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【発明の名称】 キャスター用車輪の接地部材剥離方法及び接地部材剥離装置
【発明者】 【氏名】渡邊 克彦

【要約】 【課題】車輪本体に接着された接地部材を簡単な処理により有害ガスの発生を抑えながら剥離させることができるキャスター用車輪の接地部材剥離方法を提供する。

【構成】剥離装置は、基台11上に載置された高周波誘導加熱発振装置13と、キャスター用車輪の処理品34を支持するワーク支持装置21と、循環式冷却装置29と、操作盤31とを備えてなる装置本体10と、プレス装置とにより構成されている。高周波誘導加熱発振装置13は、本体部14によって高周波信号を生成し、誘導コイル16に通電するものである。通電された誘導コイル16によって処理品34の車輪本体35が加熱され、車輪本体35に接触する接地部材37が加熱されて軟化する。軟化した接地部材37に押圧力を加えることにより車輪本体35から剥離できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製で円環状の車輪本体の外周面にゴム弾性体製又は樹脂製で円環状の接地部材が接着固定されてなるキャスター用車輪の該車輪本体から該接地部材を剥離させる方法であって、該キャスター用車輪の外周から離間して同軸状に誘導コイルを配置し、該誘導コイルに高周波電流を通電することにより、前記接地部材の前記車輪本体との接触部分を加熱軟化させ、該接地部材に押圧力を加えて該車輪本体から剥離させることを特徴とするキャスター用車輪の接地部材剥離方法。
【請求項2】
金属製で円環状の車輪本体の外周面にゴム弾性体製又は樹脂製で円環状の接地部材が接着固定されてなるキャスター用車輪を該車輪本体の軸穴を介して支持する支持部材と、該支持部材に支持されたキャスター用車輪の外周から離間して同軸状に配置された誘導コイルと、該誘導コイルに高周波電流を通電する高周波電源と、該誘導コイルに高周波電流を通電することにより前記車輪本体との境界部分が加熱軟化された前記接地部材に押圧力を加えて該車輪本体から剥離させる押圧装置とを備えたことを特徴とするキャスター用車輪の接地部材剥離装置。
【請求項3】
前記押圧装置を、プレス装置としたことを特徴とする請求項2に記載のキャスター用車輪の接地部材剥離装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、台車、椅子等の家具の脚部に取り付けられるキャスターに使用されるキャスター用車輪の硬質ゴム弾性体あるいは硬質樹脂材料製の接地部材を金属製の車輪本体から剥離させるキャスター用車輪の接地部材剥離方法及び接地部材剥離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のキャスター用車輪は、鉄製の円環状の車輪本体の外周に、ゴム弾性体あるいは樹脂材料製の円環状の接地部材を接着剤で強固に固定することにより形成されているので、逆に接地部材を車輪本体から剥離させることは非常に困難である。従来は、使用済みの大量のキャスター用車輪やあるいは製造過程で生じた接着不良による不良品については、接地部材を車輪本体から剥離させることが非常に困難であるため、そのまま産業廃棄物として廃棄されていた。このような使用済み等のキャスター用車輪について、接地部材を車輪本体から簡単に剥離できるのであれば、両者を別々に再利用することができ、資源の有効利用が図られるとともに、無駄な廃棄物の発生を抑えることができるので好ましいことである。近年、特に環境悪化を防止することも含めて資源の再利用が促進されており、その意味で、キャスター用車輪についても、接地部材を車輪本体から簡単に剥離できる方法が求められている。
【0003】
これに対して、キャスター用車輪全体を加熱することにより、接地部材のゴム材料や樹脂材料を軟化あるいは燃焼させて剥離させることが考えられる。しかし、加熱するための装置が必要になると共に加熱による有害ガスの発生があるため、処理が非常に煩雑であり処理のためのコストも高価になるという問題がある。また、接地部材を有機溶剤で処理して軟化させる方法も考えられるが、上記加熱させる方法と同様の問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題を解決しようとするもので、車輪本体に接着された接地部材を簡単な処理により有害ガスの発生を抑えながら剥離させることができるキャスター用車輪の接地部材剥離方法及び接地部材剥離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明の構成上の特徴は、金属製で円環状の車輪本体の外周面にゴム弾性体製又は樹脂製で円環状の接地部材が接着固定されてなるキャスター用車輪の車輪本体から接地部材を剥離させる方法であって、キャスター用車輪の外周から離間して同軸状に誘導コイルを配置し、誘導コイルに高周波電流を通電することにより、接地部材の車輪本体との接触部分を加熱軟化させ、接地部材に押圧力を加えて車輪本体から剥離させることにある。
【0006】
上記のように構成した本発明においては、軸穴にて支持部材等に支持されたキャスター用車輪の外周側に離間して同軸状に配置された誘導コイルに高周波電流を通電することにより、高周波磁場が発生し、その電磁誘導作用によって金属製の車輪本体に誘導電流が流れて加熱される。それにより、車輪本体と接地部材の境界が短時間で加熱されて軟化する。その状態で接地部材に押圧力を加えることにより、接地部材が車輪本体から簡単に剥離される。このように、加熱が短時間にかつ車輪本体と接地部材の境界部分を軟化させるために行われるものであり、車輪本体と接地部材はほとんど劣化のない状態で分離回収されるため、その後の再利用等の有効な活用が可能になる。また、加熱が短時間のみであるため、接地部材からの有害ガスの発生も抑えられる。
【0007】
また、本発明の他の特徴は、金属製で円環状の車輪本体の外周面にゴム弾性体製又は樹脂製で円環状の接地部材が接着固定されてなるキャスター用車輪を車輪本体の軸穴を介して支持する支持部材と、支持部材に支持されたキャスター用車輪の外周から離間して同軸状に配置された誘導コイルと、誘導コイルに高周波電流を通電する高周波電源と、誘導コイルに高周波電流を通電することにより車輪本体との境界部分が加熱軟化された接地部材に押圧力を加えて車輪本体から剥離させる押圧装置とを備えたことにある。ここで、押圧装置として、プレス装置を用いることが好ましい。
【0008】
上記のように構成した他の特徴においては、支持部材より車輪本体の軸穴を介してキャスター用車輪を支持し、支持されたキャスター用車輪を囲んで配置された誘導コイルに高周波電源から通電することにより、高周波磁場が発生してその電磁誘導作用によって金属製の車輪本体に誘導電流が流れて加熱される。それにより、接地部材の車輪本体との接触部分が短時間で加熱されて軟化する。その状態で押圧装置によって接地部材に押圧力を加えることにより、接地部材が車輪本体から簡単に剥離される。このように、誘導コイルによる加熱が短時間にかつ車輪本体と接地部材の境界部分を軟化させるために行われるものであり、車輪本体と接地部材はほとんど劣化のない状態で分離回収されるため、その後の再利用等の有効な活用が可能になる。また、誘導コイルによる加熱が短時間であるため、接地部材からの有害ガスの発生も抑えられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、誘導コイルによる加熱が短時間にかつ車輪本体と接地部材の境界部分を軟化させるために行われるものであり、車輪本体と接地部材はほとんど劣化のない状態で分離回収されるため、その後の両部材の再利用等の有効な活用が可能になり無駄な廃棄物の発生を抑えることができ、さらに有害ガスの発生も抑えられ作業環境の悪化を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態について図面を用いて説明する。図1及び図2は、キャスター用車輪の硬質ゴム弾性体製の接地部材を剥離するための剥離装置を左側面図及び平面図により示したものである。また、図3及び図4は、剥離装置の要部である誘導コイルとワーク支持装置の一部分を拡大左側面図及び拡大平面図により示したものである。剥離装置は、基台11上の左後方に載置された高周波誘導加熱発振装置13と、基台11上の左前方に載置された使用済みあるいは不良品のキャスター用車輪である処理品34を支持するワーク支持装置21と、基台11上の右後方に載置された循環式冷却装置29と基台11の右前方に載置された操作盤31とを備えてなる装置本体10と、図示しないプレス装置とにより構成されている。なお、装置本体10は、図1の右側面が正面であり、以下これに基づいて説明する。
【0011】
基台11の四隅には、それぞれ支持棒12aが取り付けられており、さらに支持棒12aを縮めることにより移動可能にするための4つのキャスタ12bが取り付けられている。高周波誘導加熱発振装置13は、発振周波数が100kHzで最大出力が10kwの高周波信号を生成する本体部14と、本体部14の前面側に取り付けられた取付部15を設けており、取付部15には誘導コイル16が軸方向を上下に向けて取り付けられている。誘導コイル16は、図3、図4に示すように、中空の金属パイプをらせん状に丸めて形成されており、周方向に一箇所にてパイプの両端が径方向に延びて取付板17に固定されており、さらにパイプの一端(図1の下側)には冷却水の入口となる第1連結具18が取り付けられており、パイプの他端(図1の上側)には冷却水の出口となる及び第2連結具19が取り付けられている。第1及び第2連結具18,19は、図示しない通水パイプを通して循環式冷却装置29に連結されている。
【0012】
ワーク支持装置21は、上記取付部15の前方に配置されており、アングルを組んだ枠状のハウジング22に、キャスター用車輪の処理品34が取り付けられて支持される支持部23と、支持部23を上下に昇降させるエアシリンダ27と、エアシリンダ27に圧縮空気を供給するコンプレッサ28とを設けている。支持部23は、車輪とほぼ同一径の円盤部24と、円盤部24の下面中心に立設されたエアシリンダ27の可動軸に連結される連結部25と、円盤部24の上面中心に立設された車輪の軸穴が挿嵌される支持軸部26とを一体で有している。支持部23は、連結部25にて垂直上方を向いたエアシリンダ27の可動軸に取り付けられ、エアシリンダ27に駆動されて上側位置と下側位置間を往復移動するようになっている。支持部23の上側位置では、処理品34が取り付けられ、下側位置では、処理品34が誘導コイル16に囲まれて加熱が行われる。
【0013】
循環式冷却装置29は、通水パイプを通して第1及び第2連結具18,19から誘導コイル16に所定水温の冷却水を23リットル/分以上の水量で循環供給できるようになっている。操作盤31は、装置本体10の高周波誘導加熱発振装置13、ワーク支持装置21、循環式冷却装置29の動作条件を入力したり、それらの動作を制御するものであり、操作スイッチ32や各種設定スイッチ、計器等を有している。使用済みのキャスター用車輪である処理品34は、図5−A,Bに示すように、鉄製で円環状の車輪本体35と、車輪本体35の外周面に接着剤によって固定されたゴム弾性体製で円環状の接地部材37とを一体で有しており、車輪本体35の軸穴36によってワーク支持装置21の支持軸部26に挿嵌することにより取り付けられるようになっている。プレス装置については詳述しないが、プレスの先端に筒状の打ち抜き部を取り付けて、打ち抜き部によって接地部材37に押圧力を加えることにより、接地部材37を車輪本体35から剥離させるものである。
【0014】
上記のように構成した実施例においては、ワーク支持装置21の支持部23がエアシリンダ27によって上端位置に配置された状態で、支持軸部26に処理品34が軸穴36にて挿嵌されると、支持部23がエアシリンダ27によって下側位置に戻される。これにより、図3、図4に示すように、支持部23に取り付けられた処理品34の外周側に離間して誘導コイル16が同軸状に配置される。誘導コイル16には、循環式冷却装置29により、通水パイプを通して冷却水が循環して供給され、それにより誘導コイル16が通電されることにより発熱しても冷却されることにより、温度上昇が抑えられる。この状態で、処理品34の外周側に離間して同軸状に配置された誘導コイル16に、本体部14から5秒程度高周波電流が通電されると、それにより高周波磁場が発生し、その電磁誘導作用によって金属製の車輪本体35に誘導電流が流れて加熱される。それにより、接地部材37の車輪本体35との接触部分が短時間で加熱されて軟化する。
【0015】
その状態で、支持部23をエアシリンダ27により上端まで移動させて処理品34を取り外し、プレス装置において接地部材37にプレスを施すことにより、接地部材37を車輪本体35から簡単に剥離させることができる。その結果、本実施例においては、従来困難であったキャスター用車輪の処理品34の接地部材37を車輪本体35から簡単かつ短時間に剥離させることができるので、両者を別々に利用することができ、無駄な廃棄物の発生を抑えて資源の有効利用が図られる。また、加熱が短時間にかつ車輪本体35と接地部材37の境界部分を軟化させるために行われるものであるため、車輪本体35と接地部材37が元の状態からの変質がほとんどないので再生使用も可能であり利用価値が高められる。また、処理の際に有害ガスの発生も抑えられるため、環境悪化を防止できる効果も得られる。
【0016】
なお、上記実施例においては、剥離装置本体とプレス装置は別に設けられているが、両者を一体にできればさらに効率よく剥離作業を行うことができる。また、プレス装置の代わりに、単にハンマー等で打ち抜き部に力を加えて接地部材を打ち抜くような簡易なものでもよい。また、接地部材はゴム弾性体に代えて樹脂製とすることもできる。その他、上記実施例に示した剥離装置については一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変更実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、誘導コイルによる加熱が短時間にかつ車輪本体と接地部材の境界部分を軟化させるために行われるものであり、車輪本体と接地部材はほとんど劣化のない状態で分離回収されるため、その後の両部材の再利用等の有効な活用が可能になり無駄な廃棄物の発生を抑えることができ、さらに有害ガスの発生も抑えられ作業環境の悪化を防止できるので、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施例であるキャスター用車輪の接地部材剥離装置を概略的に示す左側面図である。
【図2】同接地部材剥離装置を示す平面図である。
【図3】同接地部材剥離装置の要部である誘導コイルと支持部を示す拡大左側面図である。
【図4】同接地部材剥離装置の要部である誘導コイルと支持部を示す拡大平面図である。
【図5−A】キャスター用車輪を示す一部破断側面図である。
【図5−B】キャスター用車輪を示す正面図である。
【符号の説明】
【0019】
10…装置本体、13…高周波誘導加熱発振装置、16…誘導コイル、21…ワーク支持装置、23…支持部、27…エアシリンダ、29…循環式冷却装置、31…操作盤、34…処理品、35…車輪本体、37…接地部材。
【出願人】 【識別番号】502123458
【氏名又は名称】渡邊 克彦
【出願日】 平成18年6月21日(2006.6.21)
【代理人】 【識別番号】100097353
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 功二


【公開番号】 特開2008−965(P2008−965A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−171921(P2006−171921)