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【発明の名称】 レーザ溶着装置
【発明者】 【氏名】湯下 将史

【要約】 【課題】押圧部材への熱の蓄積を抑制できるレーザ溶着装置を提供すること。

【構成】レーザ光10を出力する出力部5と、レーザ光10を透過する透過材2とレーザ光10を吸収する吸収材3からなる被加工部材4を支持する支持部6と、透過材2と吸収材3とを密着させるべく被加工部材4における透過材2を支持部6に向けて押圧する押圧部材7とを備え、押圧部材7を介してレーザ光10を出力部5から吸収材3に向けて照射することで、透過材2と吸収材3とを溶着するレーザ溶着装置1において、押圧部材7には冷却液の流れる流路7aが設けられる構成としたこと。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出力する出力部と、
前記レーザ光を透過する透過材と該レーザ光を吸収する吸収材からなる被加工部材を支持する支持部と、
前記透過材と前記吸収材とを密着させるべく前記被加工部材における該透過材を前記支持部に向けて押圧する押圧部材と、
を備え、
前記押圧部材を介して前記レーザ光を前記出力部から前記吸収材に向けて照射することで、前記透過材と前記吸収材とを溶着するレーザ溶着装置において、
前記押圧部材には冷却液の流れる流路が設けられることを特徴とするレーザ溶着装置。
【請求項2】
前記流路は、前記レーザ光の照射により前記被加工部材の前記透過材と前記吸収材とが溶着して形成される溶着領域に沿って延在することを特徴とする請求項1に記載のレーザ溶着装置。
【請求項3】
前記冷却液を冷却するための冷却装置を備え、前記冷却液が前記冷却装置と前記流路との間で循環することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレーザ溶着装置。
【請求項4】
前記流路が対を成し、前記押圧部材及び前記被加工部材を前記レーザ光の照射方向からみたとき、該対の間に前記溶着領域が形成されることを特徴とする請求項2に記載のレーザ溶着装置。
【請求項5】
前記流路が前記溶着領域を挟んで平行に延在することを特徴とする請求項4に記載のレーザ溶着装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光を透過する透過材とレーザ光を吸収する吸収材とをレーザ光によって溶着するレーザ溶着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のレーザ溶着の方法が、後述の特許文献1に記載されている。この方法では、レーザ光を透過する透過材とレーザ光を吸収する吸収材とからなる被加工部材をガラス板等からなる支持部で支持した後、ガラス板等からなる押圧部材を用いて被加工部材における透過材を支持部に向けて押圧し、押圧部材を介してレーザ光を吸収材に向けて照射する。
【0003】
レーザ光は、吸収材にて吸収され、吸収材を発熱させる。吸収材にて発生した熱は、透過材に伝わる。これにともなって透過材と吸収材との間の密着部が溶融し、透過材と吸収材とが溶着される。
【特許文献1】特開昭62−142092号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した方法では、吸収材にて発生した熱が透過材を介して押圧部材に伝わるので、透過材への熱の蓄積が抑制される。透過材と吸収材との溶着(以下、溶着作業)が繰り返し行われる場合であっても、押圧部材に伝熱され蓄熱される。よって、透過材には熱が蓄熱されにくい。
【0005】
しかしながら、押圧部材に蓄積される熱の量(蓄熱量)には上限があるので、溶着作業の連続等により押圧部材の蓄熱量が上限に達した状態で溶着作業がさらに行われた場合には、透過材から押圧部材に熱が伝わらず、透過材に熱が蓄積されてしまう。透過材に熱が蓄積されると、透過材における表面の炭化等の問題が生じる可能性があり、被加工部材の外観上好ましくない。このため、押圧部材の蓄熱量が上限に達した場合は、押圧部材の温度が下がるまで溶着作業を中断したり、別の押圧部材に交換した上で溶着作業を再開したりする必要があった。
【0006】
よって、本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、押圧部材への熱の蓄積を抑制できるレーザ溶着装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にて講じた技術的手段は、請求項1に記載の様に、レーザ光を出力する出力部と、前記レーザ光を透過する透過材と該レーザ光を吸収する吸収材からなる被加工部材を支持する支持部と、前記透過材と前記吸収材とを密着させるべく前記被加工部材における該透過材を前記支持部に向けて押圧する押圧部材とを備え、前記押圧部材を介して前記レーザ光を前記出力部から前記吸収材に向けて照射することで、前記透過材と前記吸収材とを溶着するレーザ溶着装置において、前記押圧部材には冷却液の流れる流路が設けられる構成としたことである。
【0008】
好ましくは、請求項2に記載の様に、前記流路は、前記レーザ光の照射により前記被加工部材の前記透過材と前記吸収材とが溶着して形成される溶着領域に沿って延在すると良い。
【0009】
好ましくは、請求項3に記載の様に、前記冷却液を冷却するための冷却装置を備え、前記冷却液が前記冷却装置と前記流路との間で循環すると良い。
【0010】
好ましくは、請求項4に記載の様に、前記流路が対を成し、前記押圧部材及び前記被加工部材を前記レーザ光の照射方向から投影したとき、該対の間に前記溶着領域が形成されるのが良い。
【0011】
好ましくは、請求項5に記載の様に、前記流路が前記溶着領域を挟んで平行に延在すると良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、冷却液の流れる流路が押圧部材に設けられるので、透過材から押圧部材に伝わった熱は、流路を流れる冷却液によって吸収される。これにより、押圧部材への熱の蓄積が抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を基に説明する。
【0014】
図1は、本発明に係るレーザ溶着装置1の斜視図、図2は、レーザ溶着装置1の側面図である。
【0015】
レーザ溶着装置1は、レーザ光を透過する透過材2とレーザ光を吸収する吸収材3とをレーザ光10によって溶着するものである。レーザ溶着装置1は、出力部5と、支持部6と、押圧部材7とを備えている。出力部5は、例えば、図示しない発振器等に接続された公知のレーザトーチであり、レーザ光10を出力する。支持部6は、透過材2と吸収材3とが組み合わされてなる被加工部材4を支持する。押圧部材7は、ガラス材やアクリル樹脂材等からなり、支持部6に支持された被加工部材4のうち透過材2を支持部6に向けて押圧し、透過材2の密着面2aと吸収材3の密着面3aとを密着させる。
【0016】
押圧部材7が透過材2と吸収材3とを密着させた状態で、レーザ光10が押圧部材7を介して出力部5から吸収材3に向けて照射されると、レーザ光10は、吸収材3の密着面3aにて吸収され、吸収材3の密着面3aを発熱させる。吸収材3の密着面3aで発生した熱は、透過材2の密着面2aに伝わる。これにともなって、透過材2の密着面2aと吸収材3の密着面3aが溶融し、透過材2と吸収材3とが溶着される。
【0017】
透過材2の密着面2a(吸収材3の密着面3a)には、レーザ光10の照射にともなって、溶着領域8が形成される。溶着領域8は、被加工部材4の透過材2と吸収材3とが溶着して形成される。溶着領域8の形状は、レーザ光10照射中の出力部5の被加工部材4に対する相対移動の軌跡によって決まる。例えば、レーザ光10が照射されている間、出力部5が被加工部材4に対してまっすぐに移動した場合、透過材2の密着面2a(吸収材3の密着面3a)に形成される溶着領域8は、図1に示す様に、線状(帯状)を成すものとなる。
【0018】
レーザ光10が照射されている間、吸収材3にて発生した熱は、透過材2を介して、透過材2を押圧する押圧部材7に伝わる。透過材2と吸収材3との溶着(以下、溶着作業)が繰り返し行われた場合は、押圧部材7に熱が次第に蓄積されていき、最終的には、押圧部材7に蓄積される熱の量(蓄熱量)が上限に達する。押圧部材7の蓄熱量が上限に達すると、透過材2から押圧部材7に熱が伝わらず、透過材2に熱が蓄積されてしまう。透過材2に熱が蓄積されると、透過材2における表面の炭化等の問題が生じる可能性があり、被加工部材4の外観上好ましくない。
【0019】
本発明のレーザ溶着装置1によれば、押圧部材7には、冷却液の流れる流路7aが設けられている。流路7aは、図3に示す様に、ホース等の部材9aを介して、冷却装置9に接続されている。冷却装置9から送り出された冷却液は、押圧部材7に設けられた流路7aを通って、再び冷却装置9に戻る。冷却液は、冷却装置9と流路7a(押圧部材7)との間で循環する。
【0020】
冷却液の流れる流路7aが押圧部材7に設けられるので、透過材2から押圧部材7に伝わった熱は、流路7aを流れる冷却液によって吸収される。この構造によれば、溶着作業が繰り返し行われた場合でも、押圧部材7への熱の蓄積が抑制される。その結果、押圧部材7の蓄熱量が上限に達するまでにより多くの回数の溶着作業を行うことができ、溶着作業における生産性が向上する。
【0021】
なお、押圧部材7の流路7aは、被加工部材4に形成される溶着領域8に沿って延在すると良い。溶着領域8は、レーザ光10の照射時の被加工部材4における発熱源なので、流路7aが溶着領域8に沿って延在する構造とすることで、透過材2から押圧部材7に伝わった熱が流路7a内の冷却液によって効率よく吸収され、押圧部材7への熱の蓄積がさらに抑制される。さらに、図1に示す様に、流路7aが対を成し、溶着領域8を挟んで平行に延在すると良い。より具体的には、流路7aの対は、押圧部材7及び被加工部材4をレーザ光10の照射方向(図1においては上下方向)からみたとき、該流路7aの対の間に溶着領域8が形成されている。このような形態によれば、押圧部材7を全体的に冷却することができる。また、熱の主な発生領域である溶着領域8の両側方に流路7aが形成されることになり、放熱効果もより良好なものとなる。さらに、レーザ光10の照射方向においては、流路7aと溶着領域8とは重ならないので、流路7aがレーザ光10の溶着領域8への照射を阻害することもない。
【0022】
なお、冷却液は、冷却装置9を用いた循環方式(図3示)で流路7a内を流してもよいし、垂れ流し方式で流してもよい。
【0023】
なお、押圧部材7の製作方法としては、例えば図4に示す様に、半円状の凹部を設けた2つの部材71、71を、管状の部材72を挟みこむように互いに接合する方法が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るレーザ溶着装置1の斜視図。
【図2】レーザ溶着装置1の側面図。
【図3】冷却装置9を示す図。
【図4】押圧部材7の製作方法の一例を示す図。
【符号の説明】
【0025】
1 レーザ溶着装置
2 透過材
3 吸収材
4 被加工部材
5 出力部
6 支持部
7 押圧部材
7a 流路
8 溶着領域
9 冷却装置
10 レーザ光
【出願人】 【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−966(P2008−966A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−172028(P2006−172028)