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【発明の名称】 孔壁目荒らし装置及び孔壁目荒らし方法
【発明者】 【氏名】和田 収司

【氏名】武石 裕幸

【氏名】田邊 成

【氏名】木村 敦志

【氏名】織田 秀一

【要約】 【課題】目荒らし深さを数センチ程度まで深くして、孔壁の付着耐力を最大付着力程度まで向上させること、装置の軽量・コンパクト化が可能であり、しかも回転ブレが生じないように配慮すること、目荒らし精度も従来以上に確保できる技術を提供すること。

【解決手段】削孔した孔1内に挿入されるロッド2と、ロッドをその軸回りに回転駆動する駆動手段3と、ロッドをその軸方向に昇降移動させる昇降手段4と、ロッドの先端部に設けられた目荒らし手段5とを備える。目荒らし手段は、孔の径方向に沿って相対配置される二つの流体圧ピストンと、流体圧ピストンをロッドの先端部に保持する保持部材と、流体圧ピストンのピストンロッドに設けられ、ロッドの回転により孔の壁面を切削して目荒らしするローラビットと、保持部材に設けられ、ロッドの回転により孔の内周面に沿って転動する複数のガイドローラとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
削孔した孔の壁面の目荒らしを行う孔壁目荒らし装置であって、
削孔した孔内に挿入されるロッドと、
前記ロッドをその軸回りに回転駆動する駆動手段と、
前記ロッドをその軸方向に昇降移動させる昇降手段と、
前記ロッドの先端部に設けられた目荒らし手段とを備え、
前記目荒らし手段は、
前記孔の径方向に沿って相対配置される二つの流体圧ピストンと、
前記流体圧ピストンを前記ロッドの先端部に保持する保持部材と、
前記流体圧ピストンのピストンロッドに設けられ、前記ロッドの回転により前記孔の壁面を切削して目荒らしするローラビットと、
前記保持部材に設けられ、前記ロッドの回転により前記孔の内周面に沿って転動する複数のガイドローラと、を含むことを特徴とする孔壁目荒らし装置。
【請求項2】
前記目荒らし手段よりも上方のロッド部分に、前記孔内でのロッドの回転中心位置を保持する保持ローラを設けたことを特徴とする請求項1に記載の孔壁目荒らし装置。
【請求項3】
前記保持ローラは、回転中心となる前記ロッドを貫通させるロッド貫通孔と、前記孔の内径よりも小径の外周面とを有し、前記ロッドと保持ローラとの間には、ロッドの軸方向に対する保持ローラの移動範囲を制限するストッパが設けられている請求項2に記載の孔壁目荒らし装置。
【請求項4】
前記保持ローラは合成樹脂製であって、その軸方向の両端近くの外周面は、保持ローラの両端に向かうに従ってその外径を小さくする斜面に形成されている、請求項2又は請求項3に記載の孔壁目荒らし装置。
【請求項5】
前記ガイドローラは、前記孔の径方向で相対する2位置にそれぞれ配置され、前記二つのガイドローラが相対する方向と、前記二つのローラビットが相対する方向とが互いに直交する配置である、請求項1〜請求項4の何れかに記載の孔壁目荒らし装置。
【請求項6】
前記ロッドの内部には流体通路が形成され、前記流体圧ピストンは、前記流体通路を経由して供給される加圧水により作動することを特徴とする、請求項1〜請求項5の何れかに記載の孔壁目荒らし装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6に記載の孔壁目荒らし装置を用いた孔壁目荒らし方法であって、
前記駆動手段により前記ロッドを前記孔内でその軸回りに回転駆動する第1工程と、
前記流体圧ピストンに加圧流体を供給して前記ローラビットを孔の径方向へ相対移動させる第2工程と、
前記昇降手段により前記ロッドをその軸方向に昇降移動させる第3工程と、を行う孔壁目荒らし方法。
【請求項8】
前記第2工程では、加圧流体の圧力を調整することで、孔の径方向に対するローラビットの移動量を調整することを特徴とする、請求項7に記載の孔壁目荒らし方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、杭の施工やコアリング工事等において削孔した孔の壁面の目荒らしを行う技術として好適な孔壁目荒らし装置及び孔壁目荒らし方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば高度経済成長下に構築されたコンクリート構造基礎等については、その経年的劣化や当時の施工性からくる不良などが多く確認され、基礎補強のニーズが高まっている。また、構造物の使用過程において、上部構造物仕様変更に伴い、基礎を補強する必要性も発生する。
【0003】
これらの要因において基礎を補強する場合で、特に杭等を増し打ちする場合、既設コンクリートと杭の定着方法が課題となる。即ち、コンクリートコアカッター等で既設コンクリートに孔あけした場合、その表面が滑らかであり、杭との間にコンクリートを充填しても、充分な定着耐力が得られない。
【0004】
例えば、既設コンクリート床板と小口径杭やアンカーとの定着を行う場合、コアカッターやボーリング機械で既設コンクリート床板をくり抜き、充填材を詰めて定着させることになる。しかし、このような回転系のビットを用いた削孔機によりくり抜きを行うと、削孔面が比較的平坦になり、その分、充分な定着耐力が得られない。そこで、定着耐力を大きくしたい場合、くり抜いた孔の壁面になんらかの方法で傷を付ける目荒らし対策を行う必要がある。
【0005】
基礎で用いられる杭径は300mm以上の一般的な杭とそれ未満の小口径杭とに大別される。一般的な杭においては削孔面積が大きく、人力や高圧水等を用いた方法によっても目荒らし(表面はつり)が可能である。しかし、杭径が小さい場合、これらの方法で行うのは難しく、小口径杭の補強そのもののニーズも少なかったため、現在主立った工法は確立されていない。なお、さらに小径(100mm前後)になると、アンカー定着用のドリルビットの技術が従来から提案されている。
【0006】
特許文献1には、アンカーの施工における孔壁の目荒らし技術が記載されている。この技術は、既設コンクリートに対し、ダイヤモンドコアビットによりアンカー部材挿入用の前処理孔を削孔したのち、前処理孔の内壁面と略同径の外周面に、螺旋軌道上に沿って複数個の超硬チップを突設した切削ビットを、前処理孔内に回転させながら挿入して内壁面に超硬チップによる螺旋溝を形成するものである。
【0007】
また、削孔と同径のケーシングに硬質チップやダイヤ等を埋め込み、そのケーシングを回転させながら削孔内に挿入することで、その内壁面を目荒らしする技術も従来から採用されている。
【特許文献1】特開2000−141358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、こうした従来工法においては、以下の点で解決すべき課題があった。第1に目荒らし径の限界の問題であり、第2に目荒らし深さの限界の問題である。
【0009】
まず、目荒らし径の限界については、削孔径が20cmを越えると、回転抵抗による芯ずれ(回転中心のずれ)が生じ、削孔機械での目荒らしが困難になる問題がある。次に、
目荒らし深さの限界については、チップを埋め込んだケーシングやビットを回すことから、目荒らし深さは数mm以下となり、目荒らし効果が大きく期待できない問題がある。
【0010】
また、特許文献1に記載のように、孔の長さに相当する長尺の切削ビットを用いて孔の内壁面に螺旋溝を形成する方法では、目荒らしを必要とする孔の深さが深くなるにしたがって切削ビット自体も長大になるだけでなく、その長尺な切削ビット全体を回転させるための大きな動力源も必要になり、装置の大型化の問題、製品コストや施工コストの問題がある。
【0011】
よって、本発明は、孔の内壁面に対する目荒らし深さを数センチ程度まで深くして、孔壁の付着耐力をその壁面が本来的に持っている最大付着力程度まで向上させることができるだけでなく、装置の軽量・コンパクト化が可能であり、しかも回転ブレが生じないように配慮することで、目荒らし精度も従来以上に確保できる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、本発明では以下の手段を採用した。
本発明は、削孔した孔の壁面の目荒らしを行う孔壁目荒らし装置であって、削孔した孔内に挿入されるロッドと、ロッドをその軸回りに回転駆動する駆動手段と、ロッドをその軸方向に昇降移動させる昇降手段と、ロッドの先端部に設けられた目荒らし手段とを備え、目荒らし手段は、孔の径方向に沿って相対配置される二つの流体圧ピストンと、流体圧ピストンをロッドの先端部に保持する保持部材と、流体圧ピストンのピストンロッドに設けられ、ロッドの回転により孔の壁面を切削して目荒らしするローラビットと、保持部材に設けられ、ロッドの回転により孔の内周面に沿って転動する複数のガイドローラと、を含むことを特徴としている。
【0013】
本発明によれば、駆動手段によって回転駆動されるロッドに目荒らし手段が設けられ、目荒らし手段のローラビットは流体圧ピストンのピストンロッドに取り付けられているので、流体圧ピストンによってローラビットを孔の径方向へ相対移動させることができる。これにより、ローラビットによって孔の壁面を環状の溝状に切削して目荒らしすることができる。ここで、孔の壁面に環状の溝を形成して目荒らしする場合には、昇降手段によるローラビットの移動方向を任意に制御すればよい。また、壁面の切削深さはローラビットの移動量(孔の径方向への移動量)によって任意に制御することができる。溝幅については、厚さの異なるローラビットの選択によって任意に調整できる。
【0014】
このようにして、環状の溝の溝幅や溝深さを任意に調整できるので、付着耐力を本来壁面が持っている最大付着力程度まで向上させることができる。また、装置自体も、孔内で流体圧ピストンを作動可能にロッドに保持する保持部材と、流体圧ピストンのピストンロッドに取り付けたローラビットと、ロッドの回転駆動手段及び昇降手段とを備える構成であるので、従来に比べて格段の軽量化・コンパクト化を図ることができる。
【0015】
本発明においては、前記目荒らし手段よりも上方のロッド部分に、前記孔内でのロッドの回転中心位置を保持する保持ローラを設けた構成とすることが望ましい。このようにロッドの回転中心位置を保持する保持ローラを設けた場合、ロッドの回転ブレを効果的に抑制することができる。ロッドの回転ブレは、ロッドの長さが長いほど大きくなる傾向にある。したがって、この保持ローラはロッドが長くなった場合の回転ブレを効果的に抑制する機能を発揮する。
【0016】
ここで、前記保持ローラは、回転中心となるロッドを貫通させるロッド貫通孔と、孔の内径よりも小径の外周面とを有し、ロッドと保持ローラとの間には、ロッドの軸方向に対
する保持ローラの移動範囲を制限するストッパが設けられていることが望ましい。このように、保持ローラの移動範囲を制限するストッパを設けることで、保持ローラに対してロッドを定位置で回転可能な構成とすることができる。これにより、ロッドの回転ブレが生じない最適位置でロッドを回転させる設計とすることができる。
【0017】
また、前記保持ローラは合成樹脂製であって、その軸方向の両端近くの外周面は、保持ローラの両端に向かうに従ってその外径を小さくする斜面に形成されていることが望ましい。このように、保持ローラの両端部分の外周面を斜面に形成することで、保持ローラをロッドと共に削孔内へ挿入する操作を円滑に行うことができる。
【0018】
本発明において、前記ガイドローラは、孔の径方向で相対する2位置にそれぞれ配置され、二つのガイドローラが相対する方向と、二つのローラビットが相対する方向とが互いに直交する配置であることが望ましい。このように構成した場合、二つのガイドローラと二つのローラビットとが孔の周方向に間隔(90度の間隔)をおいて交互に配置される形態となるので、少ない数のガイドローラによってロッドの回転ブレ(芯ブレ)を抑制する機能をより効果的に発揮させることができる。
【0019】
本発明において、前記ロッドの内部には流体通路が形成され、流体圧ピストンは、流体通路を経由して供給される加圧水により作動する構成とすることが望ましい。流体圧ピストンに加圧水を利用すれば、ピストンの作動とローラビットの冷却が併用できるからである。
【0020】
本発明は、上記の孔壁目荒らし装置を用いた孔壁目荒らし方法であって、
前記駆動手段により前記ロッドを前記孔内でその軸回りに回転駆動する第1工程と、前記流体圧ピストンに加圧流体を供給して前記ローラビットを孔の径方向へ相対移動させる第2工程と、前記昇降手段により前記ロッドをその軸方向に昇降移動させる第3工程とを行う。
【0021】
本発明の孔壁目荒らし方法によれば、目荒らし手段のローラビットを孔壁の径方向へ移動させ、駆動手段によりローラビットをロッドと共に孔壁の内周に沿って回転させ、昇降手段を利用してローラビットをロッドと共に上下させることで、孔壁全体を効率よく目荒らしすることができる。その際、第2工程では、加圧流体の圧力を調整することで、孔の径方向に対するローラビットの移動量を調整することが望ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、孔の内壁面に対する目荒らし深さを数センチ程度まで深くして、孔壁の付着耐力をその壁面が本来的に持っている最大付着力程度まで向上させることができるだけでなく、装置の軽量・コンパクト化が可能であり、しかも回転ブレが生じないように配慮することで、目荒らし精度も従来以上に確保できる技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施例について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施例では、本発明の孔壁目荒らし装置をボーリングマシン等の削孔装置に装着して使用する構成例について説明する。
【実施例】
【0024】
図1は、本発明の実施例に係る孔壁目荒らし装置を削孔装置(ボーリングマシン)のロッドに装着した概略構成図を示す。図2は同実施例に係る孔壁目荒らし装置の要部の拡大断面図を示す。図3は図2のC−C線に沿った平断面図を示し、図4は図3のD−D線に沿った断面図を示す。図5は目荒らし手段の拡大図を示す。
【0025】
この実施例に係る孔壁目荒らし装置は、図1に示すように、削孔装置(ボーリングマシン)Mにより削孔した孔1内に挿入されるロッド2と、ロッド2をその軸回りに回転駆動する駆動手段3と、ロッド2をその軸方向に昇降移動させる昇降手段4と、ロッド2の先端部に設けられた目荒らし手段5とを備えている。駆動手段3及び昇降手段4としては、ここではボーリングマシンMを直接利用することで、コンクリート削孔と同じベースマシンを使用し、機械の入れ替えが不要になるように配慮している。
【0026】
このボーリングマシンMは、駆動手段3により回転駆動されるロッド2の接続ヘッド6を備えている。この接続ヘッド6は、図中仮想線で示すように、昇降手段4によって上下方向へ(削孔時には下方へ)移動可能となっている。そして、この接続ヘッド6にはロッド2の上端が接続され(クランプされ)る。ロッド2は孔1の深さに応じてその軸方向へ順次連結されて用いられる。
【0027】
ロッド2は、連結用のロッド21と、目荒らし手段を装備するための専用のロッド22と、後述する保持ローラ9を装備するためのローラ用のロッド23とに区別され、専用のロッド22の先端部に目荒らし手段5が設けられている。
【0028】
目荒らし手段5は、図2〜図5に示すように孔1の径方向に沿って相対配置される二つの(一対の)流体圧ピストン51、51と、流体圧ピストン51、51を専用のロッド22の先端部に保持する保持部材52と、流体圧ピストン51、51の各ピストンロッド5c、5cにそれぞれ設けられ、ロッド2の回転により孔1の壁面を切削して目荒らしするローラビット7、7と、保持部材52に設けられ、ロッド2の回転により孔1の内周面に沿って転動する複数のガイドローラ8、8とを含む。
【0029】
流体圧ピストン51は、図5の拡大断面図で示すように、両端が開口されたシリンダ5aと、シリンダ5a内をその軸方向に相対移動可能なピストン5b、5bと、両ピストン5b、5bから突出するピストンロッド5c、5cとを備えている。ピストンロッド5c、5cの先端部はそれぞれコ形状アーム5d、5dに形成され、そこを貫通するピン71、71によってローラビット7、7が取り付けられている。ピン71は孔1の軸と並行に配置されている。従って、ローラビット7はピン71を中心に縦軸回転しつつ孔1の内壁面を切削可能に構成されている。
【0030】
ピストン5b、5bのストロークは数センチ程度に設定されている。勿論、目荒らし対象となる孔1の大きさによってはそれ以上のストロークに設定することもできる。シリンダ5aの両端の開口部を閉じる閉塞部材5e、5eとピストン5b、5bとの間には、ピストン5b、5bを収縮位置に戻す方向(中央部方向)へ附勢するバネ5f、5fが設けられている。閉塞部材5e、5eは、ネジ5g、5gによってシリンダ5aに着脱可能に取り付けられている。
【0031】
シリンダ5aには、流体圧ピストン51、51を専用のロッド22の先端部に保持させる保持部材52がシリンダ5aと一体に設けられている。この保持部材52は、専用のロッド22の先端外周に設けられた雄ねじaがねじ込まれる雌ねじb付きの筒部52bを有している。保持部材52は、図3に示すように、水平方向へ拡がったフランジ部53、53を有している。このフランジ部53、53は、一対の流体圧ピストン51、51の左右両側へ突出していて、その突出端部近くに前記のガイドローラ8、8がそれぞれ設けられている。
【0032】
更に、フランジ部53、53の、前記コ形状アーム5dの両側に対応する位置には、ローラビット7のスライドガイド53a、53aがそれぞれ設けられている。このスライド
ガイド53a、53aはローラビット7の回転軸71を孔1の軸線と並行に維持した状態で孔1の径方向へスライドできるように配慮したものである。
【0033】
この実施例におけるガイドローラ8、8は、孔1の径方向で相対する2位置にそれぞれ配置され、二つのガイドローラ8、8が相対する方向と、二つのローラビット7、7が相対する方向とが互いに直交する配置となっている。このように配置することで、二つのガイドローラ8、8と二つのローラビット7、7とが孔1の周方向に間隔(90度の間隔)をおいて交互に配置される形態となるので、少ない数のガイドローラ8、8によってロッド22の回転ブレ(芯ブレ)を抑制する機能をより効果的に発揮させることができる。
【0034】
さらに、このガイドローラ8、8は、図4に示すように、孔1の軸線と並行に配置された回転軸81、81に対してそれぞれ上下一対設けられている。上下一対とした理由は、ガイドローラ8、8の孔の内壁面に対する接触部分を縦方向に長く、あるいは縦方向に間隔をおいて接触させることにより、ロッド22の回転ブレをより効果的に防止できるようにするためである。
【0035】
連結用のロッド21と専用のロッド22とローラ用のロッド23は、図2に示すように、雄ねじaと雌ねじbによる既存のネジ結合方式により互いに軸方向に連結される。専用のロッド22は長さが短い点を除けば連結用のロッド21と同一の構造となっている。ローラ用のロッド23は保持ローラ9が装備されるロッドであって、それより上と下の連結用のロッド21と専用のロッド22との間に連結されている。保持ローラ9は、目荒らし手段5よりも上方のロッド部分に設けられるもので、孔1内でのロッド2全体の回転中心位置を保持する機能を有している。
【0036】
保持ローラ9は、このように孔1内でのロッド2全体の回転中心位置を保持することでロッド2の回転ブレを抑制するために装備されるもので、その回転中心となるローラ用のロッド23を貫通させるロッド貫通孔91と、孔1の内径よりも小径の外周面92とを有している。そして、ローラ用のロッド23と保持ローラ9との間には、ロッド2の軸方向に対する保持ローラ9の移動範囲を制限する上下のストッパ93、94が設けられている。この保持ローラ9の移動範囲を制限するストッパ93、94を設けることで、保持ローラ9がローラ用のロッド23に対して定位置で相対回転可能な構成とすることができる。これにより、ロッド2全体の回転ブレが生じない最適位置で保持ロッド2(ローラ用のロッド23)を回転させることができる設計としている。
【0037】
この保持ローラ9は、軽量化や耐摩耗性等に配慮した合成樹脂製であって、その軸方向の両端近くの外周面は、保持ローラ9の両端に向かうに従ってその外径を小さくする斜面96に形成されている。これは、保持ローラ9の両端部分の外周面を斜面96に形成することで、保持ローラ9をロッド2と共に削孔1内へ挿入する操作を円滑に行うことができるようにするためである。
【0038】
なお、ロッド2を構成する連結用のロッド21、専用のロッド22及びローラ用のロッド23の内部には流体通路21A、22A、23Aがそれぞれ形成されている。そして、流体圧ピストン51、51は、各流体通路21A、22A、23Aを経由して供給される加圧水(水圧)により作動する構成となっている。流体圧ピストン51、51に加圧水を利用することで、ピストン5b、5bの作動と、ローラビット7、7の冷却を同時に行う(併用する)ことができるからである。
【0039】
即ち、シリンダ5aにはピストン5b、5b間に加圧水を供給する供給孔5hが設けられている。更に、ピストン5b、5bと、ピストンロッド5c、5cには、給水通路5i、5iがそれぞれ設けられている。ピストンロッド5c、5cの先端には、給水通路5i
、5iに連通する噴射ノズル5j、5jが設けられている。これにより、シリンダ5a内に供給された加圧水は、両側のピストン5b、5bを押し広げる方向へ作動させると共に、給水通路5i、5iを介して噴射ノズル5j、5jからローラビット7、7へ供給されるようになっている。
【0040】
なお、図5に示すように、シリンダ5aには、この種の流体圧ピストンで必要な排・給水ノズル5k、5kがそれぞれ設けられている。また、図2に示すように、保持ローラ9には、供給された流体の排出孔95が設けられている。
【0041】
このような構成の孔壁目荒らし装置を用いた孔壁目荒らし方法では、図1に示すように、ボーリングマシンMの駆動手段3によりロッド2を回転させてローラビット7、7を回転させる工程と、流体圧ピストン51、51に加圧水を供給してローラビット7、7を孔1の径方向へ相対移動させる工程と、昇降手段4によりロッド2をその軸方向に昇降移動させる工程とを行う。
【0042】
第1工程及び第2工程を行うことで、ローラビット7、7により、孔1の径方向で相対する壁面(孔壁)部分を切削して目荒らし溝1a(図6参照)を形成することができる。この際、ローラビット7、7は孔壁の内周に沿って回転するので、環状に一周する目荒らし溝1aを孔壁の内周面に形成することができる。第3工程では、ローラビット7、7を上下移動させることで、環状に一周する目荒らし溝1aを孔壁の上下方向に間隔をおいて多数形成することができる。
【0043】
従って、このような目荒らし方法によれば、目荒らし手段5のローラビット7、7を孔壁の径方向へ移動させ、駆動手段3によりローラビット7、7をロッド2と共に孔壁の内周に沿って回転させ、昇降手段4を利用してローラビット7、7をロッド2と共に上下させることで、孔壁全体を効率よく目荒らしし、しかも、目荒らし効果として最大の効果を発揮できるように施工することができる。
【0044】
上記の各工程において、ローラビット7、7の回転時には、ガイドローラ8、8が孔壁の内周面に接触してロッド2(専用のロッド22)の回転ブレを抑制する機能を発揮する。これにより目荒らし溝1aの深さを略一定に、あるいは任意の深さに調整することも可能になる。更に、このガイドローラ8、8よりも上方に保持ローラ9を装備しているので、この保持ローラ9がロッド2(ローラ用のロッド23)の回転ブレを抑制する機能を発揮する。
【0045】
また、流体圧ピストン51、51を作動させる加圧水の一部を噴射ノズル5j、5jから噴射させる構成としているので、ローラビット7、7を効率的に冷却することができる。即ち、加圧流体に加圧水を用いることで、流体圧ピストンの作動とローラビットの冷却とを兼用することができる。ここで、冷却用に用いられた加圧水は、孔1内に充満する前に保持ローラ9の排出孔95から孔1の上部へ導かれ、孔1の外部へ排出される。
【0046】
以上のような孔壁目荒らし装置及び孔壁目荒らし方法を採用することで、例えば図6に示すように、コンクリート床板100に削孔した孔1の内周面に施した目荒らし溝1aの目荒らし効果が顕著なものとなるので、孔1の内壁と杭101の杭頭との間に、補強筋102等を含むコンクリート充填材103を充填することで、相互間に良好な付着耐力を発揮させることができる。
【0047】
なお、上記の実施例では、流体圧ピストンに加圧水を供給する例を示したが、加圧水に代えて圧搾空気を供給してもよい。また、実施例ではベースマシンにボーリングマシンを利用する例を示したが、ロッドの回転駆動手段と昇降手段を備える専用の目荒らし機、あ
るいは他の削孔機を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施例に係る孔壁目荒らし装置を削孔装置に装着した例の概略構成図である。
【図2】本発明の実施例に係る孔壁目荒らし装置の部分拡大断面図である。
【図3】図2のC−C線に沿った断面図である。
【図4】図3のD−D線に沿った部分断面図である。
【図5】本発明の実施例に係る目荒らし手段の拡大断面図である。
【図6】本発明の実施例に係る孔壁目荒らし方法を採用して施工したコンクリート床板と杭との付着部を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 孔
1a 目荒らし溝
2 ロッド
21 連結用のロッド
22 専用のロッド
23 ローラ用のロッド
21A、22A、23A 流体通路
3 駆動手段
4 昇汞手段
M 削孔装置(ボーリングマシン)
5 目荒らし手段
5a シリンダ
5b ピストン
5c ピストンロッド
51 流体圧ピストン
52 保持部材
53 フランジ部
6 接続ヘッド
7 ローラビット
8 ガイドローラ
9 保持ローラ
95 排出孔
【出願人】 【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力株式会社
【識別番号】000168506
【氏名又は名称】鉱研工業株式会社
【出願日】 平成18年10月27日(2006.10.27)
【代理人】 【識別番号】100100549
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 嘉之

【識別番号】100090516
【弁理士】
【氏名又は名称】松倉 秀実

【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊

【識別番号】100089244
【弁理士】
【氏名又は名称】遠山 勉


【公開番号】 特開2008−105339(P2008−105339A)
【公開日】 平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願番号】 特願2006−292326(P2006−292326)