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【発明の名称】 脆性材料の割断方法およびその装置
【発明者】 【氏名】小関 良治

【要約】 【課題】カレットがレーザ光の熱により半導体ウエハに溶着し、不良品が発生することのない脆性材料の割断方法および装置を提供する。

【解決手段】両面粘着シート12は、中間に積層されたテープ基材12aと、表面に積層されて脆性材料としての半導体ウエハ3を接着支持する第1接着層12bと、下面に積層されて透明な透明支持板13を接着する第2接着層12cとから構成されている。 スクライバ22によって半導体ウエハ3に割断予定線に沿って溝3bを形成してから、半導体ウエハ3の裏面側より溝3bに赤外レーザ光を照射すると、赤外レーザ光は透明支持板13および第2接着層12cを透過して第1接着層12bに照射され、第1接着層12bが加熱により局部的に膨張すると、溝3bから亀裂が伸展して半導体ウエハ3が割断される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脆性材料の表面側の割断予定線上に溝を形成し、該溝から亀裂を伸展させて脆性材料を所定形状のチップに割断する脆性材料の割断方法において、
所要の光の照射により膨張する粘着シートを上記光を透過させる透明支持板の表面に接着すると共に、上記脆性材料を粘着シートにおける上記透明支持板とは反対側に接着支持し、
脆性材料の溝が形成された割断予定線に沿って上記透明支持板側から光を照射することにより、当該光の照射された位置の粘着シートを局部的に膨張させ、上記溝から亀裂を伸展させて脆性材料を割断することを特徴とする脆性材料の割断方法。
【請求項2】
上記粘着シートは脆性材料側と透明支持板側で異なる性質の接着層が形成されており、少なくともいずれか一方の接着層は所要の光の照射により膨張する性質を有していることを特徴とする請求項1に記載の脆性材料の割断方法。
【請求項3】
上記脆性材料側の接着層は第1の光の照射により接着力を失う性質を有し、
上記脆性材料が上記チップに割断されたら、透明支持板側から第1の光を所要のチップが接着された範囲に照射することにより、上記脆性材料側の接着層の接着力を失わせ、上記所要のチップをピックアップ可能にすることを特徴とする請求項2に記載の脆性材料の割断方法。
【請求項4】
上記第1の光は赤外光であって、上記脆性材料側の接着層は赤外光の照射により加熱されて膨張するとともに接着力を失い、紫外光の照射により接着力を失わない性質を有することを特徴とする請求項3に記載の脆性材料の割断方法。
【請求項5】
上記透明支持板側の接着層は第2の光の照射により接着力を失う性質を有し、
上記脆性材料が上記チップに割断された後であって、上記チップをピックアップする前に、透明支持板側から第2の光を透明支持板と粘着シートとの接着範囲に照射することにより、上記透明支持板側の接着層の接着力を失わせ、透明支持板と粘着シートとを剥離することを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の脆性材料の割断方法。
【請求項6】
上記第2の光は紫外光であって、上記透明支持板側の接着層は紫外光の照射により接着力を失い、赤外光の照射により接着力を失わない性質を有していることを特徴とする請求項5に記載の脆性材料の割断方法。
【請求項7】
表面側の割断予定線上に溝の形成された脆性材料を支持する支持部材と、所要の光を照射する照射手段と、上記支持部材と照射手段とを相対移動させる移動手段とを備え、
上記移動手段により支持部材と照射手段とを相対移動させて、照射手段からの光を上記溝が形成された割断予定線に沿って照射し、上記溝から亀裂を伸展させて脆性材料を所定形状のチップに割断するようにした脆性材料の割断装置において、
上記支持部材は所要の光の照射により膨張する粘着シートを備え、該粘着シートの表面で上記脆性材料を接着支持し、
上記支持部材を支持するとともに上記光を透過させる透明支持板を設けて、該透明支持板を上記粘着シートにおける脆性材料の反対側に接着し、
上記照射手段を上記透明支持板側に設けるとともに、照射手段が透明支持板側から上記光を割断予定線に沿って照射することにより、当該光の照射された位置の粘着シ−トを局部的に膨張させ、上記溝から亀裂を伸展させて脆性材料を割断することを特徴とする脆性材料の割断装置。
【請求項8】
上記粘着シートは脆性材料側と透明支持板側で異なる性質の接着層が形成されており、少なくともいずれか一方の接着層は所要の光の照射により膨張する性質を有していることを特徴とする請求項7に記載の脆性材料の割断装置。
【請求項9】
上記支持部材からチップをピックアップするピックアップ手段を備え、
上記脆性材料側の接着層は第1の光の照射により接着力を失う性質を有し、
上記照射手段は第1の光を照射する第1照射手段を備え、第1照射手段は、透明支持板側から第1の光を所要のチップが接着された範囲に照射することにより、上記脆性材料側の接着層の接着力を失わせ、上記所要のチップをピックアップ手段によりピックアップ可能にすることを特徴とする請求項8に記載の脆性材料の割断装置。
【請求項10】
上記第1の光は赤外光であって、上記脆性材料側の接着層は赤外光の照射により加熱されて膨張するとともに接着力を失い、紫外光の照射により接着力を失わない性質を有することを特徴とする請求項9に記載の脆性材料の割断装置。
【請求項11】
上記透明支持板側の接着層は第2の光の照射により接着力を失う性質を有し、
上記照射手段は第2の光を照射する第2照射手段を備え、第2照射手段は、透明支持板側から第2の光を透明支持板と粘着シートとの接着範囲に照射することにより、上記透明支持板側の接着層の接着力を失わせ、透明支持板と粘着シートとを剥離することを特徴とする請求項8ないし請求項10のいずれかに記載の脆性材料の割断装置。
【請求項12】
上記第2の光は紫外光であって、上記透明支持板側の接着層は紫外光の照射により接着力を失い、赤外光の照射により接着力を失わない性質を有していることを特徴とする請求項11に記載の脆性材料の割断装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は脆性材料の割断方法およびその装置に関し、詳しくは脆性材料の表面に溝を形成し、該溝から亀裂を伸展させて脆性材料を所要形状のチップに割断する脆性材料の割断方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハやガラス板等の脆性材料の表面に溝を形成し、該溝から亀裂を伸展させることで、このような脆性材料を所要形状の半導体チップや液晶ディスプレイ用パネル等に割断する方法が知られている。
このような脆性材料の割断方法として、支持部材の上面に脆性材料を保持し、該脆性材料の表面に溝を形成したら、当該脆性材料の上方からレーザ光などの光を照射し、脆性材料の内部に熱応力を発生させることで、上記溝から亀裂を伸展させて脆性材料を割断するものが知られている。(特許文献1)
また脆性材料を割断する際、粘着テープの表面に上記脆性材料を接着した状態で割断することも行なわれている。(特許文献2)
【特許文献1】特開平8―276398号公報
【特許文献2】特開2001―226650号公報(特に図2の構成)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、上述したように脆性材料に形成した亀裂を伸展させて割断を行う場合、割断された箇所からカレット(塵)が発生し、このカレットが脆性材料の表面に付着してしまう場合がある。
そして特許文献1のように脆性材料の上方からレーザ光を照射して割断を行なうと、上記カレットがレーザ光による加熱によって溶融して脆性材料にこびりついてしまい、その結果不良品が発生する場合があった。
このような問題に鑑み、本発明はカレットによる不良品が発生することのない脆性材料の割断方法およびその装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載する脆性材料の割断方法は、脆性材料の表面側の割断予定線上に溝を形成し、該溝から亀裂を伸展させて脆性材料を所定形状のチップに割断する脆性材料の割断方法において、
所要の光の照射により膨張する粘着シートを上記光を透過させる透明支持板の表面に接着すると共に、上記脆性材料を粘着シートにおける上記透明支持板とは反対側に接着支持し、
脆性材料の溝が形成された割断予定線に沿って上記透明支持板側から光を照射することにより、当該光の照射された位置の粘着シートを局部的に膨張させ、上記溝から亀裂を伸展させて脆性材料を割断することを特徴としている。
【0005】
請求項2に記載する脆性材料の割断方法は、請求項1に記載の脆性材料の割断方法において、上記粘着シートは脆性材料側と透明支持板側で異なる性質の接着層が形成されており、少なくともいずれか一方の接着層は所要の光の照射により膨張する性質を有していることを特徴としている。
【0006】
請求項3に記載する脆性材料の割断方法は、請求項2に記載の脆性材料の割断方法において、上記脆性材料側の接着層は第1の光の照射により接着力を失う性質を有し、
上記脆性材料が上記チップに割断されたら、透明支持板側から第1の光を所要のチップが接着された範囲に照射することにより、上記脆性材料側の接着層の接着力を失わせ、上記所要のチップをピックアップ可能にすることを特徴としている。
【0007】
請求項4に記載する脆性材料の割断方法は、請求項3に記載の脆性材料の割断方法において、上記第1の光は赤外光であって、上記脆性材料側の接着層は赤外光の照射により加熱されて膨張するとともに接着力を失い、紫外光の照射により接着力を失わない性質を有することを特徴としている。
【0008】
請求項5に記載する脆性材料の割断方法は、請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の脆性材料の割断方法において、上記透明支持板側の接着層は第2の光の照射により接着力を失う性質を有し、
上記脆性材料が上記チップに割断された後であって、上記チップをピックアップする前に、透明支持板側から第2の光を透明支持板と粘着シートとの接着範囲に照射することにより、上記透明支持板側の接着層の接着力を失わせ、透明支持板と粘着シートとを剥離することを特徴としている。
【0009】
請求項6に記載する脆性材料の割断方法は、請求項5に記載の脆性材料の割断方法において、上記第2の光は紫外光であって、上記透明支持板側の接着層は紫外光の照射により接着力を失い、赤外光の照射により接着力を失わない性質を有していることを特徴としている。
【0010】
そして請求項7に記載する脆性材料の割断装置は、表面側の割断予定線上に溝の形成された脆性材料を支持する支持部材と、所要の光を照射する照射手段と、上記支持部材と照射手段とを相対移動させる移動手段とを備え、
上記移動手段により支持部材と照射手段とを相対移動させて、照射手段からの光を上記溝が形成された割断予定線に沿って照射し、上記溝から亀裂を伸展させて脆性材料を所定形状のチップに割断するようにした脆性材料の割断装置において、
上記支持部材は所要の光の照射により膨張する粘着シートを備え、該粘着シートの表面で上記脆性材料を接着支持し、
上記支持部材を支持するとともに上記光を透過させる透明支持板を設けて、該透明支持板を上記粘着シートにおける脆性材料の反対側に接着し、
上記照射手段を上記透明支持板側に設けるとともに、照射手段が透明支持板側から上記光を割断予定線に沿って照射することにより、当該光の照射された位置の粘着シ−トを局部的に膨張させ、上記溝から亀裂を伸展させて脆性材料を割断することを特徴としている。
【0011】
請求項8に記載する脆性材料の割断装置は、請求項7に記載の脆性材料の割断装置において、上記粘着シートは脆性材料側と透明支持板側で異なる性質の接着層が形成されており、少なくともいずれか一方の接着層は所要の光の照射により膨張する性質を有していることを特徴としている。
【0012】
請求項9に記載する脆性材料の割断装置は、請求項8に記載の脆性材料の割断装置において、上記支持部材からチップをピックアップするピックアップ手段を備え、
上記脆性材料側の接着層は第1の光の照射により接着力を失う性質を有し、
上記照射手段は第1の光を照射する第1照射手段を備え、第1照射手段は、透明支持板側から第1の光を所要のチップが接着された範囲に照射することにより、上記脆性材料側の接着層の接着力を失わせ、上記所要のチップをピックアップ手段によりピックアップ可能にすることを特徴としている。
【0013】
請求項10に記載する脆性材料の割断装置は、請求項9に記載の脆性材料の割断装置において、上記第1の光は赤外光であって、上記脆性材料側の接着層は赤外光の照射により加熱されて膨張するとともに接着力を失い、紫外光の照射により接着力を失わない性質を有することを特徴としている。
【0014】
請求項11に記載する脆性材料の割断装置は、請求項8ないし請求項10のいずれかに記載の脆性材料の割断装置において、上記透明支持板側の接着層は第2の光の照射により接着力を失う性質を有し、
上記照射手段は第2の光を照射する第2照射手段を備え、第2照射手段は、透明支持板側から第2の光を透明支持板と粘着シートとの接着範囲に照射することにより、上記透明支持板側の接着層の接着力を失わせ、透明支持板と粘着シートとを剥離することを特徴としている。
【0015】
請求項12に記載する脆性材料の割断装置は、請求項11に記載の脆性材料の割断装置において、上記第2の光は紫外光であって、上記透明支持板側の接着層は紫外光の照射により接着力を失い、赤外光の照射により接着力を失わない性質を有していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
上記請求項1および請求項7の脆性材料の割断方法および割断装置によれば、脆性材料を光の照射により膨張する粘着シートの表面に接着支持し、該粘着シートにおける脆性材料の反対側に上記光を透過させる透明支持板が接着されているため、上記光を透明支持板側から照射することができる。
その結果、光が透明支持板を透過して粘着シートに到達し、光の照射された部分の粘着シートが膨張すると、膨張により発生した押圧力が上記脆性材料に形成された溝に作用するようになり、当該溝から亀裂を伸展させて脆性材料を割断することができるようになる。
そして上記光を透明支持板側から照射することで、割断加工時に発生するカレットがレーザ光により加熱されることによって脆性材料に溶着するような事態は生じず、不良品の発生を抑えることが可能となる。
【0017】
上記請求項2および請求項8の脆性材料の割断方法および割断装置によれば、脆性材料の接着される接着層もしくは透明支持板の接着される接着層のうち、少なくともいずれか一方の接着層が膨張すれば、脆性材料を割断することが可能となる。
【0018】
上記請求項3および請求項9の脆性材料の割断方法および割断装置によれば、脆性材料側の接着層は第1の光によって接着力を失うので、当該第1の光を照射することで任意のチップだけをピックアップすることが可能となる。
【0019】
上記請求項4および請求項10の脆性材料の割断方法および割断装置によれば、脆性材料側の接着層は紫外光によっては接着力を失わないので、脆性材料を割断する際に紫外光を照射して異なる作業を行なうことができる。
【0020】
上記請求項5および請求項11の脆性材料の割断方法および割断装置によれば、脆性材料が割断された後に第2の光を照射して粘着シートより透明支持板を剥離させることにより、その後の各チップのピックアップを容易に行なうことが可能となる。
【0021】
上記請求項6および請求項12の脆性材料の割断方法および割断装置によれば、透明支持板側の接着層は赤外光によっては接着力を失わないので、脆性材料の割断に赤外光を用いることで、脆性材料の割断と透明支持板の剥離とをそれぞれ異なるタイミングで行なうことができ、確実に脆性材料の割断をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図示実施例について説明すると、図1、図2は本発明にかかる割断装置を構成する割断ステーション1およびピックアップステーション2を示しており、上記割断ステーション1は脆性材料としての半導体ウエハ3を割断し、ピックアップステーション2は割断によって得られた半導体チップ3aを一枚ずつ保持して後工程に搬送する装置となっている。
上記半導体ウエハ3は略円形を有し、上記割断ステーション1によって当該半導体ウエハ3を割断すると、略方形の半導体チップ3aが得られるようになっている。また割断される半導体ウエハ3の板厚は0.3mm以下であることが望ましい。
上記半導体ウエハ3は図1、図2に示される支持部材4によって支持され、上記割断ステーション1にて半導体ウエハ3が割断されると、割断ステーション1とピックアップステーション2との間に設けられた図示しない搬送手段によって、支持部材4ごと半導体チップ3aがピックアップステーション2に搬送されるようになっている。
【0023】
図1に示すように、上記支持部材4は、リング状の保持リング11と、該保持リング11の下面に接着された両面粘着シート12とから構成されている。
上記保持リング11の内径は半導体ウエハ3の外径よりも大径に形成され、半導体ウエハ3を両面粘着シート12の表面に接着支持すると、半導体ウエハ3の外周と保持リング11の内周との間に所定の間隔が形成されるようになっている。
なお、割断ステーション1では、上記支持部材4は後述する透明支持板13上に接着支持されるようになっている。
【0024】
図3は半導体ウエハ3や支持部材4に関する拡大断面図を示したものであり、ここでは上記両面粘着シート12について説明する。なお、図3では説明のため両面粘着シート12を厚く記載しているが、実際の厚さは0.1mm以下となっている。
上記両面粘着シート12は3層構造を有しており、中央に位置するテープ基材12aと、テープ基材12aの上面に積層されて保持リング11および半導体ウエハ3を接着する第1接着層12bと、テープ基材12aの下面に積層されて上記透明支持板13を接着する第2接着層12cとから構成されている。
上記テープ基材12aは例えばポリエステル、ポリイミド、ポリエチレン、ポリオレフィンなどの伸縮性を有する素材からなっている。
上記第1接着層12bは常温において接着力を備えるものの、加熱により膨張するとともに接着力を失う性質を備えており、加熱源となる波長が赤外線領域である赤外光の直接的な照射や、赤外光の照射によって加熱されたテープ基材12aからの伝熱により、第1接着層12bは加熱されて膨張し、接着力を失うようになっている。
上記第2接着層12cは波長が紫外線領域である紫外光が照射されると、硬化して接着力を失うとともに、赤外光を透過させる性質を備えている。
そして、上記第1接着層12bは上記紫外光に反応して接着力を失うことはなく、また上記第2接着層12cは赤外光に反応して接着力を失わないようになっている。なお上述した第1接着層12bおよび第2接着層12cには、従来公知の接着剤を使用することができる。
【0025】
上記割断ステーション1は、上記支持部材4を支持する透明支持板13と、該透明支持板13を保持する保持手段21と、半導体ウエハ3の表面に微小な溝を形成するスクライバ22と、透明支持板13の裏面側から第1の光としての赤外レーザ光を照射する第1レーザ光照射手段23と、透明支持板13の裏面側から第2の光としての紫外光を照射する紫外光照射手段24とを備えている。
透明支持板13は赤外光および紫外光を透過させる透明な材質からなっており、上記保持手段21によって水平に保持されるようになっている。また透明支持板13上に支持部材4が支持されると、透明支持板13と両面粘着シート12との接着範囲が下方に向けて完全に露出するようになっている。
上記スクライバ22は円盤状のカッタ22aと、該カッタ22aを移動させる移動手段22bとによって構成され、上記カッタ22aは上記移動手段22bに回転可能に設けられると共に、その外周部分にはエッジが形成されている。
上記カッタ22aを半導体ウエハ3の表面に押し当てながら回転させることで、図3(a)に示すように半導体ウエハ3の表面に溝3bが形成され、またこのカッタ22aを所要の割断予定線に沿って移動させることで、半導体ウエハ3の表面に格子状に溝3bが形成されるようになっている。
【0026】
上記第1レーザ光照射手段23は透明支持板13の下方に設けられ、赤外レーザ光を発振するレーザ発振器23aと、発振された赤外レーザ光を集光する集光レンズ23bと、レーザ発振器23aと集光レンズ23bとを一体的に水平方向に移動させる移動手段23cとを備えている。
上記レーザ発振器23aとしては遠赤外領域のレーザ光を発振するCOレーザや近赤外領域のレーザ光を発振するYAGレーザを使用することができ、YAGレーザを使用する場合には透明支持板13の材質をガラスとすることができる。
上記レーザ発振器23aが発振した赤外レーザ光は、集光レンズ23bによって上記半導体ウエハ3における溝3bの裏面側に位置する第1接着層12bに集光されて照射されるようになっている。(図3(b))
また照射された赤外レーザ光は上記透明支持板13、第2接着層12c、テープ基材12aを透過し、上記第1接着層12bまで到達すると、第1接着層12bおよびテープ基材12aに吸収されてこれらを加熱するようになっている。
これにより、赤外レーザ光が照射された部分の第1接着層12bが局部的に加熱されるようになり、赤外レーザ光の照射された部分の第1接着層12bは局部的に膨張するようになる。
【0027】
上記移動手段23cはレーザ発振器23aおよび集光レンズ23bを上記割断予定線に沿って移動させ、このとき上記スクライバ22のカッタ22aの所定距離後方を追従して移動させるようになっている。
このように、上記赤外レーザ光の照射される位置をスクライバ22によって形成された溝3bに沿って移動させることで、赤外レーザ光の照射された部分の第1接着層12bは上記溝3bが形成された位置で局部的に膨張するようになる。
そして第1接着層12bが膨張することにより、両面粘着シート12の表面側および裏面側に向けて押圧力が発生するが、両面粘着シート12の裏面側に接着された透明支持板13が変形を規制していることから、この押圧力により上記半導体ウエハ3側が盛り上がることになる。
その結果、この押圧力によって半導体ウエハ3の表面に形成された溝3bから亀裂が伸展し、該亀裂が半導体ウエハ3の裏面に到達すると、半導体ウエハ3が割断される。
なお、スクライバ22によって半導体ウエハ3の表面全体に割断予定線に沿って格子状に溝3bを形成し終えてから、第1レーザ光照射手段23によって赤外レーザ光の照射を行い、半導体ウエハ3を割断するようにしても良い。
【0028】
上記紫外光照射手段24は、透明支持板13の下方に設けられており、紫外光を発光する紫外光ランプ24aと、紫外光ランプ24aが発光した紫外光を透明支持板13側へ反射させる反射鏡24bと、紫外光ランプ24aと反射鏡24bとを移動させる移動手段24cとを備えている。
紫外光ランプ24aより照射される紫外光は直接または反射鏡24bに反射した後、透明支持板13を透過して両面粘着シート12の第2接着層12cに照射される。
また上記移動手段24cは上記紫外光ランプ24aおよび反射鏡24bを移動させ、第2接着層12cと透明支持板13との接着範囲の全体に紫外光が照射されるようになっている。
なお、紫外光照射手段24として、第2接着層12cと透明支持板13との接着範囲の全体を一度に照射するような構成のものを使用しても良い。その場合上記移動手段24cは不要となる。
【0029】
ピックアップステーション2は、支持部材4の保持リング11を保持する保持手段31と、割断された各半導体チップ3aを相互に離隔させるための離隔手段32と、半導体ウエハ3の裏面側から第1の光としての赤外レーザ光を照射する第2レーザ光照射手段33と、半導体チップ3aを吸着保持して後工程に搬送するピックアップ手段34とを備えている。
上記ピックアップステーション2には上記割断ステーション1の上記透明支持板13から剥離された支持部材4が搬送されるようになっており、上記保持手段31はこの支持部材4を水平に保持するようになっている。
上記離隔手段32は上記保持手段31を昇降させる昇降機構32aと、リング状の押圧部材32bとを備え、上記支持部材4がピックアップステーション2に搬送された際には、上記昇降機構32aは保持手段31を上方に位置させており、支持部材4の両面粘着シート12と上記押圧部材32bとが相互に接触しないようになっている。
上記押圧部材32bはリング状を有しており、上記半導体ウエハ3の外径より大径で、保持リング11の内径よりも小径に製造されている。また支持部材4が保持手段31によって保持されると、上記保持リング11の中心と押圧部材32bの中心が一致するようになっている。
そして、昇降機構32aにより保持手段31を下降させると、押圧部材32bが半導体ウエハ3と保持リング11との間に位置する両面粘着シート12に当接し、押圧部材32bよりも内周側の両面粘着シート12が上記保持リング11に対して相対的に上方に押圧されるようになる。
その結果、両面粘着シート12が四方に拡張して両面粘着シート12上の半導体チップ3aが相互に離隔し、各半導体チップ3aの間に隙間が形成されるようになっている。
このように半導体チップ3aを相互に離隔させることにより、半導体チップ3aのピックアップが可能となり、そのとき隣接する半導体チップ3a同士が接触して隣接する半導体チップ3aが剥離してしまうのを防止することができる。
【0030】
第2レーザ光照射手段33は上記第1レーザ光照射手段23と略同一の構成を有しているので詳細な説明を省略するが、この第2レーザ光照射手段33もYAGレーザまたはCOレーザによる赤外レーザ光を照射するようになっている。
第2レーザ光照射手段33の集光レンズ33bは、赤外レーザ光が1枚の半導体チップ3aと第1接着層12bとの接着範囲と略同一またはそれよりも狭い範囲で当該第1接着層12bに照射されるように集光する。
上記移動手段33Cは所要の半導体チップ3aの位置にレーザ発振器33aおよび集光レンズ33bを移動させるようになっており、特に集光レンズ33bが上記接着範囲よりも狭い範囲に赤外レーザ光を集光する場合、移動手段33bは当該接着範囲全体に赤外レーザ光が照射されるよう、レーザ発振器33aおよび集光レンズ33bを移動させるようになっている。
このようにして第2レーザ光照射手段33が所要の半導体チップ3aの接着範囲に赤外レーザ光を照射すると、当該部分の第1接着層12bが赤外レーザ光またはテープ基材12aからの伝熱によって加熱され、膨張すると共に接着力を失う。
その結果、当該半導体チップ3aは隣接する半導体チップ3aに対して浮き上がり、また当該部分の第1接着層12bの接着力が失われているため、上記ピックアップ手段34によって容易にピックアップすることができるようになる。
ピックアップ手段34は支持部材4の上方に設けられ、割断された半導体チップ3aの上面を吸着保持する吸着ヘッド34aと、吸着ヘッド34aを移動させる移動手段34bとを備えている。
吸着ヘッド34aは図示しない負圧発生手段によりその先端に設けられた吸引ノズル内に負圧を発生させて、半導体チップ3aを一枚ずつ吸着保持するようになっている。
そして移動手段34bは吸着ヘッド34aをピックアップすべき半導体チップ3aの上方に移動させると共に、吸着ヘッド34aに半導体チップ3aが保持されたら、当該半導体チップ3aを図示しない後工程に搬送するようになっている。
【0031】
以下、上記構成を有する割断ステーション1およびピックアップステーション2を用いた半導体チップ3aの製造方法について説明する。
最初に、割断ステーション1に支持部材4および半導体ウエハ3を供給する。
具体的には、予め上記保持手段21に透明支持板13を保持した状態で、当該透明支持板13の上面に両面粘着シート12を接着する。
次に、この両面粘着シート12の第1接着層12bに保持リング11を接着して上記支持部材4を得たら、該保持リング11の内側の第1接着層12bに半導体ウエハ3を接着する。
【0032】
次に割断ステーション1において、上記スクライバ22および第1レーザ光照射手段23を用いて半導体ウエハ3の割断を行う。
具体的には上記スクライバ22によって半導体ウエハ3の表面に割断予定線に沿って溝3bを形成し(図3(a))、この溝3bの裏面側から第1レーザ光照射手段23により赤外レーザ光を照射する。(図3(b))
半導体ウエハ3の溝3bの裏面側から赤外レーザ光を照射することにより、赤外レーザ光は透明支持板13、第2接着層12c、テープ基材12aを透過して第1接着層12bに照射されて加熱されるとともに、赤外レーザ光が照射されて加熱されたテープ基材12aからの伝熱によっても加熱される。
加熱により第1接着層12bは局部的に膨張し、この膨張による押圧力によって半導体ウエハ3は裏面側から押圧され、その結果上記溝3bから亀裂が伸展して半導体ウエハ3が割断される。
その後上記スクライバ22および第1レーザ光照射手段23を所定の割断予定線に沿って移動させることで、半導体ウエハ3が格子状に割断され、半導体チップ3aが得られることとなる。
【0033】
半導体ウエハ3が半導体チップ3aに割断されたら、支持部材4を透明支持板13から剥離して、当該支持部材4をピックアップステーション2へ搬送する。
具体的には、上記紫外光照射手段24が支持部材4の下方から透明支持板13と第2接着層12cとの接着範囲の全域に紫外光を照射し、第2接着層12cを硬化させて接着力を失わせ、透明支持板13から支持部材4を剥離することができるようにした後(図3(c))、図示しない搬送手段が支持部材4の保持リング11を吸着して上方へ移動させることにより剥離する。
そして割断ステーション1からピックアップステーション2に支持部材4を搬送する。
【0034】
そしてピックアップステーション2では最初に両面粘着シート12上の半導体チップ3aを相互に離隔させる。(図3(d))
まず支持部材4をピックアップステーション2の保持手段31によって保持する際、離隔手段32の昇降機構32aは保持手段31を上方に位置させており、このため支持部材4の両面粘着シート12と押圧部材32bとは相互に接触しないようになっている。
次に上記昇降機構32aは保持手段31を下降させて、支持部材4の両面粘着シート12と上記押圧部材32bとを接触させ、押圧部材32bの内周側に位置する両面粘着シート12が保持リング11に対して相対的に上方に押圧されるようにする。
その結果、保持リング11の内周側の両面粘着シート12が四方に拡張し、両面粘着シート12上で相互に密着していた半導体チップ3aが相互に離隔する。
【0035】
次にピックアップステーション2では所要の半導体チップ3aをピックアップし、当該半導体チップ3を図示しない後工程へと搬送する(図3(e))
具体的には、第2レーザ光照射手段33が作動してピックアップされる所要の半導体チップ3aの裏面側から赤外レーザ光を照射し、ピックアップ手段34が当該半導体チップ3aをピックアップして、図示しない後工程へと搬送する。
このとき、第2レーザ光照射手段33が赤外レーザ光を照射することにより、当該所要の半導体チップ3aとの接着範囲における第1接着層12bが膨張して接着力を失い、その結果当該半導体チップ3aは周囲の半導体チップ3aに対して上方に浮き上がるようになる。
その状態から上記ピックアップ手段34が当該半導体チップ3aを上方から吸着保持し、吸着保持した半導体チップ3aを上方に移動させて半導体チップ3aを第1接着層12bより剥離させて、当該半導体チップ3aを後工程へと搬送する。
【0036】
このように、本実施例の割断装置によれば、半導体ウエハ3を割断する際に上方から赤外レーザ光を照射しないため、半導体ウエハ3の割断によって発生するカレットが半導体ウエハ3の表面に付着しても、当該カレットが半導体ウエハ3に溶着してしまうのを防止することができる。
また溝3bから亀裂を伸展させて半導体ウエハ3を割断するので、レーザ光や水流等を用いて半導体ウエハを切断する際に必要な切り代を設定する必要がなく、半導体ウエハ3から効率的に半導体チップ3aを得ることができる。
【0037】
次に、本発明にかかる第2の実施例について説明する。第2の実施例においても上記第1の実施例と同様の割断装置を用いることができ、以下に述べない事項については上記第1実施例と同様の構成を有するとともに、同様の動作が行われるものとする。
本実施例では、上記支持部材4における両面粘着シート12の第1接着層12bは紫外光の照射により接着力を失う性質を有し、また第2接着層12cは赤外光の照射により膨張すると共に接着力を失う性質を有している。
また上記割断ステーション1には、上記第1レーザ光照射手段23と、紫外光照射手段24に代えて赤外光照射手段とが設けられ、当該赤外光照射手段は赤外光を発光する赤外光ランプと、赤外光を半導体ウエハ3に向けて反射させる反射鏡とを備えている。
そしてピックアップステーション2における第2レーザ光照射手段33は、赤外レーザ光に代えて紫外レーザ光を照射するようになっている。
【0038】
そしてこの第2の実施例では、割断ステーション1において半導体ウエハ3の割断をするため、第1レーザ光照射手段23によって赤外レーザ光を所要の割断予定線に沿って照射するようになっている。
これにより当該第2接着層12cにおける赤外レーザ光の照射された部分が局部的に膨張し、第2接着層12cの膨張により発生する押圧力はテープ基材12aおよび第1接着層12bを介して半導体ウエハ3に作用し、半導体ウエハ3表面の溝から亀裂を伸展させて割断を行なうようになっている。
次に割断ステーション1において透明支持板13から支持部材4を剥離させる際には、赤外光照射手段によって透明支持板13と第2接着層12cとの接着範囲全域に赤外光を照射して第2接着層の接着力を失わせるようにする。
そしてピックアップステーション2において、上記離隔手段によって予め相互に離隔した半導体チップ3aをピックアップする際には、第2レーザ光照射手段33が所要の半導体チップ3aの裏面に紫外レーザ光を照射することで、当該半導体チップ3aを接着する第1接着層12bの接着力を失わせ、上記ピックアップ手段34によってピックアップする。
このように、両面粘着シート12の透明支持板13側に形成された第2接着層12cを局部的に膨張させることによっても、半導体ウエハ3を割断することができ、また上記第1の実施例と同様の効果を得ることができる。
【0039】
なお上記第1実施例において、両面粘着シート12の第1接着層12bが紫外光によって膨張するとともに接着力を失う性質を有し、第2接着層12cが加熱によって接着力を失う性質を有していても良い。
また第1実施例のピックアップステーション2の第2レーザ光照射手段33に代えて、所要のチップ3aに直接接触して当該チップ3aを介して当該チップ3aの接着範囲を加熱したり、両面粘着シート12における所要のチップ3aの接着範囲を裏側から直接接触して加熱するヒータを用いても良い。
さらに、第2実施例の割断ステーションの第1レーザ光照射手段に代えて、透明支持板を加熱して、その伝熱により第2接着層を加熱させて当該部分を膨張させるヒータを用いても良い。
そして、上記第1、第2実施例において、上記スクライバ22、第1、第2レーザ光照射手段23、33、紫外光照射手段24、ピックアップ手段34、赤外光照射手段は、それぞれ移動手段によって移動するようになっているが、上記保持手段21、31を移動させて、これらと支持部材4とを相対移動させても良い。
さらに、上記両面粘着シート12については、上記テープ基材12aの積層されていないものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施例にかかる割断装置を構成する割断ステーションを示した側面図。
【図2】上記割断装置を構成するピックアップステーションを示した側面図。
【図3】支持部材および半導体ウエハについての拡大断面図を示し、(a)は半導体ウエハに溝を形成している状態を、(b)は赤外レーザ光の照射により半導体ウエハを割断している状態を、(c)は紫外光を照射して第2接着層の接着力を失わせている状態を、(d)は両面粘着シートを拡張して各半導体チップを離隔させた状態を、(e)は所要の半導体チップの接着範囲の接着力を失わせてピックアップしている状態を示している。
【符号の説明】
【0041】
1 割断ステーション 2 ピックアップステーション
3 半導体ウエハ 3a 半導体チップ
12 両面粘着シート 12a テープ基材
12b 第1接着層 12c 第2接着層
13 透明支持板 22 スクライバ
23 第1レーザ光照射手段 24 紫外光照射手段
32 離隔手段 33 第2レーザ光照射手段
34 ピックアップ手段
【出願人】 【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
【出願日】 平成18年11月29日(2006.11.29)
【代理人】 【識別番号】100082108
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真一郎


【公開番号】 特開2008−132710(P2008−132710A)
【公開日】 平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願番号】 特願2006−321679(P2006−321679)