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【発明の名称】 微細構造体及びその製造方法
【発明者】 【氏名】國松 真也

【氏名】北田 良二

【氏名】北垣 寛

【氏名】宮内 宏哉

【要約】 【課題】微細構造を有するとともに各々所望の強度と位置決め精度とを備え、加えて低密着性と防錆性とに優れた微細構造体を提供する。

【構成】複数の突起10を有する微細構造12を備えるとともに、充填された流動性樹脂が硬化することによって又は微細構造が透光性材料に転写されることによって成形品を成形する際に使用される成形型1(微細構造体)に、所定の強度を有するベース部材2と、ベース部材2の表面の一部においてNiめっきによって形成された導電層9と、導電層9の上にめっきによって形成され導電層9と共通の金属元素であるNiを含む複数の突起10とを備える。導電層9においてベース部材2に接する第1の層7と複数の突起10における最下層である第3の層13とは各々機能めっきによって形成され、複数の突起10における第3の層13以外の層である第4の層14は電鋳によって形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の突起と該1又は複数の突起以外の低位部とからなる微細構造を有する微細構造体であって、
所定の強度を有するベース部材と、
前記ベース部材の表面における少なくとも一部において形成された導電層とを備えるとともに、
前記1又は複数の突起は前記導電層における所望の領域の上にめっきによって形成されており、かつ、前記1又は複数の突起の厚さ方向における少なくとも一部は電鋳によって形成されたことを特徴とする微細構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の微細構造体において、
前記導電層の上にレジスト層が形成され、前記レジスト層が露光・現像されることによって凹部と凸部とを有するレジストパターンが形成され、前記凹部において露出する前記導電層の上に前記1又は複数の突起が形成され、前記レジストパターンが除去されることによって前記微細構造体が形成されることを特徴とする微細構造体。
【請求項3】
請求項2に記載の微細構造体において、
前記1又は複数の突起は、前記凹部において露出する少なくとも前記導電層がエッチングされることによって形成されたくぼみ部において形成されたことを特徴とする微細構造体。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の微細構造体において、
前記1又は複数の突起が形成された後に前記1又は複数の突起と前記レジストパターンとの上に別のレジスト層が形成され、前記別のレジスト層が露光・現像されることによって前記1又は複数の突起のうち少なくとも一部の所望の突起の上に開口を有する別のレジストパターンが形成され、前記開口において電鋳によって柱状金属が形成されることによって前記所望の突起と前記柱状金属とを含むいっそう高い1又は複数の突起が形成され、前記レジストパターンと前記別のレジストパターンとが除去されることによって前記微細構造体が形成されるとともに、
前記所望の突起と前記柱状金属との間の境目には段差が形成されたことを特徴とする微細構造体。
【請求項5】
請求項1−4のいずれか1つに記載の微細構造体において、
前記微細構造体が使用される際に他の材料に接触しない部分からなる非接触部に形成された位置合わせマークを備え、
前記位置合わせマークは、前記レジスト層又は前記別のレジスト層が露光される際の位置合わせと前記微細構造体が使用される際の位置合わせとに各々使用されることを特徴とする微細構造体。
【請求項6】
請求項1−5のいずれか1つに記載の微細構造体において、
前記微細構造は、充填された流動性樹脂が硬化することによって又は前記1又は複数の突起と前記低位部とが前記他の材料に転写されることによって成形品を成形する際に使用される成形型の型面に形成され、
前記微細構造体の表面は前記成形品に対する低密着性を有する材料からなることを特徴とする微細構造体。
【請求項7】
請求項6に記載の微細構造体において、
前記微細構造が形成された前記成形型は、複数の貫通孔を有する基板の一方の面に装着されたチップ状の電子部品を樹脂封止して成形品であるパッケージを成形する際に使用される樹脂封止型であり、
前記流動性樹脂が硬化することによって前記チップ状の電子部品が樹脂封止され、
前記複数の突起は前記複数の貫通孔を各々塞ぐようにして配置されているとともに、
前記複数の突起は、前記基板における前記一方の面に対向する他方の面に前記流動性樹脂が流れ出すことを各々防止することを特徴とする微細構造体。
【請求項8】
1又は複数の突起と該1又は複数の突起以外の低位部とからなる微細構造を有する微細構造体の製造方法であって、
所定の強度を有するベース部材の表面における少なくとも一部において導電層を形成する工程と、
前記導電層の上にレジスト層を形成する工程と、
前記レジスト層を露光・現像して凹部と凸部とを有するレジストパターンを形成する工程と、
前記凹部において露出する前記導電層の上にめっきによって前記1又は複数の突起を形成する工程と、
前記レジストパターンを除去する工程とを備えるとともに、
前記1又は複数の突起を形成する工程においては、前記1又は複数の突起の厚さ方向における少なくとも一部を電鋳によって形成する工程を備えることを特徴とする微細構造体の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の微細構造体の製造方法において、
前記1又は複数の突起を形成する工程においては、前記凹部において露出する前記導電層において少なくとも前記露出する導電層をエッチングすることによってくぼみ部を形成する工程と、前記くぼみ部において前記1又は複数の突起を形成する工程とを備えることを特徴とする微細構造体の製造方法。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の微細構造体の製造方法において、
前記1又は複数の突起を形成する工程の後に前記1又は複数の突起と前記レジストパターンとの上に別のレジスト層を形成する工程を備え、
前記別のレジスト層を露光・現像することによって前記1又は複数の突起のうち少なくとも一部の所望の突起の上に開口を有する別のレジストパターンを形成する工程と、
前記開口において電鋳によって柱状金属を形成して前記所望の突起と前記柱状金属とを含むいっそう高い1又は複数の突起を形成する工程と、
前記レジストパターンと前記別のレジストパターンとを除去することによって前記微細構造体を形成する工程とを更に備えるとともに、
前記いっそう高い1又は複数の突起を形成する工程では、前記所望の突起と前記柱状金属との間の境目に段差を形成することを特徴とする微細構造体の製造方法。
【請求項11】
請求項8−10のいずれか1つに記載の微細構造体の製造方法において、
前記レジストパターンを形成する工程又は前記別のレジストパターンを形成する工程では、前記微細構造体を使用する際に他の材料に接触しない部分からなる非接触部に形成された位置合わせマークを使用して位置合わせを行って露光するとともに、
前記微細構造体を使用する際の位置合わせにおいても前記位置合わせマークが使用されることを特徴とする微細構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、微細構造体及びその製造方法に関するものである。この微細構造体は、所定の強度を有するベース部材の上に設けられた1又は複数の突起と該1又は複数の突起以外の低位部とからなる微細構造を有している。
【背景技術】
【0002】
以下、背景技術の一例として、微細構造体を有する成形型について説明する。従来、サブミリ(ここでいうミリは長さ1mmを意味する)の程度の長さを単位とする微細構造体を少なくとも含む成形型は、次のような方法によって製造されていた。第1の方法は、鋼系材料を機械加工(切削加工又は研削加工)する方法である。第2の方法は、鋼系材料を放電加工する方法である。
【0003】
第3の方法は、微細構造体の製造方法として知られている、レジストの露光・現像、エッチング、メッキの各プロセスを使用する方法である。例えば、シリコン基板上に微細な構造を持つメッキ層を構成し、シリコン基板からそのメッキ層を剥離して、メッキ層からなる金型を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1の段落[0018]、図1を参照)。以下、この方法を説明する。まず、シリコン基板上に塗布されたポリマ(例えば、ポリメチルメタクリエート;PMMA)上にシリコン含有レジストを塗布する。しかる後、塗布されたレジストを露光現像しパターニングする。このレジストパターンをマスクとしてポリマを酸素ガスの反応性イオンエッチングによりエッチングし、レジストを剥離し、ポリマからなるマスタパターンを作製する。しかる後、そのマスタパターン上にニッケルを真空蒸着し、この蒸着膜を核としてニッケルをメッキしメッキ層を形成する。メッキ層をマスタパターンより剥離する脱型処理を行って、メッキ層からなる金型を作製する。
【0004】
第4の方法は、微細構造体の製造方法として知られている、レジストの露光・現像、メッキの各プロセスを使用する方法である。この方法によれば、金型部材の表面を鏡面仕上げし、その表面の上に微細な構造を持つメッキ部を構成し、そのメッキ部の先端を研磨等して、所定の高さ(溝深さ)を有する最終パターンが精度よく仕上げられた所望の成形金型(入れ子)が得られる(例えば、特許文献2の段落[0025]−[0027]、図1を参照)。以下、この方法を説明する。最初に、高速度工具鋼(SKH)などよりなる金型部材の表面を、高精度に鏡面仕上げしておく。次に、この鏡面仕上げされた面に、レジストもしくはレジストシートを塗布、もしくは貼り付ける。しかる後、金型部材の外周などを基準として位置出しを行なった後、例えば、電子ビームによりパターンを露光・現像し、レジストにパターニングして、所定のレジストパターンを得る。しかる後、メッキすることにより、パターニングされることにより得られた所定のレジストパターン間(レジストの抜けている部分)に、所定の厚みのメッキ(後述する予備マスクパターンとなる)が施された複合基板が得られる。メッキは硬質Cr(クロム)等で行ない、樹脂成形用金型であればNi(ニッケル)等を使用する。メッキ工程終了後、複合基板の内のレジストパターンのみを、例えば、剥離剤やアッシング等により剥離(除去)して、所定の厚みを有する予備マスクパターンを有する金型を得る。次に、この金型の一部を構成する金型部材の裏面を基準として、所定の厚みを有するメッキ部の先端部分を機械加工(研磨等)することにより、所定の高さ(溝深さ)を有する最終パターンが精度よく仕上げられた所望の成形金型を得ることができる。
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術によれば、次のような問題がある。まず、第1及び第2の方法によれば、成形型の形状によっては、製造が困難であったり、加工に長時間を要するので加工効率が悪くなったりするという問題がある。例えば、成形型が、平面視して市松模様状の微小な凹凸を有する場合などに、これらの問題が発生する。
【0006】
次に、第3の方法によれば、まず、成形型に要求される強度を実現するためには成形型がある程度の厚さを有する必要があることから、メッキに長時間を要するという問題がある。また、脱型処理を行う際に、メッキ層からなる金型の微細構造に傷や変形等を生じさせるおそれがある。更に、メッキを短時間行って形成した薄い金型を、接着剤等によって母材に固定するという構成も考えられるが、この構成によれば、成形型が使用される際における型面の高精度な位置決めが困難であるという問題がある。すなわち、型面を高精度に位置決めすることが、水平方向・垂直方向のいずれについても平行度についても困難である。
【0007】
次に、第4の方法によれば、まず、レジストパターンが存在していた部分における離型性が悪いという問題がある。その理由は、次の通りである。レジストパターンが存在していた部分には、メッキによって硬質CrやNi等が形成されることはないので、これらの部分においては、高速度工具鋼等よりなる金型部材が露出して型面を構成する。したがって、型面のうち金型部材が露出する部分において、樹脂成形で使用される硬化樹脂等に対して密着性が高くなる(言い換えれば離型性が悪くなる)。また、複合基板の内のレジストパターンのみを剥離(除去)して予備マスクパターンを有する金型を形成した後に、所定の厚みを有するメッキ部の先端部分を機械加工(研磨等)する。これにより、機械加工する際にメッキ部からなる微細構造に剥離、傷、変形等を生じさせるおそれがあるという問題がある。更に、型面のうち金型部材が露出する部分において、錆が発生するおそれがあるという問題がある。
【特許文献1】特開平8−238631号公報(第3頁、図1)
【特許文献2】特開2002−225037号公報(第4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、まず、微細構造を有するとともに所望の強度を備えた微細構造体を短時間に製造することができないという点である。次に、微細構造を有するとともに使用される際における所望の位置決め精度を備えた微細構造体を製造することが困難であるという点である。次に、微細構造を有するとともに低密着性と防錆性とに優れた微細構造体を製造することが困難であるという点である。次に、微細構造体を製造する際に、剥離、傷、変形等が生じるおそれがあるという点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下の説明における()内の符号は、説明における用語と図面に示された構成要素とを対比しやすくする目的で記載されたものである。また、これらの符号は、図面に示された構成要素に限定して説明における用語を解釈することを意味するものではない。
【0010】
上述の課題を解決するために、本発明に係る微細構造体は、1又は複数の突起(10,45,58)と該1又は複数の突起(10,45,58)以外の低位部(11,46,60)とからなる微細構造(12,47,61)を有する微細構造体(1,28,48,49,62)であって、所定の強度を有するベース部材(2)と、ベース部材(2)の表面(6)における少なくとも一部において形成された導電層(9)とを備えるとともに、1又は複数の突起(10,45,58)は導電層(9)における所望の領域の上にめっきによって形成されたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る微細構造体は、上述の微細構造体(1,28,48,49,62)において、導電層(9)の上にレジスト層(16)が形成され、レジスト層(16)が露光・現像されることによって凹部(22)と凸部(23)とを有するレジストパターン(24)が形成され、凹部(22)において露出する導電層(9)の上に1又は複数の突起(10,45,58)が形成され、レジストパターン(24,53)が除去されることによって微細構造体(1,28,48,49,62)が形成されるとともに、1又は複数の突起(10,45,58)の厚さ方向における少なくとも一部は電鋳によって形成されたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る微細構造体は、上述の微細構造体(48,49)において、1又は複数の突起(45)は、凹部(22)において露出する少なくとも導電層(9)がエッチングされることによって形成されたくぼみ部(40)において形成されたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る微細構造体は、上述の微細構造体(62)において、1又は複数の突起(10)が形成された後に1又は複数の突起(10)とレジストパターン(24)との上に別のレジスト層(50)が形成され、別のレジスト層(50)が露光・現像されることによって1又は複数の突起(10)のうち少なくとも一部の所望の突起(10)の上に開口(52)を有する別のレジストパターン(53)が形成され、開口(52)において電鋳によって柱状金属(55)が形成されることによって所望の突起(10)と柱状金属(55)とを含むいっそう高い1又は複数の突起(58)が形成され、レジストパターン(24)と別のレジストパターン(53)とが除去されることによって微細構造体(62)が形成されるとともに、所望の突起(10)と柱状金属(55)との間の境目には段差(59)が形成されたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る微細構造体は、上述の微細構造体(1,28,48,49,62)において、微細構造体(1,28,48,49,62)が使用される際に他の材料に接触しない部分からなる非接触部(3)に形成された位置合わせマーク(4)を備え、位置合わせマーク(4)は、レジスト層(16)又は別のレジスト層(50)が露光される際の位置合わせと微細構造体(1,28,48,49,62)が使用される際の位置合わせとに各々使用されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る微細構造体は、上述の微細構造体(28)において、微細構造は、充填された流動性樹脂(31)が硬化することによって又は1又は複数の突起(10)と低位部(11)とが他の材料に転写されることによって成形品(37)を成形する際に使用される成形型(28)の型面に形成され、微細構造体(28)の表面(29)は成形品(37)に対する低密着性を有する材料からなることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る微細構造体は、上述の微細構造体(28)において、微細構造が形成された成形型(28)は、複数の貫通孔(35)を有する基板(33)の一方の面に装着されたチップ状の電子部品(34)を樹脂封止して成形品(37)であるパッケージを成形する際に使用される樹脂封止型であり、流動性樹脂(31)が硬化することによってチップ状の電子部品(34)が樹脂封止され、複数の突起(10)は複数の貫通孔(35)を各々塞ぐようにして配置されているとともに、複数の突起(10)は、基板(33)における一方の面に対向する他方の面(39)に流動性樹脂(31)が流れ出すことを各々防止することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る微細構造体の製造方法は、1又は複数の突起(10,45,58)と該1又は複数の突起(10,45,58)以外の低位部(11,46,60)とからなる微細構造(12,47,61)を有する微細構造体(1,28,48,49,62)の製造方法であって、所定の強度を有するベース部材(2)の表面(6)における少なくとも一部において導電層(9)を形成する工程と、導電層(9)の上にレジスト層(16)を形成する工程と、レジスト層(16)を露光・現像して凹部(22)と凸部(23)とを有するレジストパターン(24)を形成する工程と、凹部(22)において露出する導電層(9)の上にめっきによって1又は複数の突起(10,45,58)を形成する工程と、レジストパターン(24,53)を除去する工程とを備えることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る微細構造体の製造方法は、上述の微細構造体(1,28,48,49,62)の製造方法において、1又は複数の突起(10,45,58)を形成する工程においては、1又は複数の突起(10,45,58)の厚さ方向における少なくとも一部を電鋳によって形成する工程を備えることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る微細構造体の製造方法は、上述の微細構造体(48,49)の製造方法において、1又は複数の突起(45)を形成する工程においては、凹部(22)において露出する導電層(9)において少なくとも露出する導電層(9)をエッチングすることによってくぼみ部(40)を形成する工程と、くぼみ部(40)において1又は複数の突起(45)を形成する工程とを備えることを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る微細構造体の製造方法は、上述の微細構造体(62)の製造方法において、1又は複数の突起(10)を形成する工程の後に1又は複数の突起(10)とレジストパターン(24)との上に別のレジスト層(50)を形成する工程を備え、別のレジスト層(50)を露光・現像することによって1又は複数の突起(10)のうち少なくとも一部の所望の突起(10)の上に開口(52)を有する別のレジストパターン(53)を形成する工程と、開口(52)において電鋳によって柱状金属(55)を形成して所望の突起(10)と柱状金属(55)とを含むいっそう高い1又は複数の突起(58)を形成する工程と、レジストパターン(24)と別のレジストパターン(53)とを除去することによって微細構造体(62)を形成する工程とを更に備えるとともに、いっそう高い1又は複数の突起(58)を形成する工程では、所望の突起(10)と柱状金属(55)との間の境目に段差(59)を形成することを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る微細構造体の製造方法は、上述の微細構造体(1,28,48,49,62)の製造方法において、レジストパターン(24)を形成する工程又は別のレジストパターン(53)を形成する工程では、微細構造体(1,28,48,49,62)を使用する際に他の材料(31,36)に接触しない部分からなる非接触部(3)に形成された位置合わせマーク(4)を使用して位置合わせを行って露光するとともに、微細構造体(1,28,48,49,62)を使用する際の位置合わせにおいても位置合わせマーク(4)が使用されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、微細構造体(1,28,48,49,62)において、所定の強度を有するベース部材(2)の上に導電層(9)が形成され、その導電層(9)の上に複数の突起(10,45,58)がめっきによって形成される。したがって、所定の強度を有するベース部材(2)の上に複数の突起(10,45,58)が形成されるので、シリコン基板からめっき層を剥離して製造されたそのめっき層からなる金型に比較して、大きな強度を有する微細構造体(1,28,48,49,62)が得られる。また、完成した微細構造体(1,28,48,49,62)の型面においてベース部材(2)が露出しないので、ベース部材(2)が鋼系材料からなる場合であっても優れた防錆性を有する微細構造体(1,28,48,49,62)が得られる。
【0023】
また、本発明によれば、導電層(9)の上のレジスト層(16)が露光・現像されることによって凹部(22)を有するレジストパターン(24)が形成され、凹部(22)において露出する導電層(9)の上に1又は複数の突起(10,45,58)が形成され、レジストパターン(24,53)が除去されることによって微細構造体(1,28,48,49,62)が形成される。これにより、平面的な精度に関して、露光・現像の精度に応じた優れた寸法精度を有する1又は複数の突起(10,45,58)が形成される。したがって、平面的に優れた寸法精度を有する微細構造体(1,28,48,49,62)が得られる。更に、1又は複数の突起(10,45,58)の厚さ方向における少なくとも一部が電鋳によって形成されるので、高さと大きなアスペクト比とを有する1又は複数の突起(10,45,58)を備えた微細構造体(1,28,48,49,62)が短時間に形成される。
【0024】
また、本発明によれば、少なくとも導電層(9)がエッチングされることによって形成されたくぼみ部(40)において1又は複数の突起(45)がめっきによって形成され、かつ、1又は複数の突起(45)の厚さ方向における少なくとも一部は電鋳によって形成される。これにより、導電層(9)に形成されたくぼみ部(40)において、1又は複数の突起(45)の底部が少なくとも導電層(9)に食い込むようにして形成される。したがって、いわゆるアンカー効果(投錨効果)によって、ベース部材(2)と複数の突起(45)との間の密着性が向上する。
【0025】
また、本発明によれば、1又は複数の突起(10)が形成された後に、その1又は複数の突起(10)のうち少なくとも一部の所望の突起(10)の上に、開口(52)を有する別のレジストパターン(53)が露光・現像によって形成される。そして、開口(52)において電鋳によって柱状金属(55)が形成されることにより、所望の突起(10)と柱状金属(55)とを含むいっそう高い1又は複数の突起(58)が形成され、所望の突起(10)と柱状金属(55)との間の境目には段差(59)が形成される。これにより、段差(59)が形成されており、平面的に優れた寸法精度を有するいっそう高い1又は複数の突起(58)を備えた微細構造体が得られる。
【0026】
また、本発明によれば、微細構造体(1,28,48,49,62)の表面における非接触部(3)に形成された位置合わせマーク(4)が、レジスト層(16)又は別のレジスト層(50)が露光される際の位置合わせと微細構造体(1,28,48,49,62)が使用される際の位置合わせとに各々使用される。これにより、微細構造体(1,28,48,49,62)において位置合わせマーク(4)と微細構造(12,47,61)との間の寸法精度が良好になるとともに、微細構造体(1,28,48,49,62)が使用される際の対象物との間の寸法精度が良好になる。
【0027】
また、本発明によれば、微細構造(12,47,61)は成形型(28)の型面に形成され、微細構造体(1,28,48,49,62)の表面(29)は成形品(37)に対する低密着性を有する材料からなる。これにより、成形型(28)の型面に形成された微細構造(12,47,61)において、成形品(37)と成形型(28)との間の離型性が向上する。
【0028】
また、本発明によれば、複数の突起(10)は各々複数の貫通孔(35)を塞ぐようにして配置されているとともに、複数の突起(10)の各々は、基板(33)における一方の面に対向する他方の面(39)に流動性樹脂(31)が流れ出すことを防止する。したがって、基板(33)の他方の面(39)における樹脂漏れが防止されるような微細構造(12)を有する微細構造体(28)、すなわち成形型(28)が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
複数の突起(45)と該複数の突起(45)以外の低位部(46)からなる溝(46)とを有する微細構造(47)を備える微細構造体(48,49)に、所定の強度を有するベース部材(2)と、ベース部材(2)の表面(6)における一部において形成された導電層(9)と、導電層(9)の上にめっきによって形成された複数の突起(45)とを備える。そして、導電層(9)の上のレジスト層(16)が露光・現像されることによって凹部(22)を有するレジストパターン(24)が形成され、それらの凹部(22)においてエッチングによって少なくとも導電層(9)に、好ましくは更にベース部材(2)にくぼみ部(40)が形成され、それらのくぼみ部(40)において複数の突起(45)が形成され、レジストパターン(24)が除去されることによって微細構造体(48,49)が形成される。また、導電層(9)においてベース部材(2)に接する第1の層(7)と複数の突起(45)における最下層である第3の層(41)とは、それぞれ被めっき面を活性化しながら金属層を薄く析出させる機能めっき(以下適宜「機能めっき」という)によって形成されている。更に、複数の突起(45)のそれぞれにおいて第3の層(41)の上に形成された第4の層(44)は、電鋳によって形成されている。
【実施例1】
【0030】
本発明に係る微細構造体に関する実施例1を、図1を参照して説明する。図1は、本実施例に係る微細構造体を示す部分断面図である。なお、以下の説明において使用するいずれの図についても、わかりやすくするために適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。また、以下に説明する各実施例においては、成形品を成形する際に使用される成形型としての微細構造体について説明する。また、ここでいう成形品は、硬化樹脂等の樹脂材料、透光性材料(透光性樹脂、ガラス等)等を含んでいる。
【0031】
本実施例に係る微細構造体からなる成形型は、他の材料を含む成形品を成形する際に使用される。ここでいう他の材料とは、基本的には成形型を構成する材料以外の材料であって、例えば、硬化樹脂等の樹脂材料、透光性材料等からなる材料である。そして、ここでいう成形品の一つの例は、成形型に設けられたキャビティ内において流動性樹脂(他の材料)が硬化して形成された硬化樹脂(他の材料)を含むものである。また、ここでいう成形品の他の例は、成形型の微細構造が樹脂材料、透光性材料等の材料(他の材料)に転写されることによって成形(ホットエンボス、ナノインプリント)されたものである。この場合の成形型は「スタンパー」と呼ばれることがある。また、本実施例においては、特記した場合を除いて、キャビティ内において流動性樹脂を硬化させて成形品を成形する際に使用される成形型について説明する。
【0032】
図1に示されているように、本実施例に係る微細構造体からなる成形型1は、所定の強度を有するベース部材2と、ベース部材2の端部における非接触部3に形成され所定の形状(例えば「+」字型であるが、これに限定されない)を有する細溝からなる位置合わせマーク4とを備える。ここで、非接触部3は、成形型1が使用される際の対象物である流動性樹脂、透光性材料等、すなわち他の材料のいずれにも接触する可能性がない部分を意味する。また、接触部5を全部覆うようにして、ベース部材2の表面6に、いずれも導電体からなる第1の層7と第2の層8とが順次形成されている。ここで、接触部5は、成形型1が使用される際の対象物である流動性樹脂、透光性材料等、すなわち他の材料のいずれかに接触する可能性がある部分を意味する。第1の層7と第2の層8とは、それぞれめっきによって形成されたNi層であって併せて導電層9を構成する。
【0033】
導電層9の上には、微細な複数の突起10が形成されている。それらの突起10同士の間には、それらの突起10以外の部分であって幅が狭く表面が低くなっている部分(低位部)、すなわち溝11が形成されている。複数の突起10と複数の溝11とは、併せて微細構造12を構成する。突起10は、導電層9の上に順次形成されいずれも導電体からなる第3の層13と肉厚である第4の層14とによって構成されている。第3の層13と第4の層14とは、溝11がレジスト層(後述)によって塞がれた状態においてめっきによって形成されたNi層である。そして、突起10において、最下層である第3の層13は機能めっき(被めっき面を活性化しながら金属層(具体的にはNi層)を薄く析出させるめっき)によって、最下層以外の部分である第4の層14は電鋳によって、それぞれ形成されている。したがって、突起10のうち肉厚である第4の層14が電鋳によって形成されたことになる。このことにより、微細構造12における肉厚の部分が電鋳によって形成されたことになる。したがって、微細構造12が有する突起10の高さを、短時間に大きくすることが可能になる。
【0034】
ここで、所定の強度を有するベース部材2について説明する。ベース部材2は成形型1の母材であって、鋼系材料、WC(タングステンカーバイド)等の超硬合金、アルミニウム等の金属材料から構成される。ここで、上述した「所定の強度」とは、成形型1に要求される機械的な強度、すなわち、成形型1が使用される際に成形型1に加えられる機械的な圧力に耐えられる程度の強度をいう。そして、「機械的な圧力」としては、例えば、次のような圧力が挙げられる。まず、成形型1に設けられたキャビティ(図示なし)に充填された流動性樹脂が硬化して硬化樹脂を形成する場合、すなわち、射出成形、トランスファ成形、圧縮成形等における型締め圧である。また、射出成形及びトランスファ成形における流動性樹脂の注入圧である。更に、成形型1の微細構造12が硬化樹脂等の樹脂材料や透光性材料等に転写されることによって成形品を形成する場合、すなわち、ホットエンボス等において成形型1に加えられる機械的な圧力である。
【0035】
また、第1−第4の層7,8,13,14について説明する。第1の層7は機能めっきによって形成されたNi層で、第2の層8はスルファミン酸めっきによって厚付けを目的として形成されたNi層である。また、第3の層13は、溝11がレジスト層(後述)によって塞がれた状態において機能めっきによって形成されたNi層である。また、第4の層14は、溝11がレジスト層(後述)によって塞がれた状態においてスルファミン酸めっきによって形成され、第3の層13よりも大きな厚さを有する肉厚のNi層である。したがって、導電層9と突起10とは、共通の金属元素であるNiを含んでいる。ここで、スルファミン酸めっきによって形成された第4の層14は、電鋳によって形成された層に相当する。なお、Niは、成形品の少なくとも一部を構成する材料である硬化樹脂等の樹脂材料、透光性材料等に対する低密着性を有する材料である。また、ここでいう「低密着性」とは、「従来の金型材料である鋼系材料や超硬合金等と、樹脂材料、透光性材料等の材料との間の密着性に比較した場合に、低い密着性であること」を意味する。
【0036】
また、「+」字型の形状を有する位置合わせマーク4について説明する。位置合わせマーク4は、位置合わせマーク4自体の寸法(幅・長さ)と、位置合わせマーク4相互間の距離とが、予め高精度に加工されている。この位置合わせマーク4は、ベース部材2に微細構造12を形成する工程と、完成した成形型1を使用して成形品を製造する工程との双方において、位置合わせの基準として機能する。
【0037】
本発明に係る微細構造体(成形型1)によれば、所定の強度を有するベース部材2の上に、めっきによって形成されNi層からなる導電層9と、その導電層9を介して主に電鋳によって形成されNi層からなる突起10とを有する微細構造12が形成されている。このことにより、第1に、シリコン基板からめっき層を剥離して製造されたそのめっき層からなる金型(微細構造体)に比較して、大きな強度を有する微細構造体が得られる。第2に、ベース部材2の上に、めっきによって導電層9を、主に電鋳によって突起10を順次形成するので、大きな強度を有する微細構造体が短時間に得られる。第3に、微細構造体からなる成形型1の接触部5において流動性樹脂に接触する型面がすべてNiによって構成されているので、優れた低密着性と防錆性とを有する微細構造体(成形型1)が得られる。
【0038】
また、本発明に係る微細構造体(成形型1)によれば、導電層9におけるベース部材2に接する層である第1の層7と、突起10における最下層であって導電層9に接する層である第3の層13とが、機能めっきによってそれぞれ形成されたNi層である。また、この機能めっきは、該めっきによって形成されたNi層とこれに接する金属層との間における密着性を良くするという目的を有する。また、この機能めっきは、該めっきによって形成されたNi層の被覆力を向上させるという目的を有する。これらの目的は、機能めっきが被めっき面を活性化しながらその被めっき面に金属層を薄く析出させることによって、達成される。そして、これらの目的が達成されることにより、第1の層7を介するベース部材2と第2の層8との間の密着性、及び、第3の層13を介する第2の層8と第4の層14との間の密着性が良好になる。したがって、ベース部材2と導電層9と微細構造12との間の密着性に優れた微細構造体(成形型1)が得られる。
【0039】
更に、本発明に係る微細構造体(成形型1)によれば、位置合わせマーク4が、ベース部材2において微細構造12を形成する工程と、完成した微細構造体が使用される工程、すなわち成形型1を使用して成形品を製造する工程との双方において、位置合わせの基準として機能する。これにより、微細構造体(成形型1)において位置合わせマーク4と微細構造12との間の寸法精度が良好になるとともに、成形型1の微細構造12と成形品との間の寸法精度が良好になる。したがって、完成した微細構造体である成形型1とこれを使用して製造された結果物、すなわち成形品との双方において、良好な寸法精度が得られる。
【0040】
なお、本発明に係る微細構造体(成形型1)によれば、導電層9と突起10とをNiによって形成したが、これに限らず、微細構造体が接触する可能性がある物質の特性に応じて金属の種類を変えることができる。例えば、ガラスに対して微細構造を転写する成形型として微細構造体が使用される場合には、Pt(白金)によって導電層9のうち少なくとも第2の層8を形成し、Pt−Re(白金・レニウム)によって突起10を形成してもよい。これにより、ガラスに対する離型性に優れた、ホットエンボス(ナノインプリント)用の成形型が得られる。
【0041】
また、上述の説明においては、導電層9と突起10とが共通の金属元素であるNi(又はPt)を含んでいることとした。これに限らず、導電層9と突起10とを構成する金属の組合せによっては、導電層9と突起10とが共通の金属元素を有する必要がない場合もある。また、導電層9と突起10とを構成する材料としては、上述したNi、Ptの他に次のような材料を使用することができる。まず、単金属めっきとして、Cu(銅)、Cr(クロム)、Zn(亜鉛)、Sn(スズ)、Pb(鉛)、Au(金)、Ag(銀)等を使用することができる。また、合金めっきとして、Cu−Zn、Cu−Sn、Pb−Sn、Sn−Zn、Zn−Ni、Fe(鉄)−Ni等を使用することができる。また、分散(複合)めっきとして、ニッケル−アルミナ、シリコンカーバイド等の材料を使用することができる。これらのうち、微細構造体(成形型1)が接触する物質の特性、ベース部材2と導電層9と微細構造12との間における要求される密着性等に応じて、好適な材料を選べばよい。
【0042】
また、ベース部材2と微細構造12との間の密着性について要求されている値がそれほど大きくない場合には、1つの層によって導電層9が形成されていてもよい。この場合においては、機能めっき又は通常のめっき(例えば、スルファミン酸めっき等)によって導電層9を形成し、機能めっきによって第3の層13を形成し、その後に電鋳によって第4の層14を形成することになる。また、微細構造12が次のような構造であってもよい。それは、導電層9の上に機能めっきによって第3の層13が形成され、その上に他のめっきによって導電層が形成され、その導電層の上に電鋳によって肉厚である導電層(第4の層14に相当)が形成されたような積層構造である。更に、この積層構造において、他のめっきによる導電層と電鋳による導電層との間に、機能めっきによって導電層が形成されていてもよい。
【0043】
また、めっき以外の周知の成膜方法を使用して導電層9を形成してもよい。周知の成膜方法として、蒸着、スパッタリング、CVD等が挙げられる。ここで、導電層9を構成する材料は、金属系材料又は炭素系材料のうち少なくともいずれかを含んでいればよい。
【0044】
また、第2の層8と第4の層14とをそれぞれNi以外の金属を使用して形成してもよい。この場合においても、第2の層8の下地層である第1の層7と、第4の層14の下地層である第3の層13とを、それぞれ機能めっきによるNi層として形成することができる。更に、第1の層7と第3の層13とを、それぞれ機能めっきにより、Ni以外の好適な金属によって形成してもよい。これらにより、第1の層7を介してベース部材2と第2の層8との間の密着性が向上するとともに、第3の層13を介して第2の層8と第4の層14との間の密着性が向上する。
【0045】
また、ベース部材2が鋼系材料等の金属材料から構成されることとしたが、これに代えて、所定の強度を有する非導電性材料によってベース部材2を構成してもよい。この場合には、ベース部材2の表面6に無電解めっきによってNi層を形成した後に、機能めっきによって第1の層7を、スルファミン酸めっきによって第2の層8を、順次形成することができる。非導電性材料としては、例えば、セラミックス、ガラス、エンジニアリングプラスチック等を使用することができる。
【実施例2】
【0046】
本発明に係る微細構造体(図1の成形型1)とその製造方法とに関する実施例2を、図2−図3を参照して説明する。図2(1)は本実施例に係る微細構造体の母材であるベース部材を示し、図2(2)−(4)はベース部材の表面上に導電層を形成する工程からその導電層の上のレジスト層を露光する工程までの各工程を順次示す、それぞれ部分断面図である。図3(1)−(4)は、導電層の上にレジストパターンを形成する工程からその導電層の上に微細構造を形成して微細構造体を完成させるまでの各工程を順次示す、それぞれ部分断面図である。
【0047】
まず、図2(1)に示すように、鋼系材料、超硬合金、アルミニウム等の金属材料から構成され、所定の強度を有するベース部材2を準備し、表面6に対向してこれにほぼ平行な面である基準面(図示なし;図では下側に位置する)を基準にしてその表面6を予め研磨しておく。これにより、基準面と表面6との間の平行度を良好にすることができる。また、ベース部材2の端部における非接触部3には、スライサ等を使用して、「+」字型の形状を有する位置合わせマーク4を予め形成しておく。ここで、位置合わせマーク4自体の寸法(幅・長さ)と位置合わせマーク4相互間の距離とが高精度になるようにして加工する。その後に、表面6に対して洗浄処理を行う。
【0048】
次に、図2(2)に示すように、非接触部3における位置合わせマーク4とそれらの周囲とを覆うようにして、マスキングテープ15を貼付する。そして、表面6における露出している部分(表面6のほぼ全面に相当する)において、機能めっきによってNi層からなる第1の層7を形成する。その後に、金属層の厚付けを目的として、第1の層7の上にスルファミン酸めっきによってNi層からなる第2の層8を形成する。それぞれめっきによって形成されたNi層からなる第1の層7と第2の層8とは、併せて導電層9を構成する。この工程においては、機能めっきによって第1の層7を形成することにより、表面6に付着した油分等の付着物(汚れ)が除去されてNiに置換される。したがって、第1の層7を介するベース部材2と第2の層8との間の密着性が良好になる。この工程においては、機能めっきは特殊な作業条件又は浴組成を用いて短時間施される。
【0049】
次に、図2(3)に示すように、マスキングテープ15を剥離した後に、導電層9の上にポジ型のフォトレジストからなるレジスト層16を形成する。この工程では、予めフィルム状に形成されたフィルムレジストを、気泡が発生しないようにして導電層9の上に貼付する。なお、この工程においては、マスキングテープ15を貼付した状態でロールコータを使用してもよく、ベース部材2の形状・大きさによってはスピンコータを使用してもよい。
【0050】
次に、図2(4)に示すように、レジスト層16の上に、フォトマスク17を直接配置する。フォトマスク17の下面には、黒い部分である所定の遮光パターン18と、ベース部材2の位置合わせマーク4に対応する位置における位置合わせパターン19とが形成されている。フォトマスク17を配置する際には、位置合わせパターン19と、ベース部材2の表面6における位置合わせマーク4とを、露光機の位置合わせ用光学系(図示なし)を使用して水平方向及び垂直方向(Z方向)に位置合わせする。その後に、露光機を使用して、フォトマスク17を介して紫外光20によってレジスト層16を照射して、レジスト層16を露光する(コンタクト露光)。このことにより、レジスト層16における照射された部分を分解反応させて、この照射された部分を可溶部21に変化させる。この可溶部21は、所定の現像液に対する可溶性を有する。ここで、露光用の光線としては、紫外光20又はX線を使用することができる。本実施例においては、光源等の装置の利用容易性を考慮して、紫外光20を使用するUV−LIGAプロセスを採用した。このことにより、成形型1を製造するためのコストが低減される。なお、微細構造12に要求される微細さの程度によっては、X線−LIGAプロセスを採用することもできる。
【0051】
次に、所定の現像液を使用して、ベース部材2における露光したレジスト層16を現像する。これにより、図3(1)に示すように、図2(4)の可溶部21が現像液に溶融して形成された凹部22と、残存するレジスト層16(図2(4)参照)からなる凸部23とが、導電層9の上に形成される。凹部22と凸部23とは、併せてレジストパターン24を構成する。その後に、非接触部3における位置合わせマーク4とそれらの周囲とを覆うようにして、マスキングテープ25を貼付する。
【0052】
次に、図3(2)に示すように、レジストパターン24が形成されたベース部材2に対して、機能めっきによってNi層からなる第3の層13を形成し、その後に、第3の層13の上にスルファミン酸めっきによってNi層からなる肉厚層26を形成する。ここで、スルファミン酸めっきによる肉厚層26の形成が電鋳による形成に相当する。そして、凹部22(図3(1)参照)においてそれぞれめっきによって形成されたNi層からなる第3の層13と肉厚層26とは、併せて柱状金属27を構成する。この工程においては、機能めっきは特殊な作業条件又は浴組成を用いて短時間施される。また、機能めっきによって第3の層13を形成することにより、導電層9の表面が活性化されるとともに、その表面におけるレジスト層16(図2(4)参照)の残留物等の付着物(汚れ)が除去されてNiに置換される。したがって、第3の層13を介する導電層9(図3(1)参照)と肉厚層26との間の密着性が良好になる。なお、フォトマスク17における遮光パターン18の形状を適切に定めることにより、柱状金属27の平面形状について、四角形以外の多角形、円形、楕円形等にすること、及び、形状・大きさを規則的に又は不規則的に変化させることができる。
【0053】
次に、図3(3)に示すように、レジストパターン24が形成された状態において、図3(2)に示された肉厚層26の頂部、すなわち柱状金属27の頂部を研磨する。これによって、柱状金属27の頂部が研磨されて、それぞれ一定の高さを有する複数の突起10が形成される。なお、ここでいう研磨は、柱状金属27の頂部を平坦な状態にしつつ低くする加工を意味しており、ラッピング、切削加工、研削加工、砥粒加工等も含んでいる。また、この工程では、ベース部材2の表面6(図2(1)参照)に対向する面である基準面(図示なし;図では下側に位置する)を基準にして、柱状金属27の頂部を研磨することが好ましい。これにより、その基準面と表面6と突起10の頂面との間の平行度を良好にすることができる。また、複数の突起10の高さ(=図1に示された複数の溝11の深さ)を均一にすることができるので、微細構造12における高さ方向の寸法精度を良好にすることができる。また、柱状金属27の頂部だけを研磨してそれらの頂部を一定の高さにしてもよく、柱状金属27の頂部とレジストパターン24の凸部23の上面とをともに研磨してそれらが同一面(いわゆる面一)になるようにしてもよい。なお、頂部が研磨された肉厚層26が、第4の層14に相当する。
【0054】
次に、図3(4)に示すように、導電層9と複数の突起10とが形成されたベース部材2からレジストパターン24(図3(3)参照)を剥離(除去)する。そして、その後に微細構造体からなる成形型1を洗浄する。これにより、図1に示された微細構造体(成形型1)が完成する。なお、この工程では、次の方法を単独で又は適宜組み合わせて使用してもよい。第1の方法は、O(酸素)アッシングである。第2の方法は、アセトン等の洗浄液を使用して微細構造体を洗浄する際に、超音波振動を印加することである。第3の方法は、機能めっきを施して微細構造体の表面を活性化して気泡を積極的に出すことによって、レジスト残留物を除去することである。この第3の方法では、機能めっきを使用して、被めっき面を活性化しながら金属層を薄く析出させる。したがって、析出した金属層の厚さが寸法精度の観点から問題にならないような微細構造体の製造に、この方法を適用することが好ましい。
【0055】
本実施例によれば、UV−LIGAプロセスを使用して実施例1に係る微細構造体(成形型1)を製造することができる。そして、具体的に本実施例は、次のような優れた効果を奏する。まず、光学的プロセスを使用して、表面6のほぼ全面にわたるめっき(機能めっきを含む)、レジスト層形成、露光、現像、表面6の露出する部分におけるめっき(機能めっきと電鋳とを含む)、レジストパターン剥離、研磨という各工程を順次経て、複数の突起10を一括して形成する。この製造方法によって、高アスペクト比を有する多数の突起10を、水平方向と垂直方向とに寸法精度よく、かつ、効率よく形成することができる。また、ベース部材2の表面6に対向する面である基準面(図示なし;図では下側に位置する)と、表面6の端部における非接触部3に形成された位置合わせマーク4とを基準にして、微細構造体を製造する。これによって、次のような良好な寸法精度を有する微細構造体(成形型1)を製造することができる。それは、位置合わせマーク4と微細構造12との間における垂直方向と水平方向とに良好な寸法精度であり、また、基準面(図示なし)と微細構造12との間における垂直方向に良好な寸法精度である。
【0056】
また、切削加工、研削加工、放電加工等によって微細構造を形成する従来の技術に比較して、突起10の形状についての制約が少なくなる。また、大きな高さを有するとともに高アスペクト比を有する多数の突起10を、短時間に形成することができる。加えて、それらの多数の突起10を有する微細構造体(成形型1)を、短時間に製造することができる。
【0057】
また、それぞれ機能めっきによって、導電層9のうち第1の層7と、柱状金属27のうち第3の層13とを形成する。そして、第3の層13の上に電鋳によって柱状金属27のうち肉厚層26を形成し、レジストパターン24が形成された状態で肉厚層26の頂面を研磨して複数の突起10を形成する。したがって、複数の突起10と導電層9とベース部材2との間の密着性が良好であり、高さ方向の寸法精度に優れた複数の突起10を有する微細構造体(成形型1)を製造することができる。更に、レジストパターン24が形成された状態で肉厚層26の頂面を研磨する。したがって、機能めっきによって第1の層7と第3の層13とを形成してそれらの層とそれらに接する層との間の密着性を向上させること、及び、上述の研磨方法を採用することによって、微細構造12における剥離、傷、変形等の発生を防止することができる。
【0058】
また、所定の強度を有するベース部材2の上に、電鋳を含むめっきによって微細構造12を形成する。これにより、第1に、めっき層をマスタパターンから剥離してそのめっき層からなる金型を作成するという従来の技術に比較して、優れた強度を有する微細構造体(成形型1)を短時間に製造することができる。また、めっき層をマスタパターンから剥離する脱型処理を行う必要がないので、微細構造12における剥離、傷、変形等の発生を防止することができる。第2に、所定のレジストパターンを得てしかる後にめっきするという従来の技術に比較して、流動性樹脂等に接触する部分からなる接触部5(図1参照)の全面においてNi層を形成することによって、優れた低密着性と防錆性とを有する微細構造体(成形型1)を製造することができる。
【0059】
また、UV−LIGAプロセスを使用するので、製造装置に関するコストを低減することができる。以上説明したように、本実施例によれば、良好な寸法精度とベース部材2に対する優れた密着性とを有する微細構造12を備えた微細構造体(成形型1)を、低コストで製造することができる。
【0060】
なお、本実施例では、ポジ型のフォトレジストからなるレジスト層16を使用した。これに限らず、ネガ型のフォトレジストと、フォトマスク17の遮光パターン18を反転させたパターンを有するフォトマスクとを、組み合わせて使用することもできる。
【0061】
また、本実施例において、ほぼテーパ状(台形状)の断面形状を有する複数の突起10を形成することもできる。この場合には、平行光源と、適当なフォトレジストと、そのフォトレジストに対応するパターンを有するフォトマスクとを使用して、フォトマスクを図2(4)の水平方向に微小に運動させることによって(ムービングマスク)、露光量の分布をコントロールすればよい。また、フォトマスクとしてグレイスケールマスクを使用してもよい。
【0062】
また、本実施例では、フォトマスク17の下面とレジスト層16の上面とを密着させて露光するコンタクト露光を行うこととした。これに代えて、フォトマスク17の下面とレジスト層16の上面との間隔を数十μm程度に保って露光するプロキシミティ露光を行ってもよい。
【0063】
また、レジスト層16の上面と、ベース部材2の表面6のうち非接触部3の表面とが、ほぼ同じ垂直方向(Z方向)の位置になるようにしておくことが好ましい。例えば、位置合わせマーク4の周囲以外の部分の非接触部3と、接触部5の全部とを、レジスト層16の厚さにほぼ等しい深さだけ予め掘り込んでおくことが好ましい。この加工は、機械加工によって(例えば、切削後に研削することによって)行うことができる。これにより、まず、フォトマスク17の下面に設けられた位置合わせパターン19と非接触部3の表面における位置合わせマーク4とが、いずれも位置合わせ用光学系(図示なし)の焦点深度の範囲内に位置することが可能になる。したがって、ベース部材2とフォトマスク17との水平方向(XY方向)の位置合わせを高精度に行うことができる。また、非接触部3の表面における位置合わせマーク4とレジスト層16の上面とがほぼ同一面に位置するので、垂直方向(Z方向)の位置合わせ、言い換えれば露光を行う際の焦点合わせを高精度に行うことができる。
【0064】
また、ベース部材2の端部に別部材(サイドブロック)を設け、その別部材とベース部材2との表面を機械加工してそれらの表面を同一面になるようにした後に、別部材に位置合わせマーク4を形成することもできる。また、別部材に位置合わせマーク4を形成した後に、その別部材とベース部材2との表面を機械加工してもよい。また、これらの場合において、上述したように、位置合わせマーク4の周囲以外の部分を、レジスト層16の厚さにほぼ等しい深さだけ予め掘り込んでおいてもよい。更に、これらの場合において、非導電性材料によって別部材を構成してもよい。この構成によれば、マスキングテープ15の貼付が不要になるとともに、ベース部材2の表面6の全面に導電層9を形成することができる。
【0065】
また、ベース部材2の端部に位置合わせマーク4を形成することもできる。更に、この場合において、上述したように、位置合わせマーク4の周囲以外の部分を、レジスト層16の厚さにほぼ等しい深さだけ予め掘り込んでおいてもよい。この構成によれば、一体物のベース部材2を使用することによって、ベース部材2の端部に別部材を設ける工程を省略することができる。
【0066】
また、本実施例では、レジストパターン24が形成された状態で柱状金属27の頂部を研磨することとした。これに限らず、めっきを行う際の条件を適正に管理することによってめっきだけで必要な精度が得られる場合には、研磨は必ずしも必要ない。なお、柱状金属の頂部を研磨することが必ずしも必要ないことについては、他の実施例においても同様である。
【実施例3】
【0067】
本発明に係る微細構造体の使用例を、実施例3として図4を参照して説明する。本実施例では、図1、図3に示された微細構造体が成形型として使用される。図4は、本発明に係る微細構造体からなる成形型が使用される一例を示す部分断面図である。なお、図4においては、微細構造体としての詳細な構造の図示は省略されている。
【0068】
図4において、微細構造体であって図1の成形型1に相当する下型28は、複数の突起10と、それら複数の突起10同士の間の溝11とからなる、微細構造12を有する。下型28の型面、すなわち図4に示された表面29は、下型28を構成する材料以外の材料である他の材料(例えば、硬化樹脂等の樹脂材料、透光性材料等)に対して低密着性を有する材料(例えば、Ni)によって構成されている。下型28の上方にはこれに相対向して上型30が配置され、その上型30には流動性樹脂31が充填される空間であるキャビティ32が設けられている。下型28の上にはリードフレームからなる基板33が載置され、その基板33の上面には半導体チップ等のチップ状の電子部品、すなわちチップ34が装着されている。基板33には、複数の貫通孔35が設けられている。
【0069】
ここで、下型28に対して基板33を位置合わせすることについて説明する。基板33は、下型28の上に載置されている。また、基板33は、下型28が有する複数の突起10によって複数の貫通孔35がそれぞれ塞がれるようにして、下型28に対して位置合わせされている。下型28が有する複数の突起10に対して基板33が有する複数の貫通孔35をそれぞれ位置合わせする際に、図1に示された位置合わせマーク4(図4には図示なし)が使用される。また、図4に示された複数の突起10は、流動性樹脂31に対して接触する可能性がある部分、すなわち接触部5(図1も参照)に形成されている。一方、位置合わせマーク(図示なし)は、流動性樹脂31に対して接触する可能性がない部分、すなわち非接触部3(図1も参照)に形成されている。そして、実施例2において説明したように、レジスト層16を露光する工程において、フォトマスク17とベース部材2とを位置合わせする際に、位置合わせマーク4が使用される(図2(4)参照)。したがって、図1−図3に示された位置合わせマーク4は、レジスト層16を露光する工程(図2(4)参照)と、微細構造体(下型28)が使用される工程との双方において、それぞれ使用される。
【0070】
本発明に係る微細構造体からなる成形型(下型28)を使用して、トランスファ成形によって基板33上のチップ34を樹脂封止して、成形品(完成品であるパッケージ)を製造する場合の各工程について、概略を説明する。まず、図4(1)に示すように、下型28と上型30とを型締めした状態において、プランジャ(図示なし)によって、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂からなる流動性樹脂31を押圧してキャビティに充填する。次に、図4(2)に示すように、流動性樹脂31を硬化させて硬化樹脂36を形成する。これにより、基板33とチップ34と硬化樹脂36とが含まれる樹脂封止体37を完成させる。次に、下型28と上型30とを型開きして樹脂封止体37を取り出し、所定の切断線38において樹脂封止体37を切断することによって、パッケージを完成させる。なお、ここまでの工程において、流動性樹脂31とこれを硬化させた硬化樹脂36とが、成形品である樹脂封止体37の少なくとも一部に含まれているともに、基本的には成形型を構成する材料以外の材料、すなわち他の材料に相当する。
【0071】
本発明に係る微細構造体からなる成形型(下型28)によれば、まず、下型28が有する複数の突起10に対して基板33が有する複数の貫通孔35をそれぞれ位置合わせする際に、図1に示された位置合わせマーク4(図4には図示なし)を使用する。また、下型28それ自体において、その位置合わせマーク(図4には図示なし)と複数の突起10とは、水平方向において高い寸法精度で形成されている。これらにより、水平方向において複数の突起10に対して複数の貫通孔35をそれぞれ高精度に位置合わせすることができる。加えて、複数の突起10は均一な高さを有する。したがって、複数の突起10によって複数の貫通孔35が完全に塞がれた状態で流動性樹脂31がキャビティ32に充填される。この場合において、基板33において貫通孔35に挟まれた部分(端子)の外縁付近のみが複数の突起10によって支持される。これにより、端子の支持された部分において面圧が増加するので、基板33の下面39への流動性樹脂31の漏出が防止される。
【0072】
更に、下型28の表面29は、樹脂封止体37の少なくとも一部を構成する材料に対する低密着性を有する材料からなる。これにより、成形型28の型面に形成された微細構造12において、樹脂封止体37と成形型28との間の離型性が向上する。
【0073】
ここまで説明したように、本実施例に係る微細構造体からなる成形型28によれば、基板33の下面39への流動性樹脂31の漏出が防止される。したがって、漏出した流動性樹脂31が硬化して形成される樹脂ばりの発生が防止されるので、パッケージを製造する際の歩留まりとパッケージの品質とが向上する。また、樹脂封止体37と成形型28との間の離型性が向上する。
【0074】
なお、本実施例においては、トランスファ成形によって、基板33に装着されたチップ34を樹脂封止する場合について説明した。トランスファ成形以外の成形方式を使用する場合であっても、本発明に係る微細構造体を適用することができる。また、成形体にインサートされる部材が有する貫通孔を塞ぐ目的であれば、樹脂封止以外の樹脂成形にも本発明に係る微細構造体を適用することができる。
【実施例4】
【0075】
本発明に係る微細構造体とその製造方法とに関する実施例4を、図5(1)−(3)を参照して説明する。図5(1)−(3)は、本実施例に係る微細構造体を製造する際に導電層にくぼみ部を形成する工程からレジストパターンを剥離(除去)するまでの各工程を順次示す、それぞれ部分断面図である。本実施例に係る微細構造体の特徴は、複数の突起とベース部材との間の密着性が、図1に示された微細構造体よりもいっそう優れていることである。この特徴は、いわゆるアンカー効果(投錨効果)によって得られる。
【0076】
本発明に係る微細構造体の製造方法は、図3(1)に示された状態までは実施例2と同じである。そして、この状態から、図5(1)に示すように、エッチングによって、レジストパターン24の凹部22において露出する導電層9に、溝状のくぼみ部40を形成する。このエッチングとしては導電層9を除去できるものであればよく、例えば、電解エッチング、湿式エッチング、ドライエッチング等を使用することができる。また、くぼみ部40は、図5(1)に示すように第2の層8だけに形成してもよく、第2の層8と第1の層7との双方にわたって形成してもよい。なお、通常の場合には、図5(1)に示すように、エッチングする際にサイドエッチされることによって、くぼみ部40は上方に向かって広がるテーパ状の断面形状を有する。
【0077】
次に、図5(2)に示すように、くぼみ部40において機能めっきによってNi層からなる第3の層41を形成し、その後に、第3の層41の上にスルファミン酸めっきによってNi層からなる肉厚層42を形成する。この工程は、図3(2)に示す工程と同じである。そして、凹部22(図5(1)参照)においてそれぞれめっきによって形成されたNi層からなる第3の層41と肉厚層42とは、併せて柱状金属43を構成する。なお、スルファミン酸めっきによる肉厚層42の形成が、電鋳による形成に相当する。
【0078】
次に、図5(3)に示すように、レジストパターン24が形成された状態において(図5(2)参照)、肉厚層42の頂部、すなわち柱状金属43の頂部を研磨する。これにより、第3の層41と第4の層44とからなりそれぞれ一定の高さを有する複数の突起45を形成し、ベース部材2からレジストパターン24を剥離(除去)し、その後に洗浄を行う。これにより、複数の突起45と溝46とからなる微細構造47を有する微細構造体、すなわち成形型48が完成する。なお、これらの工程は、図3(3)−(4)に示す工程と同じである。なお、頂部が研磨された肉厚層42が、第4の層44に相当する。
【0079】
本実施例によれば、複数の突起45における最下層である第3の層41は、導電層9がエッチングされることによって形成されたくぼみ部40において、機能めっきによって形成されている。また、複数の突起45における第3の層41以外の部分である第4の層44が、その第3の層41の上に電鋳によって形成されている。これにより、導電層9に形成されたくぼみ部40において、複数の突起45の底部がそれぞれ導電層9に食い込むようにして形成されている。したがって、機能めっきによって形成されたNi層である第3の層41による密着性の向上という効果に加えて、いわゆるアンカー効果(投錨効果)によってベース部材2と複数の突起45との間の密着性がいっそう向上する。
【0080】
本実施例に係る微細構造体(成形型)の変形例を、図5(4)を参照して説明する。図5(4)は、実施例4に係る微細構造体の変形例を示す部分断面図である。本変形例においては、図5(1)の工程において、図示されたくぼみ部40を更に深く形成して、導電層9だけではなくベース部材2にわたってくぼみ部40を形成している。その後に、図5(1)〜(3)に示す工程と同様にして、図5(4)に示された微細構造体、すなわち成形型49が完成する。
【0081】
本変形例に係る微細構造体(成形型49)によれば、図5(3)に示された微細構造体(成形型48)に比べて、ベース部材2と複数の突起45との間の密着性がいっそう向上する。その理由は、第1に、成形型49においては、複数の突起45が、導電層9に対して食い込んでいるだけではなくベース部材2に対しても深く食い込んでいることである。第2に、成形型49においては、ベース部材2に対して食い込んでいる部分が、機能めっきによって形成された第3の層41と電鋳によって形成された第4の層44との双方であるということである。第3に、成形型49においては、図5(3)に示された成形型48に比べて、ベース部材2と複数の突起45との間の接触面積が大きいということである。したがって、本変形例によれば、ベース部材2と複数の突起45との間の密着性がよりいっそう向上した微細構造体、すなわち成形型49が得られる。
【0082】
なお、本実施例及びその変形例に係る微細構造体は、図4に示された成形型にも適用される。その成形型は、流動性樹脂の漏出が防止される成形型であって、樹脂封止用の成形型に代表されるものである。
【0083】
また、くぼみ部40を形成する際に、異方性エッチングを使用してもよい。これによれば、くぼみ部40は上下方向にわたってほぼ同じ寸法の断面形状を有する。この場合においても、アンカー効果(投錨効果)によってベース部材2と複数の突起45との間の密着性がいっそう向上する。しかし、微視的に考えれば、ベース部材2と複数の突起45との間の接触面積が大きいという点で、上方に向かって広がるテーパ状の断面形状を有するくぼみ部40をサイドエッチによって形成するほうが好ましい。
【実施例5】
【0084】
本発明に係る微細構造体とその製造方法とに関する実施例5を、図6(1)−(4)を参照して説明する。図6(1)−(4)は、本実施例に係る微細構造体を製造する各工程を順次示す、それぞれ部分断面図である。本実施例に係る微細構造体の特徴は、複数の突起のうち少なくとも一部が1以上の段差を有する構造、すなわち多段構造を有することである。
【0085】
本発明に係る微細構造体の製造方法は、図3(3)に示された状態までは実施例2と同じである。そして、この状態から、図6(1)に示すように、複数の突起10とレジストパターンの凸部23との上に、言い換えれば、複数の突起10とレジストパターン(図3(1)のレジストパターン24に相当)の凸部23とを介した導電層9の上に、別のレジスト層50を形成する。凸部23と別のレジスト層50とは、併せて全体のレジスト層51を構成する。なお、この工程は、図2(3)に示す工程と基本的に同じである。
【0086】
次に、図6(2)に示すように、フォトマスク(図示なし)を使用して別のレジスト層50を露光・現像し、複数の突起10のうち所望の突起10(複数の突起10の一部であってもよく、全部であってもよい)の上に開口52を形成する。別のレジスト層50において形成された開口52は、図3(1)に示されたレジストパターン24の凹部22に相当する。また、開口52を形成することによって、レジストパターン24の凸部23と別のレジストパターン53とからなる全体のレジストパターン54を形成する。ここで、露光する領域は、所望の突起10の上面と同一の領域であってもよく、その上面よりも狭い領域であってもよい。なお、これらの工程は、図2(4)−図3(1)に示す工程と基本的に同じである。
【0087】
次に、図6(3)に示すように、各開口52において、所望の突起10(図6(2)参照)における第4の層14の上に、スルファミン酸めっきによってNi層からなる2段目の肉厚層55を形成する。ここで、それぞれスルファミン酸めっきによって形成された第4の層14と2段目の肉厚層55とは、併せて全体の肉厚層56を構成する。その後に、全体のレジストパターン54が形成された状態で全体の肉厚層56の頂部を、すなわち2段目の肉厚層55の頂部を研磨する。これにより、第3の層13と第4の層14と第5の層57とからなりそれぞれ一定の高さを有する複数の突起58(図6(4)参照)を形成する。これらの工程は、図3(2)−(3)に示す工程と同じである。ここで、所望の突起10の上面よりも露光する領域が狭かった場合には、図6(3)に示すように、所望の突起10における第4の層14と2段目の肉厚層55との境目において段差59を形成することができる。なお、それぞれスルファミン酸めっきによる第4の層14と2段目の肉厚層55との形成、すなわち全体の肉厚層56の形成が、電鋳による形成に相当する。また、頂部が研磨された2段目の肉厚層55が、第5の層57に相当する。
【0088】
なお、この工程では、各開口52における第4の層14の表面を活性化するとともに、その表面における別のレジスト層50の残留物等の付着物(汚れ)を除去する目的で、第4の層14の上に機能めっきによってNi層を形成してもよい。この場合には、そのNi層の上に、スルファミン酸めっきによって2段目の肉厚層55を形成することになる。
【0089】
次に、図6(4)に示すように、ベース部材2から全体のレジストパターン54(図6(3)参照)を剥離(除去)し、その後に洗浄を行う。これにより、複数の突起58と溝60とからなる微細構造61を有する微細構造体、すなわち成形型62が完成する。これらの工程は、図3(4)に示す工程と同じである。
【0090】
本実施例によれば、複数の突起10を形成した後に、露光・現像によって、少なくとも一部の突起10の上に開口52を有する別のレジストパターン53を形成する。そして、開口52において電鋳を使用して2段目の肉厚層55を形成し、必要に応じて2段目の肉厚層55の上面を各々研磨し、その後に全体のレジストパターン54を除去する。この過程において、2段目の肉厚層55を形成する際に、複数の突起10と2段目の肉厚層55との境目に段差59を形成する。これにより、1つの段差59を有し(言い換えれば2段構造を有し)寸法精度のよい複数の突起58を有する微細構造体、すなわち成形型62が得られる。
【0091】
また、必要に応じて、図6(4)に示すように、複数の突起58において、段差59がある突起と段差59がない突起と高さが低い突起とを、同時に形成することができる。また、フォトマスク17の遮光パターン18(図2(4)参照)を適当に設定することによって、突起における平面方向の寸法(辺や径等の寸法)及び形状を任意に設定することができる。また、異なる複数の幅を有する2段目の肉厚層55を、同じ微細構造体において一括して同時に形成することができる。このことは、図6(4)における右端の突起58と、右から2〜3番目の突起58とに、示されている。これらによって、様々な微細寸法と微細形状とを有する微細構造体が得られる。そして、このような微細構造体からなる成形型62が、成形品の製造に使用される。
【0092】
なお、露光する領域を、所望の突起10の上面よりも広い領域にすることによって、所望の突起10と2段目の肉厚層55との境目において、図6(3)−(4)に示す段差59とは逆の段差を形成することができる。この場合には、頭を持つねじのような形状を有する突起、言い換えればきのこ型の突起を形成することができる。
【0093】
また、本実施例では、1つの段差59を有する(言い換えれば2段構造を有する)微細構造61を備えた微細構造体、すなわち成形型62について説明した。これに限らず、次のようにして、3段以上の多段構造を有する微細構造を備えた微細構造体を製造することができる。まず、図6(3)に示された状態から必要に応じて2段目の肉厚層55の上面を各々研磨する。次に、全体のレジストパターン54と研磨された2段目の肉厚層55との上に3番目のレジスト層を形成し、その3番目のレジスト層を露光・現像して開口を形成する。次に、それらの開口に電鋳を使用して3段目の肉厚層を形成する。次に、必要に応じてそれらの3段目の肉厚層の上面を各々研磨した後に、全体のレジストパターン54を除去する。これにより、2つの段差を有する(言い換えれば3段構造を有する)微細構造体を備えた成形型を製造することができる。4段構造以上の多段構造を有する微細構造体を備えた成形型についても、同様にして得られる。
【0094】
なお、本実施例に係る微細構造体は、図4に示された成形型にも適用される。その成形型は、流動性樹脂の漏出が防止される成形型であって、樹脂封止用の成形型に代表されるものである。
【0095】
また、これまで説明した各実施例のうち実施例1〜4に示された微細構造体は、断面が正方形に近い複数の突起を、言い換えれば小さいアスペクト比を有する複数の突起を備えていた。これに限らず、適当な厚さを有するレジスト層と適当な大きさの遮光パターンを有するフォトマスクとを使用して、大きいアスペクト比を有する複数の突起を形成することもできる。また、実施例5に係る微細構造体、すなわち多段構造を有する微細構造体において、全体として大きいアスペクト比を有する複数の突起を形成することもできる。これらにより、剣山状の全体形状を有する微細構造体を形成することができる。また、1個の突起とその突起以外の部分(表面が低くなっている部分、すなわち低位部)とを有する微細構造体に本発明を適用することもできる。このような1個の突起を有する微細構造体は、例えば、プローブ等に使用される。
【0096】
また、本発明は、上述の各実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意にかつ適宜に組み合わせ、変更し、又は選択して採用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】図1は、実施例1に係る微細構造体を示す部分断面図である。
【図2】図2(1)は実施例2に係る微細構造体の母材であるベース部材を示し、図2(2)−(4)はベース部材の表面上に導電層を形成する工程からその導電層の上のレジスト層を露光する工程までの各工程を順次示す、それぞれ部分断面図である。
【図3】図3(1)−(4)は、導電層の上にレジストパターンを形成する工程からその導電層の上に微細構造を形成して微細構造体を完成させるまでの各工程を順次示す、それぞれ部分断面図である。
【図4】図4は、本発明に係る微細構造体からなる成形型が使用される一例を示す部分断面図である。
【図5】図5(1)−(3)は、実施例4に係る微細構造体を製造する際に導電層にくぼみ部を形成する工程からレジストパターンを剥離(除去)するまでの各工程を順次示す、それぞれ部分断面図である。図5(4)は、実施例4に係る微細構造体の変形例を示す部分断面図である。
【図6】図6(1)−(4)は、実施例5に係る微細構造体を製造する各工程を順次示す、それぞれ部分断面図である。
【符号の説明】
【0098】
1,48,49,62 成形型(微細構造体)
2 ベース部材
3 非接触部
4 位置合わせマーク
5 接触部
6 表面
7 第1の層
8 第2の層
9 導電層
10,45,58 突起
11,46,60 溝(低位部)
12,47,61 微細構造
13,41 第3の層
14,44 第4の層
15,25 マスキングテープ
16 レジスト層
17 フォトマスク
18 遮光パターン
19 位置合わせパターン
20 紫外光
21 可溶部
22 凹部
23 凸部
24 レジストパターン
26,42 肉厚層
27,43 柱状金属
28 下型(微細構造体、成形型、樹脂封止型)
29 表面
30 上型
31 流動性樹脂(他の材料)
32 キャビティ
33 基板
34 チップ(チップ状の電子部品)
35 貫通孔
36 硬化樹脂(他の材料)
37 樹脂封止体(成形品)
38 切断線
39 下面(他方の面)
40 くぼみ部
50 別のレジスト層
51 全体のレジスト層
52 開口
53 別のレジストパターン
54 全体のレジストパターン
55 2段目の肉厚層
56 全体の肉厚層
57 第5の層
59 段差
【出願人】 【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
【識別番号】591097702
【氏名又は名称】京都府
【出願日】 平成18年6月26日(2006.6.26)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−1044(P2008−1044A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−174715(P2006−174715)