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【発明の名称】 ワイヤソー駆動装置及び伸縮継手の撤去方法
【発明者】 【氏名】福島 修

【氏名】福島 英康

【要約】 【課題】伸縮継手をダイヤモンドワイヤソーによって水平切断する際、変換プーリの設置を省略できるようにして工事の迅速化及びコスト低減を図る。

【解決手段】ワイヤソー駆動装置1の基台2に移動用の車輪20が設けてあり、基台2の下側には固定装置21が設けてある。基台2の上には駆動プーリ3及び複数の調整プーリ30が設けてある。ワイヤソー4が複数の調整プーリ30の間を往復させて掛け渡してあり、切断の進行に伴うワイヤの余剰長さを吸収する。基台の下に設けたブラケット24に突出長さを調節可能にした変換プーリ31が設けてあり、ワイヤソー駆動装置1の設置と同時に変換プーリ31の設置が完了するので切断開始までの時間を短縮することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤソー駆動装置の基台から下側に延びるアームの端部に水平軸の廻りに回転する変換プーリが設けてあり、この変換プーリがワイヤソー駆動装置の設置面より下側に位置させることができるワイヤソー駆動装置。
【請求項2】
請求項1において、基台からのアームの突出長さを変更可能であるワイヤソー駆動装置。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかにおいて、変換プーリがアームの軸に対して旋回可能であるワイヤソー駆動装置。
【請求項4】
伸縮継手を囲む溝を床版に形成し、請求項1〜3のいずれかのワイヤソー駆動装置の基台から突出する変換プーリを溝の底部付近に位置させてワイヤソーを溝内に設置して床版及び伸縮継手を水平切断する伸縮継手の撤去方法。
【請求項5】
伸縮継手をワイヤソーによって水平切断する際に、ワイヤソーを走行させるための溝の底面を穿孔し、この孔にボルトを固定して回転軸とし、この回転軸にプーリを設置してワイヤソーをガイドして伸縮継手を水平切断する伸縮継手の撤去方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、老朽化等により交換が必要となった高架道路や橋梁等の伸縮継手をブレーカ等の振動騒音を発生する器具を使用することなく低騒音・低振動で撤去する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建設から長期間経過して老朽化したり、また、損傷を受けた橋梁の伸縮継手を補修・交換するため、ブレーカでコンクリートをハツル作業を極力省略し、振動・騒音を周囲に撒き散らすことがないようするため、ダイヤモンドワイヤソーを使用して静音状態で交換作業をすることが特許文献1などで提案されている。
ダイヤモンドワイヤソーのワイヤが走行する溝を切断によって伸縮継手の周囲に形成し、溝の底部においてダイヤモンドワイヤを走行させ継手を含む床版を水平に切断することによって伸縮継手を撤去するものであり、溝の形成及びワイヤソーによる水平切断は共に低騒音・低振動であり、撤去作業を静音でおこなうことができるので、住居やビルが近接している都市高速道路の伸縮継手に適用することができる工法である。
【特許文献1】特開2001−226914号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
伸縮継手の水平切断に使用される従来のダイヤモンドワイヤソー駆動装置1は、図8に概略を示すように、基台2、昇降ガイド201、駆動プーリ3及びワイヤロープにダイヤモンドビーズを一定間隔で取り付けたワイヤソー4からなるものである。駆動プーリ3は、昇降ガイド201に昇降自在に取り付けてあり、油圧モータによって回転駆動され、駆動プーリ3にかけまわしてあるワイヤソー4は切断形成した溝内に設置され、変換プーリ31を介して水平に方向転換させられて切断対象に巻きつけられ、駆動プーリ3の回転によってワイヤソー4が高速で走行して対象物を切断するものである。
【0004】
伸縮継手を撤去するためには路面の下を水平に切断するので、路面上に設置したダイヤモンドワイヤソー駆動装置から路面下に導いたワイヤソーを水平方向に方向転換させるための変換プーリを設置する必要があり、手間がかかり迅速な撤去作業ができなかった。
本発明は、ダイヤモンドワイヤソーを使用した道路橋等の伸縮継手の交換工事において、変換プーリの設置を省略できるようにして工事の迅速化及びコスト低減を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ワイヤソー駆動装置の基台から下側に延びるアームの端部に水平軸の廻りに回転する変換プーリが設けてあり、この変換プーリがワイヤソー駆動装置の設置面より下側に位置させることができるものであり、ワイヤソーの方向を変換する変換プーリを別途設けることなく切断作業を開始できるので、継手の撤去作業を迅速におこなうことができる。
また、基台からのアームの突出長さを変更可能であり、種々の切断深さに対応することが可能である。
【発明の効果】
【0006】
ワイヤソー駆動装置に基台の下に設けたブラケット24に突出長さを調節可能にした変換プーリ31が設けてあり、ワイヤソー駆動装置1の設置と同時に変換プーリ31の設置が完了するので切断開始までの時間を短縮することができる。
変換プーリを設置することなく水平切断をおこなうことができるので、段取り作業が簡略化され、切断開始までの時間を大幅に短縮することができ、また、それに伴ってコストの削減を達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
実施例
図1に示すように、本発明のワイヤソー駆動装置1は、基台2に移動用の車輪20が設けてあり、操作用ハンドル23を作業者が持ち移動させることができる。基台2の下側には切断作業時に装置を固定する固定装置21が設けてあり、脚22を延ばして車輪20を設置面より浮かせて装置を固定するものである。基台2上には駆動プーリ3及び複数の調整プーリ30が設けてある。
ワイヤソー4が複数の調整プーリ30の間に往復させて掛け渡してあり、切断の進行に伴って生じるワイヤソーの余剰長さを吸収できるようにしてある。駆動プーリ3は油圧モータによって回転駆動され、駆動プーリ3にかけまわしたワイヤソー4を高速で走行させる。
【0008】
基台2の下部にブラケット24が設けてあり、下側に延びるアーム25がブラケット24に形成してある長穴にボルトで固定してある。ボルトの締付け位置を変更することによってアーム25の基台2からの突出長さを調節することができる。アーム25の先端部には水平軸の廻りに回転する変換プーリ31が脚に対して旋回可能に取り付けてある。ワイヤソー4は駆動プーリ3から調整プーリ30に導かれ、変換プーリ31を介して溝内に水平に配設されて切断対象物に巻きつけられる。駆動プーリ3の回転によってワイヤソー4が高速で走行して対象物を切断するものである。アーム25自体をテレスコープ型として伸縮自在とすることも可能であり、変換プーリ31の設置深さを変更することができるものであればどのような手段を採用してもよい。変換プーリ31をアーム25に対して旋回可能とすることによって、基台2が溝に対して斜めに設置せざるを得ない場合であっても変換プーリ31が溝に対して平行にすることができ、ワイヤソーの走行を円滑におこなうことができる。
【0009】
次に切断撤去作業の手順を説明する。
切断前の準備段階として撤去する継手5の周囲の路面に切断予定線を描く。また、切断に伴う冷却水が周囲に流れ出すのを防止するための発泡ウレタンからなる防護材やシート(図示しない)を設置する。
切断予定線は、図2に示すように、ワイヤソーを収納して継手を水平切断するするための継手5に平行な溝部分601と継手5の両側端の溝部分602、ワイヤソーを収納する溝部分601、602から150mm内側の補助切断線603、604、及び継手5の中央部の補助切断線605である。ワイヤソー駆動装置1の変換プーリ31を設置するためのピットの位置の複数の補助切断線606である。
【0010】
コアドリルを使用して4つのコーナー7を円形に切断してコア抜きをおこない、切断された円筒形のコアは撤去せずにその位置に残しておく。
更に、変換プーリを設置するピットを形成する部分73にコア抜きを重複しておこない、継手5の中央部72の両側及び中間部71をコアドリルで円形に切断する。
【0011】
コンクリートカッターによって補助切断線603〜606の線上を幅3mm程度の溝が形成されるようにコンクリートカッターで切断する。次に、ワイヤソーを収納する溝となる部分の切断予定線601、602に沿ってコンクリートカッターで切断して幅15mm程度の溝を形成する。市販の回転ブレード単独ではこの幅の溝を形成することができないので、回転ブレードを複数枚(本実施例では3枚)重ねることにより必要な幅の溝を形成した。また、必要な幅を単独で切断することができる特殊サイズのブレードを使用することでもよい。
その他の溝形成手段としては、熱溶射によって溝を形成することも可能であるが、高熱が床版コンクリートや鉄筋に悪影響を与える恐れがあるので、コンクリートカッターで溝を形成するのが好ましい。
ブレードの直径は、撤去する伸縮継手5の大きさに対応した直径のものを選択する。
【0012】
補助切断線606とコアドリルで円形に重複切断した部分73の切断線に楔やバールを差し込んで力を加えることによって細片に細分化されたコンクリートを撤去してピットを形成する。
【0013】
図3に示すように、ワイヤソー駆動装置1の変換プーリ31がピットの真上になるように床版上に設置し、固定脚を延ばして固定する。油圧ユニットとワイヤソー駆動装置1の油圧モータを油圧ホースで接続する。変換プーリ31が設けてあるアーム25はピットの深さに応じて固定位置を変更して下方に延ばして変換プーリ31をピット内に位置させ、駆動プーリ3に巻きまわされたワイヤソー4を溝内に配設して斜線で示す切断対象部分を取り囲んで溝の内部を一周させる。
【0014】
ワイヤソー4を緊張させ、駆動プーリ3を回転させて溝の内部を循環走行させるとワイヤソー4が床版コンクリートに食い込み、水平切断が開始される。
本実施例では、1次切断として中央部の補助切断線605まで水平切断が完了したところで中断し、図4に示す周辺部の切断部分(二重斜線部分)を撤去する。継手5の周囲に幅150mmの溝が形成される。
【0015】
そこで、図5に示すように、ワイヤソー駆動装置1を移動させて残りの半分部分の2次切断として水平切断をおこなう。水平切断が完了したら、図6に示すように二重斜線部分を撤去し、継手5を周囲の床版コンクリートから完全に遊離させ、引き上げ用の金具を継手5に溶接してクレーンで持ち上げて撤去する。
【0016】
ワイヤソー4の走行をガイドする水平プーリを中間部に設けないで水平切断を実施すると、ワイヤソーの引っ張り側が先に切断されていき、折り返し部分が徐々に鋭角となって応力が集中し、ワイヤソーが破断されるなどの支障をきたすため、中間部に水平プーリを設置することによって均等に切断をおこなわせることが好ましい。
【0017】
水平プーリ35の設置は、図7に示すように、溝の適所に設けたピットの底面に電動ドリルで穴8を形成し、この穴8に拡張部を有するボルト82を設置して固定する。このボルト82にワッシャー83を設置し、中央に穴を設けた硬質ゴムの円盤84をボルト82に差し込んで固定してワイヤソーをガイドする水平プーリ35とする。ゴム製円盤84の外周面には溝を形成し、ワイヤソー4がこの溝に案内されるようにするのが好ましい。
【0018】
従来は、水平プーリの設置を固定金具を使用しておこなっていたが、この方法によれば底面にドリルで穿孔するだけでよく、迅速に水平プーリを設置することができ、切断撤去作業の工期を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ワイヤソー駆動装置の正面図。
【図2】切断作業の切断線の説明図。
【図3】1次切断作業開始時の平面図。
【図4】1次切断作業完了時の平面図。
【図5】2次切断作業開始時の平面図。
【図6】2次切断作業完了時の平面図。
【図7】水平プーリの断面図。
【図8】従来のワイヤソー駆動装置の正面及び側面図。
【符号の説明】
【0020】
1 ワイヤソー駆動装置
2 基台
3 駆動プーリ
31 変換プーリ
4 ワイヤソー
5 継手
【出願人】 【識別番号】592236197
【氏名又は名称】福島 修
【出願日】 平成18年11月4日(2006.11.4)
【代理人】 【識別番号】100108327
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 良和


【公開番号】 特開2008−114469(P2008−114469A)
【公開日】 平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願番号】 特願2006−299729(P2006−299729)