トップ :: B 処理操作 運輸 :: B29 プラスチツクの加工;可塑状態の物質の加工一般




【発明の名称】 溶融樹脂の塗布による成形体の製造装置
【発明者】 【氏名】折出 修

【氏名】東條 貞夫

【要約】 【課題】本発明は、溶融樹脂の可塑化部に吐出部を直結させ、三次元移動架台を用いて吐出部を高精度に移動させて高品質の塗布による成形体を得ることを目的とする。

【構成】本発明による溶融樹脂の塗布による成形体の製造装置は、可塑化部(31)、吐出部(32)および三次元移動架台(33)により構成される塗布装置(3)と、成形装置(4)と、により構成され、塗布装置(3)において、吐出部(32)が可塑化部(31)の先端に直接連結され、吐出部(32)を直接連結された可塑化部(31)が三次元移動架台(33)に設置される構成である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可塑化部(31)、吐出部(32)および三次元移動架台(33)により構成される塗布装置(3)と、前記塗布装置(3)の近傍に配設された成形装置(4)と、により構成され、前記塗布装置(3)においては、前記吐出部(32)が可塑化部(31)の先端に直接連結され、前記吐出部(32)が直接連結された前記可塑化部(31)が前記三次元移動架台(33)に設置されていることを特徴とする溶融樹脂の塗布による成形体の製造装置。
【請求項2】
前記三次元移動架台(33)はX軸移動台(33a)、Y軸移動台(33b)およびZ軸移動台(33c)により構成され、直接連結された前記可塑化部(31)および前記吐出部(32)のX軸方向の重心点の下方付近において、Y軸方向の軸のまわりに回転できる回転支持体(33g)によりZ軸移動台(33c)が支持され、前記吐出部(32)にZ軸方向移動装置(34)が設けられ、Z軸方向移動装置(34)が前記成形装置(4)に設けられたX軸方向案内棒(51)に支持されていることを特徴とする請求項1記載の溶融樹脂の塗布による成形体の製造装置。
【請求項3】
前記Z軸移動台(33c)は、前記回転支持体(33g)からX軸方向の離れた位置において、Z軸方向へ支持する空気シリンダ(33h)を有することを特徴とする請求項2記載の溶融樹脂の塗布による成形体の製造装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融樹脂の塗布による成形体の製造装置に関し、金型の一方の微小凹凸を有する固定金型の表面に溶融状態の熱可塑性樹脂原料を高精度に塗布し、その後に金型を閉じて成形体を製造する成形体の製造装置に関し、特に、溶融樹脂の可塑化部に吐出部を直結させ、これらを10〜100μm単位の位置精度を有する三次元移動架台を用いて塗布することにより品質及び生産性の向上を得るための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、次のような製品(部品)は、金型の一方の固定金型表面に溶融状態の熱可塑性樹脂原料を塗布し、その後、金型を閉じて成形することにより、製造されている。
【0003】
(a)マイクロレンズアレイ、液晶用導光板、フレキシブルディスプレイ基板、波長板、反射板、位相差板、自由曲面ミラー、LED発光パネル、フレネルレンズなどの電子ディスプレイ分野の基幹部品
(b)フレキシブルポリマー製光導波路、自由曲面回析格子、二次元イメージセンサアレイ、ピックアップレンズ、ホログラム、フレキシブル導波路型照明板などの光通信分野の基幹部品
(c)次世代DVDおよびそのカバー層、DVD、CD、超薄肉ICカードなどの光記録媒体分野の基幹部品
(d)集積化学チップ、DNAチップ、バイオチップ、プロテインチップ、マイクロ流体デバイス、環境分析チップなどのライフサイエンス分野の基幹部品
(e)燃料電池セパレータ、携帯電話超薄肉バッテリーケース、太陽光集光フレネルレンズなどの新エネルギー分野の基幹部品
【0004】
これらの基幹部品となる成形体は、サブミクロンメートル単位の非常に微細な凹凸形状が表面に形成されるとともに、三次元における高い寸法精度、薄肉、大きな表面積のものが要求されている。
【0005】
このような溶融樹脂の塗布による成形体の製造装置について、特許文献1に示されるものがある。この特許文献1に示される成形体の製造装置を図6により説明する。図6において、符号1で示されるものは溶融樹脂の塗布による成形体の製造装置(以下の記述において、「製造装置」と略称する。)であり、製造装置1は塗布装置3および成形装置4により構成されている。塗布装置3はさらに可塑化部31、吐出部32、連結管35および三次元移動架台33により構成されている。すなわち、塗布装置3は、可塑化部31と吐出部32とが分離独立して配置され、吐出部32が三次元移動架台33に設置され、可塑化部31と吐出部32との間を連結管35により連結して構成されている。通常、可塑化部31は固定状態で設置され、三次元移動架台33に設置された吐出部32は三次元的に移動するので、連結管35は可撓性を備えている。この可塑化部31の先端部には下方に開口するリップ部32aが形成されている。
【0006】
前記三次元移動架台33は、設置された前記吐出部32が三次元方向へ移動することができるように構成されている。すなわち、三次元移動架台33は、下部架台33j、下部架台33jに設置されたZ軸(水平面に対する上下方向)駆動装置33f、Z軸駆動装置33fに連結されたZ軸移動台33c、Z軸移動台33cに設置されたY軸(吐出部32が成形装置4に対面した場合の左右方向)駆動装置33e、Y軸駆動装置33eに連結されたY軸移動台33b、Y軸移動台33bに設置されたX軸(吐出部32が成形装置4に対面した場合の前後方向)駆動装置33dおよびX軸駆動装置33dに連結されたX軸移動台33aが、順次上方へ配置して構成されている。前記下部架台33jは連結部材33kにより前記成形装置4に連結され、X軸移動台33aに前記吐出部32が接続されている。前記X軸駆動装置33dを駆動することにより、吐出部32の前記リップ部32aが前進および後退し、前記成形装置4内へ前進および外部へ後退し、後述する固定金型47aの表面に沿って往復移動ができるように構成されている。
【0007】
前記成形装置4は、竪型のプレス成形装置であり、下部架台41、下部固定盤42、可動盤44、上部固定盤43、4本のガイド棒45および可動盤駆動装置46を、順次下から上方へ配置して構成されている。ほぼ矩形形状の厚板材を水平に配置された下部固定盤42、可動盤44および上部固定盤43は、その4隅にガイド棒45が上下方向へ貫通されている。ガイド棒45の両端部において下部固定盤42および上部固定盤43が固定され、その間を可動盤44が上下方向へ移動できるように、上部固定盤43に設置された可動盤駆動装置46のピストン棒の先端に可動盤44が連結されている。前記下部固定盤42と可動盤44との対向する面には金型47が設置され、下部固定盤42に一方の固定金型47a、可動盤44に他方の可動金型47bが固定されている。この金型47には、本体から分離して配置された剥離装置48が連結されている。
【0008】
以上のように構成された製造装置1において、成形体は以下のように製造される。すなわち、前記塗布装置3および成形装置4の全ての機器が調整され、熱可塑性樹脂原料が供給され、運転ができる状態になった時点で、まず、吐出部32のリップ部32aの位置の調整を行う。すなわち、成形装置4の金型47を開き、三次元移動架台33のX軸駆動装置33d、Y軸駆動装置33eおよびZ軸駆動装置33fを適宜に作動させ、吐出部32のリップ部32aを前進(X軸方向)させる。リップ部32aの先端(下端)が固定金型47aのキャビティ表面の所定(成形面)位置および所定距離を所定の隙間を維持して後退する状態を実現し、その運転条件を設定する。
【0009】
次に、成形装置4の金型47が開いた状態で、三次元移動架台33を作動させ、固定金型47aの向う側の成形端まで吐出部32のリップ部32aを前進させる。次に、可塑化部31から連結管35を経て吐出部32へ供給される溶融状態の熱可塑性樹脂原料をリップ部32aから吐出させる。このリップ部32aを、所定の隙間を維持して所定距離(手前側成形端まで)を後退させる。所定距離(手前側成形端まで)を後退した時点で、熱可塑性樹脂原料の吐出を停止する。前記吐出部32の先端が少なくとも金型47の外部に到達するまでさらに後退し、後退を停止する。以上の動作により、吐出部32のリップ部32aが固定金型47aの向う側成形端から所定距離(手前側成形端まで)後退する間に、リップ部32aから吐出される溶融状態の熱可塑性樹脂原料が固定金型47aの多数の微小凹凸を有する成形面に膜状に塗布される。
【0010】
次に、成形装置4において、可動盤駆動装置46を作動させ、可動盤44を下降させて可動金型47bを固定金型47aに合せ、金型47を閉じた状態で、所定押付け力および所定時間プレス成形する。その後、剥離装置48を作動させつつ、可動盤駆動装置46を作動させて可動盤44を上昇させる。この可動盤44の上昇に伴って可動金型47bが上昇し、金型47が開く。開いた金型47から剥離した成形体を取り出し、成形体の製造が完了する。
【0011】
前記成形装置4の金型47が開いた状態で、吐出部32のリップ部32aを前進させる操作から、開いた金型47から剥離した成形体を取り出す操作までを繰返すことにより、成形体が繰り返し製造される。
【0012】
【特許文献1】特開2006−56107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来の製造装置は以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。すなわち、製造装置を構成する塗布装置がさらに可塑化部と吐出部とに分離され、両部の間が可撓性を備えた連結管により連結して構成されているため、溶融状態の熱可塑性樹脂原料は温度変化に鋭敏であり、物性が容易に変化することになっていた。また、従来の構成における連結管は温度管理が困難であり、熱可塑性樹脂原料が連結管を通過する際、物性の劣化や滞留を起こしやすいことなどから、成形体の製品品質にバラツキが発生し、生産性が低下することがある。
【0014】
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、特に、溶融樹脂の可塑化部と吐出部を直結させ、これらを高精度の3軸テーブルを用いて塗布することにより、成形体の製品品質のバラツキを抑え、生産性を低下させることのない溶融樹脂の塗布による成形体の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明による溶融樹脂の塗布による成形体の製造装置は、可塑化部、吐出部および三次元移動架台により構成される塗布装置と、前記塗布装置の近傍に配設された成形装置と、により構成され、塗布装置においては、前記吐出部が可塑化部の先端に直接連結され、前記吐出部が直接連結された前記可塑化部が前記三次元移動架台に設置されている構成であり、また、前記三次元移動架台はX軸移動台、Y軸移動台およびZ軸移動台により構成され、直接連結された前記可塑化部および前記吐出部のX軸方向の重心点の下方付近において、Y軸方向の軸のまわりに回転できる回転支持体によりZ軸移動台が支持され、前記吐出部にZ軸方向移動装置が設けられ、Z軸方向移動装置が前記成形装置に設けられたX軸方向案内棒に沿って移動できるように支持されている構成であり、また、前記Z軸移動台は、前記回転支持体からX軸方向の離れた位置において、Z軸方向へ支持する空気シリンダを有する構成である。
【発明の効果】
【0016】
本発明による溶融樹脂の塗布による成形体の製造装置は以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。すなわち、製造装置が、可塑化部、吐出部および三次元移動架台により構成される塗布装置と、成形装置とにより構成され、塗布装置において、吐出部が可塑化部の先端に直接連結され、吐出部を直接連結された可塑化部が三次元移動架台に設置されていることにより、溶融状態の熱可塑性樹脂原料が可塑化部から吐出部へ直接供給され吐出される。その結果、熱可塑性樹脂原料は物性が劣化せず、滞留することがなくなる。その結果、成形体の製品品質のバラツキの発生が抑えられ、生産性を低下させることがなくなる。
【0017】
また、前記三次元移動架台がX軸移動台、Y軸移動台およびZ軸移動台により構成され、直接連結された前記可塑化部および前記吐出部のX軸方向の重心点の下方付近において、Y軸方向の軸のまわりに回転できる回転支持体によりZ軸移動台が支持され、吐出部にZ軸方向移動装置が設けられ、Z軸方向移動装置が前記成形装置に設けられたX軸方向案内棒に沿って移動できるように支持される、そのように構成されていることにより、重量が十数倍に大きくなった移動対象物に対し、吐出部の近傍に配置されたZ軸方向移動装置に作用する荷重が非常に小さくなる。その結果、吐出部におけるZ軸方向およびX軸方向の位置制御(10〜100μmレベル)が容易に行えるようになる。
【0018】
また、前記Z軸移動台が、前記回転支持体からX軸方向の離れた位置において、Z軸方向へ支持する空気シリンダを設けて構成されていることにより、Z軸移動台が弾性的に支持される。その結果、連結された可塑化部および吐出部における運転中の重量バランスの変化を緩衝し、三次元移動架台の構成機器および部材のバックラッシュを相殺し、運転時の精度すなわち製品の精度を確保することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、可塑化部に吐出部32を直接結合させ、熱可塑性樹脂原料を高精度に塗布し、高精度の膜状の成形品を得るようにした溶融樹脂の塗布による成形体の製造装置を提供することを目的とする。
【実施例】
【0020】
以下、図面と共に本発明による製造装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、従来例と同一あるいは同等部分については、同一符号を用いて説明する。図1において、符号1で示されるものは製造装置であり、この製造装置1は塗布装置3および成形装置4により構成され、共通架台2上に並べて設置されている。この塗布装置3は、さらに可塑化部31、吐出部32および三次元移動架台33により構成されている。すなわち、この塗布装置3は、三次元移動架台33が共通架台2に設置され、可塑化部31が三次元移動架台33に設置され、吐出部32が可塑化部31の先端(図の右端)に直接連結して構成されている。この吐出部32の先端部には下方に開口するリップ部32aが形成されている。この塗布装置3と成形装置4とは、塗布装置3の軸芯方向(X軸方向:図の左右方向)における吐出部32の先端側に成形装置4が位置するように配置されている。
【0021】
前記三次元移動架台33は、設置された前記吐出部32が三次元方向へ移動できるように構成されている。すなわち、三次元移動架台33は、X軸移動台33a、Y軸移動台33bおよびZ軸回転移動台33cにより構成されている。前記X軸移動台33aは、周知の手段によるX軸駆動装置33dによりX軸方向(図の左右方向)へ直線的に往復移動できるように前記共通架台2に支持されている。前記Z軸移動台33cは、X軸方向の2箇所において、回転支持体33gおよび空気シリンダ33hを介してX軸移動台33aに支持されている。前記Y軸移動台33bは、Y軸駆動装置33eによりY軸方向(紙面に鉛直な方向)へ直線的に往復移動できるように、Z軸移動台33cのX軸方向両端部においてY軸方向に設けられた2本の軸(図示せず)により支持されている。前記Y軸移動台33bには、前記可塑化部31が、その軸芯をX軸方向に一致させて設置されている。回転支持体33gは、少なくともZ軸移動台33c、Y軸移動台33bおよび吐出部32を連結された可塑化部31により構成される部分のX軸方向における重心点の下方付近において、この部分がY軸のまわりに往復回転できるように、Z軸移動台33cを支持している。
【0022】
また、前記Y軸移動台33bからX軸方向前方へ突出する前記吐出部32に、Z軸方向移動装置34が設けられ、その下部が後述するX軸方向案内棒51に支持されている。
【0023】
前記成形装置4は、従来と同様の竪型のプレス成形装置であり、下部架台41、下部固定盤42、可動盤44、上部固定盤43、4本のガイド棒45および可動盤駆動装置46を、順次下から上方へ配置して構成されている。ほぼ矩形形状の厚板を水平に配置された下部固定盤42、可動盤44および上部固定盤43は、その4隅にガイド棒45が貫通し、このガイド棒45の両端部において下部固定盤42および上部固定盤43固定され、その間を可動盤44が上下方向へ移動できるように、すなわち、上部固定盤43に設置された可動盤駆動装置46のピストン棒の先端に可動盤44が連結されている。前記下部固定盤42と可動盤44との対向する面には、下部固定盤42側に固定金型47a、可動盤44側に可動金型47bが設置され、固定金型47aおよび可動金型47bにより金型47が構成されている。上部固定盤43には、運転・制御装置49が設けられている。また、金型47には、成形装置4の本体から分離して配置される図示しない従来と同様の剥離装置が連結されている。
【0024】
前記成形装置4の下部固定盤42には、前記塗布装置3側の側端面に、塗布装置3の方向(X軸方向)へ向う支持台50が設けられている。前記下部固定盤42および支持台50の上面には、Y軸方向の一方の側あるいは両側に、前記X軸方向案内棒51が、X軸方向へ水平に設けられている。このX軸方向案内棒51は、前記吐出部32に設けられた前記Z軸方向移動装置34の下部を支持すると共に案内し、前記Z軸方向移動装置34がX軸方向へ直線的に往復移動できるように構成されている。
【0025】
前記X軸方向案内棒51は、図2〜図4に一部の例を示すように、成形体の大きさすなわち前記金型47の平面的な大きさにより、種々に構成されている。すなわち、図2では成形体が小さい場合の構成であり、一方の側に1本のX軸方向案内棒51を設けた構成、図4では、成形体が大きい場合の構成であり、両側にそれぞれ1本のX軸方向案内棒51を設けた構成、図3では、中間的な構成であり、一方の側に2本のX軸方向案内棒51を設けた構成をそれぞれ示している。前記吐出部32のリップ部32aから前記固定金型47aの成形面に吐出される熱可塑性樹脂原料の反力により、リップ部32aが浮き上がる、すなわちリップ部32aと固定金型47aの成形面との隙間が変化するので、これを防止する必要がある。従って、金型47の平面的な大きさすなわちリップ部32aのリップ幅の広さにより、X軸方向案内棒51の適宜の構成が選択される。従って、案内棒51の形状のみの変更により、塗布装置3のサイズアップに対応できる。
【0026】
以上のように構成された製造装置1において、成形体は以下のように製造される。すなわち、塗布装置3および成形装置4の全ての機器が調整され、熱可塑性樹脂原料が供給され、運転ができる状態になった時点で、まず、吐出部32のリップ部32aの位置の調整を行う。すなわち、成形装置4の金型47が開いた状態で、三次元移動架台33のX軸駆動装置33d、Y軸駆動装置33eおよびZ軸方向移動装置34を適宜に作動させ、吐出部32のリップ部32aを前進(X軸方向)させた後、リップ部32aの先端(下端)が固定金型47aの表面の所定(成形面)位置および所定距離を所定の隙間を維持して後退する状態を実現し、その運転条件を設定する。
【0027】
前記リップ部32aの位置の調整に際し、X軸方向については、X軸移動台33aがX軸駆動装置33dによりX軸方向へ、Y軸方向については、Y軸移動台33bがY軸駆動装置33eによりY軸方向へ、それぞれ直線的に往復移動して調整される。Z軸方向については、Z軸方向移動装置34により、吐出部32およびY軸移動台33bの先端部を介して、回転支持体33gに支持されたZ軸移動台33cが、回転支持体33gの支持点(支持軸)において、往復回転(俯仰)するため、図5で示すように、Z方向移動となる。
【0028】
次に、成形装置4の金型47が開いた状態で、三次元移動架台33を作動させて固定金型47aの成形端まで吐出部32のリップ部32aを前進させ、可塑化部31から吐出部32へ供給された溶融状態の熱可塑性樹脂原料をリップ部32aから吐出しながら、所定の隙間を維持して所定距離を後退する。所定距離を後退した時点で熱可塑性樹脂原料の吐出を停止し、吐出部32の先端が少なくとも金型47の外部に到達するまでさらに後退し、停止する。すなわち、吐出部32のリップ部32aが固定金型47aの成形端から手前側まで後退する間に、リップ部32aから吐出される溶融状態の熱可塑性樹脂原料が固定金型47aの成形面に膜状に塗布される。
【0029】
さらに、成形装置4において、運転・制御装置49を操作し、可動盤駆動装置46を作動させて可動盤44を降下させると、可動金型47bが降下して固定金型47aと重合し、金型47が閉じる。この金型47が閉じた状態で、所定押付け力および所定時間によるプレス成形を行う。その後、図示しない剥離装置を作動させながら、可動盤駆動装置46を作動させて可動盤44上昇させる。可動盤44の上昇に伴って可動金型47bが上昇し、金型47が開く。開いた金型47から剥離した成形体を取り出し、成形体の製造が完了する。
【0030】
以上の成形体の製造時において、可塑化部31、吐出部32およびこれ等に付属する機器等の重量が、そのX軸方向における重心点の下方付近において、回転支持体33gにより支持され、その部分が回転支持体33gのY軸のまわりに往復回転できるように構成されている。従って、吐出部32に設けられているZ軸方向移動装置34には、Z軸方向の小さい荷重しかかからない。その結果、吐出部32の先端部すなわちリップ部32aのZ軸方向の位置を、小さな動力で容易に移動し、制御することができる。また、Z軸方向移動装置34を案内するX軸方向案内棒51にも小さな荷重しかかからず、隙間精度の高い容易な案内が行われる。従って、実験の結果、X軸方向及びY軸方向で100μm、Z軸方向で10μmの許容範囲内で位置制御することが可能となった。
【0031】
また、X軸移動台33aのX軸方向において、回転支持体33gに平行して設けられ、Z軸移動台33cを支持する空気シリンダ33hは、運転中の重量バランスの変化を弾性的に支持して緩衝する。また、空気シリンダ33hは三次元移動架台33を構成する機器および部材ならびに関連機器間のバックラッシュを吸収し相殺する。その結果、製造装置1全体の滑らかな、安定した運転ができ、高い品質の成形体を効率よく製造することができる。
【0032】
従って、前述の三次元移動架台33による位置制御機構は、俯仰(Z軸)の円弧運動を、塗布装置3のX軸の直線運動と組み合わせているため、吐出部32の上下方向軌跡を擬似直線動作させることができる。
【0033】
また、本出願人が実施した例について述べると、アクリル樹脂又はポリスチレン樹脂を用いると、可塑化温度は300℃以上、成形された樹脂製品は、数百nmからの微細凹凸形状を正確に転写した成形品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による塗布による成形体の製造装置について、一部を破断して示す製造装置の概略正面図である。
【図2】本発明による塗布による成形体の製造装置におけるX軸方向案内棒の応用例を示す平面図であり、成形体が小さい場合の構成図である。
【図3】図2の成形体が中間的な大きさの場合の構成図である。
【図4】図2の成形体が大きい場合の構成図である。
【図5】図1の作用を示す等価図である。
【図6】従来の塗布による成形体の製造装置を示す正面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 製造装置
2 共通架台
3 塗布装置
4 成形装置
31 可塑化部
32 吐出部
32a リップ部
33 三次元移動架台
33a X軸移動台
33b Y軸移動台
33c Z軸移動台
33d X軸駆動装置
33e Y軸駆動装置
33f Z軸駆動装置
33g 回転支持体
33h 空気シリンダ
33j 下部架台
33k 連結部材
34 Z軸方向移動装置
35 連結管
41 下部架台
42 下部固定盤
43 上部固定盤
44 可動盤
45 ガイド棒
46 可動盤駆動装置
47 金型
47a 固定金型
47b 可動金型
48 剥離装置
49 運転・制御装置
50 支持台
51 X軸方向案内棒
【出願人】 【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
【出願日】 平成18年8月28日(2006.8.28)
【代理人】 【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治

【識別番号】100084010
【弁理士】
【氏名又は名称】古川 秀利

【識別番号】100094695
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 憲七

【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順


【公開番号】 特開2008−49646(P2008−49646A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−230283(P2006−230283)