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【発明の名称】 超音波溶着方法および超音波溶着装置、並びに液状体吐出ヘッドの製造方法、液状体吐出ヘッド、液状体吐出装置
【発明者】 【氏名】備前 良一

【氏名】小野 健一

【氏名】阿南 誠

【要約】 【課題】良好に溶着を行うことができる超音波溶着方法および超音波溶着装置、当該超音波溶着方法を利用した液状体吐出ヘッドの製造方法、並びに、信頼性に優れた液状体吐出ヘッドおよび液状体吐出装置を提供すること。

【構成】液状体導入部材40を取り付けたケース30をステージ204上に載置し、ステージ204を回転させつつホーン202を介してフランジ部43に押圧力および超音波振動を与える。この工程において、ホーン202に係合された液状体導入部材40とステージ204上に固定されたケース30とは、その当接部(接合部)において互いに摺動されつつ溶融化される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と第2部材とを接合するための超音波溶着方法であって、
前記第1部材と前記第2部材とを互いに当接させるA工程と、
前記第1部材と前記第2部材とをその当接部において互いに摺動させつつ、前記第1部材に超音波振動を与えるB工程と、を有することを特徴とする超音波溶着方法。
【請求項2】
前記B工程は、前記第2部材を回転させて行うことを特徴とする請求項1に記載の超音波溶着方法。
【請求項3】
超音波振動の共振体であるホーンを前記第1部材に押し当てて前記B工程を行う請求項1または2に記載の超音波溶着方法であって、
前記ホーンを前記第1部材に係合させて、前記B工程を行うことを特徴とする超音波溶着方法。
【請求項4】
超音波振動の共振体であるホーンと、
前記ホーンに対向するステージと、
前記超音波振動の発生時において、前記ステージを前記ホーンに対して相対的に回転させる回転駆動手段と、を備える超音波溶着装置。
【請求項5】
前記ホーンを超音波溶着に係る部材に係合させるための係合手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の超音波溶着装置。
【請求項6】
液状体の供給流路が形成された基体と、前記供給流路に前記液状体を導入するための液状体導入部材とを備える液状体吐出ヘッドの製造方法であって、
前記液状体導入部材を前記第1部材、前記基体を前記第2部材として、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の超音波溶着方法を用いて前記液状体導入部材と前記基体とを接合する工程を有することを特徴とする液状体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項7】
液状体の供給流路が形成された基体と、
前記供給流路に前記液状体を導入するための液状体導入部材と、
前記基体と前記液状体導入部材との接合部に介在する中間部材であって、当該基体と当該液状体導入部材とが互いに摺動しつつ溶融化されてなる中間部材と、を備える液状体吐出ヘッド。
【請求項8】
液状体の供給流路が形成された基体と、
前記供給流路に前記液状体を導入するための液状体導入部材と、
前記液状体導入部材の一端に形成されたフランジ部であって、一面側において前記基体と溶着により接合されているフランジ部と、
前記フランジ部の他面側に設けられた係合手段と、を備える液状体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記液状体導入部材および前記基体が、結晶性樹脂で形成されていることを特徴とする請求項7または8に記載の液状体吐出ヘッド。
【請求項10】
請求項7ないし9のいずれか一項に記載の液状体吐出ヘッドを搭載する液状体吐出装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波溶着方法および超音波溶着装置、並びに、インクジェット式記録装置、ディスプレイ製造装置、電極形成装置、バイオチップ製造装置などの液状体吐出装置、液状体吐出装置に搭載される液状体吐出ヘッドとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液状体を吐出する微小なノズルを有する液状体吐出ヘッドが、印刷や工業用途に広く利用されるようになってきている。例えば、特許文献1に掲げる液状体吐出ヘッドは、外部からインク(液状体)の供給を受けるための樹脂製のインク供給針(液状体導入部材)を備えており、このインク供給針は、超音波溶着(融着)によってケース(基体)に接合されている。
【0003】
超音波溶着は、部材の接合において広く用いられる手法であり、具体的には、接合したい部材どうしを当接させた状態で一方の部材に超音波振動を与え、その当接部に摩擦熱を発生させて溶着を行うものである(例えば特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】特開2000−211130号公報
【特許文献2】特開平4−235024号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特に工業用途に用いる液状体吐出ヘッドにおいては、多様な物性の液状体に対応するため、化学的安定性に優れた材料を用いて液状体導入部材やケースを形成する必要がある。この要件を満たす材料としては結晶性樹脂が有力であるが、この材料は一般的に溶融温度が高く、これを液状導入部材およびケースに採用した場合には溶着が困難となる。このため、接合部における溶着性(接合強度やシール性)に関して、十分な信頼性を得ることができないという課題がある。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、良好に溶着を行うことができる超音波溶着方法および超音波溶着装置、当該超音波溶着方法を利用した液状体吐出ヘッドの製造方法、並びに、信頼性に優れた液状体吐出ヘッドおよび液状体吐出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1部材と第2部材とを接合するための超音波溶着方法であって、前記第1部材と前記第2部材とを互いに当接させるA工程と、前記第1部材と前記第2部材とをその当接部において互いに摺動させつつ、前記第1部材に超音波振動を与えるB工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
この発明の超音波溶着方法によれば、第1部材と第2部材とが当接部において互いに摺動しながら溶融化されるので、当該当接部の平滑性にムラがあったとしても摺動によりこのようなムラの影響が緩和され、良好に溶着を行うことができる。
【0009】
また好ましくは、前記超音波溶着方法において、前記B工程は、前記第2部材を回転させて行うことを特徴とする。
この発明の超音波溶着方法によれば、超音波振動を与える第1部材を固定させた状態のまま、工程や工程に係る装置を複雑化させることなく上記の超音波溶着方法を実施することができる。
【0010】
また好ましくは、超音波振動の共振体であるホーンを前記第1部材に押し当てて前記B工程を行う前記超音波溶着方法において、前記ホーンを前記第1部材に係合させて、前記B工程を行うことを特徴とする。
この発明の超音波溶着方法によれば、第1部材と第2部材とを当接部において摺動させる際に、ホーンと第1部材との横滑りが抑えられる。
【0011】
本発明の超音波溶着装置は、超音波振動の共振体であるホーンと、前記ホーンに対向するステージと、前記超音波振動の発生時において、前記ステージを前記ホーンに対して相対的に回転させる回転駆動手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
この発明の超音波溶着装置によれば、ステージ上に載置する一の部材とホーンを押し当てる他の部材とを相対的に回転させつつ、超音波溶着を行うことができる。これにより、両部材がその当接部において互いに摺動しながら溶融化されるので、当該当接部の平滑性にムラがあったとしても摺動によりこのようなムラの影響が緩和され、良好に溶着を行うことができる。
【0013】
また好ましくは、前記超音波溶着装置において、前記ホーンを超音波溶着に係る部材に係合させるための係合手段を備えることを特徴とする。
この発明の超音波溶着装置によれば、上記一の部材と上記他の部材とを相対的に回転させる際に、ホーンと上記他の部材との横滑りが係合手段によって抑えられる。
【0014】
本発明は、液状体の供給流路が形成された基体と、前記供給流路に前記液状体を導入するための液状体導入部材とを備える液状体吐出ヘッドの製造方法であって、前記液状体導入部材を前記第1部材、前記基体を前記第2部材として、前記超音波溶着方法を用いて前記液状体導入部材と前記基体とを接合する工程を有することを特徴とする。
【0015】
この発明の液状体吐出ヘッドの製造方法によれば、上記超音波溶着方法を用いて液状体導入部材と基体との接合を行っているので、液状体導入部材と基体とが良好に溶着された信頼性に優れた液状体吐出ヘッドを提供することができる。
【0016】
本発明の液状体吐出ヘッドは、液状体の供給流路が形成された基体と、前記供給流路に前記液状体を導入するための液状体導入部材と、前記基体と前記液状体導入部材との接合部に介在する中間部材であって、当該基体と当該液状体導入部材とが互いに摺動しつつ溶融化されてなる中間部材と、を備えることを特徴とする。
【0017】
この発明の液状体吐出ヘッドは、基体と液状体導入部材とが互いに摺動しつつ溶融化されてなる中間部材を介して、基体と液状体導入部材との接合(溶着)がなされている。このため、接合部における各部材の平滑性にムラがあったとしても、このようなムラの影響を緩和するように良好な溶着がなされており、信頼性に優れている。
【0018】
本発明の液状体吐出ヘッドは、液状体の供給流路が形成された基体と、前記供給流路に前記液状体を導入するための液状体導入部材と、前記液状体導入部材の一端に形成されたフランジ部であって、一面側において前記基体と溶着により接合されているフランジ部と、前記フランジ部の他面側に設けられた係合手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
この発明の液状体吐出ヘッドは、フランジ部の他面側に超音波振動を与えるためのホーンを係合させた状態で、フランジ部の一面側を基体に対して互いに摺動させつつ超音波溶着されて製造されている。このため、接合部における各部材の平滑性にムラがあったとしても、このようなムラの影響を緩和するように良好な溶着がなされており、信頼性に優れている。
【0020】
また好ましくは、前記液状体吐出ヘッドにおいて、前記液状体導入部材および前記基体が、結晶性樹脂で形成されていることを特徴とする。
この発明の液状体ヘッドは、結晶性樹脂の優れた化学的安定性によって多様な液状体に対応できると共に、接合部の溶着性に関して優れた信頼性を有している。
【0021】
本発明の液状体吐出装置は、前記液状体吐出ヘッドを搭載することを特徴とする。
この発明の液状体吐出装置は、上記液状体吐出ヘッドを搭載しているので、信頼性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。また、以下の説明で参照する図では、図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。
【0023】
(液状体吐出装置の全体構成について)
まずは、図1を参照して液状体吐出装置の構成について説明する。
図1は、液状体吐出装置の全体構成を示す図である。
【0024】
図1において、液状体吐出装置100は、基板101を載置するためのステージ102と、基板101に対向するキャリッジ103と、キャリッジ103に液状体を供給する液状体供給機構106と、吐出制御回路107とを備えている。ステージ102は、主走査機構104によりキャリッジ103に対して図の左右方向に往復動(主走査)され、また、キャリッジ103は、副走査機構105により主走査に直交する方向に移動(副走査)される。主走査機構104、副走査機構105、吐出制御回路107は、制御コンピュータ108により統括制御される。
【0025】
液状体供給機構106は、例えば、複数種の液状体を収容する容器と、容器から液状体を移送する移送管と、液状体の供給圧を一定の下に制御する圧力制御ユニットを備えている。使用される液状体としては、水や有機溶媒等の液体、およびこれらの溶液のほか、液体中に固体微粒子を分散させたものなどを採用することもできる。
【0026】
キャリッジ103は、複数の液状体吐出ヘッド10(図2参照)を備えており、吐出制御回路107からの電気信号を受けて、ノズル20(図2参照)から基板101に対して液状体を吐出する。詳しくは、後述する。
【0027】
液状体吐出装置100は、基板101の任意の位置に対してキャリッジ103から液状体を吐出することで、液状体を基板101上にパターン化して配置(描画)することができる。そして、配置した液状体を乾燥等により固化して、パターン化された様々な機能性膜を形成することができる。
【0028】
(液状体吐出ヘッドの構成について)
次に、図2、図3を参照して液状体吐出ヘッドの構成について説明する。
図2は、液状体吐出ヘッドの全体構成を示す図である。図3は、液状体導入部材の周辺構造を示す断面図である。
【0029】
液状体吐出ヘッド10は、液状体供給機構106(図1参照)から液状体を導入するケースアセンブリ14と、液状体を吐出する吐出アセンブリ15と、吐出制御回路107(図1参照)とフレキシブル配線基板110を介して電気的に接続される回路基板16とを備えている。ケースアセンブリ14は、内部に供給流路33を有する基体としてのケース30と、液状体供給機構106からの導出管109と結合する液状体導入部材40とを備えている。尚、本実施形態のケースアセンブリ14は、同じ構造の二つの液状体導入部材40が取り付けられた構成となっている。
【0030】
液状体導入部材40は、尖端部41に導入孔42を、内部に導入流路46を有する中空針状の部材であり、尖端部41の反対側は裾を広げたフランジ部43となっている。液状体導入部材40は、フランジ部43においてケース30と超音波溶着により接合されている。
【0031】
ケース30は、フランジ部43の外周における外周面43aを規定するガイド部31と、ガイド部31の内側においてフランジ部43の下面を受けるフランジ取付部32を備えている。導入孔42を通じて導入された液状体は、導入流路46、フィルタ50、供給流路33を通じて吐出アセンブリ15に供給される。
【0032】
フィルタ50は、金属線をメッシュ状に編みこんでなる部材であり、供給流路33の連通口の形成面に溶着されている。フィルタ50は、導入流路46から供給流路33へと供給される液状体に含まれる異物等をトラップする役割を果たすものである。尚、導入流路46および供給流路33のフィルタ50側が拡幅されているのは、フィルタ50の有効面積を大きくして通過に係るインクの流動抵抗(損失水頭)を低減するための配慮である。
【0033】
液状体導入部材40およびケース30には、化学的安定性に優れた結晶性樹脂、本実施形態では、PPS(PolyPhenylene-Sulfide)が用いられている。これは、工業用途に用いられる様々な化学的性質の液状体によっても侵食されないようにするための配慮である。また、上述の結晶性樹脂にガラス素材などの別材料を混入させて用いることで、強度や化学的な耐性を補強することも可能である。
【0034】
PPS等の結晶性樹脂は、一般的に非結晶性の樹脂に比べて溶融温度が高く、成型時や溶着時の扱いが比較的困難である。このため本実施形態では、金型温度:150℃、樹脂温度:300℃という比較的高温の下で液状体導入部材40やケース30の成型を行っている。また、液状体導入部材40とケース30との溶着においては、後述するような工夫がなされている。
【0035】
吐出アセンブリ15は、一面に所定の配列で形成されたノズル20と、ノズル20の個々と連通するキャビティ22と、対応する液状体種ごとにキャビティ22に液状体を供給するリザーバ23を備えている。キャビティ22の天蓋部24は可撓性膜25により移動可能となっており、天蓋部24と接合された圧電素子26の駆動により、液状体がノズル20から吐出される。尚、圧電素子26の駆動制御は、フレキシブル配線基板110を介して伝送される電気信号により、ノズル20ごとに行われる。
【0036】
フランジ部43とフランジ取付部32との重なり領域である接合部52において、フランジ部43の一面側(下面側)には、超音波溶着(詳しくは後述する)の際にその作用部となる溶着突起44(図3では、溶着により先端が潰された状態)が形成されている。溶着突起44は、フランジ部43の外周面43aに沿ってループを描くように形成されており、接合前においては仮想線で示すような断面三角形型の形状を有していたものである。また、フランジ部43の他面側(上面側)には、超音波溶着の際にホーン202(図4参照)を係合させるための係合手段としての係合孔47が形成されている。
【0037】
接合部52において、フランジ部43(液状体導入部材40)とフランジ取付部32(ケース30)との間には中間部材としての溶融樹脂51が介在している。この溶融樹脂51は、超音波溶着によってフランジ部43(液状体導入部材40)とフランジ取付部32(ケース30)の一部が溶融して形成されたものであり、両部材を接合すると共に導入流路46と供給流路33との接続部をシールする役割も果たしている。
【0038】
(超音波溶着装置の構成について)
次に、図4を参照して超音波溶着装置の構成について説明する。
図4は、超音波溶着装置の要部構成を示す図である。
【0039】
図4に示す超音波溶着装置200は、先に説明した液状体吐出ヘッド10(図2参照)のケースアセンブリ14の組み立てにおいて、ケース30と液状体導入部材40とを超音波溶着により接合する際に用いられるものである。この超音波溶着装置200は、振動子201、ホーン202を有する超音波発生モジュール203と、ホーン202と対向する円盤状のステージ204とを備えている。
【0040】
ステージ204は、図示を省略した筐体により、載置面204aに垂直な中心線を回転軸として回転可能に支持されている。そしてステージ204は、その下部に設けられた軸体205、駆動ギヤ206、サーボモータ207によって、制御部208の制御の下で回転駆動されるようになっている。すなわち、軸体205、駆動ギヤ206、サーボモータ207、制御部208は、本発明の回転駆動手段を構成している。
【0041】
ステージ204の載置面204aには、ケース30を位置決め状態で固定するための4つの位置決めピン209が、ケース30の下面側に形成された位置決め孔(図示せず)に対応するように設けられている。尚、位置決めピン209の載置面204aにおける設置位置は、溶着前のケースアセンブリ14が載置面204a上に載置された場合に、一方の液状体導入部材40(ケースアセンブリ14の向きを180度反転させて載置した場合には他方の液状体導入部材40)の中心線がステージ204の中心線にほぼ一致するようにされている。
【0042】
ホーン202は、制御部208の制御の下で発生させた超音波振動の共振体となっており、ステージ204上のケースアセンブリ14の液状体導入部材40に超音波振動を伝える役割を果たすものである。ホーン202の一端は、液状体導入部材40のフランジ部43に対応する径で円筒形状に形成されており、その中心線とステージ204および液状体導入部材40の各中心線とがほぼ一致するような位置関係とされている。
【0043】
超音波発生モジュール203は、図示を省略したリードスクリュー機構によって図の上下方向に移動可能となっており、ケースアセンブリ14がステージ204上に載置された状態において、ホーン202の端面202aをフランジ部43の上面に押し当てることができる。また、ホーン202の端面202aには、係合手段としての一対の係合突起202bがフランジ部43の一対の係合孔47に対応して形成されており、液状体導入部材40の中心線方向の回転位置を正しく合わせることで、ホーン202と液状体導入部材40とを係合させることができる。
【0044】
かくして、超音波溶着装置200は、制御部208の制御の下、ステージ204を回転させつつホーン202を介してフランジ部43に適切な押圧力および超音波振動を与えることができる。この工程において、ホーン202に係合された液状体導入部材40とステージ204上に固定されたケース30とは、その当接部(接合部)において互いに摺動しながら溶融化される。尚、詳細な説明は後ほど行う。
【0045】
(液状体吐出ヘッドの製造方法について)
次に、図2、図4、図5、図6、図7、図8を参照して液状体吐出ヘッドの製造方法(超音波溶着方法)について説明する。
図5は、ケースアセンブリの組み立て過程を示す斜視図である。図6は、ケースアセンブリの組み立て過程を示す部分断面図である。図7は、ケースアセンブリの組み立て工程を示すフローチャートである。図8は、超音波溶着の過程におけるステージの回転速度と超音波振動の発生タイミングとの関係を示す図である。
【0046】
図2に示す液状体吐出ヘッド10は、それぞれ別々に組み立てたケースアセンブリ14と吐出アセンブリ15と回路基板16とを集合させることで製造される。以下では、ケースアセンブリ14の組み立てについて、詳細に説明を行う。
【0047】
まず、図5に示すように、ケース30における供給流路33の連通口形成面34にフィルタ50を超音波溶着等により取り付け(図7の工程S1)、さらに、ガイド部31によりフランジ部43の外周面43aをガイドしつつ、液状体導入部材40のフランジ部43をケース30のフランジ取付部32上に配置する(図7のA工程S2)。この際、液状体導入部材40における中心線方向の回転位置は、フランジ部43に形成された係合孔47の位置とケース30のガイド部31の上面に設けられたマーク(図示せず)とが一致するように合わせられる。
【0048】
次の工程では、第1部材としての液状体導入部材40を取り付けた第2部材としてのケース30を、図4に示す超音波溶着装置200のステージ204上に載置する(図7の工程S3)。この際、ステージ204の回転位置は所定の原点位置に合わせられており、また先の工程S2において液状体導入部材40の回転位置がケース30を基準として合わせられていることから、液状体導入部材40の係合孔47は、ホーン202の係合突起202bと嵌合可能な位置に規定される。
【0049】
そして、超音波発生モジュール203を降下させて、フランジ部43の上面にホーン202を押し当てる。これにより、液状体導入部材40とホーン202とは、係合孔47と係合突起202bとの嵌合によって係合された状態となる(図6参照)。このように液状体導入部材40とホーン202とを係合させるのは、次の工程(図7のB工程S4)でステージ204を回転させた際に、ホーン202とフランジ部43との間で横滑りが生じ、液状体導入部材40がケース30と共に回転してしまうのを確実に防ぐためである。
【0050】
次に、ステージ204の回転駆動により、図6に示すように、フランジ取付部32をフランジ部43の溶着突起44に当接させた状態で中心線まわりの回転方向に摺動(回転摺動)させつつ、ホーン202からフランジ部43に超音波振動を与える(図7のB工程S4)。これにより溶着突起44とフランジ取付部32との当接部において摩擦熱が発生し、接合部52に溶融樹脂51(図3参照)が生成される。
【0051】
この工程S4においては、液状体導入部材40(フランジ部43)とケース30(フランジ取付部32)とは、その当接部において互いに摺動しながら溶融化される。このため、溶着突起44やフランジ取付部32の当接面の平滑性にムラがあったとしても、摺動によりこのようなムラの影響が緩和され、接合部52の全体にわたってムラなく溶着を行うことができる。かくして、かかる工程を経て製造された液状体吐出ヘッド10(図3参照)は、溶着部における接合強度、シール性に関して優れた信頼性を有している。
【0052】
上記工程S4において、ステージ204の回転駆動や超音波発生モジュール203の超音波振動の発生に係る制御は、制御部208の下で統括して行われ、このとき、ステージ204の回転速度と超音波振動の発生タイミングとの関係は、図8に示すようになる。すなわち、タイミングT1において超音波振動の発生と同時にステージ204の回転加速を行い、タイミングT2においてステージ204の回転が停止した後、タイミングT3まで予備的に超音波振動を発生させるようになっている。
【0053】
このように、ステージ204の回転駆動は、超音波発生モジュール203から超音波振動を発生させている間のタイミングにおいて行われる。これは、超音波振動発生前のタイミングでは溶着突起44とフランジ取付部32との当接面における摺動摩擦が大きすぎ、また、超音波振動発生後のタイミングでは溶融化した樹脂が固化して両部材が接合されてしまうことに鑑みたものである。尚、本実施形態においては、超音波溶着に要する時間(T1からT3までの時間)は0.5秒であり、この間におけるステージ204の回転角度は30度とされている。
【0054】
本発明は上述の実施形態に限定されない。
例えば、上述の実施形態ではステージ204上に載置したケース30を回転させて溶着を行う態様となっていたが、ケース30の固定の下、液状体導入部材40に係合させたホーン202(超音波発生モジュール203)を回転させて溶着を行うようにしてもよい。
また、液状体導入部材40とホーン202とを係合させる手段(係合手段)として、液状体導入部材40のフランジ部43に凸部を、ホーン202の端面202aに対応する凹部を設けるようにしてもよいし、凹凸を組み合わせた形状を両部材に設けるようにしてもよい。
また、本発明の超音波溶着方法は、上述したケースアセンブリの組み立てのほか、溶融可能な材料からなる部材を有する様々なアセンブリの組み立てに用いることができる。
また、実施形態の各構成はこれらを適宜組み合わせたり、省略したり、図示しない他の構成と組み合わせたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】液状体吐出装置の全体構成を示す図。
【図2】液状体吐出ヘッドの全体構成を示す図。
【図3】液状体導入部材の周辺構造を示す断面図。
【図4】超音波溶着装置の要部構成を示す図。
【図5】ケースアセンブリの組み立て過程を示す斜視図。
【図6】ケースアセンブリの組み立て過程を示す部分断面図。
【図7】ケースアセンブリの組み立て工程を示すフローチャート。
【図8】超音波溶着の過程におけるステージの回転速度と超音波振動の発生タイミングとの関係を示す図。
【符号の説明】
【0056】
10…液状体吐出ヘッド、14…ケースアセンブリ、30…基体(第1部材)としてのケース、31…ガイド部、32…フランジ取付部、33…供給流路、40…第1部材としての液状体導入部材、43…フランジ部、44…溶着突起、46…導入流路、47…係合手段としての係合孔、50…フィルタ、51…中間部材としての溶融樹脂、52…接合部、100…液状体吐出装置、200…超音波溶着装置、201…振動子、202…ホーン、202a…ホーンの端面、202b…係合手段としての係合突起、203…超音波発生モジュール、204…ステージ、204a…載置面、205…回転駆動手段を構成する軸体、206…回転駆動手段を構成する駆動ギヤ、207…回転駆動手段を構成するサーボモータ、208…回転駆動手段を構成する制御部、209…位置決めピン。
【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【出願日】 平成18年6月20日(2006.6.20)
【代理人】 【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉

【識別番号】100127661
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 一彦


【公開番号】 特開2008−899(P2008−899A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−169746(P2006−169746)