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【発明の名称】 射出成形機の異常検出方法
【発明者】 【氏名】基村 隆

【要約】 【課題】本発明は、樹脂充填圧が異常に高くなった場合に、その異常を判断し、金型の損傷を未然に防ぐことこのできる射出成形機の異常検出方法を提供することを課題とする。

【構成】射出成形機は、型締力を検出するタイバーセンサ18を有する。タイバーセンサ18による型締力検出値を監視する。型締力検出値が所定の閾値以上となったときに、樹脂充填圧が異常であると判断する。型締力検出値の監視を、樹脂充填開始から保圧完了までの間で行うことが好ましい。記所定の閾値を、正常動作時における型締力検出値の最大値より大きい値、あるいは、型締力設定値から所定の値だけ大きな値に設定することもできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
型締力を検出するタイバーセンサを有する射出成形機の異常検出方法であって、
該タイバーセンサによる型締力検出値を監視し、
該型締力検出値が所定の閾値以上となったときに、樹脂充填圧が異常であると判断する
ことを特徴とする射出成形機の異常検出方法。
【請求項2】
請求項1記載の射出成形機の異常検出方法であって、
前記型締力検出値の監視を、樹脂充填開始から保圧完了までの間で行うことを特徴とする射出成形機の異常検出方法。
【請求項3】
請求項1記載の射出成形機の異常検出方法であって、
前記所定の閾値を、正常動作時における型締力検出値の最大値より大きい値に設定することを特徴とする異常検出方法。
【請求項4】
請求項1記載の射出成形機の異常検出方法であって、
前記所定の閾値を、型締力設定値から所定の値だけ大きな値に設定することを特徴とする射出成形機の異常検出方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は射出成形機の異常検出方法に係わり、特に型締力を検出しながら成形を行う射出成形機の異常検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機では、型締装置により金型に型締力を加えた状態で、金型に溶融樹脂を注入し、金型内で溶融樹脂を固化させて成形品とする。金型に型締力を加えるのは、溶融樹脂の樹脂圧に負けて金型が開かないようにするためである。
【0003】
通常、金型の型締力は成形機の操作者が設定する。型締力が不足すると成形中に金型が開いて成形品にバリが発生するため、型締力は樹脂の充填圧により金型が開こうとする力よりは強めに設定する。成形品の形状や樹脂材質等により適正な樹脂充填圧は変わるので、必要な型締力も金型によって異なる。
【0004】
樹脂充填圧は樹脂を充填すべき空間(キャビティ)の容積に基づいて適正な圧力に設定されており、且つ樹脂充填圧に基づいて適正な型締力も設定される。金型は成形中に完全に閉じている必要はなく、ある程度の小さな開き量であれば、成形中に金型が開いたとしても成形品の品質に影響するようなバリは発生しないことが知られている。そこで、成形中に金型が開いて間隙が発生しても、成形品にバリが発生しないような許容間隙量を算出し、バリの発生の有無を予測することが提案されている(例えば、特開2005−219304号参照。)。
【特許文献1】特開2005−219304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、成形中に金型が開く場合は、樹脂充填圧に型締力が負けてしまうためである。樹脂充填圧が通常の設定範囲内であれば、金型の開き量は僅かであり、成形品にバリが発生した場合は、型締力を調整すればよい。ところが、金型に型締力が加えられている間に何らかの理由で樹脂充填圧が大きく上昇してしまうと、金型に型締力と非常に大きな樹脂充填圧とが加わり、金型の圧縮変形量が大きくなって最悪の場合は金型が破損するおそれがある。
【0006】
例えば、図1に示すような4個取りの金型において、4個のキャビティ1の一つに通じるランナ2やゲート3が詰まってしまった場合には、金型におけるキャビティ全体の容積が減少し、その減少した容積に対して通常の量の樹脂が充填されることとなる。この場合、通常の樹脂充填量を充填しようとして樹脂充填圧が異常に高くなり、金型が損傷するおそれがある。
【0007】
また、例えば、ある金型を用いて成形条件を設定する際に、キャビティ1の容積から算出される樹脂充填量を、間違って多く設定してしまった場合、過大な量の樹脂を充填しようとするので、樹脂充填圧が異常に高くなり、金型が損傷するおそれがある。
【0008】
本発明は上述の問題に鑑みなされたものであり、樹脂充填圧が異常に高くなった場合に、その異常を判断し、金型の損傷を未然に防ぐことこのできる射出成形機の異常検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明によれば、型締力を検出するタイバーセンサを有する射出成形機の異常検出方法であって、該タイバーセンサによる型締力検出値を監視し、 該型締力検出値が所定の閾値以上となったときに、樹脂充填圧が異常であると判断することを特徴とする射出成形機の異常検出方法が提供される。
【0010】
本発明による射出成形機の異常検出方法において、前記型締力検出値の監視を、樹脂充填開始から保圧完了までの間で行うことが好ましい。また、前記所定の閾値を、正常動作時における型締力検出値の最大値より大きい値に設定することとしてもよい。あるいは、 前記所定の閾値を、型締力設定値から所定の値だけ大きな値に設定することとしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、タイバーセンサの検出値の変化に基づいて樹脂充填圧が異常に高くなったことを判断することができる。したがって、樹脂充填圧が異常に高くなったと判断された場合に、成形動作を直ちに停止する等の措置をとることで、金型の破損を未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の一実施形態による射出成形機の異常検出方法について図面を参照しながら説明する。
【0013】
まず、本発明による射出成形機の異常検出方法を用いて樹脂充填圧の異常を検出することのできる射出成形機の型締装置の一例について、図2を参照しながら説明する。図2は本発明による射出成形機の異常検出方法を用いて樹脂充填圧の異常を検出することのできる射出成形機の型締装置の側面図である。
【0014】
図2において、射出成形機の型締装置10は、フレーム17と、フレーム17に固定された固定プラテン12と、固定プラテン12との間に所定の距離を置いてフレーム17に対して移動可能に配設されたトグルサポート15とを具備する。トグルサポート15はトグル式型締装置支持装置として機能する。固定プラテン12とトグルサポート15との間には、複数(例えば、四本)のガイド手段としてのタイバー16が延在している。
【0015】
可動プラテン13は、固定プラテン12に対向して配設され、タイバー16に沿って進退(図における左右方向に移動)可能に配設された可動金型支持装置として機能する。金型装置11は、固定金型11aと可動金型11bとから成る。固定金型11aは、固定プラテン12における可動プラテン13と対向する金型取付面に取り付けられる。一方、可動金型11bは、可動プラテン13における固定プラテン12と対向する金型取付面に取り付けられる。
【0016】
なお、可動プラテン13の後端 (図における左端) には図示されないエジェクタピンを移動させるための駆動装置が取り付けられてもよい。
【0017】
可動プラテン13とトグルサポート15との間には、トグル式型締装置としてのトグル機構20が取り付けられる。トグルサポート15の後端にはトグル機構20を作動させる型締用駆動源としての型締モータ26が配設される。型締モータ26は、回転運動を往復運動に変換するボールねじ機構等から成る図示されない運動方向変換装置を備え、駆動軸25を進退(図における左右方向に移動)させることによって、トグル機構20を作動させることができる。なお、型締モータ26は、サーボモータであることが,好ましく、回転数を検出するエンコーダとしての型開閉位置センサ27を備える。
【0018】
上述のトグル機構20は、駆動軸25に取り付けられたクロスヘッド24、クロスヘッド24に揺動可能に取り付けられた第2トグルレバー23、トグルサポート15に揺動可能に取り付けられた第1トグルレバー21、及び、可動プラテン13に揺動可能に取り付けられたトグルアーム22を有する。第1トグルレバー21と第2トグルレバー23との間、及び、第1トグルレバー21とトグルアーム22との間は、それぞれ、リンク結合される。なお、トグル機構20は、いわゆる、内巻五節点ダブルトグル機構であり、上下が対称の構成を有する。
【0019】
型締モータ26が駆動して、クロスヘッド24を進退させることによって、トグル機構20を作動させることができる。この場合、クロスヘッド24を前進(図における右方向に移動)させると、可動プラテン13が前進させられて型閉が行われる。そして、型締モータ26による推進力にトグル倍率を乗じた型締力が発生させられ、その型締力によって型締が行われる。
【0020】
トグルサポート15の後端(図における左端)には、固定プラテン12に対するトグルサポート15の位置を調整するために、型締位置調整装置35が配設される。トグルサポート15には、タイバー挿通孔(図示せず)が複数、例えば、四つ形成され、タイバー16の図における左端が、それぞれのタイバー挿通孔に挿入される。なお、タイバー16の右端は、固定ナット16aによって固定プラテン12に固定されている。
【0021】
タイバー16は、図における左端の外周にねじが形成されたねじ部36を有し、調整ナット37がそれぞれのタイバー16のねじ部36に螺合される。なお、調整ナット37は、トグルサポート15の後端に回転可能に、かつ、タイバー16の軸方向に移動不能に取り付けられる。また、調整ナット37の外周には被駆動用歯車37aが取り付けられている。
【0022】
トグルサポート15の後端における上方部には、型締位置調整用駆動源としての型厚モータ31が配設される。型厚モータ31の回転軸には、駆動用歯車33が取り付けられている。調整ナット37の被駆動用歯車37a及び駆動用歯車33の周囲には、チェーン、歯付きベルト等の駆動用線状体34が架け回されている。そのため、型厚モータ31を駆動して、駆動用歯車33を回転させると、それぞれのタイバー16のねじ部36に螺合された調整ナット37が同期して回転させられる。これにより、型厚モータ31を所定の方向に所定の回転数だけ回転させて、トグルサポート15を所定の距離だけ進退させることができる。なお、型厚モータ31は、サーボモータであることが好ましく、回転数を検出するエンコーダとしての型締位置センサ32を備える。
【0023】
型厚モータ31の回転を調整ナット37に伝達する手段は、それぞれのタイバー16のねじ部36に螺合された調整ナット37が同期して回転させられるものであれば、いかなるものであってもよい。例えば、駆動用線状体34に代えて、駆動用歯車33及び駆動用歯車33のすべてに噛(か)み合う大径の歯車をトグルサポート15の後端に回転可能に配設することとしてもよい。
【0024】
また、本実施形態では、タイバー16の一つに型締力センサ18が配設される。型締力センサ18は、タイバー16の歪み(主に、伸び)を検出するセンサである。タイバー16には、型締の際に型締力に対応して引張力が加わり、型締力に比例して僅かではあるが伸長する。したがって、タイバー16の伸び量を型締力センサ18により検出することで、金型装置11に実際に印加されている型締力を知ることができる。
【0025】
上述の型締力センサ18、型開閉位置センサ27、型締モータ26及び型厚モータ31は制御装置19に接続され、型締力センサ18及び型開閉位置センサ27から出力される検出信号は制御装置19に送られる。制御装置19は、検出信号に基づいて型締モータ26及び型厚モータ31の動作を制御する。
【0026】
また、固定プラテン12の固定金型11aの反対側には、射出装置の加熱シリンダ40が進退可能に設けられている。金型に樹脂を充填する際は、加熱シリンダ40の先端のノズル40aが、固定プラテン12を貫通して固定金型11aに押圧され、加熱シリンダ40内で溶融した樹脂が金型装置11に注入される。
【0027】
ここで、通常の成形時における動作について説明する。型締モータ26を正方向に駆動させると、ボールねじ軸25が正方向に回転させられ、図2に示されるように、ボールねじ軸25は前進(図2における右方向に移動)させられる。それに伴って、クロスヘッド24が前進させられ、トグル機構20が作動させられると、可動プラテン13が前進させられる。
【0028】
可動プラテン13に取り付けられた可動金型11bが固定金型11aと接触すると(型閉状態)、型締工程に移行する。型締工程では、型締モータ26を更に正方向に駆動することで、トグル機構20によって金型11に型締力が発生させられる。
【0029】
そして、図示されない射出装置に設けられた射出駆動部が駆動されて加熱シリンダ40のノズル40aが固定金型11aに押圧され、加熱シリンダ40内のスクリュが前進することにより、金型装置11内に形成されたキャビティ空間に溶融樹脂が充填される。型開きを行なう場合、型締モータ26を逆方向に駆動すると、ボールねじ軸25が逆方向に回転させられる。それに伴って、クロスヘッド24が後退させられ、トグル機構20が作動されると、可動プラテン13が後退させられる。
【0030】
型開工程が完了すると、図示されないエジェクタ駆動部が駆動され、可動プラテン13に取り付けられたエジェクタ装置が作動する。これにより、エジェクタピンが突き出され、可動金型11b内の成形品は可動金型11bより突き出される。また、エジェクタ駆動部の駆動と同時に、図示されない把持手段としての成形品取出機が駆動され、成形品取出機のアームが固定金型11aと可動金型11bとの間に進入し、成形品取出位置で停止する。そして、エジェクタピンの前進により可動金型11bから突き出された成形品は成形品取出機のアームにより把持されて取り出され、射出成形機の外に設けられたコンベア装置まで搬送される。
【0031】
ところで、一般のトグル機構を利用した型締装置と同様に、トグル機構20が発生する型締力は、固定プラテン12、トグルサポート15及びタイバー16を含む型締装置10全体のばね定数、すなわち、型締剛性を比例定数として変化する。なお、型締装置10においては、タイバー16の剛性が他の部材と比較して低いので、型締剛性はタイバー16の剛性に等しいと考えることができる。したがって、トグル機構20が発生する型締力は、タイバー16の剛性としてのばね定数を比例定数として、金型装置10の型閉から型締完了までにトグルサポート15が固定プラテン12に対して移動する量に比例して変化すると言える。すなわち、固定プラテン12、トグルサポート15等の部材の剛性が十分に高いので、型締装置10が発生する型締力は、実質的に、四本のタイバー16が弾性変形して伸びることによって発生し、該タイバー16の伸び量に比例すると言える。
【0032】
本実施形態では、成形中の型締力を検出し監視するために、タイバー16に取り付けられた型締力センサ18(タイバーセンサとも称する)を用いる。型締力センサ18は成形中の型締力を検出するために設けられたセンサであり、本実施形態では、もともと備わっている型締力センサ18の検出値に基づいて樹脂充填圧の異常を判断する。
【0033】
型締力の適正値は、成形品にバリが発生しない程度に強く、且つ必要以上に強すぎないような値である。型締力の適正値を求めることは、型締力を必要最小限の大きさに抑えて金型の寿命を不必要に短くしないために重要である。
【0034】
いま、必要な最小の型締力が50トンの金型を用いるとする。この場合、金型に50トンの型締力を加えて成形を行うと、問題となるようなバリの発生の無い成形品を成形することができ、型締力が50トンより小さくなると、バリの発生が目立ち始める。金型に50トン以上の例えば60トンの締付力を加えることは、必要以上の型締力を加えていることとなる。必要最低限の型締力しか発生していない場合は、型締力がかかった状態、つまりトグルが伸びた状態で樹脂が充填されると、型締力の反力にさらに樹脂圧が加わることでトグルが伸びたままの状態でトグルサポート15が後退し、タイバーがさらに引っ張られた状態となる。したがって、このときのタイバーの伸びを検出することで、金型の開き具合を知ることができる。しかし、上述の場合で例えば必要以上の型締力として70トンを加えているような場合、型締力を加えた時点においてすでに必要以上の型締力の反力でタイバーが引っ張られてトグルサポート15が後退しており、樹脂圧が加わってもそれ以上タイバーが伸びることはない。
【0035】
図3は、上述の場合において、型締力を50トンに設定して成形を行った場合のタイバーセンサによる型締力検出値の変化を示すグラフである。図3において、実線が型締力検出値を示す。
【0036】
型タッチが完了してからトグルが伸びることで型締めが開始されると、型締力検出値は急激に上昇し、型締が完了した時点から一定値となる。この場合、型締力設定値が50トンであるので、型締力が50トンとなるように制御され、したがって、型締力検出値も50トンで一定となる。
【0037】
型締が完了して型締力検出値が50トンで一定となった後、射出装置の加熱シリンダ40が金型に接続され、溶融樹脂の金型装置11への充填が開始される。通常は、実線で示されるように、樹脂充填が開始されても型締力検出値は一定(設定値である50トン)のままである。その後、樹脂のキャビティ内への充填にともない型締力に樹脂圧が加わることで型締力検出値は僅かに上昇するが、再度、設定値である50トンに戻り、保圧が完了して型開きが行われた時点でゼロとなる。
【0038】
樹脂の充填が完了する付近での型締力検出値の僅かな上昇は、樹脂充填圧に型締力が負けて金型が僅かに開いていることを示すが、このときの金型の開き量はバリが発生しない程度の僅かなものであり、型締力が強すぎずに適正であることを示している。ただし、型締力を強めに設定している場合は、この型締力検出値の僅かな上昇は現れないこともある。
【0039】
ここで、樹脂充填開始後に充填圧がなんらかの理由で異常に上昇した場合を想定する。例えば、多数個取りの金型において、一つのキャビティへの樹脂通路が詰まってしまったような場合には、樹脂充填圧が異常に上昇することがある。この場合、樹脂充填開始直後から充填圧は図3の一点鎖線で示すように急激に上昇し、通常の充填圧を越えて更に上昇する。樹脂充填圧が型締力より小さいときは、型締力検出値は設定値の50トンで一定であるが、樹脂充填圧が型締力を越えると、金型が樹脂充填圧により強制的に開かれることとなる。その結果、タイバーが引っ張られ、タイバーセンサによる型締力検出値も、図3において一点鎖線で示すように、型締力設定値である50トンを越えて上昇することとなる。
【0040】
このように、樹脂充填圧が異常に上昇し続けると、金型に過大な圧力が作用し、金型が損傷するおそれがある。また、金型が樹脂充填圧によって必要以上に開くと、充填された樹脂がキャビティから漏れ出し、バリなどの成形不要を生じてしまう。そこで、本実施形態による異常検出方法では、樹脂充填開始からの型締力検出値を監視し、型締力検出値が所定の閾値以上となったら樹脂充填圧が異常に上昇していると判断する。この所定の閾値は、金型が許容型開量だけ開いた際の型締力検出値の最大値(図3における実線での最大値)よりも大きい値に設定すればよい。すなわち、所定の閾値は、通常動作時に検出される型締力検出値の最大値よりも大きな値に設定する。
【0041】
図3に示す例では、樹脂充填圧の異常を判断するための所定の閾値は60トンに設定されている。すなわち、型締完了して樹脂が充填されはじめてから、型締力検出値が50トンの一定値から増大し、55トン以上になったときに、樹脂充填圧が異常に上昇していると判断する。樹脂充填が加わる期間は、樹脂充填開始から保圧完了までの期間であり、この期間内で充填圧を監視して樹脂充填圧の異常を判断することが好ましい。
【0042】
また、上述の所定の閾値は、型締力設定値から所定の値だけ大きな値に設定することとしてもよい。図3に示す例では、最適な型締力設定値が50トンであり、これに5トンという所定の値を加えて55トンを所定の閾値として設定している。この5トンという所定の値は、金型が僅かに開いたとしてもそれを越えないような値であり、且つ樹脂充填圧の異常を判断するのに高すぎないような値であり、実験や経験的に求めることができる。
【0043】
樹脂充填圧が異常であると判断されたら、成形動作を直ちに中断して樹脂充填圧をそれ以上上昇させないようにする。例えば、樹脂充填圧の異常を検出した時点で、射出成形機の表示器に警告を表示したり警告音を発してオペレータに通知することで、オペレータが直ちに成形動作を中止することができる。この場合、型締力検出値を表示器にグラフ表示させながら、オペレータが表示器を見て型締力検出値を監視し、閾値以上となったか否かを判断することとしてもよい。あるいは、射出成形機の制御装置が型締力検出値を監視し、型締力検出値と閾値を比較して、型締力検出値が閾値以上となったときに樹脂充填圧が以上であると判断して、オペレータに警告を発すると同時に自動的に射出成形機の動作を中止するように射出成形機を制御することとしてもよい。
【0044】
なお、本実施形態による異常検出方法により検出できる樹脂充填圧の異常の原因の例として以下のような原因が考えられる。
【0045】
1)多数個取りの金型で、一つのキャビティ1までの樹脂通路(ランナ2やゲート3)が詰まってしまった場合。この場合は、樹脂充填中に充填圧が異常に高くなる。
【0046】
2)充填樹脂の温度が高くなりすぎた場合。この場合、樹脂の粘度が減少し、これに伴い圧力伝達効率が上昇する。これにより、保圧中にキャビティ1内の樹脂圧が異常に高くなる。
【0047】
3)金型温調器が故障した場合。この場合、金型が冷却されずに温度が上昇し、上述の場合と同様に樹脂の粘度が減少し、これに伴い圧力伝達効率が上昇する。これにより、保圧中にキャビティ1内の樹脂圧が異常に高くなる。
【0048】
4)樹脂充填量の設定を間違った場合。実際の樹脂充填量が例えば80gであるところを、誤って100gに設定してしまったような場合である。この場合は、樹脂充填中に充填圧が異常に高くなる。
【0049】
以上は、樹脂充填圧が異常に上昇する原因となる例であるが、本実施形態による異常検出方法によれば、これに限られず他の原因による樹脂充填圧の異常も判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】多数個取りの金型の平面図である。
【図2】本発明による射出成形機の異常検出方法を用いて樹脂充填圧の異常を検出することのできる射出成形機の型締装置の側面図である。
【図3】型締力を設定して成形を行った場合のタイバーセンサによる型締力検出値の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0051】
10 型締装置
11 金型装置
12 固定プラテン
13 可動プラテン
15 トグルサポート
16 タイバー
18 型締力センサ
19 制御装置
20 トグル機構
26 型締モータ
27 型開閉位置センサ
31 型厚モータ
32 型締位置センサ
40 加熱シリンダ
【出願人】 【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
【出願日】 平成18年6月23日(2006.6.23)
【代理人】 【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦


【公開番号】 特開2008−1028(P2008−1028A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−174334(P2006−174334)