた型締力が発生させられ、その型締力によって型締が行われる。 【0022】 トグルサポート15の後端(図における左端)には、固定プラテン12に対するトグルサポート15の位置を調整するために、型締位置調整装置35が配設される。トグルサポート15には、タイバー挿通孔(図示せず)が複数、例えば、四つ形成され、タイバー16の図における左端が、それぞれのタイバー挿通孔に挿入される。なお、タイバー16の右端は、固定ナット16aによって固定プラテン12に固定されている。 【0023】 タイバー16は、図における左端の外周にねじが形成されたねじ部36を有し、調整ナット37がそれぞれのタイバー16のねじ部36に螺合される。なお、調整ナット37は、トグルサポート15の後端に回転可能に、かつ、タイバー16の軸方向に移動不能に取り付けられる。また、調整ナット37の外周には被駆動用歯車37aが取り付けられている。 【0024】 トグルサポート15の後端における上方部には、型締位置調整用駆動源としての型厚モータ31が配設される。型厚モータ31の回転軸には、駆動用歯車33が取り付けられている。調整ナット37の被駆動用歯車37a及び駆動用歯車33の周囲には、チェーン、歯付きベルト等の駆動用線状体34が架け回されている。そのため、型厚モータ31を駆動して、駆動用歯車33を回転させると、それぞれのタイバー16のねじ部36に螺合された調整ナット37が同期して回転させられる。これにより、型厚モータ31を所定の方向に所定の回転数だけ回転させて、トグルサポート15を所定の距離だけ進退させることができる。なお、型厚モータ31は、サーボモータであることが好ましく、回転数を検出するエンコーダとしての型締位置センサ32を備える。 【0025】 型厚モータ31の回転を調整ナット37に伝達する手段は、それぞれのタイバー16のねじ部36に螺合された調整ナット37が同期して回転させられるものであれば、いかなるものであってもよい。例えば、駆動用線状体34に代えて、駆動用歯車33及び駆動用歯車33のすべてに噛合う大径の歯車をトグルサポート15の後端に回転可能に配設することとしてもよい。 【0026】 また、本実施形態では、タイバー16の一つに型締力センサ18が配設される。型締力センサ18は、タイバー16の歪み(主に、伸び)を検出するセンサである。タイバー16には、型締の際に型締力に対応して引張力が加わり、型締力に比例して僅かではあるが伸長する。したがって、タイバー16の伸び量を型締力センサ18により検出することで、金型装置11に実際に印加されている型締力を知ることができる。 【0027】 上述の型締力センサ18、型開閉位置センサ27、型締モータ26及び型厚モータ31は制御装置19に接続され、型締力センサ18及び型開閉位置センサ27から出力される検出信号は制御装置19に送られる。制御装置19は、検出信号に基づいて型締モータ26及び型厚モータ31の動作を制御する。 【0028】 ここで、通常の成形時における動作について説明する。型締モータ26を正方向に駆動させると、ボールねじ軸25が正方向に回転させられ、図1に示されるように、ボールねじ軸25は前進(図1における右方向に移動)させられる。それに伴って、クロスヘッド24が前進させられ、トグル機構20が作動させられると、可動プラテン13が前進させられる(型閉工程)。 【0029】 可動プラテン13に取り付けられた可動金型11bが固定金型11aと接触すると(型閉状態又は型タッチ)、型締工程に移行する。型締工程では、型締モータ26を更に正方向に駆動することで、トグル機構20によって金型11に型締力が発生させられる。 【0030】 そして、図示されない射出装置に設けられた射出駆動部が駆動されてスクリュが前進することにより、金型11内に形成されたキャビティ空間に溶融樹脂が充填される。型開を行なう場合、型締モータ26を逆方向に駆動すると、ボールねじ軸25が逆方向に回転させられる。それに伴って、クロスヘッド24が後退させられ、トグル機構20が作動されると、可動プラテン13が後退させられる。 【0031】 型開工程が完了すると、図示されたいエジェクタ駆動部が駆動され、可動プラテンに取り付けられたエジェクタ装置が作動する。これにより、エジェクタピンが突き出され、可動金型11b内の成形品は可動金型11bより突き出される。また、エジェクタ駆動部の駆動と同時に成形品取出機(図示せず)が駆動され、成形品取出機のアームが固定金型11aと可動金型11bとの間に進入し、成形品取出位置で停止する。そして、エジェクタピンの前進により可動金型11bから突き出された成形品は成形品取出機のアームにより把持されて取り出され、射出成形機の外に設けられた搬送手段としてのコンベア装置まで搬送される。 【0032】 ところで、一般のトグル機構を利用した型締装置と同様に、トグル機構20が発生する型締力は、固定プラテン12、トグルサポート15及びタイバー16を含む型締装置10全体のばね定数、すなわち、型締剛性を比例定数として変化する。なお、型締装置10においては、タイバー16の剛性が他の部材と比較して低いので、型締剛性はタイバー16の剛性に等しいと考えることができる。したがって、トグル機構20が発生する型締力は、タイバー16の剛性としてのばね定数を比例定数として、金型装置11の型閉から型締完了までにトグルサポート15が固定プラテン12に対して移動する量に比例して変化すると言える。すなわち、固定プラテン12、トグルサポート15等の部材の剛性が十分に高いので、型締装置10が発生する型締力は、実質的に、四本のタイバー16が弾性変形して伸びることによって発生し、該タイバー16の伸び量に比例すると言える。 【0033】 次に、型締装置を駆動する型締モータ26が発生するモータトルクと、可動プラテン13(すなわち、金型装置11の可動金型11b)の位置との関係について、図3を参照しながら説明する。図3は型締モータ26のモータトルクと可動プラテン13の位置との関係を示すグラフである。 【0034】 図3において、型締モータ26が作動してトグル機構20に接続された可動プラテン13がトグルサポート15側に最も引き寄せられた位置が「型開限位置」であり、この位置で可動金型11bは固定金型11bから最も離れた状態で停止する。 【0035】 「型開限位置」から型締モータ26を駆動して可動プラテンの前進(固定プラテンに接近する方向に移動)を開始させると、型締モータ26のモータトルクは、起動時のトルク上昇によるピーク状態Aを経て安定した移動速度に移行してほぼ一定の状態Bになる。 【0036】 このトルクが一定の状態Bで可動プラテン13が前進し、可動プラテン13がある程度固定プラテン12に接近した時点(すなわち、可動金型11bが固定金型11aにある程度接近した位置)において、型締モータ26の出力制限が開始され、型締モータ26のトルクが所定の低トルクの状態Cとなるように制御される。このモータトルクの制限開始位置が「低圧型締開始位置」に相当する。モータトルクの制限は、可動金型11bがある程度固定金型11aに近づいた時点で、低トルク・低速で前進するように設けられる制限であり、例えば異物が可動金型11bと固定金型11aとの間に挟まっていても、金型が損傷しない程度の小さな力で可動金型11bを前進させるために設けられる制限である。 【0037】 可動プラテン13が「低圧型締開始位置」から更に前進して、可動金型11bが固定金型に接触(型タッチ)する寸前の位置(例えば「型タッチ位置」から0.1mm手前の位置)が「昇圧開始位置」となる。「昇圧開始位置」において、型締モータ26の出力制限が解除され、可動プラテン13は固定プラテン12に向かって全速で前進する。すなわち、最大推力で前進することが可能となる。したがって、「昇圧開始位置」を過ぎるとトルクが急激に上昇しながら(状態D)可動プラテン13は「型タッチ位置」に到達する。「昇圧開始位置」は、型締力を発生させるためのいわば助走開始位置に相当し、「型タッチ位置」で出力制限を解除すると型締モータ26のトルクを迅速に上昇させることができないため、「型タッチ位置」の僅かに手前からトルク上昇を開始するための位置である。ただし、「昇圧開始位置」から「型タッチ位置」までの距離が大き過ぎると、可動金型11bが必要以上に加速された状態で固定金型11aに接触(衝突)することとなり、金型装置11が損傷するおそれがある。そこで、僅かな助走距離だけを設けることで金型装置を保護している。この意味で、「昇圧開始位置」は「金型保護位置」とも称される。 【0038】 「型タッチ位置」において可動金型11bは固定金型11aに当接して可動プラテン13は前進できなくなるが、型締モータ26のトルク制限が解除されているので、トルクはそのまま上昇を続ける。これにより、型締モータ26のトルクに応じた型締力が金型装置11に印加されることとなる。したがって、型締力は「型タッチ位置」から急激に上昇し、予め設定された設定型締力に到達したところで、型締モータ26は停止され、設定型締力が保持される。型締力が設定型締力に到達した位置が「設定型締力の位置」であり、固定プラテン13の原点として設定される。 【0039】 一般的に、上述の各位置は、この「設定型締力の位置」を原点とし、原点からの距離(例えば、ミリメートル)で表わされる。例えば、原点から「型タッチ位置」まで距離が3mmであれば、原点から「金型保護位置」までの距離は、例えば3.1mmに設定される。 【0040】 ここで、以上の型閉工程から型締工程までの間の型締力の設定値の変化について、図4を参照しながら説明する。図4は型閉工程から型締工程までの間の型締力の設定値の変化を示すグラフである。 【0041】 型開限位置から可動プラテンを移動する際には、型締力(すなわち、型締モータ26が発生するトルク)は、可動プラテン13を所定の速度で移動させることのできるような値に設定される。この設定値を、第1型締力又は型閉力と称する。可動プラテン13が移動して、型タッチ位置に近づき、低圧型締開始位置となると、型締力の値は、第1型締力より小さな値に設定される。この設定値を低圧型締力と称する。 【0042】 可動プラテン13が低圧型締力で駆動されて更に低速で前進し、型タッチ位置より所定距離だけ後退した位置である昇圧開始位置(例えば、型タッチ位置より0.1mm手前の位置)に達すると、型締力の値は、成型時に金型装置11に加えるべき締付力が得られるような大きな値に設定される。この設定値を第2型締力と称する。 【0043】 ここで、低圧型締力の設定について説明する。上述のように、低圧型締開始位置は、型締力の値を低圧型締力に設定する位置であり、例えば金型装置11により成形される成形品の厚みの1.5〜2倍程度の距離だけ型タッチ位置から後退した位置に設定される。また、型締力の値を第2型締力に設定する昇圧開始位置も、型タッチ位置から所定距離(例えば0.1mm)後退した位置に設定される。したがって、まず型タッチ位置を精度よく検出・設定する必要がある。 【0044】 型タッチ位置は、操作者が目視で金型装置11を観察し、可動金型11bと固定金型11aとの間の間隙がなくなったことを操作者が判断した時点での位置として設定されていた。したがって、型タッチ位置の判断は操作者の判断にたよることとなり、定量的な判断ではなく、自動的に判断することもできなかった。 【0045】 そこで、本発明による型締装置の制御方法では、型タッチ位置を容易に検出して制御に用いることができるようにし、確実に型タッチを得ることができ且つ大きすぎない適正な低圧型締力を容易に設定することができる。 【0046】 本発明者は、低圧型締力をゼロから開始して徐々に大きくしながら型閉を行うと、可動プラテン(可動金型)の停止位置が型タッチ位置に近づいていき、型タッチ位置付近まで移動できるような大きさとなった後には、それ以上低圧型締力を大きくしても停止位置はほぼ一定となることに着目した。 【0047】 図5は、型締力の大きさ(具体的には型締力設定値)と可動金型の停止位置との相関関係を示すグラフである。図5のグラフは、型締力をゼロから始めて、第2型締力(あるいは最大型締力)の5%ずつ大きくしながら型閉を行い、型締力の各値に対して毎回可動プラテン(可動金型)の停止位置を成形機の操作画面の画面表示から読み取ってグラフ化したものである。図5に示す例では、型締力をゼロに設定したときには、金型停止位置は13.18mmであり、型締力を第2型締力の5%に設定したときには、金型停止位置は11.92mmであった。このように、型締力を5%ずつ大きくしていくと、型締力が第2型締力の20%となったときに、金型停止位置は0.88mmとなり、その後は型締力を大きくしても金型停止位置はほぼ一定となった。 【0048】 図5のグラフからわかるように、型締力の値と金型停止位置との相関関係を表すグラフに変曲点が現れる。すなわち、型締力の値が小さいと、上述の可動プラテンの摺動抵抗等により、可動金型が固定金型に接触する位置まで移動させることはできず、可動プラテンは途中で止まってしまう。型締力の値を大きくしていくと、金型停止位置は可動金型が固定金型に接触する位置に近づいていくが、型締力の値がある値を越えると、それ以上金型停止位置が変化しなくなる。この位置はグラフ上の変曲点に相当し、可動金型が固定金型に接触した位置であると判断することができる。したがって、変曲点に相当する型締力の値を低圧型締力として設定すれば、確実に可動金型を固定金型に接触させることができる。 【0049】 ただし、図5に示す例では、型締力を第2型締力の5%毎に段階的に大きくしており、あまり精度はよくない。そこで、変曲点付近をより精度よく調べるために、変曲点に相当する20%の±5%(すなわち、15%−25%)の範囲において、型締力の値を1%ずつ段階的に大きくしながら金型停止位置を求めた。これにより得られた、型締力の大きさと可動金型の停止位置との相関関係を図6に示す。 【0050】 図6のグラフからわかるように、型締力の値を1%ずつ段階的に大きくした場合でも、型締力が16%のときに変曲点が現れた。この変曲点は、図5のグラフにおける変曲点と同様に、可動金型が固定金型に接触した位置を示すものである。したがって、第2型締力の16%の値を低圧型締力として設定すれば、確実に可動金型を固定金型に接触させることができることとなるが、固定プラテンやタイバー等の熱膨張による摺動抵抗の変化(増大)を考慮して安全を見込み、所定の値だけ大きい値を低圧型締力に設定する。本発明者が調べたところ、グラフの変曲点から求めた型締力の値に、第2型締力の5%分を加えることで、摺動抵抗が変動しても確実に可動金型を固定金型に接触させることができることがわかった。すなわち、図6に示す例の場合、変曲点に相当する16%に所定の値である5%を加えた21%が、低圧型締力として設定する値となる。 【0051】 低圧型締力を第2型締力の21%に設定した後、型閉を行い、金型停止位置を求める。この停止位置が型タッチ位置となるが、金型の熱膨張を見込んで、得られた型タッチ位置に0.05mm〜0.1mmを加えた値を昇圧開始位置として設定する(図4では型タッチ位置に0.1mmを加えて昇圧開始位置としている)。 【0052】 以上のように、型締力の値と金型停止位置との相関関係を表すグラフを、例えば成形機の操作入力表示装置に表示させれば、操作者が変曲点を確認することで、金型接触が確実に得られる型締力の値を知ることができ、その値を低圧型締力として設定することができる。また、そのようにして設定した低圧型締力を用いて型閉を行うことで、型タッチ位置を求めることができる。 【0053】 型締力を段階的に大きくすることは、一回の型閉工程で行ってもよく、あるいは、型締力の値を一段階大きくする毎に一回の型閉工程を行うこととしてもよい。一回の型閉工程で型締力を段階的に大きくするには、型締力の値をゼロにして金型停止が確認されたら、そのままの状態で型締力の値を一段階大きい値に設定して型閉を続行し、再度金型停止が確認されたれら、そのままの状態で型締力の値をもう一段階大きい値に設定して型閉を続行すればよい。 【0054】 また、型締力を段階的に大きくする回数を、少なくとも3回とすることで、上述の変曲点を見つけることができる。また、小さな設定値から順次大きくすることで、金型の破損を防止することができる。 【0055】 さらに、図5に示した相関関係に型締力の設定値ではなく、型締力センサの検出値を用いてもよい。この場合、型締力センサの検出値を用いることで、周囲温度の変化による部品の伸縮等の経時的な変化を受けることなく、実際に金型に印加した力を検出することができる。したがって、再度、同じ金型で型締装置の設定を行う際には、前回と同じ型締力を目安として調整することで、短時間で正確に金型停止位置を求めることができる。 【0056】 次に、上述のようにグラフを用いないで、低圧型締力を設定する方法に関して、図7を参照しながら説明する。図7は低圧型締力設定処理のフローチャートである。ここでは、図5に示す例と同様に型締力を5%ずつ段階的に大きくしながら金型の接触を判断し、そのときに設定されていた型締力の値に基づいて低圧型締力を設定する。また、型締力の値を一段階大きくする毎に一回の型閉工程を行うこととする。 【0057】 まず、ステップS1において、金型に第2型締力を作用させたときの可動プラテンの位置を原点としてゼロに設定する。この設定は、例えば、射出成形機の操作入力表示装置を介して行うことができる。次に、ステップS2において低圧型締力の値をゼロに設定し、ステップS3において型閉を行う。続いて、ステップS4において金型停止位置を検出する。金型停止位置は、通常、射出成形機の操作入力表示装置に表示されるので、表示された金型停止位置の値を読み取ればよい。 【0058】 次に、ステップS5において金型を開く。続いて、ステップS6において、低圧型締力の値を第2型締力の5%だけ大きくしてから型閉を行う。ステップS7においてステップS4と同様にて金型停止位置を検出する。 【0059】 そして、ステップS8において、金型停止位置が前回の金型停止位置より0.1mm以上前進したか(原点に近づいたか)否かを判定する。金型停止位置が前回の金型停止位置より0.1mm以上前進した場合は、ステップS5に戻って処理を続ける。金型停止位置が前回の金型停止位置より0.1mm以上前進していない場合は、ステップS9に進む。ステップS9では、直前に設定した低圧型締力の値に、所定の値(上述の例では、第2型締力の5%)を加えた値を、以後用いる低圧型締力として設定し、処理を終了する。 【0060】 以上のように、本実施形態によれば、可動プラテン(可動金型)に低圧型締力を加えて固定金型に向かって移動させることにより型閉を行い、可動金型が固定金型に近接した位置において低圧型締力より大きな型締力を可動金型に加えて型締を行う型締装置の制御方法において、低圧型締力の値と、低圧型締力を可動プラテン(可動金型)に加えて固定金型に向けて移動させたときに可動プラテン(可動金型)が停止した位置との相関関係に基づいて、型タッチを自動的にあるいは容易に判断することができ、熟練した操作者でなくても容易に低圧型締力を設定することができる。その際、当該相関関係をグラフに表して変曲点を求めることで、可動金型と固定金型が接触したことを容易に判断することができる。 【図面の簡単な説明】 【0061】 【図1】圧縮成型用の金型の断面図である。 【図2】本発明の一実施形態による制御方法が実行される射出成形機の型締装置の概略図である。 【図3】型締モータのモータトルクと可動プラテンの位置との関係を示すグラフである。 【図4】型閉工程から型締工程までの間の型締力の設定値の変化を示すグラフである。 【図5】型締力の値を5%ずつ大きくした場合の、型締力の大きさと可動金型の停止位置との相関関係を示すグラフである。 【図6】型締力の値を1%ずつ大きくした場合の、型締力の大きさと可動金型の停止位置との相関関係を示すグラフである。 【図7】低圧型締力設定処理のフローチャートである。 【符号の説明】 【0062】 10 型締装置 11 金型装置 11a 固定金型 11b 可動金型 12 固定プラテン 13 可動プラテン 15 トグルサポート 16 タイバー 18 型締力センサ 19 制御装置 20 トグル機構 26 型締モータ 27 型開閉位置センサ 31 型厚モータ 32 型締位置センサ
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002107 【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年8月28日(2006.8.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100070150 【弁理士】 【氏名又は名称】伊東 忠彦
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| 【公開番号】 |
特開2008−49674(P2008−49674A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月6日(2008.3.6) |
| 【出願番号】 |
特願2006−230938(P2006−230938) |
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