トップ :: B 処理操作 運輸 :: B29 プラスチツクの加工;可塑状態の物質の加工一般




【発明の名称】 射出成形機の作動油の気泡除去器及び作動油タンク
【発明者】 【氏名】種村 大樹

【要約】 【課題】本体内に旋回流路を設けることによって、作動油タンクに還流して来る戻り油の気泡を遠心力により効率よく分離できるようにし、容量が小さな作動油タンクでも気泡の分離除去が十分に行えるように構成する。

【構成】管体周囲に多数の流出孔を有する外管と外管中心の内管とによる気液分離管と、内部を床板により片側に開口部を有する上室と下室とに区画した円筒形の本体とからなる。本体の上室に気液分離管の下端部を挿入して流通口を開口部に隣接する。流通口と開口部の境を仕切片により遮断して上室を旋回流路に形成する。下室に流入口を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部を除く管体周囲に多数の流出孔を有する外管の中心に、中央部から下部の管体周囲に多数の流出孔を有する小径の内管を設置して管体間を流路に形成し、流通口を外管の管体下端部に設けた気液分離管と、
上記外管よりも大径の円筒形で上端を塞ぐ天板の中央部に上記気液分離管の挿入穴を有し、内部を床板により片側に開口部を有する上室と下室とに区画した本体とからなり、
その本体の上室に上記気液分離管の下端部を挿入して上記流通口を上記開口部に隣接し、その流通口と開口部の境を仕切片により遮断して上室を上記流路と連通した旋回流路に形成し、下室に流入口を設けてなることを特徴とする射出成形機の作動油の気泡除去器。
【請求項2】
上記請求項1記載の気泡除去器を、タンク内の戻り油の還流口に上記本体の下室の流入口を連結してタンク内に立設し、作動油のタンク内における液面の高さを、上記気液分離管の上端が液面より突出して上記内管から気体が液面上に放出される高さに制限してなることを特徴とする射出成形機の作動油タンク。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、油圧回路からタンクに戻される作動油中の気泡を遠心力により除去する射出成形機の作動油の気泡除去器と、その気泡除去器を備えた作動油タンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
射出成形機の油圧回路は、図5に例示するような構成からなり、最低部のタンク100に貯められた作動油は、ポンプ101により吸い上げられて回路中の制御バルブの切換操作により、ノズルタッチシリンダ102、射出シリンダ103、オイルモータ104、図示しない型締シリンダや突出シリンダのそれぞれに圧送(実線矢印)される。また各シリンダやオイルモータから排出された油(点線矢印)はタンク100戻される。
【0003】
作動油の気泡は、回路を流動する過程において発生するものであるが、これまでは使用される作動油の油量が多いことから、気泡の除去はタンク内での自然脱泡で十分であった。しかし、型締や突出の駆動源を電動モータとするハイブリッド化や作業効率の向上などから使用油量が少さくなり、それに応じてタンク容量が小さくなると、作動油のタンクに貯められる時間が短くなって、自然脱泡が不十分なままポンプに吸い上げられて油圧回路に圧送される。気泡を含んだ作動油がポンプにより圧縮されると騒音が生じ、また油圧制御のばらつきの要因となる。このためタンク容量が小さくなっても、作動油の気泡を効率よく除去できる手段が望まれている。
【0004】
オイルが含有する気泡を旋回流を利用して除去する手段として、中央軸に直交する断面が円形で、その断面がオイルの流動方向に向かうにしたがって縮径し、両端が閉じられた円錐台形の旋回流室と、その旋回流室の中心に設置した気泡除去管とからなる気泡除去装置がある。
【特許文献1】特開平3−123605号公報
【特許文献2】特開平5−296018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記気泡除去装置では、気泡を含有するオイルをポンプにより旋回流室の接線方向に流入し、旋回流室内でオイルの流れを激しい旋回流にして、気泡を多量に含有するオイルと、気泡を低濃度で含有するオイルとを比重差により分離している。比重差から旋回流中心軸部に集まった気泡を多量に含有するオイルは、気泡除去管の孔から気泡除去管内を通して、管上端又は下端から還流オイルが貯められているオイルパン内に吸引又は落下により流出して除去され、還流オイルと共に再びポンプにより旋回流室に送り込まれる。一方、気泡含有量が少ないオイルは旋回流室の孔から流出する、という仕組みを必要とする。
【0006】
このような仕組みの気泡除去装置を、油圧回路の作動油タンクに採用して戻り油の気泡の除去を行うには、タンクの構造変更と旋回流発生用のポンプ及びポンプ回路が必要となる。また分離後の気泡を多量に含有する作動油を戻り油と共に再びポンプにより旋回流室に送り込むことになるので、戻り油の気泡含有量が増し、使用油量の少ない小容量の作動油タンクでは、気泡の除去効率の点からも採用し難い課題を有する。
【0007】
この発明の目的は、作動油タンクに還流して来る戻り油の流れをポンプを用いずに旋回流となすことによって、これまでの作動油タンクでも構造を変えることなく遠心力による気泡の分離が効率よく行え、またタンク内への設置も簡単で大きなスペースを要せず、容量が小さな作動油タンクでも気泡の分離除去が十分に行え得る新たな気泡除去器と、その気泡除去器を備えた作動油タンクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的によるこの発明の気泡除去器は、下部を除く管体周囲に多数の流出孔を有する外管の中心に、中央部から下部の管体周囲に多数の流出孔を有する小径の内管を設置して管体間を流路に形成し、流通口を外管の管体下端部に設けた気液分離管と、上記外管よりも大径の円筒形で上端を塞ぐ天板の中央部に上記気液分離管の挿入穴を有し、内部を床板により片側に開口部を有する上室と下室とに区画した本体とからなり、その本体の上室に上記気液分離管の下端部を挿入して上記流通口を上記開口部に隣接し、その流通口と開口部の境を仕切片により遮断して上室を上記流路と連通した旋回流路に形成し、下室に流入口を設けてなる、というものである。
【0009】
またこの発明の作動油タンクは、上記気泡除去器を、タンク内の戻り油の還流口に上記本体の下室の流入口を連結してタンク内に立設し、作動油のタンク内における液面の高さを、上記気液分離管の上端が液面より突出して上記内管から気体が液面上に放出される高さに制限してなる、というものである。
【発明の効果】
【0010】
上記構成では、管体周囲に多数の流出孔を有する外管と内管とによる二重管の気液分離管と、その気液分離管を天板に挿入した本体とから気泡除去器を構成し、その本体の内部に区間形成した上室を気液分離管の下端部の挿入により旋回流路に形成したことにより、作動油タンクに流下する戻り油の勢いだけでも旋回流が生じ、遠心力による気泡の分離が内管により行えるので、ポンプなどの旋回流を発生するための特別な手段が不要となる。
【0011】
また旋回流路の形成も、流通口を設けた気液分離管の下端部を床板により区画した本体内の上室に挿入して、流通口を上室片側の開口部に隣接し、その流通口と開口部の境を仕切片により遮断するだけで簡単に形成でき、仕切片により旋回流が気液分離管の流路へと導かれるので、戻り油の勢いで旋回流が気液分離管の上方へと生じて、遠心力と比重の差とによる気泡の分離を内管により効率よく行うことができる。
【0012】
また作動油タンクでは、気泡除去器をタンク内に立設して、作動油の液面上に気液分離管の上端を突出するだけでよく、これにより気泡が内管からタンク内空間に気体となって放出されるので、小容積の作動油タンクでも戻り油からの気泡の分離除去が効率よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図中1は気液分離管で、所要長さ(例えば365mm)の外管11の中心に、該外管の管径(例えば80mm)よりも小径(例えば22mm)の内管12を設置して管体間を流路13に形成した二重管からなる。外管11の上下部を除く管体周囲には作動油の多数の流出孔14,14が長手方向に並列に穿設してあり、管体下端部には側壁の一部を切開して形成した流通口15と、流通口片縁の切片よる仕切片16とが設けてある。
【0014】
また内管12の中央部から下端部までの管体周囲には、気泡が管内に流出する多数の流出孔17,17が長手方向に並列に穿設してある。この流出孔17は上記外管11の流出孔14の孔径(例えば14mm)よりも小径(例えば3mm)の孔からなる。
【0015】
2は上記外管11よりも大径の円筒形(例えば直径125mm、高さ105mm)の本体で、上端を塞ぐ天板21の中央部に上記気液分離管1の挿入穴22を有する。また内部は片側を切欠した床板23により開口部24を片側に有する上室25と下室26とに区画されており、下端を塞ぐ下室26の底板27に流入口28が設けてある。なお、図では省略するが、流入口28は下室26の側面に設けてももい。
【0016】
上記本体2の上室25には、天板21に挿入(例えば50mm)した上記気液分離管1の下端部が、流通口15を開口部24に隣接して位置し、その流通口15と開口部24の境を上記仕切片16により遮断して、上室25を上記流路13と連通した戻り油の旋回流路に形成してある。
【0017】
上記床板23による本体内の上下室の区画は、予め気液分離管1の下端に床板23を当接して外管11と内管12とを溶接し、その床板23を付けた状態で気液分離管1を本体2の内側から天板21の挿入穴22に挿入して行うことができる。床板23の当接は仕切片16を床板27の切欠縁23′に重ねて行い、上記流通口片縁の仕切片16が天板21に接するところまで挿入したのち、その位置で外管11を天板21に溶接し、床板23を本体2の周壁に溶接する。これにより床板23による上室25と下室26の区画及び開口部24の形成と、仕切片16による流通口15と開口部24との境の遮断とが行われる。床板23の溶接後に連結口28を設けた底板27を本体下端に当接して溶接する。
【0018】
図4は、射出成形機の作動油タンク3を示すもので、タンク底板31に還流口32が給出口33と共に上向きに設けてあり、その還流口32に上記気泡除去器が本体2の下室26の連結口28を嵌合してタンク内に立設してある。また作動油4のタンク内における液面Lの高さは、液面Lとタンク天井34との空間35に、上記気液分離管1の上端が液面Lより突出して、上記内管12から分離した気体が空間35に放出される高さに制限しある。放出された気体はタンク3の上隅部に穿設した排気穴36から外部に自然排気される。
【0019】
上記構成の作動油タンク3では、シリンダやオイルモータなどから排出されたのち管路を流下して戻された油が還流口32から気泡除去器に流入する。気泡除去器では本体2の下室26と上室25が開口部24により連通し、さらに上室25と気泡分離管1の内部の流路13が流通口15により連通しているので、下室26の戻り油は上室25を経て流路13に勢いよく流入し、外管11の流出孔14からタンク内へと流出してゆく。
【0020】
この流動過程において、上室25が本体2と外管11の円周壁を内外壁とする旋回流路に形成されていることから、戻り油はその内外壁に沿って旋回するように流れる。この旋回流の勢いは流下してくる戻り油の流量に比例するが、上室25の先の流路13の平断面が円形であることによって、旋回流は流路13の上方へと移りゆく。戻り油が旋回しながら流れると遠心力が生じ、比重の差から気泡が旋回中心の内管12側に寄せ集められて、旋回流の外側になるほど気泡が減少する。
【0021】
内管12には小径の流出孔17,17が下端部から上方の管体周囲に穿設してあるので、寄せ集められ気泡は流出孔17,17から内管12の管内に流入して戻り油から分離され、さらに管内を気体となって上昇し、内管12の上端の開口から液面L上のタンク内空間35に放出される。この分離除去は旋回流が解消されるまで生じ、これにより気泡の分離除去が効率良く行われる。また脱泡された戻り油は遠心力により外管11の流通孔14,14からタンク内に流出し、気泡を殆ど含まない作動油4としてタンク内には貯えられる。これにより使用油量の減少から小容量のタンクであっても気泡の分離除去を効率よく行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明に係わる作動油の気泡除去器の縦断正面図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図である。
【図3】同じく本体を縦断して示す気泡除去器の正面図である。
【図4】この発明に係わる作動油タンクの縦断正面図である。
【図5】射出成形機の油圧回路図である。
【符号の説明】
【0023】
1 気液分離管
2 円筒形の本体
3 作動油タンク
4 作動油
11 外管
12 内管
13 流路
14 作動油の流出孔
15 流通口
16 仕切片
17 気泡の流出孔
21 天板
23 床板
24 開口部
25 上室
26 下室
27 底板
28 連結口
31 タンク底板
32 還流口
【出願人】 【識別番号】000227054
【氏名又は名称】日精樹脂工業株式会社
【出願日】 平成18年7月26日(2006.7.26)
【代理人】 【識別番号】100062225
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 輝雄

【識別番号】100079588
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 宗和


【公開番号】 特開2008−30232(P2008−30232A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−203362(P2006−203362)