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【発明の名称】 プラスチック押出機
【発明者】 【氏名】上田 能貴

【要約】 【課題】複数のノズルの一部で樹脂焼けや目詰まりが発生するのを防止する。

【構成】冷却水(W)の温度は冷却水入口(32)の近傍で最も低く旋回に伴って高くなるから、ノズル(1a)(1b)(1c)(1d)の周りでの冷却量はこの順に低くなる。これに合わせて加熱量をノズル(1a)(1b)(1c)(1d)の順に小さくする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル加熱手段により周りを加熱された複数のノズルから棒状樹脂を押し出し、流れる冷却水で前記棒状樹脂を冷却するプラスチック押出機において、前記冷却水の上流側のノズルに対応する加熱量よりも下流側のノズルに対応する加熱量を小さくするように各ノズルに対応する加熱量を調節するためのノズル加熱量調節手段を具備したことを特徴とするプラスチック押出機。
【請求項2】
請求項1に記載のプラスチック押出機において、前記ノズル加熱手段が前記複数のノズルを取り巻くように設置され且つ高周波電流を通電されるコイルであり、前記ノズル加熱量調節手段が前記コイルにより誘導される渦電流量を前記冷却水の上流側のノズルの周りでよりも下流側のノズルの周りで小さくするように各ノズルに対応する渦電流量を調整する渦電流量調整手段であることを特徴とするプラスチック押出機。
【請求項3】
請求項2に記載のプラスチック押出機において、前記渦電流量調整手段が前記コイルから各ノズルの周囲に加わる磁束量を前記冷却水の上流側のノズルの周りでよりも下流側のノズルの周りで少なくするように各ノズルに対応する場所で磁束を遮蔽する磁束遮蔽板であることを特徴とするプラスチック押出機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック押出機に関し、さらに詳しくは、複数のノズルの一部で樹脂焼けや目詰まりが発生するのを防止できるプラスチック押出機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、押出機や混練機などに使用されるダイスに設けられた多数のノズルを取り巻くようにコイルを設け、そのコイルに高周波電流を通電することにより、ノズルの周りにうず電流を誘導し、ジュール熱によりノズルの周りを直接的に加熱するプラスチック押出ダイスが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−326518号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来のプラスチック押出ダイスでは、各ノズルの周りがコイルによりほぼ均等に加熱されていた。このため、ダイス単体で試験すると、どのノズルの周りもほぼ等しい温度になっていた。
しかし、実際の運転時においては、各ノズルの周りの温度がかなり異なり、最も低い温度の箇所を適正温度にすると最も高い温度の箇所で樹脂焼けが発生し、最も高い温度の箇所を適正温度にすると最も低い温度の箇所で目詰まりが発生する問題点があった。
そこで、本発明の目的は、複数のノズルの一部で樹脂焼けや目詰まりが発生するのを防止できるプラスチック押出機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の観点では、本発明は、ノズル加熱手段により周りを加熱された複数のノズルから棒状樹脂を押し出し、流れる冷却水で前記棒状樹脂を冷却するプラスチック押出機において、前記冷却水の上流側のノズルに対応する加熱量よりも下流側のノズルに対応する加熱量を小さくするように各ノズルに対応する加熱量を調節するためのノズル加熱量調節手段を具備したことを特徴とするプラスチック押出機を提供する。
従来のプラスチック押出ダイスにおいて、各ノズルの周りをほぼ均等に加熱しても、実際の運転時に各ノズルの周りの温度がかなり異なってくる原因は、冷却水の流れにあることが判った。すなわち、冷却水の流れの上流側では冷却水の温度が低いためノズルの周りがよく冷却されるが、冷却水の流れの下流側では冷却水の温度が上昇しているためノズルの周りが上流側に比べて冷却されない。従って、各ノズルの周りをほぼ均等に加熱していたのでは、上流側の温度が低く、下流側の温度が高くなってしまう。
そこで、上記第1の観点によるプラスチック押出機では、ノズル加熱量調節手段を設けて各ノズルに対応する加熱量を調節し、冷却水の上流側のノズルに対応する加熱量よりも下流側のノズルに対応する加熱量を小さくする。これにより、実際の運転時において、冷却水の流れの上流側でも下流側でも加熱量と冷却量をバランスさせ、すべてのノズルの周りを適正温度にできる。よって、複数のノズルの一部で樹脂焼けや目詰まりが発生するのを防止できる。
【0005】
第2の観点では、本発明は、前記第1の観点によるプラスチック押出機において、前記ノズル加熱手段が前記複数のノズルを取り巻くように設置され且つ高周波電流を通電されるコイルであり、前記ノズル加熱量調節手段が前記コイルにより誘導される渦電流量を前記冷却水の上流側のノズルの周りでよりも下流側のノズルの周りで小さくするように各ノズルに対応する渦電流量を調整する渦電流量調整手段であることを特徴とするプラスチック押出機を提供する。
上記第2の観点によるプラスチック押出機では、渦電流量調節手段を設けて各ノズルに対応する渦電流量を調整し、冷却水の上流側のノズルに対応する渦電流量よりも下流側のノズルに対応する渦電流量を小さくする。これにより、冷却水の上流側のノズルに対応する加熱量よりも下流側のノズルに対応する加熱量を小さくすることが出来る。
【0006】
第3の観点では、本発明は、前記第2の観点によるプラスチック押出機において、前記渦電流量調整手段が前記コイルから各ノズルの周囲に加わる磁束量を前記冷却水の上流側のノズルの周りでよりも下流側のノズルの周りで少なくするように各ノズルに対応する場所で磁束を遮蔽する磁束遮蔽板であることを特徴とするプラスチック押出機を提供する。
上記第3の観点によるプラスチック押出機では、磁束遮蔽板を設けて各ノズルに対応する磁束量を調整し、冷却水の上流側のノズルに対応する磁束量よりも下流側のノズルに対応する磁束量を小さくする。これにより、冷却水の上流側のノズルに対応する渦電流量よりも下流側のノズルに対応する渦電流量を小さくすることが出来る。
【発明の効果】
【0007】
本発明のプラスチック押出機によれば、複数のノズルの一部で樹脂焼けや目詰まりが発生するのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図に示す実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0009】
図1は、実施例1にかかるプラスチック押出機100の縦断面図である。また、図2は、図1のL−L’断面図である。また、図3は、図1のS−S’端面図である。
このプラスチック押出機100において、押出部20は、図示せぬフィーダから供給された原材料および添加物をヒータ21で加熱溶融し、スクリュー22で混練し、プラスチック押出ダイス10へ送る。
【0010】
プラスチック押出ダイス10は、多数のノズル1a,1b,1c,…から溶融樹脂を棒状にカット部30へ押し出す。
【0011】
ソレノイド型のコイル2は、ノズル1a,1b,1c,…を取り巻くように、コイルケース6に収容されて設けられている。
【0012】
コイル2は、導体管4を1ターンだけ巻回してコイルとしたものであり、ノズル1の先端部のみを取り巻いている。
また、コイル2の外側および基端側(押出部20側)には、磁性積層板からなる遮蔽板11を設け、漏れ磁束を抑えている。
さらに、コイル2の先端側には、磁性積層板からなる副遮蔽板11sを設け、ノズル1a,1b,1c,…の周りに加わる磁束量を調整している。
【0013】
高周波電流3は、可変周波数インバータ40から整合トランス42および給電ケーブル41を介して、コイル2に供給される。
整合トランス42は、1ターンだけでインダクタンスが非常に小さいコイル2と可変周波数インバータ40とのインピーダンスを整合させるトランスである。
【0014】
図2に示すように、コイル冷却水5は、ポンプ9aから供給口5aに供給され、導体管4に流される。そして、コイル2を冷却後、排出口5bから放熱器9bを経て、ポンプ9aに戻る。
【0015】
図3に示すように、副遮蔽板11sは、場所に応じてコイル2を覆う量が異なっている。すなわち、図3において6時の位置のノズル1aに対応する場所ではコイル2をまったく覆っていないが、図3において9時の位置のノズル1bに対応する場所ではコイル2を1/4程度覆っており、図3において12時の位置のノズル1cに対応する場所ではコイル2を1/2程度覆っており、図3において3時の位置のノズル1dに対応する場所ではコイル2を3/4程度覆っている。
このため、コイル2からノズル1a,1b,1c,1dの周りに加わる磁束量はノズル1a,1b,1c,1dの順に少なくなり、磁束により誘導される渦電流量はノズル1a,1b,1c,1dの順に小さくなっている。従って、加熱量はノズル1a,1b,1c,1dの順に小さくなっている。
【0016】
図4に示すように、カット部30では、ノズル1a,1b,1c,…から押し出された棒状樹脂は、回転(黒頭矢印)するプロペラ型のカッタブレード31で切断されて、ペレットPとされる。
【0017】
冷却水Wは、冷却水入口32から供給され、棒状樹脂やペレットPを冷却しつつカッタブレード31の回転によりカット部30で旋回(白頭矢印)し、冷却水出口33からペレットPと共に排出される。
【0018】
冷却水Wの温度は、冷却水入口32の近傍で最も低く、旋回に伴って高くなる。つまり、ノズル1a,1b,1c,1dの周りでの冷却量は、ノズル1a,1b,1c,1dの順に低くなる。
ところが、前述したように、加熱量はノズル1a,1b,1c,1dの順に小さくなっている。
よって、加熱量と冷却量がバランスし、すべてのノズルの周りを適正温度にすることが出来る。
【0019】
実施例1のプラスチック押出機100によれば、ノズル1a,1b,1c,…の一部で樹脂焼けや目詰まりが発生するのを防止でき、ペレットPの品質を安定させることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明のプラスチック押出機は、高融点のエンジニアリングプラスチックに対応することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1にかかるプラスチック押出機を示す縦断面図である。
【図2】図1のL−L’断面図である。
【図3】図1のS−S’端面図である。
【図4】冷却水の流れを示す説明図である。
【符号の説明】
【0022】
1a,1b,1c,1d ノズル
2 コイル
3 高周波電流
4 導体管
10 プラスチック押出ダイス
11 遮蔽板
11s 副遮蔽板
30 カット部
31 カッタブレード
32 冷却水入口
33 冷却水出口
100 プラスチック押出機
W 冷却水
【出願人】 【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
【出願日】 平成18年6月29日(2006.6.29)
【代理人】 【識別番号】100095511
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 紳志郎


【公開番号】 特開2008−6684(P2008−6684A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−178964(P2006−178964)