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含水ポリビニルアセタール樹脂フィルムの製造方法 - 特開2008−1043 | j-tokkyo
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【発明の名称】 含水ポリビニルアセタール樹脂フィルムの製造方法
【発明者】 【氏名】谷村 秀人

【氏名】乾 浩彰

【要約】 【課題】含水速度が速く、生産性の高い含水ポリビニルアセタール樹脂フィルムの製造方法を提供する。

【構成】押出機から可塑剤を含むポリビニルアセタール樹脂をフィルム状に溶融押出し、250℃未満のポリビニルアセタール樹脂フィルム1を20℃以上の水槽3中に浸漬させることによりフィルムの含水率を0.23重量%以上にすることを特徴とする含水ポリビニルアセタール樹脂フィルムの製造方法。ポリビニルアセタール樹脂フィルムを20℃以上の水中に浸漬させる前又は後に、さらに該フィルムに温水又はスチームを噴霧することを特徴とする上記の含水ポリビニルアセタール樹脂フィルムの製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
含水ポリビニルアセタール樹脂フィルムの製造方法において、押出機から可塑剤を含むポリビニルアセタール樹脂をフィルム状に溶融押出し、250℃未満のポリビニルアセタール樹脂フィルムを20℃以上の水中に浸漬させることによりフィルムの含水率を0.23重量%以上にすることを特徴とする含水ポリビニルアセタール樹脂フィルムの製造方法。
【請求項2】
ポリビニルアセタール樹脂フィルムを20℃以上の水中に浸漬させる前又は後に、さらに該フィルムに温水又はスチームを噴霧することを特徴とする請求項1記載の含水ポリビニルアセタール樹脂フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、含水ポリビニルアセタール樹脂フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス板の間にポリビニルブチラール樹脂からなる中間膜が挟着されてなる合わせガラスは、透明性、耐候性、接着性および耐貫通性に優れ、さらに、ガラス破片が飛散しにくいといった性能を基本性能として有しているため、例えば、自動車や建築物の窓ガラスに広く使用されている。上記の中間膜は、ガラスと貼り合わせられる際に、水分を含むことによりガラスとの良好な接着力が得られるため、適度な水分を含むように調整されている。
【0003】
中間膜の製造においては、特許文献1に記載されているような加湿器内に供給する工程を含む方法により、ポリビニルブチラール樹脂シートに適度な水分を含有させる加湿方法がある。しかしながら、この方法は装置が簡易で条件が設定しやすい反面、含水速度がそれほど速くないという問題点があった。そのため、短時間に水分付与が可能な含水ポリビニルアセタール樹脂フィルムの製造方法が必要とされていた。
【特許文献1】特開平5−319875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記問題点に鑑み、本発明は、含水速度が速く、生産性の高い含水ポリビニルアセタール樹脂フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明による含水ポリビニルアセタール樹脂フィルムの製造方法は、押出機から可塑剤を含むポリビニルアセタール樹脂をフィルム状に溶融押出し、250℃未満のポリビニルアセタール樹脂フィルムを20℃以上の水中に浸漬させることによりフィルムの含水率を0.23重量%以上にすることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明による含水ポリビニルアセタール樹脂フィルムの製造方法は、 ポリビニルアセタール樹脂フィルムを20℃以上の水中に浸漬させる前又は後に、さらに該フィルムに温水又はスチームを噴霧することを特徴とする請求項1記載の含水ポリビニルアセタール樹脂フィルムの製造方法である。
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられるポリビニルアセタール樹脂としては、平均アセタール化度40〜75モル%のものが好ましい。より好ましくは、60〜75モル%であり、更に好ましくは、64〜71モル%である。
【0008】
また、ビニルアセテート成分が30モル%以下のものが好ましい。より好ましくは、19モル%以下である。ポリビニルアセタール樹脂のビニルアセテート成分を30モル%以下に設定するのが好ましいので、そのために原料となるポリビニルアルコールの鹸化度は、70モル%以上のものが好ましい。より好ましくは、95モル%以上のものである。
【0009】
また、ポリビニルアセタール樹脂は、平均重合度500〜5000のものが好ましく、平均重合度1000〜2500のものがより好ましい。
【0010】
ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコール樹脂を炭素数3〜10のアルデヒドでアセタール化したものが好ましい。炭素数が3未満では、樹脂膜の十分な成形性が得られないことがある。炭素数が10を越えると、アセタール化の反応性が低下し樹脂を製造しにくくなる。
【0011】
上記アルデヒドとしては特に限定されず、例えば、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘプチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒドなどの脂肪族、芳香族、脂環族アルデヒドなどが挙げられる。好ましくは、炭素数4〜8のn−ブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒドである。これらは、単独で使用されてもよく、又は、2種以上が併用されてもよい。
【0012】
なお、n−ブチルアルデヒドが特に好ましく、ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルブチラール樹脂であることが特に好ましい。
【0013】
本発明で用いられる可塑剤としては、例えば、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ−n−オクタノエート、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエートなどが好ましい。
【0014】
上記可塑剤量としては、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して20〜70重量部が好ましく、より好ましくは40〜60重量部である。
【0015】
本発明で用いられるポリビニルアセタール樹脂には、上記の成分以外に、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定化剤、界面活性剤、着色剤などの公知の添加剤を含有していてもよい。
【0016】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル) ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ・tert−ブチルフェニル) ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert− ブチル−5'−メチルフェニル) −5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ・tert−ブチルフェニル) −5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ・tert−アミルフェニル) ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系誘導体;例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2'− ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系誘導体;例えば2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレートなどのシアノアクリレート系誘導体などが挙げられる。
【0017】
上記酸化防止剤としては,特に限定されず、フェノール系のものとして、例えば、t−ブチルヒドロキシトルエン、テトラキス−[メチレン−3−(3'−5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどが挙げられる。
【0018】
上記光安定剤としては、特に限定されず、ヒンダードアミン系の光安定剤が挙げられる。
【0019】
上記界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸などが挙げられる。
【0020】
本発明の製造方法においては、まず、ポリビニルアセタール樹脂および可塑剤を、押出機へ供給し180〜250℃程度に加熱して溶融混練した後、押出成形することによりフィルム状に成形する。
【0021】
押出直後のフィルムは自然冷却されてもよいが、生産性を高めるために、押出直後のフィルムを水槽を通過させるなどにより急冷しフィルム形状を安定化させることが好ましい。
【0022】
本発明では、250℃未満の温度の状態のフィルムを20℃以上の水中に浸漬させる。
【0023】
水中浸漬時のフィルム温度が250℃以上であると、フィルムの軟化によるたるみが発生し、フィルムを成形することが難しい。
【0024】
また、フィルムに水分を供給するために20℃以上の温水を使用する必要がある。20℃未満の、比較的低温の水中では、短時間の浸漬では十分な含水率に達することが難しい。
【0025】
フィルムを20℃以上の水中に浸漬させる方法は、特には限定されないが、例えば、20℃以上の温度の水槽に1回または複数回浸漬する方法が適している。
【0026】
この場合、水槽の水位を調整することにより含水率の微調整を行うことができるため、供給ライン速度を変更せずとも水位調整により含水率の調整が可能となる。
【0027】
なお、水槽中の水の加熱方法は、20℃以上の温度の水が得られる方法であれば、特に限定されないが、水槽中にヒータ等を設けて調整する方法が一般的である。なお、含水率が一定範囲に収まるように管理する観点からいえば、使用する水は水槽内で一定温度であることが好ましいので、温調器を用いて一定に調整することが好ましい。
【0028】
水中浸漬後のポリビニルアセタール樹脂フィルムの含水率は、0.23重量%以上であることが必要である。これにより、ガラスとの貼り合わせ時に良好な接着力を発揮させることができる。なお、含水率は0.3〜0.5重量%であることがより好ましい。0.5重量%を超えると、ポリビニルアセタール樹脂フィルムの含有水分が過剰となるため、合わせガラスの製造時に発泡しやすくなるという問題がある。
【0029】
なお、押出機に着色剤の供給ラインを設ければフィルム端部分に着色帯を形成させたシェードフィルムを製造することもできる。
【0030】
また、成形されるフィルムは単層フィルムであっても多層フィルムであってもよい。例えば、遮音層、遮熱層、熱線反射層などの機能層と積層された多層シートであってもよい。
【0031】
フィルム膜厚は、特に限定されないが、0.3〜1.6mmであることが好ましい。
【0032】
本発明においては、更に、ポリビニルアセタール樹脂フィルムを20℃以上の水中に浸漬させる前あるいは後に、さらに該フィルムに温水又はスチームを噴霧することが好ましい。なお、ここで用いる温水は20℃〜90℃であることが好ましい。温水温度が90℃を超えると搬送中の該フィルムの取り扱いが難しくなることがある。より好ましくは45℃〜60℃である。
該フィルムを水中に浸漬させること以外に、さらに該フィルムに温水又は100℃以上のスチームを噴霧することにより所望の含水率が得られやすくまた含水率を精密に調整することもでき好ましい。
【0033】
本発明で得られる含水ポリビニルアセタール樹脂フィルムは、合わせガラス用中間膜として好適である。合わせガラスに用いられるガラス板としては、無機透明ガラス板のみならず、ポリカーボネート板、ポリメチルメタクリレート板などの有機透明ガラス板も使用することができる。
【0034】
本発明で得られる、含水ポリビニルアセタール樹脂フィルムは、合わせガラスにされる際に優れた接着力を発揮する。
【0035】
上記無機透明ガラス板の種類としては、特に限定されるものではなく、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、線入り板ガラス、熱線吸収板ガラス、着色板ガラスなどの各種無機ガラスなどが挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。また、無機透明ガラス板と有機透明ガラス板とが積層されたものであってもよい。
【0036】
また、ガラス板の厚みは、用途によって適宜選択されればよく、特に制限されるものではないが、1mm〜3mmが好ましい。
【0037】
本発明で得られる含水ポリビニルアセタール樹脂フィルムを中間膜として用いて、合わせガラスを製造するには、オートクレーブ法やノンオートクレーブ法などの通常の合わせガラスの製法が採用される。例えば、2枚の透明なガラス板の間に、本発明で得られた中間膜を挟み、これをゴムバッグに入れ、減圧吸引しながら約70〜110℃で予備接着し、次いで、オートクレーブを用いるか又はプレスを用い、約120〜150℃で、約980〜1470kPaの圧力で本接着を行うことにより製造することができる。
【0038】
また、合わせガラスの製造方法において、少なくとも一対のガラス板間に、本発明で得られた中間膜を介在させ、減圧下で吸引脱気すると同時に、温度60〜100℃で加熱圧着してもよい。
【0039】
より具体的には、ガラス板/中間膜/ガラス板の積層体をゴムバッグに入れ、例えばオートクレーブ中で、−66.66〜−93.33kPa程度の減圧下で吸引脱気しながら約60〜100℃の温度及び98〜980kPa程度の圧力で10〜30分間程度加熱圧着し、脱気と接着とを同時に行うことにより実施すればよい。
【発明の効果】
【0040】
本発明の製造方法によると、含水速度が速いため、短時間で十分な含水率を有する含水ポリビニルアセタール樹脂フィルムを製造することができる。
請求項2の製造方法によると、さらに、所望の含水率が得られやすくまた含水率を精密に調整することもでき好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下に、実施例を挙げて本発明をより詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0042】
(中間膜の作製)
ポリビニルブチラール樹脂100重量部と、トリエチレングリコール−ジ−エチルヘキサノエート(略称3GO)30重量部を押出機で厚み0.76mmのシート状に成形した後、加熱養生して40℃のポリビニルアセタール樹脂フィルムを含水工程に導いた。
【0043】
(含水工程)
上記ポリビニルアセタール樹脂フィルムを図1に示す様に含水室中で水槽中のロールと気中のロールの複数の組を通し走行させ、フィルムを60℃の水槽にくぐらせては引き上げる操作を繰り返しながら、含水室を20秒間かけて通過させ、通過後のシートの水分を拭き取って目的の含水フィルムを得た。
【0044】
(比較例1)
図1に示した水槽にかえて、100℃の高温スチームが充満している加湿室を20秒間かけて通過させて含水させたこと以外は実施例1と同様にして目的の含水フィルムを得た。含水工程は、図2のように、ポリビニルアセタール樹脂シート1を、高温スチーム5が充満しているスチーム室4中をロール2によって走行移動させながら、20秒間かけて通過させることにより行った。
【0045】
(評価)
実施例1及び比較例1で得られたフィルムの含水率を以下のようにして測定した。得られたフィルムを4cm×4cmの大きさに切り取り、これをカールフィッシャー試薬に溶解させ、カールフィッシャー法による水分測定装置(DIA INSTRUMENTS CO.,LTD.社製)を用いて容量法により測定した。その結果、実施例1のものは0.4重量%、比較例1のものは0.2重量%であった。なお、実施例1で得られたフィルムを水中に浸漬させる前に抜き取り、含水率を測定したところ0.2重量%であった。この結果より、実施例1では、比較例1の高温のスチームの場合よりも低温で加湿しているにもかかわらず、同一時間の間に高い含水率に達することがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の含水ポリビニルアセタール樹脂フィルムの製造方法によると、含水率が0.23重量%以上の含水ポリビニルアセタール樹脂フィルムを容易に得ることができるので、得られたフィルムは合わせガラス用の中間膜として効果的に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施例1で用いられた水中浸漬装置を示す模式図である。
【図2】比較例1で用いられた加湿装置を示す模式図である。
【符号の説明】
【0048】
1 フィルム
2 ロール
3 水槽
4 スチーム室
5 スチーム
【出願人】 【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【出願日】 平成18年6月25日(2006.6.25)
【代理人】 【識別番号】100122828
【弁理士】
【氏名又は名称】角谷 哲生


【公開番号】 特開2008−1043(P2008−1043A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−174672(P2006−174672)