トップ :: B 処理操作 運輸 :: B29 プラスチツクの加工;可塑状態の物質の加工一般

【発明の名称】 ガスケットの製造方法
【発明者】 【氏名】堀本 隆之

【氏名】浦川 哲也

【要約】 【課題】金型31を用いて装着部材1上にガスケットを一体成形する場合、金型31のゲート32の開口部33を十分に大きく設定することができ、もって射出抵抗の増大により充填不足が発生するのを防止する。

【構成】金型31を用いて装着部材1上にガスケットを一体成形する方法であって、ガスケットはシールリップの両側または片側にシールリップよりも高さの低い側部を一体に有する。金型31はキャビティ34内面における側部に対応する位置に注入ゲート32の開口部33を有する。注入ゲート32の開口部33をガスケットの長手方向に沿って長径aを配した長円形状に設定し、この長円形状に設定した開口部33からキャビティ34へ成形材料を充填する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型を用いて装着部材上にガスケットを一体成形する方法であって、前記ガスケットはシールリップの両側または片側に前記シールリップよりも高さの低い側部を一体に有し、前記金型はキャビティ内面における前記側部に対応する位置に注入ゲートの開口部を有するガスケットの製造方法において、
前記注入ゲートの開口部をガスケットの長手方向に沿って長径を配した長円形状に設定し、この長円形状に設定した開口部からキャビティへ成形材料を充填することを特徴とするガスケットの製造方法。
【請求項2】
金型を用いて装着部材上にガスケットを一体成形する方法であって、前記ガスケットはシールリップの両側または片側に前記シールリップよりも高さの低い側部を一体に有するとともに前記側部の上面に溝状凹部を有し、前記金型はキャビティ内面における前記溝状凹部に対応する位置に注入ゲートの開口部を有するガスケットの製造方法において、
前記注入ゲートの開口部をガスケットの長手方向に沿って長径を配した長円形状に設定し、この長円形状に設定した開口部からキャビティへ成形材料を充填することを特徴とするガスケットの製造方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の製造方法において、
注入ゲートの開口部の長円形状は、その短径を側部または溝状凹部の幅よりも小さく、長径を側部または溝状凹部の幅よりも大きく設定されていることを特徴とするガスケットの製造方法。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れかに記載の製造方法において、
ガスケットは、燃料電池用ガスケットであることを特徴とするガスケットの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、密封装置の一種であるガスケットの製造方法に関するものである。本発明のガスケットは例えば、燃料電池用セルシールとして用いられる。
【背景技術】
【0002】
燃料電池用セルシールの一体成形において、射出成形の場合、ゴム材料が射出されランナー部を経て各ゲート(注入口)部からキャビティへ流れ込み、セパレータ、フィルムまたはMEA(膜電極複合体)等のガスケット装着部材上に一体成形される。
【0003】
図3は、このように金型を用いて装着部材1上に一体成形された燃料電池用ガスケット11の一例を示しており、このガスケット11は、シールリップ12の両側または片側(図では両側)にシールリップ12よりも高さの低い側部13を一体に有している。
【0004】
上記ガスケット11の一体成形において、ガスケット11の幅wが狭くてゲートの開口部を配置するのが難しい場合は、図4に示すようにゲート部分のみガスケット幅wを広くする形状としているが、ガスケット幅を広げる余裕がない場合には、金型31におけるゲート32の開口部33を小さくしなければならない。
【0005】
また、図5に示すガスケット11は、上記セパレータ等の装着部材1の平面上に設けたガスケット装着溝2内に一体成形されるものであって、シールリップ12の両側または片側(図では両側)にシールリップ12よりも高さの低い側部13を一体に有するとともに側部13の上面に溝状凹部14を有している。
【0006】
上記ガスケット11の一体成形においては、金型31におけるゲート32の開口部33を図6または図7に示す位置に設けることが考えられるが、図6のようにガスケット側部13の上段部15に対応する位置にゲート32の開口部33を設けることは、ゲート痕の影響で圧縮時にこの箇所に反力が立つ可能性があることから、面位置まで圧縮する場合には適さない。また、図7のようにガスケット側部13の溝状凹部14に対応する位置にゲート32の開口部33を設ける場合は、ガスケット幅wが狭い場合やはりゲート32の開口部33を小さくしなければならない。
【0007】
上記のようにゲート32の開口部33を小さくした場合、射出抵抗が大きくなり、成形材料の充填不足が発生しやすくなる問題がある。
【0008】
【特許文献1】特開2005−166508号公報
【特許文献1】特開2006−4799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は以上の点に鑑みて、金型を用いて装着部材上にガスケットを一体成形する場合、金型のゲートの開口部を十分に大きく設定することができ、もって射出抵抗の増大により充填不足が発生するのを未然に防止することができるガスケットの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1による製造方法は、金型を用いて装着部材上にガスケットを一体成形する方法であって、前記ガスケットはシールリップの両側または片側に前記シールリップよりも高さの低い側部を一体に有し、前記金型はキャビティ内面における前記側部に対応する位置に注入ゲートの開口部を有するガスケットの製造方法において、前記注入ゲートの開口部をガスケットの長手方向に沿って長径を配した長円形状に設定し、この長円形状に設定した開口部からキャビティへ成形材料を充填することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項2による製造方法は、金型を用いて装着部材上にガスケットを一体成形する方法であって、前記ガスケットはシールリップの両側または片側に前記シールリップよりも高さの低い側部を一体に有するとともに前記側部の上面に溝状凹部を有し、前記金型はキャビティ内面における前記溝状凹部に対応する位置に注入ゲートの開口部を有するガスケットの製造方法において、前記注入ゲートの開口部をガスケットの長手方向に沿って長径を配した長円形状に設定し、この長円形状に設定した開口部からキャビティへ成形材料を充填することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項3による製造方法は、上記した請求項1または2記載の製造方法において、注入ゲートの開口部の長円形状は、その短径を側部または溝状凹部の幅よりも小さく、長径を側部または溝状凹部の幅よりも大きく設定されていることを特徴とする。
【0013】
更にまた、本発明の請求項4による製造方法は、上記した請求項1ないし3の何れかに記載の製造方法において、ガスケットは、燃料電池用ガスケットであることを特徴とする。
【0014】
従来一般のゲートの開口部は真円形状であり、これに対して開口部をガスケットの長手方向に沿って長径を配した長円形状に設定し、この長円形状に設定した開口部からキャビティへ成形材料を充填するようにすると、開口部の開口面積を実質増大させることが可能となる。請求項1は上記図3に係る例に対応して、ガスケットの側部に対応する位置にゲートの開口部を設ける場合、請求項2は上記図5および図7に対応して、ガスケット側部の溝状凹部に対応する位置にゲートの開口部を設ける場合であって、何れの場合も開口部の開口面積を実質増大させることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以下の効果を奏する。
【0016】
すなわち、本発明の請求項1または2による製造方法においてはそれぞれ、開口部をガスケットの長手方向に沿って長径を配した長円形状に設定するとともにこの長円形状に設定した開口部からキャビティへ成形材料を充填するようにしたために、開口部の開口面積を実質増大させることが可能とされている。したがってガスケット幅が限られている場合であっても、開口部を十分な大きさに設定することができ、これにより射出抵抗の増大により充填不足が発生するのを未然に防止することができる。尚、この作用効果は、請求項3に記載したように、開口部長円形状の短径を側部または溝状凹部の幅よりも小さく設定するとともに長径を側部または溝状凹部の幅よりも大きく設定した場合に最も良く発揮される。また請求項4によれば、燃料電池用ガスケットにおいて、上記請求項1ないし3の作用効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明には、以下の実施形態が含まれる。
すなわち、幅が狭いガスケットの一体成形において、金型のゲートの開口部を長円形状とする。これはガスケットを狭い幅で成形することが求められる場合に有効な手段であり、溝部に成形するセパレータ一体品のほかに、フィルムやMEAの一体品で用いることも可能である。上記構成によれば、省スペースが要求される燃料電池用のガスケットの成形において、ゲートの開口部を長円形状にすることにより、狭いスペースでもゲートを配置することが可能となる。
【実施例】
【0018】
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
【0019】
第一実施例・・・
当該第一実施例は、上記図3に示したシールリップ12の両側または片側(図では両側)にシールリップ12よりも高さの低い側部13を一体に有するガスケット11を成形するものであって、この場合、図1(A)に示すように、金型31はキャビティ34の内面における側部13に対応する位置に注入ゲート32の開口部33を有している。したがってこの場合は、図1(B)に示すように、キャビティ34内面における側部13対応位置に設ける注入ゲート32の開口部33をガスケット11の長手方向に沿って長径aを配した長円形状に設定し、この長円形状に設定した開口部33からキャビティ34へと成形材料を充填する。符号1はセパレータ、フィルムまたはMEA(膜電極複合体)等の装着部材を示しており、この装着部材1上にガスケット11を一体成形する。
【0020】
長円形状の開口部33は、その短径bを側部13の幅wよりも小さく設定されるとともにその長径aを側部13の幅wよりも大きく設定されている。したがって、側部13の幅wが限られている場合であっても、開口部33を十分な大きさに設定することができる。
【0021】
第二実施例・・・
当該第二実施例は、上記図5に示したシールリップ12の両側または片側(図では両側)にシールリップ12よりも高さの低い側部13を一体に有するとともに側部13の上面に溝状凹部14を有するガスケット11を成形するものであって、この場合、図2(A)に示すように、金型31はキャビティ34の内面における溝状凹部14に対応する位置に注入ゲート32の開口部33を有している。したがってこの場合は、図2(B)に示すように、キャビティ34内面における溝状凹部14対応位置に設ける注入ゲート32の開口部33をガスケット11の長手方向に沿って長径aを配した長円形状に設定し、この長円形状に設定した開口部33からキャビティ34へと成形材料を充填する。符号1はセパレータ、フィルムまたはMEA(膜電極複合体)等の装着部材を示しており、この装着部材1の上面に設けたガスケット装着溝2内にガスケット11を一体成形する。
【0022】
長円形状の開口部33は、その短径bを溝状凹部14の幅wよりも小さく設定されるとともにその長径aを溝状凹部14の幅wよりも大きく設定されている。したがって、溝状凹部14の幅wが限られている場合であっても、開口部33を十分な大きさに設定することができる。
【0023】
上記両実施例に共通する事項として、長円形状の開口部33は、その短径bを実寸で例えば0.2〜0.4mmとし、長径aを実寸で例えば0.7〜1.5mmとする。本願発明者らの知見によると、長径aは短径bの1.5〜5倍程度とするのが好適である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(A)は本発明の第一実施例に係る製造方法で使用する金型の要部断面図、(B)は要部下面図
【図2】(A)は本発明の第二実施例に係る製造方法で使用する金型の要部断面図、(B)は要部下面図
【図3】本発明の第一実施例に係る製造方法で製造するガスケットの要部断面図
【図4】(A)は従来例に係る製造方法で使用する金型の要部断面図、(B)は要部下面図
【図5】本発明の第二実施例に係る製造方法で製造するガスケットの要部断面図
【図6】(A)は従来例に係る製造方法で使用する金型の要部断面図、(B)は要部下面図
【図7】(A)は従来例に係る製造方法で使用する金型の要部断面図、(B)は要部下面図
【符号の説明】
【0025】
1 装着部材
2 ガスケット装着溝
11 ガスケット
12 シールリップ
13 側部
14 溝状凹部
15 上段部
31 金型
32 注入ゲート
33 開口部
34 キャビティ
【出願人】 【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
【出願日】 平成18年6月23日(2006.6.23)
【代理人】 【識別番号】100071205
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 陽一


【公開番号】 特開2008−1002(P2008−1002A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−173495(P2006−173495)