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【発明の名称】 プリフォーム加熱方法及びプリフォーム加熱装置
【発明者】 【氏名】富田 明

【氏名】水野 利通

【要約】 【課題】プリフォーム内層部まで十分に加熱することができ、ブロー成形時の引け等の欠陥の発生を防止することができるプリフォーム加熱方法及びプリフォーム加熱装置を提供する。

【構成】チタンを含む成分が表面コーティングされたロッド3を、高周波加熱装置8などによって加熱したうえプリフォーム1の内部に挿入し、プリフォーム1の内表面に赤外線を照射する。また、プリフォーム1の外部からもヒーターランプで近赤外線を照射し、プリフォーム1を透過してきた赤外線をロッド3の表面で反射させる。なお、チタン(Ti)を含む成分は、窒化チタン(TiN)、窒化チタンアルミ(TiAlN)、炭窒化チタン(TiCN)のいずれかであることが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタンを含む成分が表面コーティングされたロッドを、加熱したうえプリフォームの内部に挿入し、プリフォームの内表面に赤外線を照射するとともに、プリフォームの外部からも赤外線を照射し、プリフォームを透過した赤外線をロッドの表面で反射させることを特徴とするプリフォーム加熱方法。
【請求項2】
チタンを含む成分が、窒化チタン(TiN)、窒化チタンアルミ(TiAlN)、炭窒化チタン(TiCN)のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のプリフォーム加熱方法。
【請求項3】
赤外線を照射しプリフォームを内外両面から加熱するプリフォーム加熱装置において、プリフォームの外部に設けられた赤外線を照射するヒーターランプと、プリフォームの内部に挿入される、チタンを含む成分が表面コーティングされたロッドと、このロッドを予め加熱する高周波加熱装置とを具備することを特徴とするプリフォーム加熱装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、PETボトルをコールドパリソン法でブロー成形して製造する際に用いられる、プリフォーム加熱方法及びプリフォーム加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
PETボトルを、コールドパリソン法でブロー成形する際には、予めプリフォーム(パリソン)を成形可能な温度にまで加熱する必要がある。プリフォームの延伸時には、プリフォーム内表面の延伸比の方がプリフォームの外表面より大きくなるので、プリフォームの内表面を外表面より十分に加熱しておくことが好ましい。また、肉厚プリフォームの内層部は内外表面温度と均一もしくは高めに加熱しておく必要がある。
【0003】
従来は、プリフォームの外表面から近赤外線を照射し、外表面及び少し吸収した内部からの熱伝導を利用してプリフォームの内層部及び内表面を加熱していた。しかし、一般に使用されている波長の近赤外線はプリフォームの表面近くで一部が吸収され、残部はそのままプリフォームを透過してしまうので、肉厚プリフォームの内層部は加熱されにくい。このため、プリフォームの外表面と内層部及び内表面との間に温度勾配が生じ、ブロー成形後のボトルがヒケる問題が生じてしまうことがあった。
【0004】
これらの問題を解決するためには、プリフォームの内層部及び内表面まで温度が上昇するのを待ってブロー成形すればよいのであるが、PET樹脂は熱伝導が悪いため、プリフォームの内層部や内表面が昇温するのに時間がかかってしまい、生産速度が低下してしまうという問題があった。一方、プリフォームの外表面が過度に加熱されると、プリフォームの外表面が白化してしまい製品としての価値を失うという問題があった。
【0005】
そこで、特許文献1に示されるように、プリフォームの外表面が過度に加熱されることを防止するために、冷却ブロアでプリフォームの外表面を冷却しながら、プリフォームを外面加熱する装置がある。しかしながら、この方法では、熱効率が悪く、消費電力が著しく多くなってしまうという問題があった。これらの問題は、特に大容積ボトルをブロー成形するのに用いられる肉厚のプリフォームを加熱する際に顕著となる。
【0006】
そこで特許文献2に示されるように、加熱した金属の棒状体をプリフォームの内部に挿入して、プリフォームの加熱を内側から促進するプリフォームの加熱方法がある。しかしながら、この装置ではプリフォームの内表面は加熱することができるが、プリフォームの肉厚内層部までの加熱が不十分となってしまい、大容積ボトルをブロー成形する時に引けが生じたり、プリフォームの結晶化度やブロー成形後のプリフォームの肉厚分布が不均一になったりしてしまうことがあった。
【0007】
【特許文献1】特許第3118537号公報
【特許文献2】特公平6−24764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記した従来の問題点を解決し、短時間にプリフォームの内外両表面のみならず内層部まで十分に加熱することができる、消費電力の少ないプリフォーム加熱方法及びプリフォーム加熱装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、チタンを含む成分が表面コーティングされたロッドを、加熱したうえプリフォームの内部に挿入し、プリフォームの内表面に赤外線を照射するとともに、プリフォームの外部からも赤外線を照射し、プリフォームを透過した赤外線をロッドの表面で反射させることを特徴とするものである。
【0010】
なお、チタン(Ti)を含む成分は、窒化チタン(TiN)、窒化チタンアルミ(TiAlN)、炭窒化チタン(TiCN)のいずれか又は2以上であることが好ましい。
【0011】
また、本発明のプリフォーム加熱装置は、赤外線を照射しプリフォームを内外両面から加熱するプリフォーム加熱装置において、プリフォームの外部に設けられた赤外線を照射するヒーターランプと、プリフォームの内部に挿入される、チタンを含む成分が表面コーティングされたロッドと、このロッドを予め加熱する高周波加熱装置とを具備することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、チタンを含む成分が表面コーティングされたロッドを用いることにより、プリフォームの内層部まで十分に加熱することができ、ブロー成形時の引け等の欠陥の発生を抑制し、ブロー成形時のプリフォームの結晶化度やブロー成形後のプリフォームの肉厚分布を均一にすることができる。また、プリフォーム加熱に長時間を必要とせず、消費電力の少ないプリフォーム加熱方法及びプリフォーム加熱装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態を示す。
本実施形態のブロー成形ラインは、例えば図1に示されるような構成であり、別工程で成形されたプリフォーム1(コールドパリソン)は、プリフォームホイール10及びオーブンローダ11により、回転テーブル式のプリフォーム加熱装置12のマンドレルに、開口部を下にして供給される。プリフォーム1はプリフォーム加熱装置12で内外両面から加熱されたうえ、プリフォームトランスファー13を経由してブローホイール14に供給されブロー成形される。この実施形態では回転テーブル式のプリフォーム加熱装置12が用いられているが、プリフォームの移動経路は直線状等、任意に設定することができる。
【0014】
図1に示されるように、加熱装置12にはロッド加熱ゾーン20とプリフォーム加熱ゾーン21がある。図2にロッド加熱ゾーン20を示し、図3に加熱装置12のプリフォーム加熱ゾーン21を示す。
【0015】
プリフォーム加熱装置12は、プリフォーム1の内部に挿入されてプリフォーム1を内面から加熱するための昇降可能なロッド3を備えている。ロッド3は例えば鉄等の誘導加熱を受けやすい金属からなり、プリフォーム1の内径よりも細い棒状のものである。ロッド3は支持材7の上端に取り付けられている。このロッド3の表面には、チタンを含む成分が真空蒸着等により表面コーティグされている。チタン(Ti)を含む成分は、例えば窒化チタン(TiN)、窒化チタンアルミ(TiAlN)、炭窒化チタン(TiCN)等である。なお、ロッド3はこれら窒化チタン(TiN)、窒化チタンアルミ(TiAlN)、炭窒化チタン(TiCN)等のチタン(Ti)を含む成分を複数組み合わせて、ロッド3の表面を処理したものであっても差し支えない。
【0016】
図2に示すロッド加熱ゾーン20で、ロッド3は発振装置6と誘導コイル5とからなる高周波加熱装置8で加熱される。ロッド加熱ゾーン20ではロッド3は降下した状態にあり、巡回経路を進行する。このときロッド3を自転させることもできる。ロッド加熱ゾーン20の降下したロッド3の側方位置には誘導コイル5が設けられている。誘導コイル5に発振装置6から所定の高周波電流が送られ、ロッド3には渦電流が発生し、ロッド3は120℃〜400℃に加熱される。なお、誘導コイル5はロッド3の巡回経路の両面に設けられていているが、ロッド3を自転させれば、片側のみに設けられていても差し支えない。
【0017】
ロッド加熱ゾーン20で加熱されたロッド3は、その後に上昇してプリフォーム1の内部に挿入される。そして赤外線をプリフォーム1の内表面に輻射する。一方、プリフォーム加熱ゾーン21には巡回経路に沿ってプリフォームオーブン15が設けられており、その内部には図3に示すようにヒーターランプ4が配置され、プリフォーム1の外表面から近赤外線を含む赤外線を照射する。
【0018】
このようにして、プリフォーム1はヒーターランプ4により外表面から加熱され、またロッド3により内側からも加熱される。ヒーターランプ4から照射された赤外線の一部は、プリフォーム1の外表面で吸収され、プリフォーム1の外表面が加熱される。そして加熱されたプリフォーム1の外表面から、プリフォーム1の内層部に伝熱する。一方、残部の赤外線はプリフォーム1の内側に透過し、プリフォーム1の内部に挿入されたロッド3の表面で反射され、プリフォーム1の内表面を照射する。
【0019】
本発明においても、ヒーターランプ4による外表面からの加熱は従来と同様である。しかし、プリフォーム1の内面加熱用にチタンを含む成分が表面コーティングされたロッド3を用いているため、黒体ロッドとは次の2点において相違するものと考えられる。第1に、黒体ロッドから輻射される赤外線の波長分布とは異なり、チタンコーティングされた表面からは短波長側にシフトした波長分布を持つ赤外線が輻射されると推定される。またプリフォーム1は透明であるために外表面からの赤外線の多くはプリフォーム1の内側まで到達するが、それを吸収してしまう黒体ロッドとは異なり、チタンを含む成分が表面コーティングされたロッド3はこの赤外線を反射し、再びプリフォーム1の内表面を輻射する。
【0020】
これらの理由により、本発明によれば黒体ロッドを用いた場合よりも赤外線をプリフォーム1の内層部にまで浸透させ、内外両表面のみならず肉厚の内層部をも効率よく加熱することが可能となる。この点は以下の実験により確認することができた。
【0021】
チタンを含む成分が表面コーティングされたロッド3と、黒体塗料を塗布したロッドとを用い、ヒーターランプ4及び高周波加熱装置8の出力を同じ条件にして、プリフォーム1の加熱実験を行った。表1にロッド表面温度を示す。また図4に、窒化チタンアルミ(TiAlN)を表面コーティングしたロッド3を使用した場合のプリフォーム1の温度勾配のグラフを示し、図5に黒体塗料を塗布したロッドを使用した場合の、プリフォーム1の温度勾配のグラフを示す。なお、プリフォーム加熱装置12は毎分50本を成形する速度で運転した。
【0022】
【表1】


【0023】
図4及び図5から明らかなように、表面がチタンコーティングされたロッド3を使用した場合には、プリフォーム1の内層部までほぼ均一に加熱されている。これに対して、黒体塗料を塗布したロッドを使用した場合には、プリフォーム1の内表面は過熱状態となるが、プリフォーム1の内層部が十分に加熱されていない。しかも表1に示されるように、黒体塗料を塗布した場合にはロッド3の表面温度は410℃〜430℃となり、チタン(Ti)を含む成分でロッド3を表面処理した場合(260℃〜270℃)に比べて高温になる。
【0024】
このように、表面がチタンコーティングされたロッド3を表面処理した場合には、ロッド3の表面温度は黒体塗料を塗布した場合と比べて低温であるのにもかかわらず、プリフォーム1の内層部まで十分に加熱することが可能となる。このため、従来は大容積のPETボトルをブロー成形するための、肉厚のプリフォーム1の内層部を均一に加熱することが困難であったが、本発明によれば肉厚のプリフォーム1であっても内層部を十分均一に加熱することが可能となる。
【0025】
これにより、ブロー成形時の引け等の欠陥の発生を抑制し、ブロー成形時のプリフォーム1の結晶化度やブロー成形後のプリフォームの肉厚分布を均一にすることに効果的なプリフォーム加熱方法及びプリフォーム加熱装置を提供することが可能となる。
【0026】
以上、現時点において、最も実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うプリフォーム加熱方法及びプリフォーム加熱装置もまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】ブロー成形ラインのライン図である。
【図2】加熱装置のロッド加熱ゾーンの説明図である。
【図3】加熱装置のプリフォーム加熱ゾーンの説明図である。
【図4】TiAlNで表面処理したロッドを使用した場合のプリフォームの温度勾配のグラフである。
【図5】黒体塗料を塗布したロッドを使用した場合のプリフォームの温度勾配のグラフである。
【符号の説明】
【0028】
1 プリフォーム
2 マンドレル
3 ロッド
4 ヒーターランプ
5 誘導コイル
6 発振装置
7 支持材
8 高周波加熱装置
10 プリフォームホイール
11 オーブンローダ
12 プリフォーム加熱装置
13 プリフォームトランスファー
14 ブローホイール
15 プリフォームオーブン
20 ロッド加熱ゾーン
21 プリフォーム加熱ゾーン
【出願人】 【識別番号】000198477
【氏名又は名称】石塚硝子株式会社
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】 【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄

【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫


【公開番号】 特開2008−972(P2008−972A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−172178(P2006−172178)