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【発明の名称】 スポンジメディア減容方法及び装置
【発明者】 【氏名】清水 徳雄

【氏名】矢野 哲憲

【氏名】川島 正規

【氏名】足立 美穂子

【要約】 【課題】本発明は、スポンジメディア減容方法に関し、廃棄容器であるシリンダに効率的に放射性物質で汚染されたスポンジメディアを詰めることができるようにすることが課題である。

【構成】スポンジメディア10を圧縮・加熱させて該スポンジメディア10の体積を低減させるに際し、前記スポンジメディア10の質量に対して水系ウレタンを質量比で5%〜20%を加え、所要荷重の負荷を与えて減容するスポンジメディア減容方法とするものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポンジメディアを圧縮・加熱させて該スポンジメディアの体積を低減させるに際し、前記スポンジメディアの質量に対して水系ウレタンを質量比で5%〜20%を加え、所要荷重の負荷を与えて減容すること、
を特徴とするスポンジメディア減容方法。
【請求項2】
加熱温度が100℃〜120℃であること、
を特徴とする請求項1に記載のスポンジメディア減容方法。
【請求項3】
加熱時間が50分〜150分であること、
を特徴とする請求項1または2に記載のスポンジメディア減容方法。
【請求項4】
有低筒状体のシリンダ内にスポンジメディアを入れ、前記シリンダ用のピストンで前記スポンジメディアに加重負荷を与えるに際し、前記ピストンに貫通孔を設け、その貫通孔による開孔率が40%〜80%であること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のスポンジメディア減容方法。
【請求項5】
電気炉内に、有低筒状体のシリンダと、該シリンダ用のピストンと、該ピストンに連結されたピストンロッドの一部とが設けられ、前記ピストンロッドの一端部が前記電気炉の上部に設けられた貫通孔から上方に突出され、この突出しているピストンロッドの一端部に荷重手段及び変位計が連結されていること、
を特徴とするスポンジメディア減容装置。
【請求項6】
シリンダに、該シリンダ内を負圧にする真空装置の耐熱配管の一端部が電気炉の外から連結されていること、
を特徴とする請求項5に記載のスポンジメディア減容装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電所内の大型水槽(サプレッションチェンバ等)を定期的に水抜きして内壁の塗膜を剥がし、再塗装する際に、前記塗膜を剥がすブラスト材として使用されるスポンジメディア(ブラスト材の媒体)を放射性汚染物質として金属容器に効率的に詰めるためのスポンジメディア減容方法と、及びそれに使用する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、原子力発電所内の大型水槽の内壁の塗膜を剥がすには、スチールグリッドをブラスト材として用いるのが一般的であるが、この方法では、ブラスト材の跳ね返りが強く作業者が重装備しなければならず、粉塵によって視界が悪く作業環境が悪化して作業効率が低下する。そこで、近年では発泡ウレタン等のスポンジに粒状アルミナ若しくはスチール等の研掃材を内蔵したブラスト材が使用されることが多くなっている。このスポンジメディアは、被加工物に衝突すると扁平し前記研掃材が高速で衝突してブラスト効果が発揮され、同時に、微小塗膜やダストの飛散を抑制する。そして、前記スポンジメディアが扁平することで跳ね返りが少なく、作業者は軽装備で済み、被加工物も簡単な養生で済ませられる。
【0003】
前記スポンジメディアを、原子力関連機器のブラストに使用した場合には、放射性物質に汚染されるので、この汚染されたスポンジメディアを回収し、金属容器に詰めて廃棄処理をする必要がある。
斯かる場合に、従来では、例えば、廃棄物の処理方法として、圧縮室である屑容器に入れて加熱圧縮減容機によって圧縮成型し、廃棄物を減容して軽量の減容成型物とする方法が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−164836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の廃棄物の減法方法では、その対象がプラスチック,合成繊維,紙,生ゴミ等の資源(ゴミ燃料化)として再利用できるものが対象であり、本発明が対象とする放射性物質で汚染されたスポンジメディアのようにゴミ燃料等として再利用不可能なものではない。そこで、前記スポンジメディアのように放射性物質で汚染され再利用できない廃棄物の廃棄処理を効率的に行える減容方法が必要となる。本発明に係るスポンジメディア減容方法及び装置は、このような課題を解決するために提案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るスポンジメディア減容方法の上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、スポンジメディアを圧縮・加熱させて該スポンジメディアの体積を低減させるに際し、前記スポンジメディアの質量に対して水系ウレタンを質量比で5%〜20%を加え、所要荷重の負荷を与えて減容することである。
【0006】
加熱温度が100℃〜120℃であること、;
加熱時間が50分〜150分であること、;
有低筒状体のシリンダ内にスポンジメディアを入れ、前記シリンダ用のピストンで前記スポンジメディアに加重負荷を与えるに際し、前記ピストンに貫通孔を設け、その貫通孔による開孔率が40%〜80%であること、;
を含むものである。
【0007】
本発明に係るスポンジメディアの減容装置の要旨は、電気炉内に、有低筒状体のシリンダと、該シリンダ用のピストンと、該ピストンに連結されたピストンロッドの一部とが設けられ、前記ピストンロッドの一端部が前記電気炉の上部に設けられた貫通孔から上方に突出され、この突出しているピストンロッドの一端部に荷重手段及び変位計が連結されていることである。
更に、前記シリンダに、該シリンダ内を負圧にする真空装置の耐熱配管の一端部が電気炉の外から連結されていることを含むものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のスポンジメディア減容方法及び装置によれば、放射性物質で汚染されたスポンジメディアをシリンダに入れて圧縮する際に、スポンジメディアのバインダーとしての水系ウレタンを質量比で5%〜20%を加えて圧縮することで、圧縮前と圧縮・硬化後とにおける体積同士を比較した減容率(%)が最も効果的となる。よって、容器に多くのスポンジメディアを収納させて廃棄することが可能となり、放射性物質で汚染された物質の廃棄処理コストを低減させることができる。
【0009】
また、スポンジメディアとバインダーの水系ウレタンとを加熱処理する際には、加熱温度を100℃以下では水系ウレタンの水分が蒸発しないので全体が硬化せず、よって100℃以上とし、また、加熱温度が120℃を超えるとスポンジ材質ウレタンの一部が分解して有害物質の発生となるおそれがあるので、120℃以下とする。これにより、スポンジメディアの減容率が最も効果的となる。
更に、加熱時間においては、スポンジメディアの減容率が効果的になるのは、50分以上とするが、長時間に亘って加熱するとスポンジ材質ウレタンの一部が分解して有害物質の発生となるので、150分を限度とする。
【0010】
シリンダ用ピストンの開孔率は、バインダーである水系ウレタンの水分蒸発を促進する上で必要であり、減容率が最も効果的なのは、開孔率40%〜80%である。
【0011】
本発明に係るスポンジメディアの減容装置により、放射性物質で汚染されたスポンジメディアを金属容器により多く詰めることができるようになる。更に、シリンダ内部を真空装置で負圧にすることで、ピストンでスポンジメディアを減容させる負荷が軽減され、減容に要する時間が大幅に短縮(約1/3)される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係るスポンジメディア減容装置1は、図1乃至図2に示すように、電気炉2内に、有低筒状体のシリンダ3(一例として直径約500mm)と、該シリンダ3用のピストン4a,4bと、該ピストン4a,4bに押し治具6を介して連結されたピストンロッド5aとが設けられ、更に、前記ピストンロッド5aの一端部5bが前記電気炉2の上部に設けられた貫通孔2aから上方に突出され、この突出しているピストンロッド5aの一端部5bに荷重計7を介して、繋ぎ部材9によって押圧装置8が連結されている。
【0013】
前記ピストン4a,4bは、図2(A)に示すように、所望厚さの金属製の円盤状平板体で、貫通孔4cが設けられている。この貫通孔4cによる開孔率(開口率ともいう、(貫通孔4cの全面積/円盤状平板体の面積)×100%)は、図4に示すように、最も減容率が良くなる範囲として40%〜80%である。
【0014】
なお、ここで、減容率とは、前記シリンダ3で圧縮する対象物であるスポンジメディア10の、圧縮前と圧縮・硬化後とにおける体積同士を比較したものである。図5に示すように、スポンジメディア10をシリンダ3に入れた状態の高さH、前記スポンジメディア10を圧縮した高さh1、加熱硬化後のスポンジメディア10の高さh2とすると、シリンダ3の断面積は一定なので、高さ(H、h1,h2)で比較しても同じであり、
減容率(%)=圧縮加熱歪率(%)=(h1/H)×(h2/h1)=h2/H である。ここで、(h1/H)は、圧縮前のスポンジメディア10に対する圧縮後の圧縮比であり、(h2/h1)は、スポンジメディア10を圧縮した高さに対する加熱・硬化後の戻り率である。
【0015】
前記ピストン4a,4bは、平板状の押し治具6で圧縮荷重が伝達されるものであり、ピストンロッド5aの一端部5bが、電気炉2の上部の貫通孔2aから上に突出されている。その一端部5bに繋ぎ部材9によって、押圧装置8の押しロッド8aに連結されている。前記押しロッド8aの途中には、変位計7aが付いた荷重計7が設けられている。
【0016】
前記押し治具6は、図2(B)に示すように、金属製のリング状の環体であり、中心部とは十字状の連結部(リム)で一体にされ、水分が上に抜けるように、大きな空隙が設けられている。この押し治具6を押圧する前記押圧装置8は、図1及び図3に示すように、例えば、基台12から固定して起立されたネジ棒体8bと、これに螺合する昇降板8cとがあり、前記ネジ棒体8bを回転させることで前記昇降板8cが上下方向で昇降し、該昇降板8cに垂設された押しロッド8aがピストンロッド5aに連結されて、構成されている。
【0017】
また、図1及び図3に示すように、前記シリンダ3に、該シリンダ3内を負圧にする真空装置(図示せず)の耐熱配管11aの一端部が、前記電気炉2の外から連結されている。なお、前記押圧装置8の機構的構成は、図示したものに限らず、この他の押圧する公知技術を採用できるものであり、本発明の目的を達成する押圧手段であればよい。
【0018】
上記スポンジメディア減用装置1を使用して、例えば、原子力発電所内の大型水槽の内壁の塗膜を剥がすブラスト材として使用し回収され、放射性物質で汚染されたスポンジメディア10を、廃棄用容器としてのシリンダ3に圧縮して詰める方法を説明する。
【0019】
まず、ブラスト材として使用され回収された、例えば、発泡ポリウレタン製のスポンジメディア10の質量に対して、硬化剤としての水系ウレタンを質量比で5%〜20%を加える。
【0020】
前記水系ウレタンは、ブラスト材の担体であるスポンジ同士を結合させるバインダーの役目を果たすものであり、その成分は、重量比でポリウレタンが35%、水が65%である。これは、前記原子力発電所内の大型水槽内での塗膜の剥離作業という閉鎖空間作業でも、人体への安全性が高いものである。
【0021】
図6に示すように、スポンジメディア10に対する最適なバインダー比率を求めるために、例えば、加熱温度を100℃、加熱時間を60分、圧縮力1kN、スポンジメディア10の高さ(元の厚さ)を50mm、の一定の条件下において、スポンジメディア10の減容率を求めた結果、前記水系ウレタンが、質量比((バインダ質量/スポンジメディア10の質量)×100%)で、5〜20%とするものである。
【0022】
また、加熱温度については、図7に示すように、例えば、加熱時間を60分、圧縮力1kN、バインダー比率を20%、スポンジメディア10の高さ(元の厚さ)を50mm、の一定の条件下において、加熱温度を変えてスポンジメディア10の減容率を求めるたものである。斯かる場合に、加熱温度が80℃程度では、バインダーの水分が十分に蒸発しないので、スポンジメディア10の硬化に時間が掛かり、減容率が良くならない。そして、加熱温度が更に上昇すると共に減容率が良くなり、加熱温度が100℃以上から減容率が20%と最も良くなる。その後、加熱温度が120℃を超えると、スポンジ材質ウレタンの一部が分解してNOx等の有害物質発生のおそれがあるので、加熱温度の範囲を100℃〜120℃とする。
【0023】
そして、加熱時間(分)については、図8に示すように、例えば、加熱温度を100℃、圧縮力1kN、バインダー比率を20%、スポンジメディア10の高さ(元の厚さ)を50mm、の一定の条件下において、加熱によってバインダー内の水分の蒸発が進行し、バインダーの硬化が進むので、減容率が20%で維持するだけの硬化が進んだ状態となるのは加熱時間が50分以降であり、更に、この加熱時間が150分を超えると、スポンジ材質ウレタンの一部が分解してNOx等の有害物質発生のおそれがあるので、加熱時間の範囲を50分〜150分とするものである。
【0024】
以上のような条件の下で、シリンダ3に、水系ウレタンを質量比5%〜20%にして混合したスポンジメディア10を詰め、図1に示すように、真空装置で耐熱配管11aを介して電気炉2の外からシリンダ3内を負圧にしながら、押圧装置8を作動させ、ネジ棒体8bを所定方向に回転させて昇降板8cを降下させる。加重は、荷重計7で確認し、降下量は変位計7aで確認する。
【0025】
前記昇降板8cが降下して、それによって垂設された押しロッド8aでピストンロッド5aを押し下げて、押し治具6を介してピストン4a,4bで前記スポンジメディア10を、約1kN程度で押圧する。そして、シリンダ3内の圧縮された前記スポンジメディア10を、電気炉2の加熱温度を100℃〜120℃に設定して加熱する。また、加熱時間は50分〜150分にする。これにより、多くのスポンジメディア10を前記シリンダ3に詰めることができるようになる。なお、本装置では1kNで押圧したが、より大荷重で押圧すれば、より減容率が小さくなることは言うまでもない。その場合でも、水系ウレタン質量比,温度,時間条件等はほぼ同様である。
【0026】
例えば、スポンジメディア10の元の体積に対して減容率20%であれば、1/5の体積に圧縮されることになる。これにより、前記スポンジメディア10を金属容器に詰めて廃棄する場合に、従来よりも少ない数の金属容器で詰め込みが完了することになる。その結果、スポンジメディア10の詰め込み作業工数が低減されコストの低減となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係るスポンジメディア減容装置1の概略構成を示す正面図である。
【図2】同本発明のスポンジメディア減容装置1における、ピストン4a,4bの斜視図(A)と、押し治具6の斜視図(B)とである。
【図3】同本発明のスポンジメディア減容装置1の斜視図である。
【図4】ピストンの開孔率とスポンジメディアの減容率との関係を示す特性曲線図である。
【図5】本発明に係るスポンジメディアの減用方法を示す説明図である。
【図6】バインダー比率とスポンジメディアの減容率との関係を示す特性曲線図である。
【図7】加熱温度とスポンジメディアの減容率との関係を示す特性曲線図である。
【図8】加熱時間とスポンジメディアの減容率との関係を示す特性曲線図である。
【符号の説明】
【0028】
1 スポンジメディア減容方法及び装置、
2 電気炉、
3 シリンダ、
4a,4b ピストン、 4c 貫通孔、
5a ピストンロッド、 5b 一端部、
6 押し治具、
7 荷重計、 7a 変位計、
8 押圧装置、 8a 押しロッド、
8b ネジ棒体、 8c 昇降板、
9 繋ぎ部材、
10 スポンジメディア、
11a 耐熱配管。
【出願人】 【識別番号】000005452
【氏名又は名称】株式会社日立プラントテクノロジー
【出願日】 平成18年7月6日(2006.7.6)
【代理人】 【識別番号】100063174
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 功

【識別番号】100087099
【弁理士】
【氏名又は名称】川村 恭子


【公開番号】 特開2008−12794(P2008−12794A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−186527(P2006−186527)