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【発明の名称】 シーリングポンプアップ装置
【発明者】 【氏名】渡辺 洋一

【氏名】竹田 裕二

【氏名】岩崎 眞一

【要約】 【課題】計測値の振動を抑制し、環境温度に影響されないように圧力を表示するシ−リングポンプアップ装置を提供すること。

【構成】エアポンプ10により加圧した空気を、シーリング剤82を収容する液剤容器68を介してタイヤ64に送り込むことで、シーリング剤82をタイヤ64内部に注入するシーリングポンプアップ装置60において、加圧空気を生成するエアポンプ10の排気弁226側又は、エアポンプ10から液剤容器68に向けて加圧空気を供給するエア供給路側のどちらか一方に接続される連通管を介して圧力ゲージ108が設けられ、連通管の少なくとも一部に加圧空気の流量を制限する制限通路が設けられることで、圧力指示針148の振動を抑制しつつ、環境温度に影響されずに圧力を表示できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エア供給手段により加圧した空気を、シーリング剤を収容する液剤容器を介して空気入りタイヤに送り込むことで、シーリング剤を前記空気入りタイヤ内部に注入するシーリングポンプアップ装置において、
加圧空気を生成する前記エア供給手段の排気弁側又は、前記エア供給手段から前記液剤容器に向けて加圧空気を供給するエア供給路側のどちらか一方に接続される連通管を介して圧力計が設けられ、
前記連通管の少なくとも一部に加圧空気の流量を制限する制限通路が設けられることを特徴とするシーリングポンプアップ装置。
【請求項2】
前記制限通路は、前記連通管に挿入された制限部材に設けられた略直線状の貫通孔であることを特徴とする請求項1に記載のシーリングポンプアップ装置。
【請求項3】
前記制限通路は、前記連通管に挿入された制限部材と、前記連通管の内壁面に形成された螺旋状の溝又は略直線状の溝のどちらか一方との間に形成される隙間であることを特徴とする請求項1に記載のシーリングポンプアップ装置。
【請求項4】
前記制限通路は、長さが2〜30cmであり、断面積が0.01〜0.5mmであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のシーリングポンプアップ装置。
【請求項5】
前記制限通路は、長さが5〜15cmであることを特徴とする請求項4に記載のシーリングポンプアップ装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、パンクした空気入りタイヤをシールするためのシーリング剤を空気入りタイヤ内へ注入すると共に、空気入りタイヤ内に加圧空気を供給して空気入りタイヤの内圧を昇圧するシーリングポンプアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」という。)がパンクした際に、タイヤ及びホイールを交換することなく、タイヤをシーリング剤により補修し、その後、所定の基準圧まで内圧をポンプアップするシーリングポンプアップ装置が普及している。この種のシ−リングポンプアップ装置としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。
【特許文献1】特開2001−212883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の装置ではタイヤの内圧(空気圧)を計測可能な圧力計を備えている。通常、圧力計は、コンプレッサーに繋がれているため、コンプレッサーの圧変動(例えば、脈動等)によって圧力指示針が振動してしまい、ユーザーがタイヤの内圧を読み取り難い問題があった。この問題を解決するために、圧力計の圧力指示針の軸部分等に粘度の高い潤滑油を塗布して、コンプレッサーの圧変動を緩衝させ、圧力指示針の振動を抑制している。
しかしながら、潤滑油の粘度が低いと、潤滑油を塗布しない場合よりも圧力指示針の振動が抑制されるが、タイヤの内圧を正確に読み取れるほど圧力指示針の振動が抑制されず、潤滑油の粘度が高いと、低温下において潤滑油が硬くなって圧力指示針の追従性が悪化する課題がある。
【0004】
本発明の目的は、上記事実を考慮して、計測値の振動を抑制し、環境温度に影響されないように圧力を表示するシーリングポンプアップ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載のシーリングポンプアップ装置は、エア供給手段により加圧した空気を、シーリング剤を収容する液剤容器を介して空気入りタイヤに送り込むことで、シーリング剤を前記空気入りタイヤ内部に注入するシーリングポンプアップ装置において、加圧空気を生成する前記エア供給手段の排気弁側又は、前記エア供給手段から前記液剤容器に向けて加圧した空気を供給するエア供給路側のどちらか一方に接続される連通管を介して圧力計が設けられ、前記連通管の少なくとも一部に加圧空気の流量を制限する制限通路が設けられることを特徴としている。
【0006】
次に、請求項1に記載のシーリングポンプアップ装置の作用を説明する。
請求項1に記載のシーリングポンプアップ装置では、例えば空気入りタイヤがパンクした場合、空気入りタイヤに対しエア供給手段を接続し、エア供給手段により加圧した空気を、シーリング剤を収容する液剤容器を介して空気入りタイヤに送り込むことで、シーリング剤が空気入りタイヤ内部に注入される。次に、エア供給手段にて生成された加圧空気が空気入りタイヤに供給され、空気入りタイヤの内圧が昇圧される。そして、空気入りタイヤの膨張完了後一定時間内に、シーリング剤が注入された空気入りタイヤを用いて一定距離に亘って予備走行する。これにより、空気入りタイヤ内部にシーリング剤が均一に拡散し、シーリング剤がパンク穴に充填されてパンク穴が閉塞される。これにより、パンク修理が完了する。
また、連通管の少なくとも一部に加圧空気の流量を制限する制限通路が設けられたことで、エア供給手段に圧変動が生じても、制限通路への加圧空気の出入量が制限され、制限通路を圧縮空気が通過する間に圧変動が緩衝されるため、圧力計の計測値の振動が抑制される。また、例えば、圧力計が圧力指示針を有する圧力計であれば、従来のように圧力指示針の軸に潤滑剤を塗らなくても、本発明によって圧変動が緩衝されて圧力指示針の振動が抑制されるため、低温下における圧力指示針の追従性が従来よりも向上する。従って、計測値の振動が抑制され、環境温度に影響されずに圧力を表示できる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシーリングポンプアップ装置において、前記制限通路は、前記連通管に挿入された制限部材に設けられた略直線状の貫通孔であることを特徴としている。
【0008】
次に、請求項2に記載のシーリングポンプアップ装置の作用を説明する。
制限部材に略直線状の貫通孔を設け、該制限部材を連通管に挿入(例えば圧入)することで制限通路が形成される。従って、少ない加工数で制限通路を加工できる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のシーリングポンプアップ装置において、前記制限通路は、前記連通管に挿入された制限部材と、前記連通管の内壁面に形成された螺旋状の溝又は略直線状の溝のどちらか一方との間に形成される隙間であることを特徴としている。
【0010】
次に、請求項3に記載のシーリングポンプアップ装置の作用を説明する。
連通管の内壁面に形成された螺旋状の溝又は略直線状の溝のどちらか一方を設け、制限部材を連通路に挿入(例えば圧入)することで、制限部材と螺旋状の溝又は略直線状の溝のどちらか一方との間に制限通路が形成される。従って、少ない加工数で制限通路を加工できる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載のシーリングポンプアップ装置において、前記制限通路は、長さが2〜30cmであり、断面積が0.01〜0.5mmであることを特徴としている。
【0012】
次に、請求項4に記載のシーリングポンプアップ装置の作用を説明する。
制限通路の長さが30cmを超えると、制限通路が長すぎて、圧力計の圧力表示の追従性が悪化し、制限通路の長さが2cm未満だと、制限通路が短すぎて、エア供給手段による圧変動を緩衝する緩衝効果が小さくなる。
制限通路の断面積が0.5mmを超えると、制限通路の断面積が広すぎて、制限通路への加圧空気の出入量が制限できず、エア供給手段による圧変動の緩衝効果が小さくなり、制限通路の断面積が0.01mm未満だと、制限通路の断面積が狭すぎて、制限通路への加圧空気の出入量が少なくなり圧力計の圧力表示の追従性が悪化する。
従って、制限通路の長さは2〜30cmを満たすことが好ましく、制限通路の断面積は0.01〜0.5mmを満たすことが好ましい。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のシーリングポンプアップ装置において、前記制限通路は、長さが5〜15cmであることを特徴としている。
【0014】
次に、請求項5に記載のシーリングポンプアップ装置の作用を説明する。
制限通路の長さを5〜15cmに設定すれば、計測値の振動の抑制と、圧力計の圧力表示の追従性とが高い状態で両立される。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明のシーリングポンプアップ装置によれば、計測値の振動が抑制され、環境温度に影響されずに圧力を表示できる、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[第1の実施形態]
図1には、本発明の第1の実施形態に係るシーリングポンプアップ装置が示されている。シーリングポンプアップ装置60は、自動車等の車両に装着された空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」という。)がパンクした際、そのタイヤ及びホイールを交換することなく、タイヤをシーリング剤により補修して所定の基準圧まで内圧を再加圧(ポンプアップ)するものである。
【0017】
図1に示されるように、シーリングポンプアップ装置60はコンプレッサユニット62を備えており、このコンプレッサユニット62には、その内部にモータ、エアポンプ10(詳細は後述する)、電源回路(図示せず)等が配設されると共に、電源回路からユニット外部へ延出する電源ケーブル12が設けられている。この電源ケーブル12の先端部に設けられたプラグ26を、例えば、車両に設置されたシガレットライターのソケットに差込むことにより、車両に搭載されたバッテリにより電源回路を通してモータ等へ電源が供給可能になる。ここで、コンプレッサユニット62は、そのエアポンプ10により修理すべきタイヤ64の種類毎に規定された基準圧よりも高圧(例えば、3kgf/cm2以上)の圧縮空気を発生可能とされている。なお、コンプレッサユニット62には、スイッチ36、及び圧力ゲージ108が設けられている。
【0018】
シーリングポンプアップ装置60には、図2に示されるように、シーリング剤82を収容した液剤容器68及び、この液剤容器68が連結される注入ユニット70が設けられている。液剤容器68は、高さ方向(矢印H方向)に沿った一端側に径方向に沿った断面積が略一定とされた断面が円形、長円状又は楕円状とされた胴部72が形成されると共に、この胴部72の他端側から断面積が徐々に縮小する肩部74を介して高さ方向に沿って突出する略円筒状の首部76が一体的に形成されている。首部76は、内周側の空間がシーリング剤82を容器外部へ吐出するための吐出口80とされている。
【0019】
ここで、液剤容器68は、ガス遮断性を有する各種の樹脂材料やアルミ合金等の金属材料を素材として成形されている。また液剤容器68内には、シ−リングポンプアップ装置60により修理すべきタイヤ64の種類、サイズ等に応じた規定量(例えば、200g〜400g)よりも若干多めのシーリング剤82が充填されている。この規定量よりも多めのシーリング剤82を収容した状態で、液剤容器68内には、シーリング剤82の上側に空気層Gが形成される。但し、シーリング剤82の酸化等による変質を防止するため、出荷時にはAr等の不活性ガスをシーリング剤82共に液剤容器68内へ封入するようにしても良く、また液剤容器68内にシーリング剤82を隙間なく充填するようにしても良い。
【0020】
図2に示されるように、注入ユニット70には、略円筒状に形成されたユニット本体84及び、このユニット本体84の下端部から外周側へ延出するプレート状の脚部86が設けられている。ユニット本体84の上端部には、液剤容器68の首部76が溶着により固定されている。
【0021】
ユニット本体84内には、液剤容器68と連結された状態で、吐出口80を通して液剤容器の内部と連通する略円柱状の加圧給液室90が設けられている。
【0022】
シーリングポンプアップ装置60では、図2に示されるように、液剤容器68を注入ユニット70の上側に直立した状態にすると、液剤容器68内のシーリング剤82が自重及び、後述する空気圧の作用等により注入ユニット70の加圧給液室90内へ流入する。
【0023】
シーリングポンプアップ装置60には、図1に示されるように、コンプレッサユニット62から延出する耐圧ホース94が設けられると共に、図2に示されるように、注入ユニット70から延出する圧力配管98が設けられている。
【0024】
図2に示されるように、耐圧ホース94の端部には、ジョイントカプラ96が取り付けられている。
【0025】
一方、圧力配管98の先端には、ジョイントカプラ96を接続可能な接続部材14が設けられている。圧力配管98は、接続部材14とは反対側の先端部をユニット本体84の周壁部を貫通させて加圧給液室90内を介して液剤容器68内へ突出させている。
【0026】
図1に示すように、耐圧ホース94は、その基端部がコンプレッサユニット62内におけるエアポンプ10のエア供給口44(詳細は後述する)に接続されており、その内部をコンプレッサユニット62の作動時にはエアポンプ10が発生した圧縮空気を耐圧ホース94側へ供給する。
【0027】
エアポンプ10は本実施形態では、レシプロ型のものとして構成されており、図6に示されるように、エアポンプ10には、シリンダ212及び、このシリンダ212内に往復移動可能に配設され、シリンダ212内にシリンダ室213を形成するピストン214が設けられ、このピストン214はコンロッド218を介してクランクシャフト216に連結されている。またシリンダ212の頂部には、吸気口220及び排気口222がそれぞれ開口しており、これらの吸気口204及び排気口206には、それぞれ吸気方向及び排気方向へのみ流体(空気)を流通可能とする吸気弁224及び排気弁226が開閉可能に配置されている。ここで、シリンダ212の吸気口220及び排気口222は、配管228,230を通してエア吸入口(図示省略)及びエア供給口44(図1参照)にそれぞれ接続されている。
【0028】
このエアポンプ10では、クランクシャフト216が駆動モータ(図示省略)からのトルクにより回転することにより、このクランクシャフト216の回転運動がクランクシャフト216及びコンロッド218により往復運動に変換され、ピストン214がシリンダ212内の容積を膨張させる吸気方向及びシリンダ212内の容積を縮小させる排気方向へ一定ストロークで交互に移動する。このとき、ピストン214が吸入方向へ移動すると、シリンダ212に設けられた吸気弁224が開いて吸気口220からシリンダ室213内へ空気が吸気される。この後、ピストン214が下死点に達すると吸気弁224が閉じ、ピストン214が排気方向へ移動すると、ピストン214によりシリンダ室213内で空気が圧縮されつつ、排気弁226が開いて、この圧縮空気がシリンダ212に設けられた排気口222から排気されて、配管230を通してエア供給口44へ供給される。
なお、本実施形態のエアポンプ10はレシプロ型(往復型)とする構成としたが、この構成に限定される必要は無く、例えば、ロータリー型(回転型)であっても良く、それ以外であっても良いものとする。
【0029】
図3に示すように、耐圧ホース94の中間部には分岐120が設けられ、この分岐120には第一通路部材122が取付けられている。この第一通路部材122の反分岐側の外周には、雄ねじ126が形成され、この雄ねじ126には雌ねじ128が形成された断面形状が円形の第二通路部材130が捩じ込まれている。また、第二通路部材130の反分岐側には雌ねじ138が形成され、この雌ねじ138には雄ねじ140が形成された圧力ゲージ108の取付部144が捩じ込まれている。第一通路部材122、第二通路部材130及び取付部144には、夫々の軸方向に延びる第一通路124、第二通路132及び第三通路142が形成されている。
【0030】
第二通路132の内側には、円柱状の第一制限部材136が第一制限部材136の外周と第二通路132の内周とが密着するように挿入されている(例えば、圧入等がある)。この第一制限部材136は、第二通路132の軸方向に延びる貫通孔を備えている。ここで、この貫通孔を制限通路132Aと称する。なお、制限通路132Aの断面積は、第一通路124及び第三通路142の何れの断面積よりも狭く設定されている。さらに、制限通路132Aの断面積Aは、0.01〜0.5mmを満たすことが好ましく、制限通路132Aの長さLは、2〜30cmを満たすことが好ましく、長さLが5〜15cmを満たせばさらに好ましい。
【0031】
ここで、圧力ゲージ108は、第一通路124、第二通路132、制限通路132A及び第三通路142を介して耐圧ホース94に連通する。このため、圧力ゲージ108は、エアポンプ10から圧縮空気が供給されるタイヤ64の内圧を、耐圧ホース94に連通した第一通路124、第二通路132、制限通路132A及び第三通路142を介して計測し、圧力指示針148を目盛り板146上の内圧に対応した目盛りの位置まで移動させて内圧の計測値を表示できる。
【0032】
なお、本実施形態では、制限通路132Aの断面形状を円形としたが、断面積が所定の数値を満足すれば、断面形状は、楕円形、半円形、多角形及びそれら以外であってもよいものとする。
また、本実施形態では、第二通路132の内側に第一制限部材136を挿入する構成としたが、この構成に限定される必要は無く、第二通路部材130の内側に大径通路と小径通路とを形成し、この大径通路を第二通路124とし、小径通路を制限通路132Aとする構成であっても良いものとする。
さらに、本実施形態では、耐圧ホース94に分岐120を介して圧力ゲージ108を設けたが、この構成に限定される必要はなく、図7に示すように、エアポンプ10のエア供給口44と排気口222との間の配管230に圧力ゲージ108を設けても良く、この場合には、圧力ゲージ108と配管230との間に制限通路132Aが形成された第二通路部材130を設ければよい。
なお、エア供給口44と排気口222との間を排気弁側と称し、エア供給口44と液剤容器68との間をエア供給路側と称する。
【0033】
ここで、耐圧ホース94及び圧力配管98は、加圧給液室90内へ圧縮空気を供給するためのエア供給路を構成しており、コンプレッサユニット62(エアポンプ10)の作動時には、耐圧ホース94を通してエアポンプ10から供給された圧縮空気を液剤容器68内へ吹き込む。また圧力配管98には、ジョイントカップラ96とユニット本体84との間に逆止弁100が配設されており、この逆止弁100は、エアポンプ10から加圧給液室90内への圧縮空気の流通を許容するが、加圧給液室90内からコンプレッサユニット62への圧縮空気及びシーリング剤82の流通を阻止する。これにより、エアポンプ10の作動を停止させた際に、タイヤ64からの空気圧により液剤容器68内のシーリング剤82がエアポンプ10内へ逆流し、コンプレッサユニット62の故障原因となることを防止している。
【0034】
図1、及び図2に示されるように、シ−リングポンプアップ装置60には、基端部がニップル102を介してユニット本体84に接続されたジョイントホース104が設けられている。このジョイントホース104は、図2に示されるように、ニップル102を介して加圧給液室90内へ連通しており、ニップル102と圧力配管98の先端部とは加圧給液室90内で互いに正対するように配置されている。また図1に示されるように、ジョイントホース104の先端部には、タイヤ64のタイヤバルブ66に着脱可能に接続されるバルブアダプタ106が設けられている。ここで、ジョイントホース104は、タイヤ64内にシーリング剤82及び圧縮空気を供給するための気液供給路として構成されている。
【0035】
(シ−リングポンプアップ装置の作用)
次に、本実施形態に係るシ−リングポンプアップ装置60を用いてパンクしたタイヤ64を修理する作業手順を説明する。
タイヤ64にパンクが発生した際には、先ず、作業者は、プラグ26を車両に設置されたシガレットライターのソケットに差込み、図1に示されるように、注入ユニット70の上側に液剤容器68が位置するように注入ユニット70及び液剤容器68をセットする。そして、スイッチ38をオンにしてコンプレッサユニット62を作動させると、エアポンプ10で生成された圧縮空気がエア供給口44、耐圧ホース94及び圧力配管98を通して液剤容器68内へ吹き込む。
【0036】
液剤容器68内に吹き込まれた圧縮空気は、シーリング剤82内を浮上してシーリング剤82の上側に形成された空気層Gに吸収される。加圧給液室90内のシーリング剤82には、空気圧が作用し、空気圧は、加圧給液室90内のシーリング剤82をジョイントホース104内へ押し出す加圧力として作用する。
【0037】
シ−リングポンプアップ装置60では、加圧給液室90内からジョイントホース104内へ流れ込んだシーリング剤82が圧縮空気の圧力によりタイヤ64側へ圧送されてタイヤ64内部へ注入される。この後、液剤容器68内から略全量のシーリング剤82が吐出され、ジョイントホース104を通して規定量のシーリング剤82がタイヤ64内へ注入完了すると、耐圧ホース94及び圧力配管98が加圧給液室90及び液剤容器68の内部空間を介してジョイントホース104へ連通し、コンプレッサユニット62により発生した圧縮空気はタイヤ64内へ供給開始される。
【0038】
そして、作業者は、タイヤ64の内圧が規定圧になるまで、圧力ゲージ108を確認しながらタイヤ64に圧縮空気を充填する。このとき、第二通路部材130に制限通路132Aを有する第一制限部材136を設けたことで、エアポンプ10に圧変動が生じても、制限通路132Aへの圧縮空気の出入量が制限され、制限通路132Aを圧縮空気が通過する間に圧変動が緩衝されるため、圧力指示針148の振動が抑制される。従って、作業者は圧力ゲージ108から容易に内圧を読み取ることができる。また、従来のように圧力指示針148の軸に潤滑剤を塗らなくても圧力ゲージ108の圧力指示針148の振動が抑制されるため、低温下における圧力指示針148の追従性が従来よりも向上する。従って、圧力指示針148の振動を抑制しつつ、環境温度に影響されずに圧力を表示できる。
【0039】
また、制限通路132Aの長さLが30cmを超えると、制限通路132Aの長さが長すぎるため、圧力指示針148の追従性が悪化し、この長さLが2cm未満だと、制限通路132Aの長さが短すぎるため、エアポンプ10による圧変動を緩衝しきれず、緩衝効果が小さくなってしまう。
さらに、制限通路132Aの断面積Aが0.5mmを超えると、制限通路132Aの断面積が広すぎて、制限通路132Aでの圧縮空気の出入量が制限できないため、エアポンプ10による圧変動を緩衝しきれず、緩衝効果が小さくなり、断面積Aが0.01mm未満だと、制限通路132Aの断面積が狭すぎて、制限通路132Aでの圧縮空気の流量が少なくなり圧力指示針148の追従性が悪化する。
従って、制限通路132Aの長さは2〜30cmを満たすことが好ましく、制限通路132Aの断面積は0.01〜0.5mmを満たすことが好ましい。また、制限通路132Aの長さLを5〜15cmに設定すれば、圧力指示針148の振動の抑制と、圧力指示針148の追従性とが高い状態で両立される。
【0040】
そして、作業者は、タイヤ64の内圧が規定圧になったことを確認したならば、コンプレッサユニット62を停止し、バルブアダプタ106をタイヤバルブ66から取り外す。
【0041】
作業者は、タイヤ64の膨張完了後一定時間内に、シーリング剤82が注入されたタイヤ64を用いて一定距離に亘って予備走行する。これにより、タイヤ64内部にシーリング剤82が均一に拡散し、シーリング剤82がパンク穴に充填されてパンク穴を閉塞する。予備走行完了後に、作業者は、タイヤ64の内圧を再測定し、必要に応じて再びジョイントホース104のバルブアダプタ106をタイヤバルブ66にねじ止めし、コンプレッサユニット62を再作動させてタイヤ64を規定の内圧まで加圧する。これにより、タイヤ64のパンク修理が完了し、このタイヤ64を用いて一定の距離範囲内で一定速度以下(例えば、80Km/h以下)での走行が可能になる。
【0042】
[第2の実施形態]
次に、本発明のシ−リングポンプアップ装置の第2の実施形態を説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図4に示すように、本実施形態では、円柱状の第二制限部材152を第二通路132内に配置している。
【0043】
本実施形態の第二通路部材130は円筒状で、第二通路132の通路内壁に沿って螺旋状に延びる螺旋溝150が設けられている。この螺旋溝150の断面形状は三角形であり、断面積Aは、0.01〜0.5mmとされている。また、この螺旋溝150の長さLは、溝長手方向で2〜30cmとされている。
また、第二通路132には円柱状の第二制限部材152が挿入されている(例えば圧入等)。この第二制限部材152は、螺旋溝150の形成された部位に配置され、螺旋溝150と第二制限部材152の外周面とで断面三角形状の制限通路154を形成する。このときの制限通路154の断面積は、螺旋溝150の断面積と同様の0.01〜0.5mmとされている。
【0044】
第1の実施形態では、制限通路132Aを直線状に延びる通路としたが、本実施形態では、制限通路154を螺旋状に延びる通路としたことで、第1の実施形態よりも制限通路154の第二通路132の軸方向の長さが短くなり、第二通路部材130を小型化(短く)できるためコンプレッサユニット62の設計自由度が向上する。なお、その他の作用効果は第1の実施形態と同様である。
なお、本実施形態では、螺旋溝150の断面形状を三角形としたが、断面積が所定の数値を満足すれば、断面形状は、半円形、その他の多角形及びそれら以外であってもよいものとする。
【0045】
[その他の実施形態]
第1の実施形態では、第一通路部材122の雄ねじ126に第二通路部材130の雌ねじ128を捩じ込む構成としたが、この構成に限定される必要はなく、第一通路部材122に雌ねじが形成され、第二通路部材130に雄ねじが形成される構成でも良く、第一通路部材122がゴム又は樹脂製のホースの場合は、ホースの先端へ第二通路部材130を差し込んで連結させる構成であっても良いものとする。
また、第1の実施形態では、第一制限部材136によって制限通路132Aが一つ形成される構成としたが、この構成に限定される必要は無く、制限通路が複数形成される構成であっても良いものとする。
【0046】
第2の実施形態では、第二通路部材130の第二通路132の通路内壁面に螺旋状の螺旋溝150を設ける構成としたが、この構成に限定される必要は無く、第二通路部材130の第二通路132の通路内壁面に直線状に延びる直線溝を一つ又は、複数設けて制限通路を形成しても良いものとする。ここで、第二通路部材130の第二通路132の通路内壁面に直線状に延びる直線溝150を複数設けて制限通路154を形成する場合は、例えば、図5(A)及び(B)に示されるように、第二通路部材130の第二通路132の通路内壁面に直線状に延びる断面三角形状の直線溝150を複数設け、第二通路132に円柱状の第二制限部材152を挿入することで、直線溝150と第二制限部材152の外周面とで断面三角形状の制限通路154が形成される。なお、直線溝の本数は、断面積が所定の数値を満足すれば何本配置しても良い。また、直線溝150の断面形状を三角形としたが、断面積が所定の数値を満足すれば、断面形状は、半円形、その他の多角形及びそれら以外であってもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、第二通路部材130の第二通路132の通路内壁面に直線状に延びる直線溝150を一つ又は、複数設ける構成としたが、第二制限部材152に直線状に延びる直線溝150を一つ又は、複数設けて制限通路154を形成しても良いものとする。
前述した夫々の実施形態の圧力ゲージ108は、圧力指示針148を有する所謂アナログ式の圧力ゲージであったが、圧力ゲージをデジタル式としても良いものとする。本発明は連通路の所定の範囲を狭めることで計測値の振動を抑制し、環境温度に影響されないように圧力を表示するため、圧力ゲージをデジタル式としてもアナログ式の圧力ゲージと同様の効果が得られる。
【0048】
[試験例]本発明の効果を確かめるために、比較例のシ−リングポンプアップ装置を2種類、本発明の適用された実施例のシ−リングポンプアップ装置を2種類用意し、下記の評価項目について評価を行った。なお、各供試シ−リングポンプアップ装置の詳細は表1中に示す。
【0049】
圧力指示針の振動:コンプレッサーと圧力計を繋いだ状態で、コンプレッサーを運転したときの圧力計の圧力指示針の振動を目視により評価した。なお、評価結果は良好な順に微小、小、中、大と評価し、表1中に示す。
圧力指示針の追従速度:−15°Cにおいて、コンプレッサーと圧力計を繋いで圧力を200kpaに設定した後で、急激に圧力を下げたときの圧力指示針の追従速度を測定し評価した。なお、評価結果は良好な順に大、中、小と評価し、表1中に示す。
【0050】
【表1】


【0051】
表1の結果から、実施例1及び実施例2は比較例1及び比較例2よりも圧力指示針の振動の抑制と圧力指示針の追従速度との両立がなされていることが分かる。また、実施例2の結果が実施例1の結果よりも優れていることから、制限通路の断面積と、制限通路の長さとの最適な組み合わせ範囲が分かる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態に係るシーリングポンプアップ装置の構成を示す構成図である。
【図2】図1に示されるシーリングポンプアップ装置における液剤容器及び注入ユニットの構成を示す側面断面図である。
【図3】図1に示されるシーリングポンプアップ装置における圧力計、連通管を側面から見た一部断面図である。
【図4】その他の実施形態に係るシーリングポンプアップ装置の連通管を側面から見た断面図の一部である。
【図5】(A)その他の実施形態に係るシーリングポンプアップ装置の連通管を斜視的に見た図である。(B)図(A)のB-B断面図である。
【図6】図1に示されるシーリングポンプアップ装置におけるエア供給手段を模式的に表した断面図である。
【図7】その他の実施形態に係るシーリングポンプアップ装置のエア供給手段を模式的に表した断面図である。
【符号の説明】
【0053】
10 エアポンプ(エア供給手段)
60 シーリングポンプアップ装置
64 タイヤ(空気入りタイヤ)
68 液剤容器
82 シーリング剤
94 耐圧ホース(エア供給路)
96 ジョイントカップラ(エア供給路)
98 圧力配管(エア供給路)
100 逆止弁(エア供給路)
104 ジョイントホース(エア供給路)
108 圧力ゲージ(圧力計)
122 第一通路部材(連通管)
130 第二通路部材(連通管)
132A 制限通路
136 第一制限部材(制限部材)
150 螺旋溝(螺旋状の溝)
152 第二制限部材(制限部材)
154 制限通路


【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【出願日】 平成18年6月20日(2006.6.20)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳

【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳

【識別番号】100085279
【弁理士】
【氏名又は名称】西元 勝一

【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志


【公開番号】 特開2008−932(P2008−932A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−170623(P2006−170623)