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【発明の名称】 コンパウンド製造装置、押出機用型およびコンパウンド製造方法
【発明者】 【氏名】伊藤 弘和

【氏名】服部 英広

【氏名】藤好 一平

【要約】 【課題】非常に流動性の低い素材を押出機構にて混合して押し出してコンパウンドを製造する際に、素材を構成する成分の分散性が良好な成形品を得るための高品質なコンパウンドの製造装置を提供する。

【構成】MFRが0.0g/10minの素材M10を押出機構A3にて混合しながらダイA5の押出口A5aから押し出すコンパウンド製造装置A10に、素材M10が流れる流路F1の断面積を変えることが可能な断面積可変機構A6を設け、該断面積可変機構A6を流れる素材にかかる圧力を調整可能とした。断面積可変機構A6を流路の途中に設け、流路を流れる素材M10にかかる圧力を、断面積可変機構A6が設けられた部分で上昇させ、断面積可変機構A6が設けられた部分から押出口A5aまでの間に下降させるようにしてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
JIS K7210(1999年改正後の規格)に準拠したメルトマスフローレイト(MFR)が0.0g/10minの素材を押出機構にて混合しながらダイの押出口から押し出すコンパウンド製造装置であって、
前記素材が流れる流路の断面積を変えることが可能な断面積可変機構を備え、該断面積可変機構を流れる素材にかかる圧力を調整可能としたことを特徴とするコンパウンド製造装置。
ただし、前記素材は、前記断面積を変える部分における素材の温度を試験温度とし荷重を2.16kgとして測定したときに求められるMFRが0.0g/10minの素材とする。
【請求項2】
前記断面積可変機構を前記流路の途中に設け、前記流路を流れる素材にかかる圧力を、前記断面積可変機構が設けられた部分で所定の圧力まで上昇させ、前記断面積可変機構が設けられた部分から前記押出口までの間に下降させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のコンパウンド製造装置。
【請求項3】
前記流路を形成するとともに該流路の下流側端部に前記ダイを取り付けた本体部が設けられ、
前記断面積可変機構は、前記ダイから前記本体部内に向かって立設された可動部材と、前記流路の外側からの操作により前記流路の断面積を変えるように前記可動部材を移動させる操作部とを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンパウンド製造装置。
【請求項4】
前記本体部の流路は、下流側となるほど拡がった流路拡大部を有し、
前記可動部材は、前記流路拡大部の形状に合わせて上流側となるほど細くなった先端部を有し、前記ダイから立設された方向へ進退することにより前記流路拡大部との間隔を変更させる部材とされ、
前記操作部は、前記ダイから前記本体部とは反対側となる位置に設けられ、該位置での操作により前記可動部材を前記ダイから立設された方向へ進退させることを特徴とする請求項3に記載のコンパウンド製造装置。
【請求項5】
前記可動部材は、前記先端部から前記ダイを貫通して前記操作部に繋がり外周面に雄ねじが形成された雄ねじ部を有し、
前記ダイは、前記雄ねじ部を貫通させながら螺合させる雌ねじ部が形成され、
前記押出口は、前記雌ねじ部を取り巻く形状に形成され、混合された前記素材を不定形の状態で押し出すようにされていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のコンパウンド製造装置。
【請求項6】
JIS K7210(1999年改正後の規格)に準拠したメルトマスフローレイト(MFR)が0.0g/10minの素材を押し出す流路の下流側端部に取り付けられる押出機用型であって、
前記素材が流れる流路の断面積を変えることが可能な断面積可変機構を備え、該断面積可変機構を流れる素材にかかる圧力を調整可能としたことを特徴とする押出機用型。
ただし、前記素材は、前記断面積を変える部分における素材の温度を試験温度とし荷重を2.16kgとして測定したときに求められるMFRが0.0g/10minの素材とする。
【請求項7】
JIS K7210(1999年改正後の規格)に準拠したメルトマスフローレイト(MFR)が0.0g/10minの素材を押出機構にて混合しながらダイの押出口から押し出すコンパウンド製造方法であって、
前記素材が流れる流路の断面積を変えることが可能な断面積可変機構にて該断面積を変える部分の素材にかかる圧力を調整してコンパウンドを製造することを特徴とするコンパウンド製造方法。
ただし、前記素材は、前記断面積を変える部分における素材の温度を試験温度とし荷重を2.16kgとして測定したときに求められるMFRが0.0g/10minの素材とする。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性の低い素材を押出機構にて混合しながらダイから押し出すコンパウンド製造装置、押出機用型およびコンパウンド製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、木質系材料を有効利用するため、微粒状の木質系材料を高い配合比で有する樹脂成形材料を用いて成形体を形成することが行われている。高い配合割合の充填材(フィラー)を有するフィラー高充填の樹脂成形材料は、ぼそぼそとして崩壊性を有する等、流動性が非常に低い。このような素材は、JISに準拠したMFR(メルトマスフローレイト)が0.0g/10minであり、非常に流れにくいため、成形が容易ではない。このように流動性の非常に低い素材を用いて成形品を製造する技術として、特許文献1記載の技術が開示されている。同技術は、素材を押出機構にて混合して成形することなく不定形の状態で押し出し、押し出した素材(コンパウンド)を不定形のまま所定の導入部に導入し、導入した不定形の素材をペレット化し、形成されたペレットを用いて後成形を行うものである。
【特許文献1】特開2004−17502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
流動性の高いフィラー低充填の樹脂成形材料を用いて成形品を形成するときには、成形品中の充填材の分散性は高い。しかし、非常に流動性の低いフィラー高充填の素材を用いて上述の製法により成形品を形成すると、成形品中の充填材の分散性が十分ではない場合があった。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、非常に流動性の低い素材を押出機構にて混合して押し出してコンパウンドを製造する際に、素材を構成する成分の分散性が良好な成形品を得るための高品質のコンパウンドを製造することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、JIS K7210(1999年改正後の規格)に準拠したメルトマスフローレイト(MFR)が0.0g/10minの素材を押出機構にて混合しながらダイの押出口から押し出すコンパウンド製造装置であって、前記素材が流れる流路の断面積を変えることが可能な断面積可変機構を備え、該断面積可変機構を流れる素材にかかる圧力を調整可能としたことを特徴とする。また、本発明は、前記素材を押し出す流路の下流側端部に取り付けられる押出機用型であって、前記素材が流れる流路の断面積を変えることが可能な断面積可変機構を備え、該断面積可変機構を流れる素材にかかる圧力を調整可能としたことを特徴とする。さらに、本発明のコンパウンド製造方法は、前記素材が流れる流路の断面積を変えることが可能な断面積可変機構にて該断面積を変える部分の素材にかかる圧力を調整してコンパウンドを製造することを特徴とする。ただし、前記素材は、前記断面積を変える部分における素材の温度を試験温度とし荷重を2.16kgとして測定したときに求められるMFRが0.0g/10minの素材とする。
すなわち、素材が流れる流路の断面積が上記断面積可変機構により変えられると、該断面積可変機構を流れる素材にかかる圧力が調整される。
【0006】
流動性の高い素材を用いて成形品を形成するときには、素材の条件が少々違っていても成形品中で素材を構成する成分の分散性にばらつきは少なく、該成分が十分に分散した成形品が得られる。しかし、上記JISに準拠したMFR(以下、単にMFRと記載)が0.0g/10minである素材を用いてコンパウンドを生成し、成形品を形成するとき、素材の流動性が非常に低いために、上記断面積可変機構が無ければ、素材の成分など素材のちょっとした条件の違いでコンパウンド中で素材を構成する成分の分散性がばらつき、成形品中で素材の構成成分の分散性がばらついてしまう。
本発明では、上記断面積可変機構にて流路の断面積を変えることにより該断面積を変更した部分の素材にかかる圧力を調整可能であるので、該断面積を変更した部分でコンパウンドの練りの状態を調節可能である。素材の種類等によりコンパウンドの練りの状態を最適にする圧力は異なるが、断面積可変機構により素材に応じた最適な圧力を素材にかけることができ、素材に最適な圧力がかかればコンパウンド中および成形品中で素材の構成成分の分散性を向上させることができる。また、同じ素材、同じ流路断面積であっても熱等の条件によって素材にかかる圧力が変わるが、条件が違っても断面積可変機構により素材にかかる圧力を一定に調節することができ、素材にかかる圧力が一定になればコンパウンド中および成形品中で素材の構成成分の分散性を一定にすることができる。
従って、非常に流動性の低い素材を押出機構にて混合して押し出してコンパウンドを製造する際に、素材を構成する成分の分散性が良好な成形品を得るための高品質のコンパウンドを形成することができる。
【0007】
ここで、上記断面積可変機構を流路の途中に設け、流路を流れる素材にかかる圧力を、断面積可変機構が設けられた部分で所定の圧力まで上昇させ、断面積可変機構が設けられた部分からダイの押出口までの間に下降させるようにしてもよい。これにより、コンパウンドがより高品質となる。
【0008】
また、上記断面積可変機構は、流路を形成する本体部に設けられてもよいが、ダイに設けられてもよい。ダイは本体部と比べて安価なので、断面積可変機構がダイに設けられると低コストとなる。また、流路の外側からの操作により流路の断面積を変えるように可動部材を移動させる操作部を断面積可変機構に設けると、流路の外側から流路の断面積を変えることができるので、素材にかかる圧力を調整する操作が容易となる。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、請求項1、請求項6、請求項7に係る発明によれば、MFRが0.0g/10minという非常に流動性の低い素材を押出機構にて混合して押し出してコンパウンドを製造する際に、素材を構成する成分の分散性が良好な成形品を得るための高品質のコンパウンドを製造することが可能になる。
請求項2に係る発明では、構成成分の分散性が良好な成形品を得るためのコンパウンドを製造する好適な構成を提供することができる。
【0010】
請求項3に係る発明では、低コストで断面積可変機構を設けることができるとともに、素材にかかる圧力を調整する操作を容易に行うことができる。
請求項4に係る発明では、簡易な構造で断面積可変機構を構成することができる。
請求項5に係る発明では、コンパウンドを円滑に押し出すことができるので、単位時間当たりのコンパウンド製造量を増加させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
(1)コンパウンド製造方法を含む成形品製造方法の説明:
(2)コンパウンド製造装置の説明:
(3)コンパウンド製造装置の動作およびコンパウンド製造方法の作用:
(4)各種変形例:
(5)実施例:
(6)まとめ:
【0012】
(1)コンパウンド製造方法を含む成形品製造方法の説明:
図1は、本発明の一実施形態に係るコンパウンド製造装置を用いてコンパウンドを製造し、該コンパウンドを用いて成形品を製造する成形品製造方法を流れ図により示している。図2は、コンパウンド製造装置の構造の例を一部断面視して示している。
本成形品製造方法では、MFRが0.0g/10minの素材M10を押出機構A3にて混合しながらダイA5の押出口A5aから押し出して流動性の低いコンパウンドM20を生成し、該コンパウンドを少なくとも用いて成形を行って成形品M30を製造する。ここで、本発明に係るコンパウンド製造方法では、流動性の低い素材M10が流れる流路F1の断面積を変更可能な断面積可変機構A6にて該断面積を変える部分F2の素材にかかる圧力を調整してコンパウンドを製造する。
【0013】
本発明に用いられる流動性の低い素材M10は、断面積を変える部分F2における素材の温度を試験温度とし荷重を2.16kgとして測定したときに求められるMFRが0.0g/10minの素材である。このような素材は、崩壊性を有することも多い。
ここで、素材の崩壊性とは、素材の崩れる性質を意味し、いわゆるぼそぼそとした性状を意味する。充填材を含有する樹脂成形材料の場合、樹脂に対する充填材の配合割合が多いと充填材の周りに樹脂が行き渡らないため、素材は、結着性が低く、崩れやすくなる(崩壊性が大きくなる)。崩壊性を有する素材の場合、MFR測定用のシリンダに素材を入れても素材がシリンダ内を流れないので、MFRは0.0g/10minである。また、便宜上、JISによる上記試験方法でシリンダ内を流れない素材をMFR0.0g/10minの素材に含めてもよい。
【0014】
JIS K7210に規定されたMFR(メルトマスフローレイト。単にメルトフローレイトともいう)は、樹脂の流動性、すなわち、樹脂の流れやすさを表す指標値である。充填材を含む素材等の流動性は、MFRに準拠して単位時間当たりにメルトフローレイト測定装置から押し出される素材の質量を測定することにより求められる流量(単位:g/10min)で表すことができる。充填材を含有する樹脂成形材料の場合、樹脂に対する充填材の配合割合が非常に多いと、当該素材を試料として、断面積可変機構で断面積を変える部分F2における素材の温度を試験温度θ(℃)とし荷重Mnomを2.16kgとしてMFRを測定すると、求められるMFRが0.0g/10minとなる。例えば、MFRが50g/10minのポリプロピレン(熱可塑性樹脂)を90重量%、粒径1mm以下の微粒状の木粉を10重量%配合した素材では、断面積を変える部分F2における素材の温度180℃を試験温度θとし、荷重Mnomを2.16kgとしてMFRを測定すると、MFRは0.0g/10minとなるか、或いは測定することができない。
【0015】
流動性の低い素材M10には、例えば、50重量%以上の充填材M1と、該充填材と等重量以下の樹脂M2と、を少なくとも含む樹脂成形材料を用いることができる。この樹脂成形材料は、必要に応じて、素材M1,M2とは異なる第三の素材M3が充填材M1と当重量以下で配合された素材でもよい。各素材M1〜M3は、複数の種類の素材から構成されてもよい。
充填材M1には、木質系材料、無機素材、金属素材、等の他、熱硬化性樹脂成形体等の樹脂成形体の粉砕物や破砕物、FRPの廃材の粉砕物や破砕物、等も用いることができ、形状は微粒状が好ましい。なお、本明細書において、微粒状は、粉末状ないしペレットよりも細かい粒状をいい、粉末状や微細な繊維状を含むものとする。
【0016】
木質系材料の充填材には、木粉、木毛、木片、木質繊維、木質パルプ、木質繊維束、木材の破砕物、木材の粉砕物、これらの組み合わせ、等の他、さらに竹、麻、バカス、モミガラ、稲わら等セルロースを主成分とする材料を混合した素材を用いることができ、家具工場や建築現場等で発生する木材の切り屑、廃材の粉砕物や破砕物、家具や建築用材等の廃棄物の粉砕物や破砕物、等も用いることができる。微粒状の木質系材料は、ペレットの大きさよりも小さいのが好ましく、粒径としては0.001〜1000μmが好ましく、粒径をより揃えるために0.02〜500μm、0.1〜100μmの粒径としてもよい。素材M10中の木質系材料の配合割合は、形成される素材のMFRが0.0g/10minとなるようにすればよく、例えば、80〜99.9重量%、85〜99重量%、90〜98重量%とすることができる。なお、木質系材料を前記下限以上にするのは好適な靱性を得るためであり、木質系材料を前記上限以下にするのは樹脂M2により木質系材料どうしを固まらせるためである。
木質系材料に廃材等のリサイクル品を用いる場合、木質系材料の性状にばらつきがあることから、素材M10の性状にばらつきが生じる。本発明では、上記断面積可変機構により素材の練りを調節することができるので、コンパウンドおよび成形品の木質系材料の分散性を良好にさせることができる。
【0017】
無機素材の充填材には、アルミナ、窒化アルミニウム、アルミナシリカやジルコニアシリカやフライアッシュ等のシリカ、ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、チタニア、ジルコニア、ガラス、スラグ、これらの混合物、等を用いることができる。無機素材は、結晶質の素材でも、非晶質ガラスのように非晶質の素材でもよい。
金属素材には、金、銀、鉄、ステンレス鋼、クロム合金、ニッケル合金、青銅、等を用いることができる。
微粒状の無機素材や金属素材は、ペレットの大きさよりも小さいのが好ましく、粒径としては0.001〜1000μmが好ましく、粒径をより揃えるために0.02〜500μm、0.1〜100μmの粒径としてもよい。素材M10中の充填材の配合割合は、生成される素材のMFRが0.0g/10minとなるようにすればよく、例えば、80〜99.9重量%、85〜99重量%、90〜98重量%とすることができる。
【0018】
樹脂M2には、溶融状態(流動状態)の熱可塑性樹脂、加熱することにより溶融可能な熱可塑性樹脂、液状(流動状態)の熱硬化性樹脂、これらの組み合わせ、等を用いることができる。前記液状は、低粘度の液状から高粘度の液状まで含む。
樹脂M2が溶融状態(流動状態)であれば、そのまま充填材M1と混合して軟化した素材とすることができる。なお、同じ条件下でMFRが大きい樹脂であるほどコンパウンドから成形品への成形が容易となるため、素材中の樹脂の配合割合をより少なくさせることができる。
【0019】
熱可塑性樹脂には、例えば、ポリオレフィン(ポリプロピレン(PP),ポリエチレン(PE),ポリブテン、等),ポリスチレン,ポリメチルメタアクリレート,塩化ビニル,ポリアミド(ナイロン),ポリカーボネート,ポリアセタール,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンテレフタレート,ポリエチレングリコール(PEG),ポリビニルアルコール(PVA),オレフィン系熱可塑性エラストマー,スチレン系熱可塑性エラストマー、これらの樹脂の原料に不飽和酸等の不飽和単量体(アクリル酸,メタクリル酸等の不飽和カルボン酸、メチル(メタ)アクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート等の不飽和カルボン酸のアルキルエステル誘導体、マレイン酸,無水マレイン酸,フマル酸等の不飽和ジカルボン酸または酸無水物、アクリルアミド,マレイン酸のモノまたはジエチルエステル等の不飽和カルボン酸または不飽和ジカルボン酸の誘導体、等)を添加して合成して得られる樹脂、これらの混合物、等を用いることができる。
【0020】
なお、熱可塑性樹脂の原料に酸(特に有機酸)を添加して合成して得られる酸変性樹脂も、通常、熱可塑性であり、熱可塑性であれば熱可塑性樹脂となる。添加する酸としては、熱可塑性樹脂に親水基を付与するマレイン酸等のカルボキシル基を有する有機酸がよく用いられる。熱可塑性樹脂をマレイン酸で変性した酸変性樹脂を製造するには、付加重合前の熱可塑性樹脂の原料にマレイン酸を添加して付加重合を行えばよい。すると、付加重合後の高分子には親水基が付加される。熱可塑性樹脂の少なくとも一部に酸変性樹脂を用いることにより、親水性の充填材等の添加材を添加した樹脂製品を製造する場合に親水性の添加剤とのなじみが良くなる。
【0021】
熱硬化性樹脂には、例えば、不飽和ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂,ウレタン樹脂,シリコーン樹脂,フェノール樹脂,ユリア樹脂,メラミン樹脂、これらの混合物、等を用いることができる。液状熱硬化性樹脂には、必要に応じて、スチレンやビニルトルエン等のラジカル重合性モノマー、これらのオリゴマー、ハイドロキノンやp−ベンゾキノン等の重合禁止剤、充填材、相溶化剤、滑剤、繊維状素材、核剤、顔料、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、等の添加剤が含まれていてもよい。例えば液状の不飽和ポリエステル樹脂の場合、通常、不飽和ポリエステルとラジカル重合性モノマーと重合禁止剤が含まれている。
【0022】
第三の素材M3は、固体でも液体でもよく、相溶化剤、滑剤、繊維状素材、核剤、顔料などの着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、可塑剤、補強剤、金属不活性化剤、難燃剤、難燃助剤、離型剤、防カビ剤、これらの組み合わせ、等の添加剤が考えられる。微粒状の第三の素材を添加する場合、例えば樹脂1重量部に対する配合量を1重量部以下とする。
【0023】
ここで、素材M10中の充填材の配合割合が多くなったり樹脂の配合割合が少なくなったりするほど、素材の崩壊性が強くなり、素材のMFRが小さくなる傾向がある。従って、素材のMFRを0.0g/10minまで小さくさせるためには樹脂の配合割合を減らしたり充填材の配合割合を増やしたりすればよい。このようにすれば、上述した素材M1〜M3から本発明が適用される流動性の低い素材M10を生成することができる。
充填材に微粒状の木質系材料を用いる場合、素材M10中の木質系材料の配合比を90重量%以上にすると、通常、素材M10はMFRが0.0g/10minとなる。ここで、試験温度を断面積変更部分F2における素材の温度とし、MFR測定装置のおもり(荷重)を2.16kgとする。
【0024】
上述した素材M1〜M3からコンパウンドM20を製造するためのコンパウンド製造装置A10は、素材M1〜M3を投入するためのホッパA1、本体部A2内で押出機構A3にて素材M10を混合しながら押し出す押出機、必要に応じて本体部A2を加熱する加熱機構A4、本体部A2の下流側端部に取り付けられるダイA5、断面積可変機構A6、を備える。本体部A2は、筒状に形成され、回転するスクリューを内部に挿入させる。そして、本体部A2は、内部に素材の流路F1を形成し、流路F1の下流側端部にダイA5が取り付けられる。押出機構A3は、前記スクリューおよび該スクリューを回転駆動する回転駆動機構等からなる。押出機には、一軸スクリュー混練押出機、二軸スクリュー混練押出機等の多軸スクリュー混練押出機、等、種々の押出機を用いることができ、斜軸型の押出機でもよい。なお、本明細書において、混練は、凝集物の引離しを目的とした破砕作用を積極的に求める操作をいい、混合に含まれる。
【0025】
ダイA5には、ペレットの大きさよりも大きくコンパウンドM20の押出方向D1へ貫通させた押出口A5aが形成されている。押出機構A3にて混合された素材M10は、コンパウンドM20として不定形の状態で押し出され、適宜コンテナ等の所定の導入部A9に不定形の状態で導入される。
断面積可変機構A6は、コンパウンド製造装置A10内を流れる素材の流路F1の断面積を変えることにより、断面積を変更した部分の素材にかかる圧力を調整可能とする。
【0026】
以上の構成により、樹脂M2および該樹脂の重量以上の充填材M1を少なくとも含む素材は、ホッパA1に投入されると本体部A2に送り込まれ、本体部A2内で押出機構A3にて混合されて、流動性の低い素材M10にされる。この素材は、本体部A2内で押出機構A3にて混合されながらダイA5に向かって移送され、ダイA5の押出口A5aから押し出される。樹脂M2に熱可塑性樹脂を用いる場合、本体部A2に送り込まれた素材M1〜M3は、加熱機構A4で加熱されて樹脂M2が溶融し、本体部A2内で押出機構A3にて混合されて、流動性の低い素材にされる。
ここで、素材が流れる流路F1の断面積が断面積可変機構A6により変更されると、断面積を変更した部分の素材にかかる圧力が変わる。
MFRが0.0g/10minである素材M10を用いるとき、素材M10の流動性が非常に低いために、断面積可変機構A6が無ければ、素材の温度や成分など素材の僅かな条件の違いでコンパウンドM20中で充填材M1等の分散性がばらつき、成形品M30中で充填材M1等の分散性がばらついてしまう。本発明では、断面積可変機構A6により流路F1の断面積を変更して該断面積を変更した部分の素材にかかる圧力を調整することができるので、該断面積を変更した部分でコンパウンドの練りの状態を調節することができる。例えば、素材の種類や充填材の量の違い等によりコンパウンドの練りの状態を最適にする圧力は異なるが、断面積可変機構A6により素材に応じた最適な圧力を素材にかけることができ、素材に最適な圧力が加わればコンパウンド中および成形品中で充填材等の分散性を向上させることができる。また、同じ素材、同じ流路断面積であっても熱等の条件によって素材にかかる圧力が変わるが、条件が違っても断面積可変機構A6により素材にかかる圧力を一定にすることができ、素材にかかる圧力が一定になればコンパウンド中および成形品中で充填材等の分散性を一定にすることができる。
【0027】
成形品M30を形成するための素材は、コンパウンドM20のみでも、必要に応じて、第三の素材M21が充填材M1と当重量以下で配合された素材でもよい。第三の素材M21は、複数の種類の素材から構成されてもよい。第三の素材M21には、上記第三の素材M3に使用可能な各種添加剤を用いることができる。第三の素材M3,M21を両方用いる場合には、第三の素材M3,M21の合計が充填材M1と当重量以下で配合されるようにする。微粒状の第三の素材を添加する場合、例えば樹脂1重量部に対する配合量の合計を1重量部以下とする。
【0028】
コンパウンドM20を成形する成形装置A20,A30,A40は、コンパウンドM20を成形品M30の形状に成形し、成形品M30を製造する。押出成形装置A20は、コンパウンドM20を投入するためのホッパA21、本体部内で押出機構にてコンパウンドM20を混合しながら押し出す押出機A22、必要に応じて本体部を加熱する加熱機構A24、本体部の下流側端部に取り付けられるダイA25および切断機A23、を備える。押出機には、一軸スクリュー混練押出機、多軸スクリュー混練押出機、等、種々の押出機を用いることができる。
コンパウンドM20は、ホッパA21に投入されると押出機A22に送り込まれ、押出機構にて混合されながらダイA25に向かって移送され、ダイA25から押し出されて、切断機A23にて所定の長さに切断されて成形される。樹脂M2に熱可塑性樹脂を用いる場合、押出機A22に送り込まれたコンパウンドM20は、加熱機構A24で加熱されて樹脂M2が溶融し、溶融状態の樹脂M2と充填材M1と場合により第三の素材M3,M21とが押出機構にて混合されながらダイA25に向かって移送される。なお、押出成形品を冷却機構にて冷却してもよい。このようにして、成形品M30が製造される。
【0029】
また、押出成形装置A20の代わりに、射出成形装置A30やプレス成形装置A40等を用いてもよい。射出成形装置A30には、必要に応じてコンパウンドM20を加熱する加熱機構A31が設けられる。樹脂M2に熱可塑性樹脂を用いる場合、コンパウンドM20は、加熱機構A31で加熱されて樹脂M2が溶融し、溶融状態の樹脂M2と充填材M1と場合により第三の素材M3,M21とが混合されながら所定のダイから成形品M30の形状の金型内に射出され、成形品M30の形状に射出成形される。この場合も、射出成形品を冷却機構にて冷却してもよい。
また、プレス成形装置A40にも、必要に応じてコンパウンドM20を加熱する加熱機構A41が設けられる。樹脂M2に熱可塑性樹脂を用いる場合、コンパウンドM20は、成形品M30の形状のプレス成形型内に充填され、加熱機構A41で加熱されて樹脂M2が溶融し、高い圧力がかけられて成形品M30の形状にプレス成形される。この場合も、プレス成形品を冷却機構にて冷却してもよい。
樹脂M2として熱可塑性樹脂を用いる場合、加熱機構A24,A31,A41にてコンパウンドを加熱すると、含まれる樹脂を溶融させることができるので好適である。
【0030】
成形に用いられるコンパウンドM20は、断面積可変機構A6が無ければコンパウンドM20中で充填材M1等の分散性がばらついてしまう非常に低い流動性の素材M10から形成されるものであっても、断面積可変機構A6により流路F1の断面積を変更した部分でコンパウンドの練りの状態を調節することができる。従って、充填材M1等の分散性が良好な成形品M30を得るための高品質のコンパウンドM20を生成することができる。
【0031】
(2)コンパウンド製造装置の説明:
図2に示すように、上記コンパウンドM20を生成するコンパウンド製造装置10は、金属製ホッパ21、コンパウンドの押出方向D1を中心軸とした円筒形状の金属製本体部22、該本体部の中に挿入された金属製スクリュー24、該スクリューを回転駆動するスクリュー軸駆動モータ25、本体部22に併設されて当該本体部内を所定温度に加熱する加熱機(加熱機構)26、本体部22の素材出口側(図の右側)となる下流側端部に取り付けられた金属製の押出機用型30、を備えている。本体部22は、回転するスクリューを挿入させた内部に素材を入れて移送するための筒状のハウジングであり、バレルやシリンダとも呼ばれる。本体部22は、素材の流路F1を形成し、該流路の上流側の上部にホッパ21の原料供給口が取り付けられ、該流路の下流側端部に押出機用型30が取り付けられる。本体部22の内側に形成される流路F1は、上流側から、押出方向D1に対する断面積が略一定で大半スクリュー24が挿入された素材混練部F1aと、この素材混練部に続いて押出方向D1に対する断面積が下流側となるほど大きくなる流路拡大部F1bと、この流路拡大部に続いて押出方向D1に対する断面積が略一定のコンパウンド移送部F1cとを有している。このコンパウンド移送部F1cの先端部にある本体部22には、軸AX1を中心とした径方向外側へ延出したヘッド22aが形成されている。このヘッド22aには、ダイ40をボルト止めするためのボルト止め穴が形成されている。そして、ヘッド22aにダイ40が取り付けられて固定され、本体部22で形成される流路F1内に断面積可変機構50が配置される。
【0032】
流路の素材混練部F1aの直径(本体部の内径)d1は、コンパウンドをある程度量産する観点から、30〜300mmとされる。
本実施形態の本体部22およびスクリュー24は長手方向を略水平に向けて配置され、素材の押出方向D1は略水平とされている。
【0033】
モータ25は、設定された回転速度となるようにスクリュー24を回転させる。これにより、本体部22とスクリュー24のフライトにて形成される空間に収容された素材は、スクリューの回転動作によって形成される押出速度に応じて、混練されながら押出機用型30に向かって押し出される。このように、本実施形態では、スクリュー24とモータ25とが押出機構を構成する。
加熱機26は、例えば、ヒータにより本体部22を加熱し、該本体部内の素材を加熱する。樹脂に熱可塑性樹脂を用いる場合、ヒータは本体部を介して熱可塑性樹脂を溶融させる温度に上昇させることができればよい。充填材に木質系材料を用いる場合、素材の温度が熱可塑性樹脂の融点よりも高く、木質系材料が炭化しない温度以下となるようにヒータの加熱温度を設定すると、木質系材料を炭化させずに両者を溶融混合することができる。
押出機用型30は、コンパウンドM20を押し出す押出口42を有する金属製ダイ40と、本体部22内で素材が流れる流路F1の断面積を変えることにより該断面積を変更した部分F2の素材にかかる圧力を調整可能な断面積可変機構50とを備えている。
【0034】
図3は押出機用型30の外観を流路F1の外側から見て示す斜視図、図4は押出機用型30の外観を流路F1側から見て示す斜視図である。
ダイ40は、流路F1の外側および内側からコンパウンドの押出方向D1と平行にみたとき、押出口42を除いて中心軸AX1を中心として点対称の形状とされている。ダイ40は、外側に向かって中心軸AX1を中心とする短い略円柱状の凸部40aが形成され、中心軸AX1を中心とする外周部が内側に向かって延出した延出部40bとされ、中心軸AX1上に押出方向D1へ貫通した雌ねじ部44が形成され、該雌ねじ部を取り巻く形状で凸部40aの位置にて押出方向D1へ貫通した押出口42a〜cが形成され、凸部40aよりも径方向外側かつ延出部40bよりも径方向内側の位置にて押出方向D1へ貫通した複数のボルト止め穴46が形成されている。
延出部40bの内周面は、本体部のヘッド22aの外周をはめ込むことができる位置に形成されている。従って、ダイ40は、ヘッド22aの外周面で位置決めされ、複数のボルトで固定される。
【0035】
雌ねじ部44は、断面積可変機構の雄ねじ部44を貫通させながら螺合させる雌ねじが形成されている。
押出口42a〜cは、雌ねじ部44を取り巻く形状に形成され、混合された低流動性素材を不定形の状態で押し出すようにされている。各押出口42a〜cは、略円弧状に形成され、軸AX1を中心とする幅W1がペレットの大きさよりも広くされている。なお、ペレットの径は通常3.0〜5.0mmであり、最大でも1.0〜8.0mmの範囲内であるので、幅W1は、8.0mmより大きく、好ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上とすればよい。幅W1の上限は、特に制限はないが、例えば流路の素材混練部F1aの半径d1以下とすればよい。押出口42a〜cの周方向の長さW2(円弧の周の長さに相当)も、8.0mmより大きく、好ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上とすればよい。押出口は、幅W1および周方向の長さW2の条件を満たす限り、一つでも、複数でもよい。
なお、押出口42が凸部40aに設けられているので、押し出されて落下するコンパウンドがボルト止め穴46に付着せず、ダイを交換する際にボルト止め穴からコンパウンドを除去する必要が無い。
【0036】
断面積可変機構50は、雄ねじ部53を有してダイ40の中心部から本体部22内に向かって立設された金属製可動部材52、この可動部材の基部52bの外周に配置されてダイ40の内側に固定された筒状の金属製固定部材54、流路F1の外側からの操作により流路F1の断面積を変えるように可動部材52を移動させる金属製操作部56、雄ねじ部53と螺合して可動部材52をロックする金属製止めナット57、を備えている。なお、固定部材54を設けるとコンパウンドを押出口まで円滑に誘導することができるので好適であるものの、固定部材を省略することもできる。また、止めナット57を設けると可動部材が動かないよう確実に固定されるので好適であるものの、止めナットを省略することもできる。
【0037】
可動部材52は、流路拡大部F1bの形状に合わせて上流側となるほど細くなった先端部52aを有し、ダイ40から立設された方向D2へ進退することにより流路拡大部F1bとの間隔を変更させる部材とされている。可動部材は、流れる流動性の低い素材に圧力をかけることから、堰部材とも言える。可動部材の先端部52aは、流路の下流側となるほど拡がった形状になるものの、拡がりの度合いは流路拡大部F1bの拡がりよりも緩くされている。従って、先端部52aと流路拡大部F1bとの間で最も狭くなるのは、流路拡大部F1bの最も上流側の部分となる。図2では、この部分を断面積変更部分F2として示している。
以上により、断面積可変機構50が流路F1の途中に設けられ、流路F1を流れる素材にかかる圧力は、断面積可変機構が設けられた部分F2で所定の圧力まで上昇し、断面積可変機構が設けられた部分F2から押出口42までの間に下降する。また、流路拡大部F1bに挿入された可動部材52は、流路の下流側となるほど拡がった形状であるため、流路F1が断面積変更部分F2から下流側に向かって徐々に拡がっている。
【0038】
可動部材の雄ねじ部53は、先端部52aからダイの雌ねじ部44を貫通して操作部56に繋がり外周面に雄ねじが形成されている。この雄ねじは、ダイの雌ねじ部44と螺合するようにされており、雄ねじ部53が軸AX1を中心として回転すると可動部材52が回転しながら押出方向D1と平行に水平移動する。
固定部材54は、円筒形状に形成され、可動部材の立設方向D2に向けてダイ40の内側に立設されて、可動部材の基部52bの外周を覆っている。可動部材52は、固定部材54の内周面に摺動しながら該固定部材に対して立設方向D2および押出方向D1へ水平移動する。
【0039】
操作部56は、雄ねじ部53における上記先端部52aとは反対側の端部で例えば六角ナット状に形成され、雄ねじ部53と一体化されている。これにより、操作部56は、ダイ40から本体部22とは反対側となる位置に設けられ、該位置でのレンチやスパナ等の操作により可動部材52をダイ40から立設された方向D2へ進退させる。
止めナット57は、例えば六角ナットとされ、ダイ40と操作部56との間で雄ねじ部53と螺合している。この止めナット57をレンチやスパナ等の操作によりダイ40側に向けて締め付けると、コンパウンド製造時の振動等による可動部材の移動を防ぐことができる。
【0040】
図5は、可動部材の動作を示している。ここで、図の上段は可動部材52を本体部22内へ進出させた状態を示し、図の下段は可動部材52をダイ40側へ退避させた状態を示している。図に示すように、可動部材52を進出させると本体部22の内面と可動部材52との間隔LがL1と狭くなり、可動部材52を退避させると本体部22の内面と可動部材52との間隔LがL2と広くなる。このように、断面積可変機構は、自ら移動することにより、流路の断面積を変更させて素材にかかる圧力を調整する機構と言える。
なお、素材M10が流れる流路F1の断面積は、素材M10が流れる方向に対して垂直な断面における流路F1の面積と定義することができる。むろん、便宜上、本体部22やスクリュー24の中心軸AX1に沿った押出方向D1に対して垂直な断面における流路F1の面積を、流路の断面積としてもよい。この定義の断面積を変えることによっても、断面積を変更した部分の素材にかかる圧力を調整することが可能であり、本発明が実施されていると言える。
【0041】
断面積変更部分F2にて素材にかける所定の圧力Pfは、素材M10やコンパウンドM20や成形品M30の性質に応じて設定すればよく、例えば、0.1〜25MPa、0.5〜15MPa、1.0〜5.0MPaとすることができる。圧力Pfを前記下限以上にするのは流動性の低い素材に十分な練りを与えてコンパウンドおよび成形品に含まれる充填材を十分に分散させるためであり、圧力Pfを前記上限以下にするのは断面積可変機構やダイや押出機構の機械的な耐久性の観点からである。ここで、上記間隔Lが狭くなるほど断面積変更部分F2にて素材にかかる圧力が大きくなる傾向にあるので、間隔Lの下限は前記圧力Pfの上限以下となるようにし、間隔Lの上限は前記圧力Pfの下限以上となるようにすればよい。
【0042】
なお、MFRが0.0g/10minの素材を押し出す際、ペレット成形用のダイ(押出口が直径1.0〜8.0mm)を本体部の下流側端部に取り付けた押出成形機における素材の排出圧力Pe(出口の位置P1に相当する位置における素材の圧力)が25.0MPa以上と大きくなりすぎ、押し出すことができない。ここで、排出圧力Peは、押出成形機内において出口の位置P1に相当する位置に圧力計の検出部を挿入して測定することができる。排出圧力Peが25.0MPa以上となる流動性の非常に低い素材では、ペレット成形用のダイを装着した押出成形機では機械の耐久性の観点からペレットの成形を行っていない。
本実施形態では、ダイの押出口の幅W1および周方向の長さW2をペレットの大きさ以上として、素材の排出圧力Peを25.0MPa未満と小さくし、押出口からコンパウンドが円滑に押し出されるようにしている。コンパウンドの排出圧力の観点から、押出口は、素材の排出圧力Peを5.0MPa以下、より好ましくは3.0MPa以下、さらに好ましくは1.0MPa以下にさせる形状とすればよい。例えば、押出口の幅W1と周方向の長さW2の短い方を長くすれば排出圧力を小さくすることができる。すると、単位時間あたり不定形のコンパウンドを大量に押し出すことができるので、コンパウンドを大量生産することができる。また、押出口の幅W1および周方向の長さW2を調節することによって、排出圧力Peを調整することができる。
【0043】
上述した押出口42は雄ねじ部53や操作部56や止めナット57の上部を除いて雌ねじ部44を取り巻く位置に形成されているので、押し出されて落下するコンパウンドが雄ねじ部53や操作部56や止めナット57に付着せず、可動部材52を進退させる際に雄ねじ部53や操作部56や止めナット57からコンパウンドを除去する必要が無い。
【0044】
以上の構成を有するコンパウンド製造装置10は、本体部22内で素材M10を必要に応じて加熱し、押出機構24,25にて混練しながら移送し、断面積可変機構にて断面積を変更した部分で素材にかかる圧力を所定の圧力まで上昇させて流動性の低い素材に練りを与える。そして、練りを与えた素材をダイの押出口42から成形することなく不定形の状態で押し出し、コンパウンドM20を形成する。コンパウンドM20は、素材中の充填材の配合割合が多いといわゆるぼそぼそとした崩壊性を有する状態で押し出されて粉っぽい性状となり、素材中の樹脂の配合割合が多いと太いうどん状で押し出されて軟化状態の塊とされる。
【0045】
生成したコンパウンドは、汎用的な樹脂成形用の押出成形機や射出成形機を用いて成形品M30の形状に成形することができる。例えば、図6に示すように、ホッパ61、コンパウンドの押出方向を軸とした円筒形状の金属製外筒部62、同外筒部62の素材出口側(図の右側)の端部に取り付けられた金属製ダイ63、外筒部62内に挿入されたスクリュー64、同スクリューを回転駆動するスクリュー軸駆動モータ65、外筒部62に併設されて当該外筒部内を所定温度に加熱する加熱機(混練用素材加熱機構)66、ダイ63の外側(右側)に設けられたカッタ67、を備える加熱機付き一軸スクリュー混練押出成形機60を用いることができる。同押出成形機60は、ダイ63の押出口63aから軟化状態の素材を押し出して成形品の形状に成形する。成形品の形状に成形された素材は、図示しない冷却槽にて冷却されて固化し、成形品M30として冷却槽から回収される。冷却槽には冷却機にて冷却された冷水が供給されるようになっており、成形品どうしが接着することを防止させる。
【0046】
(3)コンパウンド製造装置の動作およびコンパウンド製造方法の作用:
以下、本コンパウンド製造方法の作用を本コンパウンド製造装置10の動作とともに説明する。
押出機用型30を押出機20に取り付ける際には、以下のようにすればよい。
まず、可動部材52をヘッド22a側から本体部22内に挿入し、ダイの延出部40bの内周面にヘッド22aをはめ込む。このとき、ヘッド22aの各ボルト止め穴にダイの各ボルト止め穴46を合わせて位置決めする。そして、ダイのボルト止め穴46およびヘッド22aのボルト止め穴にボルトを挿入してボルト止めすることにより、押出機用型30が本体部22の下流側端部に取り付けられ、ダイ40がヘッド22aに固定される。
【0047】
素材が流れる流路の断面積を調整するためには、以下のようにすればよい。
まず、止めナット57をレンチ等の操作により緩める。次に、操作部56をレンチ等で操作し、断面積変更部分F2を所望の断面積にする所望の位置まで可動部材52を進退させるように回転させながら水平移動させる。最後に、止めナット57をレンチ等の操作により締める。これにより、可動部材52は、所望の位置で固定され、断面積変更部分F2が所望の断面積にされる。
【0048】
コンパウンドを製造する際には、以下のようにすればよい。
まず、MFRが0.0g/10minとなる流動性の低い素材M10が形成されるように、充填材M1と樹脂M2と必要に応じて第三の素材M3を用意する。これらの素材M1〜M3がホッパ21に投入されると、素材M1〜M3は本体部22内に送り込まれ、回転するスクリュー24により混練されて、素材M10となる。樹脂M2が熱可塑性樹脂であれば、加熱機26による加熱により樹脂が溶融し、素材が軟化する。素材は、スクリュー24にて混練されながら断面積可変機構の可動部材52に向かって水平方向に移送される。
【0049】
ここで、断面積可変機構が設けられた部分F2の流路の断面積は、上流側となる素材混練部F1aの流路の断面積よりも小さくされている。これにより、流路F1を流れる素材にかかる圧力は、断面積可変機構が設けられた部分F2で所定の圧力まで上昇する。その結果、断面積変更部分F2で素材に練りが与えられ、フィラー高充填であるにもかかわらず充填材が十分に分散する。
また、断面積可変機構が設けられた部分F2から下流側の流路の断面積は、断面積可変機構が設けられた部分F2の流路の断面積よりも大きくされている。これにより、断面積変更部分F2を通り過ぎた素材は、圧力が下降する。なお、流路F1が断面積変更部分F2から下流側に向かって徐々に拡がっているため、流路F1を流れる素材にかかる圧力は、断面積可変機構が設けられた部分F2から徐々に低下する。その結果、素材に十分な練りが与えられ、コンパウンドおよび成形品における充填材の分散性を向上させることができる。
【0050】
なお、充填材の配合割合が樹脂の配合割合よりも少ないフィラー低充填の樹脂成形材料を押出成形や射出成形により成形する場合には、樹脂成形材料に崩壊性が無く流動性が高いので、成形品中で充填材の分散性にばらつきは少なく、充填材が十分に分散した成形品が得られる。むろん、このような樹脂成形材料を用いてコンパウンドを生成し、成形品を形成する場合に、上述した断面積可変機構が無くてもコンパウンド中や成形品中の充填材の分散性にばらつきはほとんど生じず、充填材が十分に分散されたコンパウンドおよび成形品が得られる。
しかし、崩壊性を有するなどMFRが0.0g/10minであったりする素材を用いてコンパウンドを生成し、成形品を形成するとき、素材の流動性が非常に低いために、上記断面積可変機構が無ければ、素材の条件が少し違うだけでコンパウンド中および成形品中で充填材の分散性がばらつき、充填材の分散性が不十分なコンパウンドおよび成形品が得られることがある。これは、押出機構を用いてコンパウンドを生成するときに流動性の低い素材にかかる圧力にばらつきが生じるためと推察される。
本発明では、上記断面積可変機構50にて流路F1の断面積を変えることにより該断面積を変更した部分F2の素材にかかる圧力を調整することができるので、該断面積を変更した部分F2でコンパウンドの練りの状態を調節することが可能になる。例えば、コンパウンドを少量製造したとき目視や顕微鏡観察等によりコンパウンドの練りが少なく充填材の分散が不十分であることが確認されると、操作部56を操作することにより、図5の上段に示すように本体部22の内壁と可動部材52との間隔Lを狭くして素材にかかる圧力を高くさせればよい。すると、コンパウンドの練りが十分となり、充填材が十分に分散するようになる。逆に、コンパウンドを少量製造したとき目視や顕微鏡観察等によりコンパウンドの練りが強すぎコンパウンドが褐変しすぎていることが確認されると、操作部56を操作することにより、図5の上段に示すように本体部22の内壁と可動部材52との間隔Lを広くして素材にかかる圧力を低くさせればよい。すると、コンパウンドの練りが適正となり、コンパウンドの褐変を防ぐことができる。
【0051】
断面積可変機構50にて所定の圧力がかけられた素材M10は、ダイの押出口42の方向へ押され、該押出口から押し出される。ここで、押出口がペレットの大きさよりも大きくされているので、MFRが0.0g/10min以下である非常に流動性の低い素材であっても、素材の排出圧力Peは25.0MPa未満、通常は、0.5〜5.0MPa以下となる。すると、素材は、成形されることなく不定形の状態で容易に押し出され、コンパウンドM20が形成される。なお、素材中の充填材の配合割合が比較的多かったり樹脂の配合割合が比較的少なかったりするとコンパウンドはいわゆるぼそぼそとした粉っぽい感じで押し出され、素材中の樹脂の配合割合が比較的多かったり充填材の配合割合が比較的少なかったりするとコンパウンドは太いうどん状の塊となって押し出される。
【0052】
素材が崩壊性を有する素材である場合、充填材どうしの間など素材中に空隙が存在する。このような素材からコンパウンドを生成する場合、断面積可変機構が設けられた部分F2で圧力が所定の圧力まで上昇することにより素材の空隙に樹脂が移動し、素材の密度が大きくなる。これにより、樹脂と充填材とがよくなじみ、コンパウンドおよび成形品の充填材の分散性が向上し、成形品の強度(曲げ強度等)が向上する。
なお、素材の密度が変化するからこそ、断面積可変機構によって流路の断面積を変えることにより圧力が変化する。充填材の配合割合が樹脂の配合割合よりも少ないフィラー低充填の樹脂成形材料では、密度が変化しないため、素材が流れる流路の断面積を変更したとしても素材の流速が変わるだけであり、素材にかかる圧力は変化しない。
【0053】
また、充填材に木質系材料など空隙を有していたり溶融状態や液状の樹脂を含浸させる性質を有していたりする充填材を用いる場合、断面積可変機構が設けられた部分F2で圧力が所定の圧力まで上昇することにより充填材に樹脂が含浸し、素材の密度が大きくなる。これにより、樹脂と充填材とがよくなじみ、コンパウンドおよび成形品の充填材の分散性が向上し、成形品の強度が向上する。
充填材に木質系材料を用い、素材M10中の充填材の配合比を80〜99重量%、樹脂(好ましくは熱可塑性樹脂)の配合比を1〜20重量%とする場合、断面積可変機構が設けられた部分F2で素材の密度が0.95〜1.30g/cm3、より好ましくは1.00〜1.20g/cm3となるように流路の断面積を調整すると、コンパウンド中で樹脂がまんべんなく行き渡り均質で充填材の分散性が良好なコンパウンドが得られる。なお、素材の密度を前記下限以上にするとコンパウンドが十分に均質となり、素材の密度を前記上限以下にすると木質系材料を褐変させすぎないようにすることができる。
【0054】
生成したコンパウンドM20と必要に応じて第三の素材M21を例えば図6に示す押出成形機60のホッパ61に原料として投入すると、モータ65に回転駆動されたスクリュー64の回転動作により素材M20,M21が混練されながらダイ方向に押される。樹脂に熱可塑性樹脂を用いた場合、加熱機66がコンパウンドを加熱するので、熱可塑性樹脂が溶融し、素材M20,M21が軟化する。混練された素材は、ダイ63から押し出され、カッタ67にて所定の長さに切断される。これにより、コンパウンドから成形品の形状に成形され、成形物が冷却されることにより成形品が製造される。
成形品を形成するためのコンパウンドは、MFRが0.0g/10minと非常に流動性の低い素材であるにもかかわらず、充填材が十分に分散している。従って、充填材の分散性が良好な成形品が得られる。
【0055】
以上説明したように、断面積可変機構にて流路の断面積を変更した部分でコンパウンドの練りの状態を調節することができるので、MFRが0.0g/10minと非常に流動性の低い素材を押出機構にて混合して押し出してコンパウンドを製造する際に、素材を構成する成分の分散性が良好な成形品を得るための高品質のコンパウンドを製造することが可能になる。
また、本体部はダイと比べて高価であるが、断面積可変機構がダイに設けられているので、断面積可変機構を有するコンパウンド製造装置を安価に構成することができる。さらに、流路の外側から流路の断面積を変更することができるので、素材にかかる圧力を調整する操作が容易となる。
さらに、本体部の流路拡大部に可動部材の先端部が挿入され、かつ、該可動部材が流路拡大部に向かって進退するようにされているので、簡易な構造で断面積可変機構が構成される。
さらに、ダイの押出口が流動性の低い素材を不定形の状態で押し出すようにされているので、コンパウンドが円滑に押し出され、単位時間当たりのコンパウンド製造量を増加させることができる。
【0056】
(4)各種変形例:
上述した断面積可変機構は、ダイに設けられると安価に構成される点で好適であるものの、押出機の本体部に設けられてもよいし、本体部やダイとは別に設けられてもよい。上記可動部材は、コンパウンドの押出方向D1と平行に移動可能とされると構造が簡単となる点で好適であるものの、押出方向D1とは異なる方向、例えば、押出方向とは垂直な方向へ移動可能とされてもよい。
また、押出機が素材を押し出す方向は、水平方向以外にも、水平方向からずれた方向、例えば、鉛直方向とされてもよい。
【0057】
(5)実施例:
以下、実施例を示して具体的に本発明を説明するが、本発明は以下の例により限定されるものではない。
【0058】
[予備試験例]
本試験例は、素材の流動性の違いによる充填材の分散性の違いをみた予備試験の例である。
充填材として、粒径1mm以下に粉砕した木粉(含水率5重量%)を用いた。熱可塑性樹脂の主成分として、JIS K7210の附属書A表1の条件M(試験温度230℃、荷重2.16kg)におけるMFRが30(g/10min)の粒状ポリプロピレン(PPと記載)を用いた。熱可塑性樹脂の副成分として、マレイン酸を用いてポリプロピレンを変性したマレイン酸変性樹脂(三洋化成社製ユーメックス)を用いた。
加熱機付き混練押出機として径80mmのコニカル二軸押出成形機(シンシナティエクストルージョン社製タイタン80)を用い、スクリューの回転速度を10rpmとして使用した。ただし、この混練押出機の下流側端部には、押出機用型を取り付けなかった。
【0059】
木粉85重量部とPP13重量部とマレイン酸変性樹脂2重量部の合計100重量部を上記加熱機付き混練押出機に投入し、素材を230℃に加熱して混練しながら不定形の状態で押出機の出口部から押し出してコンパウンドを容器に受け止めた。ここで、押出機内の出口の位置における素材の温度を測定し、この温度を試験温度θとし、荷重を2.16kgとして素材のMFRをMFR測定装置にて測定したところ、MFRは0.0g/10minとなった。
【0060】
なお、木粉50重量部以下とPP48重量部以上とマレイン酸変性樹脂2重量部の合計100重量部を上記加熱機付き混練押出機に投入してコンパウンドを作製すれば、MFRは0.1g/10min以上になると予測される。
【0061】
[実施例]
本実施例は、混練押出機の本体部の内壁と断面積可変機構の可動部材との間隔Lを変更することにより、成形品中の充填材の分散性を調節した実施例である。
充填材として、粒径1mm以下に粉砕した木粉(含水率5重量%)を用いた。熱可塑性樹脂の主成分として、JIS K7210の附属書A表1の条件M(試験温度230℃、荷重2.16kg)におけるMFRが30(g/10min)の粒状ポリプロピレン(PPと記載)を用いた。熱可塑性樹脂の副成分として、マレイン酸を用いてポリプロピレンを変性したマレイン酸変性樹脂(三洋化成社製ユーメックス)を用いた。
加熱機付き混練押出機として径80mmのコニカル二軸押出成形機(シンシナティエクストルージョン社製タイタン80)を用い、スクリューの回転速度を10rpmとして使用した。この混練押出機の下流側端部には、図2〜図5に示す押出機用型を取り付けた。
【0062】
混練押出機の本体部の内壁と断面積可変機構の可動部材との間隔Lを順次、下記の間隔に変更し、これらの各条件で木粉85重量部とPP13重量部とマレイン酸変性樹脂2重量部の合計100重量部を上記加熱機付き混練押出機に投入し、素材を230℃に加熱して混練しながら不定形の状態でダイの押出口から押し出して容器に受け止めた。ここで、断面積可変機構が設けられた部分F2(素材が流れる部分の断面積を変える部分)に温度センサおよび圧力計を挿入して該部分F2の素材の温度を測定し、この温度を試験温度θとし、荷重を2.16kgとして素材のMFRをMFR測定装置にて測定するとともに、該部分F2の圧力Pfを測定した。
試験区1 試験区2 試験区3
間隔L 3.0mm 2.0mm 1.0mm
【0063】
また、加熱機付きプレス成形機(株式会社セイブ製油圧プレス 型式HP−1B−P型)に平面が300×50mmで厚みが10mmのプレス成形型を取り付け、このプレス成形型に上記容器中のコンパウンドを充填し、プレス温度180℃、300×50mmに対してプレス圧力10MPa、プレス時間5分の条件でプレス成形し、得られた木質系成形体を20℃に空冷した。この一連の処理を試験区毎に5回行った。そして、作製された木質系成形体の外観を肉眼および光学顕微鏡で観察するとともに、木質系成形体の曲げ強度をJIS K7171−1994(プラスチック−曲げ特性の試験方法)の曲げ強さに準拠して測定した。
【0064】
各試験区について、コンパウンド作製時の断面積変更部分F2における素材のMFR、断面積変更箇所F2で素材にかかる圧力Pf、成形品の曲げ強度、成形品中の充填材の分散性の評価、成形品の外観を表に示す。
【表1】


【0065】
混練押出機の本体部とダイの可動部材との間隔Lが3.0mmと比較的大きい場合、成形品の曲げ強度が15.2〜52.4MPaとばらつき、成形品中の充填材の分散性が不十分となる場合があった。これは、コンパウンドの練りが不十分となって成形品の曲げ強度がばらついたためと推察される。しかし、断面積可変機構で混練押出機の本体部とダイの可動部材との間隔Lを2.0mmに変えると、成形品の曲げ強度は48.2〜52.3MPaとばらつきが少なくなり、成形品中の充填材の分散性が向上した。これは、コンパウンドの練りが十分となって成形品の曲げ強度のばらつきが少なくなったためと推察される。
なお、間隔Lが1.0mmと狭いと、木粉の褐変が強くなりすぎるため、本実施例では間隔Lを1.0mmより広く3.0mmより狭くすることが好ましいことが示されている。
以上より、混練押出機の本体部とダイの可動部材との間隔Lが固定されているとコンパウンドの練りが不十分となって成形品の曲げ強度がばらつき、成形品中の充填材の分散性が不十分となる場合があるが、同間隔Lを変えることによりコンパウンドの練りが十分となり、成形品中の充填材の分散性が向上することがわかった。
従って、フィラー高充填の極めて流動性の低い素材を用いてコンパウンドを生成し、成形品を形成する場合でも、本発明の断面積可変機構によって素材が流れる流路の断面積を変えて該断面積を変更した部分の素材にかかる圧力を調整することにより、コンパウンドの練りを適度にさせ、充填材の分散性が良好な成形品を得るための高品質のコンパウンドを製造することが可能になることが確認された。
【0066】
(6)まとめ:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、非常に流動性の低い素材を押出機構にて混合して押し出してコンパウンドを製造する際に、素材を構成する成分の分散性が良好な成形品を得るための高品質のコンパウンドを製造することが可能になる。
なお、本発明は、上述した実施形態や変形例に限られず、上述した実施形態および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】コンパウンドを製造し、さらに成形品を製造する過程の例を示す流れ図。
【図2】コンパウンド製造装置の構造の例を一部断面視して示す要部側面図。
【図3】押出機用型の一例を流路の外側から見て示す斜視図。
【図4】押出機用型の一例を流路側から見て示す斜視図。
【図5】コンパウンド製造装置の動作を模式的に示す図。
【図6】加熱機付き押出成形機の構造の例を一部断面視して示す要部側面図。
【符号の説明】
【0068】
10,A10…コンパウンド製造装置、
20…押出機、22,A2…本体部、
24…スクリュー(押出機構の一部)、25…モータ(押出機構の一部)、
30…押出機用型、
40,A5…ダイ、42…押出口、44…雌ねじ部、46…ボルト止め穴、
50,A6…断面積可変機構、
52…可動部材、53…雄ねじ部、
54…固定部材、
56…操作部、57…止めナット、
D1…押出方向、D2…可動部材の立設方向、
F1…流路、F1b…流路拡大部、
F2…断面積可変機構が設けられた部分、
M10…低流動性の素材、
M20…コンパウンド、
M30…成形品、
【出願人】 【識別番号】392008529
【氏名又は名称】ヤマハリビングテック株式会社
【出願日】 平成18年8月8日(2006.8.8)
【代理人】 【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之


【公開番号】 特開2008−37013(P2008−37013A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−216035(P2006−216035)