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【発明の名称】 成形品の成形方法及び成形装置
【発明者】 【氏名】石倉 健太郎

【氏名】川村 正英

【要約】 【課題】シボ流れの生じない成形品が確実に得られ、成形品の歩留まりを向上させること。

【構成】シボ加工用の金型1を用いて、表面にシボ模様の凹凸がある成形品Aを所定の成形条件で成形加工するにあたって、成形品Aを金型1から取り出す際に成形品Aの表面温度を計測し、計測される温度が成形品Aのシボ流れが生じない温度以下となるように上記成形条件を制御するようにした成形方法及び成形装置である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シボ加工用の金型を用いて、表面にシボ模様の凹凸がある成形品を所定の成形条件で成形加工するにあたって、成形品を金型から取り出す際に成形品の表面温度を計測し、計測される温度が成形品のシボ流れが生じない温度以下となるように上記成形条件を制御することを特徴とする成形品の成形方法。
【請求項2】
上記制御される成形条件は、冷却温度又は冷却時間の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1記載の成形品の成形方法。
【請求項3】
表面にシボ模様の凹凸がある成形品を所定の成形条件で成形加工するシボ加工用の金型と、成形品を取り出す成形品取出装置とを備えた成形装置であって、上記成形品取出装置に成形品を金型から取り出す際に成形品の表面温度を計測する温度センサーを設けると共に、計測される温度が成形品のシボ流れが生じない温度以下となるように上記成形条件を制御するための制御部を設けたことを特徴とする成形品の成形装置。
【請求項4】
上記制御される成形条件は、冷却温度又は冷却時間の少なくとも一方であることを特徴とする請求項3記載の成形品の成形装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、表面にシボ模様の凹凸がある成形品の成形方法及び成形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、プラスチックの射出成形において、射出成形機にシボ加工用の金型を取り付け、その金型内に加熱溶融された樹脂を射出し、樹脂の冷却硬化を待って、金型から取出すことにより、表面にシボ模様の凹凸がある成形品を得るようにしている(例えば、特許文献1参照)。このようなシボ加工は、装飾効果の高いプラスチック成形においては不可欠な存在となっている。
【0003】
ところで、成形品を金型から取り出す際に、その取り出し温度が高いと金型内で一度転写されていた表面の凹凸がその熱によって消失したり不鮮明になる、所謂シボ流れが発生するようになる。つまり、射出成形のサイクルアップを図るうえでは冷却時間を短くするのが有効な方法であるが、あまり短くすると冷却不足により取り出したときの成形品の温度が高く、金型内で一度転写されていた凹凸が緩和して、転写性が悪くなり、シボ流れによる製品不良を起こすという不具合が生じ得る。
【特許文献1】特許第3038207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、シボ流れの生じない成形品が確実に得られ、成形品の歩留まりを向上させることができる成形方法及びその成形装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、シボ加工用の金型1を用いて、表面にシボ模様の凹凸がある成形品Aを所定の成形条件で成形加工するにあたって、成形品Aを金型1から取り出す際に成形品Aの表面温度を計測し、計測される温度が成形品Aのシボ流れが生じない温度以下となるように上記成形条件を制御することを特徴としている。
【0006】
また請求項3記載の発明は、表面にシボ模様の凹凸がある成形品Aを所定の成形条件で成形加工するシボ加工用の金型1と、成形品Aを取り出す成形品取出装置2とを備えた成形装置であって、上記成形品取出装置2に成形品Aを金型1から取り出す際に成形品Aの表面温度を計測する温度センサー5を設けると共に、計測される温度が成形品Aのシボ流れが生じない温度以下となるように上記成形条件を制御するための制御部6を設けたことを特徴としている。
【0007】
このような請求項1の方法、請求項3の装置を採用することで、成形品Aの表面温度を計測して、計測される温度が所定温度を越えるときは取り出した成形品Aを不良品とみなし、成形条件をコントロールして計測される温度が所定温度以下となったときに取り出される成形品Aを良品とみなすことによって、シボ流れがない成形品Aが確実に得られるようになる。
【0008】
また、請求項2及び請求項4記載の発明は、上記制御される成形条件が、冷却温度又は冷却時間の少なくとも一方であるので、取り出し温度の計測結果に基づいて冷却温度や冷却時間を変化させるという簡易な方法で、シボ流れをより確実に防止できるようになる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る成形品の成形方法及び成形装置にあっては、成形品を金型から取り出す際に成形品の表面温度を計測し、計測される温度が成形品のシボ流れが生じない温度以下となるように成形条件を制御することにより、シボ流れがない良好な成形品が確実に得られ、成形品の歩留まりを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0011】
本実施形態の成形装置は、図2に示すように、シボ加工用の金型1と、該金型1に成形材料を射出する射出成形機3と、成形品Aを自動的に取り出す成形品取出装置2とを備えている。
【0012】
上記シボ加工用の金型1は、表面に凹凸がある成形品Aを所定の成形条件で成形加工するための可動型1aと固定型1bとからなり、射出成形機3からスプルーを介して可動型1aと固定型1bの間に区画形成されるキャビティ内に溶融した樹脂成形材料が射出されるものである。
【0013】
上記成形品取出装置2は、図1に示すように、上下に昇降可能な昇降フレーム2aの下端から取付プレート2bが突設され、この取付プレート2bに、成形品A(例えば雨樋エルボ)を掴むチャックユニット4と、成形品Aを金型1から取り出す際に該成形品Aの表面温度を計測するための温度センサー5とがそれぞれ設置されている。温度センサー5は、検知誤差を少なくするために例えば赤外線センサーのような非接触型センサーが用いられるが、もちろん接触型センサーであってもよい。
【0014】
上記温度センサー5のリード線5aは制御部6(図3)に接続されている。制御部6は、温度センサー5からの信号を処理するマイクロコンピュータで構成されている。マイコン記憶部には取り出し温度の閾値(例えば80℃)が予め記憶されており、温度センサー5にて検知される温度が閾値以下となるように各種成形条件を変更する働きをする。成形条件として例えば冷却温度や冷却時間が挙げられる。なお、取り出し温度の閾値は80℃に限るものではなく、成形品Aの材質やシボ加工の種類などに応じて適宜設定変更自在である。
【0015】
次に、成形工程の一例を説明する。先ず、シボ加工用の金型1(可動型1a、固定型1b)を型締めし、射出成形機3から金型1のキャビィティー内に溶融樹脂材料を射出し、冷却硬化してから金型1を開く。その後、昇降フレーム2aを下降してチャックユニット4を可動型1a内の成形品Aを相対して保持させると同時に、温度センサー5で成形品Aの表面温度を計測する。しかる後に、昇降フレーム2aを上昇制御して金型1間から成形品Aを取出して解放位置まで移動した後、成形品Aの保持を解除して取出し動作を終了する。
【0016】
ここで、上記成形品Aを取り出す際に、温度センサー5によって成形品Aの表面温度が計測されると、その温度データは制御部6に送られ、予め設定された閾値(例えば80℃)と比較し、検知された温度が閾値よりも高いときは、図3(b)に示す冷却能力アップ工程を実行する。冷却能力アップでは、例えば金型1に供給される冷却水の温度を下げるようにする。これは温度センサー5からの検知温度が閾値以下になるまで続けられる。また冷却水の温度を下げただけでは成形品Aの温度が下がらないときは、成形品Aの冷却時間を延長する工程を実行する。この冷却時間の延長は温度センサー5からの検知温度が閾値以下になるまで続けられる。
【0017】
このように、温度センサー5で計測される温度(取り出し温度)が制御部6で予め定めた閾値(成形品のシボ流れが生じない温度)よりも高い場合には生産される成形品Aを不良品とみなし、その後、冷却温度を下げたり冷却時間を延ばしていき、閾値以下となったときの冷却温度と冷却時間を成形条件にフィードバックさせることによって、シボ流れがなく且つ外観、感触性などに優れた高級感のある成形品A(良品)が確実に得られるようになる。しかも取り出し温度の計測結果に基づいて冷却温度や冷却時間を変化させるという簡易な方法で、成形品Aの不良品、良品の区別が明確となり、成形品Aの歩留まりを向上させることができる。
【0018】
本発明者らの実験によれば、成形品Aの成形材料としてPVC(信越化学工業(株)製)を用い、成形条件として、シリンダー温度を180℃、金型温度を25℃、冷却水流量を5リットル/minとし、型締めから取り出しまでの成形サイクルを25秒(型締め2秒→射出4秒→保圧1.5秒→冷却時間12秒→型開き2.5秒→成形品A取出し3秒)とし、対象射出成形品Aとして雨樋エルボを成形加工した。そして取り出す際に雨樋エルボの表面温度を温度センサー5にて計測した。表面温度が80℃(PVCの軟化温度)以上のときには冷却能力を高めるために、金型1温度を25℃から20℃まで下げ、冷却水流量を5リットル/minから7リットル/minまで上げた。それでも80℃以下にならないときは、冷却時間を12秒から15秒まで延ばした。そして80℃以下となったときにこれら冷却温度及び冷却時間を成形条件にフィードバックして、新たに設定した成形条件下で射出成形を行なうことにより、表面の凹凸が確実に転写された良品を連続的に生産できるようになった。
【0019】
本発明に係る成形方法及び成形装置は、前記雨樋エルボの成形に限らず、表面にシボ模様の凹凸がある射出成形品の製造に広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態の一例を説明する成形品の温度計測を行なう温度センサーを備えた成形装置の要部説明図である。
【図2】同上の成形装置全体の概略説明図である。
【図3】(a)は同上の制御ブロック図、(b)は同上の成形サイクルの説明図である。
【符号の説明】
【0021】
1 金型
2 成形品取出装置
5 温度センサー
6 制御部
A 成形品
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成18年7月26日(2006.7.26)
【代理人】 【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清

【識別番号】100085604
【弁理士】
【氏名又は名称】森 厚夫


【公開番号】 特開2008−30247(P2008−30247A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−203949(P2006−203949)