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【発明の名称】 密閉式混練機の運転方法
【発明者】 【氏名】松本 真一

【要約】 【課題】混練初期から後期まで、混練材料の粘度変化を考慮した密閉式混練機の運転方法を提供すること。

【構成】チャンバー1の内周面1aとロータ翼32の先端部との間に形成されるチップクリアランスCの大きさを、ロータ3のロータ軸31の軸方向の中央部と両端部とに差を持たせるように構成し、混練初期から中期までは、ロータ3のロータ軸31の軸方向の中央部Waと両端部Wb、Wcとのうちチップクリアランスが大となる部分に混練材料を送る方向にロータ3を回転させ、混練後期には、ロータ3の回転を反転させて、ロータ3のロータ軸31の軸方向の中央部Waと両端部Wb、Wcとのうちチップクリアランスが小となる部分に混練材料を送るようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバー内に取り付けられたロータ軸に複数のロータ翼を有する一対のロータを配設し、前記ロータ翼を、ロータ軸の軸方向中央部近傍を境に捩れ方向が逆となるように構成するとともに、ロータを1の方向に回転させることによって、混練材料がロータの軸方向の中央部に集まるように前記捩れ方向を決定し、投入する混練材料をロータの回転によって混練する密閉式混練機の混練方法において、チャンバーの内周面とロータ翼の先端部との間に形成されるチップクリアランスの大きさを、ロータの軸方向の中央部と両端部とに差を持たせるように構成し、混練初期から中期までは、ロータの軸方向の中央部と両端部とのうちチップクリアランスが大となる部分に混練材料を送る方向にロータを回転させ、混練後期には、ロータの回転を反転させて、ロータの軸方向の中央部と両端部とのうちチップクリアランスが小となる部分に混練材料を送るようにしたことを特徴とする密閉式混練機の運転方法。
【請求項2】
チップクリアランスの大きさを、ロータの軸方向の中央部より両端部が小さくなるように構成し、対となるロータのうち、側面視左側のロータを時計回りに、右側のロータを反時計回りに回転させることによって混練材料がロータの軸方向の中央部に集まるようにロータ翼の捩れ方向を決定し、投入する混練材料をロータの回転によって混練する密閉式混練機の運転方法であって、混練初期から中期までは、側面視左側のロータを時計回りに、右側のロータを反時計回りに回転させることによって、チップクリアランスが大となる中央部に混練材料を送り、混練後期には、ロータの回転を反転させて、チップクリアランスが小となる両端部に混練材料を送るようにしたことを特徴とする密閉式混練機の運転方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム、プラスチック等の高粘度の材料の混練を行うための密閉式混練機に関し、特に、混練材料を収納するチャンバーと、このチャンバーの上部を閉鎖する加圧蓋と、チャンバー内に取り付けられたロータ軸にロータ翼を有する一対のロータとを備えた密閉式混練機の運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴム、プラスチック等の高粘度の材料の混練を行うための密閉式混練機として、図7〜図8に示すように、混練材料を収納するチャンバー1と、このチャンバー1の上部を閉鎖する加圧蓋2と、チャンバー1内に回転可能に取り付けられたロータ軸31にロータ翼32を有する一対のロータ3とを備えた密閉式混練機が実用化されている。
この密閉式混練機は、チャンバー1の内周面1aとロータ翼32の先端部との間に形成されるチップクリアランスCの大きさを、チャンバー1の全内周面1aに亘って一定となるようにしていた。
そして、密閉式混練機による混練においては、チップクリアランスC内を混練材料が通過することにより、混練材料に高剪断力を与えることができる。この高剪断力によって、混練材料の粘度を低下させ、混練材料内への配合剤の混入を速めるとともに、配合剤二次凝集体の解砕微粒子化を行い、混入する配合剤の高分散を促進するものである。
ところで、混練材料の粘度は、混練初期では高く、混練後期には低くなっていく傾向があり、チップクリアランスCの大きさが一定の場合、チップクリアランスCが大きいときには、混練初期の配合剤の混入は早いものの、混練後期においては配合剤の高分散が劣ることとなり、逆に、チップクリアランスCが小さいときには、逆の現象が起こるという問題があった。
【0003】
一方、混練材料の良好な混練と分散ができるとともに、過剰な温度上昇を防止することを目的に、ロータ翼の半径をロータの軸方向に変化させることによって、ロータの軸方向に異なる複数(大、中、小)のチップクリアランスを出現させるように構成した混練機も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、この密閉式混練機は、混練初期の混練材料が高粘度のときには、チップクリアランス[大]や[中]で混練されることにより配合剤の混入を早めることができ、また、混練後期の混練材料が低粘度のときには、チップクリアランス[小]で混練されることにより配合剤の高分散を促進することができる反面、混練初期から混練後期にかけてチップクリアランス[大]及び[中]と、チップクリアランス[小]とが同じ頻度で出現するように構成されているため、混練初期の混練材料が高粘度のときにも、ほぼ同じ割合の混練材料がチップクリアランス[小]で混練されることになり、また同様に、混練後期の混練材料が低粘度のときにも、ほぼ同じ割合の混練材料がチップクリアランス[大]及び[中]で混練されることになり、混練の効率が悪いという問題があった。
【特許文献1】特許第3135056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来の密閉式混練機の運転方法の有する問題点に鑑み、混練初期から後期まで、混練材料の粘度変化を考慮した密閉式混練機の運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本第1発明の密閉式混練機の運転方法は、チャンバー内に取り付けられたロータ軸に複数のロータ翼を有する一対のロータを配設し、前記ロータ翼を、ロータ軸の軸方向中央部近傍を境に捩れ方向が逆となるように構成するとともに、ロータを1の方向に回転させることによって、混練材料がロータの軸方向の中央部に集まるように前記捩れ方向を決定し、投入する混練材料をロータの回転によって混練する密閉式混練機の混練方法において、チャンバーの内周面とロータ翼の先端部との間に形成されるチップクリアランスの大きさを、ロータの軸方向の中央部と両端部とに差を持たせるように構成し、混練初期から中期までは、ロータの軸方向の中央部と両端部とのうちチップクリアランスが大となる部分に混練材料を送る方向にロータを回転させ、混練後期には、ロータの回転を反転させて、ロータの軸方向の中央部と両端部とのうちチップクリアランスが小となる部分に混練材料を送るようにしたことを特徴とする。
ここで、「ロータ軸の軸方向中央部近傍」とは、ロータ軸の軸方向の中央位置から両側にロータ軸の軸方向の長さの1/6程度の長さの範囲をいう。
【0006】
また、本第2発明の密閉式混練機の運転方法は、チップクリアランスの大きさを、ロータの軸方向の中央部より両端部が小さくなるように構成し、対となるロータのうち、側面視左側のロータを時計回りに、右側のロータを反時計回りに回転させることによって混練材料がロータの軸方向の中央部に集まるようにロータ翼の捩れ方向を決定し、投入する混練材料をロータの回転によって混練する密閉式混練機の運転方法であって、混練初期から中期までは、側面視左側のロータを時計回りに、右側のロータを反時計回りに回転させることによって、チップクリアランスが大となる中央部に混練材料を送り、混練後期には、ロータの回転を反転させて、チップクリアランスが小となる両端部に混練材料を送るようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の密閉式混練機の運転方法によれば、チャンバーの内周面とロータ翼の先端部との間に形成されるチップクリアランスの大きさを、ロータの軸方向の中央部と両端部とで異なるように構成し、混練初期から中期までは、ロータの軸方向の中央部と両端部とのうちチップクリアランスが大となる部分に混練材料を送る方向にロータ軸を回転させ、混練後期には、ロータの回転を反転させて、ロータの軸方向の中央部と両端部とのうちチップクリアランスが小となる部分に混練材料を送るようにすることにより、混練材料の粘性が高く、変形が困難な混練初期から中期においては、チップクリアランスが大となる部分に混練材料をロータ翼によって積極的に移動させながら混練を行い、混練後期において、混練材料の粘度が低下したときには、ロータの回転を反転させて、チップクリアランスが小となる部分に混練材料を積極的に送り込むようにし、混練後期の低粘度化した混練材料であっても、混練材料に高剪断力を与え、配合剤二次凝集体の解砕微粒子化を進め、配合剤の高分散化を短時間で行うことができるようにしている。
【0008】
また、チップクリアランスの大きさを、ロータの軸方向の中央部より両端部が小さくなるように構成し、対となるロータのうち、側面視左側のロータを時計回りに、右側のロータを反時計回りに回転させることによって混練材料がロータの軸方向の中央部に集まるようにロータ翼の捩れ方向を決定し、投入する混練材料をロータの回転によって混練するようにすることにより、粘度の高い混練初期から中期にかけて、混練材料を噛み込むように中央に集めながら混練することができ、混練初期から中期における配合剤の高分散化を効率よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の密閉式混練機の運転方法の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
なお、本発明の運転方法に用いる密閉式混練機については、従来装置と同様の構造については同一の符号、一連の符号を付し説明を省略する。
【実施例1】
【0010】
図1〜図5に、本発明の密閉式混練機の運転方法に用いる密閉式混練機の第1実施例を示す。
この密閉式混練機は、ゴム、プラスチック等の高粘度の材料の混練を行うためのもので、混練材料を収納するチャンバー1と、このチャンバー1の上部を閉鎖する加圧蓋2と、チャンバー1内に回転可能に取り付けられたロータ軸31にロータ翼32を有する一対のロータ3とを備えている。
【0011】
そして、この密閉式混練機においては、図1に示すように、チャンバー1の内周面1aとロータ翼32の先端部との間に形成されるチップクリアランスの大きさを、ロータ3のロータ軸31の軸方向の中央部Waより両端部Wb、Wcが小さくなるように、すなわち、中央部WaのチップクリアランスCaと、両端部Wb、WcのチップクリアランスCb、Ccとの間に、Ca>Cb、Ca>Ccの関係が成立するようにしている。両端部Wb、WcのチップクリアランスCb、Ccは、同じクリアランスとすることが好ましい。
【0012】
なお、本実施例においては、ロータ3のロータ軸31の軸方向の中央部WaのチップクリアランスCaと、両端部Wb、WcのチップクリアランスCb、Ccとを、それぞれ一定とすることにより、ロータ3のロータ軸31の軸方向の中央部Wa及び両端部Wb、Wcが、それぞれロータ軸31の軸と平行となり、その結果、図1に示すように、チャンバー1の内周面1aの中央部Waと両端部Wb、Wcとの間に段差(略45°の短い傾斜面)が生じるようになっているが、例えば、チャンバー1の内周面1aの中央部Waと両端部Wb、Wcとをなだらかな傾斜面で接続することによって、中央部Waから両端部Wb、Wcにかけて連続してチップクリアランスが次第に小さくなるようにすることもでき、これによって、混練材料の円滑な移動を可能にすることができる。
【0013】
また、ロータ3のロータ軸31の軸方向の中央部WaのチップクリアランスCaと、両端部Wb、WcのチップクリアランスCb、Ccとに差を持たせるために、ロータ翼32の先端部の半径をロータ軸31の軸方向において一定とした螺旋形状のロータ翼32に対して、チャンバー1の内周面1aのロータ軸31の軸方向の中央部側を大きく凹欠させるようにしたが、これとは逆に、ロータ軸31の軸方向の中心線からチャンバー1の内周面1aまでの半径をロータ軸31の軸方向において一定とし、螺旋形状のロータ翼32の先端部の半径を変化させてロータ軸31の軸方向の中央部側が小(チップクリアランス大)、両端部側が大(チップクリアランス小)となるように形成することもできる。
【0014】
そして、本発明の密閉式混練機の運転方法では、図4に示す、ロータ3の展開図におけるロータ翼32の捩れ角度によって、矢符A方向(側面視左側のロータ3を時計回り、右側のロータ3を反時計回り)にロータ3を回転(以下、「正回転」という。)させることによって、混練材料は、R方向に移動する。このR方向は、対となるロータ3が噛み合う方向(対となるロータ3によって移動される材料がぶつかり合う方向)に材料を移動させるRy方向と、ロータ軸31の軸方向の中央部Waに向かうRx方向とに分解され、ロータ3の正回転において混練材料は、中央部Waに集まりながら混練される。
【0015】
また、図5に示すように、ロータ3を正回転と逆方向(矢符B方向(側面視左側のロータ3を反時計回り、右側のロータ3を時計回り))に回転(以下、「逆回転」という。)させることによって、混練材料は、L方向に移動する。このL方向は、対となるロータ3がチャンバー1の噛み合い部から外側の側壁方向に材料を移動させるLy方向、すなわち、ロータ3の回転方向と、ロータ軸31の軸方向の両端部Wb、Wcに向かうLx方向とに分解され、ロータ3の逆回転において混練材料は、両端部Wb、Wcに集まりながら混練される。
【0016】
以下、図1に基づいて、本実施例の密閉式混練機の具体例を示す。
Wa=1/2W、Wb=Wc=1/4W
Ca=10mm、Cb(=Cc)=4mm
ここで、W:チャンバー1のロータ軸31の軸方向の寸法である。
なお、上記の値は、これに限定されるものでなく、密閉式混練機の大きさ、混練材料の種類等に応じて、適宜変更することができる。
【0017】
上記構成において、本発明の密閉式混練機の運転方法は、混練初期から中期までは、ロータ3のロータ軸31の軸方向の中央部Waと両端部Wb、Wcとのうちチップクリアランスが大となる中央部Waに材料が集まるようにロータ3を正回転させ、混練後期には、ロータ3のロータ軸31の軸方向の中央部Waと両端部Wb、Wcとのうちチップクリアランスが小となる両端部Wb、Wcに混練材料が集まるようにロータ3を逆回転させるように密閉式混練機を運転する。
これによって、混練初期から中期、そして、混練材料の粘度が低下する混練後期においても、混練材料に高剪断力を付与し、配合剤の高分散化を行うことができる。
【実施例2】
【0018】
図6に、本発明の密閉式混練機の運転方法に用いる密閉式混練機の第2実施例を示す。
この密閉式混練機は、ロータ3のロータ軸31の軸方向の中央部WaのチップクリアランスCaと、両端部Wb、WcのチップクリアランスCb、Ccとの差を、中央部Waより両端部Wb、Wcが大きくなるように、すなわち、中央部WaのチップクリアランスCaと、両端部Wb、WcのチップクリアランスCb、Ccとの間に、Ca<Cb、Ca<Ccの関係が成立するようにしたものである。
【0019】
そして、ロータ翼32の捩れ方向を、第1実施例と同様の方向にした場合、混練初期から中期までは、ロータ3のロータ軸31の軸方向の中央部Waと両端部Wb、Wcとのうちチップクリアランスが大となる両端部Wb、Wcに混練材料が集まるようにロータ3を逆回転させ、混練後期には、ロータ3のロータ軸31の軸方向の中央部Waと両端部Wb、Wcとのうちチップクリアランスが小となる中央部Waに材料が集まるようにロータ3を正回転させるように密閉式混練機を運転する。
【0020】
なお、ロータ翼32の捩れ方向を、図4〜図5に示す方向と逆方向(図中、上下のロータを入れ替えた方向)とし、ロータ3を正回転させるときに、両端部Wb、Wcに混練材料が集まるようにし、逆回転のときに、中央部Waに材料が集まるようするときは、第1実施例と同様に、混練初期から中期までは、ロータ3を正回転させ、混練後期にはロータ3を逆回転させて運転することもできる。
【0021】
以上、本発明の密閉式混練機の運転方法について、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の密閉式混練機の運転方法は、混練初期から後期まで、混練材料の粘度変化を考慮した密閉式混練機の運転方法を提供するものであることから、混練材料の良好な混練と分散を目的とする場合に好適に用いることができ、この運転方法を実施する密閉式混練機も、新規のものに限定されず、例えば、既存の密閉式混練機のチャンバーの内周面を追加加工すること等によっても対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の密閉式混練機の運転方法を実施する密閉式混練機の第1実施例を示す正面断面図である。
【図2】同図1のX−X断面図(部分断面図)である。
【図3】同図1のY−Y断面図(部分断面図)である。
【図4】正回転のときの混練材料の移動方向を示すロータの展開図である。
【図5】逆回転のときの混練材料の移動方向を示すロータの展開図である。
【図6】本発明の密閉式混練機の運転方法を実施する密閉式混練機の第2実施例を示す正面断面図である。
【図7】従来の密閉式混練機を示す側面断面図である。
【図8】同平面断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 チャンバー
2 加圧蓋
3 ロータ
31 ロータ軸
32 ロータ翼
【出願人】 【識別番号】595057720
【氏名又は名称】株式会社モリヤマ
【出願日】 平成18年9月12日(2006.9.12)
【代理人】 【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治


【公開番号】 特開2008−68433(P2008−68433A)
【公開日】 平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願番号】 特願2006−246677(P2006−246677)