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【発明の名称】 プラスチック再生処理システム
【発明者】 【氏名】清水 静

【要約】 【課題】一般廃棄物からのプラスチック再生処理システムにおいて、水分と塩素分を低減させ、再生樹脂の品質の向上、再生処理時に係るエネルギの低減を図る。

【構成】選別−破砕−比重分離−減容−顆粒品の製造の各工程からなるプラスチック再生処理システムにおいて、減容後の溶融樹脂を混練するロールプレスを備え、該ロールプレスは、高温ロールおよび低温ロールを有し、前記高温ロールの回転速度は、前記低温ロールの回転速度よりも速いことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
選別−破砕−比重分離−減容−顆粒品の製造の各工程からなるプラスチック再生処理システムにおいて、減容後の溶融樹脂を混練するロールプレスを備え、該ロールプレスは、高温ロールおよび低温ロールを有し、前記高温ロールの回転速度は、前記低温ロールの回転速度よりも速いことを特徴とする一般廃棄物のプラスチック再生処理システム。
【請求項2】
前記高温ロールおよび低温ロールは、切替弁を備えた中空ロールからなり、該切替弁により、内部に加温用蒸気または冷却水を切り替えて供給可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の一般廃棄物のプラスチック再生処理システム。
【請求項3】
前記高温ロールの温度は、前記低温ロールの温度に対して、30℃以上、高いことを特徴とする請求項1または2に記載の一般廃棄物のプラスチック再生処理システム。
【請求項4】
前記高温ロールの回転速度は、前記低温ロールの回転速度に対して、10%以上、速いことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の一般廃棄物のプラスチック再生処理システム。
【請求項5】
一般廃棄物からの廃プラスチックを一次粉砕する一軸シュレッダ、一次粉砕物から異物を除去する風力選別機および磁選機、選別後の樹脂から、発泡樹脂、PETおよび塩化ビニルを除去するための比重分離槽、比重分離における残留物を粉砕する湿式粉砕機、粉砕により得られた樹脂細片に搾水を施すスクリュウプレス、該樹脂細片を乾燥する乾燥機、搾水および乾燥後の樹脂細片を加熱・溶融するための押出機、溶融した樹脂塊を混練するロールプレスを備えることを特徴とする一般廃棄物のプラスチック再生処理システム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭より廃棄され、回収されるプラスチックの再生処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化の原因が、森林資源の伐採による二酸化炭素吸収力の低下と、石油資源の燃焼により生じる二酸化炭素の排出とであることが指摘されてから久しいが、いまだに、根本的な解決策が見出されていない。このような背景下、資源節約の観点から、環境型リサイクルシステムが提唱されて実践されてきており、「容器包装に係わる分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)」が容器包装廃棄物の有効利用を図ることを目的に制定されるに至っている。この容器包装リサイクル法に基づいて、プラスチック製容器包装は回収され、再生処理業者によって、(1)選別、(2)破砕、(3)比重分離、(4)減容(スクリュープレスにて機械的に搾水し、さらに、熱風にて乾燥した後、押出機において約280℃まで加熱する工程)、(5)減容顆粒品の製造(再度、加熱および溶融をして、多孔板を通過させ、太い糸状の樹脂とし、得られた糸状の樹脂を、水槽で冷却した後、ペレタイザーで顆粒状に切断する工程)の5工程で、複合樹脂として再生処理される。なお、プラスチック製容器包装は、容器包装リサイクル法における「その他プラスチック容器包装」に該当するものをいい、いわゆるPETボトルを除くプラスチック製容器包装全般が該当する。
【0003】
しかし、家庭から出る一般廃棄物において、特に、プラスチック製容器包装については再生処理が進んでいるとはいえない。その理由は、プラスチック製容器包装が、あらゆる種類の樹脂の混合品であり、食品残滓の付着が多いという特徴を有することにある。
【0004】
すなわち、一般廃棄物中のプラスチックには、複合樹脂として再生不適格な発泡プラスチック、PET、塩化ビニル系の樹脂なども含まれ、また、アルミ箔が付着している場合もある。これらが残留すると、再生された複合樹脂の品質が損なわれるため、これらは比重分離などにより再生処理の工程から極力排除される。しかし、特に、塩化ビニルの残留物は、フィルム形状が多く、比較的に軽い樹脂であるため、完全に比重分離することができず、残留してしまい、再生樹脂の品質を低下させることになる。
【0005】
一方、プラスチックに付着した食品の残滓などを取り除くために行われる水洗浄により、再生工程において、どうしても若干の水分は樹脂に含まれることになる。
【0006】
このため、減容顆粒品ないしは成型品の製造工程において、水分と塩素分が高温下で反応して塩酸を生成し、系内が酸性状態になる。このような腐食性ガスは、回収されて、最終的には廃水処理工程において苛性ソーダで中和処理されるが、わずかな量でも、装置を腐蝕させ、また、一部は製品中にとどまり、製品の品質を低下させるという問題がある。バージンの合成樹脂や、産業廃棄物から製造される純度の高い再生樹脂ではこのような問題はない。つまり、一般廃棄物からのプラスチックの再生利用を普及させるためには、かかる問題を無視することはできない。
【0007】
さらに、水分や塩素分を多く含有すると、製造される減容顆粒品が発泡するため、製品である再生樹脂を原料とする成型品においても、発泡を生じて、再生樹脂および成型品の強度不足を招くという問題がある。
【0008】
従来のプラントで製造される再生樹脂の水分率は10%以上であるため、次工程でコンパウンドする際の水分除去には、相当の苦労をしている。このような水分除去に必要なエネルギコストは、バージンの合成樹脂の市場価格と比較して、光熱費が高いことにより割高となる。
【0009】
これに対して、水分および塩素分の除去のために、例えば、特開2004−202758号公報には、ロータリ式乾燥機で乾燥する工程を行うことが示されている。しかし、このような乾燥工程は、エネルギの損失が大きいという問題点がある。
【0010】
また、特開2005−179688号公報には、その他プラスチック製容器包装の再生処理における塩酸の発生を抑制するために、受酸剤を使用することが記載されている。しかし、このような受酸剤では、水分の除去には効果が低いという問題がある。
【特許文献1】特開2004−202758号公報
【特許文献2】特開2005−179688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、一般家庭より廃棄され、回収されるプラスチック製容器包装などのプラスチック再生処理システムにおいて、水分と塩素分を低減することができ、再生樹脂の品質を向上させ、再生処理時に係る光熱費などのエネルギを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、選別−破砕−比重分離−減容−顆粒品の製造の各工程からなる一般廃棄物からのプラスチックの再生処理システムに係る。
【0013】
本発明に係る一般廃棄物のプラスチック再生処理システムは、減容後の溶融樹脂を混練するロールプレスを備え、該ロールプレスは、高温ロールおよび低温ロールからなり、前記高温ロールの回転速度は、前記低温ロールの回転速度よりも速いことを特徴とする。
【0014】
前記高温ロールおよび低温ロールは、切替弁を備えた中空ロールからなり、該切替弁により、内部に加温用蒸気または冷却水を切り替えて供給可能となっていることが好ましい。
【0015】
前記高温ロールの温度は、前記低温ロールの温度に対して、30℃以上、高いことが好ましく、また、前記高温ロールの回転速度は、前記低温ロールの回転速度に対して、10%以上、速いことが好ましい。
【0016】
本発明に係るシステムは、全体としては、一般廃棄物からの廃プラスチックを一次粉砕する一軸シュレッダ、一次粉砕物から異物を除去する風力選別機および磁選機、選別後の樹脂から、発泡樹脂、PETおよび塩化ビニルを除去するための比重分離槽、比重分離における残留物を粉砕する湿式粉砕機、粉砕により得られた樹脂細片に搾水を施すスクリュウプレス、該樹脂細片を乾燥する乾燥機、搾水および乾燥後の樹脂細片を加熱・溶融するための押出機、溶融した樹脂塊を混練するロールプレスを備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、プラスチック再生処理システムにおいて、樹脂からの水分と塩素分の排出を効率的に行うことができるため、再生樹脂の品質を向上させるとともに、設備の腐蝕の防止、装置のメンテナンスコストの低減、使用するエネルギのコスト削減を図れるという効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係るプラスチック再生処理システムについて、図面を参照して説明する。図1は、本発明に係るプラスチック再生処理システムの工程を示すフロー図である。
【0019】
[工程1] 一般廃棄物(廃プラスチック)を、一軸シュレッダで一次粉砕する。
【0020】
[工程2] 粉砕された樹脂を、ベルトコンベアで搬送し、風力選別機で、混入している鉄屑、小石、木屑などの比重の大きい異物を除去する。また、磁選機で、釘、金物等の鉄、その他の金属の異物を除去する。
【0021】
[工程3] 第1の比重分離水槽で、洗浄し、比重差を利用して、軽量系の発泡プラスチックと、重量系のPETおよび塩化ビニルを除去する。分離された軽量系の発泡プラスチックと、重量系のPETおよび塩化ビニルは、残渣として、再生処理システムの系外である他の処理システムへ、排出される。従って、第1の比重分離水槽には、主にポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系のプラスチックが滞留する。
【0022】
[工程4] 第1の比重分離水槽から取り出されたプラスチックを、湿式粉砕機にて細片に粉砕する。
【0023】
[工程5] 粉砕された樹脂細片を、第2の比重分離水槽で、前述の工程3と同様の操作を行う。
【0024】
[工程6] 第2の比重分離水槽から取り出された樹脂細片を、スクリュウプレスで、水分率が約10%となるまで搾水し、六連乾燥機で、水分率が約5%となるまで乾燥する。
【0025】
[工程7] その後、分配器で、樹脂細片を分配し、複数の押出機に通すことにより、樹脂細片を約250℃まで加熱し、溶融状態とする。
【0026】
押出機で発生する水蒸気や他のガスは、真空ポンプにより吸引除去されて、排ガス処理用スクラバーへ送られる。
【0027】
[工程8] フィルタにより、アルミなどの不純物を取り除いた後、溶融した樹脂塊は、大気開放される。大気に開放された樹脂は、約170℃で、本発明に係るロールプレスの上へ供給される。
【0028】
図1は、本発明に係るロールプレスの一実施例を示す断面図である。
【0029】
ロールプレスは、中空の高温ロール(10)および低温ロール(20)から構成される。高温ロール(10)および低温ロール(20)は、例えば、直径が約400mmで、厚さが約50mmである耐摩耗性の高い鋼管を使用する。
【0030】
高温ロール(10)の内部には、制御された加温用蒸気を供給し、低温ロール(20)の内部には、制御された冷却水を供給し、それぞれの温度および温度差を一定に保持する。保持する温度は、例えば180℃と150℃のように、30℃以上の温度差を設ける。
【0031】
さらに、高温ロール(10)は、低温ロール(20)に対して、速い回転速度とする。回転速度としては、例えば20m/分と17m/分のように、10%以上の回転速度の差を設ける。
【0032】
約200℃の樹脂塊は、ロールプレスに供給されて、混練されることにより、水分および塩素分が一気に放出される。
【0033】
また、樹脂塊は、平滑性が高い方へ、温度の高い方へ、あるいは、表面速度の速い方へ、それぞれ移動しやすいという特性を有する。このような特性により、高温で回転速度の速い高温ロール(10)の側に、樹脂塊が偏って排出される。
【0034】
以上のように構成されることにより、溶融した樹脂塊をさらに混練することにより、水分および塩素分を十分に除去する。
【0035】
この工程で発生する水蒸気や他のガスは、真空ポンプにより吸引除去されて、排ガス処理用スクラバーへ送られる。さらに、周囲の雰囲気をダクトで吸引し、気液接触型のブロアでガスを水中に捕らえた後、総合排水処理施設で処理を行う。
【0036】
工程8の後、以下に示す工程9Aを行うことにより粉砕品を製造するか、工程9Bを行ことによりホットカットペレットを製造するか、あるいは、工程9Cを行うことによりストランドペレットを製造する。
【0037】
[工程9A]ロールプレスから剥ぎ取られた板状の溶融樹脂は、水槽に入れられて、約80℃まで冷却し、さらに、空冷コンベアで搬送しながら、さらに冷却を行う。次に、粉砕機で20mmアンダーまで粉砕して、キャッチャタンクで受けてフレコンパックに充填される。
【0038】
この段階では、水分率が1%以下、塩素分が0.5%以下となり、従来技術における水分率が約10%であり、塩素分が約0.7%であったのに対して、樹脂内への残留水分量と塩素量を大幅に削減することができる。
【0039】
[工程9B]押出機へ押し込まれることにより、ホットカットペレットが得られる。
【0040】
この段階では、水分率が1%以下、塩素分が0.4%以下となり、従来技術における水分率が約5%であり、塩素分が約0.7%であったのに対して、樹脂内への残留水分量と塩素量を大幅に削減することができる。
【0041】
[工程9C]2軸押出機へ押し込まれ、20〜200メッシュ、あるいは200メッシュ以上の細かいフィルタを使用して、除塵する。得られる糸状の樹脂は、冷却水槽で冷却された後、一定の大きさに切断し、さらに振動震い機で、均等な大きさに揃えられて、ストランドペレットが得られる。その後、キャッチャタンクで受けてフレコンパックに充填される。
【0042】
この段階では、水分率が0.2%以下、塩素分が0.4%以下となり、従来技術における水分率が約0.3%であり、塩素分が約0.7%であったのに対して、樹脂内への残留水分量を大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係るプラスチック再生処理システムの工程を示すフロー図である。
【図2】本発明に係るロールプレスの一実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0044】
10 高温ロール
20 低温ロール
【出願人】 【識別番号】505320285
【氏名又は名称】リプラ・テック株式会社
【出願日】 平成18年9月4日(2006.9.4)
【代理人】 【識別番号】100108877
【弁理士】
【氏名又は名称】鴨田 哲彰


【公開番号】 特開2008−55859(P2008−55859A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−238529(P2006−238529)