| 【発明の名称】 |
樹脂成形品 |
| 【発明者】 |
【氏名】篠原 竜太郎
【氏名】植林 久茂
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| 【要約】 |
【課題】意匠面を構成する成形品本体部の裏面側に設けた補強構造部の剛性や取付け手段などの機能を損なうことなく、成形品本体部の意匠面側で発生するフローマークやウエルドライン、ヒケ等の外観不良を防止でき、着色樹脂による無塗装樹脂成形、特に光輝材を着色樹脂に添加した射出成形に適した樹脂成形品を提供する。
【構成】意匠面2aを構成する本体部2と、前記本体部の意匠裏面2bに突設した補強構造部3とを備え、それらを射出成形で一体成形してなる樹脂成形品(1)において、前記補強構造部3は、射出成形時の樹脂流動方向に適宜間隔を有し前記樹脂流動方向と交差する方向に配向された複数の横リブ7a、7b、7c、7dと、前記各横リブと直交して延在し前記各横リブを相互に連結する縦リブ6p、6qとの結合体で構成され、前記各横リブはそれぞれ前記意匠裏面に接続され、そのうち1つの横リブ7aに射出成形のゲート部8が設定される一方、前記縦リブは、前記意匠裏面から離間して配設されている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 意匠面を構成する本体部と、前記本体部の意匠裏面に突設した補強構造部とを備え、それらを射出成形で一体成形してなる樹脂成形品において、 前記補強構造部は、射出成形時の樹脂流動方向に適宜間隔を有し前記樹脂流動と交差する方向に配向された複数の横リブと、前記各横リブと直交して延在し前記各横リブを相互に連結する縦リブとの結合体で構成され、前記各横リブはそれぞれ前記意匠裏面に接続され、そのうち1つの横リブに射出成形のゲート部が設定される一方、前記縦リブは、前記意匠裏面から離間して配設されていることを特徴とする樹脂成形品。 【請求項2】 前記ゲート部が設定された横リブの肉厚が前記他の横リブの肉厚よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形品。 【請求項3】 前記ゲート部が設定された横リブの、前記意匠裏面に接続する部分に、前記意匠裏面側に拡大したフィレット部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂成形品。 【請求項4】 前記縦リブの肉厚が前記本体部の肉厚よりも小さく、前記ゲート部が設定された横リブと、それに隣接する他の横リブとの間隔が、前記ゲート部が設定されていない任意の横リブ間の間隔以上に離間していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂成形品。 【請求項5】 前記1つの横リブから前記本体部を経由して流入固化した樹脂と、前記1つの横リブから前記縦リブを経由して流入固化した樹脂との合流箇所が、前記補強構造部にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂成形品。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、射出成形により一体成形される樹脂成形品に関し、更に詳しくは、意匠面を構成する本体部と、前記本体部の意匠裏面に突設した補強構造部とを備え、前記補強構造部において取付け部位に取付けられ、前記本体部により前記取付け部位を被覆あるいは装飾する樹脂成形品に関しており、前記意匠面にフローマークやウエルドライン、あるいはヒケ等の外観不良が生じるのを防止可能であり、無塗装樹脂成形品に適した樹脂成形品に係わるものである。 【背景技術】 【0002】 射出成形による樹脂成形品は、軽量で賦形性に優れかつ安価であるため、自動車の内外装品、電気製品などの筐体、日用品などに広く利用されている。特に、カバーやガーニッシュなど、物品表面の被覆部材、装飾部材として用いる場合、設置部位の形状に容易に適合できることは勿論、軽量化や製造コストの低減などが一度に達成できる。このような樹脂製のカバーやガーニッシュは、一般に薄肉のシェル構造に形成され、物品の外表面側に配設される意匠面の裏面(以下、意匠裏面という)側にリブなどの補強構造や、取付け部位への取付け構造、成形品同士を接合するための接合構造などが一体に形成される。これらの構造部(以下、包括的に補強構造部という)が形成された部分では、それ以外の部分と比べて樹脂の充填量が多くなるため、意匠面にウエルドラインやヒケなどの成形不良が発生し易くなる。 【0003】 そこで、特許文献1では、外観上目に付き易い部分を避け、取付け後に隠れる部分の裏面に補強構造部を配設し、意匠面側にヒケを生じても外観に影響が及ばないようにすることや、外観上目に付き易い部分では補強構造部との結合部を薄肉化してヒケを抑制することが開示されているが、これらの対策は意匠面の全体が目に付く位置に配置される部品には適用が困難であるうえ、結合部を薄肉化すれば応力集中による強度低下は避けられず、有効かつ普遍的な方策とはなり得ない。 【0004】 ところで、樹脂成形品の質感を向上するため、成形後に塗装を行う場合がある。しかし、近年、環境保護の観点から、製造過程で排出される環境負荷物質を低減する要請が高まる中で、塗料一般に含まれる揮発性有機化合物が大気中に放出され環境に悪影響を及ぼすことが懸念され、その対策として揮発性有機化合物に代わる溶剤の使用若しくは塗料自体の使用量削減などが考えられている。 【0005】 一方、実際に顔料又は染料などの着色剤により予め着色した着色樹脂を使用して射出成形することにより、無塗装で質感を満足させる樹脂成形品を得る成形方法が広まりつつある。着色樹脂による無塗装樹脂成形品のメリットとしては、揮発性有機化合物が発生しない点に加え、塗装工程の廃止によるコストダウンが可能である点、塗膜剥離が生じないため長年質感を維持できる点が挙げられる。 【0006】 また、着色樹脂による無塗装樹脂成形品の質感を高めるため、アルミフレークやガラスフレークなどの光輝材を着色樹脂に添加し、金属調や光輝調の質感を樹脂成形品に付与することが行なわれている。しかし光輝材を用いた射出成形では、成形時における金型内での樹脂の流動状態が成形後の意匠面に現われ易い問題がある。このため、射出成形時における樹脂の流れが不均一になると、意匠面に色調が異なる部分を生じ、外観不良として認識されることになる。 【0007】 このような不均一な樹脂の流れに起因して意匠面に発生する外観不良としては、ウエルドラインやフローマークが挙げられ、これらは着色樹脂以外の一般の樹脂材料でも発生するが、着色樹脂による射出成形品では特に顕著に現われ、外観不良と認識されるケースが増えることから、着色樹脂による無塗装樹脂成形品の製品化には、これらの発生を一層確実に抑制する必要がある。 【0008】 そこで、上記成形不良の発生要因について、具体的な例を挙げて詳細に述べる。 図6〜図8は、自動車のシフトレバー501に取付けられるシフトレバーノブガーニッシュを、従来の一般的な手法により成形したシフトレバーノブガーニッシュ51を示しており、図6(a)は、このシフトレバーノブガーニッシュ51を射出成形した際に意匠面に発生する典型的なウエルドラインWp、WqとフローマークMを示している。 【0009】 一般に、溶融樹脂が射出成形金型のキャビティに注入されるゲートは、成形後に切除の痕跡が残ることから、できるだけ目立たない箇所に設定される。また、意匠面を構成する成形品本体部の意匠裏面に設けられる補強用のリブ等は、本体部よりも薄肉にするのが一般的である。そこで、図6〜図8に示す例では、成形品本体部52に樹脂が確実に充填されるように、端縁部に近い意匠裏面52bにゲート58を設定し、本体部52側からリブ(補強部53)に樹脂が流入するようにしている。 【0010】 しかし、この場合、成形品本体部52のゲートと反対側の意匠面にフローマークMが発生し易い。これは金型内部の意匠面52aに対応した内面に到達する樹脂の流れが噴流状態であることに起因する。後述する図9に示すような捨てボスを伴ったゲートで、通常の成形品では外観不良と認識されないレベルであっても、光輝材を用いた射出成形では色調の差異が認められる。 【0011】 サイドゲートやフィルムゲートのように意匠面と平行な方向に樹脂が注入されるゲートであれば、フローマークは発生しないが、これらのゲートは成形品から切り離した後にその切断面が目立ち易く、製品外観上これらのゲートを採用できない樹脂成形品が数多く存在する。従って、シフトレバーノブガーニッシュのように意匠面の外周も乗員の目に触れる樹脂成形品の場合、前述のように成形品本体部の裏面側から樹脂を注入する必要があり、フローマーク対策が不可欠である。 【0012】 さらに、本体部52の意匠裏面52bに突設された補強部53は、リブ56p、56qと、それらをゲート58寄りの端部において幅方向に連結するリブ57とで構成され、いずれも意匠裏面52bから立設されているが、これらリブ56p、56qおよびリブ57が存在する箇所の成形品本体部52の意匠面52aにおいて、樹脂の流動先端形状が局所的に凹形状となる不均一性を示すことがあり、これがウエルドラインの原因となる。 【0013】 図9(a)〜(d)は、シフトレバーノブガーニッシュ51の実際の射出成形過程を確認するために、意図的にショートショットを行い、樹脂の充填が完了していない4段階の成形品を射出成形した各画像を示したものである。図9の左側の各画像から意匠面の形成過程が観察でき、右側の各画像からは本体部52と補強部53の形成過程が観察できる。(a)は射出成形の開始直後、(d)は終了直前の形成状態を示し、(b)と(c)はそれらの間の過渡的な形成状態を示している。これらのうち、形成過程(c)及び(d)において、樹脂の流動先端形状が局所的に凹形状となっており、図6(a)に示したウエルドラインWp及びWqが発生することがわかる。 【0014】 このように、樹脂成形品を着色樹脂の射出成形にて形成する際に発生するウエルドラインは、形成過程における樹脂の流れに局所的な遅れが生じ、流動先端形状が局所的に凹形状になることで発生する。そこで、樹脂の流れが全体的に均一になり、流動先端の局所的な凹形状の発生を防ぎ、ウエルドラインの発生を抑制でき、かつ、剛性不足などの問題も生じないような形状および構造を備えた樹脂成形品が求められている。 【0015】 【特許文献1】実開平5−53916号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0016】 本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、意匠面を構成する成形品本体部の裏面側に設けた補強構造部の剛性や取付け手段などの機能を損なうことなく、成形品本体部の意匠面側で発生するフローマークやウエルドライン、ヒケ等の外観不良を防止でき、着色樹脂による無塗装樹脂成形、特に光輝材を着色樹脂に添加した射出成形に適した樹脂成形品を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0017】 上記従来技術の有する課題を解決するため、本発明は、意匠面を構成する本体部と、前記本体部の意匠裏面に突設した補強構造部とを備え、それらを射出成形で一体成形してなる樹脂成形品において、 前記補強構造部は、射出成形時の樹脂流動方向に適宜間隔を有し前記樹脂流動と交差する方向に配向された複数の横リブと、前記各横リブと直交して延在し前記各横リブを相互に連結する縦リブとの結合体で構成され、前記各横リブはそれぞれ前記意匠裏面に接続され、そのうち1つの横リブに射出成形のゲート部が設定される一方、前記縦リブは、前記意匠裏面から離間して配設されている。 【0018】 本発明の好適な態様において、前記ゲート部が設定された横リブの肉厚が前記他の横リブの肉厚よりも大きい。また、前記ゲート部が設定された横リブの、前記意匠裏面に接続する部分に、前記意匠裏面側に拡大したフィレット部が設けられている。 【0019】 また、本発明の好適な態様において、前記縦リブの肉厚が前記本体部の肉厚よりも小さく、前記ゲート部が設定された横リブと、それに隣接する他の横リブとの間隔が、前記ゲート部が設定されていない任意の横リブ間の間隔以上に離間している。あるいは、前記1つの横リブから前記本体部を経由して流入固化した樹脂と、前記1つの横リブから前記縦リブを経由して流入固化した樹脂との合流箇所が前記補強構造部にある。 【発明の効果】 【0020】 本発明に係る樹脂成形部品は、上述の通り構成されているので、複数の横リブおよび縦リブによって補強構造部の剛性を確保しながらも、意匠裏面に樹脂の流入方向に沿って延在するリブなど補強構造部が存在せず、成形品本体部の意匠面側で発生するウエルドラインを防止可能であるとともに、射出成形時に前記ゲート部が設定された横リブを経由して本体部に樹脂が流入し、その際に該横リブから縦リブに樹脂が分流して流入速度が低減されることにより、樹脂が噴流状態で意匠面に到達することがなく、フローマークやヒケ等の外観不良を防止でき、着色樹脂による無塗装樹脂成形、特に光輝材を着色樹脂に添加した射出成形に最適である。 【0021】 また、前記ゲート部が設定された横リブの肉厚が前記他の横リブの肉厚よりも大きい態様では、前記ゲート部が設定された横リブを経由して流入する樹脂の流入速度が一層低減されることにより噴流状態が発現せず、フローマークの発生を確実に防止できる。さらに、前記ゲート部が設定された横リブの、前記意匠裏面に接続する部分に、前記意匠裏面側に拡大したフィレット部が設けられている態様では、射出成形時に前記ゲート部が設定された横リブを経由して本体部に樹脂が流入する際に、樹脂の流入速度が減速されるため、本体部の意匠面におけるフローマーク発生を確実に防止できる。 【0022】 前記縦リブの肉厚が前記本体部の肉厚よりも小さく、前記ゲート部が設定された横リブと、それに隣接する他の横リブとの間隔が、前記ゲート部が設定されていない任意の横リブ間の間隔以上に離間している態様では、前記1つの横リブから前記縦リブに流入する樹脂に対して、該横リブから前記本体部に流入する樹脂が先行することにより、前記縦リブから前記他の横リブを経由して前記本体部に樹脂が流入するのが抑制され、意匠面における樹脂の合流によるウエルドラインの発生が防止される。 【0023】 従って、前記1つの横リブから前記本体部を経由して流入固化した樹脂と、前記1つの横リブから前記縦リブを経由して流入固化した樹脂との合流箇所が、前記補強構造部にある態様では、ウエルドラインの発生とそれに伴う外観不良が確実に防止され、高品質の樹脂成形品を得ることができる。 【0024】 本発明は、以上の特徴により、カバーやガーニッシュなど、物品表面の被覆部材、装飾部材として用いる樹脂成形品に最適であり、軽量化や製造コストの低減などが一度に達成できる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0025】 以下、実施の形態に基づいて、本発明を詳細に説明する。 図1(a)は、自動車のシフトレバーノブ101を示し、図において、シフトレバーノブ101には、該シフトレバーノブを部分的に被覆し、装飾体を構成する樹脂成形品のシフトレバーノブガーニッシュ1が取付けられている。シフトレバーノブガーニッシュ1は、図1(b)および図2〜図4に示すように、意匠面2aを構成する本体部2と、その意匠裏面2bに突設した補強構造部3とが、着色樹脂による射出成形で一体成形された樹脂成形品であり、本体部2および補強構造部3は、シフトレバーノブ101の曲面形状に沿って湾曲している。 【0026】 補強構造部3は、本体部2の長手方向と交差する方向、即ち幅方向に配向された4つの横リブ7a、7b、7c、7dと、各横リブ7a、7b、7c、7dと直交して延在し、それらを相互に連結する2つの縦リブ6p、6qとの結合体で構成されている。各横リブ7a、7b、7c、7dは、それぞれ接続部4a、4b、4c、4dにおいて意匠裏面2bに接続されている。これに対して縦リブ6p、6qは意匠裏面2bと離間して配設され、意匠裏面2bとの間に空隙5pa、5pb、5pc、5pd、5qa、5qb、5qc、5qdが形成されている。 【0027】 すなわち、縦リブ6p、6qは、横リブ7aについては連結部3pa、3qa、横リブ7bに対して連結部3pb、3qb、横リブ7cに対して連結部3pc、3qc、横リブ7dに対して連結部3pd、3qdにおいて連結されている。また、各横リブ7a、7b、7c、7dの設置間隔は、上方より、横リブ7aと7bとが間隔Da、7bと7cとが間隔Db、7cと7dが間隔Dcを有して相互に離間されている。そして、4つの横リブのうち、最も上方に位置した横リブ7a(以下、第一横リブという)は、他の横リブ7b、7c、7dよりも肉厚が大きく形成されるとともに、図中上方に位置した面に射出成形時に金型のキャビティ内に樹脂を注入するゲート8が設置されている。 【0028】 図示例のシフトレバーノブガーニッシュ1では、本体部2の肉厚Tは2.0mm乃至3.0mmであり、縦リブ6p、6qの肉厚Tp、Tqは共に1.5mmである。横リブ7aの肉厚Taが3.0mmであるのに対し、他の横リブ7b、7c、7dの肉厚Tb、Tc、Tdは、それぞれ1.0mmである。ゲート8の直径は2.0mmである。 【0029】 なお、補強構造部3は、シフトレバーノブ101への取付け部を兼ねており、補強構造部3の縦リブ6p、6qの側面には、係止爪31、32およびガイド縁33が突設されている。取付けに際しては、補強構造部3をガイド縁33に沿って前進させ、シフトレバーノブ101の取付け箇所(図示せず)嵌入し、係止爪31、32をシフトレバーノブ101の内面に係止する。 【0030】 次に、上記実施形態に基づきシフトレバーノブガーニッシュ1の射出成形時における樹脂の流れに沿って本発明の構成と作用効果との関連について説明する。 【0031】 シフトレバーノブガーニッシュ1の射出成形時において、着色樹脂は射出成形金型のキャビティ内への注入孔であるゲート8から第一横リブ7aを形成するキャビティに流入する(以下「第一横リブ7aに流入する」などという。)。第一横リブ7aに流入した樹脂は、本体部2に沿って流入するルートFa、縦リブ6pに沿って流入するルートFp、及び縦リブ6qに沿って流入するルートFqの三つの流れに分かれる。 【0032】 ルートFaに沿って流入する樹脂は、第一横リブ7aと意匠裏面2bとの接続部4aから本体部2に流入する際に、分流により流量が低減されるため、噴流状態になりにくい。また第一横リブ7aの肉厚Taを他の横リブよりも大きく(例えば3.0mm)することにより、樹脂の本体部への流入流速がより一層低減されることでからも噴流の発現が抑制される。 【0033】 更に、第一横リブ7aと意匠裏面2bとの接続部4aに、意匠裏面2b側に向けて断面円弧状に拡大したフィレット9(隅肉部)を設けることにより、接続部4aが樹脂の流入方向に漸次拡大され、更なる減速効果が得られるとともに、樹脂の流れが円滑になる。これらの構成により接続部4a付近において樹脂の流入速度が低減され、本体部2の意匠面2aにおけるフローマーク発生が防止される。なお、フィレット9の断面形状は円弧状に限定されるものではなく、テーパ状等であっても良い。 【0034】 また肉厚Taを大きくすることは補強構造部3の剛性向上にも寄与する。尚、肉厚Taを通常より大きくし、接続部4aにフィレット9を設けた場合、接続部4aに対向する意匠面2aにおけるヒケの発生が懸念される。しかし、第一横リブ7aにはゲート8が設置され、ゲートが固化するまで加圧されているのでヒケは発生せず、この点も含めて外観上の問題は生じない。 【0035】 三つの流れに分かれた樹脂は、各々のルートで第二横リブ7bに向かう。本体部2を流動するルートFaの樹脂は接続部4bにおいて、縦リブ6pを流動するルートFpの樹脂は連結部3pbにおいて、縦リブ6qを流動するルートFqの樹脂は連結部3qbにおいて、それぞれ第二横リブ7bに到達する。ここで縦リブ6p、6qの肉厚Tp、Tqは1.5mmであり、本体部2の肉厚Tの2.0mm乃至3.0mmに対して小さい。このため本体部2を通るルートFaの樹脂の流れのほうが、縦リブ6p、6qを通るルートFp、Fqの流れよりも速くなる。また、第一横リブ7aと第二横リブ7bとの間隔Daは20mmとDb、Dcよりも大きく設定されている。 【0036】 このため、第一横リブ7aから第二横リブ7bに至る流動距離は、ルートFp、Fqと比較してルートFaが長いのであるが、上記速度差と、その速度差によって距離の増分を挽回できる間隔Daとによって、第二横リブ7bへの樹脂の到達はルートFaを経由した樹脂が一番早くなる。これにより、三つのルートの樹脂の合流箇所は本体部2ではなく、第二横リブ7b内若しくは縦リブ6p、6q内になり、意匠面2aにおける樹脂の合流によるウエルドラインは発生しない。さらに、第二横リブ7bは、樹脂の流動方向と直角方向に配向されているうえ、肉厚Tbも1.0mmと小さく抑えられているため、第二横リブ7bを通過して本体部2内を流動するルートFaの樹脂は、流動先端の形状が凹形状にならずウエルドラインが発生しない。 【0037】 次いで、三つのルートFa、Fp、Fqの樹脂は第三横リブ7cに向かう。本体部2を流動するルートFaの樹脂は接続部4cにおいて、縦リブ6pを流動するルートFpの樹脂は連結部3pcにおいて、縦リブ6qを流動するルートFqの樹脂は連結部3qcにおいてそれぞれ第三横リブ7cに到達する。ここで上述の通り縦リブ6p、6qの肉厚Tp、Tqは1.5mmであり、本体部2の肉厚Tの2.0mm乃至3.0mmに対して小さくなっており、且つ、第二横リブ7bへの到達はルートFaの樹脂が一番早かったことから、必然的に第三横リブ7cへの樹脂の到達は、ルートFaの樹脂が一番早い。第三横リブ7cよりも樹脂の流動下流側の横リブ(第四横リブ7d)についても同様である。 【0038】 従って、第三横リブ7cについては、第二横リブ7bからの間隔Dbを任意に短くして、横リブを複数設置することが可能となり、補強構造部3の剛性確保の要請に応えることができる。本発明品では第二横リブ7b以降の隣接する横リブ間の間隔Db、Dcを10mmとし、第三横リブ7c及び第四横リブ7dの二つの横リブを設置したため補強構造部3の剛性を向上できた。さらにこれら横リブの上を通過するルートFaの樹脂は、上記と同じく、流動先端の形状が凹形状にならずウエルドラインが発生しない。 【0039】 図5は、実施形態のシフトレバーノブガーニッシュ1の実際の形成過程を4段階に分割した「意図的ショートショット」の画像を示す。左側の各画像から意匠面2aの形成過程が観察でき、右側の各画像から本体部2と補強構造部3の形成過程が観察できる。図5の(a)は成形開始直後、(d)は形終了直前の形成状態を示し、(b)及び(c)はそれらの間の過渡的な形成状態を示している。(a)から(d)までの形成過程において、意匠裏面2bに第二横リブ7b、第三横リブ7c、第四横リブ7dの3個の横リブがあるにもかかわらず、意匠面2aの樹脂の流動先端の形状が常に凸形状に維持されているため、ウエルドラインが発生する余地はない。また、樹脂が第一横リブ7aから本体部2へ流入する接続部4aにおいても噴流状態とはならず、フローマークも発生しない。 【0040】 以上のことから、本発明に係わる樹脂成形品は、自動車部品などに取付けたときに外表面となる意匠面を有する成形品本体部と、前記意匠面の裏面に設置された補強構造部とが着色樹脂の射出成形で一体形成され、樹脂の射出成形金型キャビティへの注入孔としてサイドゲートやフィルムゲートを使用できない樹脂成形品であって、補強構造部には成形品本体の補強及び自動車部品への取付けという機能を確保し、意匠面にはウエルドライン及びフローマークの外観不良のない無塗装樹脂成形品を提供できることを示している。 【0041】 なお、上記実施形態においては、補強構造部3が、4つの横リブ7a、7b、7c、7dと、2つの縦リブ6p、6qとの結合体で構成される場合を示したが、横リブおよび縦リブの数はこれに限定されるものではなく、2つの横リブと1つの縦リブの場合を最小構成として、それ以上の範囲で任意に設定できる。また、上記実施形態においては、本体部2が意匠裏面2b側に湾曲した樹脂成形品(1)を示したが、本発明は、本体部が意匠面内で側方(幅方向)に湾曲または屈曲した樹脂成形品としても実施可能であり、その場合、「本体部の長手方向」とは、本体部の長手方向の両端部を直線的に結んだ方向ではなく、本体部の幅方向の中間地点を結ぶ曲線に沿った方向となる。 【0042】 以上、本発明の実施の形態について、自動車のシフトレバーノブガーニッシュに実施する場合を例にとり述べたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、自動車の他の内外装品はもとより、物品の表面を被覆する被覆部材、装飾部材など、意匠面を構成する本体部と、前記本体部の意匠裏面に突設した補強構造部とを備えた樹脂成形品として実施可能であり、その場合に本発明の技術的思想に基づいて各種の変形および変更が可能であることを付言する。 【図面の簡単な説明】 【0043】 【図1】(a)はシフトレバーノブガーニッシュを備えたシフトレバーノブを示す要部概略図、(b)はそのシフトレバーノブガーニッシュを示す斜視図である。 【図2】本発明実施形態に係わるシフトレバーノブガーニッシュを示す斜視図である。 【図3】(a)は本発明実施形態に係わるシフトレバーノブガーニッシュの意匠裏面を示す正面図、(b)はそのA−A断面図である。 【図4】(a)は図3(a)の右側面図、(b)は同左側面図である。 【図5】(a)〜(d)は本発明実施形態に係わるシフトレバーノブガーニッシュの形成過程を示す画像である。 【図6】(a)は従来のシフトレバーノブガーニッシュを備えたシフトレバーノブを示す要部概略図、(b)はそのシフトレバーノブガーニッシュを示す斜視図である。 【図7】(a)は従来のシフトレバーノブガーニッシュの意匠裏面を示す正面図、(b)はそのB−B断面図である。 【図8】(a)は図7(a)の右側面図、(b)は同左側面図である。 【図9】(a)〜(d)は従来の手法に基づくシフトレバーノブガーニッシュの形成過程を示す画像である。 【符号の説明】 【0044】 1 シフトレバーノブガーニッシュ(樹脂成形品) 2 本体部 2a 意匠面 2b 意匠裏面 3 補強構造部 3pa、3qa、3pb、3qb、3pc、3qc、3pd、3qd 連結部 4a、4b、4c、4d 接続部 5pa、5pb、5pc、5pd、5qa、5qb、5qc、5qd 空隙 6p、6q 縦リブ 7a、7b、7c、7d 横リブ 8 ゲート部 9 フィレット Da、Db、Dc 間隔 T、Ta、Tb、Tc、Td、Tp、Tq 肉厚
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002082 【氏名又は名称】スズキ株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年8月28日(2006.8.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100099623 【弁理士】 【氏名又は名称】奥山 尚一
【識別番号】100096769 【弁理士】 【氏名又は名称】有原 幸一
【識別番号】100107319 【弁理士】 【氏名又は名称】松島 鉄男
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| 【公開番号】 |
特開2008−49652(P2008−49652A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月6日(2008.3.6) |
| 【出願番号】 |
特願2006−230411(P2006−230411) |
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