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【発明の名称】 石膏ボード製造装置のスコーリング装置
【発明者】 【氏名】岡崎 勝一

【要約】 【課題】一定深さの溝を精度良く且つ安定して石膏ボード原紙に形成するとともに、回転刃及び受け台の磨耗を防止することができる砥石方式の石膏ボード製造用スコーリング装置を提供する。

【解決手段】石膏ボード製造装置(10)のスコーリング装置(11) は、回転刃(24)及び受け台(30)を備える。石膏ボード原紙(3)は、受け台(30)上を張力下に走行し、受け台は、石膏ボード原紙の下面に当接する。受け台は、回転刃の直下に開口部(32)を有する。開口部は、石膏ボード原紙の下面を下方に解放する。石膏ボード原紙は、開口部の範囲内(角度βの包接範囲内)において下方に若干湾曲しながら刃部(24a)によって研削される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
張力下に走行する石膏ボード原紙の上面に接触する回転刃と、石膏ボード原紙の下面に当接する受け台とを有し、前記回転刃によって石膏ボード原紙にスコアを連続的に刻設する石膏ボード製造装置のスコーリング装置において、
前記受け台は、前記回転刃の直下に形成された開口部を有し、該開口部は、前記回転刃によって研削される石膏ボード原紙部分の下面を下方に解放することを特徴とする石膏ボード製造装置のスコーリング装置。
【請求項2】
前記開口部は、前記石膏ボード原紙が前記回転刃に包接するように、前記回転刃の中心軸線を中心とした中心角10〜90度の角度範囲に亘って形成されることを特徴とする請求項1に記載のスコーリング装置。
【請求項3】
前記回転刃を回転させる回転駆動装置を移動可能に支持する支持機構と、前記回転駆動装置を移動させる移動機構とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のスコーリング装置。
【請求項4】
前記支持機構は、前記回転駆動装置を上下方向に移動可能に支持する垂直支持機構と、該垂直支持機構を水平変位可能に支持する水平支持機構とを有し、前記移動機構は、前記回転駆動装置を上下方向に移動させる垂直駆動機構と、前記回転駆動装置を水平方向に移動させる水平駆動機構とを有することを特徴とする請求項3に記載のスコーリング装置。
【請求項5】
前記回転刃の位置を検出する検出手段と、該検出手段の検出結果に基づいて前記移動機構を作動させる制御装置とを有することを特徴とする請求項3又は4に記載のスコーリング装置。
【請求項6】
前記制御装置は、石膏ボードの寸法・形状と関連して前記回転刃の位置情報を記憶する記憶部を有することを特徴とする請求項5に記載のスコーリング装置。
【請求項7】
前記回転刃の刃部は、ダイヤモンド砥石によって形成されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のスコーリング装置。
【請求項8】
前記回転刃の刃部が平型刃であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のスコーリング装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、石膏ボード製造装置のスコーリング装置に関するのものであり、より詳細には、張力下に走行する石膏ボード原紙にスコアを連続的に形成する石膏ボード製造用のスコーリング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築物の内装材料として、石膏系芯材をボード用原紙にて被覆してなる石膏ボードが知られている。石膏ボードは、石膏ボード製造装置によって量産され、市場に流通している。石膏ボード製造装置は、石膏ボード原紙(下紙)を連続的に搬送する搬送装置、石膏ボード原紙(下紙)の両側の縁部分にスコアを刻設するスコーリング装置、石膏スラリーを調製する混合攪拌機、石膏ボード原紙を折り曲げてエッジ部を形成する折り曲げ装置、石膏ボード原紙(上紙)を石膏スラリー上に積層する上紙積層兼成型装置、板状且つ帯状の成形体を所定のボード長に粗切断する粗切断装置、余剰水を含む粗切断後の板体を乾燥させる乾燥装置、更には、各板体を製品寸法に裁断して搬出する搬出装置を備える。
【0003】
上記スコーリング装置は、張力下に走行する石膏ボード原紙にスコアを連続的に形成する。スコーリング装置として、円盤形砥石や、押圧部材等の折目形成部材と、折目形成部材を回転駆動し又は付勢する駆動装置とを備えた構成のものが知られている。折目形成部材は、原紙受け台に供給された石膏ボード原紙(下紙)に切込み又は筋目を形成し、石膏ボード原紙にスコアを刻設する。スコーリング装置は又、折目形成部材を石膏ボード原紙の厚さ方向に変位させる手動操作式昇降手段と、折目形成部材を石膏ボード原紙の幅方向に変位させる手動操作式移動手段とを備える。原紙に形成すべきスコアの位置は、昇降手段及び移動手段の手動操作によって調節される。
【0004】
石膏ボード製造装置のスコーリング装置として、折目形成部材とバックアップロールとの間に介挿した石膏ボード原紙を搬送装置によって走行させ、折目形成部材の圧力によって石膏ボード原紙に折目を形成するように構成された折目形成装置が特開昭58−86937号公報に開示されている。
【0005】
また、段ボール等の厚手のシート状紙製品を折り曲げて箱等を製造する技術に関し、成形刃によってシート状製品に楔形の切込みを形成し、切込みによって紙製品を正確に折り曲げるようにしたシート状紙製品の折り曲げ方法が特開平8―150675に記載されている。
【特許文献1】特開昭58−86937号公報
【特許文献2】特開平8―150675号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
石膏ボード原紙は、通常は、厚さ約0.3mm、秤量約200g/m2程度の薄い紙であり、段ボール等の厚手の紙に楔形の切込みを形成するのに使用される特許文献2のような成形刃は、石膏ボード原紙のスコーリングに使用することはできない。
【0007】
他方、特許文献1に記載に記載された装置は、折目形成部材を石膏ボード原紙に押圧し、原紙を局部的に押し潰して折れ線を形成するクリーサー方式のスコーリング装置である。この方式のスコーリング装置の微調節は、熟練した操作員の経験に依存する。
【0008】
しかるに、製造コスト低減や、石膏ボードのリサイクル性向上等の観点より、石膏ボード原紙の紙厚を低減することが近年殊に望まれている。このため、厚さ約0.2mm、秤量約140g/m2程度の極めて薄い紙が石膏ボード原紙として使用されることがある。加えて、石膏ボード製造ラインの高速化に伴って、石膏ボード原紙に作用する張力が増大する傾向が近年殊に顕在化している。このような製造環境の下では、石膏ボード原紙に課せられる負荷が増大し、原紙破断の現象が生じ易いことから、微調節を熟練操作員の経験に依存したクリーサー方式のスコーリング装置を採用し難い事情がある。
【0009】
また、石膏ボードの施工性を考慮すると、石膏ボードのエッジ部は、正確且つシャープな角部を有することが望ましい。一般には、エッジ部の角部の角度は、通常は、略直角に管理されている。しかし、クリーサー方式のスコーリング装置を用いた場合、エッジ部の角部が90度を超え易い傾向があり、シャープな角部が得られずに外観上望ましくない石膏ボードが生産される状況も生じ易いことから、製造歩留りが低下し、生産性が悪化するという問題が生じる。
【0010】
このような事情を考慮し、我が国では、主として、砥石方式のスコーリング装置が採用されている。
【0011】
図10(A)及び図10(B)は、砥石方式のスコーリング装置の構造を概略的に示す断面図であり、図10(C)は、受け台の部分平面図であり、図10(D)及び図10(E)は、石膏ボード原紙に形成されるスコアを示す石膏ボード原紙の部分断面図である。
【0012】
スコーリング装置は、回転駆動軸Bに同芯に固定した円盤形回転刃Aを備える。回転刃Aの下側には、受け台Cが配置される。石膏ボード原紙Dが、受け台C上を矢印E方向に走行する。回転駆動軸Bの回転により、回転刃Aは、正転方向(矢印方向)又は逆転方向に回転し、原紙Dの上層部分を研削して原紙Dに溝Gを形成する。
【0013】
この方式のスコーリング装置は、石膏ボードのエッジ部に比較的シャープな角部を形成するとともに、エッジ部の角度を略直角に管理し易いことから、エッジ部の角度不良に起因した製造歩留りの低下を防止する観点からは、好ましく採用し得る。
【0014】
しかしながら、この方式のスコーリング装置では、回転刃A及び受け台Cの磨耗が生じ易いことから、石膏ボード製造ラインの高速化傾向と関連して、回転刃及び受け台を比較的頻繁に交換しなければならないという問題が生じた。
【0015】
また、砥石方式のスコーリング装置では、駆動軸B及び回転刃Aの微小な偏心や、原紙Dの張力変化等に起因して溝Gの深さが変動し、図10(E)に破線で示すように不規則な深さの溝Gが形成される傾向がある。この傾向は、石膏ボード原紙の紙厚低下や、石膏ボード製造ラインの高速化と相まって、近年殊に顕在化し、折目が断続的又は点線形態に形成されてしまうという問題を生じさせた。
【0016】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、一定深さの溝を精度良く且つ安定して石膏ボード原紙に形成することができる砥石方式の石膏ボード製造用スコーリング装置を提供することにある。
【0017】
本発明は又、回転刃及び受け台の磨耗を防止し、回転刃及び受け台の交換頻度を低下することができる砥石方式の石膏ボード製造用スコーリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成すべく、本発明は、張力下に走行する石膏ボード原紙の上面に接触する回転刃と、石膏ボード原紙の下面に当接する受け台とを有し、前記回転刃によって石膏ボード原紙にスコアを連続的に刻設する石膏ボード製造装置のスコーリング装置において、
前記受け台は、前記回転刃の直下に形成された開口部を有し、該開口部は、前記回転刃によって研削される石膏ボード原紙部分の下面を下方に解放することを特徴とする石膏ボード製造装置のスコーリング装置を提供する。
【0019】
本発明の上記構成によれば、回転刃によって研削される石膏ボード原紙の部分は、その下面が、受け台の開口部によって解放される。石膏ボード原紙は、開口部の範囲内において下方に湾曲しながら、回転刃の刃部と接触する。回転刃を通過した石膏ボード原紙の上面には、溝が形成され、石膏ボード原紙の下面には、下方に突出する折れ線が形成される。このようにして形成された溝は、深さが安定し、従来のスコーリング装置において観られた溝の深さの変動は発生せず、原紙下面の折れ線も、比較的明確に形成されると判明した。これは、従来のスコーリング装置においては点接触に近い状態で回転刃が石膏ボード原紙に接触していたのに対し、本発明のスコーリング装置では、石膏ボード原紙が開口部の範囲内で下方に湾曲し、或る距離に亘って回転刃の刃部と接触し続けることに起因すると考えられる。
【0020】
このような構成のスコーリング装置によれば、溝の深さの変動に起因した原紙破断等を防止することができる。このため、本発明のスコーリング装置は、石膏ボード原紙の紙厚低減や、石膏ボード製造ラインの高速化という近年の傾向に好ましく適応する。
【0021】
また、折れ線が石膏ボード原紙に比較的明確に形成されるので、後続する折曲げ装置の作用によって石膏ボード原紙のエッジ部分を精度良く折り曲げることができる。
【0022】
更に、上記構成のスコーリング装置によれば、回転刃及び受け台の磨耗を防止し、回転刃及び受け台の交換頻度を低下することができる。これは、回転刃が石膏ボード原紙に作用する領域において受け台が石膏ボード原紙の下面を解放することに起因すると考えられる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る砥石方式のスコーリング装置によれば、一定深さの溝を精度良く且つ安定して石膏ボード原紙に形成することができ、しかも、回転刃及び受け台の磨耗を防止し、回転刃及び受け台の交換頻度を低下することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の好適な実施形態において、上記受け台の開口部は、回転刃の中心軸線を中心とした中心角10〜90度、例えば、15度の角度範囲に亘って形成され、石膏ボード原紙は、この角度範囲に相当する範囲内において回転刃に包接する。好ましくは、上記中心角は、10〜30度の範囲内の角度に設定される。このような構成によれば、石膏ボード原紙は、少なくとも中心角10度、例えば、中心角15度に相当する包接範囲内で下方に湾曲し、回転刃と接触し続けるので、一定の溝及び折れ線を確実に石膏ボード原紙に形成することができる。
【0025】
本発明の更に好適な実施形態においては、スコーリング装置は、回転刃を回転させる回転駆動装置を移動可能に支持する支持機構と、回転駆動装置を移動させる移動機構とを備える。好ましくは、支持機構は、回転駆動装置を上下方向に移動可能に支持する垂直支持機構と、垂直支持機構を水平変位可能に支持する水平支持機構とを有し、移動機構は、回転駆動装置を上下方向に移動させる垂直駆動機構と、回転駆動装置を水平方向に移動させる水平駆動機構とを有する。
【0026】
石膏ボード原紙が開口部の範囲内で下方に湾曲し、回転刃と或る距離に亘って接触し続けるようにした本発明のスコーリング装置によれば、一定深さの溝を精度良く且つ安定して石膏ボード原紙に形成することができ、しかも、回転刃及び受け台の磨耗現象が抑制されることから、石膏ボード原紙に対する回転刃の作用を定量的に定め又は予測することができるので、機械的構成に依存した回転刃位置の設定又は調節が可能となる。即ち、上記構成のスコーリング装置によれば、垂直駆動機構によって回転駆動装置を垂直変位させて回転刃の垂直位置を位置決めし、水平駆動機構によって回転駆動装置を水平変位させて回転刃の水平位置を位置決めし、これにより、石膏ボード原紙に対する回転刃の作用を設定し又は調節することができる。この結果、人為的作業に依存していた従来の微調節作業を解消し、回転刃位置の設定又は調節を機械的手段によって機械化し又は自動化することが可能となる。
【0027】
更に好ましくは、スコーリング装置は、回転刃の位置を検出するための検出手段と、検出手段の検出結果に基づいて垂直駆動機構及び水平駆動機構を作動させる制御装置とを有する。制御装置は、石膏ボードの寸法・形状と関連した回転刃の位置情報を記憶する記憶部を備えることが望ましい。本発明のスコーリング装置によれば、同一品種の石膏ボードを定期的に製造する場合、回転刃を常に最適位置に位置決めすることができ、人為操作に起因した製造誤差等を解消し、一定の石膏ボード製品を安定生産することができる。また、石膏ボードの寸法・形状と関連した回転刃の位置情報を制御装置に記憶させることにより、品種切替え時に比較的容易且つ迅速に回転刃の位置を変更することができるので、品種切替え時の待機時間等を短縮することができる。
【実施例1】
【0028】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施例について詳細に説明する。
【0029】
図1は、石膏ボードのエッジ部の形態を示す石膏ボードの部分断面図である。
【0030】
石膏ボード1は、石膏コア2を石膏ボード原紙(下紙)3及び石膏ボード原紙(上紙)4によって被覆した構成を有する。図1(A)には、スクエアエッジを有する石膏ボード1が示されている。石膏ボードのエッジ部5は、直角に設定されたのエッジ角度αを有する。石膏ボード原紙3には、角部6、7に相当する部分に折目が形成される。図1(B)には、ベベルエッジを有する石膏ボード1が示されている。石膏ボード原紙3には、角部6、7、8に相当する部分に折目が形成される。図1(C)には、テーパーエッジを有する石膏ボード1が示されている。石膏ボード原紙3には、角部6、7、8に相当する部分に折目が形成される。
【0031】
石膏ボード製造工程においては、エッジ部5のエッジ角度αは、一般に略直角に管理される。エッジ角度αを略直角に管理する要因として、上記範囲以外のエッジ角度α、例えば、90度を超えたエッジ角度αを有する石膏ボード1によっては、望ましい施工性が得られない点が挙げられる。例えば、図1(A)に示すスクエアエッジの石膏ボード1は、軽鉄下地等の内装下地材に取付けられ、石膏ボード1同士の継目は、突付け目地を内装表面に形成するが、このような目地部分のパテ処理を容易にし、簡素化し又は省略するには、エッジ角度αが正確に直角であることが望ましく、若干の誤差が生じていたとしても、エッジ角度αが略直角であることが望ましいと考えられている。
【0032】
図2は、石膏ボード製造装置の構成を概略的に示す概略平面図である。図3(A)は、本発明の実施例に係るスコーリング装置の構成を概略的に示す側面図であり、図3(B)は、スコーリングユニットの構成を示す側面図である。
【0033】
石膏ボード原紙(下紙)3は、所定幅を有する無端ロール紙として石膏ボード製造装置10に供給され、原紙ロール12として供給テーブル(原紙受け台)13上に配置される。石膏ボード原紙3は、原紙ロール12から繰り出され、石膏ボード製造装置10の原紙搬送手段によって長手方向に搬送される。石膏ボード製造装置10は、石膏ボード原紙3にスコアを刻設するスコーリング装置11を備えるとともに、石膏スラリーSを調製する混合攪拌機14を備える。混合攪拌機14は、スコアが刻設された石膏ボード原紙3上に石膏スラリーSを流し延べる。石膏ボード原紙3の側縁領域を内方に押圧する左右一対の折曲げ装置15が、搬送板16上に配設される。折曲げ装置15は、石膏ボード原紙3の両側の縁部領域に当接し、スコアに沿って石膏ボード原紙3を上方に折り曲げる。上紙の原紙ロール(図示せず)から繰り出された石膏ボード原紙(上紙)4が、転向ローラ17によって転向され、石膏スラリーS上に積層される。石膏ボード原紙3、4及び石膏スラリーSは、搬送装置を構成する回転ローラ18上を連続的な帯状成形体Wとして搬送され、粗切断装置(図示せず)に移送される。粗切断後の成形体は、乾燥装置(図示せず)を介して切断装置(図示せず)に移送され、所定長の石膏ボード製品に裁断される。
【0034】
図3に示すように、スコーリング装置11は、等間隔を隔てて配置された4体のテンションロール21と、テンションロール21の間に配置された3組のスコーリングユニット20とを備える。2体の支持枠22がスコーリングユニット20の間に配置される。スコーリングユニット20は、支持枠22によって支持され、支持枠22は、フレーム19によって支持される。
【0035】
各スコーリングユニット20は、電動モータ23(破線で示す)と、電動モータ23の回転駆動軸25に同心に固定した円盤形回転刃24と、回転刃24の直下に配置された受け台30と、受け台30の前後に配置された一対の支承ロール(図示せず)と、回転刃24の刃部を覆う安全カバー29(仮想線で示す)とを有する。回転刃24は、電動モータ23の直径よりも大きな直径を有し、安全カバー29内に収容される。支承ロールは、支承部(図示せず)を介してフレーム19の横架材(図示せず)に支持される。
【0036】
石膏ボード原紙3は、原紙搬送手段によって矢印方向に牽引され、張力下に搬送されることから、所定の張力が石膏ボード原紙3に常時作用する。テンションロール21及び支承ロールは、石膏ボード原紙3の移動経路を規制し、受け台30上を走行する石膏ボード原紙3に対して安定した張力が作用するように働く。回転刃24は、図3に矢印で示す正転方向に回転する。回転刃24は、刃部24aを外周に備えており、刃部24aは、石膏ボード原紙3と接触する領域において、石膏ボード原紙3の搬送方向と同方向に移動する。
【0037】
図4(A)及び図4(B)は、回転刃24及び受け台30の構造を示す断面図であり、図4(C)は、受け台3の部分平面図であり、図4(D)及び図4(E)は、石膏ボード原紙3に形成されるスコアの断面を示す石膏ボード原紙3の部分断面図である。
【0038】
受け台30は、長方形断面の金属部品からなる本体31と、回転刃24の直下に形成された方形開口部32とから構成される。本体31は、水平な上面を有し、開口部32は、平面視長方形の均一な断面の貫通孔として本体31を垂直に貫通する。
【0039】
開口部32は、回転刃24によって研削される石膏ボード原紙部分の下面を下方に解放する。回転刃24は、開口部32の直上で石膏ボード原紙3に接触し、石膏ボード原紙3を構成する複数の層のうち、少なくとも最上層の紙の層を外周の刃部24aによって削り取る。図4(D)及び図4(E)に示すように、石膏ボード原紙3の表面には、溝9が形成され、石膏ボード原紙3の最下層は、折れ線9aを形成する。刃部24aは、耐磨耗性及び寿命の観点より、ダイヤモンド砥石からなることが望ましい。刃部24aの形状として、平型、先端型等の各種刃形状を採用し得るが、耐磨耗性の観点より、平型の刃形状を採用することが望ましい。なお、刃部24aは、汎用の砥石等の如く、石膏ボード原紙3を研削可能な材質のものであれば良く、また、刃部24aとして、鋸歯状の刃形を備えた刃を採用しても良い。
【0040】
石膏ボード原紙3の下面が開口部32によって解放していることから、石膏ボード原紙3は、開口部32の範囲内(回転刃24の中心角βに相当する包接範囲内)において下方に若干湾曲する。石膏ボード原紙3は、開口部32の範囲内において刃部24aと接触し続け、刃部24aの研削作用は、開口部32の範囲内において持続する。この結果、回転刃24を通過した石膏ボード原紙3の上面には、深さHの溝9が形成され、石膏ボード原紙の下面には、折れ線9aが突出する。折れ線9aが突出する状態が確保されることにより、溝9の深さHが安定する。
【0041】
このようなスコーリングによれば、折れ線9aが比較的明確に形成され、溝9の深さHが安定するとともに、後続する折曲げ装置15の作用によって石膏ボード原紙3のエッジ部分が角度α=略直角に精度良く折り曲げられることが判明した。
【0042】
図5、図6及び図7は、スコーリング装置11の構成を示す部分断面側面図、部分断面平面図及び正面図である。図5において、安全カバー29は、図示を省略されている。
【0043】
スコーリング装置11を構成する各スコーリングユニット20は、電動モータ23を上下方向に移動可能に支持する垂直支持機構40と、垂直支持機構40を水平変位可能に支持する水平支持機構50と、電動モータ23を垂直方向に移動させるリードスクリュ方式の垂直駆動機構41と、電動モータ23を水平方向に移動させるリードスクリュ方式の水平駆動機構51とを備える。
【0044】
図5に示すように、垂直支持機構40は、電動モータ23のモータハウジングに一体的に接合したスライド部材42と、スライド部材42を垂直変位可能に支持するガイド部材43と、ガイド部材43を固定した垂直プレート44とから構成される。垂直駆動機構41は、垂直プレート43の上部に固定された垂直駆動用電動モータ45と、電動モータ45の回転駆動軸(図示せず)に作動的に連結されたリードスクリュ46と、リードスクリュ46に螺合し且つスライド部材42に一体的に接合したナット47とから構成される。リードスクリュ46は、電動モータ45の駆動によって回転し、ナット47を垂直変位させる。スライド部材42及び電動モータ23は、ナット47と一体的に垂直変位する。かくして、電動モータ45の駆動により、電動モータ23及び回転刃24を垂直変位させることができる。好ましくは、垂直駆動機構41は、電動モータ23及び回転刃24を0.01mm単位の挙動幅で垂直変位させるように設計される。
【0045】
水平支持機構50は、垂直プレート44に一体的に接合したスライド部材52と、スライド部材52を水平変位可能に支持するガイド部材53とから構成される。ガイド部材53は、支持枠22に固定される。図6及び図7に示すように、水平駆動機構51は、支持枠22に固定された水平駆動用電動モータ55と、電動モータ55の回転駆動軸(図示せず)に作動的に連結されたリードスクリュ56と、リードスクリュ56に螺合し且つ垂直プレート44に一体的に接合したナット57から構成される。リードスクリュ56は、電動モータ55の駆動によって回転し、ナット57を水平変位させる。垂直プレート44、ガイド部材43、スライド部材42及び電動モータ23は、ナット57と一体的に水平変位する。かくして、電動モータ55の駆動により、電動モータ23及び回転刃24を水平変位させることができる。好ましくは、水平駆動機構51は、電動モータ23及び回転刃24を0.01mm単位の挙動幅で水平変位させるように設計される。
【0046】
図5及び図6に示すように、スコーリング装置11の制御系は、リードスクリュ46、56の回転位置を検出するためのエンコーダ48、58と、エンコーダ48、58に接続された制御ユニット60とを有する。エンコーダ48、58の出力は、制御信号線61、62を介して制御ユニット60に入力される。制御ユニット60は、エンコーダ48、58の出力に基づいて回転刃24の垂直位置及び水平位置を検出する。制御ユニット60は、石膏ボードの品種等に相応する回転刃24の位置を記憶する記憶部と、回転刃24の目標位置等を決定する演算・制御部と、操作員が石膏ボードの品種等を選択するためのタッチパネルとを有する。記憶装置に記憶されるデータとして、例えば、石膏ボードの品種(エッジ形態、ボード寸法等)に対応した折目の位置や、折目位置に相応する回転刃24の位置が挙げられる。タッチパネルは、既に登録された石膏ボード品種等に関する情報を選択し又は表示するためのディスプレイとして機能する。操作員は、タッチパネルを用いて所望の品種を選択し又は折目位置等を設定することができる。また、新たな品種の石膏ボードを製造する場合、或いは、過去の石膏ボード品種と関連した記憶データを書き換える場合、操作員は、ボード寸法、エッジ形状・寸法、折目位置等の情報をタッチパネル上で入力し、記憶部は、入力された情報を新たに記憶し、或いは、既に記憶した過去のデータを更新する。
【0047】
制御ユニット60の演算・制御部は、操作員が選択した石膏ボードの品種と相応する回転刃24の目標位置に回転刃24を移動させるために、電動モータ45、55の駆動を指示する駆動信号を出力し、駆動信号は、制御信号線63を介して操作盤70に入力される。
【0048】
操作盤70は、交流電源に接続されるとともに、動力配線71、72、73を介して電動モータ23、45、55に夫々接続される。操作盤70は、制御ユニット60から入力された駆動信号に従って電動モータ45、55を作動させ、回転刃24を垂直方向及び水平方向に移動させる。制御ユニット60は、エンコーダ48、58の出力によって回転刃24の目標位置到達を検出すると、電動モータ45、55の停止信号を操作盤70に出力し、操作盤7は、電動モータ45、55を停止させ、電動モータ23を起動させる。
【0049】
なお、制御ユニット60及び操作盤70は、スコーリング装置11の作動のみならず、石膏ボード製造装置1の混合攪拌機14及び搬送装置等の作動を一元的に管理し又は制御する機能を有する。
【0050】
次に、スコーリング装置11の作動について説明する。
【0051】
原紙ロール12等を石膏ボード製造装置10にセットした状態で、操作員が操作盤70をマニュアル操作して石膏ボードの品種等を選択すると、制御ユニット60は、駆動御信号を操作盤70に出力し、垂直支持機構40及び水平支持機構50は、制御ユニット60の制御下に回転刃24を水平方向及び垂直方向に移動させる。回転刃24は、図5に破線で示すように降下し、予め設定した目標位置において石膏ボード原紙3の上層部に接触する。前述の如く、石膏ボード原紙3は、開口部32の範囲内(回転刃24の中心角βに相当する包接範囲内)において下方に若干湾曲しながら刃部24aによって研削される。この結果、図4に示すように、石膏ボード原紙3の上面に溝9が形成され、石膏ボード原紙の下面に折れ線9aが突出する。
【0052】
混合攪拌機14は、制御ユニット60及び操作盤70の制御下に、石膏ボード原紙3上に石膏スラリーSを流し延べ、折曲げ装置15は、石膏ボード原紙3のエッジ部分を上方に折り曲げ、石膏ボード原紙(上紙)4は、転向ローラ17又はプレート(図示せず)によって石膏スラリーS上に積層され、回転ローラ18は、石膏ボード原紙3、4及び石膏スラリーSの帯状成形体Wを粗切断装置、乾燥装置及び切断装置に移送する。
【0053】
このようなスコーリング装置11によれば、石膏ボード原紙3は、開口部32の範囲内で下方に湾曲し、角度βの範囲内において回転刃24の刃部24aと接触し続け、石膏ボード原紙3の上面に形成された溝9は、深さが安定し、折れ線9aも比較的明確に形成される。従って、スコーリング装置11は、溝9の深さの変動に起因した原紙破断等を防止することができるので、石膏ボード原紙3の紙厚低減や、石膏ボード製造ラインの高速化に適応する。
【0054】
また、折れ線9aが石膏ボード原紙3に比較的明確に形成されるので、スコーリング装置11に後続する折曲げ装置15の作用によって石膏ボード原紙3のエッジ部分5を角度α=略直角に精度良く折り曲げることができる。
【0055】
更に、上記スコーリング装置11によれば、回転刃24及び受け台30の磨耗を防止し、回転刃24及び受け台30の交換頻度を低下することができる。
【0056】
また、上記スコーリング装置11によれば、一定深さの溝を精度良く且つ安定して石膏ボード原紙3に形成するとともに、回転刃24及び受け台30の磨耗現象を抑制し得ることから、スコーリング工程の安定性及び再現性が確保される。このため、機械的要素又は機械的手段(垂直支持機構40、水平支持機構50、垂直駆動機構41、水平駆動機構51)を制御ユニット60の制御下に操作盤70で作動し、回転刃24を正確にセッティングすることができる。これは、人為的作業に依存しない機械的且つ自動的な回転刃24のセッティングを可能にするので、実用的に極めて有利である。
【0057】
図8及び図9は、受け台30の変形例を示す断面図である。
【0058】
図8及び図9に示す受け台30は、頂部開口形の方形凹所として形成された方形開口部32’、32”を備える。開口部32’(図8)は、水平な底面を有し、開口部32”(図9)は、回転刃24と同等の曲率で湾曲する底面を有する。開口部32’、32”は、前述の開口部32と同じく、回転刃24の回転中心軸線γ(図4)を中心とした角度βの範囲内に形成される。回転刃24は、石膏ボード原紙3の上面に溝9を形成し、石膏ボード原紙の下面に折れ線9aを突出せしめる。石膏ボード原紙3のエッジ部分は、後続する折曲げ装置15の作用によって精度良く上方に折り曲げられる。
【0059】
以上、本発明の好適な実施形態及び実施例について詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内において種々の変更又は変形が可能であり、かかる変更又は変形例も又、本発明の範囲内に含まれるものであることはいうまでもない。
【0060】
例えば、上記実施例においては、スコーリング装置は、各々の回転刃を個別に垂直・水平変位させ且つ回転駆動させるように構成されているが、単一機構又は複合的機構を用いて複数の回転刃を一体的に移動し又は回転させ、或いは、同期移動又は同期回転させるように構成することも可能である。
【0061】
また、原紙の紙厚の相違等に相応して回転刃の位置を適宜設定変更するようにスコーリング装置の制御系を構成しても良い。
【0062】
更には、上記実施例では、回転刃の回転方向は、接触時間が比較的長く、接触抵抗が比較的小さい正転方向に設定されているが、回転刃を逆転方向に回転させることも可能である。
【0063】
また、上記実施例では、単一の回転刃が電動モータの回転駆動軸に取付けられているが、複数の回転刃を単一の回転駆動軸に並列に取付け又は装着しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、石膏ボード製造装置のスコーリング装置に適用される。本発明のスコーリング装置によれば、一定深さの溝を精度良く且つ安定して石膏ボード原紙に形成するとともに、回転刃及び受け台の磨耗を防止し、回転刃及び受け台の交換頻度を低下することができる。本発明は又、張力下に走行する紙にスコアを連続的に形成する各種のスコーリング装置に同様に適用し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】石膏ボードのエッジ部の形態を示す石膏ボードの部分断面図である。
【図2】石膏ボード製造装置の構成を概略的に示す概略平面図である。
【図3】図3(A)は、本発明の実施例に係るスコーリング装置の構成を概略的に示す側面図であり、図3(B)は、スコーリングユニットの構成を示す側面図である。
【図4】図4(A)及び図4(B)は、回転刃及び受け台の構造を示す断面図であり、図4(C)は、受け台の部分平面図であり、図4(D)及び図4(E)は、石膏ボード原紙に形成されるスコアを示す石膏ボード原紙の部分断面図である。
【図5】スコーリング装置の構成を示す部分断面側面図である。
【図6】スコーリング装置の構成を示す部分断面平面図である。
【図7】スコーリング装置の構成を示す正面図である。
【図8】受け台の変形例を示す断面図である。
【図9】受け台の他の変形例を示す断面図である。
【図10】図10(A)及び図10(B)は、従来のスコーリング装置の構造を概略的に示す断面図であり、図10(C)は、受け台の部分平面図であり、図10(D)及び図10(E)は、石膏ボード原紙に形成されるスコアを示す石膏ボード原紙の部分断面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 石膏ボード
3 石膏ボード原紙(下紙)
9 溝
9a 折れ線
10 石膏ボード製造装置
11 スコーリング装置
20 スコーリングユニット
21 テンションロール
22 支持枠
23 電動モータ
24 回転刃
24a 刃部
25 回転駆動軸
30 受け台
31 受け台本体
32 開口部
40 垂直支持機構
41 垂直駆動機構
50 水平支持機構
51 水平駆動機構
60 制御ユニット
70 操作盤
【出願人】 【識別番号】000160359
【氏名又は名称】吉野石膏株式会社
【出願日】 平成18年11月7日(2006.11.7)
【代理人】 【識別番号】100094835
【弁理士】
【氏名又は名称】島添 芳彦


【公開番号】 特開2008−114558(P2008−114558A)
【公開日】 平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願番号】 特願2006−302158(P2006−302158)