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【発明の名称】 シーリング・ポンプアップ装置
【発明者】 【氏名】吉田 真樹

【氏名】井上 裕介

【氏名】竹田 裕二

【要約】 【課題】押圧治具を治具挿入穴内へ挿入する際に、押圧治具の外周面に装着されたOリングが治具挿入穴の内周面に開口する空気供給口に引っ掛かって損傷することを防止する。

【構成】シーリング・ポンプアップ装置10では、空気供給路60の一端に設けられ治具挿入穴44の内周面に開口する空気供給口58の開口径が、Oリング72及びOリング96の素線直径よりも小さくされている。これにより、Oリング72、96が引っ掛かる可能性がある空気供給口58のエッジ部の幅を、Oリング72、96の素線直径よりも十分に小さいものにできると共に、Oリング72、96が治具挿入穴44の内周面に圧接した状態となって空気供給口58の内周側を通過する際に、外周側へ膨らむように形状変化(復元)したOリング72、96の一部が空気供給口58内へ嵌まり込む量を十分に少なくできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーリング剤を収容すると共に、該シーリング剤を吐出するための吐出口が形成された液剤容器と、
前記吐出口に連結され、該吐出口を介して容器内部と反対側に形成される給液室を備えた注入ユニットと、
前記注入ユニットに設けられ、前記注入ユニットの外部と前記給液室とを連通する治具挿入穴と、
一端が前記治具挿入穴内へ面するように開口し、他端が圧縮空気を供給するための空気供給源に接続された空気供給路と、
一端が前記給液室に連結され、他端が空気入りタイヤのバルブに接続可能とされる気液供給配管と、
前記注入ユニットの冶具挿入穴内を移動可能とされた押圧治具と、
一端が前記押圧治具の先端側に開口し、他端が前記押圧治具の外周面に開口し、前記押圧治具が前記治具挿入穴内を移動すると、一端が前記液剤容器内に連通し、他端が前記空気供給路と接続される治具連通路と、
前記押圧治具の外周面先端側に形成された溝部に装着され、前記押圧治具が前記治具挿入穴内へ挿入された状態で、前記押圧治具の外周面と前記治具挿入穴の内周面との間をシールするOリングと、
前記空気供給路の一端に設けられ、前記治具挿入穴の内周面に開口すると共に、前記Oリングの素線直径よりも開口径が小さくされた空気供給口と、
を有することを特徴とするシーリング・ポンプアップ装置。
【請求項2】
前記空気供給路における他端側の内径を前記Oリングの素線直径よりも大径とすると共に、前記空気供給路の一端部に、該空気供給路の他端側に対して内径を縮小する絞り部を設け、該絞り部の一端を前記空気供給口としたことを特徴とする請求項1記載のシーリング・ポンプアップ装置。
【請求項3】
前記空気供給路の一端部に複数の前記絞り部を設け、該複数の絞り部の一端をそれぞれ前記空気供給口としたことを特徴とする請求項2記載のシーリング・ポンプアップ装置。
【請求項4】
前記空気供給口の開口径を、前記Oリングの素線直径の95%以下としたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載のシーリング・ポンプアップ装置。
【請求項5】
前記治具挿入穴の内周面における入口側の端部に、内径が入口側から奥側へ向ってテーパ状に縮小する挿入ガイド面を形成したことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載のシーリング・ポンプアップ装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、パンクした空気入りタイヤをシールするためのシーリング剤を空気入りタイヤ内へ注入すると共に、空気入りタイヤ内に圧縮空気を供給して空気入りタイヤの内圧を昇圧するシーリング・ポンプアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」という。)がパンクした際に、タイヤ及びホイールを交換することなく、タイヤをシーリング剤により補修して所定の指定圧まで内圧をポンプアップするシーリング・ポンプアップ装置が普及している。この種のシーリング・ポンプアップ装置としては、例えば、特許文献1に記載されているものが知られている。
【0003】
特許文献1に示されたシーリング・ポンプアップ装置は、パンクシーリング剤が収容されかつその取出し口が破通可能な蓋部により密閉された収納部を取替可能に収納する液剤容器と、筒状の胴部を有するハウジング及び、胴部内に移動可能に配置されたピストン状の切換え具(押圧治具)とが設けられたユニット本体とを備えている。ハウジングの胴部には、圧縮空気源に通じる流入口(空気供給口)と、タイヤに通じる吐出口とが設けられている。また押圧治具は、胴部内で蓋部から離間した位置(後退位置)から先端破断部により蓋部を破断する位置(破断位置)まで移動可能とされている。
【0004】
特許文献1記載のシーリング・ポンプアップ装置では、押圧治具が後退位置にあると、押圧治具に形成された主連通路を通して流入口と吐出口とが連通し、圧縮空気源から胴部内へ供給された圧縮空気がタイヤ内へ供給される。
【0005】
特許文献1のシーリング・ポンプアップ装置では、押圧治具が破断位置にあると、押圧治具の主連通路を通して圧縮空気源から胴部内へ供給された圧縮空気が液剤容器内へ供給される。これにより、液剤容器内に形成された空気溜りの静圧によりシーリング剤が取出し口から押し出され、このシーリング剤が胴部内における胴部の内周面と押圧治具の外周面との間に形成される隙間及び吐出口を通してタイヤ内へ供給される。
【0006】
また特許文献1記載のシーリング・ポンプアップ装置では、液剤容器が押圧治具を作動させるための操作部として構成されており、押圧治具が後退位置にある状態で、使用者が液剤容器を下方へ押し込むことにより、この押圧力により押圧治具が液剤容器に対して上方へ相対移動して破断位置に達する。
【0007】
ところで、上記のようなシーリング・ポンプアップ装置では、ハウジングの内周面と押圧治具の外周面との間に隙間が生じると、この隙間を通してハウジングの内周面に開口した空気供給口から供給された圧縮空気が液剤容器内へ洩れ出し、あるいは液剤容器内からシーリング剤がユニット本体の外部へ洩れ出すおそれがある。このような不具合を防止するため、上記のようなシーリング・ポンプアップ装置では、通常、押圧治具の外周面における先端側に周方向へ延在する溝部を形成し、この溝部内にゴム製のOリングを装着し、このOリングをハウジングの内周面との間で圧縮状態とすることにより、ハウジングの内周面と押圧治具の外周面との間をシールすることが行われる。
【特許文献1】特開2005−199618号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のように、押圧治具の外周面に形成された溝部内にOリングを装着すると、押圧治具を後退位置から破断位置へ移動させる際に、押圧治具の移動途中にOリングがハウジングの内周面に開口する空気供給口の内周側を通過する。この際、Oリングがハウジングの内周面における空気供給口の周縁部(エッジ部)に引っ掛かり、Oリングに破断等の損傷が発生することがある。Oリングが破損すると、空気供給口から供給された圧縮空気が液剤容器内へ洩れ出すとため、圧縮空気が乱流となって液剤容器内のシーリング剤に気泡として混合され、この気泡が混合されたシーリング剤がタイヤバルブを通ってタイヤ内へ供給されることから、流路断面積が小さいタイヤバルブ内でシーリング剤の詰まりが発生し易くなり、また液剤容器内からシーリング剤がユニット本体の外部へ洩れ出すので、吐出口を通して液剤容器からタイヤへ供給されるシーリング剤の供給が不安定になる。
【0009】
本発明の目的は、上記事実を考慮して、押圧治具を治具挿入穴内を移動する際に、押圧治具の外周面に装着されたOリングが治具挿入穴の内周面に開口する空気供給口に引っ掛かって損傷することを効果的に防止できるシーリング・ポンプアップ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係るシーリング・ポンプアップ装置は、シーリング剤を収容すると共に、該シーリング剤を吐出するための吐出口が形成された液剤容器と、前記吐出口に連結され、該吐出口を介して容器内部と反対側に形成される給液室を備えた注入ユニットと、前記注入ユニットに設けられ、前記注入ユニットの外部と前記給液室とを連通する治具挿入穴と、一端が前記治具挿入穴内へ面するように開口し、他端が圧縮空気を供給するための空気供給源に接続された空気供給路と、一端が前記給液室に連結され、他端が空気入りタイヤのバルブに接続可能とされる気液供給配管と、前記注入ユニットの冶具挿入穴内を移動可能とされた押圧治具と、一端が前記押圧治具の先端側に開口し、他端が前記押圧治具の外周面に開口し、前記押圧治具が前記治具挿入穴内を移動すると、一端が前記液剤容器内に連通し、他端が前記空気供給路と接続される治具連通路と、前記押圧治具の外周面先端側に形成された溝部に装着され、前記押圧治具が前記治具挿入穴内へ挿入された状態で、前記押圧治具の外周面と前記治具挿入穴の内周面との間をシールするOリングと、前記空気供給路の一端に設けられ、前記治具挿入穴の内周面に開口すると共に、前記Oリングの素線直径よりも開口径が小さくされた空気供給口と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項1に係るシーリング・ポンプアップ装置では、Oリングが押圧治具の外周面先端側に形成された溝部に装着され、押圧治具が治具挿入穴内へ挿入された状態で、押圧治具の外周面と治具挿入穴の内周面との間をシールすることにより、治具挿入穴の内周面と押圧治具の外周面との間を通って、空気供給口から供給された圧縮空気が液剤容器内へ洩れ出し、この圧縮空気がシーリング剤に気泡として混合することを防止できると共に、液剤容器内からシーリング剤が注入ユニットの外部へ洩れ出すことを効果的に防止できる。
【0012】
また請求項1に係るシーリング・ポンプアップ装置では、空気供給路の一端に設けられ治具挿入穴の内周面に開口する空気供給口の開口径が、Oリングの素線直径よりも小さくされていることにより、Oリングが引っ掛かる可能性がある空気供給口のエッジ部の幅を、Oリングの素線直径よりも十分に小さいものにできると共に、Oリングが治具挿入穴の内周面に圧接した状態となって空気供給口の内周側を通過する際に、外周側へ膨らむように形状変化(復元)したOリングの一部が空気供給口内へ嵌まり込む量を十分に少なくできるので、押圧治具を治具挿入穴内へ挿入する際に、押圧治具に装着されたOリングが治具挿入穴の内周面における空気供給口のエッジ部に引っ掛かり、Oリングに損傷が発生することを効果的に防止できる。
【0013】
また本発明の請求項2に係るシーリング・ポンプアップ装置は、請求項1記載のシーリング・ポンプアップ装置において、前記空気供給路における他端側の内径を前記Oリングの素線直径よりも大径とすると共に、前記空気供給路の一端部に、該空気供給路の他端側に対して内径を縮小する絞り部を設け、該絞り部の一端を前記空気供給口としたことを特徴とする。
【0014】
また本発明の請求項3に係るシーリング・ポンプアップ装置は、請求項2記載のシーリング・ポンプアップ装置において、前記空気供給路の一端部に複数の前記絞り部を設け、該複数の絞り部の一端をそれぞれ前記空気供給口としたことを特徴とする。
【0015】
また本発明の請求項4に係るシーリング・ポンプアップ装置は、請求項1乃至3の何れか1項記載のシーリング・ポンプアップ装置において、前記空気供給口の開口径を、前記Oリングの素線直径の95%以下としたことを特徴とする。
【0016】
また本発明の請求項5に係るシーリング・ポンプアップ装置は、請求項1乃至4の何れか1項記載のシーリング・ポンプアップ装置において、前記治具挿入穴の内周面における入口側の端部に、内径が入口側から奥側へ向ってテーパ状に縮小する挿入ガイド面を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るシーリング・ポンプアップ装置によれば、押圧治具が治具挿入穴内を移動する際に、押圧治具の外周面に装着されたOリングが治具挿入穴の内周面に開口する空気供給口に引っ掛かって損傷することを効果的に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係るシーリング・ポンプアップ装置について説明する。
【0019】
(シーリング・ポンプアップ装置の構成)
図1には、本発明の一実施形態に係るシーリング・ポンプアップ装置が示されている。シーリング・ポンプアップ装置10は、自動車等の車両に装着された空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」という。)がパンクした際、そのタイヤ及びホイールを交換することなく、タイヤをシーリング剤により補修して所定の指定圧まで内圧を再加圧(ポンプアップ)するものである。
【0020】
図1に示されるように、シーリング・ポンプアップ装置10は外殻部としてケーシング11を備えており、このケーシング11の内部には、コンプレッサユニット12、注入ユニット20及び、この注入ユニット20に連結された液剤容器18が配置されている。
【0021】
コンプレッサユニット12には、その内部にモータ、エアコンプレッサ、電源回路、制御基板等が配置されると共に、電源回路からユニット外部へ延出する電源ケーブル14が設けられている。この電源ケーブル14の先端部に設けられたプラグ15を、例えば、車両に設置されたシガレットライターのソケットに差込むことにより、車両に搭載されたバッテリにより電源回路を通してモータ等へ電源が供給可能になる。ここで、コンプレッサユニット12は、そのエアコンプレッサにより修理すべきタイヤ100の種類毎に規定された指定圧よりも高圧(例えば、300kPa以上)の圧縮空気を発生可能とされている。
【0022】
図2に示されるように、シーリング・ポンプアップ装置10には、シーリング剤32を収容した液剤容器18及び、この液剤容器18が連結される注入ユニット20が設けられている。液剤容器18の下端部には、下方に突出する略円筒状の首部26が一体的に形成されている。首部26は、それよりも上端側の容器の本体部分よりも径が細く形成されている。首部26の開口端には、シーリング剤32を液剤容器18内に密封するためのアルミシール30が配置されている。アルミシール30は、外周縁部が首部26における開口周縁部に接着等により全周に亘って固着されている。また首部26の中間部には、外周側へ延出するように段差部28が形成されている。
【0023】
ここで、液剤容器18は、ガス遮断性を有する各種の樹脂材料やアルミ合金等の金属材料を素材として成形されている。また液剤容器18内には、シーリング・ポンプアップ装置10により修理すべきタイヤ100の種類、サイズ等に応じた規定量(例えば、200g〜400g)よりも若干多めのシーリング剤32が充填されている。なお、本実施形態の液剤容器18においては、空間を設けることなくシーリング剤32が隙間無く充填されているが、シーリング剤32の酸化、窒化等による変質を防止するため、出荷時にAr等の不活性ガスをシーリング剤32共に液剤容器18内へ若干量封入するようにしても良い。
【0024】
シーリング・ポンプアップ装置10では、液剤容器18を注入ユニット20の上側に直立した状態にすると、液剤容器18内のシーリング剤32が自重により、液剤容器18のアルミシール30を加圧した状態となる。
【0025】
図2に示されるように、注入ユニット20には、上端側が開口した略有底円筒状に形成されたユニット本体部34及び、このユニット本体部34の下端部から外周側へ延出する円板状の脚部36が一体的に設けられている。ユニット本体部34には、内周側に液剤容器18の首部26の下端側が挿入されると共に、上端面が首部26の段差部28にスピン溶着等の方法により溶着されている。
【0026】
ユニット本体部34内には、アルミシール30が突き破られると液剤容器18の内部と連通する略円柱状の加圧給液室40が設けられている。注入ユニット20には、ユニット本体部34の内周側に円筒状の内周筒部42が同軸的に形成されている。内周筒部42の中心部には、注入ユニット20の下端面と内周筒部42の上端面との間を貫通する断面円形の治具挿入穴44が形成されている。また注入ユニット20には、その下端面中央部に円形凹状の嵌挿凹部46が形成されており、この嵌挿凹部46の内径は治具挿入穴44の内径よりも大きくなっている。これにより、嵌挿凹部46の底面中央部には治具挿入穴44の下端が開口する。
【0027】
図4に示されるように、治具挿入穴44の内周面には、入口側の開口端部に内径が開口端から奥側へ向かってテーパ状に縮径する挿入ガイド面48が形成されている。この挿入ガイド面48は、後述する押圧治具82を治具挿入穴44内へ挿入する際に、押圧治具82の先端部を治具挿入穴44の奥側へガイドするために設けられている。
【0028】
シーリング・ポンプアップ装置10には、図1に示されるように、コンプレッサユニット12から延出する耐圧ホース50が設けられており、この耐圧ホース50は、その基端部がコンプレッサユニット12内のエアコンプレッサに接続されている。
【0029】
図4に示されるように、注入ユニット20には、内周筒部42の外周面からユニット本体部34を貫通して外周側へ延出する円筒状の空気供給管52が形成されている。この空気供給管52の外周側の先端部には、ニップル54を介して耐圧ホース50の先端部が接続されている。空気供給管52の基端部は、内周筒部42の外周面へ接合されており、内周筒部42の周壁部に穿設された複数個(本実施形態では、2個)の絞り部56を通して治具挿入穴44内へ連通している。
【0030】
内周筒部42の絞り部56は、それぞれ断面円形で内径が全長に亘って一定の貫通穴として形成されており、その内径が空気供給管52の内径よりも小さくなっている。絞り部56の内周端は、内周筒部42の内周面における中間部に開口し、内周筒部42の内周面に円形の空気供給口58を形成している。
【0031】
ここで、耐圧ホース50、空気供給管52及び絞り部56は、その内部の空間がエアコンプレッサにより圧縮空気を液剤容器18又はタイヤ100へ供給するための空気供給路60として構成されている。
【0032】
治具挿入穴44には、加圧給液室40側に穿孔部材62の軸部63が挿入されている。穿孔部材62には、軸部63の上端部に径方向外側へ拡径する円板状の穿孔部64が設けられている。穿孔部64の上面の外周端部には、アルミシール30を突き破りやすくするための突起状の刃部66が連続的に形成されている。軸部63の外周面には、治具挿入穴44内へ挿入された状態で、空気供給口58に対して上側及び下側となる部位にそれぞれ環状の嵌挿溝68及び嵌挿溝70が形成されており、これらの嵌挿溝68、70内には、ゴム製のOリング72が嵌挿されている。
【0033】
一対のOリング72は、軸部63が治具挿入穴44に挿入された状態で、それぞれ外周側の端部を治具挿入穴44の内周面へ全周に亘って圧接させている。これにより、治具挿入穴44は、空気供給口58の上側及び下側でそれぞれ軸部63及び一対のOリング72により密閉された状態となる。このとき、軸部63はOリング72と治具挿入穴44の内周面との摩擦により、治具挿入穴44の内部に保持される。この状態では、穿孔部64の先端面がアルミシール30の正面中央に対向しており、穿孔部64とアルミシール30との間には若干の隙間が存在している。
【0034】
図4に示されるように、注入ユニット20には、ユニット本体部34の周壁部を貫通するように円筒状の気液供給管74が一体的に形成されている。気液供給管74の外周側の先端部には、ニップル76を介してジョイントホース78の基端部が接続されている。ジョイントホース78の先端部には、タイヤ100のタイヤバルブ102に着脱可能に接続されるバルブアダプタ80が設けられている。また気液供給管74の基端側は加圧給液室40内へ挿入されている。これにより、ジョイントホース78は、気液供給管74を通して加圧給液室40内へ連通する。
【0035】
次に、シーリング・ポンプアップ装置10からシーリング剤32を吐出させる際に用いる押圧治具82について説明する。
【0036】
図4に示されるように、押圧治具82は、棒状の挿入部84と、挿入部84の一端部に形成された円板状のベース部86を備えている。挿入部84には、その先端面からベース部86側に向けて延び、中間部で複数本(例えば、2本)に分岐し、分岐した部分がそれぞれ外周側へ延出した治具連通路88が形成されている。挿入部84の外周面には、治具連通路88の開口部分に空気通路となる環状の連通溝90が形成されている。
【0037】
挿入部84の外周面には、連通溝90の上側及び下側にそれぞれ嵌挿溝92及び嵌挿溝94が形成されており、これら一対の嵌挿溝92、94には、それぞれOリング96が嵌挿されている。このOリング96は、穿孔部材62に配置されたOリング72と同一寸法及び素材のものが用いられている。
【0038】
押圧治具82には、挿入部84の基端部とベース部86との間に挿入部84よりも大径の嵌挿凸部98が一体的に形成されている。嵌挿凸部98は、その外径及び高さが注入ユニット20の下端面に形成された嵌挿凹部46の内径及び深さに対応するものになっている。これにより、図3に示されるように、挿入部84全体が治具挿入穴44内へ挿入されると、嵌挿凸部98が嵌挿凹部46内へ嵌挿される。このとき、嵌挿凸部98が嵌挿凹部46内へ圧入状態となって嵌挿されることにより、押圧治具82が摩擦力により挿入部84を治具挿入穴44内へ挿入された状態に保持される。
【0039】
挿入部84の長さH1(図4参照)は、治具挿入穴44の下端からアルミシール30までの寸法H2(図4参照)に対して若干長くなっている。これにより、押圧治具82の挿入部84全体が治具挿入穴44内へ挿入されると、図3に示されるように、穿孔部材62が確実に治具挿入穴44内から押し出され、液剤容器18内まで押し出されると共に、押圧冶具82の上端部が液剤容器18内へ挿入される。また挿入部84全体が治具挿入穴44内へ挿入された状態では、挿入部84の連通溝90と空気供給口58とが軸方向に沿って一致する。これにより、連通溝90を介して空気供給路60が押圧治具82の治具連通路88と連通する。
【0040】
また一対のOリング96は、挿入部84が治具挿入穴44に挿入された状態で、それぞれ外周側の端部を治具挿入穴44の内周面へ全周に亘って圧接させている。これにより、治具挿入穴44は、空気供給口58の上側及び下側でそれぞれ挿入部84及び一対のOリング96により密閉された状態となる。
【0041】
なお、シーリング・ポンプアップ装置10では、図4に示されるように、Oリング72、96の素線直径をそれぞれL1とした場合、治具挿入穴44の内周面に開口する空気供給口58の開口径R1がL1の95%以下となるように設定されている。
【0042】
またシーリング・ポンプアップ装置10では、空気供給管52の内径に対して内径が絞られた絞り部56を内周筒部42に形成し、この絞り部○○の開口端を空気供給口58とすることにより、空気供給口58の開口径R1をOリング72、96の素線直径L1よりも小さくしているが、このような絞り部56を設けることなく、空気供給管52の内周側に設けられる空気供給路60の内径を全長に亘って素線直径L1よりも小径とすることにより、内周筒部42の内周面に開口する空気供給口の内径を素線直径L1よりも小さくしても良い。
【0043】
(シーリング・ポンプアップ装置の作用)
次に、本実施形態に係るシーリング・ポンプアップ装置10を用いてパンクしたタイヤ100を修理する作業手順を説明する。
【0044】
タイヤ100にパンクが発生した際には、先ず、作業者は、ジョイントホース78のバルブアダプタ80をタイヤ100のタイヤバルブ102にねじ止めし、ジョイントホース78を通して加圧給液室40をタイヤ100内へ連通させる。
【0045】
次いで、作業者は、押圧治具82の挿入部84をシーリング・ポンプアップ装置10の治具挿入穴44に挿入し、押圧治具82のベース部86を注入ユニット20の脚部36へ突き当てると共に、押圧治具82の嵌挿凸部98を注入ユニット20の嵌挿凹部46内へ圧入する。これにより、挿入部84で押された穿孔部材62の穿孔部50Bがアルミシール30を突き破って容器内に押し込まれ、挿入部84が容器内に進入する。
【0046】
このとき、押圧治具82は、挿入部84の外周面に配置された一対のOリング96を治具挿入穴44の内周面に圧接させつつ、挿入部84を治具挿入穴44の入口側の端部から奥側へ移動させ、その移動途中に、挿入部84の上側に配置されたOリング96を空気供給口58の内周側を通過させる。また穿孔部材62も、軸部63の外周面に配置された一対のOリング96を治具挿入穴44の内周面に圧接させつつ、軸部63を治具挿入穴44内から出口側の端部へ移動させ、その移動途中に、軸部63の下側に配置されたOリング72を空気供給口58の内周側を通過させる。
【0047】
その後、脚部36が下、液剤容器18が上になるようにシーリング・ポンプアップ装置10を、例えば路面の上等に配置する。
【0048】
押圧治具82の挿入部84を注入ユニット20の治具挿入穴44に挿入すると、図3に示されるように、挿入部84の先端部が内周筒部42の先端から突出すると共に、穿孔部材62によりアルミシール30が開けられた孔31に正対する。また孔31を通して液剤容器18内のシーリング剤32が加圧給液室40へ流出する。
【0049】
そして、図3に示す状態、即ち、注入ユニット20の上側に液剤容器18が位置するように注入ユニット20及び液剤容器18を保持しつつ、コンプレッサユニット12を作動させる。コンプレッサユニット12により発生した圧縮空気は、空気供給路60及び治具連通路88を通して液剤容器18内に供給される。
【0050】
圧縮空気が液剤容器18内に供給されると、この圧縮空気が液剤容器18内でシーリング剤32上方へ浮上し、液剤容器18内のシーリング剤32上に空間(空気層)を形成する。この空気層からの空気圧により加圧されたシーリング剤32は、アルミシール30に開けられた孔31を通して加圧給液室40へ供給され、加圧給液室40内からジョイントホースを通って空気入りタイヤ100内へ注入される。
【0051】
なお、液剤容器18内のシーリング剤32が全て排出された後は、加圧給液室40内のシーリング剤32が加圧されてジョイントホース78を通って空気入りタイヤ100内へ供給される。その後、加圧給液室40及びジョイントホース78から全てのシーリング剤32が吐出されると、圧縮空気は液剤容器18、加圧給液室40、及びジョイントホース78を介してタイヤ100内へ注入される。
【0052】
次に、作業者は、コンプレッサユニット12に設けられた圧力ゲージ79によりタイヤ100の内圧が指定圧になったことを確認したならば、コンプレッサユニット12を停止し、バルブアダプタ80をタイヤバルブ102から取り外す。
【0053】
作業者は、タイヤ100の膨張完了後一定時間内に、シーリング剤32が注入されたタイヤ100を用いて一定距離に亘って予備走行する。これにより、タイヤ100内部にシーリング剤32が均一に拡散し、シーリング剤32がパンク穴に充填されてパンク穴を閉塞する。予備走行完了後に、作業者は、タイヤ100の内圧を再測定し、必要に応じて再びジョイントホース78のバルブアダプタ80をタイヤバルブ102にねじ止めし、コンプレッサユニット12を再作動させてタイヤ100を規定の内圧まで加圧する。これにより、タイヤ100のパンク修理が完了し、このタイヤ100を用いて一定の距離範囲内で一定速度以下(例えば、80Km/h以下)での走行が可能になる。
【0054】
本実施形態のシーリング・ポンプアップ装置10では、Oリング96が押圧治具82の外周面に形成された嵌挿溝92、94にそれぞれ嵌挿され、押圧治具82の挿入部84が治具挿入穴44内へ挿入された状態で、挿入部84の外周面と治具挿入穴44の内周面との間をシールすることにより、治具挿入穴44の内周面と挿入部84の外周面との間を通って、空気供給口58から供給された圧縮空気が液剤容器18内へ洩れ出し、又は液剤容器18内からシーリング剤32が注入ユニットの外部へ洩れ出すことを効果的に防止できる。
【0055】
またシーリング・ポンプアップ装置10では、空気供給路60の一端に設けられ治具挿入穴44の内周面に開口する空気供給口58の開口径が、Oリング72及びOリング96の素線直径よりも小さくされていることにより、Oリング72、96が引っ掛かる可能性がある空気供給口58のエッジ部の幅を、Oリング72、96の素線直径よりも十分に小さいものにできると共に、Oリング72、96が治具挿入穴44の内周面に圧接した状態となって空気供給口58の内周側を通過する際に、外周側へ膨らむように形状変化(復元)したOリング72、96の一部が空気供給口58内へ嵌まり込む量を十分に少なくできる。
【0056】
この結果、押圧治具82の挿入部84を治具挿入穴44内へ挿入する際に、挿入部84に装着された上側のOリング96が治具挿入穴44の内周面に形成される空気供給口58のエッジ部に引っ掛かり、上側のOリング96に破断等の損傷が発生することを効果的に防止できる。また押圧治具82の挿入部84により穿孔部材62の軸部63を治具挿入穴44内から押し出す際に、軸部63に装着された下側のOリング72が治具挿入穴44の内周面に形成された空気供給口58のエッジ部に引っ掛かり、下側のOリング72に破断等の損傷が発生することも効果的に防止できる。
【0057】
なお、上記のように、Oリング72、96が治具挿入穴44の内周面に形成される空気供給口58のエッジ部に引っ掛かることを防止する効果を確実に得るためには、Oリング72、96の素材となるゴムの種類によっても変化するが、空気供給口58の開口径R1をOリング72、96の素線直径L1の95%以下とすることが望ましい。
【0058】
またシーリング・ポンプアップ装置10では、治具挿入穴44の入口側の端部にテーパ状の挿入ガイド面48が形成されていることにより、押圧治具82の挿入部84が治具挿入穴44内へ挿入され、移動する際に、挿入部84に装着された上側及び下側のOリング96が治具挿入穴44の内周面における入口側の端部に引っ掛かり、上側及び下側のOリング96に破断等の損傷が発生することも効果的に防止できる。
【実施例】
【0059】
[具体例]
以上説明した本実施形態に係るシーリング・ポンプアップ装置10における注入ユニット20、穿孔部材62及び押圧治具82の各部寸法の一例を説明する。
【0060】
図4に示されるように、挿入ガイド面48の傾斜角をD、挿入ガイド面48と治具挿入穴44との繋ぎ目の曲率半径をRr、空気供給口58の開口径をR1、治具挿入穴44の内径をR2、押圧治具82の挿入部84の外径をR3、挿入部84の嵌挿溝92、94底面における外径をR4、Oリング72、96の素線直径をL1とする。
【0061】
ここで、上記の各部寸法は、例えば、次のように設定されている。
【0062】
傾斜角D=30°
曲率半径Rr=1±0.1mm
開口径R1=1.5±0.1mm
内径R2=9.0±0.1mm
外径R3=8.8±0.1mm
外径R4=5.9±0.1mm
素線直径L1=1.9±0.1mm
[試験例]
環境温度が変化する条件(−30℃、20℃及び70℃)下で、素線直径L1=1.9±0.1mmのOリング96を押圧治具82に装着し、空気供給口58の開口径R1を0.5mmから4.0mmまで段階的に変化させつつ、押圧治具82を治具挿入穴44内へ挿入する試験を行った結果を[表1]に示す。
【0063】
[表1]には、挿入後に上側のOリング96の状態が評価(評価記号:○、×及び△)として示されており、評価記号○は、挿入後にOリング96に目視にて破損が発生していないことを示し、評価記号△は、挿入後にOリング96に目視にてシール性能に影響を与えない程度の軽微な傷が発生していることを示し、評価記号×は、挿入後にOリング96に目視にてシール性能に悪影響を与えるような損傷が発生していることを示している。
【0064】
なお、NBR製のOリング96については、−20℃の環境下では硬化の影響で挿入部84を治具挿入穴44内へ挿入することができなかった。このため、該等する欄に評価記号が示されていない。
【0065】
【表1】



【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施形態に係るシーリング・ポンプアップ装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示されるシーリング・ポンプアップ装置における液剤容器、注入ユニット及び押圧治具の構成を示す断面図である。
【図3】押圧治具を挿入した液剤容器、及び注入ユニットの断面図である。
【図4】液剤容器、注入ユニット及び押圧治具の拡大図である
【符号の説明】
【0067】
10 シーリング・ポンプアップ装置
18 液剤容器
20 注入ユニット
26 首部
30 アルミシール(シール部材)
32 シーリング剤
40 加圧給液室
44 治具挿入穴
48 挿入ガイド面
50 耐圧ホース(空気供給路)
52 空気供給管(空気供給路)
56 絞り部
58 空気供給口
60 空気供給路
62 穿孔部材
74 気液供給管(気液供給配管)
78 ジョイントホース(気液供給配管)
82 押圧治具
84 挿入部
86 ベース部
88 治具連通路
100 タイヤ
【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【出願日】 平成18年6月20日(2006.6.20)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳

【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳

【識別番号】100085279
【弁理士】
【氏名又は名称】西元 勝一

【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志


【公開番号】 特開2008−896(P2008−896A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−169632(P2006−169632)