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【発明の名称】 車両用内装材の製造方法
【発明者】 【氏名】伍井 浩

【要約】 【課題】型の数及び操作の数を低減することができる車両用内装材の製造方法を提供する。

【構成】車両用内装材の製造方法であって、真空吸引可能なキャビティ型5の上部に、加熱軟化した樹脂シート製の表皮材3をセットし、表皮材3がセットされたキャビティ型5に対して、所定形状に成形された芯材2を保持したコア型6を下降させて型閉めし、該芯材2付きのコア型6によりキャビティ型5側に押された表皮材3を、キャビティ型5の凹面7側に真空吸引することにより表皮材3をキャビティ型5の凹面7に相応する形状に成形し、表皮材3を成形したキャビティ型5に対してコア型6を型閉めした状態のまま、表皮材3と芯材2との間に形成されたキャビティ空間Rに、発泡原料15を注入して発泡材4を発泡成形して、表皮材3と芯材2との間に発泡材4を挟んだ構造の内装材1を成形し、内装材1の成形後、型開きして内装材1を取り出す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空吸引可能なキャビティ型(5)の上部に、加熱軟化した樹脂シート製の表皮材(3)をセットし、
表皮材(3)がセットされたキャビティ型(5)に対して、所定形状に成形された芯材(2)を保持したコア型(6)を下降させて型閉めし、
該芯材(2)付きのコア型(6)によりキャビティ型(5)側に押された表皮材(3)を、キャビティ型(5)の凹面(7)側に真空吸引することにより、表皮材(3)をキャビティ型(5)の凹面(7)に相応する形状に成形し、
表皮材(3)を成形したキャビティ型(5)に対してコア型(6)を型閉めした状態のまま、表皮材(3)と芯材(2)との間に形成されたキャビティ空間(R)に、発泡原料(15)を注入して発泡材(4)を発泡成形して、表皮材(3)と芯材(2)との間に発泡材(4)を挟んだ構造の内装材(1)を成形し、
内装材(1)の成形後、型開きして内装材(1)を取り出すことを特徴とする車両用内装材の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の車両用内装材の製造方法であって、
コア型(6)に、芯材(2)の開口部(9)又は切欠部に相応する形状の入子(10)を、開口部(9)又は切欠部からキャビティ空間(R)に対して進退動自在に設けたことを特徴とする車両用内装材の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の車両用内装材の製造方法であって、
キャビティ型(5)がアンダカット形状で、該キャビティ型(5)がスライド型(5a)とベース型(5b)とから構成され、内装材(1)の成形後、スライド型(5a)をアンダカット形状が解消される方向にスライドさせた状態で型開きして、内装材(1)を取り出すことを特徴とする車両用内装材の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は車両用内装材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のインストルメントパネル等の車両用内装材は、表皮材と芯材との間に発泡材を挟んだ構造をしている。
【0003】
内装材の表皮材は予め成形される。まず、加熱軟化したシート状の表皮材を、内装材の外面形状に相当する凹面を有する真空成形型の上方にセットする。表皮材の更に上方にはアシストプラグが配置されており、このアシストプラグを下降させて、表皮材を真空成形型の凹面内に押し込む。アシストプラグにより押されることにより、表皮材は真空成形型の凹面に接近し、凹面に形成された多数の真空吸引孔により吸引されて、凹面に密着した状態となる。凹面と密着することにより、表皮材には真空成形型の凹面に相応した形状が付与され、冷却後に真空成形型から取り出される。
【0004】
真空成形型から取り出された表皮材は、内装材を成形するためのキャビティ型に移してセットされる。キャビティ型の上方には、芯材をセットしたコア型が配置され、このコア型を下降させてキャビティ型に対して型閉めし、表皮材と芯材との間に形成されたキャビティ空間に、発泡原料を注入して発泡材を発泡成形し、表皮材と芯材との間に発泡材を挟んだ構造の内装材を成形している(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2000−343593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、内装材を成形するために、真空成形型、アシストプラグ、キャビティ型、コア型の4つの型を必要とするため、コストの面で不利である。また、アシストプラグの真空成形型に対する上下操作、成形された表皮材の真空成形型からキャビティ型への移し替え操作、コア型のキャビティ型に対する上下操作など、多くの操作が必要とするため、製造効率の面で不利であった。
【0006】
本発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、型の数及び操作の数を低減することができる車両用内装材の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、真空吸引可能なキャビティ型の上部に、加熱軟化した樹脂シート製の表皮材をセットし、表皮材がセットされたキャビティ型に対して、所定形状に成形された芯材を保持したコア型を下降させて型閉めし、該芯材付きのコア型によりキャビティ型側に押された表皮材を、キャビティ型の凹面側に真空吸引することにより、表皮材をキャビティ型の凹面に相応する形状に成形し、表皮材を成形したキャビティ型に対してコア型を型閉めした状態のまま、表皮材と芯材との間に形成されたキャビティ空間に、発泡原料を注入して発泡材を発泡成形して、表皮材と芯材との間に発泡材を挟んだ構造の内装材を成形し、内装材の成形後、型開きして内装材を取り出すことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、コア型に、芯材の開口部又は切欠部に相応する形状の入子を、開口部又は切欠部からキャビティ空間に対して進退動自在に設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、キャビティ型がアンダカット形状で、該キャビティ型がベース型とスライド型とから構成され、内装材の成形後、スライド型をアンダカット形状が解消される方向にスライドさせた状態で型開きして、内装材を取り出すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、芯材をセットしたコア型を下降させて、加熱軟化したシート状の表皮材を、キャビティ型の凹面側へ押し込み、表皮材を真空吸引して所定形状に成形することができるため、芯材付きのコア型に従来のアシストプラグと同様の機能をもたせることができ、従来の如きアシストプラグが不要となる。下降したコア型は、成形された表皮材を保持した状態のままのキャビティ型に対して、そのまま型閉めされた状態が維持されるため、表皮材と芯材との間のキャビティ空間に、発泡原料を注入して発泡材を発泡成形することにより、表皮材と芯材との間に発泡材を挟んだ構造の内装材を成形することができる。表皮材を成形するための真空吸引可能なキャビティ型を、そのまま内装材を成形するために使用することができるため、従来のように内装材を成形することだけを目的とした専用のキャビティ型が不要となる。このように、型の数を減らすことができるため、コスト的に有利となる。また、型の数が減ると共に、芯材をセットしたコア型をキャビティ型に対して型閉めした状態のままで、表皮材の成形と、内装材の成形が行えるため、型の上下操作回数が少なく、表皮材を移し替える必要もなくなり、製造効率の面でも有利となる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、芯材が無い部分における発泡材の厚さを、入子のキャビティ空間に対する突出量により調整することができる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、キャビティ型がベース型とスライド型とから構成されているため、内装材が取り出し困難なアンダカット部を有していても、スライド型をアンダカット形状が解消される方向にスライドさせることにより、成形後の内装材を確実に取り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、型の数及び操作の数を低減することができる車両用内装材の製造方法を提供するという目的を、真空吸引可能なキャビティ型の上部に、加熱軟化した樹脂シート製の表皮材をセットし、表皮材がセットされたキャビティ型に対して、所定形状に成形された芯材を保持したコア型を下降させて型閉めし、該芯材付きのコア型によりキャビティ型側に押された表皮材を、キャビティ型の凹面側に真空吸引することにより、表皮材をキャビティ型の凹面に相応する形状に成形し、表皮材を成形したキャビティ型に対してコア型を型閉めした状態のまま、表皮材と芯材との間に形成されたキャビティ空間に、発泡原料を注入して発泡材を発泡成形して、表皮材と芯材との間に発泡材を挟んだ構造の内装材を成形し、内装材の成形後、型開きして内装材を取り出すことで、実現した。以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0014】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。
【0015】
自動車の内装材としてのインストルメントパネル1は、芯材2と表皮材3との間に発泡材4を発泡成形した三層構造になっている。インストルメントパネル1は、成形用の型から取り外す際に支障となるアンダカット部1aを一部に有している。
【0016】
インストルメントパネル1の成形には、キャビティ型5とコア型6の2つだけが使用される(図3参照)。キャビティ型5は、インストルメントパネル1のアンダカット部1aの取り外しを可能にするためのスライド型5aと、その他のベース型5bとから構成されている。スライド型5aはベース型5bに対して外側方向へスライドすることができる。
【0017】
キャビティ型5は、インストルメントパネル1の表皮材3に相応する形状の凹面7を有している。凹面7には、真空吸引孔(図示せず)が全面に形成されている。真空吸引孔の径は、吸引孔空吸引孔自体の転写を防ぐために、100μm以下が好ましい。また、キャビティ型5内には、図示せぬ温配管及び冷配管が設置されており、必要な加熱及び冷却が行えるようになっている。
【0018】
コア型6は、インストルメントパネル1の芯材2に相応する形状の凸面8を有している。凸面8には予め成形された芯材2が保持されている。芯材2の一部には、インストルメントパネル1を車体に組み付けた際に、その内部に配置される機器を保持するための開口部(又は切欠部)9が形成されている。また、凸面8のうち、この開口部9に対応する部分には、開口部9から突出自在な入子10が設けられている。また、芯材2の別の部分には注入孔11が形成され、注入孔11に相当する凸面8には注入口12が形成されている。注入口12には注入ヘッド13を挿入できるようになっている。
【0019】
これらのキャビティ型5及びコア型6を使用して、まず表皮材3の成形が行われる。表皮材3は熱可塑性樹脂(TPO)製で、図2に示すように、最初はシート状態のまま両端が図示せぬクランプにて保持される。そして、このシート状の表皮材3を、ヒータ14により上下両面から190°Cに加熱する。表面側からだけの加熱でも良いが、両面から加熱した方が、温度のバラツキが生じにくい。表皮材3は軟化点以上に加熱するのが必要で、TPOの場合、160〜210°C(好ましくは170〜200°C)が好適である。尚、キャビティ型5も所定温度に温めておく。
【0020】
シート状の表皮材3が所定温度に加熱されたら、キャビティ型5の上部にセットする(図3参照)。そして、芯材2を凸面8に保持したコア型6を下降させ、コア型6をキャビティ型5に対して型閉めすると共に、キャビティ型5の凹面7から真空吸引する(図4参照)。シート状の表皮材3は、芯材2を保持したコア型6に押されて、キャビティ型5の凹面7側に接近するため、凹面7へ確実に吸引される。尚、芯材2を凸面8に保持したコア型6を下降させ、コア型6をキャビティ型5に対して型閉めを行い真空成形を行う際、芯材2の一部で表皮材3の裏面側を押圧し、プラグアシストさせている。
【0021】
そして、表皮材3の真空吸引を維持したまま、キャビティ型5の加熱を停止して冷却する。こうすることにより、表皮材3はキャビティ型5の凹面7に密着した状態で、凹面7に相応する形状が付与される。
【0022】
表皮材3の成形が完了したら、コア型6をキャビティ型5に対して型閉めした状態のまま、コア型6の注入口12から注入ヘッド13を挿入し、注入ヘッド13の先端を、注入孔11から、表皮材3と芯材2の間のキャビティ空間Rに臨ませる。また、コア型6の入子10も開口部9からキャビティ空間Rへ所定量だけ突出させる(図5参照)。
【0023】
そして、注入ヘッド13からキャビティ空間Rに、ウレタン等の発泡原料15を注入して加熱発泡させる(図6参照)。キャビティ空間Rで発泡した発泡原料15は発泡後に冷却されて発泡材4となり、この発泡材4を表皮材3と芯材2との間で挟んだ構造のインストルメントパネル1が成形される。インストルメントパネル1の成形方法として、コア型6とキャビティ型5を型閉めした状態のまま発泡原料15を注入するクローズド注入法を採用したため、反応速度の速い発泡樹脂を用いることができ、発泡成形に要する時間を短縮できると共に、コア型6の上下操作がないため、その分、生産性が向上する。
【0024】
その後、注入ヘッド13及び入子10を収納し、コア型6を上昇させて型開きする(図7参照)。型開きする際、スライド型5aが外側にスライドするため、アンダカット部1aを有する形状のインストルメントパネル1でも容易に取り出すことができる(図8参照)。インストルメントパネル1の芯材2における開口部9に相当する部分の発泡材4は、入子10の存在により、内部へ凹んだ状態となり、インストルメントパネル1の内部に設置される機器を安定した状態で保持し易くなる。
【0025】
以上説明したように、この実施例によれば、使用する型がキャビティ型5とコア型6の2つで済むため、コスト的に有利である。また、コア型6をキャビティ型5に対して型閉めした状態のままで、表皮材3の成形と、インストルメントパネル1の成形(発泡材4の発泡成形)が行えるため、型の上下操作回数が少なく、表皮材3を移し替える必要もなくなり、製造効率の面でも有利となる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
以上の実施例では、コア型6とキャビティ型5とを表皮材3の成形のために最初に型閉めした状態のまま、発泡原料15を注入する例を示したが、コア型6とキャビティ型5とが、摺り合わせ等によりコアバック可能な構造の場合は、型閉めして表皮材3を成形した後で、発泡原料15を注入する前に、コア型6を必要な量だけコアバックさせて、発泡材4の厚さを調整するようにしても良い。
【0027】
また、車両用内装材として自動車のインストルメントパネル1を例にしたが、これに限定されない。本発明に係る製造方法は、同様の構造を有する内装材の全てに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例に係るインストルメントパネルを示す斜視図。
【図2】ヒータでシート状の表皮材を加熱している状態を示す断面図。
【図3】キャビティ型とコア型の間に表皮材をセットした状態を示す断面図。
【図4】表皮材をキャビティ型の凹面に真空吸引した状態を示す断面図。
【図5】発泡原料をキャビティ空間内に注入している状態を示す断面図。
【図6】キャビティ空間に発泡材を発泡成形した状態を示す断面図。
【図7】コア型を型開きした状態を示す断面図。
【図8】インストルメントパネルをキャビティ型から取り出した状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0029】
1 インストルメントパネル(内装材)
2 芯材
3 表皮材
4 発泡材
5 キャビティ型
5a スライド型
5b ベース型
6 コア型
10 入子
15 発泡原料
R キャビティ空間
【出願人】 【識別番号】000004765
【氏名又は名称】カルソニックカンセイ株式会社
【出願日】 平成18年8月25日(2006.8.25)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和

【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦

【識別番号】100100929
【弁理士】
【氏名又は名称】川又 澄雄

【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和

【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一

【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄


【公開番号】 特開2008−49616(P2008−49616A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−229529(P2006−229529)