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【発明の名称】 脆性材料の割断方法
【発明者】 【氏名】小関 良治

【要約】 【課題】

【解決手段】第1加工ヘッド7Aを移動させて上記カッター14Aによって割断予定線101の一端101aから他端101bまで微小な溝M1を形成するとともに、該溝Mにレーザ光Lを照射しながら、検査装置15によって溝M1から亀裂が進展して割断されたか否かを検査する。この検査装置15の検出信号をもとにして記憶手段13Aは非割断部分の位置を記憶する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脆性材料に対して相対移動される加工ヘッドと、上記加工ヘッドに設けられるとともに上記脆性材料の割断予定線に沿って脆性材料に微小な連続する溝を形成する溝形成機構と、上記加工ヘッドに設けられるとともに上記溝形成機構に追従して移動されながら上記脆性材料にレーザ光を照射して上記微小な溝から亀裂を進展させる割断機構と、上記加工ヘッドに設けられて上記割断予定線の箇所が割断されたか否かを検査する検査装置と、この検査装置によって検出された非割断部分の位置を記憶する記憶手段とを備えて、
上記脆性材料に対して上記加工ヘッドを割断予定線の一端から他端まで移動させて、上記溝形成機構により上記割断予定線に沿って連続する微小な溝を形成したのちに上記割断機構によって上記微小な溝から亀裂を進展させて割断するとともに、上記検査装置によって割断部分を検出する一方、上記検査装置によって検出した非割断部分の位置を上記記憶手段で記憶するようにして、
非割断部分を検出した場合には、上記加工ヘッドを非割断部分に沿って移動させて、上記溝形成機構によって溝を形成することなく上記割断機構により脆性材料にレーザ光を照射して脆性材料を割断予定線のとおりに割断することを特徴とする脆性材料の割断方法。
【請求項2】
上記検査装置は、上記脆性材料に向けて検査光を照射する検査光照射手段と、この検査光照射手段から照射した検査光が脆性材料の割断面によって反射された反射光を受光する受光手段とを備え、
上記検査光照射手段と受光手段とを上記被加工物の表面側に配置して、非割断部分を検出するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の脆性材料の割断方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は脆性材料の割断方法に関し、より詳しくは、例えばガラスの表面に微小な溝を形成した後に該溝にレーザ光を照射してガラスを割断する場合に好適な割断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脆性材料であるガラス板を割断する割断方法は公知である。こうした従来の割断方法においては、先ずガラスにおける割断予定線に沿ってメカニカルカッターによってガラスの表面に微小な連続する溝を形成し、その溝に沿ってCO2レーザ光を照射して加熱することで上記溝から亀裂を進展させて、割断予定線のとおりにガラスを割断するようになっている。
上述したガラスの割断は、できるだけ高速での割断処理が要求されるが、レーザ光の移動速度が速すぎるとガラスが完全に割断されない非割断部分が発生することがある。
そこで、従来では、ガラスが割断予定線のとおりに完全に割断されたかどうかを検査するようにしており、そのような検査装置として例えば特許文献1が提案されている。特許文献1の検査装置は、加工ヘッドを移動させるのではなく脆性材料を水平面において加工ヘッドに対して相対移動させるようにしてあり、脆性材料に生じる亀裂の先頭をカメラで撮像して画像処理することで、ガラスが割断されたか否かを判定するようにしている。
【特許文献1】特開平10−323778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来の加工方法において、ガラスの割断加工中に上述した特許文献1のような検査装置によって割断されていない非割断部分を検出した場合には、その非割断部分を完全に割断する必要がある。
この場合には、レーザ光を照射する加工ヘッドとメカニカルカッターを上記非割断部分まで一度後退させてから割断予定線に沿って再度メカニカルカッターによって微小な溝を形成し、その後、該微小な溝に加工ヘッドからレーザ光を照射して割断することになる。
しかしながら、このように非割断部分にメカニカルカッターによって再度微小な溝を形成すると、前回形成されていた微小な溝と今回形成した微小な溝の位置がずれる可能性がある。そのため、それら微小な溝に段差が形成されたり、溝が二重になる部分が形成され、それらの部分にレーザ光が照射されて割断されると不良製品が発生するという問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した事情に鑑み、請求項1に記載した本発明は、脆性材料に対して相対移動される加工ヘッドと、上記加工ヘッドに設けられるとともに上記脆性材料の割断予定線に沿って脆性材料に微小な連続する溝を形成する溝形成機構と、上記加工ヘッドに設けられるとともに上記溝形成機構に追従して移動されながら上記脆性材料にレーザ光を照射して上記微小な溝から亀裂を進展させる割断機構と、上記加工ヘッドに設けられて上記割断予定線の箇所が割断されたか否かを検査する検査装置と、この検査装置によって検出された非割断部分の位置を記憶する記憶手段とを備えて、
上記脆性材料に対して上記加工ヘッドを割断予定線の一端から他端まで移動させて、上記溝形成機構により上記割断予定線に沿って連続する微小な溝を形成したのちに上記割断機構によって上記微小な溝から亀裂を進展させて割断するとともに、上記検査装置によって割断部分を検出する一方、上記検査装置によって検出した非割断部分の位置を上記記憶手段で記憶するようにして、非割断部分を検出した場合には、上記加工ヘッドを非割断部分に沿って移動させて、上記溝形成機構によって溝を形成することなく上記割断機構により脆性材料にレーザ光を照射して脆性材料を割断予定線のとおりに割断する要にした脆性材料の割断方法を提供するものである。
また、請求項2に記載した本発明は、上記請求項1の構成に加えて、上記検査装置は、上記脆性材料に向けて検査光を照射する検査光照射手段と、この検査光照射手段から照射した検査光が脆性材料の割断面によって反射された反射光を受光する受光手段とを備え、上記検査光照射手段と受光手段とを上記被加工物の表面側に配置して、非割断部分を検出するようにしたものである。
【発明の効果】
【0005】
上述した構成によれば、割断予定線に沿ってその一端から他端まで微小な溝が形成されると、その後、改めて割断予定線に沿って微小な溝が形成されることがなく、その状態で非割断部分へ割断機構からレーザ光が照射されて非割断部分が割断される。つまり、非割断部分を割断するに際して割断予定線に沿って微小な溝が二重に形成されることはないので、前回形成された割断予定線のとおりに非割断部分が割断される。
したがって、脆性材料に加工を施して非割断部分が生じた場合であっても、割断予定線のとおり正確に脆性材料を割断することができる。
また、加工ヘッドに検査装置を設けることにより、効率よく脆性材料を割断しながら実際に脆性材料が割断されたか否かを検査することができる。
非割断部分の検出装置として検査光照射手段と受光手段を加工ヘッドに設けることにより、検査装置の構成を簡略化し、小型にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、図1において1はレーザ割断装置であり、このレーザ割断装置1は脆性材料としての素材ガラス2を所定寸法の方形に割断する装置である。
レーザ割断装置1は、水平で平坦な載置面3Aを有し、予め方形に形成された素材ガラス2を上記載置面3A上に支持する加工テーブル3と、この加工テーブル3の一側の隣接位置に配置されて素材ガラス2を支持する素材テーブル4と、上記加工テーブル3の他側の隣接位置に配置されて加工テーブル3から搬出される製品としてのガラス基板2’を支持する製品テーブル5とを備えている。
【0007】
上記加工テーブル3の載置面3Aには図示しない多数の孔を形成してあり、所要時にこれら多数の孔からエアを噴出することで、載置面3A上に素材ガラス2を浮上させることができる。他方、載置面3Aに素材ガラス2が載置されてから上記多数の孔に負圧を作用させることで、載置面3Aに素材ガラス2を吸着保持できるようになっている。上記素材テーブル4および製品テーブル5の載置面にも上記加工テーブル3と同様に多数のエアを給排する孔を設けてあり、所要時に素材ガラス2あるいはガラス基板2’を載置面に吸着し、或いは載置面上に浮上させるようにしている。なお、素材ガラス2や製品ガラス2’の搬送面となる各テーブル間にも所要時にエアを噴出する孔が設けられている。
【0008】
また、レーザ割断装置1は、レーザ光Lを発振するレーザ発振器6と、後述する移動機構によって水平面のXY方向にそれぞれ独立して移動されてレーザ光Lを加工テーブル3上の素材ガラス2に向けて照射する第1加工ヘッド7Aおよび第2加工ヘッド7Bと、レーザ発振器6から発振されたレーザ光Lを両加工ヘッド7A、7Bへ分割して案内する複数の光学部品からなる導光手段11とを備えている。
また、レーザ割断装置1は、素材ガラス2や割断後のガラス基板2’を吸着保持可能な複数の吸着パッド12A、12Bを有して上記素材テーブル4と加工テーブル3と製品テーブル5とにわたってX方向に移動される枠状の搬送手段12と、上記搬送手段12、レーザ発振器6および両加工ヘッド7A、7Bの作動を制御する制御装置13とを備えている。なお、本レーザ割断装置1の第1加工ヘッド7Aの図1における下方への移動端、図1における右方への移動端、加工テーブル3の載置面3Aを基準としたXYZ座標系が設定され、制御装置13に登録された加工プログラムに従って各部を制御するようになっている。
【0009】
図2に示すように、割断機構としての上記第1加工ヘッド7Aおよび第2加工ヘッド7Bを回転可能に構成するとともに、これら各加工ヘッド7A、7Bにメカニカルカッター14Aを有する溝形成機構14と素材ガラス2が割断されたか否かを検査する検査装置15を設けている。
加工テーブル3上にはY方向と平行な一対の可動ガイドレール16、16’を設けてあり、それら各可動ガイドレール16、16’に上記各加工ヘッド7A、7BをY方向に移動可能に取り付けている。各加工ヘッド7A、7Bは第1移動機構17、17によって可動ガイドレール16、16’に沿ってY方向に移動されるようになっている。
また、各可動ガイドレール16、16’の両端部は、加工テーブル3を挟んで配置された一対のX方向ガイドレール18、18’に係合されており、上記両加工ヘッド7A、7Bを取り付けた各可動ガイドレール16、16’は図示しない第2移動機構によってX方向ガイドレール18、18’に沿ってX方向に移動されるようになっている。上記第1移動機構17および上記第2移動機構の作動は制御装置13によって作動されるようになっている。制御装置13は、第1移動機構17および第2移動機構の作動を制御して、各加工ヘッド7A、7Bを水平面においてXY方向に移動させることができるようになっている。
【0010】
図2に示すように、第1加工ヘッド7Aは、可動ガイドレール16にY方向に移動可能に係合されたブラケット21と、このブラケット21に回転自在に支持された環状部材22と、この環状部材22に上端部を連結されて、かつ軸心が鉛直方向に維持された角筒部材23と、この角筒部材23の内周部の下方に取り付けられたシリンドリカルレンズ24と、環状部材22の上方に傾斜させた状態でブラケット21に連結された反射鏡25を備えている。
また、図1に示すように、第1加工ヘッド7Aのブラケット21には上記反射鏡25の手前となるレーザ光Lの光路上にビームホモジナイザー26を固定して設けている。レーザ発振器6から発振されたレーザ光Lが導光手段11を経てビームホモジナイザ26を透過することで、該レーザ光Lの強度分布がトップハット状に形成され、かつレーザ光Lに約5度の拡がり角度が付与されるようになっている。
そして、ビームホモジナイザー26を透過したレーザ光Lは反射鏡25によって鉛直下方に向けて反射されてからシリンドリカルレンズ24を通過した後に、素材ガラス2に照射されるようになっている。レーザ光Lはシリンドリカルレンズ24を透過することで、図3に示すように、進行方向(加工方向)において細長い木の葉状の断面形状に形成されるようになっている。レーザ光Lをこのような断面形状にして素材ガラス2に照射することで、断面が円形のレーザ光Lを素材ガラス2に照射して加工する場合に比較して、加工速度を速くすることができるようになっている。
【0011】
後に詳述するが、素材ガラス2の表面2Aに設定した直線の割断予定線101上の全域に先ずメカニカルカッター14Aで連続する微小なV字状の溝M1を形成し、メカニカルカッター14Aに追従させて上記微小な溝M1に対してレーザ光Lを移動させながら照射するようにしている。微小な溝M1はレーザ光Lが照射されて加熱されることで溝の底部を基点にした亀裂が裏面2Bまで到達することにより素材ガラス2が割断されるようになっている。
第1加工ヘッド7Aおよびそれと同じ構成とした第2加工ヘッド7Bは、溝形成機構14によって形成した微小な溝M1から亀裂を進展させて割断する割断機構を構成している。
一体になっている上記環状部材22と角筒部材23はブラケット21の上部に設けたアクチュエータ27に連動しており、このアクチュエータ27は上記制御装置13によって作動を制御されるようになっている。制御装置13によって所要時にアクチュエータ27が作動されると、鉛直方向の軸心を回転中心として上記環状部材22と角筒部材23が所要角度だけ回転されるようになっている。
【0012】
上記角筒部材23の下部外側面にブラケット28を介して上記溝形成機構14を取り付けるとともに、溝形成機構14に対して円周方向に180度位置をずらして上記検査装置15を取り付けている。それにより、角筒部材23の軸心の位置を通過するレーザ光Lの光路を挟んだ前後位置にメカニカルカッター14Aと検査装置15を位置させている。
上記アクチュエータ27により第1加工ヘッド7Aの角筒部材23を所要角度だけ回転させることで、メカニカルカッター14A,レーザ光Lおよび検査装置15は上述した位置関係を維持したままで水平面において回転させることができる。
ブラケット28を介して角筒部材23に昇降機構31が取り付けられており、この昇降機構31によってメカニカルカッター14Aが昇降されるようになっており、上記昇降機構31の作動は制御装置13によって制御されるようになっている。
制御装置13からの指令によって昇降機構31がメカニカルカッター14Aを下降端まで移動させると、メカニカルカッター14Aの下端が加工テーブル3上の素材ガラス2の表面2Aに当接する高さに位置されるようになっている。この状態において第1加工ヘッド7Aが上記第1移動機構17あるいは第2移動機構によって移動されると、メカニカルカッター14Aが転動することで素材ガラス2の表面2Aに連続する微小な溝M1が形成されるようになっている(図3参照)。
また、制御装置13からの指令によって昇降機構31がメカニカルカッター14Aを上昇端まで移動させると、メカニカルカッター14Aの下端は素材ガラス2から離隔するようになっている。この状態では、メカニカルカッター14Aによって素材ガラス2に溝を形成できないようになっている。
【0013】
つぎに、検査装置15は、図2および図3に示すように、検査光L1を素材ガラス2の割断加工箇所へ照射する検査光照射手段32と、この検査光照射手段32から素材ガラス2へ照射された検査光L1が素材ガラス2から反射される際の反射光L2を受光する受光手段33と、受光手段33が受光した反射光L2を基にして、完全に割断された割断箇所および割断されなかった非割断部分を記憶する上記制御装置13に設けた記憶手段13Aとを備えている(図1参照)。
検査光照射手段32および受光手段33は、角筒部材23の外周部の下端に連結されたブラケット34に上下に隣接させて連結されている。検査光照射手段32は、素材ガラス2の表面2Aに設定した割断予定線101となる箇所に対して直交方向であって、かつ素材ガラス2の表面2Aに対して斜め上方から検査光L1を照射するようになっている。脆性材料としての素材ガラス2に対して透明な波長であって、ある程度の強さと直進性が必要なため、検査光L1としてレーザ光を採用している。制御装置13によって検査光照射手段32が作動されると、該検査光照射手段32から素材ガラス2に対して検査光L1としてのレーザ光が照射されるようになっている。
【0014】
受光手段33は、上記検査光照射手段32に隣接させてその直上となる位置にに配置されている。このように、本実施例では、素材ガラス2の表面2Aの上方側であって、かつ上下に近接した位置に検査光照射手段32と受光手段33を配置している。
受光手段33は、受光した反射光L2の受光量によってO N/OFF信号を発信するフォトセンサからなり、この受光手段33から発信された信号は上記制御装置13に送信されるようになっている。
検査装置15は、次のような原理によって素材ガラス2からの反射光L1を受光手段33によって受光するようにしている。
すなわち、割断機構のレーザ光Lが照射された割断予定線101の箇所が溝から裏面部まで完全に割断された場合には、図4に示すように、割断箇所には、割断予定線101に沿って、かつ僅かに離隔した一対の鉛直方向の割断面2C、2Dが生じる。
レーザ光Lの移動に追従して検査光照射手段32から検査光L1が素材ガラス2に向けて照射されると、検査光L1は素材ガラス2の表面2Aから内部へ進入して、内部の裏面2Bによって反射される(図4参照)。その後、検査光L1は順次、素材ガラス2の内部の表面2Aと内部の裏面2Bとで交互に反射されてから割断面2Cによって反射された後に、反射光L2として素材ガラス2の表面2Aを透過して素材ガラス2の外部へ出てから上記受光手段33によって受光されるようになっている。
このように、素材ガラス2が割断予定線101のとおりに割断されて、一対の割断面2C、2Dが生じた場合には、割断面2Cによって反射された反射光L2が受光手段33によって受光されるようになっている。
換言すると、上記受光手段33を、上記割断面2Cからの反射光L2が得られる位置で、かつ検査光照射手段32の近接上方位置に配置している。
【0015】
他方、割断予定線101の箇所が割断されなかった場合には、素材ガラス2における割断予定線101の箇所には上述した一対の割断面2C、2Dが生じない。つまり、この場合には、検査光照射手段32から検査光L1が素材ガラス2に対して照射されても、素材ガラス2の割断面によって反射される反射光L2が受光手段33に受光されることはない。
そして、図3に略図で示すように、第1加工ヘッド7Aを素材ガラス2の割断予定線101に沿って移動させながらレーザ光Lをメカニカルカッター14Aによって形成された溝M1の箇所に照射し、さらにまた上記レーザ光Lの移動に追従して検査光照射手段32から素材ガラス2へ検査光L1を照射するようにしている。その際に上記受光手段33により素材ガラス2からの反射光L2の有無を信号として常に上記制御装置13へ送信し、制御装置13は、反射光L2有を示す信号が無を示す信号に変化した場合に、その変化したタイミングにおける割断予定線と検査光とが交差する位置、つまり非割断部分となる先頭位置のXY座標値を記憶手段13Aに記憶するようにしている。これにより、割断予定線101の割断部分、および非割断部分を認識することができるようになっている。
後述するが、制御装置13は上記記憶手段13Aに保存したデータを基にして、反射光L2が得られなかった部分、つまり非割断部分に再度レーザ光Lを照射させることで、素材ガラス2の割断予定線101の全域を完全に割断できるようにしている。
なお、上記検査装置15における検査光照射手段32と受光手段33の配置を逆にしても良い。このように検査装置15は高価なカメラや画像処理装置を設けることなく、安価なフォトセンサで受光手段13を構成している。
また、第1加工ヘッド7Aにおける角筒部材23の下端部の外周には、レーザ光Lの光路を挟んでエア噴射・吸引用のノズル35が配置されている。素材ガラス2を割断加工する際にはノズル35によって大気を吸引するようにしてあり、割断加工部分で生じるカレットを上記ノズル35で吸引して回収するようにしている。それにより、カレットが加工部分の周辺に飛散しないようにしている。
また、他方の第2加工ヘッド7Bの構成は上述した第1加工ヘッド7Aと同様に構成してあり、制御装置13は両加工ヘッド7A、7Bの作動をそれぞれ独立して制御するようになっている。
【0016】
以上の構成において、上記レーザ割断装置1による素材ガラス2の割断は次のようにして行われる。
すなわち、素材テーブル4上に長方形をした1枚の素材ガラス2が所定位置に供給されると、素材テーブル4上まで搬送手段12が移動されて、該搬送手段12の枠状フレームにおけるX方向の一端側の吸着パッド12Aによって素材ガラス2の上面における加工テーブル3側の部分が吸着保持される。
この後、素材テーブル4、加工テーブル3の載置面3A及び両テーブル間に上述した複数の孔からエアが噴出され、素材テーブル4上の素材ガラス2がエアによって浮上される。その状態において、該素材ガラス2を保持した状態の搬送手段12がX方向に移動されることで、搬送手段12に保持された素材ガラス2が加工テーブル3上の所定位置に搬送される。このあと、素材テーブル4と加工テーブル3の載置面および両テーブル間のエア噴出が停止され搬送手段12による素材ガラス2の保持状態は解放されるとともに、加工テーブル3の載置面3Aの孔に負圧が導入されるので、その負圧によって載置面3Aに素材ガラス2が吸着保持される。
【0017】
制御装置13は、上記第1移動機構17と第2移動機構およびアクチュエータ27を作動させることにより、第1加工ヘッド7Aを進行方向に向けてメカニカルカッター14Aが先行するようにして素材ガラス2の割断予定線101の一端101aの延長線上外方に位置させて、昇降機構31により溝形成機構14のメカニカルカッター14Aを下降端まで下降させる。また、同様にして制御装置13は第2加工ヘッド7Bをメカニカルカッター14Aが先行するようにして素材ガラス2の割断予定線102の一端102aの延長線上外方に位置させるとともに、昇降機構31により第2加工ヘッド7Bのメカニカルカッター14Aを下降端まで下降させる。
この状態において、制御装置13は、第1移動機構17および第2移動機構を介して両加工ヘッド7A、7Bを割断予定線101、102に向けて移動させてから割断予定線101、102に沿って所定速度で移動させる。また、両加工ヘッド7A、7Bを移動させた後に、制御装置13はレーザ発振器6を作動させてレーザ光Lを発振させるとともに、両加工ヘッド7A、7Bの検査光照射手段32から素材ガラス2に向けて検査光L1を照射する(図1〜図3参照)。
このように両加工ヘッド7A,7Bが移動されることに伴って、両加工ヘッド7A、7Bのメカニカルカッター14Aが割断予定線101、102の一端101a、102aに当接し、そこから他端101b、102bまで素材ガラス2の表面に微小な溝M1が形成されるとともに、そのように形成される溝M1に対してレーザ光Lが移動されながら照射される。また、レーザ光Lの移動に追従するようにレーザ光Lが照射された素材ガラス2の割断加工箇所に向けて検査光照射手段32から検査光L1が継続して照射されるとともに、受光手段33によって素材ガラス2からの反射光L2の有無が信号として制御装置13に送信される。
【0018】
上述したように、素材ガラス2に形成された微小な連続する溝M1から亀裂が進展して素材ガラス2が完全に割断されると、図4に示したように素材ガラス2の割断予定線101、102の箇所に割断面2C、2Dが発生し、検査装置15に近い割断面2Cに反射された反射光L2が受光手段33によって検出される。他方、素材ガラス2が完全に割断されない非割断部分が生じた場合には、割断面2C,2Dはできないので、受光手段33によって反射光L2を得ることができない。
制御装置13によって両加工ヘッド7A、7Bを割断予定線101,102の一端101a、102aから他端101b、102bを過ぎる位置まで一旦移動させて両割断予定線101、102の全域にわたって微小な連続する溝M1を形成し、その過程においてレーザ光Lを該微小な溝M1に照射して素材ガラス2を加熱することで割断加工を行う。そして、さらに上記検査装置15の受光手段33によって反射光L2の検出が途切れた時点で、つまり非割断部分が生じた際に、制御装置13はレーザ発振器6からのレーザ光Lの発振を停止させるとともに、上記記憶手段13Aに反射光L2が得られなかった位置のXY座標値を記憶しておく。
【0019】
この後、記憶手段13Aの記憶内容を基にして非割断部分が生じている場合には、制御装置13は、昇降機構31によって溝形成機構14を上昇させてメカニカルカッター14Aを素材ガラス2から離隔させた状態で、第1移動機構17と第2移動機構によって、両加工ヘッド7A、7Bを割断予定線101、102に沿って反射光L2が得られなかった非割断部分まで後退させる。
その後、制御装置13は、割断予定線101、102に沿って非割断部分から再度両加工ヘッド7A、7Bを移動させるとともに、再度レーザ発振器6からレーザ光Lを発振させて非割断部分から他端までレーザ光Lを照射させ、かつその際にも検査装置15によって検査光L1を素材ガラス2に対して照射するとともに、反射光L2の有無を検出して非割断部分の発生を検査する。
つまり、メカニカルカッター14Aを素材ガラス2から離隔させた上方に維持した状態で、両加工ヘッド7A、7Bを割断予定線101、102に沿って移動させつつ、既に形成されている溝M1における非割断部分に再度レーザ光Lを照射することで、非割断部分に形成されている溝M1から亀裂を進展させて素材ガラス2を完全に割断するようにしている。
このようにして、レーザ割断装置1によってY方向の割断予定線101、102のとおりに両加工ヘッド7A、7Bにより素材ガラス2を割断する。
【0020】
次に、素材ガラス2をさらにX方向の図示しない割断予定線に沿って割断する場合には、制御装置13によってアクチュエータ27を介して両加工ヘッド7A、7Bを90度回転させるとともに、第1移動機構17および第2移動機構によって各加工ヘッド7A、7Bを所要位置までそれぞれ移動させる。
この後、制御装置13は、上述した両割断予定線101、102を割断した場合と同様に、上記各構成部材の作動を制御して、X方向の図示しない割断予定線の箇所を各加工ヘッド7A、7Bによって割断する。
このようにして、レーザ割断装置1による素材ガラス2の割断が終了したら、加工テーブル3の載置面3Aの孔への負圧の導入を停止して、素材ガラス2から切り落とした残材を図示しない除去装置によって加工テーブル3上から除去する。
この後、すべてのテーブル及び各テーブル間に上述した多数の孔からエアが噴出され、製品としてのガラス基板2’が加工テーブル3の載置面3A上に浮上される。
【0021】
また、これと同時に既に素材テーブル4に供給されている素材ガラス2も素材テーブル4の載置面に供給されたエアによって浮上されている。そして、搬送手段12におけるX方向の一端側の吸着パッド12Aによって素材ガラス2が吸着保持されると同時に、搬送手段12におけるX方向の他端側の吸着パッド12Bによって加工テーブル3上のガラス基板2’が吸着保持される。
この後、搬送手段12は製品テーブル5に向けてX方向に平行移動されるので、新たな素材ガラス2が加工テーブル3上に供給されるとともに、製品としてガラス基板2’が製品テーブル5上に搬出される(図1参照)。
この後、各部のエア噴出が停止され搬送手段12による吸着パッド12A、12Bによる素材ガラス2とガラス基板2’の保持状態が解除されるとともに、加工テーブル3及び製品テーブル5の各載置面の孔に負圧が導入されて、新たな素材ガラス2及びガラス基板2’が各テーブルに吸着支持されるようになっている。
【0022】
以上のように、本実施例においては、第1加工ヘッド7Aを移動させて割断予定線101の一端101aから他端101bまでメカニカルカッター14Aにより割断予定線101に微小な溝M1を形成し、かつそれにレーザ光Lを照射して割断加工を施し、その過程において検査装置15によって完全に割断された部分と非割断部分を検査して、非割断部分の位置を記憶手段13Aによって記憶するようにしている。そして、その後に、メカニカルカッター14Aを上方に支持した状態で第1加工ヘッド7Aを後退させ、それからメカニカルカッター14Aを上方に維持したままで第1加工ヘッド7Aを移動方向に移動させて、先に形成されている溝M1にレーザ光Lを照射するようにしている。
そのため、非割断部分には二重に微小な溝M1が形成されることがなく、先に形成された単一の微小な溝M1があるだけであり、その溝M1を基点としてレーザ光Lによって亀裂が進展して素材ガラス2が完全に割断される。
そのため、本実施例のレーザ割断装置1による加工方法によれば、割断予定線101(102)のとおりに素材ガラス2を正確に割断することができ、不良製品が生じることがない。
また、各加工ヘッド7A、7Bには、溝形成機構14、割断機構および検査装置15を設けてあり、検査装置15の検査光照射手段32と受光手段33は近接して配置され、さらに溝形成機構14、割断機構及び検査装置15を一体としてアクチュエータ27によって回転可能に設けている。
このように構成することで、検査装置15の構成を小型化することができ、ひいてはレーザ割断装置1全体を小型化することができる。
また、検査光を割断面に対して直交方向から照射し、直交する方向の反射光を受光する上記検査装置15であれば、素材ガラス2における2本の割断予定線がXY方向で直交するような場合であっても、割断部分と非割断部分を正確に検出することができる。この場合には、XY方向のいずれかの割断予定線が先に割断されてから他方の割断予定線を割断することになるが、このような場合であっても上記検査装置15によれば、素材ガラス2の割断部分と非割断部分とを正確に検出することができる。
【0023】
次に、図5は、各加工ヘッド7A、7Bに設ける検査装置15に関する他の実施例を示したものである。すなわち、上記第1実施例においては、素材ガラス2が完全に割断されるときに割断面2C、2Dが現れることに着目して割断面2Cからの反射光L2を受光手段33によって受光していたが、この第2実施例においては、受光手段33の配置位置を次のように変更している。つまり、受光手段33は、素材ガラス2の割断予定線101に形成されるであろう割断面2C、2Dを挟んで、検査光照射手段32と反対側となる素材ガラス2の表面2A側に配置されている。そして、この場合には、検査光照射手段32から素材ガラス2に向けて検査光L1が照射されると、検査光L1は表面2Aから素材ガラス2の内部に進入した後に内部の裏面2Bに反射されてから内部の表面2Aを透過して素材ガラス2の外部に出て反射光L2として受光手段33によって受光されるようになっている。
つまり、割断加工箇所は検査光L1が素材ガラス2の表面2A側から進入する位置2A’と反射光L2が表面2Aを透過して外部へ出る位置2A’’との間に位置することになる。そのため、素材ガラス2が完全に割断されると、この場合には、両方の位置2A’、2A’’の間に割断面2C、2Dが生じるので、その場合には反射光L2の一部は割断面2Cで反射されるため受光手段33によって受光される反射光L2の強度が弱くなる。他方、割断面2C、2Dが生じない場合には、受光手段33によって受光される反射光L2の強度が強くなる。このような反射光L2の強度の違いによって素材ガラス2が割断されたか否かを検査するようになっている。
検査装置15以外の構成は上述した第1実施例と同じであり、このような構成の第2実施例によっても上述した第1実施例と同様の作用・効果を得ることができる。
【0024】
なお、レーザ割断装置1による素材ガラス2の加工工程としては、次のような加工工程であっても良い。つまり、上述したように両加工ヘッド7A、7Bを割断予定線101、102に沿って移動させて、その一端から他端まで溝M1を形成しながら、検査装置15によって割断予定線101の割断加工箇所に非割断部分があることを検出しても、そのまま各加工ヘッド7A、7Bからのレーザ光Lの照射を継続させ、各メカニカルカッター14Aによって割断予定線101、102の終端まで溝M1を形成するようにしてもよい。
その後は、上述したように、非割断部分まで両加工ヘッド7A、7Bを後退させてから再度非割断部分にレーザ光Lを照射させて素材ガラス2を完全に割断する。このような加工工程であっても、上述した実施例と同様の作用・効果を得ることができる。
また、溝形成機構による微小な溝の形成とレーザ光からなる割断機構による亀裂の進展を別々に行っても良い。
また、上述した実施例においては、微小な溝M1を形成する溝形成機構14としてメカニカルカッター14Aを用いているが、その代わりにレーザ光を用いた溝形成機構14を採用して、両加工ヘッド7A、7Bからレーザ光Lにより加熱するのに先行して溝形成機構14から素材ガラス2にレーザ光を照射することで表面2Aあるいは裏面2Bに微小な連続する溝を形成するようにしてもよい。
さらに、上述した実施例における検査装置15としては投受光式センサを用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施例を示す平面図。
【図2】図1のII―II線に沿う要部の断面図。
【図3】図1の第1加工ヘッド7Aによる素材ガラス2の加工状態を示す概略の構成図。
【図4】図3に示した検査装置15と素材ガラス2との関係を示した断面図。
【図5】本発明の第2実施例としての検査装置15の要部を示す断面図。
【符号の説明】
【0026】
2…素材ガラス 7A…第1加工ヘッド(割断機構)
7B…第2加工ヘッド(割断機構) 13A…記憶手段
15…検査装置 101…割断予定線
101a…一端 101b…他端
L…レーザ光
【出願人】 【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
【出願日】 平成18年11月2日(2006.11.2)
【代理人】 【識別番号】100082108
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真一郎


【公開番号】 特開2008−114446(P2008−114446A)
【公開日】 平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願番号】 特願2006−298907(P2006−298907)