| 【発明の名称】 |
スライド型および金型 |
| 【発明者】 |
【氏名】竹元 通則
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| 【要約】 |
【課題】小形で構造が簡単なスライド型および金型を提供する。
【構成】2色成形の第1の成形工程において、第1の金型と第2の金型7で成形体を成形する際に、第1の金型に設けられた押動片で第2の金型に設けられたスライド片8の傾斜面10aを押動してスライド片8を成形位置にスライドさせる。第2の成形工程において、第2の金型7に第3の金型2を型閉じして第2の金型7に保持された前記成形体上に別の材料を成形する。その型開き時に、第3の金型2に設けられた引き戻し片6の傾斜面16でスライド片8を成形位置から引き戻す。この場合、第2の金型7の型閉じ動作で引き戻し片6の先端の乗り越え部18により弾性変形する弾性突起手段17を第2の金型7に設け、型開き動作では弾性突起手段17は引き戻し片6の傾斜面16によって押されるが弾性変形できない方向であるのでスライド片8が後退する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1の成形面を有する第1の金型と、前記第1の成形面との間に第1の成形材料を注入する第1の空隙を形成する第2の成形面を有し第1の型開き時に前記空隙に成形された成形体を保持する第2の金型と、前記成形体を保持した前記第2の金型の前記成形体との間に第2の成形材料を注入する第2の空隙を形成する第3の成形面を有する第3の金型とで構成された金型に用いられるスライド型であって、 前記第1の金型と前記第2の金型が閉じる第1の型閉じ時の型閉じ動作方向と交差する方向にスライド自在に前記第2の金型に設けられるものであって、前記第1の型閉じ時に成形位置に移動してスライド片空隙を形成するスライド片成形面を有するとともに、第1の受け部および第2の受け部を有するスライド片と、 前記第1の金型に設けられて前記第1の型閉じ時に前記第1の受け部に対向する押動片と、 前記第3の金型に設けられて前記第2の金型と前記第3の金型が閉じる第2の型閉じ時に前記第2の受け部に対向する引き戻し片とを備え、 前記第1の受け部と前記押動片の少なくとも一方は、前記第1の型閉じ時の型閉じ動作で前記押動片が前記第1の受け部に摺接して、前記成形位置に前記スライド片をスライドさせる第1の傾斜面を有し、 前記第2の受け部と前記引き戻し片の一方は弾性突起手段を有し、その他方は前記第2の型閉じ時の型閉じ動作で、前記弾性突起手段が乗り越える乗り越え部と、前記弾性突起手段が前記乗り越え部を乗り越えて摺接する第2の傾斜面とを有し、 前記第2の傾斜面は、前記第2の金型と前記第3の金型が開く第2の型開き時の型開き動作で前記弾性突起手段が前記第2の傾斜面を摺動することにより前記スライド片を前記成形位置から引き戻すことができるように傾斜し、 前記弾性突起手段は、前記第2の型閉じ時の型閉じ動作で前記乗り越え部が乗り越えできるように弾性変形するが、前記第2の型開き時の型開き動作で、前記弾性突起手段が前記第2の傾斜面を摺動するときには弾性変形できないように構成されたスライド型。 【請求項2】 前記第1の受け部および前記第2の受け部は共通の溝に設けられ、前記押動片および前記引き戻し片は前記溝内に進入できる突起であり、 前記第1の傾斜面は前記第1の受け部および前記押動片の両方に設けられ、前記第1の受け部の前記第1の傾斜面は前記溝のスライド片成形面に近い側面により形成され、 前記乗り越え部および前記第2の傾斜面は前記引き戻し片に形成され、前記弾性突起手段は前記溝のスライド片成形面から遠い側面に突出するように構成された請求項1記載のスライド型。 【請求項3】 第1の成形面を有する第1の金型と、 前記第1の成形面との間に第1の成形材料を注入する第1の空隙を形成する第2の成形面を有し第1の型開き時に前記空隙に成形された成形体を保持する第2の金型と、 前記成形体を保持した前記第2の金型の前記成形体との間に第2の成形材料を注入する第2の空隙を形成する第3の成形面を有する第3の金型と、 前記第1の金型と前記第2の金型が閉じる第1の型閉じ時の型閉じ動作方向と交差する方向にスライド自在に前記第2の金型に設けられるものであって、前記第1の型閉じ時に成形位置に移動してスライド片空隙を形成するスライド片成形面を有するとともに、第1の受け部および第2の受け部を有するスライド片と、 前記第1の金型に設けられて前記第1の型閉じ時に前記第1の受け部に対向する押動片と、 前記第3の金型に設けられて前記第2の金型と前記第3の金型が閉じる第2の型閉じ時に前記第2の受け部に対向する引き戻し片とを備え、 前記第1の受け部と前記押動片の少なくとも一方は、前記第1の型閉じ時の型閉じ動作で前記押動片が前記第1の受け部に摺接して、前記成形位置に前記スライド片をスライドさせる第1の傾斜面を有し、 前記第2の受け部と前記引き戻し片の一方は弾性突起手段を有し、その他方は前記第2の型閉じ時の型閉じ動作で、前記弾性突起手段が乗り越える乗り越え部と、前記弾性突起手段が前記乗り越え部を乗り越えて摺接する第2の傾斜面とを有し、 前記第2の傾斜面は、前記第2の金型と前記第3の金型が開く第2の型開き時の型開き動作で前記弾性突起手段が前記第2の傾斜面を摺動することにより前記スライド片を前記成形位置から引き戻すことができるように傾斜し、 前記弾性突起手段は、前記第2の型閉じ時の型閉じ動作で前記乗り越え部が乗り越えできるように弾性変形するが、前記第2の型開き時の型開き動作で、前記弾性突起手段が前記第2の傾斜面を摺動するときには弾性変形できないように構成された金型。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 この発明は、たとえば2色成形などに使用されるスライド型およびそれを適用した金型に関するものである。 【背景技術】 【0002】 たとえば自動車の計器の周縁に装着する化粧枠を2色成形する場合、第1の成形工程では第1の成形材料を用いて計器の周縁を囲むリング部と、そのリング部を計器設置面に取付けるための取付爪とを成形し、第2の成形工程で第2の成形材料をリング部上に成形する。 【0003】 この場合、第1の成形工程では取付爪の成形にスライドコアなどのスライド型を使用することがある。とくにスライド型が第2の成形工程における成形面の一部を構成するときなどにおいて、第1の成形工程で取付爪を成形した後もスライド型を取付爪から離すことなく、第2の成形工程に移行し、第2の成形工程後にスライド型を取付爪から離すようにしている。第1の成形工程後にスライド型を取付爪から一旦離し、第2の成形時に再度取付爪にスライド型を移動させる場合、取付爪がスライド型の成形面の縁で削られ、その削り粉が成形体のリング部などに付着した状態で第2の成形工程が行われるため、成形品の品質が低下する。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 従来の2色成形に用いられるスライドコアは構造が複雑で大形であった。またスライドコアは取付爪の数だけ金型に設ける必要がある。このためスライドコアを使用することができる成形品の形状が限定されたり、小形の成形品にこのスライド型を使用することがでなかった。また金型上の占有面積が増大し金型が大型化するという課題があった。 【0005】 したがって、この発明の目的は、小形で構造が簡単なスライド型および金型を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0006】 この発明のスライド型は、第1の成形面を有する第1の金型と、前記第1の成形面との間に第1の成形材料を注入する第1の空隙を形成する第2の成形面を有し第1の型開き時に前記空隙に成形された成形体を保持する第2の金型と、前記成形体を保持した前記第2の金型の前記成形体との間に第2の成形材料を注入する第2の空隙を形成する第3の成形面を有する第3の金型とで構成された金型に用いられるスライド型であって、 前記第1の金型と前記第2の金型が閉じる第1の型閉じ時の型閉じ動作方向と交差する方向にスライド自在に前記第2の金型に設けられるものであって、前記第1の型閉じ時に成形位置に移動してスライド片空隙を形成するスライド片成形面を有するとともに、第1の受け部および第2の受け部を有するスライド片と、 前記第1の金型に設けられて前記第1の型閉じ時に前記第1の受け部に対向する押動片と、 前記第3の金型に設けられて前記第2の金型と前記第3の金型が閉じる第2の型閉じ時に前記第2の受け部に対向する引き戻し片とを備え、 前記第1の受け部と前記押動片の少なくとも一方は、前記第1の型閉じ時の型閉じ動作で前記押動片が前記第1の受け部に摺接して、前記成形位置に前記スライド片をスライドさせる第1の傾斜面を有し、 前記第2の受け部と前記引き戻し片の一方は弾性突起手段を有し、その他方は前記第2の型閉じ時の型閉じ動作で、前記弾性突起手段が乗り越える乗り越え部と、前記弾性突起手段が前記乗り越え部を乗り越えて摺接する第2の傾斜面とを有し、 前記第2の傾斜面は、前記第2の金型と前記第3の金型が開く第2の型開き時の型開き動作で前記弾性突起手段が前記第2の傾斜面を摺動することにより前記スライド片を前記成形位置から引き戻すことができるように傾斜し、 前記弾性突起手段は、前記第2の型閉じ時の型閉じ動作で前記乗り越え部が乗り越えできるように弾性変形するが、前記第2の型開き時の型開き動作で、前記弾性突起手段が前記第2の傾斜面を摺動するときには弾性変形できないように構成されたものである。 【0007】 上記構成において、前記第1の受け部および前記第2の受け部は共通の溝に設けられ、前記押動片および前記引き戻し片は前記溝内に進入できる突起であり、 前記第1の傾斜面は前記第1の受け部および前記押動片の両方に設けられ、前記第1の受け部の前記第1の傾斜面は前記溝のスライド片成形面に近い側面により形成され、 前記乗り越え部および前記第2の傾斜面は前記引き戻し片に形成され、前記弾性突起手段は前記溝のスライド片成形面から遠い側面に突出するように構成されている。 【0008】 この発明の金型は、第1の成形面を有する第1の金型と、 前記第1の成形面との間に第1の成形材料を注入する第1の空隙を形成する第2の成形面を有し第1の型開き時に前記空隙に成形された成形体を保持する第2の金型と、 前記成形体を保持した前記第2の金型の前記成形体との間に第2の成形材料を注入する第2の空隙を形成する第3の成形面を有する第3の金型と、 前記第1の金型と前記第2の金型が閉じる第1の型閉じ時の型閉じ動作方向と交差する方向にスライド自在に前記第2の金型に設けられるものであって、前記第1の型閉じ時に成形位置に移動してスライド片空隙を形成するスライド片成形面を有するとともに、第1の受け部および第2の受け部を有するスライド片と、 前記第1の金型に設けられて前記第1の型閉じ時に前記第1の受け部に対向する押動片と、 前記第3の金型に設けられて前記第2の金型と前記第3の金型が閉じる第2の型閉じ時に前記第2の受け部に対向する引き戻し片とを備え、 前記第1の受け部と前記押動片の少なくとも一方は、前記第1の型閉じ時の型閉じ動作で前記押動片が前記第1の受け部に摺接して、前記成形位置に前記スライド片をスライドさせる第1の傾斜面を有し、 前記第2の受け部と前記引き戻し片の一方は弾性突起手段を有し、その他方は前記第2の型閉じ時の型閉じ動作で、前記弾性突起手段が乗り越える乗り越え部と、前記弾性突起手段が前記乗り越え部を乗り越えて摺接する第2の傾斜面とを有し、 前記第2の傾斜面は、前記第2の金型と前記第3の金型が開く第2の型開き時の型開き動作で前記弾性突起手段が前記第2の傾斜面を摺動することにより前記スライド片を前記成形位置から引き戻すことができるように傾斜し、 前記弾性突起手段は、前記第2の型閉じ時の型閉じ動作で前記乗り越え部が乗り越えできるように弾性変形するが、前記第2の型開き時の型開き動作で、前記弾性突起手段が前記第2の傾斜面を摺動するときには弾性変形できないように構成されたものである。 【発明の効果】 【0009】 この発明のスライド型によれば、第1の金具と第2の金具の型閉じ時に押動片と第1の受け部が係合し第1の傾斜面を摺動することによりスライド片を成形位置に移動させ、型開き時にはスライド片をその成形位置に止め、つぎに第2の金具と第3の金具の型閉じ時に乗り越え部が弾性突起手段を弾性変形させて乗り越え、型開き時に第2の傾斜面を弾性突起手段が摺動するとき、弾性突起手段が弾性変形しないでスライド片が成形位置から離れるように引き戻される。このように、第1の成形工程においてスライド型を押動片で押して成形位置にスライドし、第2の成形工程において引き戻し片で弾性突起手段を介して引き戻す構成であるため、簡単な構成でかつ小形化することができる。 【0010】 第1の受け部と第2の受け部を共通の溝の両側面に形成することにより、スライド型をより小形化することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0011】 この発明の第1の実施の形態の金型を図1から図16により説明する。成形対象は、自動車の運転席に設置された計器の周縁に装着される化粧枠であり、2色成形する。化粧枠の構造は、大小2個並んだ計器に対応した略だるま形の2連リング状であり、断面は逆V字形をなしその頂部が表面側となり反対側に複数の取付爪が突設され、周面が2色成形されている。取付爪を計器の周縁に形成した取付穴に係止することで化粧枠が装着される。 【0012】 図1は固定型を示している。1は第1の成形工程に使用する第1の金型、2は第2の成形工程に使用する第3の金型であり、第1の金型1に対して一定距離をおいて並んでいる。3は第1の金型1の第1の成形面、4は第3の金型2の第3の成形面であり、それぞれ断面略V字形の凹みで略だるま形に形成されているが断面形状は後者の方が2色成形のため若干大きい。5は後述のスライド片8を第1の成形工程における型閉じ時に成形位置に移動させる押動片、6はスライド片8を第2の成形工程における型開き時に成形位置から引き戻す引き戻し片であり、押動片5と引き戻し片6はそれぞれ9個ある。第1の成形面3と第3の成形面4は略だるま形状に関して点対称となっており、押動片5と引き戻し片6の金型上の位置も点対称となっている。 【0013】 図2は、固定型に対する可動型を示している。7は第1の成形工程において第1の金型1に対して型閉じ型開きし、第2の成形工程において第3の金型2に対して型閉じ方開きする第2の金型である。8は計器の周縁に形成された取付穴に係止する取付爪を化粧枠の裏側に突設するように成形するためのスライド片であり、押動片5および引き戻し片6に対応して9個ある。12は第2の金型7の第2の成形面であり、第1の成形面3に嵌まる断面略山形の凸をなして略だるま形に形成されている。スライド片8、押動片5および引き戻し片6でスライド型すなわちスライドコアを構成している。スライド片8は後述のコア片40を保持する保持体の役割をする。7'は第1の成形工程後に第2の金型7が第1の金型1と第3の金型2の相互間距離を直径とする半径で同一平面上で180度回動した状態であり、第3の金型2に対向する。8'はそのときのスライド片8を示している。 【0014】 図3は、第1の成形工程を示している。図3(a)は第1の金型1と第2の金型7が対向した型開き状態である。図3(b)は第2の金型7が第1の金型1に型閉じして第1の成形材料が成形された状態である。図3(c)はその破断拡大図であり、第1の成形材料たとえば黒色のポリカーボネイトを用いて、裏面側に取付爪50のある断面略逆V字形で略だるま形の成形体51が成形されている。なお、図3では第1の金型1と第2の金型7が上下に対向しているが、水平方向に対向してもよい。 【0015】 図4は、第2の成形工程を示している。図4(a)は図2の第2の金型7'と第3の金型2が対向した型開き状態である。図4(b)は第2の金型7'が第3の金型2に型閉じして第2の成形材料が成形された状態である。図4(c)はその破断拡大図であり、第2の成形材料たとえばABS樹脂53を用いて成形体51の表面上に成形する。この2色成形後ABS樹脂53の部分はたとえば銀色にめっき処理されて化粧枠を完成する。 【0016】 図5は、第1の金型1の詳細であり、図5(a)は平面図、図5(b)は断面図である。21は材料供給部であるスプルー、22はランナであり、第1の成形工程においてランナ22を介してスプルー21から第1の成形面3に第1の成形材料が流し込まれる。5aは後述のスライド片8aの押動片であり、3個ある。この押動片5aは押動片5と同構成であり、かつ押動片5と同じ働きをする。 【0017】 図6は、第2の金型7の詳細であり、図6(a)は平面図、図6(b)は断面図である。8aは上記した押動片5aに押動されるスライド片であり、先端のスライド片成形面が押動片5aにより成形位置に移動し、スライド片成形面、後述のランナ24および第2の成形面12で形成されるスライド片空隙を形成する。このスライド片空隙は、第2の成形工程において第2の成形材料を成形体51と第3の成形面4により形成される空隙に供給する際に、ゲートの位置において、すでに成形されているリング状の成形体51の後側(取付爪のある側)を、リング状の成形体1の内側から外側にかけてまたぐ供給路を形成するものである。23は後述のランナ25に連通する中央連絡部、24はその放射状のランナであり、上記供給路を形成するためランナ24の先端部はスライド片空隙の一部を形成し、スライド片空隙によって成形体51の裏側をまたいで、ランナ24が成形体51と第3の成形面4により形成される空隙に連絡される。これによって成形体51の外周に第2の成形材料が成形される。なお、上記供給路を形成するスライド片空隙に残り固まった成形材料を成形品と一体に取り出すことができるようにするため、第2の成形面12の一部すなわちスライド片8aと交差する3箇所の部分には断面略山形の凸形状の成形面が形成されていない。このため、成形体51のスライド片8aが交差した部分は断面略逆V字形ではなく断面三角形の成形体51となる。この場合、スライド片空隙を形成するスライド片成形面の近傍には、第1の成形工程において断面三角形の成形体51の後側(底面)の一部、スライド片成形面がすなわち成形された成形体51をまたぐこととなる部分、を成形するための成形面も形成している。なおスライド片8aの動作はスライド片8と同じであり、スライド片成形面の形状、対象、位置等が異なる。 【0018】 図7は、第3の金型2の詳細であり、図7(a)は平面図、図7(b)は断面図である。スプルー21に連絡されたランナ25が型閉じ時に第2の金型7の中央連絡部23に連通するように形成されている。6aはスライド片8aの引き戻し片であり3個ある。 引き戻し片6と同構成である。そしてスライド片8a、押動片5aおよび引き戻し片6aにより、スライド型を構成する。 【0019】 図8は、第1の成形工程におけるスライド片8のスライド型の動作を示している。図8(a)は第1の金型1と第2の金型7の型開き状態である。ここで、押動片5は第1の金型1から突出する突起であり、第1の金型1にねじ67により取付けられている。押動片5は第1の成形面3に向く側面に第1の傾斜面10を形成している。スライド片8の取付爪50を形成するスライド片成形面13は第2の成形面12の近傍に位置し、また押動片5に対向して溝11が形成され、溝11の第2の成形面12に近い側面を第1の傾斜面10に摺接係合する第1の傾斜面10aとした第1の受け部56が形成されている。 【0020】 図8(b)は型閉じ途中の状態、図8(c)は型閉じ状態である。この型閉じ動作で押動片5が溝11に入り、第1の受け部10aに押動片5の第1の傾斜面10が摺接し、これによりスライド片8のスライド片成形面13を第2の成形面12に隣接した凹みの内面(第2の金型7側の成形面)に対向する成形位置に移動している。この状態で第1の成形面3と第2の成形面12とスライド片成形面13との間の空隙にランナ22より第1の成形材料が注入されると、図8(c)の部分拡大図のように断面略逆V字形の略だるま形状のリング状の成形体51および取付爪50が成形される。型開きするときは押動片5が溝11からそのまま離れるのでスライド片8は成形位置から後退することなく成形位置にとどまる。 【0021】 図9は第2の成形工程におけるスライド型の動作を示し、図9(a)は型開き状態である。第3の成形面4は第2の成形材料を第1の成形工程で成形した成形体51の表面に成形するため、第1の成形面3よりも大きく形成されている。ここで、引き戻し片6は押動片5に若干似た突起であり、第3の金型2にねじ68により取付けられている。引き戻し片6は、押動片6と同様に第1の傾斜面10と同じ傾斜面を一側面に形成するとともに他側面の先端を乗り越え部18とし、乗り越え部18と他側面の付け根側との間に第1の傾斜面10と略平行な第2の傾斜面16を形成している。第2の受け部55は弾性突起手段17を有する。弾性突起手段17は詳細を後述するが、一方向の動作で弾性変形し逆方向の動作では弾性変形しないように構成されたものであり、溝11の第1の傾斜面10aとなる側面に対向する側面より溝11内に突出するように埋設されている。 【0022】 図9(b)は型閉じ途中の状態、図9(c)は型閉じ状態である。このとき、まず乗り越え部18が弾性突起手段17を押して弾性変形させこれを乗り越えて引き戻し片6が溝11内に入り、弾性突起手段17は第2の傾斜面16に係合し、同時に第1の傾斜面10が第1の傾斜面10aに摺接する。第2の成形面12上にある成形体51が第3の成形面4内に進入し成形体51と第3の成形面4との間に空隙を形成する。ランナ25、24よりスライド片8aのスライド片成形面によるゲート部分を通し、その空隙に第2の成形材料が注入されると、図7(c)の部分拡大図のように成形体51の外周面に第2の成形材料による成形体19が形成される。なお、スライド片8のうち成形体51の外側に配置されたものは、そのスライド片成形面13が、成形される成形体19の後側をまたいで取付爪50を成形する位置にあるため、スライド片8のスライド片成形面13の近傍に、成形体19の後側の成形体19をまたぐ部分を成形する成形面を形成している。 【0023】 つぎに第2の金型7の型開き動作に伴い、引き戻し片6が溝11から離れるにしたがって第2の傾斜面16を弾性突起手段17が摺動する。この場合、弾性突起手段17は第2の傾斜面16によって弾性変形できない方向の力を受けるため、弾性突起手段17が押されるのに伴ってスライド片8が成形位置から離れるように後退する。型開きすると一体の成形体51、19からなる成形品が第2の金型7から取り出される。 【0024】 図10および図11はスライド型の動作の詳細を示している。図10は押動片5が第1の受け部56と係合する場合である。ここで、スライド片8は第2の金型7にねじ31により固定された支持台30の上面にスライド自在に支持される。支持台30の上面の略中央部のスライド方向の2箇所にたとえば半球状の位置決め突起32、33が突出するように埋設されている。位置決め突起32、33は埋め込み孔34に出没自在に挿入され、埋め込み孔34に内装されたばね35で突出する方向に付勢されている。36は埋め込み孔34に形成された雌ねじに螺着してばね35を支持する雄ねじである。一方、スライド片8の下面には位置決め突起32、33を受けるたとえば半球状の凹部37、38が位置決め突起32、33よりも広い所定の間隔すなわち以下に示す動作が可能となる間隔をおいて形成されている。63は支持台30を第2の金型7に固定するねじ31のねじ孔である。 【0025】 図10(a)は位置決め突起32と凹部37が嵌合し、スライド片8が成形位置から後退した位置に位置決めされており、型開き状態に対応している。図10(a)から図10(c)の型閉じ状態に至る間に、図10(b)に示すように押動片5の第1の傾斜面10が金型の型閉じ動作により第1の受け部56の傾斜面10aに摺接してスライド片8を成形位置に押動し、スライド片8のスライドにより位置決め突起32が凹部37から外れ、スライド片8が成形位置に到達した位置で位置決め突起33が凹部38に嵌合し位置決めされる。また押動片5が第1の受け部56に係合していることによってもスライド片8を成形位置に位置決めしており、この状態で成形が行われる。そしてつぎに行われる型開きによって押動片5が溝11から離れても、スライド片8は成形位置に位置決めされたままとなる。 【0026】 図11(a)は第2の成形材料を成形する際の型閉じ前の型開き状態であり、位置決め突起33が凹部38に位置決めされ、その位置決め状態で図11(b)、(c)に示すように引き戻し片6の乗り越え部18が弾性突起手段17を押しこれを弾性変形させて乗り越えている。そして第1の傾斜面10が傾斜面10aに摺接した状態となり、成形の際この面でもスライド片8を位置決めしている。状態から型開きするとき、その型開き動作により引き戻し片6の第2の傾斜面16で弾性突起手段17を押してスライド片8を成形位置から後退するようにスライドさせ、これにより位置決め突起33が凹部38から外れ、図10(a)に示すように位置決め突起32が凹部37に嵌合するまで移動する。 【0027】 図12はコア片40の詳細であり、図12(a)は平面図、図12(b)はその断面図、図12(c)は部分拡大平面図、図12(d)はその側面図である。コア片40はスライド片成形面13を先端に形成し、成形時に第2の成形面12の近くのスライド片8に対向する成形面を有する凹部の成形位置に進入する。また後端にねじ挿通部41を有し、ねじ42によりスライド片8のねじ孔64に固定されている。 【0028】 図13から図16はスライド片8および支持台30の詳細を示している。スライド片8は第1の受け部56および第2の受け部55を溝11の両側に形成し、第2の受け部55は弾性突起手段17を有する。弾性突起手段17は上記のように第2の金型7と第3の金型2が閉じる型閉じ時にその型閉じ動作で引き戻し片6の乗り越え部18に押されて弾性変形により後退するが、第2の金型7と第3の金型2が開く型開き時に第2の傾斜面16によって押されても後退しないように構成されている。すなわち、溝11の第1の傾斜面10aと対向する側面47に型閉じ方向およびそれに直角な方向の中間の方向、たとえば型閉じ方向に対して約45度傾斜した貫通孔45を形成し、少なくともスライド片8の貫通端近くには雌ねじを形成している。溝11の底面から側面47の貫通孔45の開口を含む位置まではその側面47が貫通孔45の軸線と直角な面をなしている。また側面47の貫通孔45の両側に引き戻し片6が嵌まる間隔をおいて一対のガイド部46が突出し、それぞれ貫通孔45に平行なガイド溝48を形成している。弾性突起手段17は、両端がガイド部46のガイド溝48に両端が移動自在に案内される丸棒状の第1のピン58と、貫通孔45に挿入され、第1のピン58の中央小径部58aに当接嵌合する断面半円形溝59aを先端に形成し後端にばね受け59bを形成した第2のピン59と、貫通孔45の貫通端から挿入さればね受け59bに一端が係止したコイルばね60と、貫通孔45の雌ねじに螺合してコイルばね60の他端を押圧するねじ61とを有する。ねじ61をねじ込んでコイルばね60を圧縮することにより第2のピン59は側面47から突出する方向に付勢され、第1のピン58はガイド溝48の先端のストッパとなる溝端に位置決めされ、これにより第1のピン58は側面47から突出した状態となっている。貫通孔45が傾斜しているため、型閉じ時に引き戻し片6の乗り越え部18で第1のピン58を押すとコイルばね60が圧縮されるので第1のピン58がガイド溝48に沿って後退移動し、これにより乗り越え部18は第1のピン58を乗り越えることができる。乗り越え部18が第1のピン58を乗り越えると再び第1のピン58はコイルばね60の弾力によりガイド溝48の先端まで移動する。 【0029】 つぎに型開き時には引き戻し片6の第2の傾斜面16により第1のピン58が成形位置から後退する方向に押されるが第2のピン59は貫通孔45の軸線方向と略直交する方向に押圧されるためコイルばね60は圧縮されないので貫通孔45の内方に移動できない。このため第1のピン58に加わる第2の傾斜面16の摺動による押圧力はスライド片8に伝わり、スライド片8が成形位置から後退するように支持台30をスライドする。 【0030】 支持台30は、これとスライド片8を加えた高さが第2の金型7の第2の成形面12の高さと同程度となるように高さが決められる。またスライド片8は下面に断面略T字形のレール61を設けており、このレール61を受けるガイド凹溝62を支持台30の上面に形成している。これによりレール61をガイド凹溝62に嵌合した状態で横に倒れることなく成形位置に接近離間する方向にスライド片8がスライドできる。なお、スライド片8aはスライド片8と同じタイミングでスライド動作をする。 【0031】 この発明の第2の実施の形態を図17により説明する。すなわち、図17は引き戻し片6が溝11に嵌合した、第2の成形工程における型閉じ状態である。スライド片8は両側面にレール溝65を有し、支持台30はスライド片8の下面を載せる台本体30aと、台本体30aの両側にねじ66で固定されて、各側面がスライド片8の両側に当接するとともにレール溝65に嵌合する凸部67を有する支持片30bを有し、これによりスライド片8が横に倒れることなく支持台30をスライドすることができる。ねじ66は第2の金型7への台本体30aの取付けを兼ねている。69はねじ68が取り付けられる雌ねじである。その他の構成は第1の実施の形態と同様である。 【0032】 この実施の形態によれば、第1の実施の形態と比べてスライド型の製造が容易にできる。 【0033】 この発明のスライド型および金型は、たとえば押動片5のある異なる金型を複数使用することによって、3色成形以上の多色成形に適用することが可能である。スライド型は成形面が雄となるスライドコアのみならず雌となるスライドキャビティも可能である。 【0034】 また、押動片5および引き戻し片6を突起としたが、これらを溝とし、第1の受け部56および第2の受け部55を突起とすることが可能である。さらに第1の傾斜面10は押動片5と第1の受け部56の両方に形成する必要はなく片方のみにすることも可能である。また弾性突起手段17を第2の受け部55に設けたが、引き戻し片6側に設け、乗り越え部18および第2の傾斜面16を第2の受け部55に設けることも可能である。 【0035】 弾性突起手段17は、1方向には弾性変形し、逆方向には弾性変形しないものであるので、上記実施の形態の構成に限らず、型開き時に第2の傾斜面16を弾性突起手段17が摺動するとき弾性変形しない構成であれば他の構成でもよい。たとえば、弾性突起手段17に板ばねを用い、その先端が溝11の底面に近づくような傾斜姿勢または水平姿勢にし、貫通孔45は径を大きめにとっておき、型閉じ時に乗り越え部18による板ばねの先端への押圧で板ばねがたわみ第2の傾斜面16に乗り越えることができるが、型開き時に板ばねの先端が第2の傾斜面16を摺動するときは板ばねの先端部が貫通孔45のストッパとなる縁部に当たり板ばねがたわむことができないようにすることが可能である。 【図面の簡単な説明】 【0036】 【図1】この発明の第1の実施の形態の第1の金型と第2の金型を並べた平面図である。 【図2】第2の金型の第1の成形工程後第2の成形工程への移行を説明する平面図である。 【図3】第1の成形工程を示す説明図である。 【図4】第2の成形工程を示す説明図である。 【図5】第1の金型を示し、(a)は平面図、(b)は断面図である。 【図6】第2の金型を示し、(a)は平面図、(b)は断面図である。 【図7】第3の金型を示し、(a)は平面図、(b)は断面図である。 【図8】第1の成形工程におけるスライド型の動作を説明する説明図である。 【図9】第2の成形工程におけるスライド型の動作を説明する説明図である。 【図10】スライド片の第1の成形工程における動作を説明する説明図である。 【図11】スライド片の第2の成形工程における動作を説明する説明図である。 【図12】成形面を有する成形片を示し、(a)は平面図、(b)は断面図、(c)は(a)の部分拡大図、(d)はその側面図である。 【図13】(a)はスライド片と引き戻し片の係合状態の正面図、(b)はその平面図、(c)は側面図である。 【図14】(a)はスライド片の正面図、(b)はその平面図、(c)は側面図、(d)は底面図である。 【図15】(a)は支持台の正面図、(b)はその平面図、(c)は側面図である。 【図16】(a)は弾性突起手段の側面図、(b)は第1のピンの平面図、(c)は第2のピンの側面図である。 【図17】第2の実施の形態を示し、(a)はスライド型の正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。 【符号の説明】 【0037】 1 第1の金型 2 第3の金型 3 第1の成形面 4 第3の成形面 5 押動片 6 引き戻し片 7 第2の金型 8 スライド片 10 第1の傾斜面 10a 第1の傾斜面 12 第2の成形面 13 スライド片成形面 16 第2の傾斜面 17 弾性突起手段 18 乗り越え部 50 取付爪 51 成形体 55 第2の受け部 56 第1の受け部
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| 【出願人】 |
【識別番号】595002982 【氏名又は名称】竹元 通則
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| 【出願日】 |
平成18年8月28日(2006.8.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100076174 【弁理士】 【氏名又は名称】宮井 暎夫
【識別番号】100105979 【弁理士】 【氏名又は名称】伊藤 誠
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| 【公開番号】 |
特開2008−49634(P2008−49634A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月6日(2008.3.6) |
| 【出願番号】 |
特願2006−230153(P2006−230153) |
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