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【発明の名称】 脆性材料の割断方法とその装置
【発明者】 【氏名】小関 良治

【要約】 【課題】

【解決手段】第1加工ヘッド7Aを第1の割断予定線101に沿って移動させて素材ガラス2の第1の辺201を切り離し、この第1加工ヘッド7Aよりも少し遅れて第2加工ヘッド7Bを第2の割断予定線102に沿って移動させて第2の辺202を切り離す。つまり、第1加工ヘッド7Aと第2加工ヘッド7Bとによって素材ガラス2の隣接する辺201、202を少しタイミングをずらして切り離す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脆性材料を支持する加工テーブルと、該加工テーブルに対してX方向に進退動自在に設けられた第1可動部材と、上記加工テーブルに対してX方向に進退動自在に設けられた第2可動部材と、上記第1可動部材に上記X方向と直交するY方向に進退動自在に設けられた第1加工ヘッドと、上記第2可動部材に上記X方向と直交するY方向に進退動自在に設けられた第2加工ヘッドとを備え、上記加工テーブル上の脆性材料に対して各加工ヘッドをX―Y方向に移動させて脆性材料の4辺を切り離す脆性材料の割断方法であって、
上記第1加工ヘッドにより脆性材料の第1の辺をX方向に割断し、該第1加工ヘッドにより脆性材料の第1の辺を割断している最中に、上記第2加工ヘッドにより、第1加工ヘッドによる割断始端部と隣接する第2の辺をY方向に割断するようにしたことを特徴とする脆性材料の割断方法。
【請求項2】
上記第1加工ヘッドによる第1の辺の割断が終了したら、該第1加工ヘッドは、該第1加工ヘッドによる割断終端部と隣接する第3の辺をY方向に割断し、また上記第2加工ヘッドによる第2の辺の割断が終了したら、該第2加工ヘッドは、上記第1加工ヘッドによる第3の辺を割断している最中に、該第2加工ヘッドによる割断終端部と隣接する第4の辺をX方向に割断し、かつ該第2加工ヘッドは、上記第1加工ヘッドによる第3の辺の割断が終了してから、第4の辺の割断を終了することを特徴とする請求項1に記載の脆性材料の割断方法。
【請求項3】
上記各加工ヘッドは、脆性材料の割断予定線に沿って微少な溝を形成する溝形成機構と、該溝形成機構によって形成された溝から亀裂を伸展させて該溝を割断させる亀裂伸展機構とを備えており、各加工ヘッドにより脆性材料を割断する際には、上記溝形成機構により割断予定線に沿って微少な溝を形成するとともに、その溝形成に追従して上記亀裂伸展機構により溝から亀裂を伸展させて割断させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の脆性材料の割断方法。
【請求項4】
脆性材料を支持する加工テーブルと、該加工テーブルに対してX方向に進退動自在に設けられた第1可動部材と、上記加工テーブルに対してX方向に進退動自在に設けられた第2可動部材と、上記第1可動部材に上記X方向と直交Y方向に進退動自在に設けられた第1加工ヘッドと、上記第2可動部材に上記Y方向に進退動自在に設けられた第2加工ヘッドとを備え、上記各加工ヘッドを脆性材料に対してX−Y方向に相対移動させながら脆性材料を割断するようにした脆性材料の割断装置であって、
上記各加工ヘッドを支持する支持部材に、該加工ヘッドを回転させる回転手段を設けるとともに、該加工ヘッドに、脆性材料の割断予定線に沿って微少な溝を形成する溝形成機構と、該溝形成機構によって形成された溝から亀裂を伸展させて割断させる亀裂伸展機構とを設け、上記各加工ヘッドにより脆性材料を割断する際には、上記回転手段により上記各加工ヘッドを、進行方向に向けて上記溝形成機構が上記亀裂伸展機構に先行するように回転させることを特徴とする脆性材料の割断装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は脆性材料の割断方法とその装置に関し、より詳しくは、例えばガラス板の4辺を切り離す場合に好適な脆性材料の割断方法とその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、板状の被加工物を加工するレーザ加工装置は周知であり、さらに複数の加工ヘッドを備えたレーザ加工装置も知られている(例えば特許文献1)。
特許文献1の装置の各加工ヘッドは、脆性材料の割断予定線(スクライブライン)の始端部に切れ目を形成する機構と、その切れ目から垂直方向のクラックを連続して形成するためのレーザ照射手段とを備えている。
そして、特許文献1の装置においては、上記複数の加工ヘッドを同一方向に平行移動させることにより、脆性材料に対してスクライブラインに沿って連続するクラックを形成するようにしている。
【特許文献1】特開2004−42423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記特許文献1の装置においては、板状の被加工物の4辺を切断加工する場合においては、先ず平行する2辺を割断したのちに、先に割断した2辺と直交する方向の2辺を割断することになる。そのため、最初の平行する2辺を割断してから次の直交方向の2辺を割断するために2台の加工ヘッドを所要位置まで移動させる必要があり、その移動時間の分だけ加工時間が長くなるという欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した事情に鑑み、請求項1に記載した本発明は、脆性材料を支持する加工テーブルと、該加工テーブルに対してX方向に進退動自在に設けられた第1可動部材と、上記加工テーブルに対してX方向に進退動自在に設けられた第2可動部材と、上記第1可動部材に上記X方向と直交するY方向に進退動自在に設けられた第1加工ヘッドと、上記第2可動部材に上記X方向と直交するY方向に進退動自在に設けられた第2加工ヘッドとを備え、上記加工テーブル上の脆性材料に対して各加工ヘッドをX―Y方向に移動させて脆性材料の4辺を切り離す脆性材料の割断方法であって、
上記第1加工ヘッドにより脆性材料の第1の辺をX方向に割断し、該第1加工ヘッドにより脆性材料の第1の辺を割断している最中に、上記第2加工ヘッドにより、第1加工ヘッドによる割断始端部と隣接する第2の辺をY方向に割断するようにしたものである。
また、請求項2に記載した発明は、上記請求項1の発明を前提として、上記第1加工ヘッドによる第1の辺の割断が終了したら、該第1加工ヘッドは、該第1加工ヘッドによる割断終端部と隣接する第3の辺をY方向に割断し、また上記第2加工ヘッドによる第2の辺の割断が終了したら、該第2加工ヘッドは、上記第1加工ヘッドによる第3の辺を割断している最中に、該第2加工ヘッドによる割断終端部と隣接する第4の辺をX方向に割断し、かつ該第2加工ヘッドは、上記第1加工ヘッドによる第3の辺の割断が終了してから、第4の辺の割断を終了するようにしたものである。
また、請求項3に記載した発明は、上記請求項1又は請求項2の発明を前提として、上記各加工ヘッドは、脆性材料の割断予定線に沿って微少な溝を形成する溝形成機構と、該溝形成機構によって形成された溝から亀裂を伸展させて該溝を割断させる亀裂伸展機構とを備えており、各加工ヘッドにより脆性材料を割断する際には、上記溝形成機構により割断予定線に沿って微少な溝を形成するとともに、その溝形成に追従して上記亀裂伸展機構により溝から亀裂を伸展させて割断させるものである。
さらに、請求項4に記載した発明は、脆性材料を支持する加工テーブルと、該加工テーブルに対してX方向に進退動自在に設けられた第1可動部材と、上記加工テーブルに対してX方向に進退動自在に設けられた第2可動部材と、上記第1可動部材に上記X方向と直交Y方向に進退動自在に設けられた第1加工ヘッドと、上記第2可動部材に上記Y方向に進退動自在に設けられた第2加工ヘッドとを備え、上記各加工ヘッドを脆性材料に対してX−Y方向に相対移動させながら脆性材料を割断するようにした脆性材料の割断装置であって、
上記各加工ヘッドを支持する支持部材に、該加工ヘッドを回転させる回転手段を設けるとともに、該加工ヘッドに、脆性材料の割断予定線に沿って微少な溝を形成する溝形成機構と、該溝形成機構によって形成された溝から亀裂を伸展させて割断させる亀裂伸展機構とを設け、上記各加工ヘッドにより脆性材料を割断する際には、上記回転手段により上記各加工ヘッドを、進行方向に向けて上記溝形成機構が上記亀裂伸展機構に先行するように回転させるようにしたものである。
【発明の効果】
【0005】
上記請求項1、請求項2及び請求項4に記載した構成によれば、従来と比較して脆性材料を加工するための加工時間を短縮することができる。
また、上記請求項3に記載した構成によれば、脆性材料の割断予定線に沿って溝を形成してから割断しているので、確実に脆性材料を割断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、図1において1はレーザ割断装置である。後に詳述するが、このレーザ割断装置1は、連続する微小な溝を形成する溝形成機構と、溝に沿ってレーザ光を照射して溝から亀裂を伸展させる亀裂伸展機構を備えており、これらの機構によって板状の素材ガラス2の4辺を割断して切り離すことで所定寸法の方形のガラス基板2’を製作するようになっている。
レーザ割断装置1は、水平で平坦な載置面3Aを有し、予め方形に形成された素材ガラス2を上記載置面3A上に支持する加工テーブル3と、この加工テーブル3の一側の隣接位置に配置されて素材ガラス2を支持する素材テーブル4と、上記加工テーブル3の他側の隣接位置に配置されて加工テーブル3から搬出される製品としてのガラス基板2’を支持する製品テーブル5とを備えている。
【0007】
上記加工テーブル3の載置面3Aには図示しない多数の孔を形成してあり、所要時にこれら多数の孔からエアを噴出することで、載置面3A上に素材ガラス2を浮上させることができる。他方、載置面3Aに素材ガラス2が載置されてから上記多数の孔に負圧を作用させることで、載置面3Aに素材ガラス2を吸着保持できるようになっている。上記素材テーブル4および製品テーブル5の載置面にも上記加工テーブル3と同様に多数のエアを給排する孔を設けてあり、所要時に素材ガラス2あるいはガラス基板2’を載置面に吸着し、或いは載置面上に浮上させるようにしている。なお、素材ガラス2や製品ガラス2’の搬送面となる各テーブル間にも所要時にエアを噴出する孔が設けられている。
【0008】
また、レーザ割断装置1は、レーザ光Lを発振するレーザ発振器6と、後述する移動機構によって水平面の直交するXY方向にそれぞれ独立して移動されてレーザ光Lを加工テーブル3上の素材ガラス2に向けて照射する第1加工ヘッド7Aおよび第2加工ヘッド7Bと、レーザ発振器6から発振されたレーザ光Lを両加工ヘッド7A、7Bへ分割して案内する導光手段11とを備えており、これらが亀裂伸展機構を構成している。
導光手段11は、レーザ発振器6の近傍に設置され、レーザ発振器6からのレーザ光Lを出力が1/2になった2本のレーザ光に分割するビームスプリッタ11Sと、ビームスプリッタ11Sにより分割された各レーザ光の光路上に設置され、レーザ光の通過をON/OFFするビームシャッタ11A、11Bと、各レーザ光を各加工ヘッド7A、7Bまで案内する複数の反射ミラーとを備えており、ビームシャッタ11A、11Bは後述する制御装置13によって作動を制御されるようになっている。
また、レーザ割断装置1は、素材ガラス2や割断後のガラス基板2’を吸着保持可能な複数の吸着パッド12A、12Bを有して上記素材テーブル4と加工テーブル3と製品テーブル5とにわたってX方向に移動される枠状の搬送手段12と、上記搬送手段12、レーザ発振器6および両加工ヘッド7A、7Bの作動を制御する制御装置13とを備えている。そして、レーザ割断装置1の第1加工ヘッド7Aの図1における下方への移動端、図1における右方への移動端、加工テーブル3の載置面3Aを基準としたXYZ座標系が設定され、制御装置13に登録された加工プログラムに従って各部を制御するようになっている。
【0009】
レーザ割断装置1は、図3および図4に示すように、上記第1加工ヘッド7Aおよび第2加工ヘッド7Bを回転可能に構成しており、これら各加工ヘッド7A、7Bにそれぞれメカニカルカッタ14Aを有する溝形成機構14およびシリンドリカルレンズ24を設けている。
図1ないし図2に示すように、加工テーブル3上にはY方向と平行な一対の可動ガイドレール16、16’を設けてあり、それら各可動ガイドレール16、16’に上記各加工ヘッド7A、7BをY方向に移動可能に取り付けている。各加工ヘッド7A、7Bは第1移動機構17、17によって可動ガイドレール16、16’に沿ってY方向に移動されるようになっている。
また、各可動ガイドレール16、16’の両端部は、加工テーブル3を挟んで配置された一対のX方向ガイドレール18、18’に係合されており、上記両加工ヘッド7A、7Bを取り付けた各可動ガイドレール16、16’は図示しない第2移動機構によってX方向ガイドレール18、18’に沿ってX方向に移動されるようになっている。上記第1移動機構17および上記第2移動機構の作動は制御装置13によって作動されるようになっている。制御装置13は、第1移動機構17および第2移動機構の作動を制御して、各加工ヘッド7A、7Bを水平面においてXY方向に移動させることができるようになっている。
後に詳述するが、各加工ヘッド7A、7Bを独立して少しタイミングをずらしてから同時に作動させることにより、素材ガラス2の4辺201〜204を割断予定線101〜104に沿って切り離してガラス基板2’を製作するようにしている。
【0010】
図3および図4に示すように、第1加工ヘッド7Aは、可動ガイドレール16にY方向に移動可能に係合されたブラケット21と、このブラケット21に回転自在に支持された環状部材22と、この環状部材22に上端部を連結されて、かつ軸心が鉛直方向に維持された角筒部材23と、この角筒部材23の内部の下方に取り付けられたシリンドリカルレンズ24と、環状部材22の上方に傾斜させた状態でブラケット21に連結された反射鏡25を備えている。
また、第1加工ヘッド7Aのブラケット21には上記反射鏡25の手前となるレーザ光Lの光路上にビームホモジナイザ26を固定して設けている。レーザ発振器6から発振されたレーザ光Lが上記導光手段11を経てビームホモジナイザ26を透過することで、該レーザ光Lの強度分布がトップハット状に形成され、かつレーザ光Lに約5度の拡がり角度が付与されるようになっている。
【0011】
そして、ビームホモジナイザ26を透過したレーザ光Lは反射鏡25によって鉛直下方に向けて反射されてからシリンドリカルレンズ24を通過した後に、素材ガラス2に照射されるようになっている。図5に示すように、レーザ光Lはシリンドリカルレンズ24を透過することで、進行方向(加工方向)において細長い木の葉状の断面形状に形成されるようになっている。レーザ光Lをこのような断面形状にして素材ガラス2に照射することで、断面が円形のレーザ光Lを素材ガラス2に照射して加工する場合に比較して、加工速度を速くすることができるようになっている。
上記環状部材22はブラケット21の上部に設けられたアクチュエータ27により上記環状部材22の中心軸を回転中心として回転するようになっており、このアクチュエータ27は上記制御装置13によって作動を制御されるようになっている。なお、反射鏡25により鉛直方向に反射されたレーザ光Lの光軸は上記環状部材22の回転中心に一致しており、制御装置13によって所要時にアクチュエータ27が作動されると、レーザ光Lの光軸は移動することなく上記環状部材22と角筒部材23が所要角度回転されるようになっている。
【0012】
上記角筒部材23の外側面には鉛直方向のブラケット28を介して上記溝形成機構14を昇降可能に取り付けるとともに、この角筒部材23の側面にクリーニング手段31を取り付けている。クリーニング手段31は、レーザ光Lに向けてエアを水平方向に噴出させるブローノズル32と、大気を吸引することでカレット(加工屑)を吸引して回収する吸引機構33とを備えており、それらはレーザ光Lの光路を挟んで対向位置に配置されている。素材ガラス2に対して各加工ヘッド7Aにより割断加工を施す際には、制御装置13によってクリーニング手段31が作動されるようになっており、このクリーニング手段31によって割断加工に伴って生じるカレットを吸引して回収するようになっている。
このように、角筒部材23の外側面の3面に上記ブローノズル32、メカニカルカッタ14Aおよび吸引機構33を順次隣り合わせて配置している。
上記アクチュエータ27により第1加工ヘッド7Aの角筒部材23を所要角度だけ回転させることで、メカニカルカッタ14Aとブローノズル32および吸引機構33を水平面において回転させることができる。
【0013】
上記ブラケット28を介して昇降機構34を角筒部材23に連結してあり、この昇降機構34によって上記溝形成機構14のメカニカルカッタ14Aを昇降させるようになっている。上記昇降機構34は、上記制御装置13によって作動を制御されるようになっている。
制御装置13からの指令によって昇降機構34がメカニカルカッタ14Aを下降端まで移動させると、メカニカルカッタ14Aの下端が加工テーブル3上の素材ガラス2の表面2Aに当接する高さに位置されるようになっている。この状態において第1加工ヘッド7Aが上記第1移動機構17あるいは第2移動機構によって移動されると、メカニカルカッタ14Aが転動することで素材ガラス2の表面2Aに連続する微小な溝M1が形成されるようになっている(図5参照)。
また、制御装置13からの指令によって昇降機構34がメカニカルカッタ14Aを上昇端まで移動させると、メカニカルカッタ14Aの下端は素材ガラス2から離隔するようになっている。この状態では、メカニカルカッタ14Aによって素材ガラス2に溝を形成できないようになっている。
【0014】
図5に略図で示すように、第1加工ヘッド7Aを素材ガラス2の割断予定線101に沿って移動させることにより、先行するメカニカルカッタ14Aによって素材ガラス2の表面2Aの割断予定線101上に微小な連続する溝M1を形成し、メカニカルカッタ14Aに追従してレーザ光Lを溝M1の箇所に照射するようにしている。これにより、表面2Aの溝M1から裏面2Bまで亀裂が到達することで、割断予定線101のとおりに直線状に素材ガラス2を割断するようになっている。
上記メカニカルカッタ14Aによって素材ガラス2の表面に溝M1を形成し、かつ溝M1にレーザ光Lを照射することに伴って、溝M1を形成して割断した割断加工部分から糸状のカレット(加工屑)が生じる。このように割断加工に伴って発生するカレットは、上記クリーニング手段31によって吸引回収されるようになっている。
【0015】
以上のように構成したレーザ割断装置1によって加工テーブル3上の素材ガラス2の4辺201〜204を切り離すわけであるが、後に詳述するように、第1加工ヘッド7Aによって素材ガラス2の隣り合う直交方向の第1の辺201と第3の辺203とを順次切り離すとともに、第2加工ヘッド7Bによって素材ガラス2における隣り合う直交方向の第2の辺202と第4の辺204を順次切り離すようにしている(図1、図2参照)。
すなわち、上記レーザ割断装置1による素材ガラス2の割断加工工程の詳細は次のとおりである。
先ず、図1において、素材テーブル4上に長方形をした1枚の素材ガラス2が所定位置に供給されると、素材テーブル4上まで搬送手段12が移動されて、該搬送手段12におけるX方向の一端側の吸着パッド12Aによって素材ガラス2の表面における加工テーブル3側の部分が吸着保持される。
この後、素材テーブル4、加工テーブル3の載置面3A及び両テーブル間に上述した複数の孔からエアが噴出され、素材テーブル4上の素材ガラス2がエアによって浮上される。その状態において、該素材ガラス2を保持した状態の搬送手段12がX方向に移動されることで、搬送手段12に保持された素材ガラス2が加工テーブル3上の所定位置に搬送される。このあと、素材テーブル4と加工テーブル3の載置面3Aおよび両テーブル間のエア噴出が停止されて搬送手段12による素材ガラス2の保持状態は解放されるとともに、加工テーブル3の載置面3Aの孔に負圧が導入されるので、その負圧によって載置面3Aに素材ガラス2が吸着保持される。
【0016】
制御装置13は、上記第1移動機構17と第2移動機構を作動させて第1加工ヘッド7Aとそのメカニカルカッタ14Aを、素材ガラス2の第1の辺201と平行な第1割断予定線101の始端部101aの延長線上に位置させるとともに、昇降機構34によりメカニカルカッタ14Aを下降端まで下降させる(図2)。
この状態では、第1加工ヘッド7Aのメカニカルカッタ14Aは、該第1加工ヘッド7Aが進行方向に移動される際における、進行方向の先行位置に位置している。つまり、第1加工ヘッド7Aが移動されると、メカニカルカッタ14Aが先行して、それにレーザ光Lが追従するようになっている。
【0017】
この状態において制御装置13は、ビームスプリッタ11A、11BをOFFにした状態でレーザ発振器6を作動させてレーザ光Lを発振させておくとともに、上記クリーニング手段31を作動させる。そして、制御装置13は、先ず第2移動機構を介して第1加工ヘッド7Aを割断予定線101に向けて移動させてから、その割断予定線101に沿って所定速度で移動させる。
第1加工ヘッド7Aが移動されることに伴って、第1加工ヘッド7Aのメカニカルカッタ14AがX方向の割断予定線101の始端部101aに当接し、そこから割断予定線101上を終端部101bに向けて転動する。これに伴い、素材ガラス2の表面の割断予定線101に始端部101aから徐々に微小な溝M1が形成され始める。制御装置13はレーザ光Lの照射位置が素材ガラス2に差し掛かった時点でビームシャッタ11AをONさせることによりレーザ光Lが上記溝M1に対して照射される。
これにより、割断予定線101の溝M1の始端部101aから亀裂が伸展して、第1加工ヘッド7Aの移動に伴って始端部101aの箇所から終端部101bに向けて徐々に素材ガラス2が割断予定線101のとおりに割断されていく。
【0018】
上記第1加工ヘッド7Aによる割断予定線101の割断が開始されてから少し遅れて、つまり、第1加工ヘッド7Aによる割断加工の最中に、制御装置13は第2加工ヘッド7Bとそのメカニカルカッタ14Aを、素材ガラス2における第2の辺202と平行な第2割断予定線102の始端部102aの延長線上に位置させるとともに、昇降機構34により第2加工ヘッド7Bのメカニカルカッタ14Aを下降端まで下降させる(図6(a)参照)。
このように、第1加工ヘッド7AがX方向に移動してから少し時間をずらして第2加工ヘッド7Bが上述した位置に移動されるので、両加工ヘッド7A、7Bとそれらを設けた両可動ガイドレール16、16’が当接しないようになっている。
この状態では、第2加工ヘッド7Bのメカニカルカッタ14Aは、進行方向における先行位置に位置している。つまり、第2加工ヘッド7BがY方向に移動されると、メカニカルカッタ14Aが先行して、それにレーザ光Lが追従するようになっている。
【0019】
このように、上記第1加工ヘッド7Aによる素材ガラス2の割断加工の最中に、制御装置13は第2加工ヘッド7Bを第1移動機構17を介してY方向の割断予定線102に沿って所定速度で移動させるとともに、上記クリーニング手段31を作動させる(図6(a))。
第2加工ヘッド7Bが移動されると、そのメカニカルカッタ14Aが割断予定線102の始端部102aに当接した後、そこから割断予定線102上を転動することで、徐々に始端部102から微小な溝M1が形成される。また、
制御装置13は第2加工ヘッド7Bのレーザ光Lの照射位置が素材ガラス2に差し掛かると、ビームシャッター11BをONさせてレーザ光Lを通過させる。これにより導光手段11を介して第2加工ヘッド7Bにもレーザ光Lが導かれるので、割断予定線102の溝M1が形成された箇所にレーザ光Lが照射される。
これにより、割断予定線102の始端部102aの溝M1から亀裂が伸展して、第2加工ヘッド7BのY方向の移動に伴って始端部102aの箇所から終端部102bに向けて素材ガラス2が割断予定線102のとおりに徐々に割断されていく(図6(b))。
一方、第2加工ヘッド7Bよりも先に割断加工を行っている第1加工ヘッド7Aが割断予定線101の終端部101bを過ぎる位置まで移動されると、制御装置13によって第2移動機構による第1加工ヘッド7AのX方向の移動が停止されるとともに、ビームシャッタ11AがOFFされて第1加工ヘッド7Aへのレーザ光Lの導光が阻止される。この時点において、第1の辺201と平行なX方向の割断予定線101のとおりに素材ガラス2が割断され、それによって素材ガラス2の第1の辺201が切り離される(図6(b))。
【0020】
他方、この時点では、上記第1加工ヘッド7Aの移動よりも少し遅れて移動している第2加工ヘッド7Aは、割断予定線102に沿ってその中央部付近を移動している。つまり、第2加工ヘッド7Bによって割断予定線102の中央部付近まで素材ガラス2が割断されている状態である。
次に、制御装置13は、第1加工ヘッド7Aの昇降機構34によりメカニカルカッタ14Aを上昇させてからアクチュエータ27を介して第1加工ヘッド7Aを時計方向に90度回転させるとともに、制御装置13は、第1移動機構17と第2移動機構とによって第1加工ヘッド7Aを所要量だけXY方向に移動させる。その後、制御装置13は、昇降機構34によりメカニカルカッタ14Aを下降端に位置させる。これにより、第3の辺203に沿ったY方向の第3の割断予定線103の始端部103の延長線上にメカニカルカッタ14Aが位置する(図6(c))。
この状態では、第1加工ヘッド7Aのメカニカルカッタ14Aがレーザ光Lの照射位置よりも進行方向の先行位置に位置した状態となっている。そして、この後に制御装置13は、第1移動機構17を介して第1加工ヘッド7Aを第3の割断予定線103に向けて移動させるとともに、ビームシャッタ11AをONさせてレーザ光Lを通過させる(図6(c))。
【0021】
他方、この時点では、第2加工ヘッド7Bは割断予定線102の終端部102bを通過した位置まで移動しており、この時点で制御装置13は第2加工ヘッド7Bの移動を停止させるとともに、ビームシャッタ11BをOFFさせてレーザ光Lの通過を阻止する(図6(c))。その後、制御装置13は、昇降機構34によりメカニカルカッタ14Aを上昇させてからアクチュエータ27を介して第2加工ヘッド7Bを反時計方向に90度回転させるとともに、第1移動機構17と第2移動機構を介して第2加工ヘッド7Bを所要量だけ移動させ、その後、昇降機構34によりメカニカルカッタ14Aを下降端に位置させる。これにより、第2加工ヘッド7Bのメカニカルカッタ14Aを、素材ガラス2の第4の辺204と平行な第4割断予定線104の始端部104aの延長線上に位置させる(図6(d))。
この状態では、第2加工ヘッド7Bのメカニカルカッタ14Aは、進行方向の先行位置に位置している。この後、制御装置13は、第2加工ヘッド7Aを第2移動機構を介して割断予定線104に向けて移動させてからその割断予定線104に沿って所定速度で移動させるとともに、ビームシャッタ11BをONさせてレーザ光Lを照射させる。
【0022】
他方、この時点においては、第1加工ヘッド7Aは第3割断予定線103の中央部付近まで移動されている。つまり、第3割断予定線103は、始端部103aから中央部の位置まで割断が進行している。
この第1加工ヘッド7Aによる第3割断予定線103の割断加工の最中に、第2加工ヘッド7Bは上述したように移動されているので、第2加工ヘッド7Bのメカニカルカッタ14AがX方向の割断予定線104の始端部104aに当接してから割断予定線104上を終端部104bに向けて転動する。
これに伴い、素材ガラス2の表面の割断予定線104に始端部104aから徐々に微小な溝M1が形成されるとともに、メカニカルカッタ14Aに追従するレーザ光Lが上記溝M1に対して照射される。
【0023】
これにより、割断予定線104の溝M1の始端部104aから徐々に亀裂が伸展して、この第2加工ヘッド7Bが第4割断予定線104の中央部を経過した位置まで移動した時点において、他方の第1加工ヘッド7Aは、第3割断予定線103の終端部103bを過ぎた位置まで移動している(図6(e))。
このように第1加工ヘッド7Aが割断予定線103の全域を移動したことに伴って、割断予定線103に溝M1が形成されてからその溝M1にレーザ光Lが照射されて、割断予定線103のとおりに素材ガラス2が割断されて、第3の辺203が切り離される(図6(e))。
この後、制御装置13は、ビームシャッタ11AをOFFさせてレーザ光Lの通過を阻止するとともに、第1移動機構17による第1加工ヘッド7Aの移動を停止させてから第1移動機構17と第2移動機構とを介して第1加工ヘッド7Aを加工テーブル3上から少し離隔した位置に停止させる(図6(e)、図6(f))。
これにより、可動ガイドレール16とそれに設けた第1加工ヘッド7Aが加工テーブル3から外れた位置に停止したことになる。また、制御装置13はこの直後に第1加工ヘッド7Aのクリーニング手段31の作動も停止させる。
【0024】
他方、上記第1加工ヘッド7Aが割断予定線103の終端部103bを過ぎた時点では、第2加工ヘッド7Aは、第4割断予定線104の中央部を過ぎた位置を移動しており、その後、第2加工ヘッド7Bが第4割断予定線104の終端部104bを過ぎると、制御装置13は第2加工ヘッド7Bの移動を停止させる(図6(f))。また、制御装置13は、レーザ発振器6の作動を停止させる。この時点では、既に第1加工ヘッド7Aとそれを設けた可動ガイドレール16は、加工テーブル3から離隔した外方位置に停止しているので、第2加工ヘッド7Bが第1加工ヘッド7Aに当接することはない。また、この後、制御装置13は第2加工ヘッド7Bに設けたクリーニング手段31の作動も停止させる。
このように第2加工ヘッド7Bが割断予定線104の全域を移動したことに伴って、割断予定線104のとおりに素材ガラス2が割断されて、第4の辺204が切り離される。つまり、これによって、素材ガラス2の4つの辺201〜204が全て切り離されて製品としてのガラス基板2’が製作されたことになる。
なお、上述した両加工ヘッド7A、7Bによる素材ガラス2の割断加工にともなって素材ガラス2の加工部分にカレット(加工屑)が発生するが、このカレットは、各加工ヘッド7A、7Bのクリーニング手段31によって回収される。
【0025】
上述したようにして、両加工ヘッド7A、7Bによる素材ガラス2の割断加工が終了して、製品としてのガラス基板2’が切り出されたら、この後、加工テーブル3の載置面3Aの孔への負圧の導入を停止して、素材ガラス2から切り離した残材を図示しない除去装置によって加工テーブル3上から除去する。
この後、すべてのテーブル及び各テーブル間に上述した多数の孔からエアが噴出され、製品としてのガラス基板2’が加工テーブル3の載置面3A上に浮上される。
また、これと同時に既に素材テーブル4に供給されている素材ガラス2も素材テーブル4の載置面に供給されたエアによって浮上されている。そして、搬送手段12におけるX方向の一端側の吸着パッド12Aによって素材ガラス2が吸着保持されると同時に、搬送手段12におけるX方向の他端側の吸着パッド12Bによって加工テーブル3上のガラス基板2’が吸着保持される。
この後、搬送手段12は製品テーブル5に向けてX方向に平行移動されるので、新たな素材ガラス2が加工テーブル3上に供給されるとともに、製品としてのガラス基板2’が製品テーブル5上に搬出される(図1参照)。
この後、各部のエア噴出が停止され搬送手段12による吸着パッド12A、12Bによる素材ガラス2とガラス基板2’の保持状態が解除されるとともに、加工テーブル3及び製品テーブル5の各載置面の孔に負圧が導入されて、素材ガラス2及びガラス基板2’が各テーブルに吸着支持されるようになっている。
この後、素材ガラス2に対して上述した加工工程と同様にして両加工ヘッド7A、7Bによる割断加工処理が行われる。
【0026】
以上のように、本実施例によれば、素材ガラス2の4辺201〜204を切り離して製品としてのガラス基板2’を製作するにあたって、第1加工ヘッド7Aによる第1の辺201の切り離しの最中に、第2加工ヘッド7Bによって第2の辺202の切り離しを行うことができる。また、第1加工ヘッド7Aによる第3の辺203の切り離しの最中に、第2加工ヘッド202によって第4の辺204の切り離しを行うことができる。つまり、両加工ヘッド7A、7Bを同時に作動させて素材ガラス2の異なる2辺を切り離すようにしているので、素材ガラス2の4辺を割断して切り離すための加工時間を大幅に短縮することができる。
また、各加工ヘッド7A、7Bは、回転機構としてのアクチュエータ27により回転することができるので、たとえば第1加工ヘッド7Aによって第1の辺201を切り離してからその隣接位置の第3の辺203を切り離すために第1加工ヘッド7Aの向きを迅速に変更することができる。これは、第2加工ヘッド7Bについても同様である。
このように本実施例の両加工ヘッド7A、7Bは、回転機構としてのアクチュエータ27によって回転されて、そのメカニカルカッタ14Aとレーザ光Lの照射位置との関係を、メカニカルカッタ14Aが先行し、かつ進行方向においてそれらが一直線上となるように迅速に位置を変更することができる。
この点においても、従来と比較して素材ガラス2の割断加工に要する作業時間を短縮することができる。
なお、上記実施例においては、溝形成機構14としてメカニカルカッタ14Aを備えたものを採用していたが、溝形成機構としてレーザ光を照射することで素材ガラスの各割断予定線に沿って微小な溝M1を形成するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施例を示す平面図。
【図2】図1に示したレーザ割断装置1の要部を示す平面図。
【図3】図1に示した第1加工ヘッド7Aの正面図。
【図4】図3のIV―IV線に沿う断面図。
【図5】図3に示した第1加工ヘッド7Aによる素材ガラス2の加工状態を示す概略の斜視図。
【図6】図1に示した両加工ヘッド7A、7Bによる素材ガラス2の加工工程を示す概略の平面図。
【符号の説明】
【0028】
1…レーザ割断装置 2…素材ガラス(脆性材料)
3…加工テーブル 3A…載置面
7A…第1加工ヘッド 7B…第2加工ヘッド
14…溝形成機構 14A…メカニカルカッタ
16…可動ガイドレール(第1可動部材)
16’…可動ガイドレール(第2可動部材)
27…アクチュエータ(回転機構) L…レーザ光
【出願人】 【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
【出願日】 平成18年11月27日(2006.11.27)
【代理人】 【識別番号】100082108
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真一郎


【公開番号】 特開2008−132616(P2008−132616A)
【公開日】 平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願番号】 特願2006−318564(P2006−318564)