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【発明の名称】 複合材の未硬化連続予備成形方法
【発明者】 【氏名】相島 正敏

【要約】 【課題】熱硬化性樹脂を含浸したプリプレグ材を未硬化状態で連続的に予備成形する方法を提供する。

【構成】プリプレグ材のシートをローラーから引き出して積層し、湾曲装置で所定の断面形状に折り曲げる。ヒーターを備えた金型で連続的に長尺の製品に成形する。金型でプリプレグ材に加える温度と圧力は、常温または熱硬化性樹脂がゲル化をしない加熱温度で、かつ、プリプレグ材か成形された状態を維持する圧力範囲を選択する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリプレグ複合材を直線状の長尺材に未硬化の状態で連続的に予備成形する方法であって、
ロールに巻かれたプリプレグ材を送り出す工程と、ロールから送り出されたプリプレグ材を積層して所定の断面形状に湾曲させる工程と、湾曲されたプリプレグ材をヒーターを備えた金型で予備成形する工程と、予備成形されたプリプレグ材を金型から引き出す牽引工程とを備え、
金型で予備成形する工程は、プリプレグ材に含浸された熱硬化樹脂はゲル化せず、かつプリプレグ材は成形された形状を維持する温度と圧力の加工条件の下に行われ、予備成形された複合材を後工程で相手部材に合わせて3次元形状に変形させて完全硬化させることで、相手部材の補強部材を構成することを特徴とする複合材の未硬化連続予備成形方法。
【請求項2】
プリプレグ材は間欠的に金型に送られることを特徴とする請求項1記載の複合材の未硬化連続予備成形方法。
【請求項3】
プリプレグ材は連続的に金型に送られることを特徴とする請求項1記載の複合材の未硬化連続予備成形方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素繊維などに熱硬化型樹脂を含浸させた複合材のプリプレグを未硬化状態で連続して予備成形する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリプレグ材料を連続成形する技術は、例えば下記の特許文献1に開示されている。また、繊維強化複合材を半硬化状態にして利用する技術も、下記特許文献2〜5等に開示されている。
【特許文献1】特開2001−191418号公報
【特許文献2】特開2001−293790号公報
【特許文献3】特開2001−310798号公報
【特許文献4】特開2001−315149号公報
【特許文献5】特開2000−15710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した文献2〜文献5に開示されたものは、いずれも半硬化複合材料を使用することは開示されてはいるが、これらの材料を連続成形で効率良く製造する方法を開示してはいない。
【0004】
本発明は、プリプレグ材料の加熱温度と硬化の進行との関係を各種の実験を通じて解析し、未硬化複合材料を連続的に製造する方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のプリプレグ複合材を直線状の長尺材に未硬化の状態で連続的に予備成形する方法は、ロールに巻かれたプリプレグ材を送り出す工程と、ロールから送り出されたプリプレグ材を積層して所定の断面形状に湾曲させる工程と、湾曲されたプリプレグ材をヒーターを備えた金型で予備成形する工程と、予備成形されたプリプレグ材を金型から引き出す牽引工程とを備え、金型で成形する工程は、プリプレグ材に含浸された熱硬化樹脂はゲル化せず、かつプリプレグ材は成形された形状を維持する温度と圧力の加工条件の下に行われ、予備成形された複合材を後工程で相手部材に合わせて3次元形状に変形させて完全硬化させることで、相手部材の補強部材を構成することを特徴とするものである。
そして、プリプレグ材は間欠的に金型に送られるか、または連続的に金型に送られるものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、未硬化状態のプリプレグ複合材を連続して予備成形することができるので、予備成形された複合材を後工程で相手部材に合わせて3次元形状に変形させて完全硬化させることで、補強材等として活用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、本発明の適用例を示す説明図である。
航空機の胴体1は外板2の内面3に補強材であるストリンガー10を接合して必要な強度を得る。外板2の内面3は、3次元の曲面に形成されるので、ストリンガー10もこの曲面に対応する形状に形成される必要がある。
【0008】
図2に示すストリンガーの素材は、スキン12とリブ14を有する断面T字形のもので、柔軟性を有する複合材の未硬化材料10Fを使用する場合を示す。後述する連続成形装置により製造された複合材の未硬化材料10Fを所定の長さに切断し、外板2の内面3に沿って押し付けると、未硬化材料10Fは内面3の曲面に対応して変形する。この状態でオートクレーブ等の加熱・加圧装置を使用して未硬化材料10Fを加熱・加圧して完全硬化させる。
【0009】
図3は、ストリンガーを予め完全硬化させたものを示す。
連続成型装置により製造された未硬化材料を所定の長さに切断し、胴体2の内面の形状に対応する形状を有する金型に載せて、加熱・加圧して完全硬化材料10Sを製造する。
この完全硬化材料10Sは、スキン12とリブ14を有する断面T字形のもので、接合される胴体の内面3の曲率に対応する曲率Cを備える。この完全硬化材料10Sを内面3に適宜の接合手段により接合して、胴体を製造する。
【0010】
図4はハット形断面を有するストリンガー素材を示し、例えばこのような形状の未硬化材料10’も製造が可能である。
【0011】
図5はハット形断面のストリンガーを予め完全硬化させたものを示す。例えばこのような形状のストリンガー10’’も製造が可能である。
【0012】
図6は、プリプレグ複合材の未硬化材料を間欠的に連続成形する装置の一例を示す。
連続成形装置100は、プリプレグ材110を供給するロール120、ガイドローラー130、湾曲装置140を備える。
【0013】
図7は、供給されるプリプレグ材110の断面構造を示し、プリプレグシート112は、キャリアフィルム114とセパレータフィルム116に挟まれた状態でロール120から供給される。ローラー130,132を通過する間に、セパレータフィルム116は剥離され、プリプレグシート112とキャリアフィルム114の積層体は湾曲装置140へ向けて送られる。
【0014】
図8は、湾曲装置140を通過する間に積層されたプリプレグ材がH字形に折り曲げられる状態を示す。
図6に示すように、湾曲装置140の下流側には、プレス装置150が配設される。このプレス装置150の更に下流側には固定クランプ装置160と牽引クランプ装置170が配設される。
【0015】
図9は、プレス装置150の金型の構造を示す説明図である。
固定される下金型154に対向して上金型152が設けられ、上金型152はアクチュエータ152aにより上下に駆動される。
左右の金型156,158もアクチュエータ156a,158aにより横方向に駆動され、プリプレグ積層体WをH字形状にプレス加工する。
各金型は、内部にヒーターを備え、所定の温度に加熱することができる。
固定クランプ装置160と牽引装置170はタイミングを合わせて、帯状のプリプレグ積層体Wを間欠的にプレス装置150から引き出す。
【0016】
図10は、連続成形装置100の作動を示すタイミングチャートを示す。
チャートは、横軸に時間を、たて軸に金型やクランプの開閉と移動を示す。この作動により未硬化成形製品Wは間欠的に、かつ連続的に所定の断面形状を有する長尺の製品に成形される。この作動により、例えば毎分0.5メートル程度の成形速度が得られる。
【0017】
図11は、プリプレグ複合材の未硬化材料を連続成形する装置の他の例を示す。
連続成形装置200は、プリプレグ材210を供給するロール220、ガイドローラー230、湾曲装置240を備える。これらの装置は、先に説明した実施例のものと同様である。
湾曲装置240により折り曲げられたプリプレグ材は、加圧ローラー装置250に送られる。
【0018】
図12は、加圧ローラーの構成を示し、H字形の製品W1の両側壁を加圧するローラー251,252,253と、両側壁を結ぶフランジ部を加圧するローラー254,255を備える。
各ローラーは内部にヒーターを備え、プリプレグ材に必要な熱を加えることができる。
未硬化成形製品Wは、牽引ローラー装置260により連続的に引き出される。この引き出し速度は、例えば、毎分2メートル程度に設定される。
【0019】
図13は、プリプレグ材のゲル化に要する時間と温度の関係を示す図である。
横軸に温度を、たて軸に加熱時間をとったときに、180℃硬化型のプリプレグ材の温度−ゲル化特性をラインLで示す。このラインの右側の領域Kでは、ゲル化が始まり、熱硬化が進行する。
すなわち、熱硬化の進行は、加熱温度と、加熱時間の関係で決定される。
【0020】
符号HEで示す温度範囲にあっては、短時間の加熱の後に常温に戻すと、完全硬化には達しないもののかなりの硬度を有し、自由な変形が困難である。
常温を含む温度範囲HEでは、プリプレグ材に含浸される熱硬化樹脂はゲル化せずに、プリプレグ材は金型で成形された形状を維持する。
【0021】
図14はプリプレグの温度−粘度曲線である。温度により樹脂の粘度が変化するので、金型温度により予備成形後の性状を選択することができる。常温あるいはそれに近い低温では粘度が高いためプリプレグ同士の密着度は低く、層間あるいは層内の気泡は除去されない。金型温度が高いほど粘度が下がるので、密着性は良くなり、プリプレグ各層は一体化し、かなりの気泡の除去が期待できる。
【0022】
未硬化成形品は後工程としての完全硬化の過程で加熱、加圧され樹脂粘度が一時下がってから硬化するので気泡を除去することができる。
【0023】
本発明は、以上の特性に着目して、プリプレグ材の未硬化製品を連続成形する方法を開発したものである。
【0024】
図15は、上述した装置で作られた未硬化成形製品Wを示す。この製品は断面H字形状を有するので、これを2分割に切断して、T字形の未硬化材料10Fを得る。
この未硬化材料10Fは柔軟性を有するので、例えば、図1に示す航空機の胴体1の外板2の内面3に接合し、所定の加熱・加圧を加えることにより完全硬化し、ストリンガーとしての機能を発揮する。
【0025】
図16は、未硬化材料10Fを治具J上に載せて、未硬化材料10Fと曲面を持つ治具Jの形状に対応する形状に変形させ、治具Jと未硬化材料10Fを真空パック等に収容して加圧し、オートクレーブ等に入れて加熱して、完全硬化材料10Sを製造する工程を示す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の適用例を示す説明図
【図2】未硬化ストリンガーの例を示す説明図
【図3】完全硬化ストリンガーの例を示す説明図
【図4】ハット形断面を有するストリンガー素材を示す説明図
【図5】ハット形断面のストリンガーを予め完全硬化させたものを示す説明図
【図6】プリプレグ複合材の未硬化連続成形装置の一例を示す説明図
【図7】プリプレグ材の断面構造を示す説明図
【図8】プリプレグ材の折り曲げ状態を示す説明図
【図9】プレス装置の金型の構造を示す説明図
【図10】連続成形装置のタイミングチャート
【図11】プリプレグ複合材の未硬化連続成形装置の他の例を示す説明図
【図12】加圧ローラーの構成を示す説明図
【図13】プリプレグ材のゲル化を示す説明図
【図14】プリプレグの温度‐粘度曲線を示す説明図
【図15】未硬化成形製品の説明図
【図16】完全硬化材料の製造工程を示す説明図
【符号の説明】
【0027】
1 航空機の胴体
2 外板
3 内壁
10 ストリンガー
10F 未硬化材料
10S 完全硬化材料
100 複合材の未硬化連続予備成形装置
【出願人】 【識別番号】000132013
【氏名又は名称】株式会社ジャムコ
【出願日】 平成18年8月29日(2006.8.29)
【代理人】 【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所


【公開番号】 特開2008−55609(P2008−55609A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−231531(P2006−231531)