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ペレットの微粉除去装置 - 特開2008−12726 | j-tokkyo
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【発明の名称】 ペレットの微粉除去装置
【発明者】 【氏名】北岸 泰

【要約】 【課題】一旦ペレット化されたポリマーを固相重合して重合度を上げたポリマーを用いて繊維を溶融紡糸した際に、得られる繊維に発生する繊径斑が少なく、また、製糸工程における単糸切れや断糸などの工程調子の悪化を改善することができる装置を提供する。

【構成】固相重合処理後の熱可塑性高分子重合体からなるペレットを供給するペレット供給管1と、供給されたペレットを衝突させて分散させるバッフル部10bと、分散して供給されるペレットの供給方向に対して向流方向へ気体を流す微粉分離管部10eと、向流方向へ流された気体によってペレットを吸引せずにペレットから分離された微粉を上流側で吸引する分級部材10cとを備えたペレットの微粉除去装置とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固相重合処理後の熱可塑性高分子重合体からなるペレットを供給するペレット供給管と、供給されたペレットを衝突させて分散させるバッフル部と、分散して供給されるペレットの供給方向に対して向流方向へ気体を流す微粉分離管部と、向流方向へ流された気体によってペレットを吸引せずにペレットから分離された微粉を上流側で吸引する分級部材とを備えたペレットの微粉除去装置。
【請求項2】
前記ペレット供給管へ微粉とペレットとを結合する静電気の電荷と逆の電荷を帯びたイオン風を供給するイオン風発生器を備えた請求項1に記載のペレットの微粉除去装置。
【請求項3】
前記熱可塑性高分子重合体がポリエステルである請求項1又は請求項2に記載のペレットの微粉除去装置。
【請求項4】
前記分級部材を通過する気体の平均流速が0.01〜2.0m/secである請求項1〜3の何れかに記載のペレットの微粉除去装置。
【請求項5】
前記微粉分離管部を通過する気体の平均流速が0.5〜10m/secである請求項1〜4の何れかに記載のペレットの微粉除去装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、衣料用あるいは工業資材用に供される熱可塑性合成繊維の品質を向上させることができるペレットの微粉除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
溶融紡糸によって熱可塑性合成繊維を製造する際の原料であるポリエステルなどの高分子重合体(以下、単に「ポリマー」という)は、連続重合に引き続いて直接溶融紡糸などの成形工程に供されて繊維化されることもあるが、ペレタイズ工程において、重合したポリマーを棒状あるいはフィルム状に押し出し、押し出したポリマーを所定の大きさにカットして一旦ペレット化されることが多い。
【0003】
このようにして一旦ペレット化されたポリマーは、通常ペレット状態のままで乾燥されることが多く、この乾燥工程では、例えば、ポリマーがポリエチレンテレフタレート(PET)の場合、含水率が50ppm以下になるまで乾燥させられる。特に、ポリエステルでは、溶融したポリマーが水分と接触すると加水分解が生じる。したがって、これを回避するには、加水分解を抑えるために、ペレタイズ工程で得られたペレットの含水率を低下させなければならない。
【0004】
このような理由から乾燥させて含水率を低減させたペレットは、次いで、加熱しながら重合度を更に上げることを目的として、固相重合処理が行われる。この固相重合は、ペレット状態のままで減圧化あるいは不活性ガスの雰囲気下で加熱して、ポリマーの重合度を更に上げて、ポリマーの固有粘度を上げると共に、高結晶化してポリマーの物性を上げる極めて有用な処理である。
【0005】
一般に、このような固相重合処理によって重合度を上げたペレットを用いて高物性を有する繊維を得るために、固相重合後のペレットを溶融押出機に供給して再溶融した後、溶融したポリマーを溶融紡糸装置へギヤポンプなどの連続計量手段を用いて連続的に定量供給して、送紡糸口金パックから紡出して繊維化する。確かに、このようにして固相重合処理したポリマーから得られる繊維は、物性に優れている。
【0006】
しかしながら、得られた繊維には局部的な繊径斑が発生して品質の低下を招いたり、製糸工程における単糸切れや断糸を惹起するような事態が生じる。そこで、このような繊度斑や製糸工程の悪化を低減するための方策として、紡糸口金パックあるいは紡出繊維の冷却装置を改良しようとする試みが多くなされている。
【0007】
例えば、特許文献1(特開2004−300616号公報)では、紡糸口金パック内に静的混練器を設置すると共に、静的混練器の下部に濾過層を設け、更に、紡出された繊維を冷却斑が生じないように均一に冷却するために、ポリマー吐出孔の配置や冷却風を吹き付ける条件などを適正化させる提案がなされている。しかしながら、この従来技術では、紡糸口金パックの構造と紡糸条件の適正化を図ることによって問題を解決しようとするものであって、これ以外の問題については全く配慮されていない。
【特許文献1】特開2004−300616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上に述べたように、一旦ペレット化されたポリマーを固相重合して重合度を上げたポリマーを用いて繊維を溶融紡糸した際に、得られる繊維に発生する繊径斑が少なく、また、製糸工程における単糸切れや断糸などの工程調子の悪化を改善することができる装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、固相重合されたポリマーを使用して製糸した熱可塑性合成繊維の製糸に際して、繊径斑の発生が抑制され、かつ製糸工程において単糸切れや断糸が極めて少ない工程調子が改善された製糸について検討した。
【0010】
その結果、ペレットの重合度を上げるために行う固相重合処理に際して、ペレットを静止状態のまま処理すると、加熱されたペレット同士が互いに融着してしまうというような事態が起こるのを回避するために、特に固相重合中のペレットは、通常、低回転数で攪拌したり、容器ごと回転させたりして常に流動状態におかれていることが問題であることを究明した。
【0011】
その結果、前述のように、攪拌などによってペレットを流動化させると、ペレット同士が擦れ合い、ペレタイズ工程におけるカッティング時に生じたペレットのバリや角部が脱離して、粉状物や小片(以下、このような「粉状物や小片」を「微粉」という)が発生することが問題であることを知見した。
【0012】
すなわち、このとき生じた微粉がペレットに同伴して溶融押出機に供給されて再溶融された後、溶融紡糸装置へ送られて紡糸口金パックから紡出されて繊維化されと、得られた繊維には、前記微粉に起因する局部的な繊径斑が発生して品質の低下を招いたり、製糸工程における単糸切れや断糸を惹起したりしていることを究明した。
【0013】
そして、紡糸口金パックへ溶融ポリマーを供給するために、ペレットを再溶融する前に、固相重合で発生した微粉をペレットから分離除去することによって、前記課題が解決できることに想到し、本発明を完成したものである。
【0014】
ここに、上記課題を解決する本発明に関わる方法として、請求項1に記載の「固相重合処理後の熱可塑性高分子重合体からなるペレットを供給するペレット供給管と、供給されたペレットを衝突させて分散させるバッフル部と、分散して供給されるペレットの供給方向に対して向流方向へ気体を流す微粉分離管部と、向流方向へ流された気体によってペレットから分離された微粉を上流側で吸引する分級部材とを備えたペレットの微粉除去装置」が提供される。
【0015】
その際、請求項2に記載のように、「前記ペレット供給管へ微粉とペレットとを結合する静電気の電荷と逆の電荷を帯びたイオン風を供給するイオン風発生器を備えた請求項1に記載のペレットの微粉除去装置」とすることが好ましい。
また、請求項3に記載のように、「前記熱可塑性高分子重合体がポリエステルである請求項1又は請求項2に記載のペレットの微粉除去装置」とすることが好ましい。
また、請求項4に記載のように、「前記分級部材を通過する気体の平均流速が0.01〜2.0m/secである請求項1〜3の何れかに記載のペレットの微粉除去装置」とすることが好ましい。
そして、請求項5に記載のように、「前記微粉分離管部を通過する気体の平均流速が0.5〜10m/secである請求項1〜4の何れかに記載のペレットの微粉除去装置」とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
一般に、固相重合処理において、前述のような微粉が発生すると、発生した微粉は、当然のことながら固相重合中のペレットと対比すると、その容積に比して表面積が極めて大きくなっている。このため、微粉は、正常な形状を有するペレットと比べて過剰な熱処理を受けることとなって、その結晶化度や粘度が大きく上昇する。
【0017】
それにも拘らず、これらの高結晶化し、かつ高粘度を有する微粉がペレット中に混入したままで溶融押出機へ微粉を同伴したペレットを供給して再溶融すると、高結晶化した高粘度の微粉が未溶融状態あるいは半溶融状態で溶融ポリマー中に残留する。また、このような微粉が溶融したとしても、溶融した微粉は、ポリマー中に均一に混合されず、高粘度の溶融状態を維持したままで微細な溶融塊を形成しつつ溶融ポリマー中に残る。
【0018】
そして、これらの異常なポリマーが紡糸口金パックから紡出されて繊維化されると、繊径斑が発生したり、製糸工程における単糸切れや断糸が発生したりする原因となっていた。これに対して、本発明では、微粉除去装置によって、再溶融に供するペレットから微粉を分離して除去した後に、溶融押出機に供給して再溶融するため、紡糸口金パックへ供給するポリマー中には、前述のような問題を惹起する微粉が十分に除去されている。
【0019】
したがって、繊径斑発生の大きな原因であるペレットに同伴する微粉を十分に低減できるので、固相重合処理によって重合度を更に上げて物性を改善したペレットを用いて溶融紡糸を行って繊維化しても、得られた繊維中には、微粉由来の繊径斑の発生や単糸切れあるいは断糸などの異常が生じないため、品質に優れ、かつ製糸工程調子が安定するという極めて顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、ペレット化された熱可塑性ポリマーを乾燥し、次いで、固相重合したペレットを溶融押出機へ供して再溶融し、再溶融した熱可塑性ポリマーを連続的に溶融紡糸して繊維化する方法と装置に関する。なお、前記熱可塑性ポリマーとしては、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどを例示することができるが、中でも、ポリエステルを使用することが好ましい。
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、その実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明に係る微分除去装置を好適に適用できる「熱可塑性合成繊維の溶融紡糸工程」を模式的に例示した概略工程図であって、図2は、本発明に係る微分除去装置を説明するための説明図(模式正断面図)である。
【0022】
これら図1及び図2において、各参照符号について先ず説明すると、1は乾燥機、2と5はゲート弁、3と6は移送管、4は固相重合装置、7はホッパー、8はロータリーバルブ、9はペレット供給管、10は微粉除去装置、11はイオン風発生器、12は第1流量調整バルブ、13は微粉吸引管、14はフィルター、15は排風機、15は排風機、16は第2流量調整バルブ、17は排出管、18は溶融押出機、19は紡糸パック、20は紡糸口金、そして、21は紡出された繊維をそれぞれ示す。
【0023】
なお、前記微粉除去装置10は、気体を供給する上部気体供給配管10a及び下部気体供給配管10fと、ペレットの通過を規制する円錐形バッフル10bと、ペレットと微粉とを分級する分級部材10cと、内部気体を吸引するための気体吸引室10dと、前記分級部材10cで分級した後のペレットに残存する微粉を更に分離する微粉分離管部10eと、ペレットを搬出するペレット搬出配管10gなどを含んで構成されている。
【0024】
図1に示したように構成される熱可塑性ポリマーの繊維化工程において、重合された熱可塑性ポリマーは、図示省略したペレタイズ工程において、所定の大きさになるようにペレットにされる。このようにして得られたペレットは、乾燥機1へ送られ、ペレットの含水率が所定の値以下(例えば、50ppm以下)となるまで乾燥される。なお、乾燥機1の実施形態としては、本発明の要旨を満足する限りにおいて、特に限定する必要は無いが、例えば、熱風循環加熱式乾燥機の内部にペレットを撹拌するための撹拌機能を有する加熱処理装置、あるいは流動床式の加熱処理装置を使用することが好ましい。
【0025】
このようにして、乾燥機1で乾燥されたペレットは、この乾燥機1の下部に設置されたゲート弁2を備えた移送管3を介して自由落下により固相重合装置4へ送られる。なお、この固相重合装置4あるいは前記乾燥機1では、加熱処理中にペレット同士が融着するのを防ぐ目的で、ペレットを静置せずに。絶えず流動状態に置くことが必要となる。それ故に、これらの工程では、低回転数で乾燥機1あるいは固相重合装置4を回転させたり、攪拌させたりして、ペレットを絶えず流動状態に置いている。
【0026】
なお、このとき行う固相重合は、連続式で行っても良いし、バッチ式で行っても良い。また、本発明において固相重合に供する熱可塑性ポリマーとしては、ポリエステルが特に好ましい。そこで、ポリエステルを例に採って説明すると、このようなポリエステルは、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸成分とエチレングリコール等のジオール成分のエステル化、エステル化物の溶融重合により製造されが、必要に応じて固体状態のポリエステルに対して固相重合が行われる。この溶融状態ではなく、固体状態で行われる重合が固相重合である。
【0027】
このようなポリエステルの固相重合においては、ペレットまたは粉体とされたポリマー中のジオール成分の拡散時間が反応律速となっており、この律速を小さくするには、温度を上げて拡散速度を大きくする方法、ペレットまたは粉体の粒径を小さくして拡散距離を小さくする方法等が知られている。なお、現在、工業的に広く使用されている連続式固相重合装置は、上部から連続的に原料を供給し、下部から連続的に製品を排出するタワー式固定床または移動床を有する方式の装置である。
【0028】
また、バッチ式固相重合においては、固相重合中の雰囲気として水分が十分に除去された窒素ガスなどの不活性気体で充満された環境あるいは減圧下の環境を維持しながら、バッチ式処理装置の中でそれぞれのポリマーに適した加熱温度で所定の時間だけ固相重合処理される。
【0029】
ところが、このようにペレットを流動状態にすると、移動するペレット同士が互いに擦れ合ったり、衝突しあったりする。そうすると、前記ペレタイズ工程においてポリマーを所定の大きさにカットした際に生じたバリやペレットの角部などがペレットから脱離したり、擦り減ったりして微粉が発生する。
【0030】
このようにして、微粉が発生すると、発生した微粉は、当然のことながら固相重合中のペレットと対比すると、その容積に比して表面積が極めて大きくなっている。このため、微粉は、正常な形状を有するペレットと比べて過剰な熱処理を受けることとなって、その結晶化度や粘度が大きく上昇する。
【0031】
そうすると、これらの高結晶化し、かつ高粘度を有する微粉がペレット中に混入したままで溶融押出機へ供給して再溶融すると、高結晶化した高粘度の微粉が未溶融状態あるいは半溶融状態で溶融ポリマー中に残留する。また、このような微粉が溶融したとしても、溶融した微粉は、ポリマー中に均一に混合されず、高粘度の溶融状態を維持したままで微細な溶融塊を形成しつつ溶融ポリマー中に残ることとなる。
【0032】
それにもかかわらず、このような状態で再溶融したポリマーを溶融紡糸機へ供給し、このポリマーを溶融紡糸して繊維化すると、ある程度の大きさを有する未溶融状態の微粉は、紡糸口金パック内に設けられた濾過媒体によって濾過され除去されはする。しかしながら、微粉由来の高粘度を維持した溶融小塊は、固体状態と異なって自由に変形して濾過媒体を通過することができるために、取り除くことができない。
【0033】
したがって、このような溶融微小塊や未溶融微小粉などの影響によって、溶融紡糸された繊維中には、局所的に異常な繊維径を有する繊維が出現する。そして、その結果として、繊径斑の発生や単糸切れあるいは断糸が発生するような事態が生じる。
【0034】
このような理由から、本発明は、前述の固相重合処理において発生した微粉が原因となる前記諸問題を解決するために、微粉除去装置を使用して、固相重合処理に供したペレットと微粉とを分離除去し、微粉を除去したペレットを再溶融して溶融紡糸へ供することを一大特徴とする。そこで、図2を参照しながら本発明に係る微粉除去装置の実施形態例について説明する。
【0035】
先ず、前述のように、固相重合処理によって生じてペレットに同伴する微粉の除去を開始するに当って、先ず排風機15を作動させて、上部気体供給配管10aと下部気体供給配管10fとから第1流量調整バルブ12と第2流量調整バルブ16を使用して投入する気体の流量を調整しながら気体を投入すると共に、気体吸引室10dからの気体の吸引を同時に行わせる。
【0036】
これによって、微粉分離管部10e内においては、下部気体供給配管10fから気体吸引室10dへ至る上昇気体流ができる。この段階で、ペレットを供給するためのペレット供給管9に付設されたロータリーバルブ8を開いて、ホッパー7内のペレットを排出すると、ペレットは供給管9から微粉除去装置10内へ前記ロータリーバルブによって計量されながら投入される。
【0037】
このとき、供給管9より投入される微粉を含んだペレットは、静電気の作用でペレットに付着している微粉も多く含まれている。そこで、静電気の作用によってペレットに付着している微粉を除去するために、イオン風発生器11によって、ポリマーの種類によっても異なるが、例えばポリエステルの場合には、正電荷を有するイオン風を生成し、プラス電荷が帯電した気体を第1流量調整バルブ12で流量調整して供給する。
【0038】
このようにして、微粉をペレットに付着させる静電気の電荷と逆の電荷を有するイオン風を供給して、付着した微粉の静電気を中和する。そして、これによって、ペレットに付着していた微粉がペレット表面から離脱し易くし、その後の分離処理が容易に行われるようにする。
【0039】
なお、このとき供給する気体は、ペレットを構成するポリマーの種類により異なるが、ポリマーとしてポリエステルを使用する場合では、ポリエステルが加水分解を起さないようにすることが必要である。そのため、供給する気体の含水率は、例えば50ppm程度に十分に低減しておくことが望ましい。
【0040】
このようにして微粉除去装置10内へ投入されたペレットは、微粉除去装置10の内部を落下しながら円錐形のバッフル部10bに衝突して、均一に分散させられる。また、このときに生じる衝撃力によっても、ペレットに付着した微粉がペレットから離脱するのが促進される。
【0041】
次いで、このようにして分散状態となったペレットは、自由落下しつつ下部気体供給配管10fから微粉分離管部10eへ供給された高速の上昇気流に曝されて、ペレットに同伴した微粉が上昇気流によって上方へ吹き上げられる。なお、下部気体供給配管10fから微粉分離管部10eへは、一方向からのみ気体を供給するのではなく、複数方向から供給することが好ましく、更には全周方向から供給することが特に好ましい。この場合、ペレットの供給方向(落下方向)に対して、気体の流れ方向を向流とすることが好ましい。何故ならば、このようにすると、ペレットに接触する気体の流速が更に加速されるので、微粉の分離効率が向上するからである。
【0042】
なお、前記微粉分離管部10eを上昇する気体の流速は、処理するペレットの粒径とその重量にもよるが、通常は0.5m/secから10m/secであることが好ましい。このとき、前記のような流速を持つ気体を具現化するためには、微粉分離管部10eを気体が通過する環状流路の幅を、ペレットが容易に通過できることを前提として、より狭くすることが効果的である。
【0043】
一般に、ペレット同士が擦れ合うと静電気が発生する。このため、固相重合工程で発生した微粉は静電気の作用によってペレットに強く付着しており、それ故に、微粉はペレットから容易に分離しない。ところが、本発明の好ましい実施形態によれば、前述のようにペレットに帯電した静電気は、上部気体供給配管10aから供給されるイオン風が運ぶ電荷によって中和されるので、微粉はペレットから容易に分離することができる。このようにして、微粉分離管部10eを上昇する気体によってペレットと微粉とが良好に分離される。
【0044】
このようにして微粉が分離された一方のペレットは、重力によってペレット排出配管10gへ落下し、ここから微粉を除去したペレットとして排出される。これに対して、他方のペレットと分離した微粉は、ペレットと比較してその重量がはるかに軽いため、微粉分離管部10eを上昇する高速の気体に乗せられてこの気体と共に、分級部材10cにまで運ばれ、ここから微粉分離管部10eの周りを取り囲むように設けられた吸引室10dへと俳風機15によって吸引され、フィルター14を介して系外へ排出される。
【0045】
このとき、微粉を吸引排出する分級部材10cの目開きについては、ペレットを通過させないが、分離除去した微粉は容易に追加できるように選定することが必要であることは言うまでもない。また、このような目開きを有する分級部材10cを通過する気体の平均流速については、微粉を確実に吸引室10dへ吸引できる速度が必要であり、ある程度高速であることが好ましく、この点から、0.01m/sec以上が望ましく、更に望ましくは、0.1m/sec以上である。
【0046】
しかしながら、その上限の平均流速については、ペレットが分級部材10cに吸引されてへばりつかないような流速であることが好ましく、また、上部気体供給配管10aから供給される気体とのバランスも考慮しなければならず、これらの点をあわせて考慮すると、2.0m/sec以下であるが好ましい。このようにして、気体の流れに乗って運ばれる微粉のみが分級部材10cから吸引室10dへ吸引され、ここから微粉吸引管13を介して系外へ吸引除去される。
【0047】
ここで、前記分級部材10cの具体的な実施態様としては、特に限定する理由はなく、例えば、多数の開口を有するパンチングプレート、所定の目開きを有する金網などを例示できる。また、その目開きは通過するペレットの大きさと除去すべき微粉の粒径に応じて適宜最適な値に決定されるべき設計事項である。
【0048】
なお、本発明でいうペレットの粒径は、JIS標準ふるいによって規定されるものであって、目開きが1500μmのJIS標準ふるいを通過するが、目開きが8000μmのものを通過しない粒径を有するペレットを用いることが好ましい。なお、本発明においては、ペレットの形状は特に限定することはなく、円柱状,球状,直方体状などのいずれの形状であっても良い。
【0049】
以上に説明したように、分級部材10cから吸引室10d内へ吸引された微粉は、微粉吸引管13の途中に設けられたフィルター14によって微粉が捕集され、微粉フリーの気体となって排風機15から清浄な気体とされて系外へ排気される。
【0050】
以上に述べたようにして、微粉が除去された後のペレットは、排出管17からペレットを再溶融する溶融押出機18へ送られる。そして、溶融押出機18で再溶融された後、定法に従って、連続的に定量計量しながらポリマーを供給するギヤポンプなどの計量供給手段(図示せず)によって定量供給され、これも定法に従って、紡糸パック19に装着された口金20のポリマー吐出孔からポリマーが紡出されて繊維21とされる。
【0051】
以下、本発明に係る微粉除去装置を用いて微粉除去を行った際の実験結果について説明する。なお、この実験における「繊径斑」の評価と「残存微粉量」の測定は、以下に述べるようにして行った。
(1)繊径斑の評価:糸速100m/minにてキーエンス(Keyence)社製の高速・高精度デジタル寸法測定器(型式:センサー部LS−7010(M)、コントローラ部LS−7500)を用いて、延伸後の糸条パッケージからモノフィラメントを巻きだし、その糸径が10μm以上である糸径変動点の個数を測定した。このとき、任意に選定した製品10本から、それぞれ10万mの糸長にわたって測定し、検出した糸径変動数の合計によって、繊径斑を評価した。
【0052】
(2)「残存微粉量」の測定:測定サンプルとして微粉を伴ったペレットを取り出し、このサンプルの重量を測定する。次いで、取り出したペレットを水洗して微粉を全て洗い流すことによってペレットから分離する。このペレットから分離されて洗浄液中に残った微粉を濾紙上に濾過して微粉を採取する。そして、このようにして採取した微粉をデシケータ中で乾燥して、その重量を測定することによって、ペレット中に含まれる残存微粉量(ppm)を算出する。
【0053】
(3)固有粘度:35℃でオルトクロロフェノールにサンプルを溶解した各濃度(C)の希薄溶液を作製し、それら溶液の粘度(ηr)から、η=limit(lnηr/C)という式から、Cを0に近づけることで算出した。その際、芯鞘の各成分は口金パックの取付前に十分に放流状態を安定させた上で、放流ポリマーをそれぞれ採取して測定した。また芯側成分の固有粘度は、巻き上がった製品を50%以下の重量になるまでアルカリ減量したサンプルを用いて確認を行った。
【0054】
先ず、含水率が50ppmになるように乾燥したポリエステルからなるペレットを用意した。このとき、用意したペレットの形状は、長さ4mm、幅4mm、厚み2mmの長方体であった。このペレットを定法に従って固相重合処理に供して固相重合を完了した。この固相重合完了時に発生した微粉を捕集し、改めて、約2000ppmの微粉を含んだポリエステルペレットを調整した。なお、この約2000ppmという微粉量は、通常の固相重合で発生する微粉量より多い量であり、微粉除去能力が十分であるかどうかを判断する目安としてこの値を採用した。
【0055】
図2に例示した装置10を使用して、ロータリーバルブ8で定量計量しながら、前述のようにして調整した微粉を含むペレットを10kg/hrの処理量でホッパー7から微粉除去装置10へ供給した。この時、微粉除去装置10が備える分級部材10cとして、開口率が約45%であり、かつ直径3mmの円形開口群が多数穿設されたパンチングプレートを用いた。
【0056】
このとき、前記分級部材10cを通過し、かつ微粉をペレットから離脱させる気体として、50ppm以下の含水率となるように十分に水分を除去してほぼ絶乾状態とした空気を下部気体供給配管10fから流した。また、イオン風発生器11からはプラスに帯電したイオン風を上部気体供給配管10aから供給し、微粉が静電気(マイナス電荷)の作用によってペレットに付着している状態を解消するようにした。
【0057】
このとき、微粉分離管部10eを上昇する空気の平均流速が4m/secとなり、更に、分級部材10cを通過する際の平均風速が、0.3m/secとなるように、排風手段14によって吸引気体の流量を制御した。ただし、この吸引気体の流量調整は、これと同時に、第1流量調整バルブ12と第2流量調整バルブ16によって、流量バランスを調整することによっても行った。
【0058】
このようにして、前述の微粉除去装置10によって微粉が除去されたペレットは、外気に曝すことなく、そのまま溶融押出機18へ供給した。その際、微粉除去装置10から出た直後であって、前記溶融押出機18に送られる直前のペレットを取り出して、含まれる微粉残存量を測定したところ、残存微粉量は200ppm以下の97ppmであった。
【0059】
以上に述べたように、微粉除去装置10を通過させると、残存微粉量が多くて200ppm、好ましくは100ppmであることを確認したので、残存微粉量がほぼ200ppmとなるように調整したポリエステルペレットを使用して、定法に従って、スクリーン紗用のポリエステルモノフィラメント繊維を溶融紡糸した。すなわち、このときの溶融紡糸に際して、芯側成分に前述のようにして固相重合して固有粘度0.85としたポリエチレンテレフタレートを用い、鞘側成分には固相重合しない固有粘度0.63のポリエチレンテレフタレートをそれぞれ独立に295℃の温度下で溶融し、芯部と鞘部の重量比が60/40となるように計量して芯鞘型複合モノフィラメントを定法にしたがって溶融紡糸した。
【0060】
次いで、口金20の直下に雰囲気温度が約350℃となるように、糸条走行方向に沿った長さが90mmの加熱ヒーターを設置し、吐出したモノフィラメントを加熱帯域と、1000mm長の冷風ゾーンを通過させた。その後、紡糸油剤を油剤付着量が0.2%となるように紡出したモノフィラメントに塗布し、紡糸速度1200m/分で引取って巻き取り、未延伸糸を得た。
【0061】
更に、この未延伸糸を加熱ローラーにて予熱した後、スリットヒーターによって非接触加熱しながら延伸倍率3.8倍で延伸し、0.3%のリラックス処理(弛緩処理)を施した後に巻き取り、10dtexのモノフィラメントからなる延伸糸を糸条パッケージとして巻き取った。なお、前記延伸糸を50%にまでアルカリ減量した後に測定した固有粘度は0.72であった。
【0062】
このようにして得たスクリーン紗用モノフィラメントの「節」の発生は1個であった。また、その詳細は説明を省略するが、次に述べる比較例1と対比すると、溶融紡糸中における単糸切れや断糸が極めて少なく、品質バラツキも小さかった。
【0063】
これに対して、図1及び図2に例示した微粉除去装置10を通さなかった以外の条件は全て同じになるようにして実験を実施した。その結果、延伸後に得られたスクリーン紗用モノフィラメントには、「節」の発生が25個認められた。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る微分除去装置を好適に適用できる「熱可塑性合成繊維の溶融紡糸工程」を模式的に例示した概略工程図である。
【図2】微分除去装置に係る一実施形態の説明するための説明図(模式正断面図)である。
【符号の説明】
【0065】
1 乾燥機
2 ゲート弁
3 移送管
4 固相重合装置
5 ゲート弁
6 移送管
7 ホッパー
8 ロータリーバルブ
9 ペレット供給管
10 微粉除去装置
10a 上部気体供給配管
10b 円錐形バッフル部
10c 分級部材
10d 気体吸引室
10e 微粉分離管部
10f 下部気体供給配管
10g ペレット排出配管
11 イオン風発生器
12 第1流量調整バルブ
13 微粉吸引管
14 フィルター
15 排風機
16 第2流量調整バルブ
17 排出管
18 溶融押出機
19 紡糸パック
20 紡糸口金
21 繊維
【出願人】 【識別番号】302011711
【氏名又は名称】帝人ファイバー株式会社
【出願日】 平成18年7月4日(2006.7.4)
【代理人】 【識別番号】100099678
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 秀子


【公開番号】 特開2008−12726(P2008−12726A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−184374(P2006−184374)