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【発明の名称】 レーザ割断方法
【発明者】 【氏名】川向 徳康

【氏名】大寺 昭三

【要約】 【課題】数mm程度の割断寸法の短い被加工基板に対して、被加工基板へのダメージを最小限にし、確実に割断することのできるレーザ割断方法を提供する。

【解決手段】レーザ発振器5から発振されるレーザビームを全反射ミラー6により被加工基板1a側に向けて反射させ、シリンドリカルレンズ7によりレーザビームを集光し、画像処理装置4によりレーザ照射領域LBの位置を被加工基板1a表面に形成された溝2の端部に設定して固定照射し、発生した亀裂を溝2に沿って進展させ、被加工基板1aの短辺方向への割断を完了させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に溝が形成された脆性材料からなる被加工基板の溝の一端部にレーザを照射することにより局部的に加熱し、その加熱により発生した熱応力によって前記被加工基板に亀裂を生じさせるとともに、前記被加工基板に対するレーザ照射領域の位置を固定して、前記溝に沿って前記亀裂を進展させて前記被加工基板を割断することを特徴とするレーザ割断方法。
【請求項2】
前記レーザのビーム形状を長軸と短軸を有する異方形状とし、前記ビーム形状の長軸が前記溝の伸張方向と略垂直となるように前記被加工基板の溝の端部にレーザを照射することを特徴とする請求項1記載のレーザ割断方法。
【請求項3】
前記被加工基板の溝の端部に照射するレーザのビーム形状を複数のスポット形状とし、前記スポット形状の配列長手方向が前記溝の伸張方向と略垂直となるように前記被加工基板の溝の端部にレーザを照射することを特徴とする請求項1記載のレーザ割断方法。
【請求項4】
前記レーザの照射を前記被加工基板の溝の両端から行うことを特徴とする請求項1乃至3記載のレーザ割断方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本願発明は、ガラス、セラミックあるいは半導体材料などの脆性材料からなる被加工基板にレーザを照射させることにより生じる亀裂で被加工基板を割断するレーザ割断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミック等の脆性材料からなる被加工基板を切断する方法として、一般に、円板状の回転刃による切断やレーザによる溶断が知られている。
【0003】
しかしながら、これらの方法では、回転刃による切断やレーザによる溶断等で切断しているため、被加工基板にはこれらの加工で削除される切り代を必要とするものであり、それだけ材料コストがかかるという問題があった。また、切断のための部分を完全に削除するためには時間がかかるため、加工コストがかかるという問題もあった。さらに、機械的歪みの不均一や熱応力の不均一により、切断予定部分以外の部分で割れや欠けが生じるという恐れもあった。
【0004】
そこで、このような問題を解決するために、レーザ照射による熱応力を利用して脆性材料からなる被加工基板を割断するレーザ割断方法が提案されている。このようなレーザ割断方法には、例えば上述したレーザによる溶断に比べると、加工に必要なエネルギーが小さくて済み、材料の削除も少ないため、材料コストや加工コストを少なくすることができるという利点がある。
【0005】
このレーザ割断方法の一つとして、特許文献1には、脆性材料からなる被加工基板表面の割断予定部分に機械的切削工具を用いて溝を形成し、次に溝の一方の端部付近にレーザを照射して亀裂を生じさせ、溝に沿ってレーザの照射位置を移動させることにより亀裂を進展させて被加工基板を割断するという方法が記載されている。
【0006】
この特許文献1のレーザ割断方法によれば、亀裂を進展させる際に予め溝を形成しているので機械的歪みが生じており、この状態にレーザで熱応力による歪みを加えることになるため、亀裂の進展時にずれが生じにくく、高精度に加工できるという効果を奏する。
【0007】
また、レーザ割断方法の他の方法として、特許文献2には、脆性材料からなる被加工基板の割断予定部分を挟むようにレーザを複数ポイントに照射して亀裂を発生させ、割断予定部分に沿って複数ポイントのレーザの照射位置を移動させることにより亀裂を進展させて被加工基板を割断するという方法が記載されている。
【0008】
この特許文献2のレーザ割断方法によれば、レーザの照射が1ポイントの場合に比べて引っ張り応力が大きくなり、亀裂を発生させやすく、亀裂の進展時にずれが生じにくいため、高精度に加工できるという効果を奏する。
【特許文献1】特開昭54−106524号公報
【特許文献2】特開平 7 −328781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、一般に、セラミック基板等を母基板から所望の大きさのチップサイズに割断する場合、図9(A)に示すように被加工母基板1を破線Xで示された割断予定部分で割断して短冊状の被加工基板1aを得る一次割断工程の後、図9(B)に示すように短冊状の被加工基板1aを短辺方向に割断してチップサイズのセラミック基板1bを得る二次割断工程を行うという手順で行う。
【0010】
しかしながら、上述の特許文献1および2のようなレーザ割段方法を用いた場合、二次割断において、短冊状の被加工基板1aの短辺方向では距離が短いために、割断に必要な温度差を発生させることができず、完全に割断されないものが生じるという問題があった。
【0011】
そのため、完全に割断されなかったものについては、機械的に圧力を加えて割断するなど別の割断手法で割断していたが、割断精度が悪いという問題があった。
【0012】
本願発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、短冊状の被加工基板のように割断距離が数mm程度の短いものにおいても、確実に割断でき、加工精度の高いレーザ割断方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち、本願発明の請求項1に係るレーザ割断方法は、表面に溝が形成された脆性材料からなる被加工基板の溝の一端部にレーザを照射することにより局部的に加熱し、その加熱により発生した熱応力によって前記被加工基板に亀裂を生じさせるとともに、前記被加工基板に対するレーザ照射領域の位置を固定して、前記溝に沿って前記亀裂を進展させて前記被加工基板を割断することを特徴とするものである。
【0014】
また、本願発明の請求項2に係るレーザ割断方法は、前記レーザのビーム形状を長軸と短軸を有する異方形状とし、前記ビーム形状の長軸が前記溝の伸張方向と略垂直となるように前記被加工基板の溝の端部にレーザを照射することを特徴とするものである。
【0015】
また、本願発明の請求項3に係るレーザ割断方法は、前記被加工基板の溝の端部に照射するレーザのビーム形状を複数のスポット形状とし、前記スポット形状の配列長手方向が前記溝の伸張方向と略垂直となるように前記被加工基板の溝の端部にレーザを照射することを特徴とするものである。
【0016】
そして、本願発明の請求項4に係るレーザ割断方法は、前記レーザの照射を前記被加工基板の溝の両端から行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本願発明のレーザ割断方法によれば、被加工基板に対するレーザ照射領域の位置を固定することによって、レーザ照射領域とそれ以外の部分の温度差を大きくして熱応力による歪みを偏在させつづけ、溝に沿って亀裂を進展させることができるので、数mm程度の割断距離の被加工基板を完全に割断することができる。
【0018】
また、本願発明のレーザ割断方法によれば、割断されないものが生じないので、従来のように割断精度の低い別の割断手法による再度の割断を必要としないため、割れ欠け等の問題も生じない。
【0019】
さらに、本願発明のレーザ割断方法によれば、レーザの照射位置は被加工基板の溝の端部だけなので、各割段予定部分の溝の端部に順次照射していけばよく、従来のような割断方向へのレーザ照射位置の移動がなく、熱応力による歪みを偏在させることにより亀裂の進展速度が速いため、加工時間を短縮することができ、加工コストも低減できる。
【0020】
また、本願発明の請求項2に係るレーザ割断方法によれば、レーザのビーム形状を長軸と短軸を有する異方形状として、ビーム形状の長軸を溝の伸張方向と略垂直となるように被加工基板の溝の端部にレーザを照射している。これにより、熱応力の偏在が大きくなり亀裂が発生しやすく、かつ亀裂が進展しやすくなる。そのため、より加工時間を短縮することができる。また、被加工基板の短辺方向に対してレーザの短軸を合わせているため、レーザの固定照射による溶融を被加工基板の短辺方向に対して最小限に抑えることができる。
【0021】
また、本願発明の請求項3に係るレーザ割断方法によれば、レーザのビーム形状を複数のスポット形状としてスポット形状の配列長手方向が溝の伸張方向と略垂直となるようにレーザを照射している。これにより、温度差に伴う熱応力の偏在を特に大きくすることができ、亀裂の発生、進展を容易に行うことが可能となる。その結果、よりレーザ割断に伴う加工時間を短縮することができる。
【0022】
また、本願発明の請求項4に係るレーザ割断方法によれば、レーザの照射を被加工基板の溝の両端から行っている。これにより、溝の両端から亀裂が進展するので、より割断を確実に行うことができ、さらに加工時間を短縮することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本願発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は短冊状の被加工基板1aの溝2を形成する工程を示す概略説明図、図2は本願発明の第1の実施の形態に係るレーザ割断装置の概略説明図、図3は図2においてレーザ割断装置で加工されている短冊状の被加工基板1aを示す図であり、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【0024】
図1において、セラミック等の脆性材料からなる短冊状の被加工基板1aは、図示しない被加工母基板から予め一次割断されたものである。なお、被加工母基板から短冊状の被加工基板への一次割断工程については、従来と同様のレーザ割断方法を用いている。
【0025】
図1に示すように、被加工基板1a表面に機械的切削工具3を用いて短辺方向に溝2を形成している。この溝2が割断予定部分であり、所望の大きさのチップの長さ毎に形成している。なお、溝は針で傷をつけてできるけがき線やレーザスクライブでできる連続孔でもよく亀裂のきっかけとなるマイクロクラックを発生させるものであれば、溝の形状は問わない。また、本実施の形態では形成していないが、脆性材料からなる被加工基板に対してレーザビームを照射する加工開始点に予め切り欠き等を形成して亀裂が生じやすいようにしても良い。
【0026】
次に、図2に示すように、レーザ発振器5から発振されるレーザビームを全反射ミラー6により被加工基板1a側に向けて反射させ、シリンドリカルレンズ7によりレーザビームを集光して被加工基板1a表面に形成された溝2の端部に照射する。LBはレーザビームの照射領域を示す。なお、レーザビームは被加工基板1aの脆性材料に対して吸収率の高い波長の物を選んでいる。また、レーザ照射領域LBの溝2に対する位置調整は、画像処理装置4を用いて行った。
【0027】
図3(A)に示すように、被加工基板1a表面に形成された溝2の端部にレーザを照射することで亀裂8を形成し、そのまま同位置で照射して亀裂8を溝2に沿って進展させ、被加工基板1aの短辺方向への割断を完了させている。これは、溝2の端部にレーザを照射することで被加工基板1aの表面温度が裏面に比べて上昇することにより、被加工基板1aに熱膨張の違いによる曲げ応力が発生し、溝2にこの応力が集中することで割断されるメカニズムを利用している。なお、亀裂8の進展は瞬時に生じるものであるため、レーザ照射領域LBを同位置で照射する時間としては0.1秒程度であり、その程度の時間で短辺方向の割断が完了する。
【0028】
また、第1の実施形態においては、図3(A)に示すように、レーザ照射領域であるLBの形状をシリンドリカルレンズ7により長円形にしており、長円の長軸の長さ方向が、溝2の伸張方向に対して略垂直になるように配置している。そのため、図3(B)に示すように基板表面の熱膨張領域が溝を横切って左右に大きく分布し、矢印Fの向きに力が働き、より割断されやすくなる。この時、長円の長軸の中心が溝2に相当するようにすることで、溝2の両側に対して均等にレーザビームが照射されることになるので、熱応力による歪みが、溝2の両側において均等になり、亀裂8は溝2に沿ってそのまま進展しやすくなる。なお、レーザ照射領域LBの形状は長円に限らず、楕円や長方形等長軸と短軸を有する異方形状であればどのような形状を用いても良いが、アスペクト比が大きい方がより好ましい。また、このレーザ照射領域LBの形状の変形は、シリンドリカルレンズに限るものではなく、マスク等で変形させても同様の効果が得られる。
【0029】
さらに、第1の実施形態においては、図3(A)に示すように、レーザ照射領域であるLBの位置を被加工基板1aの側面端から所定距離離れた位置に設定している。レーザー照射領域LBには圧縮応力が加わるので、このレーザ照射領域LBに近接する部分に最も引張り応力がかかることになる。したがって、レーザ照射領域を図3の位置に設定することにより、亀裂8が発生させやすくなる。また、一旦、亀裂8が発生すれば、亀裂8はレーザ照射領域LBを越えて形成されるので、その後の亀裂8の進展についても問題は生じない。
【実施例】
【0030】
以下、本願発明のレーザ割断方法の実施例について説明する。
【0031】
[実施例]
図1〜3に示した被加工基板1aとして、短辺方向2.5mm、厚み0.9mmのBa−Al23−SiO2からなるセラミック基板を用意した。また、幅30μm、深さは100μm程度の溝2を被加工基板1aの短辺方向に4mm間隔で形成した。次に、パルス幅50μs、周波数1kHz、レーザ出力27Wのレーザビームを被加工基板1aに照射した。また、レーザ照射領域LBの形状は長径7mm、短径1mmの長円形であり、長径が溝2に対してほぼ垂直となるように設定されている。また、レーザ照射領域LBの縁と被加工基板1aの側面端とは、0.2mmの間隔が開くように所定距離離れた位置に設定している。さらにレーザ照射領域はこの位置において0.1秒固定して照射した。その結果、対象の被加工基板1aにおいては、完全に割断が完了した。なお、レーザ照射領域LBにおいては、若干の溶融が生じていたが、被加工基板1aの特性に影響のない部分であり、問題は無い。また、他の部分に溶融等はないため、本実施例の固定照射を用いたかどうかの判別が可能である。
【0032】
[比較例]
被加工基板1aについては上述の実施例1と同じものを用いた。実施例1との変更点は、LBの形状について直径2mmの円形にし、レーザビームの照射領域を固定せずに、溝2に沿って一定の走査速度で照射した点で異なる。走査速度は1mm/秒、3mm/秒、5mm/秒のそれぞれで行った。その結果、すべての場合において割断が完全になされなかった。また、走査速度の遅い1mm/秒、3mm/秒の場合はレーザ照射領域全域において被加工基板1aが溶融しており、走査速度5mm/秒の場合はレーザ照射領域全域において被加工基板1a表面が変色していた。
【0033】
次に、従来のレーザ割段方法と第1の実施形態に係るレーザ割断方法との相違による作用効果について、図4,5を用いて説明する。図4,5は被加工基板1aの部分拡大平面図であり、図4は従来のレーザ割断方法を用いた場合の被加工基板1aの状態、図5は本願発明の第1の実施形態に係るレーザ割段方法を用いた被加工基板1aの状態を示している。
【0034】
図4(A)(B)に示すように、従来のレーザ割断方法の場合、被加工基板1aの短辺方向に沿って一方の側面端から他方の側面端まで走査しており、レーザ照射領域LBは黒矢印の方向に移動する。図4(A)(B)の一点鎖線がレーザ照射領域LBの軌跡である。
【0035】
上述したように、通常、被加工基板1aに対するレーザ照射開始時は、レーザー照射領域LBには圧縮応力が加わり、このレーザ照射領域LBに近接する部分に最も引張り応力が加わることになる。この圧縮応力と引張り応力は被加工基板における1aにおける温度差により生じており、レーザ照射領域LBの温度が高く、レーザ照射領域LBに近接する部分の温度がこれに比べて低い程、亀裂8が生じやすく、進展しやすい。しかしながら、図4(A)から図4(B)のようにレーザ照射領域LBを走査した場合、被加工基板の1aの短辺方向であるので、距離が短くレーザ照射による温度差を生じさせにくい。そのため、引張り応力が生じにくい。例えば、図4(B)において、レーザ照射領域LBに対して最も温度差が大きい領域9は最初にレーザ照射された領域の近接領域になるが、レーザ照射領域LBと領域9との間では徐々に温度が変化することになる。したがって、これらの領域において、大きな温度差が生じにくく、その分引張り応力も小さくなるので、亀裂8が生じても進展しにくくなる。その結果、上述の比較例において被加工基板1aが完全に割断しなかったと考えられる。これは、レーザ割断の対象である被加工基板1aの割断方向の短辺寸法が数mm程度と小さい場合に、レーザ照射領域LBとその周辺の領域との間に温度差が生じにくくなるため、より顕著に表れる。
【0036】
一方、図5に示す第1の実施形態に係るレーザ割断方法の場合、前述したように、亀裂8はレーザ照射領域LBを越えて形成され、その後、レーザ照射領域LBによる熱伝導とレーザ照射されていない領域10との温度差により、亀裂8が溝2に沿って進展していき、割断に至る。なお、実施例のように2.5mm程度の短辺の被加工基板1aであれば、0.1秒の固定照射で割断は完了する。
【0037】
以上のように、本発明の第1の実施形態に係るレーザ割断方法によれば、固定照射を行っているため、被加工基板1aに対して部分的に溶融を生じさせるだけで、特性に大きな影響を与えることなく、しかも、割断寸法が短いものに対して確実にレーザ割断を行うことが可能である。
【0038】
次に、本願発明の第2の実施形態に係るレーザ割断方法について図6を用いて説明する。図6は、本願発明の第2の実施の形態に係るレーザ割断方法で加工されている短冊状の被加工基板1aの平面図である。
【0039】
図6に示すように、第2の実施形態では、上述の第1の実施形態とはレーザ照射領域LBの形状が異なり、円形状にしている。この円形は、図2におけるレーザ割断装置において、レーザ発振器5から発振されたレーザの形状であり、図2のシリンドリカルレンズ7によるビーム形状の変形を行っていないものである。また、円形のレーザ照射領域LBの中心を通る直径の線を引いた時、溝2とほぼ重なるようにレーザ照射領域LBの位置が設定されている。
【0040】
本実施形態では、第1の実施形態と比較すると、被加工基板1aの側面端から所定距離おいて照射することが困難であるため、亀裂8の発生については第1の実施形態よりも若干劣るが、発生後の亀裂8の進展については第1の実施形態と同様に生じるので、被加工基板1aの割断を確実に行うことができる。また、本実施形態によればビーム形状の変形を行っていないので、ビーム形状変形のための構造が不要であり、レーザ割断装置を単純化することができる。
【0041】
次に、本願発明の第3の実施形態に係るレーザ割断方法について図7を用いて説明する。図7は、本願発明の第3の実施の形態に係るレーザ割断方法で加工されている短冊状の被加工基板1aの平面図である。
【0042】
図7に示すように、第3の実施形態では、上述の各実施形態とはレーザ照射領域LBの形状が異なり、複数のスポット形状にしている。このスポット形状は溝2を挟んで両側に同数配置されている。このビーム形状は、図2におけるレーザ割断装置において、レーザ発振器5から発振されたレーザを、図2のシリンドリカルレンズ7をマスク等に換えることよりビーム形状の変形を行っている。
【0043】
本実施形態では、上述の実施形態と比較すると、第1の実施形態と同様に、被加工基板1aの側面端から所定距離おいて照射することが可能であり、亀裂を発生させやすい。さらに、溝2の亀裂8を発生させる部分にはレーザが当たっておらず、この部分に温度差による引張り応力が特に集中しやすいので、より亀裂8の発生が生じやすい。また、亀裂8発生後の亀裂8の進展についても、上述の各実施形態と同様に生じるので、被加工基板1aの割断を確実に行うことができる。
【0044】
次に、本願発明の第4の実施形態に係るレーザ割断方法について図8を用いて説明する。図8は、本願発明の第4の実施の形態に係るレーザ割断方法で加工されている短冊状の被加工基板1aの平面図である。
【0045】
図8に示すように、第4の実施形態では、上述の各実施形態とは異なり、被加工基板の1aに形成された溝2の両端部に、レーザ照射領域LBが配置されたおり、亀裂8を溝2の両側に発生させた後、進展させるようにしている。
【0046】
本実施形態では、上述の実施形態と比較すると、溝2の両側から亀裂8を進展させることにより、割断を完了するまでの時間を短縮することができる。また、上述の実施形態では、割断が完了しない大きさの被加工基板1aについても、確実に割断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本願発明に係る被加工基板の溝形成工程を示す概略説明図。
【図2】本願発明の第1の実施の形態に係るレーザ割断装置の概略説明図。
【図3】本願発明の第1の実施の形態に係るレーザ割断装置で加工されている被加工基板の図であり、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図4】従来のレーザ割断方法を用いた場合の被加工基板の状態を示す平面図。
【図5】本願発明の第1の実施形態に係るレーザ割段方法を用いた被加工基板の状態を示す平面図。
【図6】本願発明の第2の実施の形態に係るレーザ割断方法で加工されている被加工基板の平面図。
【図7】本願発明の第3の実施の形態に係るレーザ割断方法で加工されている被加工基板の平面図。
【図8】本願発明の第4の実施の形態に係るレーザ割断方法で加工されている被加工基板の平面図。
【図9】一般的な被加工基板の割断工程を示す斜視図であり、(A)は被加工母基板を短冊状の被加工基板に割断する一次割断工程を示し、(B)は短冊状の被加工基板を所望の大きさのチップサイズに割断する二次割断工程を示す。
【符号の説明】
【0048】
1 被加工母基板
1a 被加工基板
2 溝
3 機械的切削工具
4 画像処理装置
5 レーザ発振器
6 全反射ミラー
7 シリンドリカルレンズ
8 亀裂
LB レーザ照射領域
9 レーザ照射領域LBに対して最も温度差が大きい領域
10 レーザ照射されていない領域
【出願人】 【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
【出願日】 平成18年10月18日(2006.10.18)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−100412(P2008−100412A)
【公開日】 平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願番号】 特願2006−283903(P2006−283903)