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ゴム型およびその製造方法 - 特開2008−916 | j-tokkyo
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【発明の名称】 ゴム型およびその製造方法
【発明者】 【氏名】矢野 雅士

【要約】 【課題】ゴム−金属板間の剥離を確実に防止して、最終的に得られる鋳造製品において、形状不良等の問題を生ずることのない、鋳型製造用のゴム型およびその製造方法を提供する。

【構成】タイヤのトレッドパターンを型取りした型取り面を有するゴム部20と、ゴム部20に固着されてゴム部20を補強する金属板2とを備え、金属板2が、厚み方向の貫通孔3A,3Bを少なくとも一箇所有するゴム型である。金属板2がゴム部20により厚み方向両側から挟持されてなる、サンドイッチ構造を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤのトレッドパターンを型取りした型取り面を有するゴム部と、該ゴム部に固着されて該ゴム部を補強する金属板とを備え、該金属板が、厚み方向の貫通孔を少なくとも一箇所有するゴム型であって、
前記金属板が前記ゴム部により厚み方向両側から挟持されてなる、サンドイッチ構造を有することを特徴とするゴム型。
【請求項2】
前記金属板が、厚み方向中心付近において、周縁部の少なくとも一部に中空部を有し、該中空部にゴム部のゴムが充填されている請求項1記載のゴム型。
【請求項3】
前記ゴム部がシリコーンゴムを主成分とする請求項1または2記載のゴム型。
【請求項4】
前記貫通孔の総断面積が、前記金属板の表面積の20〜80%を占める請求項1〜3のうちいずれか一項記載のゴム型。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか一項記載のゴム型の製造方法であって、枠体内に前記タイヤのトレッドパターンが形成されたウッドレジンモデルを配置し、前記枠体内であって該ウッドレジンモデルの上方に前記金属板を配置した後、前記枠体内に、前記金属板の貫通孔を介して液状ゴム組成物を注入し、該液状ゴム組成物を前記金属板の上方まで充填した後、該液状ゴム組成物の加硫硬化を行ってゴム部を形成することを特徴とするゴム型の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はゴム型およびその製造方法に関し、詳しくは、タイヤ用アルミニウム(AL)合金モールド鋳造において鋳造に使用される鋳型を製造するために用いられるゴム型およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤを製造するに際しては、成形された生タイヤに内側から圧力をかけて、その外表面を加熱された金型の内壁に密着させ、熱と圧力により生ゴムを加硫する加硫用モールド(以下、「タイヤモールド」と称する)が用いられる。このようなタイヤモールドは、一般にAL合金等よりなり、金型の中央にタイヤのトレッドパターンが転写された鋳型を配置して、その内部に溶湯を高温、高圧力にて流し込むことにより鋳造を行う、ダイカスト法により製造される。
【0003】
この方法では、具体的にはまず、製造しようとするタイヤのトレッドパターンを木型(ウッドレジン)にて製造する。次いで、得られたウッドレジンのトレッドパターンモデルをゴムにより型取りして、ゴム型を作製する。しかる後、トレッドパターンを型取りしたゴム型上に石膏等の鋳型配合組成物を流し込み、硬化させて、上記トレッドパターンが転写された鋳型を得る。このようにして作製した鋳型にAL合金等の溶湯を流し込むことにより、最終目的物であるタイヤモールドが作製される。
【0004】
ところで、上記型取り工程において鋳型製造に用いられるゴム型は、従来、図3に示すように、金属等からなる枠体11内にウッドレジンモデル10を配置して、この枠体11内に液状ゴム組成物30を充填し、加硫硬化させることにより作製されていた。この際、ゴム型をゴムのみで構成すると耐久性に劣ることから、図示するように、裏胴と呼ばれる、液状ゴム組成物30を流し込むための穴等があけられた金属板12を用いて、これを枠体11に設けた軸受け部にセットして液状ゴム組成物30を流し込むことで、ゴム型を、金属板12とゴム部30との複合体として形成することが行われており、この手法により、ゴム部30の剛性を高めて、ゴム型の使用耐久性の向上が図られていた。
【0005】
ここで、図示するように、かかる従来のゴム型においては、液状ゴム組成物30を金属板12の高さと同じ位置まで流し込んで、ゴムの密着力により金属板12を固定していたが、その一方で、液状ゴム組成物30としては、タイヤサイプ形成用のブレードがゴム型から次工程の石膏鋳型に移りやすいように、金属との接着性の悪い素材が使用されていた。そのため、ゴム部30と金属板12とが剥離しやすく、製造誤差などの問題を生ずるおそれがあり、従来、ゴム部30と金属板12との間にプライマー等の接着剤を使用することで、この問題の解消が図られてきた。
【0006】
なお、タイヤモールドの製造工程に係る改良技術としては、例えば、特許文献1に開示がある。
【特許文献1】特開2005−169929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、かかる従来のゴム型においては、繰り返し使用に伴ってゴム−金属板間で接着剤剥がれが生じてしまい、ゴム部の固定が困難となるという問題があった。特に、この固定が剥離等によりはずれてくると、鋳型の製造工程においてゴム型製品面の位置決め保証が困難となり、その結果、鋳型製品面、ひいては最終的な鋳造製品面の形状保証が困難となってしまう。従って、ゴム型においてゴム−金属板間の剥離が発生すると、ゴム型を再度作製しなければならなかった。
【0008】
また、チオコール等のジエン系ゴムは、プライマー等を用いることで金属板と容易に接着可能であったが、ゴム型のさらなる耐久性向上のためにゴム素材としてシリコーンゴムを使用した場合、従来の接着剤では架橋阻害を生じてしまい、ゴムが加硫できなくなるという難点があった。これに対し、シリコーンゴム用の接着剤を用いることも考えられるが、これは、有機溶剤を含有し、かつ、アクリル系が主体であるために悪臭が著しいなどの点から作業環境性に劣るとともに、接着力が弱く、容易に剥がれる欠点があるため、やはり十分に問題を解消できるものではなかった。
【0009】
そこで本発明の目的は、上記問題を解消して、ゴム−金属板間の剥離を確実に防止することができ、最終的に得られる鋳造製品において形状不良等の問題を生ずることのない、鋳型製造用のゴム型およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明者は鋭意検討した結果、化学的な接着力ではなく、物理的な接着力、即ち、加硫時のゴムの圧縮力に着目し、ゴム型が液状ゴム組成物の注入により製作される点、および、加硫シリコーンゴムの性質として静摩擦係数が大きい点から、金属板に対し上下両面にゴムを充填して、金属板がゴムのサンドイッチ構造で包み込まれてなるゴム型構造とすることで、金属板の剥離を回避することが可能となることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明のゴム型は、タイヤのトレッドパターンを型取りした型取り面を有するゴム部と、該ゴム部に固着されて該ゴム部を補強する金属板とを備え、該金属板が、厚み方向の貫通孔を少なくとも一箇所有するゴム型であって、
前記金属板が前記ゴム部により厚み方向両側から挟持されてなる、サンドイッチ構造を有することを特徴とするものである。
【0012】
本発明のゴム型においては、前記金属板が、厚み方向中心付近において、周縁部の少なくとも一部に中空部を有し、該中空部にゴム部のゴムが充填されていることが好ましく、前記貫通孔の総断面積が、前記金属板の表面積の20〜80%を占めることが好ましい。また、本発明は特に、前記ゴム部がシリコーンゴムを主成分とする場合に有効である。
【0013】
また、本発明のゴム型の製造方法は、上記本発明のゴム型の製造方法であって、枠体内に前記タイヤのトレッドパターンが形成されたウッドレジンモデルを配置し、前記枠体内であって該ウッドレジンモデルの上方に前記金属板を配置した後、前記枠体内に、前記金属板の貫通孔を介して液状ゴム組成物を注入し、該液状ゴム組成物を前記金属板の上方まで充填した後、該液状ゴム組成物の加硫硬化を行ってゴム部を形成することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
従来のゴム型においては、金属板とゴム部との間に隙間が空きやすく、次工程である鋳型製造において鋳型脱型時に金属板の外れや浮きが生ずる問題があったが、本発明によれば、上記サンドイッチ構造としたことで、ゴムの加硫により金属板上下面と平面内に圧縮力が発生するため金属板の浮きや外れが発生しにくい。従って、本発明によりゴム−金属板間の剥離を確実に防止することができ、最終的に得られる鋳造製品において形状不良等の問題を生ずることのない鋳型製造用のゴム型、およびその製造方法を実現することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1(a),(b)に、本発明のゴム型の厚み方向および面内方向の概略断面図をそれぞれ示す。尚、図中の(b)は、同図(a)中のA−A線に沿う断面を示す。図示するように、本発明のゴム型は、タイヤのトレッドパターンを型取りした型取り面Xを有するゴム部20と、このゴム部20に固着されてゴム部20を補強する金属板2とを備えている。この金属板2は、厚み方向の貫通孔を少なくとも一箇所有することが必要であり、図示する例では、径の異なる貫通孔3A,3Bをそれぞれ2箇所、計4箇所にて有している。
【0016】
本発明のゴム型は、金属板2がゴム部20により厚み方向両側から挟持されてなる、サンドイッチ構造を有する点に特徴がある。これにより、従来法におけるプライマー等の接着剤なしでゴム−金属板間の固着状態を保持することができ、金属板2の剥離を確実に防止することができる。
【0017】
また、本発明のゴム型においては、金属板2が、厚み方向中心付近において、周縁部4の少なくとも一部、好ましくは図示するように全体に、中空部5を有し、この中空部5にゴム部20のゴムが充填されていることが好ましい。金属板2を、その厚み方向中心付近にゴムにて充填可能な中空部5を有する構造にて形成し、即ち、金属板2の内部にもゴム部20のゴムを充填することで、より安定的にゴム−金属板間の密着性を確保することができ、繰り返し使用時においても金属板の剥離をより確実に回避することが可能となる。この中空部5に対する液状ゴム組成物の充填は、図示するように、中空部5と貫通孔とを連通させることで、この貫通孔を介して行うものとすればよい。
【0018】
前述したように、本発明のゴム型は、特に、ゴム部をシリコーンゴムを主成分とするゴム組成物により形成する際に有効であり、ゴム−金属板間において、接着剤等では得られない良好な固着状態が実現できるものである。
【0019】
本発明のゴム型を製造するに際しては、図2に示すように、枠体1内にタイヤのトレッドパターンが形成されたウッドレジンモデル10を配置して、枠体1内であってウッドレジンモデル10の上方に、金属板2を配置する。金属板2は、枠体1に金属板2の軸受け部(図示せず)を設け、この軸受け部にセットすることで固定することができる。
【0020】
次いで、枠体1内に、金属板2の貫通孔を介して液状ゴム組成物20を注入する。この際、従来の金属板2は、小径の貫通孔しか有しなかったため、注入時にゴムの充填度が確認しにくく、また、注入後において後述するバキュームを行う際に、エアー抜き性が十分でなかった。本発明では、大径の貫通孔3Bを設けることにより、ゴム充填の確認を容易に行うことができ、バキューム効率も向上することができる。但し、貫通孔を設けた部分は、液状ゴム組成物20の加硫時に若干収縮により凹みを生ずる傾向があり、貫通孔を大径にするほどこの凹みが大きくなるため、この点からは、ゴムの充填度が確認でき、かつ、エアー抜き性を確保できる程度の適度の径の貫通孔を複数設けることが有利である。すなわち、ゴム表面は次工程の鋳型製作時(スラリーの流し込み)における基準面となるため、この基準面精度を向上させるためには凹みを最小限にすることが必要となるからである。特には、全貫通孔の総断面積が、金属板2の表面積の20〜80%を占めることが好ましく、より好ましくは55〜75%であり、これにより、従来法対比でバキューム時間を半減以下にすることができる。特には、60〜65%が最も好ましい。
【0021】
その後、図示するように、液状ゴム組成物20が金属板2の上方まで充填されたところで、液状ゴム組成物20の加硫硬化を行う。本発明においては、この際、減圧下で液状ゴム組成物20を自然加硫させる手法を用いることが好ましい。液状ゴム組成物20を枠体1内に流し込んだ後、液状を維持した状態で−0.1MPa以下程度のバキュームを与えることにより、ゴムと金属板との密着をより良好にすることができる。またこの場合、気泡の状態から残留エアーのチェックをすることができるとともに、ゴム表面の水平度もバキュームにより得ることができる。さらに、この自然加硫ゴムを加硫させると、オープン加硫であるために、加硫中に大気圧が金属板2上部から抑えるように働く。そのため、加硫後の本サンドイッチ構造体のゴム型には、金属板2に対して圧縮力が働き、堅固な金属板密着ゴム型が得られるものである。このようにして加硫硬化によりゴム部20を形成した後、枠体1から脱型することで、図1に示すようなゴム型を得ることができる。
【実施例】
【0022】
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
(従来例)
付加反応型のシリコーンゴム配合物を、図3に示すように、所定のトレッドパターンが形成されたウッドレジンモデル10および金属板12が配置された枠体11内に貫通孔を介して注入し、金属板12と同じ高さまで充填して、加硫硬化させることにより、ゴム部30が金属板12に対し一方側からのみ固着されたゴム型を作製した。
【0023】
(実施例)
従来例と同じ付加反応型のシリコーンゴム配合物を、図2に示すように、所定のトレッドパターンが形成されたウッドレジンモデル10および金属板2が配置された枠体1内に貫通孔3A,3B(総断面積:金属板表面積の60%)を介して注入し、金属板2の上方まで充填して、加硫硬化させることにより、ゴム部20が金属板2を厚み方向両側から挟持してなるサンドイッチ構造を有するゴム型を作製した。得られたゴム型は、図1に示すように、金属板2の厚み方向中心付近であって周縁部4の全体に、ゴムが充填された中空部5を有していた。
【0024】
従来例および実施例で得られた各ゴム型を用いて、石膏スラリーによる鋳型の製造を行い、(1)鋳型製造時における鋳型脱型時の金属板剥離の有無、(2)鋳型製造時における鋳型脱型時のゴム型動きによる鋳型欠けの有無、(3)鋳型製造時における石膏スラリーの剥がれ部混入による製品面の位置ズレの有無、の3点につき、評価を行った。これらの結果を、下記の表1中に示す。
【0025】
【表1】


【0026】
上記表1に示すように、金属板がゴム部により厚み方向両側から挟持されてなるサンドイッチ構造を有するゴム型を用いた実施例においては、金属板を片側のみから固着してなる、サンドイッチ構造を有しない従来構造のゴム型を用いた従来例に比し、ゴム部と金属板とをより強固に結合させることができ、鋳型製造時における金属板剥がれや鋳型の形状不良等の発生を効果的に防止できることが確かめられた。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(a),(b)はそれぞれ、本発明のゴム型を示す厚み方向および面内方向の概略断面図である。
【図2】本発明のゴム型の製造工程を示す厚み方向の概略断面図である。
【図3】従来構造のゴム型の製造工程を示す厚み方向の概略断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1,11 枠体
2,12 金属板
3A,3B 貫通孔
4 周縁部
5 中空部
10 ウッドレジンモデル
20,30 ゴム部(ゴム組成物)
X 型取り面
【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【出願日】 平成18年6月20日(2006.6.20)
【代理人】 【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎

【識別番号】100124121
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 由美子


【公開番号】 特開2008−916(P2008−916A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−170298(P2006−170298)