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【発明の名称】 密閉式混練機及びその冷却方法
【発明者】 【氏名】福田 裕之

【要約】 【課題】一定の冷却水供給能力内で、ジャケット構造としたチャンバ、加圧蓋及びロータを介して、混練材料を最適に冷却することができる密閉式混練機を提供すること。

【構成】チャンバ1、加圧蓋2及びロータ3、3をジャケット構造とし、ジャケット構造のジャケットJ1、J2、J3に冷却水を通水することによって混練材料を冷却するようにした密閉式混練機において、加圧蓋2の上下方向の位置を検出する検出器6と、この検出器6によって検出した加圧蓋2の上下方向の位置に合わせて、チャンバ1、加圧蓋2及びロータ3、3のジャケットJ1、J2、J3に通水する冷却水の水量を制御するアクチュエータA1、A2、A3の制御機構7とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混練材料を収容するチャンバと、チャンバの上部開口部に上下方向に摺動可能に挿入される加圧蓋と、チャンバに収容された混練材料を混練する並列した2本のロータとを備え、前記チャンバ、加圧蓋及びロータをジャケット構造とし、該ジャケット構造のジャケットに冷却水を通水することによって混練材料を冷却するようにした密閉式混練機において、加圧蓋の上下方向の位置を検出する検出器と、該検出器によって検出した加圧蓋の上下方向の位置に合わせて、前記チャンバ、加圧蓋及びロータのジャケットに通水する冷却水の水量を制御するアクチュエータの制御機構とを備えたことを特徴とする密閉式混練機。
【請求項2】
混練材料を収容するチャンバと、チャンバの上部開口部に上下方向に摺動可能に挿入される加圧蓋と、チャンバに収容された混練材料を混練する並列した2本のロータとを備え、前記チャンバ、加圧蓋及びロータをジャケット構造とし、該ジャケット構造のジャケットに冷却水を通水することによって混練材料を冷却するようにした密閉式混練機の冷却方法において、検出器によって検出した加圧蓋の上下方向の位置に合わせて、前記チャンバ、加圧蓋及びロータのジャケットに通水する冷却水の水量を制御することを特徴とする密閉式混練機の冷却方法。
【請求項3】
加圧蓋の上下方向の位置が予め設定した所定位置より低下し、かつ、上下動の幅が所定の範囲内になった場合に、加圧蓋のジャケットに通水する冷却水の水量の割合を増大させることを特徴とする請求項2記載の密閉式混練機の冷却方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム、プラスチック等の高粘度の材料の混練を行うための密閉式混練機及びその冷却方法に関し、特に、一定の冷却水供給能力内で、ジャケット構造としたチャンバ、ロータ及び加圧蓋を介して、混練材料を最適に冷却するようにした密閉式混練機及びその冷却方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴム、プラスチック等の高粘度の材料の混練を行うための密閉式混練機として、図5〜図6に示すような、混練材料を収納するチャンバ1と、このチャンバ1の上部を閉鎖する加圧蓋2と、チャンバ1内に回転可能に取り付けられたロータ軸31にロータ翼32を有する一対のロータ3、3とを備えた密閉式混練機が実用化されている。
ところで、この種の密閉式混練機を用いて高粘度の材料の混練を行った場合、混練材料に付与されるせん断力によって混練材料が発熱し、次第に混練材料の粘度が低下する。そして、混練材料の粘度が低下すると、混練材料に十分なせん断力を与えることができず、フィラーの分散不良が生じたり、加硫剤、促進剤等の配合剤を添加する混練においては、混練材料の昇温は、混練材料の加熱による化学反応を起こし、成形時の加工不良の原因ともなる。
そのため、この種の密閉式混練機においては、チャンバ1、加圧蓋2、ロータ3、3をジャケット構造とし、このジャケット構造のジャケットJ1、J2、J3に冷却水を通水することによって、混練時の混練材料の昇温を抑制するようにしている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
ところで、この密閉式混練機で混練される混練材料は、混練の開始から終了までの間で、その状態は刻々と変化し、特に、加圧蓋2の伝熱面2aと混練材料との接触状態は大きく変化する。
すなわち、混練初期において混練材料は、粘度が大きく、弾性的で、ロータ3、3の回転によって加圧蓋2を大きく上下動させる。したがって、混練初期において、加圧蓋2の伝熱面2aと混練材料との実際の接触面積は小さい。
そして、混練が進むと混練材料の粘度(弾性)が低下し、ロータ3、3の回転による加圧蓋2の上下動が小さくなるとともに、加圧蓋2の伝熱面2aと混練材料との実際の接触面積は大きくなる。
【0004】
このように、密閉式混練機では、加圧蓋2の伝熱面2aと混練材料との接触状態が大きく変化するにもかかわらず、冷却水の水量の制御は、手動バルブによって調節した開度に応じた冷却水の水量を、電磁弁又は手動弁によって通水又は非通水を切り換えるのみであり、混練時の混練材料の状態変化に対応した制御はされていなかった。
このため、混練時の混練材料の昇温を抑制することが十分にできなかったり、冷却水の供給能力を高める必要が生じるという問題があった。
【特許文献1】特公平7−55491号公報
【特許文献2】特許第3655062号公報
【特許文献3】特公昭60−33530号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の密閉式混練機の有する問題点に鑑み、一定の冷却水供給能力内で、ジャケット構造としたチャンバ、加圧蓋及びロータを介して、混練材料を最適に冷却することができる密閉式混練機及びその冷却方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の密閉式混練機は、混練材料を収容するチャンバと、チャンバの上部開口部に上下方向に摺動可能に挿入される加圧蓋と、チャンバに収容された混練材料を混練する並列した2本のロータとを備え、前記チャンバ、加圧蓋及びロータをジャケット構造とし、該ジャケット構造のジャケットに冷却水を通水することによって混練材料を冷却するようにした密閉式混練機において、加圧蓋の上下方向の位置を検出する検出器と、該検出器によって検出した加圧蓋の上下方向の位置に合わせて、前記チャンバ、加圧蓋及びロータのジャケットに通水する冷却水の水量を制御するアクチュエータの制御機構とを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、上記密閉式混練機を使用する本発明の密閉式混練機の冷却方法は、混練材料を収容するチャンバと、チャンバの上部開口部に上下方向に摺動可能に挿入される加圧蓋と、チャンバに収容された混練材料を混練する並列した2本のロータとを備え、前記チャンバ、加圧蓋及びロータをジャケット構造とし、該ジャケット構造のジャケットに冷却水を通水することによって混練材料を冷却するようにした密閉式混練機の冷却方法において、検出器によって検出した加圧蓋の上下方向の位置に合わせて、前記チャンバ、加圧蓋及びロータのジャケットに通水する冷却水の水量を制御することを特徴とする。
【0008】
この場合において、加圧蓋の上下方向の位置が予め設定した所定位置より低下し、かつ、上下動の幅が所定の範囲内になった場合に、加圧蓋のジャケットに通水する冷却水の水量の割合を増大させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の密閉式混練機及びその冷却方法によれば、加圧蓋の上下方向の位置を検出する検出器と、該検出器によって検出した加圧蓋の上下方向の位置に合わせて、前記チャンバ、加圧蓋及びロータのジャケットに通水する冷却水の水量を制御するアクチュエータの制御機構とを備え、検出器によって検出した混練状態によってその位置が変化する加圧蓋の上下方向の位置に合わせて、制御機構によって前記チャンバ、加圧蓋及びロータのジャケットに通水する冷却水の水量を制御することにより、一定の冷却水供給能力内で、ジャケット構造としたチャンバ、加圧蓋及びロータを介して、混練材料を最適に冷却することができ、混練材料の品質と生産性の向上を図ることのできる。
【0010】
この場合、より具体的には、加圧蓋の上下方向の位置が予め設定した所定位置より低下し、かつ、上下動の幅が所定の範囲内になった場合に、加圧蓋のジャケットに通水する冷却水の水量の割合を増大させることによって、混練材料を効率的に冷却することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の密閉式混練機及びその冷却方法の実施の形態を、図面に基づいて説明する。なお、本発明の冷却方法に用いる密閉式混練機について、従来装置と同様の構造は同一の符号、一連の符号を付し説明を省略する。
【実施例1】
【0012】
図1〜図3に、本発明の密閉式混練機及びその冷却方法の一実施例を示す。
この密閉式混練機は、ゴム、プラスチック等の高粘度の材料の混練を行うためのもので、混練材料を収容するチャンバ1と、チャンバ1の上部開口部に上下方向に摺動可能に挿入される加圧蓋2と、チャンバに収容された混練材料を混練する、チャンバ1内に回転可能に取り付けられたロータ軸31にロータ翼32を有する並列した2本のロータ3、3とを備えている。
【0013】
そして、チャンバ1、加圧蓋2及びロータ3、3は、それぞれジャケット構造とし、ジャケット構造のジャケットJ1、J2、J3に、外部から冷却水を通水することによって、混練材料が接触する伝熱面を介して、混練材料を冷却するようにしている。
各ジャケットJ1、J2、J3には、冷却水供給管4から、それぞれ流量制御アクチュエータA1、A2、A3によって水量を制御された冷却水が、供給口J1a、J2a、J3aを介して送り込まれる。そして、ジャケットJ1、J2、J3に通水された冷却水は、混練材料と接触する伝熱面によって混練材料の熱を奪い、排出口J1b、J2b、J3bを介して冷却水排出管5に戻り、冷却装置(図示省略)によって再び冷却され、冷却水供給管4に送られ、循環するようにされている。
【0014】
また、密閉式混練機には、リニアスケール、光電管、リミットスイッチ等からなる加圧蓋2の上下方向の位置を検出する検出器6a、6bを、特に限定されるものではないが、例えば、チャンバ1及び加圧蓋2の上部等の適宜箇所に配設することにより、加圧蓋2の上下方向の位置を検出できるようにしている。
ここで、加圧蓋2の上下方向の位置を検出する検出器6a、6bは、本実施例に示すほか、例えば、図4に示す変形実施例のように、加圧蓋2の上方に一方の検出器6a、加圧蓋2を押圧する加圧シリンダSの本体側(固定側)に他方の検出器6bを配設して、加圧蓋2の上下方向の位置を検出するようにすることもできる。
【0015】
そして、検出器6a、6bからの加圧蓋2の上下方向の位置データを受け、流量制御アクチュエータA1、A2、A3を制御する制御機構7を配設するようにしている。
【0016】
この流量制御アクチュエータA1、A2、A3は、冷却水供給管4からの冷却水の量を制御できる機構であれば、特にその機構は限定されず、例えば、電磁弁等を利用することもできる。
【0017】
混練作業中、加圧蓋2は、加圧シリンダSによってロータ3、3側に押圧されている。
そして、混練初期において混練材料は、粘度が大きく、弾性的で、ロータ3、3の回転によって加圧蓋2を大きく上下動させる。したがって、混練初期において、加圧蓋2の伝熱面2aと混練材料との実際の接触面積は小さい。
そして、混練が進むと混練材料の粘度(弾性)が低下し、ロータ3、3の回転による加圧蓋2の上下動が小さくなるとともに、加圧蓋2の伝熱面2aと混練材料との実際の接触面積は大きくなる。
図3に、加圧蓋2の上下方向の位置を縦軸に、時間を横軸にとったグラフを示す。
図3に示すように、加圧蓋2は、ロータ3、3の回転によって、細かく上下動(振動)しながら混練初期において、加圧蓋2は、ロータ3、3の回転による混練材料の持ち上がりで、一旦、最高位置Aを経た後、混練が進み、混練材料の粘度(弾性)が低下すると、加圧蓋2は上下動しながら徐々に下限Bに向かい、混練終期には、図1に示す加圧蓋2の位置である下限Bに到達する。
【0018】
加圧蓋2の上下方向の位置が、図3における、下限B+ロータ翼32の翼高さh以上の位置では、混練材料は加圧蓋2の伝熱面2aに十分に接触しておらず、実際の接触面積は小さく、加圧蓋2のジャケットJ2に冷却水を通水しても効果的ではない。
一方、加圧蓋2の上下方向の位置が、下限B+ロータ翼32の翼高さh以下になると、次第に混練材料の粘度は低下し、加圧蓋2の上下動の幅(振動幅)が小さくなり(特に、上下動の幅がロータ翼高さhの30%以内に収まったときに)、加圧蓋2の伝熱面2aと混練材料との実際の接触面積は増加し、冷却効果は向上する。
【0019】
このような知見に基づき、混練を開始した後、検出器6a、6bからの加圧蓋2の上下方向の位置データを制御機構7に送り、流量制御アクチュエータA1、A2、A3を制御して、前記加圧蓋2の上下方向の位置データに対応した水量の冷却水を、チャンバ1、加圧蓋2及びロータ3の各ジャケットJ1、J2、J3に通水するようにするもので、この場合、所定量の冷却水を、チャンバ1、加圧蓋2及びロータ3の各ジャケットJ1、J2、J3に、どのような割合で振り分けるかを、制御機構7で制御するようにしている。
【0020】
この制御は、加圧蓋2のジャケットJ2に通水する冷却水の水量の割合をどのタイミングで増加させるかを、加圧蓋2の上下方向の位置によって制御するようにする。
【0021】
具体的には、図3に示す混練開始T1から、混練終了T2までの間で、加圧蓋2の上下方向の位置が、下限B+ロータ翼32の翼高さhより上方に位置する間(T1〜T3の間)は、加圧蓋2のジャケットJ2には少量(例えば、冷却水の全水量の0〜20%程度)の冷却水を通水するようにし、残りの冷却水(例えば、冷却水の全水量の100〜80%程度)は、チャンバ1及びロータ3のジャケットJ1、J3に通水するようにする。
【0022】
そして、混練が進み、加圧蓋2の上下方向の位置が、下限B+ロータ翼32の翼高さhと、下限Bとの間(T3以降)で、本実施例においては、さらに、加圧蓋2の上下動の幅(振動幅)がロータ翼高さhの30%以内に収まったとき(T4)に、加圧蓋2のジャケットJ2に通水する冷却水の水量の割合を増大させる(例えば、冷却水の全水量の20〜40%程度)ようにし、残りの冷却水(例えば、冷却水の全水量の80〜60%程度)をチャンバ1及びロータ3のジャケットJ1、J3に通水するようにする。
【0023】
なお、加圧蓋2のジャケットJ2に通水する冷却水の水量の割合を、加圧蓋2の上下方向の位置が、下限B+ロータ翼32の翼高さh以下(T3以降)になった後に、増大させるようにしてもよく、まだ、増大させる割合も、1段階で増大させることも、多段階で増大させることも、さらには、無段階で増大させることもできる。
【0024】
以上、本発明の密閉式混練機及びその冷却方法について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の密閉式混練機及びその冷却方法は、一定の冷却水供給能力内で、ジャケット構造としたチャンバ、加圧蓋及びロータを介して、混練材料を最適に冷却することができることから、ゴム、プラスチック等の高粘度の材料を混練する場合に好適に適用することができ、また、適用対象も、新規の密閉式混練機のほか、既設の密閉式混練機に加圧蓋の上下方向の位置を検出する検出器等を付設することによって適用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の密閉式混練機の一実施例を示す説明図である。
【図2】同密閉式混練機の冷却水の循環経路を示す説明図である。
【図3】混練開始から終了までの加圧蓋の上下方向の位置を示すグラフである。
【図4】本発明の密閉式混練機の変形実施例を示す説明図である。
【図5】従来の密閉式混練機を示す説明図である。
【図6】同平面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 チャンバ
2 加圧蓋
3 ロータ
4 冷却水供給管
5 冷却水排出管
6a 検出器
6b 検出器
7 アクチュエータの制御機構
A1、A2、A3 流量制御アクチュエータ
J1 ジャケット
J2 ジャケット
J3 ジャケット
S 加圧シリンダ
【出願人】 【識別番号】595057720
【氏名又は名称】株式会社モリヤマ
【出願日】 平成18年9月8日(2006.9.8)
【代理人】 【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治


【公開番号】 特開2008−62532(P2008−62532A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−243602(P2006−243602)