トップ :: B 処理操作 運輸 :: B29 プラスチツクの加工;可塑状態の物質の加工一般

【発明の名称】 廃タイヤ処理装置
【発明者】 【氏名】結城 正典

【要約】 【課題】金属製のベース部にゴム部を接着してなる廃タイヤを好適に分離し、それぞれを再利用しやすくする。

【構成】ベース部Bを支持してタイヤTが載置される支持台112と、ゴム部Gと対向するよう設置されるカッター113と、ベース部Bを内側から加熱するヒーター120と、ゴム部Gをカッター113へ向けて押圧するプレス130と、ヒーター120及びプレス130を制御する制御装置140とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状に形成された金属製のベース部と、該ベース部の外周に接着されたゴム部とからなるタイヤを処理する廃タイヤ処理装置であって、
上記ベース部を支持して上記タイヤが載置される支持台と、該支持台に載置された状態での上記タイヤの軸方向に上記ゴム部と対向するよう設置されるカッターと、載置された状態での上記ベース部を内側から加熱するヒーターと、上記ゴム部を上記カッターとは反対側から上記カッターへ向けて押圧するプレスと、上記ヒーター及び上記プレスを制御する制御装置とを備え、
上記制御装置は、上記ヒーターにより上記ベース部を所定温度に加熱させた上で、上記プレスを作動させ上記ゴム部を押圧して上記ベース部から分離すると共に上記カッターに押し付けて切断することを特徴とする廃タイヤ処理装置。
【請求項2】
上記ヒーターは、上記支持台に載置された状態での上記ベース部内に配置されるコイルと、該コイルに通電する電源装置を備えるものであり、
上記制御装置は、上記タイヤが上記支持台に載置された状態で、上記電源装置により上記コイルに通電して上記ベース部を加熱させることを特徴とする請求項1に記載の廃タイヤ処理装置。
【請求項3】
上記ヒーターは、上記支持台に載置された状態での上記タイヤの軸方向に移動可能に設けられ、上記ベース部内に出し入れされるコイルと、該コイルに通電する電源装置を備えるものであり、
上記制御装置は、上記タイヤが上記支持台に載置された状態で上記コイルを上記ベース部内に移動させると共に、上記電源装置により上記コイルに通電して上記ベース部を加熱させ、その後で上記コイルを上記ベース部外に移動させることを特徴とする請求項1に記載の廃タイヤ処理装置。
【請求項4】
上記電源装置は、通電時に上記コイルに対し高周波電流を流すものであることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の廃タイヤ処理装置。
【請求項5】
上記プレスは、上記ゴム部の軸方向端面に接触して該ゴム部を押圧する押圧工具と、該押圧工具を上記タイヤの軸方向に移動させる駆動装置とを備えるものであり、
上記押圧工具は、上記支持台に載置された状態の上記ベース部に対向するよう凹状に形成され、上記ゴム部を押圧する際に上記ベース部を収納可能な開口部を備えることを特徴とする請求項1に記載の廃タイヤ処理装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済みのタイヤを処分する廃タイヤ処理装置に関し、特に金属製のベース部にゴム部が接着されたタイヤを扱うものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、廃タイヤの再利用を図るために種々の取り組みがなされている。例えばタイヤのゴム部内に金属製の補強材が埋め込まれたものについては、特許文献1や特許文献2に示すように、金属製の補強材を加熱してゴム部と分離し、それぞれを回収できるようにすることが考えられている。尚、特許文献1及び特許文献2の技術では何れも誘導加熱を用いているが、この加熱方法は、例えば特許文献3に示すように、他の分野でも利用されている。
【0003】
ところで、タイヤのゴム部に金属製のリムを嵌めて使用するものでは、ゴム部にリムを取り付けたり、取り外したりするのに手間がかかる。そこで、例えば特許文献4に示す技術が用いられ、作業効率を上げることが試みられている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−370227号公報
【特許文献2】特開2004−230860号公報
【特許文献3】特開平7−85958号公報
【特許文献4】特開平10−272908号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、ゴム部に金属製のリムを嵌め込んだタイヤでは、上記の特許文献4に示す技術のように、リムを押圧して分解することができる。しかしながら、金属製のベース部にゴム部を接着したタイヤでは、単純にベース部を押圧しても簡単には分解することができない。そのため、このようなタイヤを処分して再利用する際に、非常に手間がかかるという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、ベース部にゴム部を接着してなる廃タイヤを好適に分離し、それぞれを再利用しやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、円筒状に形成された金属製のベース部と、該ベース部の外周に接着されたゴム部とからなるタイヤを処理する廃タイヤ処理装置であって、上記ベース部を支持して上記タイヤが載置される支持台と、該支持台に載置された状態での上記タイヤの軸方向に上記ゴム部と対向するよう設置されるカッターと、載置された状態での上記ベース部を内側から加熱するヒーターと、上記ゴム部を上記カッターとは反対側から上記カッターへ向けて押圧するプレスと、上記ヒーター及び上記プレスを制御する制御装置とを備え、上記制御装置は、上記ヒーターにより上記ベース部を所定温度に加熱させた上で、上記プレスを作動させ上記ゴム部を押圧して上記ベース部から分離すると共に上記カッターに押し付けて切断することを特徴とする構成としている。
【0008】
このような本発明によれば、ヒーターによりベース部を加熱してからプレスでゴム部を押圧するので、確実にゴム部をベース部から分離することができ、それぞれを回収して再利用することができる。しかも、分離されたゴム部はそのままカッターにより切断されるので、回収されるゴム部は保管・運搬しやすくなり、ゴム部を再処理しやすくすることができる。更に、ベース部とゴム部との分離と、ゴム部の切断とをプレスの一連の動きで実行しているので作業効率が良く、又、同じプレスを用いるので設置のためのスペースやコストが抑えられる。
【0009】
尚、上記支持台は円筒状又は円柱状に形成され、その軸方向端部が上記ベース部の端面及び内面と接触して該ベース部を支持するものであり、上記カッターは上記支持台の周囲に放射状に配置されるものとすることができる。このようにすれば、簡単な構成でベース部を確実に支持することができ、又、ゴム部を効果的に切断することができる。
【0010】
上記の構成において、上記ヒーターは、上記支持台に載置された状態での上記ベース部内に配置されるコイルと、該コイルに通電する電源装置を備えるものであり、上記制御装置は、上記タイヤが上記支持台に載置された状態で、上記電源装置により上記コイルに通電して上記ベース部を加熱させるものとすることができる。
【0011】
このようにすれば、タイヤを支持台に載置させてからコイルに通電してベース部を加熱し始めることで、無用な電力消費を抑えることができ、ベース部のみを効率良く加熱することができる。
【0012】
又、上記の構成において、上記ヒーターは、上記支持台に載置された状態での上記タイヤの軸方向に移動可能に設けられ、上記ベース部内に出し入れされるコイルと、該コイルに通電する電源装置を備えるものであり、上記制御装置は、上記タイヤが上記支持台に載置された状態で上記コイルを上記ベース部内に移動させると共に、上記電源装置により上記コイルに通電して上記ベース部を加熱させ、その後で上記コイルを上記ベース部外に移動させるものとすることができる。
【0013】
このようにすれば、処理しようとするタイヤを支持台に載置する際や、処理された後のベース部、ゴム部を回収する際に、コイルが作業の邪魔にならないようにすることができる。又、コイルをベース部内に移動させてからコイルに通電してベース部を加熱し始めることで、無用な電力消費を抑えることができ、ベース部のみを効率良く加熱することができる。
【0014】
上記の構成において、上記電源装置は、通電時に上記コイルに対し高周波電流を流すものとすれば、誘導加熱により金属製であるベース部のみを集中的に加熱することができるので、電力消費が抑えられ、全体としてのタイヤ処理にかかる時間を短縮することができる。
【0015】
更に、上記の構成において、上記プレスは、上記ゴム部の軸方向端面に接触して該ゴム部を押圧する押圧工具と、該押圧工具を上記タイヤの軸方向に移動させる駆動装置とを備えるものであり、上記押圧工具は、上記支持台に載置された状態の上記ベース部に対向するよう凹状に形成され、上記ゴム部を押圧する際に上記ベース部を収納可能な開口部を備えるものとすることができる。
【0016】
このようにすれば、押圧工具をタイヤの軸方向に移動させてもベース部が開口部に収納されるので、押圧工具とベース部とを接触させることなく、ゴム部を押圧してベース部から分離させることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上に説明したように、本発明によれば、ゴム部をベース部から確実に分離し、更に分離したゴム部をカッターで切り分けて回収でき、それぞれを再利用しやすくなる。又、分離と切断とがプレスの一連の動きで実行されるので、廃タイヤの処理作業が効率良く行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0019】
この実施例1に係る廃タイヤ処理装置100は、使用済みのタイヤTを処理するものであり、タイヤTが載置される加工台110と、載置されたタイヤTのベース部Bを加熱するヒーター120と、タイヤTのゴム部Gを押圧するプレス130と、ヒーター120及びプレス130を制御する制御盤140とを備える。
ここでタイヤTは、図1に示すように、金属製のベース部Bと、このベース部Bに接着されたゴム部Gとからなり、ベース部Bは円筒状に形成され、その外側面にゴム部Gが接着されている。
【0020】
加工台110は、図1に示すように、基台111と、基台111に立設される支持台112と、支持台112に並設されるカッター113とからなる。
【0021】
支持台112は全体として円筒状に形成され、その軸方向が基台111に対し鉛直となるように設けられている。支持台112の上端部はベース部Bの下端面及び内側面と接触するように形成され、この上端部にベース部Bが支持されることで支持台112にタイヤTが横置きで載置される。従って、支持台112にタイヤTが載置された状態ではタイヤTの軸方向と支持台112の軸方向とは一致し、それぞれの中心軸は実質的に同一軸となる。支持台112の中空部は、その内径がベース部Bの内径よりも幾分小さく形成され、この中空部内に後述するコイル121を収容可能とされている。カッター113は支持台112の外側面に沿って立設されており、この実施例1では周方向へ等間隔に12個のカッター113が放射状に配置されている。
【0022】
ヒーター120は、上下移動可能に支持されたコイル121と、コイル121に高周波の交流電流を流す電源装置122と、コイル121を上下移動させる昇降装置123と、コイル121に流れる電流を検出する電流センサ124と、コイル121の上下方向位置を検出する位置センサ125とを備える。
【0023】
コイル121は、その外径がタイヤTのベース部Bの内径よりも幾分小さく形成されており、ベース部B内に出し入れ可能とされている。又、コイル121は、その外径が支持台112の中空部よりも幾分小さく形成されており、中空部内に出し入れ可能とされている。このコイル121に電源装置122から高周波電流が流れると、コイル121の周囲にある導電体(ベース部B)に高周波の渦電流が発生し、発熱する。つまり、コイル121の発熱ではなく、導電体(ベース部B)を発熱させることでヒーター120による加熱が行われる。このときの電流が電流センサ124で検出されて、図2に示すように、制御盤140へ伝えられる。これに基づいて、制御盤140は予め設定されたの温度で導電体(ベース部B)が加熱されるよう電源装置122を制御し、コイル121に流れる電流を調節、維持する。
又、コイル121は、後述する押圧工具131とは別に上下移動可能とされており、昇降装置123が作動するとコイル121が上下に移動し、その上下方向位置が変化する。コイル121の上下方向位置は位置センサ125で検出されて、図2に示すように、制御盤140へ伝えられる。これに基づいて、制御盤140はコイル121が所定の位置で停止するよう昇降装置123を制御する。
【0024】
プレス130は、タイヤTのゴム部Gと接触する押圧工具131と、押圧工具131を上下移動させる油圧シリンダ132と、油圧シリンダ132への作動油の供給・回収を行うポンプ133と、押圧工具131の上下方向位置を検出する位置センサ134とを備える。
【0025】
押圧工具131は、その中央に下向きに凹状の開口部131aが形成されており、開口部131aの周辺部分がゴム部Gと接触するようになっている。開口部131aは、その内径がタイヤTのベース部Bの外径よりも若干大きく、その深さ寸法がベースBの軸方向長さ寸法よりも大きく形成されており、押圧工具131にてゴム部Gを押圧する際にこの開口部131aにベースBを収容可能である。
【0026】
この実施例1では、図1に示すように、2本の油圧シリンダ132が設けられており、ポンプ133から油圧シリンダ132へ作動油が供給されると、油圧シリンダ132が伸長して押圧工具131が下方へ移動し、ポンプ133により油圧シリンダ132から作動油が回収されると、油圧シリンダ132が短縮して押圧工具131が上方へ移動する。押圧工具131の上下方向位置は位置センサ134で検出されて、図2に示すように、制御盤140へ伝えられる。これに基づいて、制御盤140は押圧工具131が所定の上下移動をするようポンプ133を制御する。
【0027】
制御盤140は、作業者が操作する始動スイッチ141及び停止スイッチ142と、これらスイッチの操作を受けてヒーター120及びプレス130を制御するコントローラ143とを備える。
【0028】
図2に示すように、コントローラ143には始動スイッチ141及び停止スイッチ142からの信号と共に、電流センサ124、位置センサ125、及び位置センサ134からの信号が入力され、コントローラ143は電流センサ124からの信号に応じて電源装置122を制御し、位置センサ125からの信号に応じて昇降装置123を制御し、位置センサ134からの信号に応じてポンプ133を制御する。
始動スイッチ141が操作されると、コントローラ143は各センサからの信号に従って、後述するようにヒーター120及びプレス130を作動させる。停止スイッチ142が操作されると、コントローラ143はヒーター120及びプレス130を停止させ、タイヤTの処理を中断又は終了させる。
【0029】
さて、図3に示すように、コントローラ143は、加工台110の支持台112にタイヤTを載置した状態で、始動スイッチ141が操作されると(S10のYES)、昇降装置123を作動させてコイル121を下降させ、図4の(i)に示すように、コイル121をベース部B内に位置させる(S11)。つまり、位置センサ125により検出されるコイル121の上下方向位置が予め設定されたベース部B内でのコイル121の停止位置となるまで、コントローラ143は昇降装置123を作動させる。
ベース部B内の停止位置にコイル121が位置すると、コントローラ143は電源装置122を作動させてコイル121に通電し、ベース部Bを内側から加熱する(S12)。このとき電流センサ124により検出される電流値が、ベース部Bを設定された温度(例えば200℃)に加熱するときの電流値と一致するよう電源装置122が制御される。ベース部Bへの加熱は予め設定された時間継続して行われ(S13)、これによりベース部Bとゴム部Gとの接着力が弱められる。
【0030】
加熱状態で設定された時間が経つと(S13のYES)、コントローラ143は電源装置122によるコイル121への通電を止めると共に、昇降装置123を作動させてコイル121を下降させ、図4の(ii)に示すように、コイル121を支持台112内に位置させる(S14)。つまり、位置センサ125により検出されるコイル121の上下方向位置が予め設定された支持台112内でのコイル121の停止位置となるまで、コントローラ143は昇降装置123を作動させる。
続いて、コントローラ143はポンプ133を作動させて油圧シリンダ132を伸長させ、押圧工具131を下降させる。図4の(ii)に示すように、押圧工具131がタイヤTのゴム部Gに接触してからも更に押圧工具131を下降させ、図4の(iii)に示すように、カッター113と接触するまで押圧工具131を下降させる(S15)。つまり、位置センサ134により検出される押圧工具131の上下方向位置が予め設定されたカッター113との接触位置となるまで、コントローラ143はポンプ133から油圧シリンダ132へ作動油を供給させる。これにより、ゴム部Gはベース部Bから分離されると共に、カッター113により切り分けられる。
ゴム部Gの切断が終わると、コントローラ143は昇降装置123を作動させてコイル121を上昇させ、又、ポンプ133を作動させて押圧工具131を上昇させ、それぞれを初期位置に戻す(S16)。つまり、検出されるコイル121、押圧工具131の上下方向位置が予め設定されたそれぞれの初期位置となるよう、昇降装置123、ポンプ133が制御される。
【0031】
このようにしてタイヤTの処理を行った後、ベース部Bはそのままの状態で、ゴム部Gはブロック状に切断された状態で、それぞれ回収される。
【0032】
このような実施例1によれば、ヒーター120によりベース部Bを加熱してからプレス130でゴム部Gを押圧するので、確実にゴム部Gをベース部Bから分離することができ、又、分離されたゴム部Gはカッター113によりブロック状に切断されるので、ベース部B、ゴム部Gを別々に回収でき、再処理しやすくすることができる。しかも、分離の工程と、切断の工程とをプレス130の一連の動きで実行しているので作業効率が良く、同じプレス130を用いるので廃タイヤ処理装置100全体としての設置スペースやコストが抑えられる。
【0033】
又、この実施例1によれば、支持台112にベース部Bを確実に支持してゴム部Gと分離することができ、カッター113によりゴム部Gを効果的に切断することができる。更に、ゴム部Gの切断が終わると、コイル121及び押圧工具131は上昇させて初期位置に戻されるので、次に処理しようとするタイヤTを支持台112に載置する際や、処理された後のベース部B、ゴム部Gを回収する際に、コイル121や押圧工具131が作業の邪魔にならないようにすることができる。加えて、コイル121をベース部B内に移動させてからコイル121に通電し、誘導加熱によりベース部Bを加熱するので、ベース部Bを集中的に加熱して処理時間を短縮することができると共に、無用な電力消費が抑えられる。
【実施例2】
【0034】
この実施例2に係る廃タイヤ処理装置200は、タイヤTが載置される加工台210、載置されたタイヤTのベース部Bを加熱するヒーター220、タイヤTのゴム部Gを押圧するプレス230、及び制御盤240を備え、更に、タイヤTを搬送する搬送テーブル250を備えており、制御盤240が、ヒーター220、プレス230、及び搬送テーブル250の制御を行う。
【0035】
加工台210は、図5に示すように、基台211と、基台211に立設される支持台212と、支持台212に並設されるカッター213とからなる。
【0036】
支持台212は全体として円筒状に形成され、その軸方向が基台211に対し鉛直となるように設けられている。支持台212の上端部はベース部Bの下端面及び内側面と接触するように形成され、上端部にベース部Bが支持されることで支持台212にタイヤTが横置きで載置される。従って、支持台212にタイヤTが載置された状態ではタイヤTの軸方向と支持台212の軸方向とは一致し、それぞれの中心軸は実質的に同一軸となる。カッター213は支持台212の外側面に沿って立設されており、この実施例2では周方向へ等間隔に12個のカッター213が放射状に配置されている。
【0037】
ヒーター220は、図5に示すように、支持台212に固定支持され、支持台212の上端部よりも上方に突出させて設けられたコイル221と、コイル221に高周波の交流電流を流す電源装置222と、コイル221に流れる電流を検出する電流センサ223とを備える。
【0038】
コイル221は、その外径がタイヤTのベース部Bの内径よりも幾分小さく形成されており、支持台212にタイヤTを載置することで、ベース部B内に挿入される。このコイル221に電源装置222から高周波電流が流れると、上記の実施例1と同様に、導電体(ベース部B)が発熱し、ヒーター220による加熱がなされる。このときの電流が電流センサ223で検出されて、図6に示すように、制御盤240へ伝えられる。これに基づいて、制御盤240は予め設定されたの温度で導電体(ベース部B)が加熱されるよう電源装置222を制御し、コイル221に流れる電流を調節、維持する。
【0039】
プレス230は、タイヤTのゴム部Gと接触する押圧工具231と、押圧工具231を上下に移動させる油圧シリンダ232と、油圧シリンダ232への作動油の供給・回収を行うポンプ233と、押圧工具231の上下方向位置を検出する位置センサ234とを備え、更に、処理されるタイヤTが一時的に載置される支持具235を備える。
【0040】
押圧工具231は、その中央に下向きに凹状の開口部231aが形成されており、開口部231aの周辺部分がゴム部Gと接触するようになっている。開口部231aは、その内径がタイヤTのベース部Bの外径よりも若干大きく、その深さ寸法がベースBの軸方向長さ寸法よりも大きく形成されており、押圧工具231にてゴム部Gを押圧する際にこの開口部231aにベースBを収容可能である。
【0041】
支持具235は、タイヤTが載置される床部と、この床部を押圧工具231に連結する柱部とからなる断面視L字形に形成されており、押圧工具231と一体的に上下移動する。支持具235の床部は平板状に形成されており、その中央に、支持台212の外径よりも若干大きな孔が形成されると共に、この孔に連続してカッター213の配置に合わせたスリットが形成されている。これにより、支持台212やカッター213に接触することなく支持具235を下方へ移動させることができる。又、床部の孔は少なくとも搬送テーブル250側へ開口させてあり、この開口部分を搬送テーブル250の荷台252が通過できるようになされている。
【0042】
この実施例2では、図5に示すように、1本の油圧シリンダ232が設けられており、ポンプ233から油圧シリンダ232へ作動油が供給されると、油圧シリンダ232が伸長して押圧工具231及び支持具235が下方へ移動し、ポンプ233により油圧シリンダ232から作動油が回収されると、油圧シリンダ232が短縮して押圧工具231及び支持具235が上方へ移動する。押圧工具231の上下方向位置は位置センサ234で検出されて、図6に示すように、制御盤240へ伝えられる。これに基づいて、制御盤240は押圧工具231が所定の上下移動をするようポンプ233を制御する。
【0043】
制御盤240は、作業者が操作する始動スイッチ241及び停止スイッチ242と、これらスイッチの操作を受けてヒーター220、プレス230、及び搬送テーブル250を制御するコントローラ243とを備える。
【0044】
図6に示すように、コントローラ243には始動スイッチ241及び停止スイッチ242からの信号と共に、電流センサ223、及び位置センサ234、254,256からの信号が入力され、コントローラ243は電流センサ223からの信号に応じて電源装置222を制御し、位置センサ234からの信号に応じてポンプ233を制御し、位置センサ254からの信号に応じて昇降装置253を制御し、位置センサ256からの信号に応じてスライド装置255を制御する。
始動スイッチ241が操作されると、コントローラ243は各センサからの信号に従って、後述するようにヒーター220、プレス230、及び搬送テーブル250を作動させる。停止スイッチ242が操作されると、コントローラ243はヒーター220、プレス230、及び搬送テーブル250を停止させ、タイヤTの処理を中断又は終了させる。
【0045】
搬送テーブル250は、図5に示すように、図示しない基部に対し昇降可能に支持されるガイド251と、このガイド251にスライド可能に支持される荷台252と、ガイド251を上下移動させる昇降装置253と、基部に対するガイド251の上下方向位置を検出する位置センサ254と、荷台252をガイド251に沿って水平移動させるスライド装置255と、ガイド251に対する荷台252の水平方向位置を検出する位置センサ256とを備える。
【0046】
荷台252は、その先端方向と基端方向とへスライド可能とされ、先端側の部分でタイヤTを支持する。又、荷台252は、タイヤTの外径(ゴム部Gの外径)よりもある程度幅狭に形成されており、前述の支持具235の床部に形成された開口部分を上下に通過できるようになされている。
昇降装置253が作動するとガイド251と共に荷台252が上下に移動し、その上下方向位置が変化する。ガイド251の上下方向位置は位置センサ254で検出されて、図6に示すように、制御盤240へ伝えられる。これに基づいて、制御盤240はガイド251が所定の位置で停止するよう昇降装置253を制御する。又、スライド装置255が作動すると荷台252が先端方向又は基端方向に移動し、その水平方向位置が変化する。荷台252の水平方向位置は位置センサ256で検出されて、図6に示すように、制御盤240へ伝えられる。これに基づいて、制御盤240は荷台252が所定の位置で停止するようスライド装置255を制御する。
【0047】
さて、図7に示すように、コントローラ243は、始動スイッチ241が操作されると(S20のYES)、搬送テーブル250を作動させて所定の保管場所にある廃タイヤのうちの一つを、図8の(i)に示すように、支持具235へ移載させる(S21)。つまり、これから処理するタイヤTを荷台252に載せた状態で、支持具235の床部よりも若干上方まで移動させ、そのまま荷台252を先端側へスライドさせて、タイヤTを支持具235のほぼ中央に位置させる。そして、荷台252を下降させることで、荷台252だけが支持具235を通過し、支持具235にタイヤTが載置される。コントローラ243は、荷台252を支持具235の下方から退避させると、ポンプ233を作動させて油圧シリンダ232を伸長させ、押圧工具231を下降させる。こうしてタイヤTを支持具235から支持台212に移載する(S22)。つまり、支持具235の床部が支持台212の上端部よりも下方となるまで押圧工具231を下降させ、押圧工具231がタイヤTのゴム部Gに接触する前に停止させる。
下降が停止すると、コントローラ243は電源装置222を作動させてコイル221に通電し、ベース部Bを内側から加熱する(S23)。このとき電流センサ224により検出される電流値が、ベース部Bを設定された温度(例えば200℃)に加熱するときの電流値と一致するよう電源装置222が制御される。ベース部Bへの加熱は予め設定された時間継続して行われ(S24)、これによりベース部Bとゴム部Gとの接着力が弱められる。
【0048】
加熱状態で設定された時間が経つと(S24のYES)、コントローラ243は電源装置222によるコイル221への通電を止めると共に、ポンプ233を作動させて押圧工具231を下降させる。図8の(ii)に示すように、押圧工具231がタイヤTのゴム部Gに接触してからも更に押圧工具231を下降させ、図8の(iii)に示すように、カッター213と接触するまで押圧工具231を下降させる(S25)。つまり、位置センサ234により検出される押圧工具231の上下方向位置が予め設定されたカッター213との接触位置となるまで、コントローラ243はポンプ233から油圧シリンダ232へ作動油を供給させる。これにより、ゴム部Gはベース部Bから分離されると共に、カッター213により切り分けられる。
ゴム部Gの切断が終わると、コントローラ243はポンプ233を作動させて押圧工具231を上昇させ、初期位置に戻す(S26)。つまり、押圧工具231の上下方向位置が予め設定された初期位置となるよう、ポンプ233が制御される。
【0049】
このようにしてタイヤTの処理を行った後、ベース部Bはそのままの状態で、ゴム部Gはブロック状に切断された状態で、それぞれ回収される。
【0050】
このような実施例2によれば、ヒーター220によりベース部Bを加熱してからプレス230でゴム部Gを押圧するので、確実にゴム部Gをベース部Bから分離することができ、又、分離されたゴム部Gはカッター213によりブロック状に切断されるので、ベース部B、ゴム部Gを別々に回収でき、再処理しやすくすることができる。しかも、分離の工程と、切断の工程とをプレス230の一連の動きで実行しているので作業効率が良く、同じプレス230を用いるので廃タイヤ処理装置200全体としての設置スペースやコストが抑えられる。
【0051】
又、この実施例2によれば、支持台212にベース部Bを確実に支持してゴム部Gと分離することができ、カッター13によりゴム部Gを効果的に切断することができる。加えて、コイル221がベース部B内に挿入されてからコイル221に通電し、誘導加熱によりベース部Bを加熱するので、ベース部Bを集中的に加熱して処理時間を短縮することができると共に、無用な電力消費が抑えられる。もちろん、プレス230と搬送テーブル250を利用してタイヤTを支持台212に載置させているので、重量物であるタイヤTを人手で持ち上げずに済み、労力が軽減される。
【0052】
尚、上記の実施例2では、搬送テーブル250により処理するタイヤTを搬送しているが、ロボットアームなど他のハンドリング装置を用いてもよく、又、分離されたベース部B及びゴム部Gを回収する際にもこれらのハンドリング装置を用いるようにしてもよい。もちろん、上記の実施例1において、支持台112へのタイヤTの載置や、ベース部B及びゴム部Gの回収にハンドリング装置を用いてもかまわない。
【0053】
又、上記の実施例1,2では、特定寸法のタイヤTを支持台112,212に載置して処理するようにしているが、支持台112,212の上端部を径方向に位置調節可能としてその径を変更できるようにしたり、上端部を径の異なるものと交換できるようにしたりして、多種多様なタイヤに対応させることができる。更に、上記の実施例1,2におけるカッター113,213は側面視で長方形状のものとしているが、本発明におけるカッターはこのような形態に限られない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施例1に係る廃タイヤ処理装置の要部を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施例1に係る廃タイヤ処理装置の機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施例1の制御フロー図である。
【図4】本発明の実施例1の説明図である。
【図5】本発明の実施例2に係る廃タイヤ処理装置の要部を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施例2に係る廃タイヤ処理装置の機能ブロック図である。
【図7】本発明の実施例2の制御フロー図である。
【図8】本発明の実施例2の説明図である。
【符号の説明】
【0055】
100 廃タイヤ処理装置
110 加工台
112 支持台
113 カッター
120 ヒーター
121 コイル
122 電源装置
123 昇降装置
130 プレス
131 押圧工具
132 油圧シリンダ
140 制御盤
143 コントローラ
200 廃タイヤ処理装置
210 加工台
212 支持台
213 カッター
220 ヒーター
221 コイル
222 電源装置
230 プレス
231 押圧工具
232 油圧シリンダ
235 支持具
240 制御盤
243 コントローラ
250 搬送テーブル
T タイヤ
B ベース部
G ゴム部
【出願人】 【識別番号】000232807
【氏名又は名称】日本輸送機株式会社
【出願日】 平成18年9月6日(2006.9.6)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−62482(P2008−62482A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−242013(P2006−242013)