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【発明の名称】 コンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルム、金属化フィルムおよびフィルムコンデンサ
【発明者】 【氏名】浅野 哲也

【氏名】西田 聖児

【要約】 【課題】

【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム長手方向に平行な静摩擦係数をμsmとし、フィルム幅方向に平行な静摩擦係数をμstとしたとき、静摩擦係数μsmおよび静摩擦係数μstがいずれも0.40〜1.20の範囲内にあり、かつ静摩擦係数μsmと静摩擦係数μstの比(μsm/μst)が0.70以上1.05未満であることを特徴とするコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルム。
【請求項2】
マイクロメーター法によるフィルム厚みt1(μm)と重量法によるフィルム厚みt2(μm)が下記式(1)を満足し、かつフィルム表面の中心線平均粗さRa(nm)が下記式(2)を満足することを特徴とする請求項1記載のコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルム。
t2≦t1≦1.05×t2+0.25 ・・・(1)
20≦Ra≦75 ・・・(2)
【請求項3】
重量法によるフィルム厚みt2が0.5〜10.0μmの範囲内にあることを特徴とする請求項1または2記載のコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルム。
【請求項4】
面配向係数fnが0.155〜0.180の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルム。
【請求項5】
同時二軸延伸法によって製膜製造されてなる請求項1〜4のいずれかに記載のコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルムの少なくとも片面に金属膜が設けられてなる金属化フィルム。
【請求項7】
金属膜の表面電気抵抗が1〜20Ω/□の範囲内にあることを特徴とする請求項6記載の金属化フィルム。
【請求項8】
請求項6または7記載の金属化フィルムを用いてなるフィルムコンデンサ。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれかに記載のコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルムを用いてなるフィルムコンデンサ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、電気特性が良く、厚み均一性の良く、かつハンドリング性に優れたコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルムに関するものであり、さらに詳しくは、本発明は、生産性と加工性、および耐電圧性に優れたコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルムおよびそれを用いてなる金属化フィルムとフィルムコンデンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、有機高分子フィルムを誘電体として用いたフィルムコンデンサは広く用いられており、特に、ポリエステルフィルムと金属箔を交互に巻回するか、ポリエステルフィルムに金属を蒸着して電極とし、これを巻回または積層することによりフィルムコンデンサを得る技術が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、これらのコンデンサ用のポリエステルフィルムのほとんどは、無機粒子あるいは有機粒子を添加含有させることなどによりフィルム表面を粗面化し、加工性、すなわちフィルムコンデンサ製造工程におけるスリット性、巻取り性あるいは積層性などを確保している(特許文献2参照)。しかしながら、加工性を追求するために粒子添加による粗面化を進めすぎると、フィルムコンデンサ自体の特性が低下する傾向がある。
【0004】
近年、電気機器の小型化に伴い、フィルムコンデンサも小型化の要求が高まる傾向にある。このような状況下で使用されるフィルムは、さらに薄膜化し、フィルムにかかる電位傾度が高まるため、フィルムコンデンサが絶縁破壊を起こす問題が発生することがある。
【0005】
このような問題に対し、フィルム中の金属およびリン残存量の規定、および表面粗さを特定の範囲とすることによりフィルムコンデンサの耐電圧特性などを改善する方法が提案されている(特許文献3参照)。
【0006】
また、フィルムのヤング゛率と長手方向と幅方向の静摩擦係数の比を規定し、長手方向の静摩擦係数を幅方向の静摩擦係数よりも大きくすることで長手方向の耐摩耗性を向上させる提案がされている(特許文献4)。
【特許文献1】特開昭63−194318号公報
【特許文献2】特開平6−312453号公報
【特許文献3】特開平9−302111号公報
【特許文献4】特開2000−25107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の特許文献3、4で提案された方法では、耐電圧の向上レベルが十分満足できるものでなく、より一層の耐電圧と加工性の向上が求められていた。さらに、特許文献4で提案された方法では、10μ以下の薄く腰の弱いフィルムのコンデンサ蒸着加工では、蒸着時の搬送蛇行が生じやすく、またキャンドラム上での幅縮みによる熱負け欠点が生じる問題もあった。そこで本発明の目的は、かかる問題を解決し、特にフィルムコンデンサとした場合の加工性と耐電圧をより良好とさせ得る二軸延伸コンデンサ用ポリエステルフィルムと金属化フィルムを提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、上記のコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルムまたは金属化フィルムを用いた改善された耐電圧特性を有するフィルムコンデンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意検討の結果、本発明に想到したものである。本発明のコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルムは、フィルム長手方向に平行な静摩擦係数をμsmとし、フィルム幅方向に平行な静摩擦係数をμstとしたとき、静摩擦係数μsmおよび静摩擦係数μstがいずれも0.40〜1.20の範囲内にあり、かつ静摩擦係数μsmと静摩擦係数μstの比(μsm/μst)が0.70以上1.05未満であることを特徴とするコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルムである。
【0010】
本発明のコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルムの好ましい態様によれば、マイクロメーター法によるフィルム厚みt1(μm)と重量法によるフィルム厚みt2(μm)が下記式(1)を満足し、かつフィルム表面の中心線平均粗さRa(nm)が下記式(2)を満足するものである。
t2≦t1≦1.05×t2+0.25 ・・・(1)
20≦Ra≦75 ・・・(2)
本発明のコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルムの好ましい態様によれば、本発明のコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルムの重量法によるフィルム厚みt2が0.5〜10.0μmの範囲内にあり、そしてその面配向係数fnが0.155〜0.180の範囲内にある。
【0011】
本発明のコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルムの好ましい態様によれば、本発明のコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルムは同時二軸延伸法によって製膜製造されてなるものである。
【0012】
本発明の好ましい態様によれば、本発明のコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルムのの少なくとも片面に金属膜を設けて表面電気抵抗が1〜20Ω/□の範囲内にある金属化フィルムを製造することかでき、そして本発明のコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルムまたはその金属化フィルム用いてフィルムコンデンサを製造することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、蒸着工程での加工性やフィルムコンデンサの素子工程での加工性と耐電圧に優れたコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルムと金属化フィルムが得られる。また、本発明により、改善された耐電圧特性を有するフィルムコンデンサが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、さらに詳しく本発明のコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルム、および金属化フィルムとフィルムコンデンサについて説明する。
【0015】
本発明に係るコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルムは、フィルム長手方向に平行な静摩擦係数をμsmとし、フィルム幅方向に平行な静摩擦係数をμstとしたとき、静摩擦係数μsmおよび静摩擦係数μstがいずれも0.40〜1.20の範囲内にあり、かつ静摩擦係数μsmと静摩擦係数μstの比(μsm/μst)が0.70以上1.05未満のポリエステルフィルムである。
【0016】
フィルム長手方向に平行な静摩擦係数μsmおよびフィルム幅方向に平行な静摩擦係数μstが0.40より小さい場合、蒸着加工時の冷却キャンへの密着度合いが悪く蒸着時の熱ダメージを受けやすく熱負け欠点が生じやすくなる。また、コンデンサ素子巻工程後では、コンデンサ素子のプレス性が悪化する。また、フィルム長手方向に平行な静摩擦係数μsmおよびフィルム幅方向に平行な静摩擦係数μstが1.20を超える場合は、蒸着工程、スリット工程およびコンデンサ素子巻工程において、搬送時にキズが付きやすくなり欠点となる。特に、コンデンサ素子巻工程ではシワが入り易く、層間間隙も狭く局所的な層間密着が発生し電界集中により耐圧が低下し易い。
【0017】
フィルム長手方向に平行な静摩擦係数μsmおよびフィルム幅方向に平行な静摩擦係数μstのより好ましい範囲は、0.50〜1.10の範囲内であり、さらに蒸着工程、スリット工程およびコンデンサ素子工程における欠点が改善され加工性に優れたフィルムが得られる。
【0018】
また、静摩擦係数μsmと静摩擦係数μstの比(μsm/μst)が0.70より小さい場合、蒸着加工時の冷却キャンへの密着度合に偏りが生じフィルム幅方向の収縮時にシワが発生し易くなり、膜抜けという欠点が生じやすい。また、比(μsm/μst)が1.05以上である場合、蒸着加工時の冷却キャンへの密着時にフィルム幅方向へずれやすくマージンぶれなどの欠点となり好ましくない。特に、マージン精度を必要とする場合は、比(μsm/μst)が0.70以上、0.85以下であることが好ましい。このようにすることで、マージンぶれなどの欠点等が無く蒸着加工性が格段に向上する。
【0019】
静摩擦係数の測定方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、フィルムの長手方向とフィルムの幅方向にそれぞれ長さ10cm×幅7.5cmにカットした長方形のサンプルをそれぞれ採取し、サンプルA面/B面(表面/裏面)についてスリップテスターを用い、すべり速度15cm/分、荷重200g、温度23℃および湿度65%RHの条件で測定することができる。
【0020】
ここで、本発明の技術的背景について説明記載する。ポリエステルフィルムの蒸着加工性を良好とするには、ポリエステルフィルム表面とキャンとの密着力を制御する必要がある。また、コンデンサ素子加工性を良好とするにはプレスの際のすべり易さが重要で局所的層間密着や残留ストレスを低減することが必要である。スリップテスター法で測定される静摩擦係数は、ポリエステルフィルムの蒸着加工性とコンデンサ素子加工性と深く関係する密着力とすべり易さを表すものとして適した指標であり、従来の2次元または3次元の表面粗さとは明らかに異なるものであることを見出した。特に、従来の粗さとは異なり、キャンと密着するフィルム長手方向(フィルム走行方向)とフィルム幅方向の静摩擦係数を規定することにより、好適な蒸着加工性、素子加工性および高耐電圧を得ることが可能となった。
【0021】
また、本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムは、フィルム長手方向に平行な引張強度・Ex(MPa)と、フィルム幅方向に平行な引張強度・Ey(MPa)とが、下記式(3a)と下記式(3b)を同時に満足することが好ましい。このようにポリエステルフィルムの強度を規定することにより、フィルムの製膜安定性、生産性、耐電圧および加工性を向上させることができる。
・Ex+Ey≧350 ・・・(3a)
・0.70≦Ex/Ey≦1.35 ・・・(3b)。
【0022】
ここで、フィルムの長手方向とは、フィルム走行方向を言い、フィルムの幅方向とは長手方向と直角の方向を言う。また、引張強度Exと引張強度Eyの測定方法は、公知の方法を用いることができる。
【0023】
引張強度Exと引張強度Eyは、それぞれ160以上であることが好ましく、蒸着時の巻き出し、巻き取り側の張力変動が少なく蒸着時の走行性が安定する。
【0024】
本発明のコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルムにおいて、コンデンサ素子サイズと製膜安定性の点から、重量法によるフィルム厚みt2が0.5〜10.0μmであることが好ましい。重量法によるフィルム厚みt2は、より好ましくは0.8〜5.0μmであり、特に好ましくは1.0〜3.0μmである。
【0025】
また、本発明のコンデンサ用ポリエステルフィルムにおいては、マイクロメーター法によるフィルム厚みt1(μm)と重量法によるフィルム厚みt2(μm)が、下記式(1)を満足し、かつフィルム表面の中心線平均粗さRa(nm)が下記式(2)を満足することが好ましい。このように、フィルム厚みと中心線平均粗さを規定することにより、フィルムの製膜安定性、蒸着・素子加工性および耐電圧を向上させることができる。
・t2≦t1≦1.05×t2+0.25 ・・・(1)
・20≦Ra≦75 ・・・(2)。
【0026】
さらに、上記の中心線平均粗さRaを下記式(4)の範囲とすることにより、さらに加工性と帯電圧が良好となり、また、上記のフィルム厚みt1とフィルム厚みt2を下記式(5)の範囲とすることにより、フィルムをロール状に巻き取った際にフィルム層間のエアー量がより少なく、スリット加工性と蒸着加工性がさらに良好となる。
・25≦Ra≦70 ・・・(4)
・t2≦t1≦1.05×t2+0.20 ・・・(5)。
【0027】
また、本発明のコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルムの面配向係数fnは、耐電圧の観点から0.155〜0.180の範囲であることが好ましい。特に好ましい面配向係数fnは、0.160〜0.180の範囲であり、面配向係数fnをこのように規定することにより耐電圧がより良好となる。
【0028】
本発明のコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルムには、絶縁抵抗および耐電圧の観点から、電気伝導性のイオンなどの含有量が少ないことが好ましい。ポリエステルを重合する際の触媒などとして、金属化合物を添加する場合があるが、金属イオンはリンで失活されるので、ポリエステルフィルム中のCa、Mg、LiおよびMnなどの金属元素の合計量Mからリン量Pを差し引いたM−Pなる量を、その指標とすることができる。この金属イオン残存量M−Pは、絶縁抵抗と耐電圧性の観点から、200ppm以下であることが好ましく、より好ましくは170ppm以下であり、さらに好ましくは150ppm以下である。
【0029】
また、ポリエステルフィルム中のNa元素量は、好ましくは4ppm以下であり、さらに好ましくは2ppm以下である。さらに、ポリエステルフィルム中のLi、Sb、Ca、Mg、Mnの元素量の総量を好ましくは100〜1000ppm、より好ましくは100〜700ppmとし、含有塩素(Cl)量を2ppm以下とすることにより、キャスト性が向上し、破れや印加ムラがなく安定したフィルム製膜が得やすく、絶縁抵抗と耐電圧の良いポリエステルフィルムを好適に得ることができる。
【0030】
本発明のコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルムに用いられるポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオールを主たる構成成分とするポリエステルである。
【0031】
ここで、芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸、4,4′−ビフェニルエーテルジカルボン酸および4,4′−ビフェニルスルホンジカルボン酸などを用いることができる。中でもテレフタル酸、イソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく用いられる。また、脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸およびドデカンジオン酸などを用いることができる。これらの酸成分は、1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、さらには、ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸等を一部共重合させてもよい。
【0032】
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコールおよび2,2′−ビス(4′−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を用いることができる。中でも、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールおよび1,6−ヘキサンジオールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は、1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0033】
本発明のコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルムに用いられるポリエステルの具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートとの共重合体、エチレンテレフタレートとエチレンナフタレートとの共重合体、ヘキサメチレンテレフタレートとシクロヘキサンジメチレンテレフタレートとの共重合体およびポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートとのブレンドなどを挙げることができるが、耐電圧性、長期耐熱性および延伸性の点から、ポリエチレンテレフタレートまたは/およびポリエチレンナフタレートを主体とするポリエステルが好ましい。
【0034】
本発明のコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルムの熱収縮率は、耐電圧の観点から、フィルム長手方向で0.5〜5%であり、フィルム幅方向で−1.0〜2.5%であることが好ましい。上記の熱収縮率は、より好ましくは、フィルム長手方向で1.0〜5.0%であり、フィルム幅方向で0〜2.5%の範囲である。熱収縮率を上記の範囲にすることにより、蒸着加工時のキャンとの密着性がより良好となり加工性を向上させることができる。
【0035】
次に、本発明のコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルムの好ましい製造法を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0036】
本発明に使用するポリエステルは、次の方法で製造することができる。例えば、酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させた後、この反応生成物を減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去しつつ重縮合させることによって製造する方法や、酸成分としてジアルキルエステルを用い、これとジオール成分とでエステル交換反応させた後、上記と同様に重縮合させることによって製造する方法等がある。その際、重合触媒として、酸化アンチモン、酸化ゲルマニウムおよびチタン化合物など用いることができ、さらに、酸成分としてジアルキルエステルを原料として用いる場合、必要に応じ、エステル交換触媒としてアルカリ金属、アルカリ土類金属およびマンガンなどの化合物、特にこれらの酢酸塩を用いることができる。
【0037】
本発明に使用するポリエステルには、必要に応じて、着色防止剤(リン化合物)、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤、およびポリシロキサン等の消泡剤などを配合することができる。さらには、易滑性を付与するために、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、湿式あるいは乾式シリカなどの無機粒子や、アクリル酸系ポリマ類、架橋ポリスチレンおよびシリコーンなどを構成成分とする有機粒子などを配合することもできる。また、ポリエステル重合反応時に添加する触媒などが失活して形成される、いわゆる内部粒子による方法も用いることができる。
【0038】
本発明において、静摩擦係数を上述の範囲内とするには、ポリエステルフィルムの表面粗さを調整するとともに、延伸条件を調整することにより達成できる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法と同時二軸延伸法のいずれの方法であってもよいが、同時二軸延伸法が好ましい。特に、製膜安定性と厚み均一性の点から、ステンター同時二軸延伸法が好ましく用いられる。
【0039】
ステンター同時二軸延伸法の場合、例えば、ポリエステルをTダイ押し出し法によってキャストドラム上に押し出すことによって未延伸フィルムとし、次いで、フィルム長手方向とフィルム幅方向に同時に延伸する。延伸温度は、延伸に用いるポリエステルのガラス転移温度(Tg)と昇温結晶化温度(Tcc)との間であることが好ましい。延伸倍率は、特に限定されず、用いられるポリマの種類によって適宜選択される。好ましい延伸倍率はフィルム長手方向とフィルム幅方向にそれぞれ2〜8倍であり、より好ましくは3〜6倍が適当である。また、二軸延伸後、フィルム長手方向またはフィルム幅方向、あるいはフィルム長手方向とフィルム幅方向に再延伸してもよい。特に静摩擦係数を本発明の上述の範囲内にするには、フィルム長手方向の総延伸倍率がフィルム幅方向の総延伸倍率の1.30倍以下にすることが好ましく、さらには再延伸をフィルム長手方向またはフィルム幅方向、あるいはフィルム長手方向とフィルム幅方向にそれぞれ1.03〜2.50倍同時に延伸することが好ましい。特に、同時二軸延伸にて長手方向の総延伸倍率を幅方向の総延伸倍率の1.03〜1.30倍でフィルム長手方向とフィルム幅方向と同時に延伸することが好ましく、さらにはフィルム幅方向に1.03〜1.30倍で再延伸することにより静摩擦係数を本発明の上述の範囲内とすることが、より容易に可能となる。
【0040】
さらに、同時二軸延伸の場合、縦横同時に3.5〜4.8倍延伸することにより、容易に引張強度を好ましい範囲にすることができ、また容易に面配向係数を0.155〜0.180の範囲とすることも可能となる。
【0041】
さらに、本発明においては、二軸延伸後のポリエステルフィルムを熱処理することが好ましい。熱処理温度は、耐電圧向上の点で、フィルム温度180℃〜250℃の範囲で2〜30秒間行うことが好ましい。熱処理に引き続き、弛緩処理を1〜10%の範囲で行うことが好ましい。熱処理して得られたポリエステルフィルムを一旦室温程度まで冷却した後、さらに40〜90℃の範囲の温度で、5秒から1週間程度エージングすることも好ましい方法である。エージングを行なうことにより、耐電圧をさらに良好とすることができる。ポリエステルフィルム表面に金属膜を設ける場合は、エージングは、金属膜を設けた後に行なっても良い。
【0042】
本発明において、ポリエステルフィルムの表面粗さを制御するに、例えば、ポリエステルフィルム中に不活性粒子を添加することにより所望の表面が得られる。ポリエステルフィルム中に添加する不活性粒子としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、カオリン、タルクおよびアルミナなどの無機粒子、および架橋ポリスチレンやシリコーンなど有機粒子などを用いることもできる。添加する粒子の平均粒径は、好ましくは0.1〜5μmであり、より好ましくは0.5〜2μmである。また、粒子の添加量は、好ましくは0.02〜2%であり、より好ましくは0.05〜1%の範囲で調整することができる。粒子はポリマの製造工程の任意の段階で添加できるか、エステル化工程あるいはエステル交換工程、さらに重合工程の初期段階で添加することが好ましい。
【0043】
また、添加粒子は、原料として使用するジオール成分、例えば、エチレングリコールのスラリーとし、ジエットアジターによる分散またはメディア分散などを施し、さらに濾過して、粗大粒子を除去した後、添加することが好ましい。また、分散剤を適時添加しても良い。分散剤の使用により、分散を良好にし、粗大粒子を少なくすることにより、ポリエステルフィルム表面の粗大突起の発生を抑制し、粒子周辺のボイドの発生を抑制でき、絶縁抵抗や耐電圧などへの悪影響を押さえ、本発明の好ましい表面粗さを得る上で効果的である。
【0044】
また、ポリエステルフィルム上にプライマー層を設ける場合には、プライマー層に粒子を添加し、所望の表面粗さを得ることもできる。
【0045】
本発明において、ポリエステルフィルム表面に金属膜を設けて金属化フィルムとする方法は特に限定されないが、例えば、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、アルミニウムを蒸着してフィルムコンデンサの内部電極となるアルミニウム蒸着膜等の金属膜を設ける方法が好ましく用いられる。このとき、アルミニウムと同時あるいは逐次に、例えば、ニッケル、銅、金、銀、クロムおよび亜鉛などの他の金属成分を蒸着することもできる。また、蒸着膜上にオイルなどで保護層を設けることもできる。
【0046】
金属膜の厚さは、フィルムコンデンサの電気特性とセルフヒール性の点から20〜100nmの範囲であることが好ましい。また、同様の理由により、金属膜の表面電気抵抗値が1〜20Ω/□の範囲であることが好ましい。表面電気抵抗値は、使用する金属種と膜厚で制御可能である。ここで、表面電気抵抗は、公知の方法で測定することができる。
【0047】
本発明では、必要により、金属膜を形成後、金属化フィルムを特定の温度でエージング処理を行なったり、熱処理を行なったりすることができる。また、絶縁もしくは他の目的で、金属化フィルムの少なくとも片面に、ポリフェニレンオキサイドなどのコーティングを施すこともできる。
【0048】
このようして得られた金属化フィルムは、公知の方法で積層もしくは巻回してフィルムコンデンサを得ることができる。巻回型フィルムコンデンサの好ましい製造方法を例示すると、次のとおりである。
【0049】
ポリエステルフィルムの両面にアルミニウムを真空蒸着する。その際、フィルム長手方向に走るマージン部を有するストライプ状に蒸着する。任意の片面を表面と規定し、表面と裏面のパターンは交互になるようにずらして蒸着する。次に、表面の各蒸着部の中央と各マージン部の中央に刃を入れてスリットし、表面が一方にマージンを有し、裏面が反対側にマージンを有するような、テープ状の巻取リールとする。得られたリールと、金属膜を有しない合わせフィルム各1本ずつを、幅方向に金属化フィルムが合わせフィルムよりはみ出すように2枚重ね合わせて巻回し、巻回体を得る。この巻回体から芯材を抜いてプレスし、両端面にメタリコンを溶射して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶接して巻回型コンデンサ素子を得ることができる。
【0050】
フィルムコンデンサの用途は、オーディオ用、家電用(テレビやエアコンなど)、一般雑防用、自動車用(パワーウインドウやワイパーなど)および電源用等、多岐に渡っている。
【実施例】
【0051】
以下、本発明を実施例に基づき説明する。実施例において、各物性の測定は下記の方法で実施した。
【0052】
(1)静摩擦係数(μsm、μst)
フィルムの長手方向と幅方向にそれぞれ長さ10cm×幅7.5cmにカットした長方形のサンプルを、それぞれ5枚採取した。サンプルA面/B面(表面/裏面)についてテクノニーズ製スリップテスターを用いすべり速度15cm/分、荷重200g、温度23℃および湿度65%RHの条件で測定する。サンプル数5個の内、大小一つずつ取り除いた3個の平均で静摩擦係数を表した。
【0053】
(2)引張強度(Ex、Ey)
フィルムの長手方向と幅方向にそれぞれ幅1.0cm、長さ20cmにカットした短冊状のサンプルを、それぞれ5枚採取した。サンプルを東洋測機製テンシロン引張試験機を用いて、試験長10cmで把持し速度30cm/分でフィルムが破断するまで引っ張り、荷重−伸びの関係を記録する。その際の最大荷重を引張強度とし、フィルムの長手方向と幅方向の各方向の引張強度(Ex、Ey)について、サンプル数5個の平均で表した。
【0054】
(3)面配向係数(fn)
JIS−K7105(1981年版)に規定された方法に従って、ナトリウムD線を光源としてアッベ屈折率計を用いて、長手方向、幅方向および厚さ方向の屈折率を測定した(各方向の屈折率をそれぞれ、nMD、nTD、nZDとする)。マウント液にはヨウ化メチレンを用い、温度25℃および湿度65%RHの条件で測定し、下記の式により面配向係数fnを算出した。
・面配向係数fn=(nMD+nTD)/2−nZD
(4)フィルムの表面粗さ(中心線平均粗さRa)
小坂研究所製の2次元表面粗さ計SE3500を用い、触針式で以下の条件でフィルムの表面粗さを測定した。
・触針先端径:5μR
・触針加重:0.7mN
・測定長:4mm
・カットオフ値:0.25mm
上記の条件で、粗さ曲線f(x)が得られたとき、中心線平均粗さはRaは下記式で与えられる。
・Ra=(1/L)・∫|f(x)|dx
(ただし、L:測定長=4mm、積分区間:0〜Lである。)。
【0055】
(5)フィルム厚み(μm)
A.マイクロメーター法厚み(t1):測定試料をマイクロメーターを用いて、フィルムの幅方向と長さ方向にそれぞれ10点を測定し、その平均値を用いた。
【0056】
B.重量法厚み(t2):測定試料の重量を測定し、下記計算式より求めた。
・t2(μm)=フィルム重量(g)/((フィルム幅(m)×フィルム長さ(m)×密度))
(ただし、ポリエチレンテレフタレートの密度を1.40とした。)。
【0057】
(6)蒸着加工性
ポリエステルフィルムの片面に、表面抵抗が2Ω/□となるようアルミニウムを真空蒸着する。その際、長手方向に走るマージン部を有するようにストライプ状に蒸着した(蒸着部の幅39.0mm、マージン部の幅1.0mmの繰り返し)。蒸着時にキャンまでの搬送状況が良好で、目視によりシワやバタツキ等なく、かつ安定し搬送されマージンズレ等なく蒸着されたものを蒸着加工性優「○」とし、搬送中でのシワ、バタツキまたは幅方向へのズレ等によってマージンズレが発生したものでズレ量が0.30mm未満のものを実用上使用可能とし良「△」とした。上記のマージンズレが0.30mm以上のものは使用不可とし、不良「×」とした。
【0058】
(7)フィルムコンデンサ製造の際の加工性(素子巻収率)
ポリエステルフィルムの片面に、表面抵抗が2Ω/□となるようにアルミニウムを真空蒸着した。その際、長手方向に走るマージン部を有するようにストライプ状に蒸着した(蒸着部の幅39.0mm、マージン部の幅1.0mmの繰り返し)。次に、各蒸着部の中央と各マージン部の中央に刃を入れてスリットし、左もしくは右に0.5mmのマージンを有する全幅20mmのテープ状に巻取り、リールにした。得られたリールの左マージンおよび右マージンのもの各1本ずつを、幅方向に蒸着部分がマージン部から0.5mmはみ出すように2枚重ね合わせて巻回し、静電容量約20μFの巻回体を得た。素子巻回には皆藤製作所製KAW−4NHBを用いた。この巻回体から芯材を抜いて、そのまま130℃の温度と20kg/cmの圧力で5分間プレスした。この両端面にメタリコンを溶射して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶接して巻回型のフィルムコンデンサ素子を得た。
【0059】
上記のフィルムコンデンサの製造の際、巻き始めから巻き終わりまでを目視で観察し、シワやズレが発生したものを不合格とし、不合格となったものの数の製造数全体に対する割合を百分率で示し加工性の指標とした(以下、これを素子巻収率と称する。)。素子巻収率は、高いほど好ましい。素子巻収率が95%以上のものを優「○」とし、95%未満80%以上のものを良「△」とし、そして80%未満のものを不良「×」とした。良「△」以上のものが、実用可能なレベルである。
【0060】
(8)耐電圧評価
上記の方法で得られたフィルムコンデンサ素子を試料とし、春日製高電圧直流電源を用いて、100V/秒の速度で昇圧しながら電圧を印加し、10mA以上流れたときに絶縁破壊したとした。絶縁破壊電圧は、50個の測定結果の平均値をフィルム厚みで割り返した値を耐電圧とした。耐電圧が0.350kv/μm以上のものを良好と評価し優「○」とし、そして0.350kv/μm未満を不良「×」とした。
【0061】
(9)製膜安定性評価
230m/分の製膜速度において、フィルムのしわおよび破れなどを目視観察により評価した。評価は、下記のとおりである。
【0062】
フィルムにしわ、印加ムラおよび破れがなかった場合を優「○」とし、フィルムにしわ、印加ムラまたは破れの発生が、24時間の製膜につき1〜2回目視観察した場合を良「△」とし、フィルムにしわ、印加ムラまたは破れの発生が、24時間の製膜につき3回以上目視観察した場合を不良「×」とした。良「△」以上が、製膜時の実用可能なレベルである。
【0063】
(実施例1)
ポリエステル樹脂として、ポリエチレンテレフタレートを用いた。ポリエチレンテレフタレートの重合段階で、エチレンテレフタレートに、平均粒径1.5μmの凝集シリカ粒子を0.10重量%、重合触媒として酢酸カルシウム250ppm、三酸化アンチモン250ppm、および亜リン酸とジメチルフェニルホスホネートの等量混合リン化合物130ppmを公知の方法で添加し、チップを製造した。添加する凝集シリカは、10%のエチレングリコールスラリーとし、ジエットアジターで分散した後、目開き10μmのフィルターで濾過した後、添加した。
【0064】
このようにして得られたポリエステルチップを180℃の温度で真空乾燥し、押出機に供給し、285℃の温度で溶融させた後、Tダイから吐出させてシート化し、冷却ドラムでキャストした。このシートをリニアモーター式の同時二軸延伸機で、製品製膜速度230m/分で、フィルム長手方向とフィルム幅方向同時に95℃の温度で3.7倍に延伸し、引き続き235℃の温度で熱処理した後、170℃の温度でフィルム長手方向に2.0%、フィルム幅方向に3.0%弛緩処理をし、重量法厚み(t2)が2.70μmで、マイクロメーター法厚み(t1)が2.92μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの表面粗さRaは48nmで、面配向係数(fn)は0.168で、フィルム長手方向に平行な静摩擦係数(μsm)は0.85であり、フィルム幅方向に平行な静摩擦係数(μst)は0.95であり、μsm/μstの比は0.89であった。フィルム製膜は、キャスティング時の静電印加ムラやシワや破れなどは観察されず、製膜性は優「○」であった。
【0065】
次に、得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、表面抵抗が2Ω/□となるようにアルミニウムをアルミニウム膜厚み26nmで真空蒸着した後、巻回してフィルムコンデンサを得た。その結果、蒸着加工性は問題なく良好で優「○」であり、コンデンサ素子の素子巻収率が99%で、耐電圧は.373kVで優「○」であった。結果を表1に示す。
【0066】
(実施例2)
同時二軸延伸機を用い、フィルム長手方向とフィルム幅方向同時に95℃の温度で3.0倍延伸した後、さらに170℃の温度でフィルム長手方向とフィルム幅方向同時に1.5倍延伸した他は、実施例1と同様にして二軸延伸ポリエステルフィルムを製造した。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムは、重量法厚みが2.70μmで、マイクロメーター法厚みが2.89μmの二軸延伸ポリエステルフィルムであり、フィルムの表面粗さ(Ra)は30nmで、面配向係数(fn)は0.173であり、μsmは1.04、μstは1.19で、μsm/μstの比は0.87であった。フィルム製膜は、キャスティング時の静電印加ムラとシワ等は観察されなかったが、破れが24時間の製膜につき1回観察され、製膜性は良「△」であった。
【0067】
得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に表面抵抗が2Ω/□となるようにアルミニウムをアルミニウム膜厚み26nmで真空蒸着した後、巻回してフィルムコンデンサを得た。その結果、蒸着加工性はマージンズレがなく良好で優「○」であり、コンデンサ素子の素子巻収率は94%であり、耐電圧は0.396kVで優「○」であった。結果を表1に示す。
【0068】
(実施例3)
95℃の温度で長手方向に4.0倍延伸した後、105℃の温度で幅方向に3.5倍に延伸した他は、実施例1と同様にして二軸延伸ポリエステルフィルムを製造した。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムは、重量法厚みが2.70μmで、マイクロメーター法厚みが2.98μmの二軸延伸ポリエステルフィルムであり、フィルムの表面粗さ(Ra)は45nmで、面配向係数(fn)は0.166であり、μsmは0.96、μstは0.92で、μsm/μstの比は1.04であった。フィルム製膜は、キャスティング時の静電印加ムラ、しわおよび破れ等は観察されず、製膜性は良好で優「○」であった。
【0069】
得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に表面抵抗が2Ω/□となるようにアルミニウムをアルミニウム膜厚み26nmで真空蒸着した後、巻回してコンデンサを得た。その結果、蒸着加工性は、マージンズレが0.20mm発生し良「△」であった。また、コンデンサ素子の素子巻収率は97%であり、耐電圧は0.360kVで優「○」であった。結果を表1に示す。
【0070】
(実施例4)
ポリエステルチップ中の凝集シリカ粒子添加量を0.15重量%とし、同時二軸延伸機を用いてフィルム長手方向とフィルム幅方向同時に95℃の温度で3.8倍延伸した後、170℃の温度でさらにフィルム幅方向に1.05倍延伸した他は、実施例1と同様にして二軸延伸ポリエステルフィルムを製造した。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムは、重量法厚みが2.00μmで、マイクロメーター法厚みが2.24μmの二軸延伸ポリエステルフィルムであり、フィルムの表面粗さ(Ra)は、42nm、面配向係数(fn)は0.170で、μsmは0.61であり、μstは0.78、μsm/μstの比は0.78であった。フィルム製膜は、キャスティング時の静電印加ムラ、シワおよび破れ等は観察されず、製膜性は良好で優「○」であった。
【0071】
得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に表面抵抗が2Ω/□となるようにアルミニウムをアルミニウム膜厚み26nmで真空蒸着した後、巻回してコンデンサを得た。その結果、蒸着加工性は、マージンズレがなく優「○」であった。コンデンサ素子の素子巻収率は99%であり、耐電圧は0.380kVで優「○」であった。結果を表1に示す。
【0072】
(実施例5)
ポリエステルチップ中の凝集シリカ粒子添加量を0.15重量%とし同時二軸延伸機にて95℃の温度でフィルム長手方向に3.8倍、フィルム幅方向に3.5倍同時に延伸した後、170℃の温度でさらにフィルム幅方向に1.15倍延伸した他は、実施例1と同様にして二軸延伸ポリエステルフィルムを製造した。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムは、重量法厚みが2.00μmで、マイクロメーター法厚みが2.24μmの二軸延伸ポリエステルフィルムであり、フィルムの表面粗さ(Ra)は、41nm、面配向係数(fn)は0.170で、μsmは0.56であり、μstは0.78、μsm/μstの比は0.72であった。フィルム製膜は、キャスティング時の静電印加ムラ、シワおよび破れ等は観察されず、製膜性は良好で優「○」であった。
【0073】
得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に表面抵抗が2Ω/□となるようにアルミニウムをアルミニウム膜厚み26nmで真空蒸着した後、巻回してコンデンサを得た。その結果、蒸着加工性は、マージンズレがなく優「○」であった。コンデンサ素子の素子巻収率は99%であり、耐電圧は0.381kVで優「○」であった。結果を表1に示す。
【0074】
(比較例1)
ポリエステルチップ中の凝集シリカ粒子添加量を0.08重量%とし、95℃の温度でフィルム長手方向に5.8倍延伸した後、105℃の温度でフィルム幅方向に3.5倍に延伸した他は、実施例1と同様にして二軸延伸ポリエステルフィルムを製造した。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムは、重量法厚みが2.70μmで、マイクロメーター法厚みが2.90μmの二軸延伸ポリエステルフィルムであり、フィルムの表面粗さ(Ra)は35nmで、面配向係数は0.167で、μsmは0.89であり、μstは0.81、μsm/μstの比は1.10であった。フィルム製膜は、キャスティング時の静電印加ムラ、シワおよび破れ等は観察されず、製膜性は良好で優「○」であった。
【0075】
得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に表面抵抗が2Ω/□となるようにアルミニウムをアルミニウム膜厚み26nmで真空蒸着した後、巻回してコンデンサを得た。その結果、蒸着加工性は、マージンズレが0.30mm発生し不良「×」であった。また、コンデンサ素子の素子巻収率は90%であり、耐電圧は0.348kVで不良「×」であった。結果を表1に示す。
(比較例2)
ポリエステルチップ中の凝集シリカ粒子添加量を0.03重量%とし、95℃の温度でフィルム長手方向に6.0倍延伸した後、105℃の温度でフィルム幅方向に3.5倍に延伸した他は、実施例1と同様にして二軸延伸ポリエステルフィルムを製造した。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムは、重量法厚みが2.00μmで、マイクロメーター法厚みが2.21μmの二軸延伸ポリエステルフィルムであり、フィルムの表面粗さ(Ra)は23nmで、面配向係数(fn)は0.169であり、μsmは1.04で、μstは0.72、μsm/μstの比は1.44であった。フィルム製膜は、キャスティング時の静電印加ムラやシワ等は観察されなかったが、破れが24時間の製膜につき1回観察され、製膜性は良「△」であった。
【0076】
得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に表面抵抗が2Ω/□となるようにアルミニウムをアルミニウム膜厚み26nmで真空蒸着した後、巻回してコンデンサを得た。その結果、蒸着加工性は、マージンズレが0.40mm発生し不良「×」であった。また、コンデンサ素子の素子巻収率は78%であり、耐電圧は0.334kVで不良「×」であった。結果を表1に示す。
【0077】
(比較例3)
同時二軸延伸機にてフィルム長手方向とフィルム幅方向同時に95℃の温度で3.0倍延伸した後、さらに170℃の温度でフィルム幅方向に1.7倍延伸した他は、実施例1と同様にして二軸延伸ポリエステルフィルムを製造した。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムは、重量法厚みが2.70μmで、マイクロメーター法厚みが2.95μmの二軸延伸ポリエステルフィルムであり、フィルムの表面粗さ(Ra)は=53nmで、面配向係数(fn)は0.169で、μsmは0.54、μstは0.81であり、μsm/μstの比は0.66であった。フィルム製膜は、キャスティング時の静電印加ムラやシワ等は観察されなかったが、破れが24時間の製膜につき3回観察され、製膜性は不良「×」であった。
【0078】
得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に表面抵抗が2Ω/□となるようにアルミニウムをアルミニウム膜厚み26nmで真空蒸着した後、巻回してコンデンサを得た。その結果、蒸着加工性はマージンズレが0.35mm発生し不良「×」であった。コンデンサ素子の素子巻収率は96%であり、耐電圧は0.364kVで優「○」であった。結果を表1に示す。
【0079】
【表1】


【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明のコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルは、電気特性が良く、厚み均一性の良く、かつハンドリング性に優れており、特に、特にフィルムコンデンサとした場合の加工性と耐電圧をより良好とさせ得るコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルムである。本発明のコンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルムを用いてなるフィルムコンデンサは、改善された耐電圧特性を有し有用である。
【出願人】 【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【出願日】 平成18年7月26日(2006.7.26)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−30223(P2008−30223A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−203069(P2006−203069)