| 【発明の名称】 |
高粘度樹脂の混合装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】天野 研
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| 【要約】 |
【課題】高粘度の複数の液体を高速で均一混合できる高粘度樹脂の混合装置を提供する。
【構成】混合後の樹脂を排出する排出口7が設けられ内壁が円筒状の外筒1と、外筒1の内壁内で回転する螺旋状に形成されたネジ山5が接続される回転シャフト3と、回転シャフト3を軸受け支持し外筒1に固定された軸受け2と、軸受け2に設けられ2種類の高粘度樹脂が別々に供給される2つの注入口6と、ネジ山5に設けられ排出口7を閉じるための弁体8と、回転シャフト3を軸方向に移動する駆動装置とを備え、前記ネジ山5と外筒1の内壁とのギャップが外筒内径の0.5から1.5%以内に形成した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 混合後の樹脂を排出する排出口が設けられ内壁が円筒状の外筒と、該外筒の内壁内で回転する螺旋状のネジ山が接続される回転シャフトと、該回転シャフトを軸受け支持し前記外筒に固定された軸受けと、該軸受けに設けられ2種類の高粘度樹脂を別々に供給するための2つの注入口と、前記ネジ山に設けられ前記排出口を閉じるための弁体と、前記回転シャフトを軸方向に移動させる駆動装置を備え、前記ネジ山と外筒の内壁とのギャップが前記外筒内径の0.5から1.5%以内に形成されている高粘度樹脂の混合装置。 【請求項2】 前記駆動装置は、2種類の高粘度樹脂の混合動作時には前記弁体により排出口を閉じ、混合後の樹脂を排出する時は前記回転シャフトを引き抜いて前記排出口を開けるように制御される請求項1に記載の高粘度樹脂の混合装置。 【請求項3】 1回当たりの混合容積が1から3mlであって、前記ネジ山が2である請求項1に記載の高粘度樹脂の混合装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、射出成型機へ送られる高粘度樹脂を射出成型機の前段で攪拌混合するための高粘度樹脂の混合装置に関する。 【背景技術】 【0002】 近年、エンジニアリングプラスチックと呼ばれる高粘度の樹脂を射出成型して機械部品,光学部品,記録媒体として利用する例が見られる。しかし、例えば10Pas以上の2種類の高粘度の樹脂を均一に混合して射出成型機に送るような混合装置の製作はかなり難しいものがある。特に、2液の混合直後に硬化が始まるような速硬化性樹脂の場合には、数分以内に均一混合を達成して射出成型機に送る必要があり、高粘度の樹脂を高速で均一混合しなければならない。 【0003】 又、速硬化性樹脂の場合には、射出成型機に送り込む分だけの樹脂を即時に調合混合することが必要で、大型の容器で作り貯めておくことができない。 【0004】 工業的に用いられる高粘度の混合装置として、PETやPBTの高粘度重合器があるが、上述した問題点は解決できないものであった。すなわち、粘度が10Pas以上の高粘度流体では、粘性力が圧倒的に支配するから、いわゆる対流による攪拌混合は期待できない。このため通常の攪拌翼による液の混合性能は著しく低いものになる。このため高粘度流体の混合装置としては、例えば飴菓子の製造機のように機械的に引き伸ばしと折りたたみを繰り返すものが多い。PETやPBTの重合器も基本的にはこのような考えに基づくが、これを射出成型用混合装置に適用することは難しい。 【0005】 〔特許文献1〕には、円筒状をしたシリンダ内にスクリュウを回転し、粉体,粒状体,液体等を混練したり、粘土状物体を送出する装置で、シリンダ,スクリュウの少なくとも一方をセラミック材で構成し、シリンダ内径が60mm、隙間を60μmとすることが記載されている。 【0006】 〔特許文献2〕には、混練撹拌羽根を固定した2本の回転軸を有する2連式連続混練装置のケース内に排出口を開閉するセキ板を回転軸心方向に進退自在に設け、このセキ板を進退させる油圧シリンダの圧力を検知する圧力検知器と、回転軸を駆動する電動機の負荷電流を検出することによりセキ板の開度を調節して滞留量を一定に保つことが記載されている。 【0007】 【特許文献1】特開昭62−1446号公報 【特許文献2】特開昭63−242334号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 〔特許文献1〕に記載の従来の技術は、粉体,粒状体,液体等を混練したり、粘土状物体を送出する装置であるため、射出成型機に送り込む分だけの樹脂を即時に調合混合することについての配慮がなされていなものである。 【0009】 又、〔特許文献1〕に記載の従来の技術は、セキ板を設けるものであるが、セキ板の開度を調節して滞留量を一定に保つものであり、同様に、射出成型機に送り込む分だけの樹脂を即時に調合混合することについての配慮がなされていなものである。 【0010】 本発明の目的は、高粘度の複数の液体を高速で均一混合できる高粘度樹脂の混合装置を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0011】 上記目的を達成するために、本発明の高粘度樹脂の混合装置は、 混合後の樹脂を排出する排出口が設けられ内壁が円筒状の外筒と、該外筒の内壁内で回転する螺旋状のネジ山が接続される回転シャフトと、該回転シャフトを軸受け支持し前記外筒に固定された軸受けと、該軸受けに設けられ2種類の高粘度樹脂を別々に供給するための2つの注入口と、前記ネジ山に設けられ前記排出口を閉じるための弁体と、前記回転シャフトを軸方向に移動させる駆動装置を備え、前記ネジ山と外筒の内壁とのギャップが前記外筒内径の0.5から1.5%以内に形成されているものである。 【発明の効果】 【0012】 本発明によれば、高粘度,速硬化性,小容量の樹脂を高速混合することができ、これを加工する射出成型機に好適な高粘度樹脂の混合装置を実現できる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0013】 本発明の一実施例を図1から図4により説明する。図1,図2は、本実施例の高粘度樹脂の混合装置を示す縦断面図、図3は、ネジ山部分を示す斜視図、図4は、混合性能を示す図である。 【0014】 図1,図2に示すように、混合容器部分の内径が25mmの場合を示しているが、円筒状の外筒1には、混合後の樹脂を排出する排出口7が設けられている。排出口7の口径は特に規定されない。排出口7は射出成型機9に接続されるが、射出成型機9の構造についてはとくに規定はない。外筒1の内側には、螺旋状に形成されたネジ山5が接続された回転シャフト3が内装され、回転シャフト3は、外筒1に結合ネジ4で固定された軸受け2で軸受け支持されている。 【0015】 ネジ山5の先端部には円錐状の弁体8が設けられており、図示しない駆動装置によって軸方向に移動するようになっている。図1は、弁体8で排出口7が閉じられている状態を示しており、図2は、弁体8が0.5mm 移動して排出口7が開いた状態を示している。軸受け2には、2種類の高粘度樹脂A,Bを別々に供給するため、2つの注入口6が設けられ、2つの注入口6は、ネジ山5と軸受け2との間に形成される空間に連通しており、高粘度樹脂を混合容器部分に導入するようになっている。注入口6の口径は特に規定されない。樹脂Aと樹脂Bについても特に規定はないが、樹脂A,樹脂Bともに10Pasから数百Pasの高粘度であり、混合により直ちに硬化を始めるものを想定している。 【0016】 本実施例の高粘度樹脂の混合装置は、1回当たりの混合容量が3から5mlであり、図1、ネジ山5の形状を3次元的に示した図3の例では、ネジ山5部の最大径は24.5mm であり、外筒1内壁とネジ山5とのギャップは、0.25mm に形成され、ギャップ幅は、外筒内径の1%程度に設定されている。又、ネジ山5部のピッチを6mm、ネジ山5の溝の深さを5mm、ネジ山5部の軸方向長さを2ピッチ分12mmとしている。これらの寸法は混合部容積を確保し、後述するように、高粘度の複数の液体を高速で均一混合するのに好適なものである。 【0017】 なお、外筒1は、2つの半円状のものをボルトで結合して形成してもよく、このように構成することにより、分解して清掃が容易にできる。 【0018】 このように構成された高粘度樹脂の混合装置の運転方法について説明する。 【0019】 2つの樹脂A,樹脂Bの混合動作時には、図1に示すように、排出口7は、ネジ山5部に設けられた突起状の弁体8で閉じられている。樹脂を下流側へ押し出す方向に回転シャフトを数十rpm で回転させる。このとき樹脂の押し込み流量と同じだけの逆流流量が生じるため樹脂は前後に混合され均一化される。 【0020】 高粘度液体はパイプの中を移送することが極めて困難であるため、高粘度液体の移送機器として、パイプ内部でスクリュウを回転させて液体を押し出す一軸押出器が用いられる。一軸押出器では高粘度液が前後で逆流混合することなくピストン状に一様に押し出されるのが、理想であるが、高粘度流体を下流側へ押し出そうとすると、下流ほど流体圧力が著しく高くなるので逆流混合が生じ、下流側出口を閉塞した状態で押し込み動作を行うことにより、押し込み流量と同じだけの逆流流量(Backmixing Flow) が得られ、均一混合を得ることができる。 【0021】 混合された樹脂を排出するときには、図2に示すように、シャフトを約0.5mm 引き抜いて排出口7を開き、回転シャフトを回転して混合樹脂を射出成型機9へ押し出す。このときは一軸押出器と同様に、樹脂はピストン状に射出成型機に押し出され、注入口より新しい樹脂が容器内に充填されるが、逆流流量はほとんどないため、混合樹脂と新しい樹脂が混ざり合うことはない。 【0022】 図4は、本混合装置の混合性能を解析的に検討した結果を示す。 【0023】 図4(a)は、粘度200Pasの樹脂A(20)を90%の割合で充填し、粘度200Pasの樹脂B(21)を10%の割合で充填した初期状態である。 【0024】 図4(b)は、40rpm の回転数で60秒間攪拌した混合時の濃度分布を示している。図4(b)に示されるように、ネジ山5のピッチ6mm,ギャップ幅0.25mm の条件で 60秒以内に均一な混合状態を形成できることがわかる。 【0025】 一方、図4(c)は、ギャップ幅を0.5mm に拡げた条件で60秒間攪拌した混合時の結果であり、図4(b)と同じく40rpm の回転数で、ネジ山5のピッチ6mmであるが、ギャップ幅0.25mm の条件よりも濃度ムラが大きく、混合性が悪い。 【0026】 これはギャップ幅を拡げたために逆流流量が減り、前後の混合が悪くなったことによる。この傾向は回転数を増加させても同様であり、ギャップ幅は外筒内径の1%程度、好ましくは0.5 から1.5%以内、さらに好ましくは0.8 から1.2 以内に留めるのがよい。 【0027】 図4(d)は、ギャップ幅は0.25mm であるが、ネジ山のピッチを3mmとしてネジ山の数を2倍に増やした場合の混合性能を示す。ネジ山部の軸方向の全長は12mmで変えていない。この結果から、ネジ山を増やすと濃度ムラが大きくなり混合性能は悪くなることが分かる。ネジ山の数は2が適切である。 【0028】 本実施例では、1回当たりの混合容積が1から3mlの小さな装置について説明したが、より大きい容量の混合装置は、流れの相似則に基づいてその設計寸法を決めることができる。すなわち、相似則を与える無次元数であるレイノルズ数を一致させることにより適正な装置を得ることができる。 【0029】 たとえば、本実施例の混合装置の代表径をD1(m)とし、代表回転数をN1(1/s)、例えば40rpm とする。混合容積が8倍の混合装置は、代表径D2=D1×2の相似の装置とし、回転数をN2=N1/4(例えば10rpm )とすれば、レイノルズ数は、数1となり、 【0030】 【数1】
【0031】 ここで、Reはレイノルズ数、νは樹脂の動粘性係数(m2/s)である。 【0032】 流れは相似となるから本実施例と同様の混合性能を実現できる。ただし、均一な混合を得るのに要する時間は、本実施例が約60秒であるのに対し4倍の約240秒となる。この場合、混合樹脂の硬化速度の観点から、より速い混合速度が必要であれば、回転数を本実施例と同じ程度まで増加させればよい。このときレイノルズ数Re2は、Re1よりも高くなるので、混合性能(樹脂の均一度)が本実施例を下回ることはない。 【0033】 大型の混合装置についても、ギャップ幅を外筒径の1%程度、好ましくは0.5 から 1.5 %以内、さらに好ましくは0.8から1.2以内に留め、混合時に排出口を閉じることの2つの要件を満たすことが必要である。 【図面の簡単な説明】 【0034】 【図1】本発明の一実施例である高粘度樹脂の混合装置を示す縦断面図である。 【図2】本実施例の高粘度樹脂の混合装置を示す縦断面図である。 【図3】混合装置のネジ山部分を示す斜視図である。 【図4】混合装置の混合性能解析結果を示す図である。 【符号の説明】 【0035】 1…外筒、2…軸受け、3…回転シャフト、4…外筒と軸受けの結合ネジ、5…回転シャフトのネジ山、6…注入口、7…排出口、8…弁体、9…射出成型機。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005108 【氏名又は名称】株式会社日立製作所
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| 【出願日】 |
平成18年8月23日(2006.8.23) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100100310 【弁理士】 【氏名又は名称】井上 学
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| 【公開番号】 |
特開2008−49508(P2008−49508A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月6日(2008.3.6) |
| 【出願番号】 |
特願2006−226015(P2006−226015) |
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