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【発明の名称】 ゴム被覆装置及びゴム被覆コードの製造方法
【発明者】 【氏名】齋藤 純一

【要約】 【課題】コードにゴムを被覆して口金から押し出すゴム被覆装置の停止時に、口金からゴムが流出するのを防止し、ゴム被覆コードにゴムの塊が生じるのを防止する。

【構成】ゴム被覆ヘッドのゴム流路12に繋がる口金54から、コード10の経路に沿って可動口金21と固定口金22を配置する。可動口金21は、コード10の外周部と接する貫通孔を形成した部材を上下方向に2分割して形成し、駆動手段23によりコード10と垂直な方向に移動可能とする。ゴム被覆時には、可動口金21の各分割部をコード10から離してゴム押出経路を開放し、コード10とともにゴムを押し出して固定口金22の開口部22Aで所定断面に形成する。装置停止時には、可動口金21の内径部21Aをコード10に接触させてゴム押出経路を閉鎖し、ゴム押出経路からのゴムの流出を防止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム被覆ヘッドと、該ゴム被覆ヘッドのゴム吐出口に設けられた口金と、コードを前記ゴム被覆ヘッドに供給して前記口金のゴム押出経路を通過させるコード供給手段とを備え、前記口金のゴム押出経路から前記コードとともにゴムを押し出して該コードにゴムを被覆するゴム被覆装置であって、
前記ゴム押出経路を開放及び閉鎖する経路開閉手段と、
前記ゴム被覆動作停止時に前記口金のゴム押出経路を閉鎖し、前記ゴム被覆動作時に開放するよう前記経路開閉手段を制御する制御装置と、
を備えたことを特徴とするゴム被覆装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたゴム被覆装置において、
前記経路開閉手段は、前記ゴム押出経路を開放及び閉鎖自在な可動口金と、
該可動口金を駆動して前記ゴム押出経路を開放及び閉鎖させる駆動手段と、
からなることを特徴とするゴム被覆装置。
【請求項3】
請求項2に記載されたゴム被覆装置において、
前記可動口金のゴム押出経路の下流側に、前記口金の開口部と同じ断面形状の開口部を有する固定口金を備えたことを特徴とするゴム被覆装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載されたゴム被覆装置において、
前記可動口金は、前記口金のゴム押出経路の下流側に隣接して配置され、前記駆動手段により、その中心孔が前記コードの断面形状に対応した小孔となる縮小位置と、それよりも大きな大孔となる拡大位置との間で拡縮変位するよう駆動制御されることを特徴とするゴム被覆装置。
【請求項5】
請求項4に記載されたゴム被覆装置において、
前記可動口金は、前記中心孔から外方に向かって変位自在な複数の分割片からなり、各分割片がそれぞれ前記駆動手段により駆動制御されることを特徴とするゴム被覆装置。
【請求項6】
請求項4に記載されたゴム被覆装置において、
前記可動口金は、前記中心孔の延在方向に互いに隣接配置され、かつ前記中心孔から外方に向かって回転変位自在な複数の分割片からなり、各分割片がそれぞれ前記駆動手段により駆動制御されることを特徴とするゴム被覆装置。
【請求項7】
ゴム被覆ヘッドにコードを供給し、該ゴム被覆ヘッドのゴム吐出口に設けられた口金のゴム押出経路から前記コードとともにゴムを押し出し、該コードにゴムを被覆してゴム被覆コードを製造するゴム被覆コードの製造方法であって、
前記ゴム被覆動作停止時に前記口金のゴム押出経路を閉鎖する工程と、
前記ゴム被覆動作時に前記口金のゴム押出経路を開放する工程とを有し、
前記ゴム被覆動作停止時に前記口金からのゴムの流出を防止することを特徴とするゴム被覆コードの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、スチールや有機繊維等からなるコードと共にゴムを押し出してコードの周囲にゴムを被覆するゴム被覆装置及びゴム被覆コードの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コードにゴムを被覆したゴム被覆コードは、例えば空気入りタイヤやコンベアベルト、ホース等のゴム工業製品の補強部材として広く使用されている。従来、このようなゴム被覆コードを製造する装置として、被覆ゴムを連続して押出成形する押出機等を使用し、そのゴム流路にコードを連続供給してゴムをコードの周囲に被覆するゴム被覆装置が普及している。
【0003】
図8は、このような従来のゴム被覆装置の要部を示す斜視図である。
このゴム被覆装置は、図示のように、所定の速度でゴムを供給する押出機1(図では先端のみ示す)と、押出機1の先端(ゴム吐出口)に設けられたギアポンプ3と、ギアポンプ3に連結されたゴム被覆ヘッド5とを備え、それぞれの内部に形成された空間を連通させて連続したゴム流路を形成している。
【0004】
押出機1は、略円筒状のシリンダ2A内でスクリュ2Bを回転させ、シリンダ2A内に供給されるゴム材料を混練・加熱しながらゴム吐出口方向(ギアポンプ3方向)に向かって移送する。ギアポンプ3は、内部のゴム流路を挟んで設けられた一対のギア3Aを回転させて、押出機1のゴム吐出口から押し出されたゴム(図の矢印P)を、ゴム被覆ヘッド5内部のゴム流路12に所定の速度で供給する(図の矢印Q)。ゴム被覆ヘッド5は、コード供給手段(図示せず)から供給(図の矢印S)される1本又は複数本(図では1本)のコード10を、一方の側面から導入して対向する他方の側面から外部に送出し、その際に、コード10の周囲にゴムを被覆して連続的にゴム被覆コード11を製造する。なお、コード10が複数本の場合には、それぞれのコード10の周囲にゴムを被覆して複数本のゴム被覆コード11を同時に製造する。
【0005】
このゴム被覆ヘッド5として、従来、内部にコード10を通過させる通路を形成するとともに、ゴム流路12をコード10の通路の両側、例えば上下方向から通路に向かって合流するように形成し、コード10の通路の出口部に設けられた口金からコード10とともにゴムを押し出して被覆する、いわゆるインシュレーション方式のゴム被覆ヘッド5が知られている(特許文献1参照)。
【0006】
図9は、特許文献に記載されたものではないが、このインシュレーション方式のゴム被覆ヘッド5の例を示す、図8のB−B矢視断面図である。なお、以下ではコード10の移動方向(図の矢印S方向)を前方、逆方向(図では右方向)を後方として説明する。
このゴム被覆ヘッド5は、図示のように、断面が上下略対称に構成されており、前部ヘッド51A及び後部ヘッド51Bからなるヘッド本体51と、その内部に保持されたインサータ52、インサータホルダ53、及び口金54等を備える。
【0007】
前部ヘッド51Aには、略中央部を前後方向に貫通する嵌合孔(ここでは断面略円形の孔)が形成されており、略円筒状の口金54が嵌挿されて固定されている。一方、後部ヘッド51Bには、略中央部を前後方向に貫通する段付きの嵌合孔(ここでは断面略円形の孔)が形成されており、その嵌合孔の前方側の大径部には、略円筒状のインサータ52を保持するインサータホルダ53が嵌挿されて固定されている。また、各ヘッド51A、51Bの合わせ面の後部ヘッド51B側には、ギアポンプ3を介して押出機1から供給されるゴムを、口金54まで導くゴム流路12が、口金54に向かって上下方向から垂直に又は傾斜して(図は垂直な場合の例を示す)形成されている。
【0008】
インサータ52には、略軸芯を前後方向に貫通するコード通路52Aが形成されており、後部ヘッド51Bの貫通孔51Cを通して供給(図の矢印S)されるコード10を所定位置に保持して通過させて、ゴム流路12の合流部まで導く。一方、口金54は、ゴム流路12の合流部を挟んでインサータ52と所定距離を隔てて配置され、その略軸芯には、前後方向に貫通する開口部54Aが形成されている。インサータ52のコード通路52Aを通過して供給されるコード10は、口金54の開口部54Aから、ゴム被覆ヘッド5の外部に送出される。
【0009】
図10は、以上のように構成されるゴム被覆ヘッド5の口金54及びインサータ52を拡大して示す斜視図である。
このゴム被覆ヘッド5では、図示のように、コード10をインサータ52のコード通路52Aを通過させ、ゴム流路12の合流部を横断させてゴムを被覆し、その後、口金54の開口部54Aを通過させて被覆ゴムを所定の断面形状に形成する。このとき、ゴム流路12内のゴムの圧力とコード10の移動速度を所定の値に制御し、口金54の開口部54Aから押し出すゴム量を所定量に維持して、ゴム被覆コード11の断面形状を一定に維持する。
【0010】
従って、このゴム被覆ヘッド5によれば、所定の断面形状のゴム被覆コード11を連続して効率的に製造することができる。
ところが、このような構造のゴム被覆ヘッド5では、ゴム被覆装置の定常運転時には、ゴム被覆コード11の断面形状を安定して成形できるものの、ゴム被覆動作の停止及び再起動時にゴム被覆コード11にゴムの塊(ダマ)が生じることがある。
【0011】
図11は、このゴムの塊が生じる過程を示す図10のC−C矢視断面図である。
ゴム被覆装置を停止させると、図11Aに示すように、コード10の供給が停止されてゴム被覆コード11も停止するが、ゴム流路12内のゴムには所定の圧力がかかっているため、ゴムが口金54の開口部54Aから押し出されて流出し、その出口にゴムの塊13が形成される。ここで、口金54の開口部54Aは、ゴム被覆コード11の断面形状に合わせて、コード10よりも大径に形成されるのに対し、インサータ52のコード通路52Aは、コード10の位置を一定に維持する必要があるため、コード10の円滑な通過を阻害しない程度にコード10よりも僅かに大きく形成されている。従って、ゴム流路12内のゴムは、より大きな口金54の開口部54Aから主に押し出される。
【0012】
このゴムの塊13は、停止時間に応じて、ある程度の大きさまで徐々に成長して冷却され、ゴム被覆装置の再起動によりコードの供給が再開されると、図11Bに示すように、ゴムの塊13を有するゴム被覆コード11が次工程等に搬送される。このようなゴム被覆コード11を、例えばタイヤの補強部材として使用した場合には、ゴムの塊13の周囲に空気が入り込む等して、ゴム同士の接合不良やエア溜まり等が生じる恐れがある。一方、このような問題を防止するため、ゴムの塊13又はその部分のゴム被覆コード11を取り除く場合には、時間と手間を要し生産性が低下するという問題が生じる。
【0013】
【特許文献1】特開2003−11205号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、コードにゴムを被覆して口金から押し出し、ゴム被覆コードを製造するゴム被覆動作を停止させた際に、口金からゴムが流出するのを防止し、ゴム被覆コードにゴムの塊が生じるのを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1の発明は、ゴム被覆ヘッドと、該ゴム被覆ヘッドのゴム吐出口に設けられた口金と、コードを前記ゴム被覆ヘッドに供給して前記口金のゴム押出経路を通過させるコード供給手段とを備え、前記口金のゴム押出経路から前記コードとともにゴムを押し出して該コードにゴムを被覆するゴム被覆装置であって、前記ゴム押出経路を開放及び閉鎖する経路開閉手段と、前記ゴム被覆動作停止時に前記口金のゴム押出経路を閉鎖し、前記ゴム被覆動作時に開放するよう前記経路開閉手段を制御する制御装置と、を備えたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載されたゴム被覆装置において、前記経路開閉手段は、前記ゴム押出経路を開放及び閉鎖自在な可動口金と、該可動口金を駆動して前記ゴム押出経路を開放及び閉鎖させる駆動手段と、からなることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2に記載されたゴム被覆装置において、前記可動口金のゴム押出経路の下流側に、前記口金の開口部と同じ断面形状の開口部を有する固定口金を備えたことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項2または3に記載されたゴム被覆装置において、前記可動口金は、前記口金のゴム押出経路の下流側に隣接して配置され、前記駆動手段により、その中心孔が前記コードの断面形状に対応した小孔となる縮小位置と、それよりも大きな大孔となる拡大位置との間で拡縮変位するよう駆動制御されることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項4に記載されたゴム被覆装置において、前記可動口金は、前記中心孔から外方に向かって変位自在な複数の分割片からなり、各分割片がそれぞれ前記駆動手段により駆動制御されることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項4に記載されたゴム被覆装置において、前記可動口金は、前記中心孔の延在方向に互いに隣接配置され、かつ前記中心孔から外方に向かって回転変位自在な複数の分割片からなり、各分割片がそれぞれ前記駆動手段により駆動制御されることを特徴とする。
請求項7の発明は、ゴム被覆ヘッドにコードを供給し、該ゴム被覆ヘッドのゴム吐出口に設けられた口金のゴム押出経路から前記コードとともにゴムを押し出し、該コードにゴムを被覆してゴム被覆コードを製造するゴム被覆コードの製造方法であって、前記ゴム被覆動作停止時に前記口金のゴム押出経路を閉鎖する工程と、前記ゴム被覆動作時に前記口金のゴム押出経路を開放する工程とを有し、前記ゴム被覆動作停止時に前記口金からのゴムの流出を防止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、コードにゴムを被覆して口金から押し出し、ゴム被覆コードを製造するゴム被覆動作を停止させた際に、口金からゴムが流出するのを防止することができ、ゴム被覆コードにゴムの塊が生じるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態のゴム被覆装置は、上記した従来のゴム被覆装置(図8参照)と同様に構成され、インシュレーション方式の前記従来のゴム被覆ヘッド5(図9参照)を用いて、例えばタイヤの補強部材等として使用されるゴム被覆コード11を製造するが、これに、ゴム被覆動作の停止時に口金54の開口部54Aからゴムが流出するのを防止する機能を付加している。
【0018】
即ち、本実施形態のゴム被覆装置は、被覆ゴムを供給するゴム供給手段(ここでは、押出機1)(図8参照)と、押出機1のゴム吐出口に設けられたギアポンプ3と、ギアポンプ3に連結されたゴム被覆ヘッド5とを備え、それぞれの内部に形成された空間を連通させて、押出機1が押し出す被覆ゴムをギアポンプ3を介してゴム被覆ヘッド5(ゴム流路12)に供給する。
【0019】
ゴム被覆ヘッド5(図9参照)は、上下方向からコード10に向かって合流するゴム流路12と、ゴム流路12を挟んで配置された、コード10の通過位置を所定位置に維持するインサータ52、及びゴム被覆ヘッド5のゴム吐出口に設けられた口金54等を備え、コード供給手段(図示せず)により供給(図の矢印S)される1本又は複数本(ここでは1本)のコード10を、インサータ52のコード通路52A(図10参照)を通過させて、ゴム流路12の合流部を横断させてゴムを被覆する。その後、口金54の開口部54Aを通過させて、被覆ゴムを開口部54Aの出口部の断面形状に対応した所定の断面形状に形成する。
【0020】
本実施形態のゴム被覆装置は、以上の構成に加えて、口金54のゴム押出経路の下流側に隣接して、ゴム流路12から押し出されるゴムのゴム押出経路を開閉自在な可動式の口金(以下、可動口金という)等からなる経路開閉手段を設けている。
【0021】
図1は、本実施形態のゴム被覆装置の要部(経路開閉手段20付近)を拡大して示す模式図であり、上記した図11(図10のC−C矢視断面図)に対応して、インサータ52、口金54、及び可動口金21等を断面で示す。また、図2は、可動口金21を軸方向から見た正面図である。
【0022】
本実施形態のゴム被覆装置は、図1に示すように、コード10の経路に沿って、口金54のゴム押出経路の下流側に隣接して配置された可動口金21と、可動口金21の下流側に隣接して配置された固定式の口金22(以下、固定口金22という)とを備え、これら一連の各口金54、21、22の内径部に形成されたゴム押出経路に、コード10を通過させてゴム被覆装置の外部に送出する。また、このゴム被覆装置は、可動口金21と、可動口金21に連結された駆動手段23と、駆動手段23に接続された制御装置24等からなるゴム押出経路を開放及び閉鎖するための経路開閉手段20を有する。
【0023】
可動口金21は、図1、2に示すように、略軸芯に前後方向に貫通する中心孔を有する円筒状部材を、中心孔の回りで複数の分割片(図では上下半円筒状の2つの分割片)に分割して形成され、各分割片の分割面を接触させた状態(図1B、図2B)から、所定間隔だけ離した状態(図1A、図2A)まで、中心孔から外方に向かって変位自在となっている。この可動口金21の中心孔の内径部21Aは、可動口金21の分割面を接触させたときに、コード10の断面形状に対応した大きさ(ここでは、コード10の外径部に接する大きさ)に形成されており、その状態で、口金54の開口部54Aから続くゴム押出経路を閉鎖(図1B、図2B)するようになっている。一方、固定口金22は、ゴム押出経路の形状が変化しない通常の口金であり、図1に示すように、上記した口金54の開口部54Aと同じ断面形状の開口部22Aが形成され、開口部22Aを通過するゴム被覆コード11の被覆ゴムを開口部22Aから押し出す際に、被覆ゴムの断面形状を開口部22Aの出口部の断面形状に対応した所定形状に形成する。
【0024】
駆動手段23は、可動口金21の各分割片のそれぞれに連結された、例えばピストンシリンダ機構等の軸方向(ここでは垂直方向)に伸縮可能なアクチュエータ等からなり、可動口金21の各分割片をコード10の移動方向と垂直(図では上下方向)に外方に向かって変位(移動)させる。制御装置24は、駆動手段23を制御するためのものであり、ゴム被覆装置の制御装置を併用してもよく、又は独立して設けてもよい。この制御装置24は、例えば、各種のデータ処理や解析、演算等を行うマイクロプロセッサ(MPU)等の演算手段や、各種プログラムを格納したROM、処理のための一時的なデータの保存等を行うRAMを備えたマイクロコンピュータ、及び外部機器(ここでは駆動手段23等)との接続のための各種インターフェース等を有する。これらにより経路開閉手段20は、可動口金21を駆動して前記分割面を接触及び離間させ、その中心孔がコード10の断面形状に対応した小孔となる縮小位置と、それよりも大きな大孔となる拡大位置との間で拡縮変位させ、ゴム押出経路を開放及び閉鎖するようになっている。
【0025】
ここで、本実施形態の可動口金21及び固定口金22は、例えばゴム被覆ヘッド5内に組み込んで従来の口金54と併設してもよく、又は、各口金21、22を内部に固定して保持するホルダ(図示せず)を、前部ヘッド51A(図9参照)に固定する等してゴム被覆ヘッド5に取り付けてもよい。ゴム被覆ヘッド5内に組み込む場合には、ヘッド本体51のゴム吐出先端部に、可動口金21を変位可能に収容する各口金21、22の設置スペースを形成し、かつ駆動手段23と可動口金21とを連結する連結部材23Aを挿入する挿入孔を形成し、連結部材23Aをシール部材等を介して可動口金21に連結する。また、前記ホルダにより取り付ける場合には、ホルダに、上記と同様の各口金21、22の設置スペース及び連結部材23Aの挿入孔を形成するとともに、前部ヘッド51Aに取り付けられた状態で、固定口金22の開口部22A(ゴム出口部付近)以外を密閉できるようにして各隙間からのゴムの漏洩を防止する。
【0026】
このゴム被覆装置を起動してコード10にゴムを被覆するゴム被覆動作時には、経路開閉手段20を駆動し、ゴム流路12から開口部54Aを通って押し出されるゴムのゴム押出経路を開放する。具体的には、可動口金21の各分割片を駆動手段23により変位させて、その分割面が所定距離だけ離れた状態(図1A、図2A参照)に維持する。このとき、可動口金21の内径部21A間の上下方向の距離が、他の口金54、22の開口部54A、22Aの直径(図1A参照)と略同一距離になるように保持する。
【0027】
この状態で、コード10の移動(図1の矢印S)及びゴムの供給(図1の矢印T)を行うと、上記したように、コード10にゴムが被覆されてゴム被覆コード11が連続して製造される。このとき、被覆ゴムは、初めに、ゴム押出経路(コード10の移動経路)の上流側に位置する固定式の口金54の開口部54Aで所定の断面形状に形成されるが、可動口金21の内径部21Aを通過するときに、その内径部21Aに接触したり、或いは、分割面間の隙間(図2A参照)に膨出する等して断面形状が変化することがある。しかし、被覆ゴムは、次に通過する固定口金22の開口部22Aにより再び成形され、一連のゴム押出経路を通過したゴム被覆コード11は、所定の断面形状に形成される。
【0028】
以上のようにゴム被覆動作を行うゴム被覆装置の停止時には、経路開閉手段20を駆動してゴム押出経路を閉鎖し、口金54からのゴムの流出を防止する。具体的には、コード10の供給停止に連動して、駆動手段23により可動口金21の各分割片を変位させて、その分割面を接触(図1B、図2B)させる。このとき、可動口金21の中心孔の内径部21Aとコード10の外径部が接し、ゴム押出経路が閉鎖(開口部54Aのゴム出口部が封鎖)され、これにより、開口部54Aを通ってゴム流路12からゴムが流出するのを防止する。
【0029】
その後、ゴム被覆装置を再起動してゴム被覆動作を再開する時には、経路開閉手段20を駆動してゴム押出経路を再び開放(図1A、図2A)するが、この開放とコード10の供給再開を同時に行うと、コード10の可動口金21の内径部21Aに挟まれた部分に、ゴムが被覆されない未被覆部分が形成される。そこで、このゴム被覆装置では、再起動時に、例えばゴム押出経路を開放して所定時間経過してからコード10の供給を再開する等して、未被覆部分のコード10にゴムを被覆する。即ち、ゴム押出経路を開放して口金54の開口部54Aから、ゴムを可動口金21の内径部21Aに所定量流出させ、コード10の未被覆部分にゴムを被覆してからコード10の供給を再開する。このコード10の未被覆部分に新たに被覆されたゴムは、固定口金22の開口部22Aを通過するときに、所定の断面形状に形成される。
【0030】
従って、本実施形態によれば、ゴム被覆動作の停止時に、ゴム押出経路(口金54の開口部54Aのゴム出口部)を閉鎖できるため、ゴム流路12からゴム押出経路を通ってゴムが外部に流出するのを防止することができ、ゴム被覆コード11にゴムの塊(図11参照)が生じるのを防止することができる。加えて、ゴム被覆装置の再起動時には、コード10の供給再開とゴム押出経路開放のタイミングをずらす等して、停止時に生じたコード10の未被覆部分にゴムを被覆できるため、コード10に未被覆部分が生じるのを防止することもできる。
【0031】
ここで、本実施形態のゴム被覆装置では、スチールや銅等からなる金属ワイヤの単線や撚り線、又は有機繊維の撚り線等、その種類を問わず種々の紐状部材(コード)にゴムを被覆することができ、従って、本発明のコード10には、上記した種々のコードを含む。
【0032】
なお、本実施形態では、ゴム押出経路の閉鎖時に、可動口金21の中心孔の内径部21Aとコード10の外径部が接するように中心孔を形成したが、中心孔は、コード10との間からゴムが流出しない程度の大きさに、コード10の断面形状に対応して形成されていればよい。また、可動口金21を略円筒状に形成したが、可動口金21及び内径部21Aの形状は、コード10の形状及びゴム被覆コード11の断面形状等に対応して、他の形状に形成してもよく、それらに合わせて分割位置も他の位置に形成してもよい。
【0033】
更に、可動口金21は、以上説明した2分割以外に、例えば周方向に3以上に分割して各分割片を径方向に進退させる等、より多数の変位自在な部分に分割してもよい。
図3は、可動口金21を4分割した場合の例を示す軸方向から見た正面図である。
この可動口金21は、図示のように、軸線を中心として放射状(ここでは十字状)に切断して形成され、各分割片のそれぞれに径方向に変位させる駆動手段(図示せず)が連結されている。この可動口金21は、ゴム押出経路の閉鎖時には、各分割片の分割面を接触させて中心孔20を縮小し、内径部21Aをコード10の外径部に接触(図3B)させる。その状態から、ゴム被覆時には、各分割片を放射状に外方に向かって変位させて内径部21Aを拡大(図3A)し、ゴム被覆コード11を通過させる。
【0034】
また、上記した経路開閉手段20では、可動口金21をコード10の移動方向と垂直に変位させてゴム押出経路の開閉を行ったが、例えば可動口金21の各分割片を連動して斜めに変位させる等、他の方向の移動により経路の開閉を行うようにしてもよい。
図4は、可動口金21を斜めに変位させて開閉を行う経路開閉手段20の例を示す模式図である。
【0035】
この経路開閉手段20では、図示のように、可動口金21の外形を、口金54側に向かって徐々に縮径する円錐台状に形成し、その外周側に、内周面が可動口金21の外周面と摺接し、可動口金21の各分割片の移動を案内するガイド部材25を設けている。また、可動口金21の各分割片をガイド部材25の内周面に沿って移動させる駆動手段23を、可動口金21の各分割片(図2、3参照)に連結し、かつ駆動手段23に制御装置24を接続し、可動口金21を固定口金22と接する位置(中心孔の拡大位置)から他方側の口金54と接する位置(中心孔の縮小位置)まで移動させ、可動口金21の中心孔を拡縮変位させる。この経路開閉手段20は、コード10にゴムを被覆するゴム被覆動作時には、可動口金21を固定口金22側に移動(図4A)させてゴム押出経路を開放する。一方、ゴム被覆動作の停止時には、可動口金21を口金54側に移動(図4B)させて各分割片を斜め外方に向かって変位させ、ゴム押出経路を閉鎖してゴム押出経路からのゴムの流出を防止する。
【0036】
以上説明した各可動口金21は、複数に分割された各分割片を接近及び離間させてゴム押出経路を開閉したが、次に、中心孔(ゴム押出経路)が拡縮自在な可動口金を用いてゴム押出経路を開閉する場合の例を説明する。
【0037】
図5は、この場合の経路開閉手段30の可動口金31を概略的に示す模式図であり、図5A、Bは可動口金31の軸方向から見た正面図、図5C、Dは側面図である。
この可動口金31は、カメラの絞りに使用される構造と同様の構造を有し、図示のように、複数(図では3)枚の分割片である絞り板31Aから構成される。各絞り板31Aは、可動口金31の軸方向に螺旋状並んで配置され、軸方向に互いに一部重なり合って内径部31Bに可動口金31を貫通する中心孔を形成する。また、各絞り板31Aは、螺旋状に延びる各接触面を摺接させて、前記中心孔から径方向の外方に向かって回転変位し、中心孔の内径部31Bがコード10の外径部に接触する状態(縮小位置)(図5A、C)と、それらの間に所定の間隔が生じる状態(拡大位置)(図5B、D)との間で回転変位自在となっている。即ち、可動口金31は、中心孔の延在方向に互いに隣接配置された各絞り板31A(分割片)を駆動して、中心孔の内径部31Bの大きさを変化(拡径・縮径)させて、ゴム押出経路の開閉を行う。
【0038】
図6は、この可動口金31等を有する経路開閉手段30を取り付けたゴム被覆装置の要部を拡大して示す模式図である。
この経路開閉手段30は、図示のように、可動口金31を口金54のゴム押出経路の下流側に配置するとともに、可動口金31に、その中心孔(内径部31B)の大きさを変化させる駆動手段32を連結し、かつ上記した制御装置24と同様に構成される制御装置33を、駆動手段32に接続し、駆動手段32を制御して可動口金31の内径部31Bを拡径及び縮径させる。
【0039】
この経路開閉手段30は、コード10へのゴム被覆動作時には、可動口金31の内径部31Bを拡径(図5B、D参照)させてゴム押出経路を開放し、口金54の開口部54Aから押し出されるゴムをコード10とともに通過させて、可動口金31の内径部31Bで被覆ゴムを所定の断面形状に形成する。一方、ゴム被覆動作停止時には、図6に示すように、可動口金31の内径部31Bを縮径(図5A、C参照)させてゴム押出経路を閉鎖し、ゴムの流出を防止する。これにより、ゴム被覆コード11にゴムの塊(図11参照)が生じるのを防止する。
【0040】
ここで、上記した分割型の可動口金21(図2、3参照)の場合には、可動口金21の分割面間の隙間にゴムが膨出する等してゴム被覆コード11の断面形状が変化する恐れがあるため、可動口金21に続いて固定口金22を設けたが、この可動口金31では、中心孔の内径部31Bに連通する隙間は形成されず、ゴムの膨出等が生じないため、固定口金22を省略することができる。
【0041】
なお、以上の各実施形態では、1本のコード10にゴムを被覆するゴム被覆装置を例に採り説明したが、本発明は、複数本のコード10にゴムを被覆して、複数本のゴム被覆コード11を同時に製造するゴム被覆装置にも適用することができる。
【0042】
図7は、このようなゴム被覆装置に設ける経路開閉手段の要部を、可動口金の軸方向から見た模式図である。
この経路開閉手段40では、図示のように、複数本(図では3本)のゴム被覆コード11を同時に製造するゴム被覆装置の、各口金(図示せず)(図1参照)の開口部のそれぞれに、可動口金(ここでは、図2に示す可動口金21)を隣接して配置し、可動口金21に続いて固定口金(図示せず)を配置する。また、各可動口金21に、可動口金21の各分割片を同時に変位させる駆動手段41を連結部材42を介して連結し、駆動手段41に上記した制御装置24と同様の制御装置43を接続する。
【0043】
この経路開閉手段40は、制御装置43により駆動手段41を制御して可動口金21の各分割片を連動して変位させ、上記と同様に、ゴム押出経路を開閉してゴム被覆装置の停止時にゴム押出経路からゴムが流出するのを防止し、ゴム被覆コード11にゴムの塊が生じるのを防止する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施形態のゴム被覆装置の要部を拡大して示す模式図である。
【図2】本実施形態の可動口金を軸方向から見た正面図である。
【図3】可動口金を4分割した場合の例を示す軸方向から見た正面図である。
【図4】可動口金を斜めに変位させて開閉を行う経路開閉手段の例を示す模式図である。
【図5】他の実施形態の経路開閉手段の可動口金を概略的に示す模式図である。
【図6】図5の可動口金等を有する経路開閉手段を取り付けたゴム被覆装置の要部を拡大して示す模式図である。
【図7】複数本のコードに同時にゴムを被覆するゴム被覆装置に設ける経路開閉手段の要部を示す模式図である。
【図8】従来のゴム被覆装置の要部を示す斜視図である。
【図9】従来のインシュレーション方式のゴム被覆ヘッドの断面図である。
【図10】従来のゴム被覆ヘッドの口金及びインサータを拡大して示す斜視図である。
【図11】ゴムの塊が生じる過程を示す図10のC−C矢視断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1・・・押出機、2A・・・シリンダ、2B・・・スクリュ、3・・・ギアポンプ、3A・・・ギア、5・・・ゴム被覆ヘッド、10・・・コード、11・・・ゴム被覆コード、12・・・ゴム流路、13・・・ゴムの塊、20・・・経路開閉手段、21・・可動口金、21A・・・内径部、22・・・固定口金、22A・・・開口部、23・・・駆動手段、23A・・・連結部材、24・・・制御装置、25・・・ガイド部材、30・・・経路開閉手段、31・・・可動口金、31A・・・絞り板、31B・・・内径部、32・・・駆動手段、33・・制御装置、40・・・経路開閉手段、41・・・駆動手段、42・・・連結部材、43・・・制御手段、51・・・ヘッド本体、51A・・・前部ヘッド、51B・・・後部ヘッド、51C・・・貫通孔、52・・・インサータ、52A・・・コード通路、53・・・インサータホルダ、54・・・口金、54A・・・開口部。
【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【出願日】 平成18年6月20日(2006.6.20)
【代理人】 【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司


【公開番号】 特開2008−895(P2008−895A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−169595(P2006−169595)