| 【発明の名称】 |
成形容器の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】大久保 信章
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| 【要約】 |
【課題】防曇剤を表面に付与したフィルムを用いた成形容器の製造方法において、フィルム搬送用ローラーへの防曇剤の蓄積を防止し、フィルムへの十分な保護が得られ、かつ長時間安定して、搬送トラブルが無く、成形容器用フィルムを搬送できる食品用成形容器の製造方法を提供する。
【構成】防曇剤を表面に付与したフィルムを搬送用ローラーを用いて搬送する工程を含む成形容器の製造方法において、該フィルムの搬送用ローラーの表面にセルロース繊維を含む不織布を巻回したことを特徴とする成形容器の製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 防曇剤を表面に付与したフィルムを搬送用ローラーを用いて搬送する工程を含む成形容器の製造方法において、該フィルムの搬送用ローラーの表面にセルロース繊維を含む不織布を巻回したことを特徴とする成形容器の製造方法。 【請求項2】 前記セルロース繊維の含有率が50wt%以上であることを特徴とする請求項1記載の方法。 【請求項3】 前記セルロース繊維の繊度が0.1〜3dtexであることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。 【請求項4】 前記不織布の、温度20℃、湿度40%における摩擦耐電圧が2000V以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、成形容器の製造方法に関し、特に、食品容器のふた材などに用いられる、防曇剤を付与した食品成形用フィルムを用いた成形容器の製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 ポリオレフィンなどに代表される透明樹脂を押出し成形して得られたシートは、各種の成形機を用いて、加熱成形され、食品包装容器やその他物品の包装容器に用いられている。 これらの樹脂シートの成形品は、弁当容器や惣菜容器などのふた材として使用されることが多く、この場合、成形品の表面に防曇処理を施すのが一般的である。特許文献1には、代表的な防曇剤及び防曇性樹脂シートが開示されている。 【0003】 防曇剤を表面に付与した食品成形用フィルムの容器への成形工程において、通常、フィルムをローラーを用いて搬送する工程が多く用いられている。このフィルム搬送工程において、フィルム表面に付与した防曇剤が、ローラーで搬送する間に擦られて脱落し、また、摩擦、静電気等により、防曇剤がローラー表面に再付着し、固化し、搬送が不安定になったりすることで、、フィルム表面に傷をつけたりして、長時間の搬送安定性が低下するという問題が生じる。 【0004】 この問題を解決するために、綿繊維からなる起毛織物(通常、ネル織物)をローラー表面に巻きつけて、搬送安定性を向上されることが行われているが、防曇剤の拭き取り性が充分でなく、防曇剤が蓄積しやすく、フィルムの保護が不充分であり、また、磨耗による繊維脱落、摩擦による帯電圧の問題があり、特に、高速での搬送においては、充分な安定搬送が得られていない。 【特許文献1】特開2002−155159号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 本発明の課題は、防曇剤を表面に付与したフィルムを用いた成形容器の製造方法において、フィルム搬送用ローラーへの防曇剤の蓄積を防止し、フィルムへの十分な保護が得られ、かつ長時間安定して、搬送トラブルが無く、成形容器用フィルムを搬送できる食品用成形容器の製造方法を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明者は、前記課題を解決するために、防曇剤を表面に付与したフィルムを用いた成形容器の製造方法において、フィルム搬送用ローラーの表面にセルロース繊維を含む不織布を巻回することにより、フィルムの摩擦耐電圧を低下させ、さらに、防曇剤の拭き取り性を改良することにより、安価で、長時間のフィルムの搬送安定化を得ることができることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本願で特許請求される発明は以下の通りである。 【0007】 (1)防曇剤を表面に付与したフィルムを搬送用ローラーを用いて搬送する工程を含む成形容器の製造方法において、該フィルムの搬送用ローラーの表面にセルロース繊維を含む不織布を巻回したことを特徴とする成形容器の製造方法。 (2)前記セルロース繊維の含有率が50wt%以上であることを特徴とする上記(1)記載の方法。 (3)前記セルロース繊維の繊度が0.1〜3dtexであることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の方法。 (4)前記不織布の、温度20℃、湿度40%における摩擦耐電圧が2000V以下であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。 【発明の効果】 【0008】 本発明によれば、上記の構成により、ローラーへの脱落繊維が少なく、防曇剤のかきとり効果が良好であり、摩擦帯電圧も小さく、防曇剤のローラーへの付着も少なく、安価で、しかも、長時間の搬送安定化を得ることができ、長時間安定して成形容器を製造することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0009】 図1は、防曇剤を表面に付与したフィルムを用いた食品用成形容器の製造方法を模式的に示すものである。図1において、防曇剤を表面に付与したロール状に巻かれた食品成形容器用フィルム1は、ローラー2及び3によって搬送され、次いで加熱成形機5で特定の形状に熱成形され、その後、裁断機6で所定形状に裁断され、食品用成形容器7が製造される。 【0010】 通常、食品用成形容器の製造工程は、フィルムの幅1〜2m、フィルムの搬送速度5〜20m/分の連続加工により行なわれるが、連続運転に伴い、フィルムを搬送するローラー2、3、4などに防曇剤が付着し易いという問題があったが、本発明は、ローラー2、3、4等の表面にセルロース繊維を含む不織布を巻回して使用することにより、これを解決したものである。なお、セルロース繊維を含む不織布は、上記のローラー部だけでなく、フィルムが機械、治具などに接触して、防曇剤が脱落しやすい部分にも使用することができる。たとえば、フィルムの送り出しのガイド部や、成形部にバッファー部を設けた場合に、バッファーシンクタンクの内側にこの不織布を貼り付けたり、工程間のテーブル部でフィルムが接触する部分に不織布を貼り付けることで、防曇剤の脱落、蓄積を防止することができる。 【0011】 食品成形容器用フィルムとしては、特に限定されるものではなく、透明性のある熱可塑性樹脂であることが好ましく、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂などが好ましく用いられる。これの樹脂を2層以上多層化しても良い。また、1軸又は2軸方向に延伸処理しても良い。2軸延伸ポリスチレンシートとしては、OPSシート等が挙げられ、好ましく用いられる。このシートの厚みは、特に限定しないが、0.1〜2mmが加熱成形性の観点から好ましい。これらの樹脂には、ブロッキング防止剤、安定剤等を添加できる。 【0012】 防曇剤としては、通常の界面活性剤を用いることができ、例えば、非イオン性界面活性などが挙げられる。これらは1種、又は数種混合して用いることができる。それらの作用としては、成形品表面に、均一な水膜が形成され易くなり、その為防曇性が優れる。防曇剤の塗布量としては、20〜200mg/m2の範囲であり、好ましくは、50〜100mg/m2である。防曇剤とともに、滑り性、離型性を向上する目的で、シリコンを用いることもできる。 【0013】 搬送用のローラーとしては、ステンレスローラーが通常用いられ、ローラー径は50〜200mmであり、その表面にセルロース繊維を含む不織布を巻回配置することが必要である。 【0014】 この不織布におけるセルロース繊維の含有率は、50wt%以上が好ましく、より好ましくは80wt%以上、特に好ましくは100wt%である。セルロース繊維が50wt%未満では、セルロース繊維の吸湿性が充分に維持されず、公定水分率が5%以上を維持できないので、制電性が充分改善されない。セルロース繊維は、適度な親水性を有し、防曇剤との親和性が良好であり、セルロース繊維の内部又はセルロース繊維不織布の繊維間隙に、防曇剤が素早く吸液され、ローラー表面への防曇剤の蓄積を防止することができる。また、セルロース繊維自体は、柔軟性に富、フィルムとの接触においても、フィルム表面を傷つけることが無く、フィルムの表面保護の点で好適である。 【0015】 セルロースの繊維繊度は、0.1〜3dtexが好ましく、より好ましくは、0.2〜2dtexであり、さらに好ましくは0.2〜1dtexの範囲である。繊維繊度がこの範囲では、強度を損なうことなく、防曇剤のふき取り性が良好である。繊度が細いほど、防曇剤のふき取り性が良好であり、柔軟性に富、ローラー表面への防曇剤の蓄積を防止、フィルムの表面保護の点で優れており、さらに、不織布としての繊維分散がよく、面網羅性に優れ、目付斑が少なく、繊維間隙が小さくて均一であり、好ましい。特に、極細長繊維セルロース不織布は、その上、リントフリー性を備えており、これらの点から総合的に見て、好ましい態様である。 【0016】 セルロース繊維からなる不織布を用いた場合、フィルムの表面に付与された防曇剤は、ローラーとの摩擦接触により、フィルム表面から剥ぎ取られ、不織布の表面に付着するが、防曇剤自体が、セルロース繊維との親和性があり、細いセルロース繊維の表面または繊維間隙に吸着的に付着したり、不織布の繊維間隙に取り込まれ、防曇剤が部分的な大きな塊状で存在し、固形化したりすることが少ないことが特徴である。 【0017】 不織布がセルロース長繊維不織布であることがより好ましく、例えば、ベンリーゼ(旭化成せんい株式会社製、登録商標)等の再生セルロース長繊維不織布が挙げられる。セルロース長繊維不織布であると、不織布自体の表面毛羽が殆ど無く、磨耗での繊維の毛羽立ちも非常に少なくなる。そのため、磨耗による繊維の脱落も少ない。脱落繊維の評価としては、WET振とう法での脱落繊維数は、20000個/m2以下が好ましく、より好ましくは、15000個/m2以下である。 【0018】 不織布の嵩密度は、0.05〜0.3g/cm3の範囲が好ましく、より好ましくは、0.1〜0.2の範囲である。嵩密度が、この範囲にあると、適度な繊維空隙を有し、防曇剤の付着防止の点で好ましい。目付は、20〜100g/m2が好ましく、より好ましくは、30〜60g/m2の範囲である。不織布としての、開孔特性を示す、開孔面積率は、10〜30%であり、穴明きタイプの不織布が、防曇剤のかきとり効果の点で好ましい。 【0019】 本発明の不織布としては、表面の平滑性にすぐれ、表面繊維の剥ぎ取り量(表面繊維の剥離性)が少ない方が好ましい。この評価方法としては、テープ剥ぎ取り法が適用され、不織布表面繊維が粘着テープによって剥ぎ取られる量が少ないほど好ましい不織布であるといえる。特に、フィルムを搬送する場合のフィルムと不織布との表面摩擦に伴う表面繊維の剥ぎ取り性が少ない方が好ましい。 【0020】 本発明の不織布の摩擦耐電圧は、低湿度の条件、たとえば、温度20℃、湿度40%における摩擦耐電圧が2000V以下であることが好ましく、より好ましくは、1000V以下、が好ましい。また、通常湿度の条件、たとえば、温度20℃、湿度60%における摩擦耐電圧では、1000V以下であることが好ましく、より好ましくは、500V以下、が好ましい。摩擦耐電圧がこの範囲にあると、摩擦により生じた静電気の発生が少なく、ローラーの周辺異物の集塵作用が少なく、フィルム表面への異物の付着が少なくでき、防曇剤の付着蓄積が減少する。 【実施例】 【0021】 以下に実施例に基づいて、本発明を説明する。 実施例に用いた評価は以下の方法による。 (1) 繊維繊度:繊維を拡大し、平均繊維径を測定し、繊度を算出する。 (2) 目付:JIS―L−1085に準拠して測定する。 (3) 厚み:JIS―L−1085に準拠して測定する。 (4) 強伸度:タテ、ヨコ方向に、JIS―L−1085に準拠して50mm幅にて測定する。 (5) WET脱落繊維量: 15cm角の不織布2枚をビーカー中の300ccの純水中へ投入し、超音波を15分かけて、リントを水中へ脱落させた。その後、シートを取出し、直径4.7cmの黒色のセルロースエステルメンブランろ紙(アドバンテック社製ポアーサイズ0.8μm)で吸引ろ過し、ろ紙表面に捕捉された長さ100μmを超える大きさのリントの個数を計測して、シート1m2あたりに換算して示す。 【0022】 (6) WET浸とう法脱落繊維 上記WET脱落繊維量の測定において、ろ紙表面に補足された繊維量の多少を目視で判定する。 ○:脱落繊維が極軽微である。 △:脱落繊維が少ない。 ×:脱落繊維が多くある。 (7) 粘着テープによる繊維剥ぎ取り 1インチ幅の粘着テープを不織布表面に貼り付け、その後、粘着テープを不織布から剥ぎ取り、粘着テープ側に剥ぎ取られた繊維量を目して判定する。 ○:剥ぎ取り繊維が極軽微である。 △:剥ぎ取り繊維が少ない。 ×:剥ぎ取り繊維が多くある。 【0023】 (8) 耐磨耗性:JIS−L−0849法に準じて、学振型摩擦試験機を用い、DRY500回の磨耗試験後の不織布の表面状態を目視で判定する。 ○:表面の傷つきが極軽微である。 △:表面の傷つきが少ない。 ×:表面の傷つきが多くある。 (9) マーチンデール磨耗:JIS−L−0849法に準じて、マーチンデール磨耗1万回後の不織布の表面状態を目視で判定する。 ○:表面のももけが極軽微である。 △:表面のももけが少ない。 ×:表面のももけが多くある。 【0024】 (10)摩擦耐電圧:JIS−L−1094法に準じて、摩擦布として、厚み0.3mmの2軸延伸ポリスチレン系樹脂フィルム(大日本インク化学工業社製デイックシートGK)(以下OPSシート)を用い、20℃湿度40%RH、20℃湿度60%RHにおいて、不織布との摩擦耐電圧を測定する。 (11)成形容器用フィルムの搬送安定性の評価 防曇剤のローラーへの付着状態の目視判定。 ◎:防曇剤のローラーへの付着は殆ど無い ○: 防曇剤のローラーへの付着状態は少ない。 △:防曇剤のローラーへの付着状態はやや多い。 ×:防曇剤のローラーへの付着状態は非常に多い。 フィルム表面への傷つき状態の目視判定。 ◎:フィルム表面への傷つきは殆ど無い。 ○:フィルム表面への傷つきは少ない。 △:フィルム表面への傷つきやや多い。 ×:フィルム表面への傷つきは非常に多い。 【0025】 〔実施例1、実施例2、比較例1〕 厚み0.3mmの2軸延伸ポリスチレン系樹脂フィルム(大日本インク化学工業社製、商品名デイックシートGK)(以下OPSシートして略記する)の片面に、防曇剤(ショ糖ラウリン酸エステル:固形分40wt%)を固形分で100mg/m2塗布し、防曇剤塗布OPSシートとした。得られた、防曇剤塗布OPSシートを、図1に示すような成形装置にかけ、ローラー2(ステンレス製、150mm径)にそれぞれ、不織布1(実施例1)、不織布2(実施例2)、綿ネル(比較例1)を各々2重にして巻きつけ、前記防曇剤塗布OPSシートを10m/分の搬送速度で、5時間搬送し、その搬送工程での、ローラー2表面への防曇剤の付着状態、シート表面への傷つき性等、搬送安定性を評価したその結果を、表1に示した。 【0026】 なお、不織布1は、キュプラセルロース長繊維不織布であるベンリーゼ60g/m2(旭化成せんい社製)、不織布2は、ベンリーゼ50g/m2とエステルスパンボンド不織布20g/m2(エルタス旭化成せんい社製)を水流交絡し、積層したものであり、綿ネルは、市販の100g/m2の両面起毛品である。 【0027】 実施例1は、キュプラ長繊維100%不織布(60g/m2)をローラーに巻きつけたものであり、不織布として、WET脱落繊維量、WET浸とう法脱落繊維の性能が良好であり、防曇剤のかきとり効果が良好であり、摩擦帯電圧も小さく、防曇剤のローラーへの付着も殆ど無く、防曇剤塗布OPSシートの良好な搬送安定性を得た。 【0028】 一方、比較例1においては、通常用いられる綿ネルをローラーに巻きつけたものであり、脱落繊維が多く、繊維毛羽の脱落があり、摩擦耐電圧も高く、防曇剤のローラーへの付着が多くあり、防曇剤塗布OPSシートの良好な搬送安定性は得られなかった。 【0029】 【表1】
【図面の簡単な説明】 【0030】 【図1】防曇剤を表面に付与したフィルムを用いた食品用成形容器の製造方法を模式的に示す図。 【符号の説明】 【0031】 1:フィルム、2,3,4:ローラー、5:成形機、6:裁断機、7:製品
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| 【出願人】 |
【識別番号】303046303 【氏名又は名称】旭化成せんい株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年7月27日(2006.7.27) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2008−30259(P2008−30259A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月14日(2008.2.14) |
| 【出願番号】 |
特願2006−204324(P2006−204324) |
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