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【発明の名称】 光硬化性ライニング材の光硬化方法及び該方法に用いる光硬化システム
【発明者】 【氏名】大岡 伸吉

【氏名】張 満良

【要約】 【課題】簡単な制御により迅速な光硬化作業を行うことができ且つ品質の高い管状ライニング材の完成品を得ることのできる光硬化性ライニング材の光硬化方法及び光硬化システムを提供すること。

【構成】未硬化状態の管状ライニング材10をその外側面が更生対象の既設管100内壁に沿うように導入するライニング材導入工程と、導入された管状ライニング材10の内側から光照射によりライニング材を硬化させる光照射工程と、を含む光硬化性ライニング材の光硬化方法において、光照射工程の前に、管状ライニング材10を光硬化反応が良好となる温度状態まで昇温させるライニング材予熱工程を含んでいる。これにより、光硬化準備のための高出力の光照射を行う必要がなく、完成管状ライニング材の品質の向上が図られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
未硬化状態の管状の光硬化性ライニング材をその外側面が更生対象の既設管内壁に沿うように導入するライニング材導入工程と、前記導入された管状ライニング材の内側からの光照射によりライニング材を硬化させる光照射工程と、を含む光硬化性ライニング材の光硬化方法において、
前記光照射工程の前に、前記管状ライニング材が光照射による光硬化反応が良好となる温度状態まで前記管状ライニング材を昇温させるライニング材予熱工程を含むことを特徴とする光硬化性ライニング材の光硬化方法。
【請求項2】
前記ライニング材予熱工程は、
前記ライニング材導入工程において前記管状ライニング材の整形のために管状ライニング材内に一端側から吹き込まれる整形用空気を前記管状ライニング材を昇温させることのできる熱風とし、該熱風により前記管状ライニング材を前記温度状態とすることにより行われることを特徴とする請求項1に記載の光硬化性ライニング材の光硬化方法。
【請求項3】
前記光照射工程の前段階及び該光照射工程中に、前記管状ライニング材の一端側から内部に換気用の空気を送り込み、他端側から排出する換気工程が行われ、
前記ライニング材予熱工程は、
前記換気工程における送り込み空気を前記管状ライニング材を昇温させることのできる熱風とし、該熱風により前記管状ライニング材を前記温度状態とすることにより行われることを特徴とする請求項1に記載の光硬化性ライニング材の光硬化方法。
【請求項4】
前記換気工程として行われる管状ライニング材の一端側からの熱風の吹き込みは、
前記他端側から排出された排気を有害物質除去用フィルターを通過させた後、再度前記管状ライニング材の一端側に循環させて吹き込む循環吹き込み式としたことを特徴とする請求項3に記載の光硬化性ライニング材の光硬化方法。
【請求項5】
前記光照射工程における光照射は、前記管状ライニング材内を移動する移動式光照射手段により行われ、
前記ライニング材予熱工程は、
前記移動式光照射手段にその移動方向前方に向けて熱風を噴射する熱風噴射手段を設け、該熱風噴射手段から噴射される熱風により行われることを特徴とする請求項1に記載の光硬化性ライニング材の光硬化方法。
【請求項6】
前記熱風は、
空気に代えて、不燃性ガスを加熱して形成したことを特徴とする請求項3から5の何れか1項に記載の光硬化性ライニング材の光硬化方法。
【請求項7】
前記熱風噴射手段は、
前記移動式光照射手段の外側部に1又は複数取り付けられた熱風噴射ノズルを含み、該熱風噴射ノズルの噴射方向は、前記管状ライニング材の内壁に沿って螺旋状に進行する様に調整可能に設定されたことを特徴とする請求項5又は6の何れか1項に記載の光硬化性ライニング材の光硬化方法。
【請求項8】
前記光照射工程は、
前記管状ライニング材内を移動する硬化用光発光部を有する移動式光照射手段により行われ、
前記ライニング材予熱工程は、
前記移動式光照射手段の前記硬化用発光部より進行方向前方位置に、前記管状ライニング材を加熱するための加熱用発光部を設け、前記光照射工程の際に前記加熱用発光部からの発光により行うことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の光硬化性ライニング材の光硬化方法。
【請求項9】
未硬化状態の管状ライニング材をその外側面が前記更生対象の既設管内壁面に沿うように既設管内に導入するライニング材導入手段と、前記管状ライニング材の内部から光照射し該管状ライニング材を硬化させる硬化用発光部を有する光照射手段と、を含む光硬化性ライニング材のる光硬化システムにおいて、
前記光照射手段による光照射の前段階に、前記管状ライニング材を光硬化反応の良好となる温度状態まで昇温させるライニング材予熱手段を含むことを特徴とする光硬化性ライニング材の光硬化システム。
【請求項10】
前記ライニング材導入手段は、
前記管状ライニング材の導入時に管状ライニング材を既設管内壁に沿わせるように整形するための空気を前記管状ライニング材内に一端側から吹き込む整形用空気吹き込み機構を有し、
前記ライニング材予熱手段は、
前記整形用空気を前記吹き込み前に前記管状ライニング材を昇温させることのできる熱風とする整形用空気昇温部を有し、該熱風により前記管状ライニング材を前記温度状態とすることを特徴とすることを特徴とする請求項9に記載の光硬化性ライニング材の光硬化システム。
【請求項11】
前記光照射工程の前段階及び該光照射工程中に、前記管状ライニング材の一端側から内部に換気用の空気を送り込み、他端側から排出させる換気機構を有し、
前記ライニング材予熱手段は、
前記換気機構により送り込まれる換気用空気を前記管状ライニング材を昇温させることのできる熱風とする換気用空気昇温部を有し、該熱風により前記管状ライニング材を前記温度状態とすることを特徴とする請求項9又は10の何れか1項に記載の光硬化性ライニング材の光硬化システム。
【請求項12】
前記換気機構は、
前記送り込み空気を熱風と管内温度を降下させるための冷風に切り替える切り替え機構を備えることを特徴とする請求項11に記載の光硬化性ライニング材の光硬化システム。
【請求項13】
前記換気機構は、
前記空気に代え、不燃性のガスを送り込むことを特徴とする請求項11又は12の何れか1項に記載の光硬化性ライニング材の光硬化システム。
【請求項14】
前記光照射手段は、前記管状ライニング材内を移動する移動式光照射手段を有し、
前記ライニング材予熱手段は、
前記移動式光照射手段の外側部に1又は複数取り付けられ、熱風を前記管状ライニング材の内壁に沿って前記移動式光照射手段の進行方向前方に螺旋状に噴射する様に方向調整可能な噴射ノズルを有することを特徴とする請求項9から13の何れか1項に記載の光硬化性ライニング材の光硬化システム。
【請求項15】
前記ライニング材予熱手段は、前記噴射ノズルからの噴射を前記熱風に代え、水又は冷風に切り替え可能とする切り替え機構を備えたことを特徴とする請求項14に記載の光硬化性ライニング材の光硬化システム。
【請求項16】
前記光照射手段は、前記硬化用発光部を前記管状ライニング材内で移動可能とする移動式光照射手段として構成され、
前記ライニング材予熱手段は、
前記移動式光照射手段の前記硬化用光発光部より進行方向前方位置に、前記管状ライニング材を加熱するための加熱用発光部を有することを特徴とする請求項8から15の何れか1項に記載の光硬化性ライニング材の光硬化システム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はライニング材の光硬化方法及び該方法に用いる光硬化システム、特に、硬化前の光硬化性樹脂ライニング材の内側から光照射を行いライニング材を硬化させるライニング材の光硬化方法及び該方法に用いる光硬化システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本の下水道普及率は平均67%であり、都市部では、ほぼ100%に近い普及率である。したがって、下水管渠(かんきょ)の新設事業は一部地方を除いて殆ど無くなり、老朽管渠の維持管理が重要なものとなっている。下水管渠の総延長は約36万kmであり、そのうち耐用年数50年を越えた管渠は7000km以上となっている。また、今後年間数千kmずつ増加する見込みである。
【0003】
一般に下水管渠などの地中に埋設される管については、設置からの年数の経過による様々な変形例えば、ズレによる段差の発生や径の変化などが生じることは不可避である。また、特に変形が生じなくても老朽化に伴って交換が必要になり、更には、管路を大型化するために径の大きな管への移行が必要となる。この様な種々の事情から、既設管は所定の時期に何らかの補修が必要となるのが現状である。
【0004】
この既設管の補修技術として、地面を非開削のままで、既設管を更生させる方法、すなわち、まず、未硬化状態の光硬化性の管状ライニング材を圧縮空気によって反転させながら、或いは引き込みによって既設管内に導入する。この管状ライニング材は、ガラス繊維などの補強芯材に所定の樹脂を含浸させる等して成形されている。次いでライニング材の内側に圧縮空気を吹き込み、ライニング材外壁面を管路内壁面に密着させ、その後、そのライニング管の内側から光照射装置によって樹脂を硬化させ、管路内壁面に不透水性ライニング管を形成して既設管を更生する補修方法が知られている。また、この様な補修に用いられる照射光としては、エネルギーが高く樹脂の硬化時間の短い紫外線が周知であるが、それよりも波長の長い可視光線も光の透過性が良い点や照射装置が安価であるなどの長所により適宜用いられている。
【0005】
また、上記光照射によるライニング材の硬化は、管状ライニング材に含まれているスチレンなどの可燃性の蒸気を発生させることから引火防止のため、硬化作業中の管状ライニング管内の換気が必要であり、通常、光照射装置が移動する方向と逆の方向に送風が行われるように管状ライニング管の一端側から管内に送風が行われ、他端側から排気されている。
【0006】
特許文献1では、不飽和ポリエステル樹脂およびスチレンを含む紫外線硬化性樹脂層をアウターフィルムおよびインナーフィルムで内包してなる可撓性のスリーブを用い、既設管内にこれを導入し、既設管内壁に密着させ、紫外線照射装置をスリーブ内を移動させながら未硬化のスリーブに紫外線を照射して樹脂を硬化させる既設管のライニング方法が開示されている。そして、同特許文献1では、紫外線の照射による硬化過程の間に生じ得る火災の危険を排除した既設管のライニング方法ならびに該方法によるライニング作業の安全管理装置および紫外線照射用ライトトレインが開示されている。
【0007】
また、特許文献2は、光硬化式のライニング管と熱硬化式のライニング管の双方の長所、短所を考慮し、ライニング管の材料として、光硬化性樹脂と熱硬化性樹脂の両者を同時に採用した技術が開示されている。すなわち、光硬化性樹脂を用いたライニング管の場合、硬化速度が早く、硬化時間も短いが、硬化できる層の厚さが薄い。一方、熱硬化性樹脂を用いたライニング管の場合、厚さの厚いライニング材に対してもこれを硬化させることは可能であるが、硬化速度が遅く、硬化するまでに長時間を要する。そこで、ライニング管の材料として、光硬化性樹脂と熱硬化性樹脂の両者を用いることにより、まず、光照射のみによってライニング材の的確な硬化を行うことができ、当該ライニング材に含まれる光硬化性樹脂が光照射を受けて硬化する際の発熱を用いてライニング材に含まれている熱硬化性樹脂を硬化させる様にしている。
【0008】
【特許文献1】特開平11−198230号(特許第3005208号)
【特許文献2】特開2003−33970号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来の光照射式のライニング方法を一例とする従来の管状ライニング材及びそれを用いたライニング方法では、光硬化性樹脂製の管状ライニング材(上記特許文献1ではスリーブ、特許文献2ではライニング材)は、所定範囲の波長の光の照射を受けて硬化反応が始まるが、その反応についての適温は、約40〜50℃である。この温度に達していないと、硬化反応の進行は極めて遅く迅速な硬化作業は行い難い。しかし、一般的に地中に埋設された既設管の温度は15℃〜18℃程度であり、管状ライニング材の温度もこれに近いものである。したがって、より効率よく硬化反応を進めるためには、管状ライニング材の温度をまず40〜50℃までに上げなければならない。
【0010】
そこで、実際の施工では、硬化過程を速くするために、パワーの大きめの、すなわちワット数の大きい紫外線ランプが多く使用されている。これにより照射された強い光線が、まず材料に吸収され熱エネルギーとなって材料の温度上昇に寄与する。そして、材料温度が40〜50℃までに達すると、硬化反応が一気に始まる。現在、既設管内でのこの様な反応が明確に実証されている状況ではないが、出力の高い紫外線ランプにより、材料の加熱昇温過程と硬化反応過程を区別せず光線照射を行っているのが実情である。
【0011】
しかし、上述のような大パワーの紫外線ランプの強い光線の照射により、管状ライニング材が短時間に昇温され、硬化反応の適温に達すると、その後、硬化反応が急激に進む。しかし、その一方で、硬化反応そのものは放熱反応であり、反応の進行に伴い熱を発生する。したがって、硬化開始後はその反応熱と照射光線の強いエネルギーで管状ライニング材の温度が急激に高くなり、管径や光照射の出力にも依るが通常、光照射開始から2分〜5分後には、100から200℃まで上昇することがある。
【0012】
しかし、温度が150℃以上になると、硬化後の管状ライニング材の性能に悪影響を与えるおそれ、すなわち、強度が弱くなり、製品としての品質は低下するおそれがある。現状でのこの様な状況の回避手法、すなわち、管状ライニング材の過度の上昇を回避するための手法としては、管状ライニング材の内側面の温度を測定しつつ、照射時間を調整している。しかし、管状ライニング材が導入された地中の既設管内で生じている硬化反応のメカニズムに関しては不明の点も多い。
【0013】
したがって、上述のようなライニング材の劣化の生じない光硬化作業を行うには、現場における温度上昇速度の把握、硬化反応速度の把握、それらの情報に基づく光線照射時間や光線強さの設定、調整を現場で制御することが必要となる。更には、地中の既設管の補修は地上における車両や人の通行を制限した状況で行われることも多く、この様な短時間で準備し、短時間で作業を行わなければならない状況ではより困難である。
【0014】
また、管状ライニング材の厚さや既設管の設置されている地中の環境等により、管状ライニング材の内側が過度高温となるケースもあり、更に、季節によって、例えば、寒冷期になると管状ライニング材内に送風されるエアの温度も低いことから、ライニング材の温度はかえって低下し、硬化反応の適温よりさらに低くなることもある。また、寒冷の送風により、UVランプが急激に冷却され破裂するおそれもある。
【0015】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な制御により迅速な光硬化作業を行うことができ且つ品質の高い管状ライニング材の完成品を得ることのできる光硬化性樹脂ライニング材の光硬化方法及び該方法に用いる光硬化システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため請求項1に係る光硬化性ライニング材の光硬化方法は、
未硬化状態の管状の光硬化性ライニング材をその外側面が更生対象の既設管内壁に沿うように導入するライニング材導入工程と、前記導入された管状ライニング材の内側からの光照射によりライニング材を硬化させる光照射工程と、を含む光硬化性ライニング材の光硬化方法において、前記光照射工程の前に、前記管状ライニング材が光照射による光硬化反応が良好となる温度状態まで前記管状ライニング材の温度を上昇させるライニング材予熱工程を含むことを特徴とする。
【0017】
この構成により、光照射工程においては、管状ライニング材は光硬化反応のための温度状態に昇温されている(ライニング材予熱工程)。したがって、光照射工程においては、管状ライニング材をまず光硬化のための温度状態とするために強い出力で光照射を行う必要がなく、光硬化のために適切なより弱い出力による光照射で管状ライニング材の硬化を行うことが可能となり、しかもこれを短時間で行うことが可能となる。したがって、必要以上に管状ライニング材の温度が上がることがなく、また、必要以上に温度を上げないようにするための困難な種々の制御を行う必要がなくなる。そして、硬化した管状ライニング材はその品質を劣化させるような温度に昇温されていないことから、良好な品質を維持して硬化が完了する。
【0018】
なお、上記構成では、管状の光硬化性ライニング材と述べているが、これは少なくとも管状のライニング材が光硬化という性質を含むものであれば良く、上述の特許文献2のように光硬化性樹脂と熱硬化生樹脂の多層構造のライニング材でも良いし、光硬化性樹脂と熱硬化生樹脂とを材料として含む1層の管状ライニング材でも良い。
【0019】
請求項2に係る光硬化性ライニング材の光硬化方法は、
前記ライニング材予熱工程が、前記ライニング材導入工程において前記管状ライニング材の整形のために管状ライニング材内に一端側から吹き込まれる整形用空気を前記管状ライニング材を昇温させることのできる熱風とし、該熱風により前記管状ライニング材を前記温度状態とすることにより行われることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、光照射工程の前に行うライニング材予熱工程を別途新たな装置を管状ライニング材の内側に導入して行う必要がない。すなわち、管状ライニング材を既設管内に導入するに際しては、整形用空気、例えば、未硬化の管状ライニング材(未だ管状になっていない)を既設管内に引き込み、その管状ライニング材内に空気を吹き込んで拡径・整形する場合や、未硬化の管状ライニング材を反転させつつ既設管内に送り込んでいくような場合に、管状ライニング材内に整形用の圧縮空気を吹き込んでいる。そこで、この管状ライニング材内吹き込まれる空気を温度の高い熱風とすることにより管状ライニング材の導入工程において同時にライニング材予熱工程を行うようにしたものである。従って、ライニング材予熱工程のための付加的な時間や付加的な装置を用いることなく効率的な光硬化が可能となっている。
【0021】
請求項3に係る光硬化性ライニング材の光硬化方法は、
前記光照射工程の前段階及び該光照射工程中に、前記管状ライニング材の一端側から内部に換気用の空気を送り込み、他端側から排出する換気工程が行われ、前記ライニング材予熱工程は、前記換気工程における送り込み空気を前記管状ライニング材を昇温させることのできる熱風とし、該熱風により前記管状ライニング材を前記温度状態とすることにより行われることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、上記請求項2の構成と同じく光照射工程の前に行うライニング材予熱工程を別途新たな装置を管状ライニング材の内側に導入して行う必要がない。すなわち、光照射による光硬化の段階では、種々の有害な蒸気の発生があることから管状ライニング材内の換気が必要となる。そこで、その換気のために送り込まれる換気用空気を温度の高い熱風とすることにより、すなわち換気工程において同時にライニング材予熱工程を行うようにしたものである。従って、ライニング材予熱工程のための付加的な時間や付加的な装置を用いることなく効率的な光硬化が可能となっている。
【0023】
請求項4に係る光硬化性ライニング材の光硬化方法は、
前記換気工程として行われる管状ライニング材の一端側からの熱風の吹き込みが、前記他端側から排出された排気を有害物質除去用フィルターを通過させた後、再度前記管状ライニング材の一端側に循環させて吹き込む循環吹き込み式とされたことを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、管状ライニング材の他端側から排出された熱風はその温度が通常の外気温度よりもいまだ高い状態にあるので、これを循環させて再度管状ライニング材の一端側から送り込むことにより、換気用空気の温度上昇の作業がより容易なものとなり、昇温のためのエネルギーの削減に貢献することができる。更に、光照射工程中における管状ライニング材内には有害物質も存在していることから、このように排出された空気を循環させて利用することによりできるだけ作業中に発生した空気を外気に排出すること回避することが可能となる。
【0025】
請求項5に係る光硬化性ライニング材の光硬化方法は、
前記光照射工程における光照射は、前記管状ライニング材内を移動する移動式光照射手段により行われ、前記ライニング材予熱工程は、前記移動式光照射手段にその移動方向前方に向けて熱風を噴射する熱風噴射手段を設け、該熱風噴射手段から噴射される熱風により行われることを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、光照射工程における光照射を行う移動式光照射手段の移動方向前方に向けて熱風が噴射されているので、移動式光照射手段が移動する先の領域の管状ライニング材があらかじめその熱風により昇温された状態となっている。これにより、移動式光照射手段による管状ライニング材の硬化作業にて、上述の請求項1において述べた作用が得られ迅速かつ高品質の硬化ライニング材を得ることが可能となる。また、熱風の噴射手段は移動式光照射手段に設けられることから、移動式光照射手段の移動の他に移動装置を付加的に設ける必要もない。
【0027】
請求項6に係る光硬化性ライニング材の光硬化方法は、
前記熱風が、空気に代えて不燃性ガスを加熱して形成されたことを特徴とする。これにより、仮に管状ライニング材内部の温度が過度に上昇したとしても、管内における可燃性の蒸気などへの引火を確実に防止することが可能となる。不燃性ガスの供給はボンベなどから行われるが、上記請求項4に記載の光硬化方法のようにガスを循環式にして用いるのが好適である。
【0028】
請求項7に係る光硬化性ライニング材の光硬化方法は、
前記熱風噴射手段が、前記移動式光照射手段の外側部に1又は複数取り付けられた熱風噴射ノズルを含み、該熱風噴射ノズルの噴射方向は、前記管状ライニング材の内壁に沿って螺旋状に進行する様に調整可能に設定されたことを特徴とする。
【0029】
この構成によれば、熱風は移動式光照射手段に設けられたノズルから熱風噴射ノズルから管状ライニング材内壁に螺旋状に沿って進行するので熱風による管状ライニング材が効果的に行われることとなる。すなわち、熱風が管状ライニング材の内壁に沿って進行する距離が充分確保されより効率的にライニング材の昇温が図られるものである。
【0030】
請求項8に係る光硬化性ライニング材の光硬化方法は、
前記光照射工程が、前記管状ライニング材内を移動する硬化用光発光部を有する移動式光照射手段により行われ、前記ライニング材予熱工程は、前記移動式光照射手段の前記硬化用発光部より進行方向前方位置に、前記管状ライニング材を加熱するための加熱用発光部を設け、前記光照射工程の際に前記加熱用発光部からの発光により行うことを特徴とする。
【0031】
この構成によれば、硬化用の発光部の他に加熱用発光部が上記硬化用発光部より進行方向前方寄り位置に設けられているので、硬化用発光部による光照射が行われる前方の領域であらかじめ加熱用発光部による光照射によって管状ライニング材に対する加熱が行われている。すなわち、光照射以外の熱風などによる管状ライニング材の昇温動作ではなく、硬化動作と同じく光照射による加熱を行うようにしたものである。例えば、硬化の場合には紫外線ランプを用いるのが通常であるが、管状ライニング材の昇温には効率がよく、硬化には影響を与えない赤外線ランプが好的に用いられる。
【0032】
請求項9に係る光硬化性ライニング材の光硬化システムは、
未硬化状態の管状ライニング材をその外側面が前記更生対象の既設管内壁面に沿うように既設管内に導入するライニング材導入手段と、前記管状ライニング材の内部から光照射し該管状ライニング材を硬化させる硬化用発光部を有する光照射手段と、を含む光硬化性ライニング材のる光硬化システムにおいて、前記光照射手段による光照射の前段階に、前記管状ライニング材を光硬化反応の良好となる温度状態まで昇温させるライニング材予熱手段を含むことを特徴とする。
【0033】
この構成のシステムにより上述した請求項1による方法を達成することができ、同じく上述したような良好な品質の管状ライニング材を迅速かつ効率的に得ることが可能となる。
【0034】
請求項10に係る光硬化性ライニング材の光硬化システムは、
前記ライニング材導入手段が、前記管状ライニング材の導入時に管状ライニング材を既設管内壁に沿わせるように整形するための空気を前記管状ライニング材内に一端側から吹き込む整形用空気吹き込み機構を有し、前記ライニング材予熱手段は、前記整形用空気を前記吹き込み前に前記管状ライニング材を昇温させることのできる熱風とする整形用空気昇温部を有し、該熱風により前記管状ライニング材を前記温度状態とすることを特徴とすることを特徴とする。
【0035】
このシステムによれば、上述の請求項2に示した光硬化方法を実行することができ、新たな工程の付加を行うことなく管状ライニング材の温度状態への昇温を行うことができる。
【0036】
請求項11に係る光硬化性ライニング材の光硬化システムは、
前記光照射工程の前段階及び該光照射工程中に、前記管状ライニング材の一端側から内部に換気用の空気を送り込み、他端側から排出させる換気機構を有し、前記ライニング材予熱手段は、前記換気機構により送り込まれる換気用空気を前記管状ライニング材を昇温させることのできる熱風とする換気用空気昇温部を有し、該熱風により前記管状ライニング材を前記温度状態とすることを特徴とする。
【0037】
このシステムによれば、上述の請求項3に示した光硬化方法を実行することができ、同じく新たな工程の付加を行うことなく管状ライニング材の温度状態への昇温を行うことができる。
【0038】
請求項12に係る光硬化性ライニング材の光硬化システムは、
前記換気機構が、前記送り込み空気を熱風と管内温度を降下させるための冷風に切り替える切り替え機構を備えていることを特徴とする。これにより、管状ライニング材の管内温度が過度に上昇した場合に、冷風の送り込みに切り替えることにより迅速にこれを抑制、降下させることが可能となり、温度上昇による管状ライニング材の品質の劣化を防止することができ、且つ安全性の向上も図られる。
【0039】
請求項13に係る光硬化性ライニング材の光硬化システムは、
前記換気機構が、前記空気に代え不燃性のガスを送り込むことを特徴とする。これにより、仮に、管状ライニング材内の温度が過度に上昇した場合でも発生した可燃性蒸気などへの引火を確実に防止することが可能となる。
【0040】
請求項14に係る光硬化性ライニング材の光硬化システムは、
前記光照射手段は、前記管状ライニング材内を移動する移動式光照射手段を有し、前記ライニング材予熱手段は、前記移動式光照射手段の外側部に1又は複数取り付けられ、熱風を前記管状ライニング材の内壁に沿って前記移動式光照射手段の進行方向前方に螺旋状に噴射する様に方向調整可能な噴射ノズルを有することを特徴とする。
【0041】
この光硬化システムによれば、上述の請求項6に係る光硬化方法を実行することが可能であり、移動式光照射手段による光照射の前に進行方向前方領域の管状ライニング材を効率的に昇温させておくことが可能となっている。
【0042】
請求項15に係る光硬化性ライニング材の光硬化システムは、
前記ライニング材予熱手段が、前記噴射ノズルからの噴射を前記熱風に代え、水又は冷風に切り替え可能とする切り替え機構を備えたことを特徴とする。これにより、管状ライニング材内に過剰な温度上昇が生じた際にも、冷風の噴射によりこれを迅速に抑制降下させることができ、更に、水の噴射の切り替えにより、仮に火災の発止が生じた場合でも迅速な緊急消火活動が可能となる。なお、噴射ノズルは噴射方向を調整可能とされているので、進行方向の後方側を含めて必要な方向への噴射が可能である。
【0043】
請求項16に係る光硬化性ライニング材の光硬化システムは、
前記光照射手段は、前記硬化用発光部を前記管状ライニング材内で移動可能とする移動式光照射手段として構成され、前記ライニング材予熱手段は、前記移動式光照射手段の前記硬化用光発光部より進行方向前方位置に、前記管状ライニング材を加熱するための加熱用発光部を有することを特徴とする。
【0044】
この光硬化システムによれば、上述の請求項7に記載した。光硬化方法を実行することが可能となり、ライニング材の硬化動作と同じく光照射によって管状ライニング材をあらかじめ昇温させておくことが可能であり、熱風の供給などの他の動作を行う必要がない。したがって、従来の光硬化システムに対して昇温のための異なる機能の手段を付加することなく本発明の好的な光硬化方法を実行することが可能となっている。
【発明の効果】
【0045】
本発明に係る光硬化性ライニング材の光硬化方法及び該方法に用いる光硬化システムによれば、簡単な構成の付加により、管状ライニング材を光硬化作業の前に適温に昇温させておくことができ、無駄のない効率的な光照射及び複雑な制御を伴わない管状ライニング材の硬化を行うことができる。また、管状ライニング材において光照射中に必要以上の温度上昇がないので、その品質を劣化が的確に防止され、既設管の管状ライニング材による補修の信頼性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態では、マンホール間の下水本管の補修を管状ライニング材を用いて行う場合を例として説明する。図1に示したように、補修対象の既設管である本管100は、いわゆるマンホールと呼ばれる縦坑200と300との間にが形成されている。補修を行うに当たっては、前準備として、本管100の上流側をせき止めるため堰き止め部材101がマンホール200の上流側に設置され、本管100の途中位置に存在する一般排水の導入路である桝400及び桝400から伸長する取付管500の上流側にも堰き止め部材401が設置されている。
【0047】
図1(A)は、このような下水管本管100の補修作業における管状ライニング材10の導入工程の一例が示されている。図示のように、未硬化状態の管状ライニング材10は、未だ管形状に拡径した状態にはなく、やや平らな形状で本管100内に引き込まれている。この引き込み動作は、マンホール200側で収納部12にローラーに巻回された状態で収納されている管状ライニング材10をマンホール300側の地上部に設置された牽引部14の牽引動作によって本管100内に引き込むものである。牽引部14に装着された引き込み用ロープ17が管状ライニング材10の先端部10aに固定されており、この牽引用ロープ16を引っ張ることにより管状ライニング材10がマンホール200側からマンホール300側へ本管100を通って引き込まれていくものである。なお、この引き込み動作をより円滑なものとするために所定個所にローラー16―1、16−2、16−3が適宜設置されている。
【0048】
図1(B)は、管状ライニング材10の本管100内への導入の他の動作例を示している。この導入法は、管状ライニング材10をそのまま引き込むのではなく図示のように先端側から反転させつつ本管100内に押し込んでいくものである。この反転押し込み動作は圧縮空気を吹き込むことにより行われている。図示のように反転して内側となる部分に押し込み用空気(矢印600)が吹き込まれ、これにより管状ライニング材10は反転しつつ徐々に本管100内に押し込まれていくものである。
【0049】
図2は、上述した図1(A)又は(B)の引き込み又は押し込み動作が終了した後の管状ライニング材10の整形作業を示してる。すなわち、未硬化の管状ライニング材10を本管100の内壁にできるだけ密着するように沿わせる必要があり、このための拡径・整形作業を行っている。図示のように、本管100内に設置された未硬化の管状ライニング材10内に整形用空気(矢印650)を吹き込むことによって行われる。設置された管状ライニング材10の両端部には、必要な貫通孔の形成されたエンドパッカー18がそれぞれ取り付けられており、マンホール200側の端部のエンドパッカー18−1の空気導入口18aから空気を吹き込んでいる。この空気の吹き込みにより、管状ライニング材10内の圧力が上昇し、管状ライニング材10は本管100の内壁に沿って整形されて行く。整形用空気650の吹き込みは、地上に配置したポンプ20を備える作業車両25などから空気供給管22を介して圧縮空気を送り込むことにより行われている。
【0050】
なお、この管状ライニング材10の拡径による整形動作は、上述した図1(A)の引き込み作業によって管状ライニング材10が設置された場合だけでなく、同図(B)の反転押し込み動作によって管状ライニング材が本管100内に設置された場合にも行って良い。反転押し込み動作の場合、同図(A)の引き込み作業の場合に比べ、既に管状ライニング材10がある程度管状に整形された状態となっているので、図2の整形用空気の吹き込み作業は必要に応じて行えば足りる。
【0051】
上述の図1(A)又は同図(B)、及び図2に示した作業によって、管状ライニング材10の導入工程が行われるものである。そして、本実施の形態において重要なことは、上述した管状ライニング材10の導入工程において、未硬化の管状ライニング材10の予熱工程が行われることにある。
【0052】
上述したように未硬化の管状ライニング材10の光照射による硬化反応の適温は、一般的に40℃〜50℃であり、その温度に達したときに急激な硬化反応が生じるものである。従って、予熱工程においては、この温度に達するように、管状ライニング材10を昇温するものである。本実施の形態では、この昇温を管状ライニング材10の整形のために行われる空気の吹き込みを用いて行うものである。すなわち、作業車両25に設置されたポンプ20の下流側に整形用空気を加熱する加熱部24が設けられ、この加熱部24によって整形用空気は約50℃〜80℃に昇温され、管状ライニング材10内に吹き込まれている(矢印650)。これにより、管状ライニング材10は拡径しつつ整形され、それと同時に光硬化に適する温度に昇温されることとなる。このように従来の光硬化方法を行う工程に特別な工程を付加することなく管状ライニング材の適温状態への昇温を簡単に行うことが可能となっている。
【0053】
上記実施の形態によれば、管状ライニング材10の導入工程終了時には、管状ライニング材10は光硬化のための適温状態になっており、後述する図3に示したような光照射工程をこの後に行うことにより、迅速な光硬化動作が可能となる。特に重要なことは、適切な予熱工程が行われていることにより、管状ライニング材10をまず適温状態に昇温するための出力の高い光照射を行う必要がないことである。従って、不必要に管状ライニング材10が高温となることが回避され、また、その不要な高温化を防ぐための管状ライニング材10の温度検知や光照射手段の細かい制御を行う必要もなくなる。
【0054】
次に、図3は、光照射工程における管状ライニング材10内部の状態を示している。図示のように光照射手段は、管状ライニング材10内を移動可能な移動式光照射手段(通称「ランプトレイン」)30として構成されている。すなわち、硬化用発光部として複数のランプ32が連結されており、それぞれのランプ32間には各ランプ32が管状ライニング材10に内壁に衝突することを防ぎつつ管内を移動可能にするための走行手段34がそれぞれ設けられている。
【0055】
なお、本実施の形態では、ランプ32は可視光と紫外線をまたがる領域の波長を有する350〜450nmの光線を用いている。これは、管状ライニング材10の厚さが補修対象である既設管の構成や埋設深さ等の条件により3mm〜20mmの間で種々設定されることから、光の浸透力を確保しつつ迅速な光硬化を行うために純粋な400nm以下の波長の紫外線のみではなく(紫外線のみでは浸透性が不足することがある)、可視光領域にまたがる範囲の光線を用いているものである。
【0056】
この光照射工程においては、その工程中に管状ライニング材10を構成する材料中に含まれるスチレンが蒸気化して管内の圧縮空気と混ざることにより可燃性となり、引火の可能性が生じることから、その引火を防止するために換気が行われる。この換気はエンドパッカー18−1の換気用空気導入口18bに結合された換気用空気供給管23によって換気用空気(矢印800)を送り込むことにより行われる。この換気用空気は図示されていない管状ライニング材10の他端側から排出され更に、マンホール300を上昇して地上側に設けられた排気塔から排気される。なお、この排気塔には後述するように有害物質を除去するためのフィルターが設けられている。
【0057】
このランプトレイン30の移動は、牽引用ロープ36で行われ、この牽引用ロープ36がマンホール200側の地上に設置された牽引手段(図示せず)によって引かれることにより進行方向(矢印700方向)に移動するものである。一方、換気用空気800の送り込みは、図示のようにこのランプトレイン30の進行方向とは反対方向に流れるように吹き込まれている。なお、この換気用空気の送り込みによる管内換気流速度は、1〜1.2m/sで、管内気圧は0.03〜0.05MPaである。
【0058】
本実施の形態では、管状ライニング材10の予熱工程をこの換気用空気800の吹き込み作業時に行うようにしている。すなわち、この換気用空気送り込みを熱風の送り込みとして行うことによって管状ライニング材10を適温状態に昇温させるものである。この換気用空気の昇温は、上述した図2の装置のように換気用空気送り込み手段(図2の作業車両など)に加熱手段を付加するより簡単に構成することができる。
【0059】
なお、この換気用空気800の送り込みによって、予熱工程を行うにあたっては、ランプトレイン30による光照射の作業が始まる前の段階から熱風の送り込みをしておくことが好的である。すなわち、ランプトレイン30による光照射の段階では、その領域がすでに適温状態に昇温され、その適温状態が保たれることが望ましく、従って、光照射工程の前段階、更に光照射中にこの熱風の送り込み動作を行うのが効果的である。
【0060】
この実施の形態によれば上記図2に示した実施の形態と同様に従来の光照射によるライニング材硬化方法に対して新たな工程を加えることなく光照射前の管状ライニング材の適温状態への昇温作業を行うことが可能となる。
【0061】
なお、換気用空気800は、必ずしも「空気」を用いる場合に限られず、不燃性のガスを代わりに送り込むことも可能である。例えば、窒素ガス等を用いることができ、これにより、仮に、管状ライニング材10内の温度が過剰に上昇したような場合でも上述のスチレン蒸気などへの引火を有効に防止することが可能となる。
【0062】
更に、換気用空気800は、通常は熱風とされるが、地上の作業車両などに設けられた換気用空気送り込み手段(図示せず)に熱風に代えて冷風を送り込む熱・冷切り替え機構を設け、必要に応じ換気用空気800を冷風として送り込むようにすることも好適である。これにより、管状ライニング材10が必要以上に昇温されて様な場合にこれを迅速に冷却し、完成後の製品の品質劣化を防止することが可能である。
【0063】
次に、図4は更に他の実施の形態を示している。この実施の形態は、上記図3に示した換気用空気800を熱風として予熱工程を行う実施の形態に関連するものであり、特徴的なことは、管状ライニング材10内に一端側から送り込まれた熱風は、他端側から排出されマンホール30を通って排気塔40から排気されるが、この排気される排気熱風そのものを循環パイプ42を介して換気用空気供給手段44側に戻し、再度この排気を管状ライニング材10にその一端側から送り込むというものである。
【0064】
すなわち、換気用空気800の供給を循環式にしたことを特徴とすることである。通常、管状ライニング材10の他端側から排気される排気は50℃〜60℃であり、これを循環させて再利用することにより換気用空気44における供給空気の昇温作業を極めて容易なものとすることができる。すなわち、排気塔40側から循環パイプ42を通って換気用空気供給手段44に戻された排気熱風は、ポンプ45,及び加熱部46を通って更に換気用空気供給管23から管状ライニング材10に戻される。したがって、加熱部46におけるヒーターの出力は小さいもので足り、省エネルギーに貢献することができる。
【0065】
また、排気塔40においては有害物を除去するためのフィルターが設けられているが有害物質を含む可能性のある排気をできるだけ大気中に放出しないことが望ましい。したがって、上記実施の形態のように排気を循環させて、再度換気用空気として送り込み、これを繰り返すことにより、空気汚染防止にもつながるものである。そして、補修作業の最終段階にのみにおいて排気の外方への排出が行われるので、その排気排出量を減少させることとなるが、排気は循環中は毎回有害物除去フィルターを通るので大きく汚染するおそれもなく、最終段階においても再度害物除去フィルターを通過して外方へ放出されるので、その排気自体が特別な問題となる状況は生じない。
【0066】
なお、図3の実施の形態と同じく、この実施の形態においても換気用空気800を不燃性ガスとし、更に、熱風、冷風を切り替え可能な機構を設けることも可能であり、特に、この循環式であれば不燃性ガスの消費も一定量で足り、好適に適用が可能である。
【0067】
図5は、更に他の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴的な事項は、上述した管状ライニング材10の予熱工程をランプトレイン30の先頭部30aからその進行方向前方に向かって熱風を噴射することによって行うようにしたことである。すなわち、先頭部30aの外周の四方に熱風噴射用のノズル50を設け、このノズル50から熱風を噴射するようにしたものである。本実施の形態では、4つのノズル50は噴射された熱風が螺旋状に管状ライニング材10の内壁に沿って前進移動するように噴射方向が定められている。また、ノズル50はその噴射方向を管径等に適合させるために調整できる様に調整可能に取り付けられ、更には、管外から自動的に方向の制御を行うような構成とするのが好適である。
【0068】
このようにランプトレイン30が進行する前方をあらかじめこの噴射された熱風により昇温しておくことができ、そして、この昇温動作を管状ライニング材10が適温状態になるまで行うことにより、後から進行してくるランプトレイン30による光照射によって迅速な光硬化が達成されることとなる。また、上記ノズル50が噴射熱風を螺旋状に進行するように噴射することにより、熱風を効率的に管状ライニング材10の内壁に沿って進行させることができ効果的な昇温が可能となっている。
【0069】
なお、この各ノズル50からの噴射熱風の供給は図示のように先頭部30aの前方側から柔軟性のある供給管52を用いて供給しており、牽引用ロープ36によるランプトレイン30の牽引と同様の進行状態で供給管52を引いて移動させるものである。また、図上破線で示したようにノズル50からの噴射熱風を後方側から引いた供給管54によって供給することも可能であるが、その場合、供給管39はランプ30に接触することなくかつ、管状ライニング材10の内壁に接触することのないように、走行手段34に装着することなどにより保持される。
【0070】
また、上記ノズル50からは、熱風だけでなく、「冷風」、更には「水」への切り替え噴射ができるように、供給管52あるいは54の上流側に設置される供給手段に切り替え噴射機構を設けるのが好適である。これにより、管状ライニング材10の過度の温度上昇、火災発生の防止、更に、火災時の緊急消火を行うことが可能となる。噴射ノズル50から水を噴射する場合、ノズル50の噴射方向を調整し、ランプトレイン30の進行方向の後方に向けても噴射できるようにするのが好適である。
【0071】
次に、図6は更に他の実施の形態を示している。本実施の形態において特徴的なことは、管状ライニング材10の予熱工程を行うためにランプトレイン30の前方に別途、加熱用発光部として赤外線ランプ60を設けたことである。この赤外線ランプ60は、管状ライニング材10の光硬化のためには有効な機能は奏しないが、管状ライニング材10を昇温させるには有効に機能する。ここでは、例えば、500W〜800Wのものが好適に用いられているが、管径などの条件によっては2000W程度のものも用いられる。
【0072】
この赤外線ランプ60を前方に設置したことにより、光の照射という光硬化のための手段と同じ手法により、予熱工程を行うことができる。すなわち、赤外線ランプ60による光照射によって、硬化のための光照射前の段階で管状ライニング材10を光硬化に適する温度まで昇温させておくことができる。大がかりな装置を付加することなく、ランプの設置数を増やすという簡単な構成の増加により、予熱を行うことができ、他のシステムに変更も不要である。
【0073】
なお、この加熱用発光部としての赤外線ランプ60は、1個に限定されるものではなく、必要に応じて複数個設置することが可能である。また、赤外線ランプ60とランプトレイン30との連結は、連結ワイヤ61にて行われており、牽引用ワイヤ36により、赤外線ランプ60とランプトレイン30の全体が同時に牽引される。連結ワイヤ61の長さにより赤外線ランプ60とランプトレイン30との間隔が調整され、例えば、赤外線ランプ60の出力強度などによりその間隔が調整される。
【0074】
更に、この加熱発光部の付加による予熱は、上述した他の実施の形態に係る予熱工程との併用が可能であり、例えば、上述の換気用空気の熱風化による実施の形態に加えて、この光加熱手法を用いることも可能である。
【0075】
本発明は上記の実施の形態の構成に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。例えば、図5に示した熱風噴射用のノズル50の設置数は、四方に1個ずつ設置した例を示したが、個数の限定はなく、例えば三方に1個ずつ設置することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】同図(A)は、管状ライニング材の引き込み動作を示す概略説明図、同図(B)は、管状ライニング材の反転押し込み動作を示す説明図である。
【図2】実施の形態に係る管状ライニング材の拡径・整形動作を示す動作説明図である。
【図3】実施の形態に係る光照射工程及び換気用空気導入動作を示す概略説明図である。
【図4】実施の形態に係る換気用空気の循環式供給状態を示す説明図である。
【図5】移動式光照射手段の先頭部から熱風を噴射する実施の形態の説明図である。
【図6】移動式光照射手段の前方部に加熱用発光部を設置した実施の形態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0077】
10 管状ライニング材
12 管状ライニング材収納部
24 加熱手段
30 移動式光照射装置
32 硬化用ランプ
40 循環パイプ
44 換気用空気供給手段
50 熱風噴射ノズル
52 熱風供給管
60 赤外線ランプ
600 押し込み用空気
650 整形用空気
800 換気用空気
【出願人】 【識別番号】595053777
【氏名又は名称】吉佳株式会社
【出願日】 平成18年6月20日(2006.6.20)
【代理人】 【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明


【公開番号】 特開2008−924(P2008−924A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−170520(P2006−170520)