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【発明の名称】 繊維強化樹脂成形品の成形方法及び成形装置
【発明者】 【氏名】一原 洋平

【氏名】金子 満晴

【氏名】小川 淳一

【要約】 【課題】繊維強化樹脂成形品の成形技術において、混合物(樹脂、強化繊維、物理発泡剤)を高圧に維持して成形金型のキャビティに射出し、強化繊維の損傷を防止し、物理発泡剤の樹脂への分散混練を確実に行い、物理発泡剤による適正な発泡を行い、一様に微細に発泡させた軽量の且つ所期の強度・剛性を有する繊維強化樹脂成形品を成形すること。

【構成】樹脂導入工程において、スクリュー3を後退且つ回転させながら、射出用シリンダ4のうちスクリュー3の前端側部分のチェックリング20の前側の計量樹脂溜め部27内にチェックリング20の後側の可塑化混練部内26で可塑化混練された樹脂15と強化繊維16を導入し、発泡剤注入分散促進工程において、樹脂導入工程の実行中又は実行後に、計量樹脂溜め部27内に物理発泡剤17を注入すると共に、この物理発泡剤17の樹脂15への分散混練を促進する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形金型側の前端側部分に逆流防止用のチェックリングを有するスクリューを内蔵した射出用シリンダ内で、樹脂と強化繊維を可塑化混練すると共に物理発泡剤を注入し、その混合物を成形金型のキャビティに射出して繊維強化樹脂成形品を成形する方法において、
前記スクリューを後退且つ回転させながら、前記射出用シリンダのうちチェックリングの前側の計量樹脂溜め部内にチェックリングの後側の可塑化混練部内で可塑化混練された樹脂と強化繊維を導入する樹脂導入工程と、
前記樹脂導入工程の実行中又は実行後に、前記計量樹脂溜め部内に物理発泡剤を注入すると共に、この物理発泡剤の樹脂への分散混練を促進する発泡剤注入分散促進工程と、
を備えたことを特徴とする繊維強化樹脂成形品の成形方法。
【請求項2】
前記発泡剤注入分散促進工程において、前記計量樹脂溜め部内に物理発泡剤を射出用シリンダの長さ方向に異なる複数位置から、前側から後側へ順次又は一括に注入することを特徴とする請求項1に記載の繊維強化樹脂成形品の成形方法。
【請求項3】
前記発泡剤注入分散促進工程において、前記スクリューのチェックリングよりも前側部分に設けられた混練ヘッド部により、物理発泡剤の樹脂への分散混練を促進することを特徴とする請求項1に記載の繊維強化樹脂成形品の成形方法。
【請求項4】
前記発泡剤注入分散促進工程において、前記計量樹脂溜め部内に物理発泡剤を射出用シリンダの長さ方向に異なる複数位置から、後退する前記混練ヘッド部の位置に対応して前側から後側へ順次注入することを特徴とする請求項3に記載の繊維強化樹脂成形品の成形方法。
【請求項5】
前記発泡剤注入分散促進工程において、前記計量樹脂溜め部内に物理発泡剤として超臨界状態の流体を注入することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の繊維強化樹脂成形品の成形方法。
【請求項6】
成形金型側の前端側部分に逆流防止用のチェックリングを有するスクリューと、このスクリューを内蔵した射出用シリンダと、スクリューを進退駆動する進退駆動機構と、スクリューを回転駆動する回転駆動機構とを備え、射出用シリンダ内で樹脂と強化繊維を可塑化混練すると共に物理発泡剤を注入し、その混合物を成形金型のキャビティに射出して繊維強化樹脂成形品を成形する装置において、
前記射出用シリンダのうちチェックリングの前側の計量樹脂溜め部内に物理発泡剤を注入する発泡剤注入手段と、
前記発泡剤注入手段で注入された物理発泡剤の樹脂への分散混練を促進する発泡剤分散促進手段と、
を備えたことを特徴とする繊維強化樹脂成形品の成形装置。
【請求項7】
前記発泡剤分散促進手段は、前記スクリューのチェックリングよりも前側部分に設けられた混練ヘッド部を有することを特徴とする請求項6に記載の繊維強化樹脂成形品の成形装置。
【請求項8】
前記発泡剤分散促進手段は、前記発泡剤注入手段により、前記計量樹脂溜め部内に物理発泡剤を射出用シリンダの長さ方向に異なる複数位置から、前側から後側へ順次又は一括に注入可能に構成されたことを特徴とする請求項6又は7に記載の繊維強化樹脂成形品の成形装置。
【請求項9】
前記発泡剤注入手段は、前記射出用シリンダにその長さ方向に可動に且つ計量樹脂溜め部内に臨むように設けられた発泡剤注入部と、この発泡剤注入部を射出用シリンダの長さ方向に移動駆動する注入部駆動手段とを有することを特徴とする請求項8に記載の繊維強化樹脂成形品の成形装置。
【請求項10】
前記発泡剤注入手段は、前記射出用シリンダにその長さ方向に異なる複数位置に固定的に且つ計量樹脂溜め部内に臨むように設けられた複数の発泡剤注入部を有することを特徴とする請求項8に記載の繊維強化樹脂成形品の成形装置。
【請求項11】
前記発泡剤注入手段は、前記複数の発泡剤注入部から物理発泡剤を択一的に注入させるように切り換える注入切換手段を有することを特徴とする請求項10に記載の繊維強化樹脂成形品の成形装置。
【請求項12】
前記物理発泡剤が超臨界状態の流体であることを特徴とする請求項6〜11の何れかに記載の繊維強化樹脂成形品の成形装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリューを内蔵した射出用シリンダ内で、樹脂と強化繊維を可塑化混練すると共に物理発泡剤を注入し、その混合物を成形金型のキャビティに射出して繊維強化樹脂成形品を成形する方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、発泡樹脂成形品の成形技術として、スクリューを内蔵した射出用シリンダ内で、樹脂(合成樹脂)を可塑化(溶融)すると共に、物理発泡剤として超臨界状態の窒素や二酸化炭素等の流体(Super Critical Fluid:SCF)を注入し、このSCF混合の可塑化樹脂を成形金型のキャビティに射出して圧力開放により微細に発泡させて、発泡樹脂成形品を成形する技術が実用に供されている。
【0003】
近年では、発泡樹脂成形品の一層の軽量化と強度・剛性の向上を図るために、発泡樹脂成形品にカーボン繊維やガラス繊維等の強化繊維を混在させた繊維強化樹脂成形品が多用されつつあり、この繊維強化樹脂成形品の成形技術として、射出用シリンダ内で樹脂と強化繊維を可塑化混練すると共にSCFを注入し、その混合物を成形金型のキャビティに射出して繊維強化樹脂成形品を成形する技術が実用に供されている(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1の成形装置では、スクリューの長さ方向中央部分に逆流防止用のチェックリングが設けられ、射出用シリンダ内において、チェックリングの後側部分に樹脂と強化繊維の原料が供給され、この樹脂と強化繊維が可塑化混練されながらチェックリングの前側部分に導入され、チェックリングの前側近くのスクリューが存在する部分にSCFが注入される。スクリューが射出完了位置から後退且つ回転して、射出用シリンダのうちスクリューの前側の樹脂溜め部内に混合物(樹脂、強化繊維、SCF)が導入され、その混合物が所定量溜められてからスクリューの前進によって成形金型のキャビティに射出される。
【0005】
ところで、図14に示すように、射出用シリンダ101 内において、チェックリング103 よりも前側で樹脂溜め部104 よりも後側のスクリュー102 が存在する部分にSCFを注入するようにした成形装置100 において、SCFによる適正な発泡を行えるようにするために、SCFを樹脂に確実に混練し、その混合物(樹脂、強化繊維、SCF)を高圧に維持して成形金型のキャビティに射出する必要があり、そのために、SCFが樹脂、強化繊維の原料を供給する上流側へ逆流しないようにする逆流防止構造105 が必要になる。
【0006】
この逆流防止構造105 は、スクリュー102 のうちSCFの注入位置よりも上流側部分に、樹脂の流路が迷路状となった迷路構造105aを設けて、樹脂と共にSCFの逆流を防止する構造になっている。
【特許文献1】特開2005−1388号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の成形装置では、スクリューの長さ方向中央部分に逆流防止用のチェックリングを設け、射出用シリンダ内において、チェックリングの前側近くのスクリューが存在する部分にSCFを注入するため、このSCFの注入位置付近の内圧が非常に高圧になりチェックリングに作用するため、SCF、樹脂がチェックリングから上流側へ逆流することが懸念され、故に、混合物(樹脂、強化繊維、SCF)を高圧に維持して成形金型のキャビティに射出して、SCFによる適正な発泡を行うことができないという虞がある。
【0008】
そこで、図14に示すように、迷路構造を有する逆流防止構造を採用することで、SCF、樹脂の逆流を確実に防止できるが、射出用シリンダ内において、この迷路構造よりも上流側部分に樹脂と強化繊維の原料が供給されるため、この強化繊維が迷路構造を通過することになり、その際、強化繊維が迷路構造によって損傷(折損)し、所期の強度・剛性を有する繊維強化樹脂成形品を成形できないという問題が生じる。
【0009】
また、特許文献1の成形装置では、SCFの注入部が射出用シリンダに固定的に設けられ、その注入位置が射出用シリンダの長さ方向1箇所だけであるため、SCFの樹脂への分散混練を確実に行うことができない虞がある。
【0010】
本発明の目的は、射出用シリンダ内で樹脂と強化繊維を可塑化混練すると共に物理発泡剤を注入し、その混合物を成形金型のキャビティに射出して繊維強化樹脂成形品を成形する方法及び装置において、混合物(樹脂、強化繊維、物理発泡剤)を高圧に維持して成形金型のキャビティに射出し、強化繊維の損傷を防止し、物理発泡剤の樹脂への分散混練を確実に行い、物理発泡剤による適正な発泡を行い、一様に微細に発泡させた軽量の且つ所期の強度・剛性を有する繊維強化樹脂成形品を成形すること、等である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の繊維強化樹脂成形品の成形方法は、成形金型側の前端側部分に逆流防止用のチェックリングを有するスクリューを内蔵した射出用シリンダ内で、樹脂と強化繊維を可塑化混練すると共に物理発泡剤を注入し、その混合物を成形金型のキャビティに射出して繊維強化樹脂成形品を成形する方法において、前記スクリューを後退且つ回転させながら、前記射出用シリンダのうちチェックリングの前側の計量樹脂溜め部内にチェックリングの後側の可塑化混練部内で可塑化混練された樹脂と強化繊維を導入する樹脂導入工程と、前記樹脂導入工程の実行中又は実行後に、前記計量樹脂溜め部内に物理発泡剤を注入すると共に、この物理発泡剤の樹脂への分散混練を促進する発泡剤注入分散促進工程とを備えたことを特徴とする。
【0012】
樹脂導入工程において、前端側部分にチェックリングを有するスクリューを後退且つ回転させながら、射出用シリンダのうちチェックリングの前側の計量樹脂溜め部内にチェックリングの後側の可塑化混練部内で可塑化混練された樹脂と強化繊維を導入し、発泡剤注入分散促進工程において、樹脂導入工程の実行中又は実行後に、計量樹脂溜め部内に物理発泡剤を注入するため、スクリューの前端側部分のチェックリングにより、物理発泡剤、樹脂、強化繊維の計量樹脂溜め部から可塑化混練部への逆流が抑制され、前記チェックリングにより、計量樹脂溜め部の内圧が高圧に維持される。
【0013】
つまり、混合物(樹脂、強化繊維、物理発泡剤)が高圧に維持されて成形金型のキャビティに射出され、故に、従来の迷路構造を有する逆流防止構造が不要になるため、強化繊維の損傷(折損)が防止される。しかも、発泡剤注入分散促進工程において、計量樹脂溜め部内に物理発泡剤を注入すると共に、この物理発泡剤の樹脂への分散混練を促進するので、物理発泡剤の樹脂への分散混練が確実に行われ、物理発泡剤が樹脂に一様に分散し、物理発泡剤による適正な発泡が行われる。その結果、一様に微細に発泡させた軽量の且つ所期の強度・剛性を有する繊維強化樹脂成形品が成形される。
【0014】
請求項1の発明の従属請求項の構成として次の構成を採用可能である。
前記発泡剤注入分散促進工程において、前記計量樹脂溜め部内に物理発泡剤を射出用シリンダの長さ方向に異なる複数位置から、前側から後側へ順次又は一括に注入する(請求項2)前記発泡剤注入分散促進工程において、前記スクリューのチェックリングよりも前側部分に設けられた混練ヘッド部により、物理発泡剤の樹脂への分散混練を促進する(請求項3)。
【0015】
前記発泡剤注入分散促進工程において、前記計量樹脂溜め部内に物理発泡剤を射出用シリンダの長さ方向に異なる複数位置から、後退する前記混練ヘッド部の位置に対応して前側から後側へ順次注入する(請求項4)。前記発泡剤注入分散促進工程において、前記計量樹脂溜め部内に物理発泡剤として超臨界状態の流体を注入する(請求項5)。
【0016】
請求項6の繊維強化樹脂成形品の成形装置は、成形金型側の前端側部分に逆流防止用のチェックリングを有するスクリューと、このスクリューを内蔵した射出用シリンダと、スクリューを進退駆動する進退駆動機構と、スクリューを回転駆動する回転駆動機構とを備え、射出用シリンダ内で樹脂と強化繊維を可塑化混練すると共に物理発泡剤を注入し、その混合物を成形金型のキャビティに射出して繊維強化樹脂成形品を成形する装置において、前記射出用シリンダのうちチェックリングの前側の計量樹脂溜め部内に物理発泡剤を注入する発泡剤注入手段と、前記発泡剤注入手段で注入された物理発泡剤の樹脂への分散混練を促進する発泡剤分散促進手段とを備えたことを特徴とする。
【0017】
進退駆動機構と回転駆動機構により、スクリューが後退且つ回転され、このスクリュー回転により樹脂と強化繊維が前方へ送られ、射出用シリンダのうちチェックリングの後側の可塑化混練部で可塑化混練された樹脂と強化繊維がチェックリングの前側の計量樹脂溜め部内に導入され、発泡剤注入手段により、計量樹脂溜め部内に物理発泡剤が注入される。スクリューの前端側部分に設けたチェックリングにより、物理発泡剤、樹脂、強化繊維の計量樹脂溜め部から可塑化混練部への逆流が抑制されるため、前記チェックリングにより、計量樹脂溜め部の内圧が高圧に維持される。
【0018】
つまり、混合物(樹脂、強化繊維、物理発泡剤)が高圧に維持されて成形金型のキャビティに射出され、故に、従来の迷路構造を有する逆流防止構造が不要になるため、強化繊維の損傷(折損)が防止される。しかも、発泡剤分散促進手段により、発泡剤注入手段で注入された物理発泡剤の樹脂への分散混練が促進されるので、物理発泡剤の樹脂への分散混練が確実に行われ、物理発泡剤が樹脂に一様に分散し、物理発泡剤による適正な発泡が行われる。その結果、一様に微細に発泡させた軽量の且つ所期の強度・剛性を有する繊維強化樹脂成形品が成形される。
【0019】
請求項6の発明の従属請求項の構成として次の構成を採用可能である。
前記発泡剤分散促進手段は、前記スクリューのチェックリングよりも前側部分に設けられた混練ヘッド部を有する(請求項7)。前記発泡剤分散促進手段は、前記発泡剤注入手段により、前記計量樹脂溜め部内に物理発泡剤を射出用シリンダの長さ方向に異なる複数位置から、前側から後側へ順次又は一括に注入可能に構成される(請求項8)。前記発泡剤注入手段は、前記射出用シリンダにその長さ方向に可動に且つ計量樹脂溜め部内に臨むように設けられた発泡剤注入部と、この発泡剤注入部を射出用シリンダの長さ方向に移動駆動する注入部駆動手段とを有する(請求項9)。
【0020】
前記発泡剤注入手段は、前記射出用シリンダにその長さ方向に異なる複数位置に固定的に且つ計量樹脂溜め部内に臨むように設けられた複数の発泡剤注入部を有する(請求項10)。前記発泡剤注入手段は、前記複数の発泡剤注入部から物理発泡剤を択一的に注入させるように切り換える注入切換手段を有する(請求項11)前記物理発泡剤が超臨界状態の流体である(請求項12)。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の繊維強化樹脂成形品の成形方法によれば、前端側部分に逆流防止用のチェックリングを有するスクリューを後退且つ回転させながら、射出用シリンダのうちチェックリングの前側の計量樹脂溜め部内にチェックリングの後側の可塑化混練部内で可塑化混練された樹脂と強化繊維を導入する樹脂導入工程と、樹脂導入工程の実行中又は実行後に、計量樹脂溜め部内に物理発泡剤を注入すると共に、この物理発泡剤の樹脂への分散混練を促進する発泡剤注入分散促進工程とを備えたので、スクリューの前端側部分のチェックリングにより、混合物(樹脂、強化繊維、物理発泡剤)の計量樹脂溜め部から可塑化混練部への逆流を抑制し、前記チェックリングにより、混合物を高圧に維持して成形金型のキャビティに射出し、これを従来の迷路構造を有する逆流防止構造を不要にして達成できるので、強化繊維の損傷を防止し、また、物理発泡剤の樹脂への分散混練を確実に行い、物理発泡剤を樹脂に一様に分散させ、物理発泡剤による適正な発泡を行い、一様に微細に発泡させた軽量の且つ所期の強度・剛性を有する繊維強化樹脂成形品を成形することが可能になる。
【0022】
請求項2の繊維強化樹脂成形品の成形方法によれば、発泡剤注入分散促進工程において、計量樹脂溜め部内に物理発泡剤を射出用シリンダの長さ方向に異なる複数位置から、前側から後側へ順次又は一括に注入するので、軽量樹脂溜め部内に物理発泡剤を射出用シリンダの長さ方向に一様に注入して、この物理発泡剤の樹脂への分散混練を確実に促進することができる。
【0023】
請求項3の繊維強化樹脂成形品の成形方法によれば、発泡剤注入分散促進工程において、スクリューのチェックリングよりも前側部分に設けられた混練ヘッド部により、物理発泡剤の樹脂への分散混練を促進するので、この物理発泡剤の樹脂へのより確実な分散混練を混練ヘッド部を設けた簡単な構成で達成できる。
【0024】
請求項4の繊維強化樹脂成形品の成形方法によれば、発泡剤注入分散促進工程において、計量樹脂溜め部内に物理発泡剤を射出用シリンダの長さ方向に異なる複数位置から、後退する混練ヘッド部の位置に対応して前側から後側へ順次注入するので、この物理発泡剤の樹脂への一様な分散混練をより確実に促進することができる。
【0025】
請求項5の繊維強化樹脂成形品の成形方法によれば、発泡剤注入分散促進工程において、計量樹脂溜め部内に物理発泡剤として超臨界状態の流体を注入するので、従来の技術において迷路構造を有する逆流防止構造を設けない場合、この物理発泡剤の逆流を防止することが難しいが、本発明ではこれを改善し、微細に発泡させた繊維強化樹脂成形品を成形可能になる。
【0026】
請求項6の繊維強化樹脂成形品の成形装置によれば、前端側部分に逆流防止用のチェックリングを有するスクリューと、このスクリューを内蔵した射出用シリンダと、スクリューを進退駆動する進退駆動機構と、スクリューを回転駆動する回転駆動機構とを備え、射出用シリンダのうちチェックリングの前側の計量樹脂溜め部内に物理発泡剤を注入する発泡剤注入手段と、発泡剤注入手段で注入された物理発泡剤の樹脂への分散混練を促進する発泡剤分散促進手段とを備えたので、スクリューの前端側部分のチェックリングにより、混合物(樹脂、強化繊維、物理発泡剤)の計量樹脂溜め部から可塑化混練部への逆流を抑制し、前記チェックリングにより、混合物を高圧に維持して成形金型のキャビティに射出し、これを従来の迷路構造を有する逆流防止構造を不要にして達成できるので、強化繊維の損傷を防止し、また、物理発泡剤の樹脂への分散混練を確実に行い、物理発泡剤を樹脂に一様に分散させ、物理発泡剤による適正な発泡を行い、一様に微細に発泡させた軽量の且つ所期の強度・剛性を有する繊維強化樹脂成形品を成形することが可能になる。
【0027】
請求項7の繊維強化樹脂成形品の成形装置によれば、発泡剤分散促進手段は、スクリューのチェックリングよりも前側部分に設けられた混練ヘッド部を有するので、この混練ヘッド部を回転させることで、樹脂と強化繊維との混練をより確実に行いつつ、物理発泡剤の樹脂への分散混練を確実に促進でき、この物理発泡剤の樹脂へのより確実な分散混練を混練ヘッドを設けた簡単な構成で達成できる。
【0028】
請求項8の繊維強化樹脂成形品の成形装置によれば、発泡剤分散促進手段は、発泡剤注入手段により、計量樹脂溜め部内に物理発泡剤を射出用シリンダの長さ方向に異なる複数位置から、前側から後側へ順次又は一括に注入可能に構成したので、物理発泡剤を計量樹脂溜め部内に射出用シリンダの長さ方向に一様に注入することができ、この物理発泡剤の樹脂への一様な分散混練を確実に促進することができる。
【0029】
請求項9の繊維強化樹脂成形品の成形装置によれば、発泡剤注入手段は、射出用シリンダにその長さ方向に可動に且つ計量樹脂溜め部内に臨むように設けられた発泡剤注入部と、この発泡剤注入部を射出用シリンダの長さ方向に移動駆動する注入部駆動手段とを有するので、計量樹脂溜め部内に物理発泡剤を射出用シリンダの長さ方向に異なる複数位置から、後退する混練ヘッド部の位置に対応して前側から後側へ順次注入することができ、物理発泡剤の樹脂への一様な分散混練をより確実に促進することができる。
【0030】
請求項10の繊維強化樹脂成形品の成形装置によれば、発泡剤注入手段は、射出用シリンダにその長さ方向に異なる複数位置に固定的に且つ計量樹脂溜め部内に臨むように設けられた複数の発泡剤注入部を有するので、この物理発泡剤の樹脂への分散混練を確実に促進することができる。
【0031】
請求項11の繊維強化樹脂成形品の成形装置によれば、発泡剤注入手段は、複数の発泡剤注入部から物理発泡剤を択一的に注入させるように切り換える注入切換手段を有するので、計量樹脂溜め部内に物理発泡剤を射出用シリンダの長さ方向に異なる複数位置から、後退する混練ヘッド部の位置に対応して前側から後側へ順次注入することができ、故に、物理発泡剤の樹脂への一様な分散混練をより確実に促進することができる。
【0032】
請求項12の繊維強化樹脂成形品の成形装置によれば、物理発泡剤が超臨界状態の流体であるので、従来の技術において迷路構造を有する逆流防止構造を設けない場合、この物理発泡剤の逆流を防止することが難しいが、本発明ではこれを改善し、微細に発泡させた繊維強化樹脂成形品を成形可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の繊維強化樹脂成形品の成形方法及び成形装置は、成形金型側の前端側部分に逆流防止用のチェックリングを有するスクリューを内蔵した射出用シリンダ内で、樹脂と強化繊維を可塑化混練すると共に物理発泡剤を注入し、その混合物を成形金型のキャビティに射出して繊維強化樹脂成形品を成形するものである。
【0034】
本発明の繊維強化樹脂成形品の成形方法は、スクリューを後退且つ回転させながら、射出用シリンダのうちチェックリングの前側の計量樹脂溜め部内にチェックリングの後側の可塑化混練部内で可塑化混練された樹脂と強化繊維を導入する樹脂導入工程と、樹脂導入工程の実行中又は実行後に、計量樹脂溜め部内に物理発泡剤を注入すると共に、この物理発泡剤の樹脂への分散混練を促進する発泡剤注入分散促進工程とを備えたものになる。
【0035】
本発明の繊維強化樹脂成形品の成形装置は、成形金型側の前端側部分に逆流防止用のチェックリングを有するスクリューと、このスクリューを内蔵した射出用シリンダと、スクリューを進退駆動する進退駆動機構と、スクリューを回転駆動する回転駆動機構と、射出用シリンダのうちチェックリングの前側の計量樹脂溜め部内に物理発泡剤を注入する発泡剤注入手段と、発泡剤注入手段で注入された物理発泡剤の樹脂への分散混練を促進する発泡剤分散促進手段とを備えたものになる。
【実施例1】
【0036】
先ず、繊維強化樹脂成形品の成形装置1について説明する。
図1、図2に示すように、この成形装置1は、成形金型2、成形金型2側の前端側部分に逆流防止用のチェックリング20を有するスクリュー3、スクリュー3を内蔵した射出用シリンダ4、スクリュー3を進退駆動する進退駆動機構5、スクリュー3を回転駆動する回転駆動機構6、射出用シリンダ4内に樹脂15と強化繊維16の原料を投入するホッパ7、射出用シリンダ4内に物理発泡剤17を注入する発泡剤注入機構8、発泡剤注入機構8に物理発泡剤17を供給する発泡剤供給機構9、発泡剤注入機構8で注入された物理発泡剤17の樹脂15への分散混練を促進する発泡剤分散促進機構10を備えている。
【0037】
例えば、樹脂15はポリプロピレン等の合成樹脂であり、強化繊維16はカーボン繊維又はガラス繊維であり、樹脂15と強化繊維16の原料は強化繊維含有の樹脂ペレットであり、物理発泡剤17は超臨界状態の窒素又は二酸化炭素の流体(Super Critical Fluid:SCF)である。また、成形装置1は制御装置11を備え、この制御装置11により、進退駆動機構5、回転駆動機構6、発泡剤注入機構8等が制御される。尚、発泡剤分散促進機構10は制御装置11を含むものである。
【0038】
図示省略するが、成形金型2は固定金型と可動金型とを有し、成形金型2の型締めと型開きが可能な金型駆動機構と、型開きされた成形金型2から成形品(繊維強化樹脂成形品)を取り出すエジェクタ機構が設けられている。尚、これら金型駆動機構とエジェクタ機構は制御装置11により制御される。
【0039】
図2に示すように、スクリュー3は、前端側部分に逆流防止用のチェックリング20を有し、後側部分に第2の逆流防止用のチェックリング21を有し、スクリュー3のチェックリング20よりも前側部分に、発泡剤分散促進機構10の混練ヘッド50が設けられている。スクリュー3は、シャフト部3aとスクリュー部3b,3c有し、シャフト部3aに、チェックリング20,21が夫々前後方向に所定ストロークだけ可動に装着され、混練ヘッド50が固定的に装着され、シャフト部3aのうちチェックリング20,21の間及びチェックリング21の後側にスクリュー部3b,3cが一体的に設けられている。
【0040】
図2に示すように、射出用シリンダ4は、前端部が成形金型2に接続され、後端部が進退駆動機構5と回転駆動機構6のケーシングに固定され、スクリュー3の後端部分に進退駆動機構5と回転駆動機構6から駆動力が入力される。射出用シリンダ4内において、チェックリング21の後側が原料投入部25に構成され、チェックリング20,21の間が可塑化混練部26に構成され、チェックリング20の前側が計量樹脂溜め部27に構成されている。ホッパ7は、原料投入部25内に樹脂15と強化繊維16の原料を投入可能に、射出用シリンダ4の後端側部分に装備されている。
【0041】
図2〜図6に示すように、発泡剤注入機構8は、射出用シリンダ4の計量樹脂溜め部27内に物理発泡剤17を注入し、発泡剤分散促進機構10は、発泡剤注入機構8により、計量樹脂溜め部27内に物理発泡剤17を射出用シリンダ4の長さ方向に異なる複数位置から、前側から後側へ順次注入可能に構成されている。
【0042】
発泡剤注入機構8は、射出用シリンダ4に前後方向に可動に且つ計量樹脂溜め部27内に臨むように設けられた注入ノズルからなる発泡剤注入部30と、発泡剤注入部30を前後方向に移動駆動する注入部駆動機構37を有する。射出用シリンダ4に可動スリーブ31が外嵌状に前後摺動自在に設けられ、この可動スリーブ31に発泡剤注入部30が固定されている。射出用シリンダ4には、発泡剤注入部30の移動領域において前後方向に細長いスリット4aが形成され、このスリット4aの前後両側において、射出用シリンダ4と可動スリーブ31との間が環状シール部材32でシールされている。
【0043】
発泡剤注入部30に、発泡剤供給機構9から物理発泡剤17が供給通路35を通って供給され、この供給通路35に開閉弁36が設けられている。注入部駆動機構37は、流体圧シリンダや電動モータからなるアクチュエータ38を有し、その出力部38aが可動スリーブ31に連結され、このアクチュエータ38により、可動スリーブ31と共に発泡剤注入部30が前後方向に移動駆動される。発泡剤注入部30及びスリット4aについては、前後方向同位置においてを周方向に異なる位置に複数設けてもよい。
【0044】
図1に示すように、発泡剤供給機構9は、窒素又は二酸化炭素のボンベ40と、このボンベ40から送られてきた窒素又は二酸化炭素を高温高圧にして超臨界状態の流体(物理発泡剤17)を生成するSCF生成装置41とを有し、このSCF生成装置41から供給通路35を介して発泡剤注入部30に物理発泡剤17が供給される。
【0045】
図1、図2、図4〜図6に示すように、発泡剤分散促進機構10は、発泡剤注入機構8と制御装置11と混練ヘッド50を備え、混練ヘッド50は、前端が頂部となる円錐形状に形成され、そのテーパ部に沿って頂部を中心に放射状に延びる複数の突条部51が形成されている。制御装置11が、スクリュー3の後退駆動及び回転駆動に同期させて、発泡剤注入機構8の開閉弁36と注入部駆動機構37(アクチュエータ38)を制御して、計量樹脂溜め部27内に物理発泡剤17を後退する混練ヘッド部50の位置に対応して前側から後側へ順次注入する。
【0046】
次に、繊維強化樹脂成形品の成形方法について説明する。
図7に示すように、この成形方法では、スクリュー3を図4の射出完了位置から図6の射出準備位置へ後退且つ回転させることで、原料投入工程(P1)、可塑化混練工程(P2)、樹脂導入工程(P3)、発泡剤注入分散促進工程(P4)が略同時に行われ、その後、射出工程(P5)が行われ、このP1〜P5が繰返し行われて、複数の繊維強化樹脂成形品が成形されていく。
【0047】
P1の原料投入工程では、樹脂15と強化繊維16の原料がホッパ7から原料投入部25内に投入され、スクリュー3が回転することで、その樹脂15と強化繊維16が可塑化混練されながら原料投入部25内からチェックリング21で逆止される通路を通って可塑化混練部26内に導入され、P2の可塑化混練工程では、スクリュー3が回転することで、可塑化混練部26内において、樹脂15と強化繊維16がスクリュー3に対して前方へ移送されながら完全に可塑化混練された状態になる。
【0048】
P3の樹脂導入工程では、スクリュー3が図4の射出完了位置から図6の射出準備位置へ後退することで、計量樹脂溜め部27の容積が大きくなり、その際、スクリュー3が回転することで、容積が大きくなっていく計量樹脂溜め部27内に、順次、可塑化混練部26で可塑化混練された樹脂15と強化繊維16が可塑化混練部26からチェックリング20で逆止される通路を通って導入される。この樹脂導入工程の実行中にP4の発泡剤注入分散促進工程が実行される。
【0049】
P4の発泡剤注入分散促進工程では、スクリュー3と一体的に混練ヘッド部50が後退するが、発泡剤注入部30が、その注入方向が混練ヘッド部50に向く位置を維持するように、混練ヘッド部50の後退と共に後退しつつ、計量樹脂溜め部27内に物理発泡剤17を注入する。こうして、計量樹脂溜め部27内に物理発泡剤17が射出用シリンダ4の長さ方向に異なる複数位置から、後退する混練ヘッド部50の位置に対応して前側から後側へ順次連続的に注入される。更に、混練ヘッド部17はスクリュー3と一体的に回転するため、この混練ヘッド部17により、樹脂15と強化繊維16とがより確実に混練されつつ、物理発泡剤17の樹脂15への分散混練が行われる。
【0050】
P5の射出工程では、計量樹脂溜め部27内に混合物(樹脂15、強化繊維16、物理発泡剤17)が所定量溜められてから、スクリュー3が前進することで、その混合物が成形金型2のキャビティに射出され、樹脂15がある程度硬化してから、成形金型2が型開きされ、その際の圧力開放により微細に発泡して、繊維強化樹脂成形品が成形される。
【0051】
以上説明した繊維強化樹脂成形品の成形技術によれば、成形装置1において、成形金型2側の前端側部分に逆流防止用のチェックリング20を有するスクリュー3、このスクリュー3を内蔵した射出用シリンダ4、スクリュー3を進退駆動する進退駆動機構5、スクリュー3を回転駆動する回転駆動機構6を備えると共に、射出用シリンダ4のうちチェックリング20の前側の計量樹脂溜め部27内に物理発泡剤17を注入する発泡剤注入機構8、発泡剤注入機構8で注入された物理発泡剤17の樹脂15への分散混練を促進する発泡剤分散促進機構10を備えた。
【0052】
従って、繊維強化樹脂成形品の成形方法において、スクリュー3を後退且つ回転させながら、射出用シリンダ4のうちチェックリング20の前側の計量樹脂溜め部27内にチェックリング20の後側の可塑化混練部26内で可塑化混練された樹脂15と強化繊維16を導入する樹脂導入工程と、この樹脂導入工程の実行中に、計量樹脂溜め部27内に物理発泡剤17を注入すると共に、この物理発泡剤17の樹脂15への分散混練を促進する発泡剤注入分散促進工程とを実現することができる。
【0053】
その結果、スクリュー3の前端側部分のチェックリング20により、混合物(樹脂15、強化繊維16、物理発泡剤17)の計量樹脂溜め部27から可塑化混練部26への逆流を抑制し、チェックリング20により、混合物を高圧に維持して成形金型2のキャビティに射出し、これを従来の迷路構造を有する逆流防止構造を不要にして達成できるので、強化繊維16の損傷を防止し、強化繊維16の長さを所期の長さ(例えば5mm程度)に維持でき、また、物理発泡剤17の樹脂15への分散混練を確実に行い、物理発泡剤17を樹脂15に一様に分散させ、物理発泡剤17による適正な発泡を行い、一様に微細に(例えば、10μm程度に)発泡させた軽量の且つ所期の強度・剛性を有する繊維強化樹脂成形品を成形することが可能になる。
【0054】
発泡剤分散促進機構10は、スクリュー3のチェックリング20よりも前側部分に設けられた混練ヘッド部50を有するので、発泡剤注入分散促進工程において、混練ヘッド部50を回転させることで、物理発泡剤17の樹脂15への混練を促進することができ、つまり、樹脂15と強化繊維16との混練をより確実に行いつつ、物理発泡剤17の樹脂15への分散混練を確実に促進でき、物理発泡剤17の樹脂15へのより確実な分散混練を混練ヘッド部50を設けた簡単な構成で達成でき、この場合、混練ヘッド部50をスクリュー3に一体的に設けたので、スクリュー3の回転を利用できる。
【0055】
発泡剤分散促進機構10は、発泡剤注入機構8により、計量樹脂溜め部27内に物理発泡剤17を射出用シリンダ4の長さ方向に異なる複数位置から、前側から後側へ順次注入可能に構成され、そのために、発泡剤注入機構8は、射出用シリンダ4にその長さ方向に可動に且つ計量樹脂溜め部27内に臨むように設けられた発泡剤注入部30と、この発泡剤注入部30を射出用シリンダ4の長さ方向に移動駆動する注入部駆動機構37とを有するので、発泡剤注入分散促進工程において、計量樹脂溜め部27内に物理発泡剤17を射出用シリンダ4の長さ方向に異なる複数位置から、後退する混練ヘッド部50の位置に対応して前側から後側へ順次注入することができ、故に、物理発泡剤17を計量樹脂溜め部27内に射出用シリンダ4の長さ方向に一様に注入することができ、物理発泡剤17の樹脂15への一様な分散混練をより確実に促進することができる。
【0056】
物理発泡剤17が超臨界状態の流体であるので、発泡剤注入分散促進工程において、計量樹脂溜め部27内に物理発泡剤17として超臨界状態の流体を注入することができ、従来の技術において迷路構造を設けない場合、この物理発泡剤17の逆流を防止することが難しいが、本発明ではこれを改善して、非常に微細に発泡させた繊維強化樹脂成形品を確実に成形可能になる。
【0057】
尚、実施例1では、次のように変更してもよい。繊維強化樹脂成形品の成形装置1において、混練ヘッド50を省略し、更に、繊維強化樹脂成形品の成形方法において、樹脂導入工程の実行後に発泡剤注入分散促進工程を実行させ、この発泡剤注入分散促進工程では、スクリュー3が図6の射出準備位置に位置する状態で、発泡剤注入部30を前後方向へ移動させることで、計量樹脂溜め部27内に物理発泡剤17を射出用シリンダ4の長さ方向に異なる複数位置から、前側から後側へ(或いは、後側から前側へ)順次注入する。また、スクリュー3の後側部分のチェックリング21を省略する。
【実施例2】
【0058】
図8に示すように、実施例2の繊維強化樹脂成形品の成形装置1Aは、実施例1の成形装置1において、発泡剤注入機構8と発泡剤分散促進機構10を変更したものである。この成形装置1Aにおいて、発泡剤注入機構8Aは、射出用シリンダ4の計量樹脂溜め部27内に物理発泡剤17を注入し、発泡剤分散促進機構10Aは、発泡剤注入機構8Aにより、計量樹脂溜め部27内に物理発泡剤17を射出用シリンダ4の長さ方向に異なる複数位置から、前側から後側へ順次注入可能に構成されている。
【0059】
発泡剤注入機構8Aは、射出用シリンダ4にその長さ方向に異なる複数位置に固定的に且つ計量樹脂溜め部27内に臨むように設けられた複数(例えば、5つ)の注入ノズルからなる発泡剤注入部60、複数の発泡剤注入部60から物理発泡剤17を択一的に注入させるように切り換える注入切換機構68を有する。複数の発泡剤注入部60に、発泡剤供給機構9から物理発泡剤17が供給通路65を通って供給され、これら供給通路65に複数の開閉弁66が設けられ、注入切換機構68はこれら開閉弁66を有する。発泡剤注入部60については、前後方向同位置においてを周方向に異なる位置に複数設けてもよい。
【0060】
発泡剤分散促進機構10Aは、発泡剤注入機構8Aと制御装置11と混練ヘッド50を備え、制御装置11が、スクリュー3の後退駆動及び回転駆動に同期させて、混練ヘッド部50と同位置の発泡剤注入部60に対応する開閉弁66のみを開作動させるように、複数の開閉弁66を開閉制御して、計量樹脂溜め部27内に物理発泡剤17を後退する混練ヘッド部50の位置に対応して前側から後側へ順次注入する。
【0061】
実施例2の繊維強化樹脂成形品の成形方法の発泡剤注入分散促進工程では、実施例1の発泡剤注入分散促進工程と同様、計量樹脂溜め部27内に物理発泡剤17が射出用シリンダ4の長さ方向に異なる複数位置から、後退する混練ヘッド部50の位置に対応して前側から後側へ順次連続的に注入される。この繊維強化樹脂成形品の成形技術では、実施例1と同様の作用・効果を奏し、また、実施例1の変更と同様の変更を加えることができる。
【実施例3】
【0062】
図9に示すように、実施例3の繊維強化樹脂成形品の成形装置1Bは、実施例1の成形装置1において、発泡剤注入機構8と発泡剤分散促進機構10を変更したものである。この成形装置1Bにおいて、発泡剤注入機構8Bは、射出用シリンダ4の計量樹脂溜め部27内に物理発泡剤17を注入し、発泡剤分散促進機構10Bは、発泡剤注入機構8Bにより、計量樹脂溜め部27内に物理発泡剤17を射出用シリンダ4の長さ方向に異なる複数位置から一括に注入可能に構成されている。
【0063】
発泡剤注入機構8Bは、射出用シリンダ4の前側部分に一体的に設けられた筒状の発泡剤注入部材70を有し、この発泡剤注入部材70に形成された複数の発泡剤注入部71であって、射出用シリンダ4にその長さ方向に異なる複数位置に固定的に且つ計量樹脂溜め部27内に臨むように設けられた複数の注入口からなる発泡剤注入部71を有する。
【0064】
発泡剤注入部材70の内部には、複数の発泡剤注入部71に連通する通路が形成され、この発泡剤注入部材70の通路に発泡剤供給機構9から物理発泡剤17が供給通路75を通って供給され、この供給通路75に開閉弁76が設けられている。発泡剤分散促進機構10Bは、発泡剤注入機構8Bと制御装置11と混練ヘッド50を備え、制御装置11が、スクリュー3の後退駆動後に開閉弁76を開作動させるように制御して、複数の発泡剤注入部71から計量樹脂溜め部27内に物理発泡剤17を一斉に注入する。
【0065】
実施例3の繊維強化樹脂成形品の成形方法の発泡剤注入分散促進工程では、P4の泡剤注入分散促進工程が、P3樹脂導入工程の実行後に実行され、この泡剤注入分散促進工程において、複数の発泡剤注入部71により、計量樹脂溜め部27内に物理発泡剤17を射出用シリンダ4の長さ方向に異なる複数位置から一括に注入する。この繊維強化樹脂成形品の成形技術では、実施例1と略同様の作用・効果を奏する。尚、混練ヘッド50を省略してもよい。
【実施例4】
【0066】
図10に示すように、実施例3の繊維強化樹脂成形品の成形装置1Cは、実施例1の成形装置1において、発泡剤注入機構8と発泡剤分散促進機構10と混練ヘッド50を変更したものである。この成形装置1Cにおいて、発泡剤注入機構8Cは、射出用シリンダ4の計量樹脂溜め部27内に物理発泡剤17を注入し、発泡剤分散促進機構10Cは、発泡剤注入機構8Cにより、計量樹脂溜め部27内に物理発泡剤17を射出用シリンダ4の長さ方向に異なる複数位置から、前側から後側へ順次注入可能に構成されている。
【0067】
発泡剤注入機構8Cは、混練ヘッド50Cにそのテーパ部から前方へ臨むように形成された複数の注入口からなる発泡剤注入部80を有し、スクリュー3の内部(中心部分)に、その略全長に亙って複数の発泡剤注入部80に連通する通路81が形成されている。尚、混練ヘッド50Cは、実施例1の混練ヘッド50に複数の発泡剤注入部80を形成したものである。
【0068】
このスクリュー3の通路81に発泡剤供給機構9から物理発泡剤17が供給通路85を通って供給され、この供給通路85に開閉弁86が設けられている。発泡剤分散促進機構10Cは、発泡剤注入機構8Cと制御装置11と混練ヘッド50Cを備え、制御装置11が、スクリュー3の後退駆動及び回転駆動に同期させて、発泡剤注入機構8Cの開閉弁86を制御して、計量樹脂溜め部27内に物理発泡剤17を後退する混練ヘッド部50Cから順次注入する。
【0069】
実施例4の繊維強化樹脂成形品の成形方法の発泡剤注入分散促進工程では、P4の泡剤注入分散促進工程が、P3樹脂導入工程の実行中に実行され、この泡剤注入分散促進工程において、複数の発泡剤注入部80により、計量樹脂溜め部27内に物理発泡剤17を射出用シリンダ4の長さ方向に異なる複数位置から順次注入する。この繊維強化樹脂成形品の成形技術では、物理発泡剤17を混練ヘッド50Cから注入するので、この混練ヘッド50Cにより、物理発泡剤17の樹脂15への分散混練を確実に促進できる。
【実施例5】
【0070】
実施例5では、実施例1〜4の繊維強化樹脂成形品の成形装置1,1A〜1C及び成形方法において適用可能な混練ヘッド50D〜50Fを開示する。尚、混練ヘッド50D〜50Fの基本的な形状は、実施例1〜4と同様に、前端が頂部となる円錐形状に形成されたものである。図11に示すように、この混練ヘッド50Dは、そのテーパ部において、頂部を中心として周方向に交互に、複数(例えば、3つ)の凸部53と複数(例えば、3つ)の凹部54とを区画して形成したものである。
【0071】
図12に示すように、この混練ヘッド50Eは、そのテーパ部に沿って頂部から外周側へ螺旋状に延びる複数の突条部55を形成したものである。図13に示すように、この混練ヘッド50Fは、そのテーパ部に沿って頂部から外周側へ螺旋状に延びる複数の突条部56を形成すると共に、そのテーパ部から前方へ臨むように複数の穴57を形成したものである。複数の穴57については、可塑化混練された樹脂15と強化繊維16の通路として使用できるので、この樹脂15と強化繊維16の混練を助長でき、また、実施例4の成形装置1Cに適用する場合には、発泡剤注入部として使用できる。尚、混練ヘッド50E,50Fについては、正面視にて時計回りに回転させることが好ましい。
【0072】
尚、実施例1〜5の混練ヘッド50,50C〜50Fについては、前記のように、スクリュー3に一体的に設ける他、独立に回転可能に設けることができる。この場合、混練ヘッドを回転駆動する電動モータ等のアクチュエータを設けることで、スクリュー3と独立に回転可能となり、つまり、混練ヘッドをスクリュー3の回転速度よりも早く回転させることができ、また、スクリュー3が回転停止状態でも、混練ヘッドのみを回転させることが可能になる。故に、物理発泡剤17の樹脂15への一層の分散混練を期待できる。
【0073】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、前記開示事項以外の種々の変更を付加して実施可能であり、また、本発明については、種々の繊維強化樹脂成形品を成形する装置及び装置に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】実施例1の繊維強化樹脂成形品の成形装置の側面図である。
【図2】繊維強化樹脂成形品の成形装置の要部の部分断面図である。
【図3】繊維強化樹脂成形品の成形装置の要部の部分断面図である。
【図4】繊維強化樹脂成形品の成形装置の作動説明図である。
【図5】繊維強化樹脂成形品の成形装置の作動説明図である。
【図6】繊維強化樹脂成形品の成形装置の作動説明図である。
【図7】繊維強化樹脂成形品の成形方法の工程図である。
【図8】実施例2の繊維強化樹脂成形品の成形装置の要部の部分断面図である。
【図9】実施例3の繊維強化樹脂成形品の成形装置の要部の部分断面図である。
【図10】実施例4の繊維強化樹脂成形品の成形装置の要部の部分断面図である。
【図11】実施例5の混練ヘッドの正面図である。
【図12】実施例5の別の混練ヘッドの正面図である。
【図13】実施例5の更に別の混練ヘッドの正面図である。
【図14】従来の繊維強化樹脂成形品の成形装置の要部の部分断面図である。
【符号の説明】
【0075】
1,1A〜1C 繊維強化樹脂成形品の成形装置
2 成形金型
3 スクリュー
4 射出用シリンダ
5 進退駆動機構
6 回転駆動機構
8,8A〜8C 発泡剤注入機構
10,10A〜10C 発泡剤分散促進機構
15 樹脂
16 強化繊維
17 物理発泡剤
20 チェックリング
26 可塑化混練部
27 計量樹脂溜め部
30,60,71,80 発泡剤注入部
37 注入部駆動機構
50,50C〜50F 混練ヘッド部
68 注入切換機構
【出願人】 【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
【出願日】 平成18年6月23日(2006.6.23)
【代理人】 【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄


【公開番号】 特開2008−1015(P2008−1015A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−173862(P2006−173862)