トップ :: B 処理操作 運輸 :: B29 プラスチツクの加工;可塑状態の物質の加工一般

【発明の名称】 2次ウェルドライン予測方法および装置、そのプログラム、記憶媒体およびそれらを用いた成形品の製造方法
【発明者】 【氏名】速水 弘樹

【氏名】村田 泰彦

【要約】 【課題】成形型に溶融材料を流し込む充填及び充填完了後に任意の圧力を掛けて冷却による製品の収縮を抑える保圧までの一連の工程中に発生する2次ウェルドライン生成現象を正確に把握し、2次ウェルドラインを容易にかつ迅速に検討する解析方法及び装置ならびにそのような解析手法を実現するコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体を提供すること。

【構成】流動解析用の解析形状モデルを基に流動解析を実施し、前記流動解析結果から流動ベクトル及び1次ウェルドラインを求め、前記1次ウェルドラインを発生起点に2次ウェルドライン仮想粒子を発生させ、前記2次ウェルドライン仮想粒子が前記流動ベクトルによって移動した2次ウェルドライン仮想粒子分布の形態を2次ウェルドラインとする2次ウェルドライン予測を実行する解析を行う。ただし、2次ウェルドライン仮想粒子発生位置は、流動ベクトルに応じて移動させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形品の成形過程における金型内の溶融材料の挙動を流動解析することにより2次ウェルドライン位置を予測するに際し、前記成形品の解析形状モデル、材料物性データおよび成形条件データをメモリ上に読み込む解析条件読み込み工程と前記解析形状モデル、前記材料物性データおよび上記成形条件データに基づいて流動解析を行う流動解析工程と前記流動解析工程のメモリ上のデータに基づいて前記解析形状モデルにおける各要素または節点における流動ベクトルを求める流動ベクトル作成工程と流動解析開始からある時刻において流動先端部分において1次ウェルドラインとなる位置を求める1次ウェルドライン位置決定工程と前記1次ウェルドライン位置を初期の2次ウェルドライン仮想粒子発生位置として決定する初期2次ウェルドライン仮想粒子発生位置決定工程と前記初期2次ウェルドライン仮想粒子発生位置をフローフロントが通過以降、流動解析終了までの任意のタイムステップで、2次ウェルドライン仮想粒子を発生させる2次ウェルドライン仮想粒子発生工程と、前記2次ウェルドライン仮想粒子を前記流動ベクトルによって移動させる2次ウェルドライン仮想粒子追跡工程と、前記2次ウェルドライン仮想粒子が前記初期2次ウェルドライン仮想粒子発生位置と異なる位置に移動したときに当該2次ウェルドライン仮想粒子の位置から最も近い2次ウェルドライン仮想粒子発生位置を当該2次ウェルドライン仮想粒子の位置へ移動させる2次ウェルドライン仮想粒子発生位置移動工程と前記2次ウェルドライン仮想粒子発生位置移動工程によって移動した2次ウェルドライン仮想粒子発生位置を2次ウェルドライン仮想粒子発生位置として再決定する2次ウェルドライン仮想粒子発生位置再決定工程を有し、所定の解析終了時点の前記2次ウェルドライン仮想粒子発生位置の分布形態を2次ウェルドラインとすることを特徴とする2次ウェルドライン予測方法。
【請求項2】
請求項1記載の2次ウェルドライン予測方法であって、
2次ウェルドライン仮想粒子発生位置移動工程は、2次ウェルドライン仮想粒子発生位置の流動ベクトルが1次ウェルドライン生成方向もしくは2次ウェルドライン仮想粒子の発生位置から変化した時点で2次ウェルドライン仮想粒子発生位置を当該流動ベクトルで移動させることを特徴とする2次ウェルドライン予測方法。
【請求項3】
請求項1記載の2次ウェルドライン予測方法であって、
流動ベクトル作成工程が前記流動解析工程の出力結果に基づいて前記解析形状モデルにおける各要素または節点における流動ベクトルを求めることを特徴とする2次ウェルドライン予測方法。
【請求項4】
請求項1記載の2次ウェルドライン予測方法であって、解析終了時点の
2次ウェルドライン仮想粒子の分布形態を2次ウェルドラインとすることを特徴とする2次ウェルドライン予測方法
【請求項5】
成形品の成形過程における金型内の溶融材料の挙動を流動解析することにより2次ウェルドライン位置を予測するに際し、前記成形品の解析形状モデル、材料物性データおよび成形条件データをメモリ上に読み込む解析条件読み込み手段と前記解析形状モデル、前記材料物性データおよび上記成形条件データに基づいて流動解析を行う流動解析手段と前記流動解析手段のメモリ上のデータに基づいて前記解析形状モデルにおける各要素または節点における流動ベクトルを求める流動ベクトル作成手段と流動解析開始からある時刻において流動先端部分において1次ウェルドラインとなる位置を求める1次ウェルドライン位置決定手段と前記1次ウェルドライン位置を初期の2次ウェルドライン仮想粒子発生位置として決定する初期2次ウェルドライン仮想粒子発生位置決定手段と前記初期2次ウェルドライン仮想粒子発生位置をフローフロントが通過以降、流動解析終了までの任意のタイムステップで、2次ウェルドライン仮想粒子を発生させる2次ウェルドライン仮想粒子発生手段と、前記2次ウェルドライン仮想粒子を前記流動ベクトルによって移動させる2次ウェルドライン仮想粒子追跡手段と、前記2次ウェルドライン仮想粒子が前記初期2次ウェルドライン仮想粒子発生位置と異なる位置に移動したときに当該2次ウェルドライン仮想粒子の位置から最も近い2次ウェルドライン仮想粒子発生位置を当該2次ウェルドライン仮想粒子の位置へ移動させる2次ウェルドライン仮想粒子発生位置移動手段と前記2次ウェルドライン仮想粒子発生位置移動手段によって移動した2次ウェルドライン仮想粒子発生位置を2次ウェルドライン仮想粒子発生位置として再決定する2次ウェルドライン仮想粒子発生位置再決定手段を有し、所定の解析終了時点の前記2次ウェルドライン仮想粒子発生位置の分布形態を2次ウェルドラインとすることを特徴とする2次ウェルドライン予測装置。
【請求項6】
請求項5記載の2次ウェルドライン予測装置であって、
2次ウェルドライン仮想粒子発生位置移動手段は、2次ウェルドライン仮想粒子発生位置の流動ベクトルが変化したときに2次ウェルドライン仮想粒子発生位置を当該流動ベクトルで移動させることを特徴とする2次ウェルドライン予測装置。
【請求項7】
請求項5記載の2次ウェルドライン予測装置であって、
流動ベクトル作成手段が前記流動解析手段の出力結果に基づいて前記解析形状モデルにおける各要素または節点における流動ベクトルを求めることを特徴とする2次ウェルドライン予測装置。
【請求項8】
請求項1記載の2次ウェルドライン予測方法であって、解析終了時点の
2次ウェルドライン仮想粒子の分布形態を2次ウェルドラインとすることを特徴とする2次ウェルドライン予測装置
【請求項9】
請求項1記載のウェルドライン予測方法の各工程をコンピュータを用いて実行するためのコンピュータプログラム。
【請求項10】
請求項9記載のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項11】
請求項1記載のウェルドライン予測方法を用いてウェルドライン位置を予測し、成形品の形状、材料物性および成形条件を最終決定し、この結果に基づいて成形品を製造する成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形品、ダイカスト品やチクソモールディング品、鋳造品などの成形品の成形過程において、成形型内で溶融成形材料の複数の流れが合流する部位や成形品型内の肉厚差によって流速が著しく変化する部位に発生するウェルドライン(1次ウェルドラインと呼称する)が後続の溶融材料の流動によって移動することによって形成される2次ウェルドラインの位置を予測する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形の成形不良の一つにウェルドラインがある。このウェルドラインはプラスチックス製品に対して外観不良や強度上の欠陥として現れることで様々な問題を引き起こす。ウェルドラインが生成されるパターンとして、(1)多点ゲートなどで異なるフローフロント同士が合流する場合、(2)障害ピンなどの穴の周りを流れる際に、フローフロントが一旦分岐して再度合流する場合、(3)肉厚差のある段差部でフローフロントの進み方に大きく違いが現れる場合などが挙げられる。
【0003】
特に、フィラーが含有された樹脂においては、一旦、生成されたウェルドライン(1次ウェルドラインと呼称する)が後続の樹脂流れによって移動することによって新たに形成されるウェルドライン(2次ウェルドラインと呼称する)が問題になりやすい。この2次ウェルドラインは製品に濃淡や凹凸を生じさせるために外観上、問題となる一方で、流動樹脂の一方が他方の流動樹脂内へ潜り込むことによって形成されるために、ウェルド界面の面積が広がり機械強度を向上させることが知られている。従来、このような2次ウェルドラインを予測する方法として、特許文献1では流動樹脂が相互に接触するときに生じるウェルドライン上に複数の仮想粒子を生成させ、仮想粒子の移動経路を求めてその移動距離を算出することにより、流動樹脂の一方が他方の流動樹脂内へ侵入した潜り込み距離を求めることによって2次ウェルドラインの位置を求めている。
【0004】
また、特許文献2ではウェルド形成後の樹脂流動速度分布を射出流動解析ソフトにより求め、求めた樹脂流動速度と、ウェルドライン形成後充填が完了するまでの時間との積よりウェルド面の変形寸法を算出することで2次ウェルドラインの位置を求めている。
【0005】
【特許文献1】特許公開2000-343575号
【特許文献2】特許公開平7−68616号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では流動樹脂が相互に接触するときに生じる1次ウェルドラインに仮想粒子を発生させてその移動経路を求めて仮想粒子の移動距離を算出することにより、流動樹脂の一方が他方の流動樹脂内へ侵入した潜り込み距離を求めるため、仮想粒子生成後の後続の流動樹脂流れの方向が1次ウェルドラインと平行な場合に発生させた仮想粒子が既に形成されている1次ウェルドライン上を辿る場合であっても、流動樹脂の一方が他方の流動樹脂内へ侵入した潜り込み距離として求められてしまう。つまり、流動樹脂の一方が他方の流動樹脂内へ侵入した潜り込みを行わない場合であっても流動樹脂の一方が他方の流動樹脂内へ侵入した潜り込みと認識される課題があった。
【0007】
特許文献2も、特許文献1同様、1次ウェルドライン形成後、溶融材料流れが1次ウェルドラインと平行になる場合が想定されていない。
【0008】
そこで、本発明では、1次ウェルドラインが生成後、充填過程を通じて変化する流動ベクトルに応じて移動する2次ウェルドラインの位置を精度良く予測する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の課題を解決するために次のような構成を取る。
すなわち、請求項1に記載の発明は、成形品の成形過程における金型内の溶融材料の挙動を流動解析することにより2次ウェルドライン位置を予測するに際し、前記成形品の解析形状モデル、材料物性データおよび成形条件データをメモリ上に読み込む解析条件読み込み工程と前記解析形状モデル、前記材料物性データおよび上記成形条件データに基づいて流動解析を行う流動解析工程と前記流動解析工程のメモリ上のデータに基づいて前記解析形状モデルにおける各要素または節点における流動ベクトルを求める流動ベクトル作成工程と流動解析開始からある時刻において流動先端部分において1次ウェルドラインとなる位置を求める1次ウェルドライン位置決定工程と前記1次ウェルドライン位置を初期の2次ウェルドライン仮想粒子発生位置として決定する初期2次ウェルドライン仮想粒子発生位置決定工程と前記初期2次ウェルドライン仮想粒子発生位置をフローフロントが通過以降、流動解析終了までの任意のタイムステップで、2次ウェルドライン仮想粒子を発生させる2次ウェルドライン仮想粒子発生工程と、前記2次ウェルドライン仮想粒子を前記流動ベクトルによって移動させる2次ウェルドライン仮想粒子追跡工程と、前記2次ウェルドライン仮想粒子が前記初期2次ウェルドライン仮想粒子発生位置と異なる位置に移動したときに当該2次ウェルドライン仮想粒子の位置から最も近い2次ウェルドライン仮想粒子発生位置を当該2次ウェルドライン仮想粒子の位置へ移動させる2次ウェルドライン仮想粒子発生位置移動工程と前記2次ウェルドライン仮想粒子発生位置移動工程によって移動した2次ウェルドライン仮想粒子発生位置を2次ウェルドライン仮想粒子発生位置として再決定する2次ウェルドライン仮想粒子発生位置再決定工程を有し、所定の解析終了時点の前記2次ウェルドライン仮想粒子発生位置の分布形態を2次ウェルドラインとすることを特徴とする2次ウェルドライン予測方法が提供される。
【0010】
[作用・効果]
従来の解析手法では、複数の溶融材料が合流する点の軌跡が形成する1次ウェルドラインのみの予測か、複数湯口(ゲート)の成形条件の制御による1次ウェルドラインの移動を予測するシミュレーション等であったものを、本発明の方法では解析形状モデル、材料物性データおよび成形条件データに基づいて流動解析を行い、メモリ上のデータに基づいて前記解析形状モデルにおける各要素または節点における流動ベクトルを求め、平行して解析開始からある時刻において流動先端部分における溶融樹脂合流予測点の連結により1次ウェルドラインを求める。そしてフローフロントが従来の1次ウェルドラインの予測位置に到達する度に連続的に初期の2次ウェルドライン仮想粒子発生位置を定義し、さらに、それぞれの2次ウェルドライン仮想粒子発生位置で2次ウェルドライン仮想粒子を発生させて溶融材料の流動ベクトルで移動追跡する。移動追跡させた2次ウェルドライン仮想粒子が1次ウェルドラインもしくは2次ウェルドライン仮想粒子発生位置では消滅させ、これら以外の位置に2次ウェルドライン仮想粒子が移動するときは当該2次ウェルドライン仮想粒子に最も近い2次ウェルドライン仮想粒子発生点を当該2次ウェルドライン仮想粒子の位置に移動させる。こうして溶融材料の充填完了まで前記の2次ウェルドライン仮想粒子発生位置移動工程と2次ウェルドライン仮想粒子発生位置再決定工程を繰り返して移動した2次ウェルドライン仮想粒子発生点を連結した、連続する近似曲線を2次ウェルドラインと定義することにより、実際の成形品で確認するウェルドライン発生位置を予測解析することが可能となる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、上記の2ウェルドライン予測方法の2次ウェルドライン仮想粒子発生位置移動工程は、2次ウェルドライン仮想粒子発生位置の流動ベクトルが1次ウェルドライン生成方向もしくは2次ウェルドライン仮想粒子の発生位置から変化した時点で2次ウェルドライン仮想粒子発生位置を当該流動ベクトルで移動させることを特徴とする2次ウェルドライン予測方法が提供される。
【0012】
[作用・効果]
2次ウェルドライン仮想粒子を生成移動させる代わりに、2次ウェルドライン仮想粒子発生位置で1次ウェルドライン生成方向および2次ウェルドライン仮想粒子の発生位置を記憶し、流動ベクトルがこれらの方向と異なる方向へ変化したときに2次ウェルドライン仮想粒子発生位置を当該流動ベクトルによって移動させることで、1次ウェルドラインが出来た位置の流動ベクトルがある一定時間後に1次ウェルドラインの生成方向と異なる方向に変化した場合に形成される2次ウェルドラインを予測することが可能になる。
【0013】
また、請求項3記載の発明は、上記の2ウェルドライン予測方法の流動ベクトル作成工程が前記流動解析工程の出力結果に基づいて前記解析形状モデルにおける各要素または節点における流動ベクトルを求めることを特徴とする2次ウェルドライン予測方法が提供される。
【0014】
[作用・効果]
充填解析の中で本発明を実施する場合、使用メモリが多くなるため、充填解析の結果を基に2次ウェルドライン位置の計算を行うことで、使用メモリを削減しつつ2次ウェルドライン位置を求めることを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項4記載の発明は、解析終了時点の2次ウェルドライン仮想粒子の分布形態を2次ウェルドラインとすることを特徴とする2次ウェルドライン予測方法が提供される。
【0016】
[作用・効果]
2次ウェルドライン仮想粒子発生位置に比べて情報量が多い2次ウェルドライン仮想粒子位置の情報を用いることでより詳細な次ウェルドラインの位置を予測することが可能になる。
【0017】
また、請求項5記載の発明は、成形品の成形過程における金型内の溶融材料の挙動を流動解析することにより2次ウェルドライン位置を予測するに際し、前記成形品の解析形状モデル、材料物性データおよび成形条件データをメモリ上に読み込む解析条件読み込み手段と前記解析形状モデル、前記材料物性データおよび上記成形条件データに基づいて流動解析を行う流動解析手段と前記流動解析手段のメモリ上のデータに基づいて前記解析形状モデルにおける各要素または節点における流動ベクトルを求める流動ベクトル作成手段と流動解析開始からある時刻において流動先端部分において1次ウェルドラインとなる位置を求める1次ウェルドライン位置決定手段と前記1次ウェルドライン位置を初期の2次ウェルドライン仮想粒子発生位置として決定する初期2次ウェルドライン仮想粒子発生位置決定手段と前記初期2次ウェルドライン仮想粒子発生位置をフローフロントが通過以降、流動解析終了までの任意のタイムステップで、2次ウェルドライン仮想粒子を発生させる2次ウェルドライン仮想粒子発生手段と、前記2次ウェルドライン仮想粒子を前記流動ベクトルによって移動させる2次ウェルドライン仮想粒子追跡手段と、前記2次ウェルドライン仮想粒子が前記初期2次ウェルドライン仮想粒子発生位置と異なる位置に移動したときに当該2次ウェルドライン仮想粒子の位置から最も近い2次ウェルドライン仮想粒子発生位置を当該2次ウェルドライン仮想粒子の位置へ移動させる2次ウェルドライン仮想粒子発生位置移動手段と前記2次ウェルドライン仮想粒子発生位置移動手段によって移動した2次ウェルドライン仮想粒子発生位置を2次ウェルドライン仮想粒子発生位置として再決定する2次ウェルドライン仮想粒子発生位置再決定手段を有し、所定の解析終了時点の前記2次ウェルドライン仮想粒子発生位置の分布形態を2次ウェルドラインとすることを特徴とする2次ウェルドライン予測装置が提供される。
【0018】
また、請求項6記載の発明は、上記の2ウェルドライン予測装置の2次ウェルドライン仮想粒子発生位置移動手段は、2次ウェルドライン仮想粒子発生位置の流動ベクトルが1次ウェルドライン生成方向もしくは2次ウェルドライン仮想粒子の発生位置から変化した時点で2次ウェルドライン仮想粒子発生位置を当該流動ベクトルで移動させることを特徴とする2次ウェルドライン予測装置が提供される。
【0019】
また、請求項7記載の発明は、上記の2ウェルドライン予測方法の流動ベクトル作成手段が前記流動解析手段の出力結果に基づいて前記解析形状モデルにおける各要素または節点における流動ベクトルを求めることを特徴とする2次ウェルドライン予測装置が提供される。
【0020】
また、請求項8記載の発明は、解析終了時点の2次ウェルドライン仮想粒子の分布形態を2次ウェルドラインとすることを特徴とする2次ウェルドライン予測装置が提供される。
【0021】
また、請求項9記載の発明は、上記の2次ウェルドライン予測方法の各工程をコンピュータを用いて実行するためのコンピュータプログラムが提供される。
【0022】
また、請求項10記載の発明は、上記のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体が提供される。
【0023】
また、請求項11記載の発明は、上記の2次ウェルドライン予測方法を用いて2次ウェルドライン位置を予測し、成形品の形状、材料物性および成形条件を最終決定し、決定した諸条件に基づいて金型を作製、試射ちなどを経て短期間に、効率的に成形品を製造する成形品の製造方法が提供される。
【0024】
以下、用語の定義をする。本発明において、「解析形状モデル」はコンピュータを使った流動解析に使用される節点、要素、要素特性などで記述されるデータのことをいう。「流動ベクトル」は各要素もしくは各節点での溶融材料の流れの方向を表したベクトルのことをいう。流動ベクトルはさらに流れの速さを含んでいてもよく、各方向の速さの成分の組として保持されるものであってもよい。「成形条件」は溶融材料温度、充填時間、充填速度、充填圧力、金型温度などのことをいう。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、流動解析を実施した結果を基に、容易に正確な2次ウェルドラインの位置を予測することが出来る。これによって、製品肉厚やゲート位置の変更などによる2次ウェルドラインの位置を製品・金型設計の段階から検討することが出来、製品・金型設計の効率化を図ることができる。
【0026】
このようにして、2次ウェルドラインの位置を予測することにより、任意の製造条件下の2次ウェルドラインの位置を知ることが出来るので、必要に応じて成形品形状、材料物性および成形条件を適宜修正することで好ましい位置に2次ウェルドラインを移動させるなどして、最終的な製造条件を決定し、この結果に基づいて実際に成形品を製造すればよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して、本発明の1次元要素生成方法及び装置の実施形態を説明する。
【0028】
図1は、本発明の1次元要素生成を行う装置の一実施形態を示すブロック図である。本実施形態例において、(100)はコンピュータ、(101)はキーボード、(102)はマウス、(103)はディスプレイ、(104)は補助記憶装置である。(104)にはハードディスクの他、FD(フレキシブルディスク)、CD(コンパクトディスク)、MO(光磁気ディスク)、PD、DVD(デジタル多目的ディスク)等の取り外し可能な補助記憶装置も利用可能である。
【0029】
補助記憶装置(104)には、CADデータ記憶手段(105)、解析形状モデル記憶手段(106)、流動解析結果記憶手段(107)、1次ウェルドライン位置記憶手段(108)、2次ウェルドライン仮想粒子移動軌跡記憶手段(109)、2次ウェルドライン仮想粒子発生位置記憶手段(110)が含まれる。
【0030】
コンピュータ(100)にはCPUおよびメモリ上に展開したサブルーチンからなる、CADデータ作成手段(111)、解析形状モデル作成手段(112)、解析条件読み込み手段(113)、流動解析手段(114)、流動解析結果読み込み手段(115)、流動ベクトル作成手段(116)、1次ウェルドライン位置決定手段(117)、初期2次ウェルドライン仮想粒子発生位置決定手段(118)、2次ウェルドライン仮想粒子発生手段(119)、2次ウェルドライン仮想粒子追跡手段(120)、2次ウェルドライン仮想粒子発生位置移動手段(121)、2次ウェルドライン仮想粒子発生位置再決定手段(122)が含まれる。
【0031】
CADデータ作成手段(111)は、成形品形状をコンピュータ上で作成する手段であり、たとえばCATIA(Dassult社製)、UniGraphics(UGS社製)といった多くのCADに搭載されているものを使用できる。
【0032】
解析形状モデル作成手段(112)はCADデータ作成手段(111)で作成されたCADデータに対して、図3に示すようにCADデータから中立面を作成し、2次元シェル要素を自動作成したり、また3次元ソリッド要素を自動作成する。このようにCADデータから解析形状モデルを作成する方法は、CATIA(Dassult社製)、UniGraphics(UGS社製)といった多くのCADに搭載されている既存の技術である。
【0033】
流動解析手段(114)は、解析形状モデル作成手段(112)で作成した解析形状モデルと解析条件読み込み手段(113)でメモリ上に読み込んだ材料物性や解析条件に基づいて、流動時の圧力と温度、流速などを求める手段であり、3D TIMON(東レ)、MOLDFLOW(MOLDFLOW社)といった流動解析ソフトに搭載されている既存の技術である。そして形状、材料物性、成形条件のメモリへの読み込みは、補助記憶装置(104)から行ってもよいが、すでにメモリ上に展開されているデータをそのまま利用する場合は、上記展開をもって読み込みが行われたものとみなす。
【0034】
流動ベクトル作成手段(116)は、流動解析手段(114)でなされた流動解析の結果の1つである任意の解析ステップでの各要素(メッシュ)もしくは各節点(メッシュの交点)の速度ベクトルを作成し、これを流動ベクトルとする。また、流動解析手段(114)でなされた流動解析の結果の1つである流動先端到達時間データを基に、流動先端到達時間勾配ベクトルを作成し、これを流動ベクトルとしてもよい。
【0035】
1次ウェルドライン位置決定手段(117)は溶融材料のフローフロントが合流する際に生成する1次ウェルドラインの位置を決定する手段であり、例えば、特許公開2002−200622の手段によって求められる。(図6、図7参照)
初期2次ウェルドライン仮想粒子発生位置決定手段(118)は1次ウェルドライン位置決定手段(117)によって求められた1次ウェルドラインの位置の座標もしくは1次ウェルドラインの位置の座標から最も近い節点を初期2次ウェルドライン発生位置として記憶する。
【0036】
2次ウェルドライン仮想粒子発生手段(119)はフローフロントが初期2次ウェルドライン仮想粒子発生位置決定手段(118)で決定された発生位置を通過以降、流動解析が完了するまでの任意のタイムステップで2次ウェルドライン仮想粒子を発生させる。
【0037】
2次ウェルドライン仮想粒子追跡手段(120)は、流動ベクトル作成手段(116)で作成された流動ベクトルに沿って前記2次ウェルドライン仮想粒子を移動させ、各時刻で前記仮想粒子が到達した位置の座標を記憶する。あるいは、前記各時刻で前記仮想粒子が到達した位置の座標から最も近い節点の位置を記憶する。
【0038】
2次ウェルドライン仮想粒子発生位置移動手段(121)は、2次ウェルドライン仮想粒子追跡手段(120)によって移動した2次ウェルドライン仮想粒子が初期2次ウェルドライン仮想粒子発生位置と異なる位置に移動したときに、当該2次ウェルドライン仮想粒子から最も近い初期2次ウェルドライン仮想粒子発生位置を当該2次ウェルドライン仮想粒子の位置に移動させる。2次ウェルドライン仮想粒子発生位置が移動した後は、過去の2次ウェルドライン仮想粒子発生位置からは2次ウェルドライン仮想粒子を発生させない。
【0039】
2次ウェルドライン仮想粒子発生位置再決定手段(122)は2次ウェルドライン仮想粒子発生位置移動手段(121)によって移動した初期2次ウェルドライン仮想粒子発生点を改めて2次ウェルドライン仮想粒子発生位置として決定する。ここで決定された2次ウェルドライン仮想粒子発生位置から新たに2次ウェルドライン仮想粒子発生手段(119)を用いて2次ウェルドライン仮想粒子発生させ、2次ウェルドライン仮想粒子追跡手段(120)によって2次ウェルドライン仮想粒子を追跡し、2次ウェルドライン仮想粒子発生位置移動手段(121)によって2次ウェルドライン仮想粒子発生位置を移動させることを繰り返しながら、2次ウェルドライン仮想粒子発生位置を移動させることで、この2次ウェルドライン仮想粒子発生位置の分布の中心を結んだ線を2次ウェルドラインとして予測する。
【実施例1】
【0040】
図4以下に、具体的な2次ウェルドライン予測例を示す。
【0041】
図4は、寸法85mm×40mmで肉厚は一般面1mm、偏肉部2mmを有する平板の図面及びCADデータである。図5は3次元ソリッド要素にて自動的に作成させた解析形状モデルで、239956個の節点と219791個の要素で構成されている。
【0042】
図5の形状について、タルク含有のポリプロピレンPP(日本ポリプロ(株) MK3H)の樹脂物性データを用いて、流動解析を実施した流動パターン及び特許公開2002−200622の手段によって出力される1次ウェルドラインと前記樹脂を用いた実測ショートショットパターンと実測1次ウェルドの例を図6に示す。
【0043】
図7は本形態によって出力される2次ウェルドラインと実測2次ウェルドラインである。このように、1次ウェルドラインが生成後、充填過程を通じて変化する流動ベクトルに応じて移動する2次ウェルドラインの位置を精度良く予測することが出来る。
【0044】
このようにして、2次ウェルドラインの位置を予測することにより、任意の製造条件下の2次ウェルドラインの位置を知ることが出来るので、必要に応じて、成形品形状、材料物性および成形条件を適宜修正することで所望の位置に2次ウェルドラインを移動させるなどして最終的な製造条件を決定し、この結果に基づいて実際に成形品を製造すればよい。
【0045】
なお、上記のように本形態の2次ウェルドライン予測装置はコンピュータとこれにロードされたソフトウェア(プログラム)により実現されている。かかるソフトウェアは、ハードディスクの他、FD(フレキシブルディスク)、CD(コンパクトディスク)、MO(光磁気ディスク)、PD、DVD(デジタル多目的ディスク)などの有形記憶媒体または無線もしくは有線のネットワークなどの伝送手段を通じて流通される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態例の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態例のフローチャートである。
【図3】CAD形状と解析形状モデル図である。
【図4】85×40×(1 or 2)偏肉肉厚の平板図および前記平板図のCADデータである。
【図5】図4の平板に対する解析形状モデルである。
【図6】図5の解析形状モデルに対する流動パターンおよび1次ウェルドラインと実測ショートショットパターン、実測1次ウェルドラインである。
【図7】図6の流動パターンおよび1次ウェルドラインに対する本発明による2次ウェルドライン表示である。
【符号の説明】
【0047】
100 コンピュータ
101 キーボード
102 マウス
103 ディスプレイ
104 補助記憶装置
105 CADデータ記憶手段
106 解析形状モデル記憶手段
107 流動解析結果記憶手段
108 1次ウェルドライン位置記憶手段
109 2次ウェルドライン仮想粒子移動軌跡記憶手段
110 2次ウェルドライン仮想粒子発生位置記憶手段
111 CADデータ作成手段
112 解析形状モデル作成手段
113 解析条件読み込み手段
114 流動解析手段
115 流動解析結果読み込み手段
116 流動ベクトル作成手段
117 1次ウェルドライン位置決定手段
118 初期2次ウェルドライン仮想粒子発生位置決定手段
119 2次ウェルドライン仮想粒子発生手段
120 2次ウェルドライン仮想粒子追跡手段
121 2次ウェルドライン仮想粒子発生位置移動手段
122 2次ウェルドライン仮想粒子発生位置再決定手段
【出願人】 【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
【出願日】 平成19年3月27日(2007.3.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−1088(P2008−1088A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2007−81644(P2007−81644)