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【発明の名称】 表面に凹凸形状を有する樹脂板の製造方法及び製造装置
【発明者】 【氏名】奥 尚規

【要約】 【課題】製造コストを低く抑制できると共に、表面に高精度に制御された凹凸形状を形成することができる、表面に凹凸形状を有する樹脂板の製造方法を提供する。

【構成】この発明の製造方法は、一端側に凹凸形状部21が形成された転写用プレート4を該プレート4の凹凸形状部21の少なくとも一部が押出金型3の吐出口10の一部を塞ぐ態様で押出金型3の吐出側前面に当接状態に固定し、この状態で熱可塑性樹脂を前記押出金型3の吐出口10から押出すことによって、表面に凹凸形状を有する樹脂板を得ることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側に凹凸形状部が形成された転写用プレートを、該プレートの凹凸形状部の少なくとも一部が押出金型の吐出口の一部を塞ぐ態様で押出金型の吐出側前面に当接状態に固定し、この状態で熱可塑性樹脂を前記押出金型の吐出口から押出すことによって、表面に凹凸形状を有する樹脂板を得ることを特徴とする表面に凹凸形状を有する樹脂板の製造方法。
【請求項2】
一端側に凹凸形状部が形成された転写用プレートを、該プレートの凹凸形状部の少なくとも一部が押出金型の吐出口の一部を塞ぐ態様で押出金型の吐出側前面に当接状態に固定し、この状態で熱可塑性樹脂を前記押出金型の吐出口から押出すことによって、表面に凹凸形状を有する樹脂板を得る工程と、
前記押出直後の樹脂板に霧状の水を吹き付ける工程とを包含することを特徴とする表面に凹凸形状を有する樹脂板の製造方法。
【請求項3】
前記転写用プレートの凹凸形状部の厚さが2〜5mmの範囲である請求項1または2に記載の表面に凹凸形状を有する樹脂板の製造方法。
【請求項4】
押出機と、
前記押出機に取り付けられた押出金型と、
一端側に凹凸形状部が形成された転写用プレートとを備え、
前記転写用プレートが、該プレートの凹凸形状部の少なくとも一部が前記押出金型の吐出口の一部を塞ぐ態様で前記押出金型の吐出側前面に当接状態に着脱自在に固定されていることを特徴とする表面に凹凸形状を有する樹脂板の製造装置。
【請求項5】
前記押出金型の押出方向の前方位置に、水を噴霧する冷却装置を更に備える請求項4に記載の表面に凹凸形状を有する樹脂板の製造装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、断面形状が三角形状等の凹凸形状を表面に有する樹脂板の製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂の押出成形により樹脂シートを製造するに際し、樹脂シートの表面に種々の形状を付与せしめることで樹脂シートの高機能化を図ることが従来より行われてきている。樹脂シートの表面に種々の形状を付与せしめる方法としては、Tダイから押し出された溶融樹脂シートを、2次加工として転写ロール(ロール状スタンパー)と鏡面ロール間で挟圧することによって、樹脂シートの表面に凹凸の微細パターンを形成する技術が公知である(特許文献1参照)。
【0003】
また、樹脂吐出空間の上面壁に断面三角形状の溝や断面矩形状の溝が形成されたTダイを用いて熱可塑性樹脂を押出成形することにより、押出方向に平行な筋状の凹凸形状が表面に形成された樹脂シートを製造する方法も公知である(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平9−79867号公報
【特許文献2】特開2003−119310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、転写ロール、鏡面ロール等からなる大掛かりな2次加工設備を設けなければならないことから、設備コストが高くつくという問題があった。また、転写ロールで挟圧されるので、樹脂シートの表面から転写ロールが離れる際に凹凸の微細パターンが潰れやすく、このために凹凸形状の精度が低いという問題があった。また、例えば表面の凹凸形状の異なる少量多品種の樹脂板を製造するという要請に対しては、異なる凹凸形状毎に対応してそれぞれの転写ロールを個別に準備しておき、その都度転写ロール自体を新たなものに交換して製造を行わなければならなかったのであるが、このように少量多品種生産に対応して個別に複数の転写ロールを製作していたのでは、製造コストが高くなるという問題があった。
【0005】
また、特許文献2に記載の方法では、Tダイからの熱が直接に樹脂板へ伝わり溶融が起こりやすく、これが凹凸形状の精度の低下につながりやすいという問題があった。また、例えば表面の凹凸形状の異なる少量多品種の樹脂板を製造するという要請に対しては、異なる凹凸形状毎に対応してそれぞれのTダイを個別に準備しておき、その都度Tダイ自体を新たなものに交換して製造を行わなければならなかったのであるが、このように少量多品種生産に対応して個別に複数のTダイを製作していたのでは、製造コストが高くなるという問題があった。
【0006】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、製造コストを低く抑制できると共に、表面に高精度に制御された凹凸形状を形成することができる、表面に凹凸形状を有する樹脂板の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0008】
[1]一端側に凹凸形状部が形成された転写用プレートを、該プレートの凹凸形状部の少なくとも一部が押出金型の吐出口の一部を塞ぐ態様で押出金型の吐出側前面に当接状態に固定し、この状態で熱可塑性樹脂を前記押出金型の吐出口から押出すことによって、表面に凹凸形状を有する樹脂板を得ることを特徴とする表面に凹凸形状を有する樹脂板の製造方法。
【0009】
[2]一端側に凹凸形状部が形成された転写用プレートを、該プレートの凹凸形状部の少なくとも一部が押出金型の吐出口の一部を塞ぐ態様で押出金型の吐出側前面に当接状態に固定し、この状態で熱可塑性樹脂を前記押出金型の吐出口から押出すことによって、表面に凹凸形状を有する樹脂板を得る工程と、
前記押出直後の樹脂板に霧状の水を吹き付ける工程とを包含することを特徴とする表面に凹凸形状を有する樹脂板の製造方法。
【0010】
[3]前記転写用プレートの凹凸形状部の厚さが2〜5mmの範囲である前項1または2に記載の表面に凹凸形状を有する樹脂板の製造方法。
【0011】
[4]押出機と、
前記押出機に取り付けられた押出金型と、
一端側に凹凸形状部が形成された転写用プレートとを備え、
前記転写用プレートが、該プレートの凹凸形状部の少なくとも一部が前記押出金型の吐出口の一部を塞ぐ態様で前記押出金型の吐出側前面に当接状態に着脱自在に固定されていることを特徴とする表面に凹凸形状を有する樹脂板の製造装置。
【0012】
[5]前記押出金型の押出方向の前方位置に、水を噴霧する冷却装置を更に備える前項4に記載の表面に凹凸形状を有する樹脂板の製造装置。
【発明の効果】
【0013】
[1]の発明では、一端側に凹凸形状部が形成された転写用プレートを、該プレートの凹凸形状部の少なくとも一部が押出金型の吐出口の一部を塞ぐ態様で押出金型の吐出側前面に当接状態に固定して押出を行うので、転写用プレートの凹凸形状部の形状を精度高く樹脂板の表面に転写することができ、これにより表面に高精度に制御された凹凸形状を有する樹脂板を製造することができる。また、転写用プレートによる凹凸形状の付与を押出金型の外側で行いつつ、この転写用プレートによる形状付与の際に樹脂板の反対側の面は圧力が開放された状態で冷却されるので、樹脂板の表面に高精度に制御された凹凸形状を形成することができる。また、例えば表面の凹凸形状の異なる少量多品種の樹脂板を製造するという要請に対しては、転写用プレートを別の転写用プレートに交換して押出金型に取り付けるだけで対応可能であるから(高価な押出金型全体を新たなものに取り替える必要がないから)、汎用性に優れているし、設備コストを大きく低減できて低コストで製造できる利点がある。
【0014】
[2]の発明では、一端側に凹凸形状部が形成された転写用プレートを、該プレートの凹凸形状部の少なくとも一部が押出金型の吐出口の一部を塞ぐ態様で押出金型の吐出側前面に当接状態に固定して押出を行うので、転写用プレートの凹凸形状部の形状を精度高く樹脂板の表面に転写することができ、これにより表面に高精度に制御された凹凸形状を有する樹脂板を製造することができる。また、転写用プレートによる凹凸形状の付与を押出金型の外側で行いつつ、この転写用プレートによる形状付与の際に樹脂板の反対側の面は圧力が開放された状態で冷却されるので、樹脂板の表面に高精度に制御された凹凸形状を形成することができる。更に、押出直後の樹脂板に霧状の水を吹き付けて冷却するので、樹脂板の熱膨張を十分に緩和することができ、これにより所望形状により高精度に制御された凹凸形状を有する樹脂板を製造することができる。加えて、例えば表面の凹凸形状の異なる少量多品種の樹脂板を製造するという要請に対しては、転写用プレートを別の転写用プレートに交換して押出金型に取り付けるだけで対応可能であるから(高価な押出金型全体を新たなものに取り替える必要がないから)、汎用性に優れているし、設備コストを大きく低減できて低コストで製造できる利点がある。
【0015】
[3]の発明では、転写用プレートの凹凸形状部の厚さが2〜5mmの範囲であるから、転写用プレートの凹凸形状部の形状をより精度高く樹脂板に転写することができ、表面にさらに高精度に制御された凹凸形状を有する樹脂板を製造できる。
【0016】
[4]の発明では、転写用プレートが、該プレートの凹凸形状部の少なくとも一部が押出金型の吐出口の一部を塞ぐ態様で押出金型の吐出側前面に当接状態に固定されているから、転写用プレートの凹凸形状部の形状を精度高く樹脂板に転写することができ、これにより表面に高精度に制御された凹凸形状を有する樹脂板を製造することができる。更に、転写用プレートは、押出金型の吐出側前面に着脱自在に固定されており、例えば表面の凹凸形状の異なる少量多品種の樹脂板を製造するという要請に対しては、転写用プレートを別の転写用プレートに交換して押出金型に取り付けるだけで対応可能であるから(高価な押出金型全体を新たなものに取り替える必要がないから)、汎用性に優れているし、設備コストを大きく低減できて低コストで製造できる利点がある。
【0017】
[5]の発明では、押出金型の押出方向の前方位置に水を噴霧する冷却装置が配置されており、押出直後の樹脂板に水を噴霧することで均一な強制冷却を行うことができ、これにより所望形状により高精度に制御された凹凸形状を有する樹脂板を製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
この発明に係る表面に凹凸形状を有する樹脂板の製造装置(1)の一実施形態を図1に示す。この製造装置(1)は、押出機(2)と、該押出機(2)の押出方向の前面側に取り付けられた押出金型(3)と、一側面に凹凸形状部(21)が形成された転写用プレート(4)とを備えてなる。また、前記押出金型(3)の押出方向の前方位置に、水を噴霧する冷却装置(5)が配置されている(図1参照)。なお、図1において、(6)は、押出機(2)内に原料を供給するためのホッパーである。
【0019】
図3に示すように、前記押出金型(3)の押出方向の前面にスリット状(長矩形状)の吐出口(10)が設けられている。また、同前面における前記吐出口(10)の上方位置にねじ孔(11)が穿設されている。
【0020】
また、図6に示すように、前記転写用プレート(4)における前記凹凸形状部(21)が形成された側面とは反対側の側面の長手方向の中央部から外方に向けて取付部(20)が延設されている。また、前記取付部(20)に挿通孔(22)が穿設されている。また、本実施形態では、前記凹凸形状部(21)の断面形状は、三角形の突部(又は三角形の溝部)が長手方向に沿って連続して並べられた構成である。
【0021】
前記転写用プレート(4)は、該プレート(4)の凹凸形状部(21)が前記押出金型(2)の吐出口(10)の上方側の一部を塞ぐ態様で前記押出金型(2)の吐出側前面に当接状態に且つ着脱自在に固定されている(図2〜5参照)。即ち、図3に示すように、ボルト(12)が、前記転写用プレート(4)の取付部(20)の挿通孔(22)に挿通され、さらに前記押出金型(3)のねじ孔(11)に螺合締め付けされることによって、前記転写用プレート(4)は、該プレート(4)の凹凸形状部(21)が前記押出金型(2)の吐出口(10)の上方側の一部を塞ぐ態様で前記押出金型(2)の吐出側前面に当接状態に且つ着脱自在に固定されている(図2、4、5参照)。
【0022】
しかして、熱可塑性樹脂をホッパー(6)を介して押出機(2)内に供給して溶融混練した後、該熱可塑性樹脂を押出金型(2)の吐出口(10)から押出すと、この時、転写用プレート(4)の凹凸形状部(21)が押出金型(2)の吐出口(10)の一部を塞いでいるので、転写用プレート(4)の凹凸形状部(21)の形状を精度高く樹脂板(30)の表面に転写することができ、これにより図7に示すような高精度に制御された所望の凹凸形状を表面に有する樹脂板(30)を製造することができる。
【0023】
また、押出直後の樹脂板の凹凸面に対して冷却装置(5)から霧状の水を吹き付けて冷却するので、樹脂板の熱膨張を十分に緩和することができ、これにより所望形状により高精度に制御された凹凸形状を有する樹脂板(30)を製造することができる。
【0024】
また、本製造装置(1)を用いて、例えば表面の凹凸形状の異なる少量多品種の樹脂板を製造するという場合には、転写用プレート(4)を、凹凸形状部(21)の形状の異なる別の新たな転写用プレートに交換して押出金型(3)に取り付けるだけで対応可能であるから(即ち高価な押出金型全体を新たなものに取り替える必要がないから)、汎用性に優れているし、設備コストを大きく低減できて低コストで製造することができる。
【0025】
上記製造方法において、前記押出金型(3)の吐出口(10)から押し出された樹脂板を押出方向前方に引き取る際に樹脂板を延伸するようにしても良い。このように延伸する場合には、例えば、表面凹凸のピッチ(P2)が1.0mmのものを製造する場合(図7参照)、凹凸形状部(21)のピッチ(P1)を2.0mmに設定した転写用プレート(4)を押出金型(2)に取り付けて(図4参照)、該押出金型(2)の吐出口(10)から吐出されてくる樹脂板を約2倍の延伸で引き取るようにすれば良い。実際には、延伸引き取りにより樹脂板が収縮する量を十分に計算に入れてこれら延伸倍率や凹凸形状部(21)のピッチ(P1)等の製造条件を設定すれば良い。
【0026】
この発明において、前記転写用プレート(4)としては、押出圧力を受けても変形することのない強度を備えたものであれば特に限定されないが、強度面等の観点から、金属板からなるのが好ましい。例えば、押出機(2)内での混練時において樹脂圧は約4×106〜10×106Pa程度であるので、このような押出圧力に耐えることができるように厚さや強度等を設計するのが良い。また、押出金型の温度は200℃以上になる場合もあるのでこれも考慮して設計することが望ましい。
【0027】
前記転写用プレート(4)の凹凸形状部(21)の形状としては、特に限定されるものではないが、例えば三角形状、半円形状、半楕円形状、台形形状、矩形状、その他の凹凸形状等が挙げられる。
【0028】
前記転写用プレート(4)の凹凸形状部(21)の厚さ(T)は2〜5mmの範囲であるのが好ましい(図5、6参照)。2mm以上であることで転写用プレート(4)の凹凸形状部(21)の形状をより精度高く樹脂板に転写することができるとともに5mm以下であることで転写用プレート(4)の材料コスト及び製作コストを低減することができる。
【0029】
前記転写用プレート(4)に凹凸形状部(21)を形成する手法としては、特に限定されるものではないが、例えばレーザー加工法、金属バイトを用いた切削加工法、ダイヤモンドバイトを用いた切削加工法、研削加工法などが挙げられる。
【0030】
前記レーザー加工法を用いた場合には、小径の円形のレーザー光を用いて加工することになるので、レーザー光の径よりも微細な部分においては円形がそのまま加工面に付与されることとなる。
【0031】
また、切削加工を行う場合には、ダイヤモンドバイトを用いて行うのが好ましく、この場合には加工面を非常に平滑に加工することができる。
【0032】
この発明において、前記熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えばアクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート等が挙げられる。
【実施例】
【0033】
次に、この発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0034】
<実施例1>
前項で説明した図1の製造装置(1)(図1〜6参照)を用いて表面に凹凸形状を有する樹脂板(30)を製造した。即ち、前記製造装置(1)の押出機(2)のホッパー(6)に熱可塑性樹脂を投入し、180〜230℃の温度範囲で加熱・溶融・混練した後、熱可塑性樹脂を押出金型(3)の吐出口(10)から押出すことによって、図7に示すような表面に凹凸形状を有する樹脂板(30)を製造した。この時、転写用プレート(4)が、該プレートの凹凸形状部(21)が押出金型(3)の吐出口(10)の上方側の一部を塞ぐ態様で押出金型(3)の吐出側前面に当接状態に固定されているので、図7に示すような凹凸形状が樹脂板の表面に転写された。なお、冷却装置(5)からの霧状の水の吹き付けは全く行わないものとした(冷却装置は稼働しないものとした)。
【0035】
前記押出機(2)としては一軸(20mm径)押出機を用いた。また、前記熱可塑性樹脂としては、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(新日鐵化学社製「MS200NT」)を用いた。また、前記押出金型(3)の吐出口(10)の開口幅(E)は60mm、開口高さ(F)は2.0mmであった(図3、4参照)。また、前記転写用プレート(4)の凹凸形状部(21)の断面形状は、二等辺三角形状であり、その頂角(α)は90°であり、凹凸形状部(21)のピッチ(P1)は1.0mm、高さ(H)は0.40mm、厚さ(T)は2.0mmであった(図4及び図6参照)。前記転写用プレート(4)の凹凸形状部(21)はレーザー加工法により形成されたものである。
【0036】
<実施例2>
転写用プレート(4)として、凹凸形状部(21)の断面形状が二等辺三角形であり、その頂角(α)が90°であり、凹凸形状部(21)のピッチ(P1)が2.0mm、高さ(H)が0.90mm、厚さ(T)が2.0mmである転写用プレートを用いた以外は、実施例1と同様にして、図7に示すような表面に凹凸形状を有する樹脂板(30)を製造した。
【0037】
<実施例3>
前項で説明した図1の製造装置(1)(図1〜6参照)を用いて表面に凹凸形状を有する樹脂板(30)を製造した。即ち、前記製造装置(1)の押出機(2)のホッパー(6)に熱可塑性樹脂を投入し、180〜230℃の温度範囲で加熱・溶融・混練した後、熱可塑性樹脂を押出金型(3)の吐出口(10)から押出した後、この押出直後の樹脂板に冷却装置(5)から霧状の水を吹き付けて強制冷却することによって、図7に示すような表面に凹凸形状を有する樹脂板(30)を製造した。この時、転写用プレート(4)が、該プレートの凹凸形状部(21)が押出金型(3)の吐出口(10)の一部を塞ぐ態様で押出金型(3)の吐出側前面に当接状態に固定されているので、図7に示すような凹凸形状が樹脂板の表面に転写された。
【0038】
前記押出機(2)としては一軸(20mm径)押出機を用いた。また、前記熱可塑性樹脂としては、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(新日鐵化学社製「MS200NT」)を用いた。また、前記押出金型(3)の吐出口(10)の開口幅(E)は60mm、開口高さ(F)は2.0mmであった(図3、4参照)。また、前記転写用プレート(4)としては、図1で使用した転写用プレートを用いた。
【0039】
【表1】


【0040】
<得られた樹脂板の表面の凹凸形状の断面観察及び成形精度の算出法>
実施例1〜3で得られた各樹脂板の断面をパネルソーによって研削し、さらにプラビューティーによって鏡面化した後、超深度形状測定顕微鏡(KEYENCE社製、VK−8500)を用いて樹脂板の表面の凹凸形状の断面観察を行った。この断面観察から、実施例1〜3で得られた各樹脂板の厚さ(M)、幅(W)、表面凹凸のピッチ(P2)、表面凹凸の高さ(N)、表面凹凸の頂角(β)(図7参照)を調べた。これらの結果をそれぞれ表1に示す。これら数値に基づいて各実施例における成形精度(転写精度)を求めた。即ち、下記算出式より各実施例における成形精度を求めた。
成形精度(%)=N÷{(P2/2)×tan(90−α/2)}×100
その結果を表1に示す。
【0041】
表1から明らかなように、実施例1〜3のいずれにおいても成形精度は高く、実施例1〜3の各樹脂板は、表面に高精度に制御された凹凸形状を備えていた。また、実施例1と実施例3の成形精度の対比から明らかなように、押出直後の樹脂板に霧状の水を吹き付けて冷却した実施例3では、成形精度がさらに向上しており、より一層高精度に制御された凹凸形状を有する樹脂板を製造することができた。
【産業上の利用可能性】
【0042】
この発明に係る表面に凹凸形状を有する樹脂板の製造方法及び製造装置は、例えば、光拡散板、プリズムフィルム等の光学用板部材などの製造に好適に用いられるが、特にこのような用途に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】この発明の製造方法で用いる製造装置の一例を示す側面図である。
【図2】図1の製造装置の押出機及びその近傍を示す斜視図である。
【図3】転写用プレートと押出金型とを分離した状態で示す斜視図である。
【図4】転写用プレートが取付固定された押出金型を示す正面図である。
【図5】図4におけるX−X線の断面図である。
【図6】転写用プレートの下面側からの斜視図である。
【図7】(a)は、この発明の製造方法で製造された樹脂板の一例を示す斜視図、(b)は(a)におけるY−Y線の断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1…製造装置
2…押出機
3…押出金型
4…転写用プレート
5…冷却装置
10…吐出口
21…凹凸形状部
30…樹脂板
【出願人】 【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
【出願日】 平成18年7月28日(2006.7.28)
【代理人】 【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義

【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市

【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁


【公開番号】 特開2008−30291(P2008−30291A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−205863(P2006−205863)