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【発明の名称】 ダイヤモンドスクライバ
【発明者】 【氏名】阿部 隆義

【要約】 【課題】シリコン,ガラス等の硬質材料の切断加工等を行うためのダイヤモンドスクライバであって、ダイヤモンド切刃部に保持用の穴(孔)がなく、歩留りよく、比較的安価に形成され、切断性能もよいダイヤモンドスクライバを提供する。

【解決手段】支持体4に保持される筒体2の先端には交差角度θのダイヤモンド切刃部3が配設される。このダイヤモンド切刃部3や筒体2には保持用の穴が設けられていない。ダイヤモンド切刃部3を被切断面6に当接し、支持体4を移動又は回転することにより、各種の切断加工が行われる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンなどの硬質材料の切断処理,切削加工,穴あけ等に用いられ、先端にダイヤモンド切刃部を形成するダイヤモンドスクライバであって、該ダイヤモンドスクライバは、支持体に保持されるストレートな筒体と、該筒体の先端に前記筒体と同軸上に配設される円柱状や円盤状の前記ダイヤモンド切刃部とからなり、前記筒体及びタイヤモンド切刃部にはこれ等を保持するための穴又は孔が形成されていないことを特徴とするダイヤモンドスクライバ。
【請求項2】
前記ダイヤモンド切刃部が、前記支持体や筒体側に固定又は枢支されることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンドスクライバ。
【請求項3】
前記ダイヤモンド切刃部は、その頂面に面取り部が形成され、前記面取り部と前記筒体との交差する交差角度が91°から179°に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のダイヤモンドスクライバ。
【請求項4】
前記交差角度が、100°乃至140°のものからなり、望ましくは120°からなることを特徴とする請求項3に記載のダイヤモンドスクライバ。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン,ガラス,セラミックス,金属酸化物,金属窒化物等の結晶もしくは多結晶体,アモルファス体等の固体状材料もしくは部材の切断等に用いられるダイヤモンドスクライバに係り、更に詳しくは、極めて簡便、かつ効果的な構造を有し、スクライバとしての機能により形成された微細切削跡の形状が極めて安定、かつマイクロクラックが少なく、支持体側に保持されるための穴(孔)のないダイヤモンドスクライバに関する。
【背景技術】
【0002】
各種の硬質材料であるシリコンや高機能ガラス,半導体用セラミックスや金属酸化物,金属窒化物等の材料は様々な目的に利用されている。一例として挙げられるなら、産業の米とも言える半導体材料は、その多くが硬質材料であるセラミックスから造られている。
【0003】
シリコンやガラス等の半導体基材の切断には、ダイヤモンドスクライバが用いられるが、その切断面はスクライバにより形成されたマイクロクラックによって、凸凹の多い形状とならざるを得ない。これはシリコンやダイヤモンド基材を切断するときダイヤモンドスクライバや超硬質切削材料によって引っ掻き傷を形成して破断処理を行って切断することによる。
【0004】
破断処理によるマイクロクラックにより切断面に形成された凸凹形状は様々な外力で基材等の割れを引き起こすなど様々な好ましくない影響を与える可能性がある。
【0005】
従来、引っ掻き傷を形成するスクライバに代えて切断刃を有するローラー状もしくは円盤状もしくはそろばんの玉状の引っ掻き刃を用いることが行われてきた。
【0006】
該スクライバには、ダイヤモンド刃を形成したものもある。刃の形状を様々に工夫したものもある。例えば、図4に示すものがある。このものは図示のようにダイヤモンド刃3Aが軸7により支持体4Aに保持されている。
【0007】
従来より用いられている円筒状もしくはローラー状もしくはそろばんの玉状の引っ掻き刃では、シリコンやガラスなどに形成される傷の形状は比較的良好になるものの、円筒状もしくはローラー状もしくはそろばんの玉状の引っ掻き刃を形成して保持するためには図4に示すように軸7を用いる必要があった。そのため、ダイヤモンド刃を用いた場合では、その多くの場合ではダイヤモンド刃部分を貫通する軸7を通すための穴を形成することが必要であった。
【0008】
例えば、円筒状もしくはローラー状もしくはそろばんの玉状の引っ掻き刃に用いられるダイヤモンド刃の材料を貫通する穴を形成するためには、多くの工程が求められるため該ダイヤモンドスクライバは高価なものとならざるを得ないのが現状である。
【0009】
そのため、ダイヤモンドスクライバにおいては引っ掻き傷形状が良好であり、保持穴がなく、かつまた安価なダイヤモンドスクライバが求められているのが現状である。
なお、従来のダイヤモンドスクライバに関する公知技術として、例えば、「特許文献1」及び「特許文献2」が挙げられる。
【特許文献1】特開平7−156133(図1)
【特許文献2】特開平10−158022(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
「特許文献1」の「特開平7−156133号」の「スクライバー」は図示のようにダイヤモンド等の硬質材料からなる回転ローラー(1)を軸(3)やスペーサ(2)を介して軸受部材(4)に保持するものであり、前記の図4に示した従来技術と同様に回転ローラー(1)にはこれを貫通する孔が形成される。
また、「特許文献2」の「特開平10−158022号」の「カッターヘッド」も図に示すようにカッタホルダー(3)の先端に軸を介してカッターホイール(ダイヤモンド等の硬質材からなる)(2)を保持するもので、前記の「特許文献1」と同じく軸を通すための孔がカッターホイール(2)に貫通形成されるものである。
【0011】
前記のように、ダイヤモンド切刃部に貫通孔を形成することは種々の問題点があり、スクライバとしては好ましい構造のものでない。また、ダイヤモンド切刃部により硬質材料を切断するには、このダイヤモンド切刃部を硬質材料の面に沿って移動させるのが通常であるが、この場合のダイヤモンド切刃部と硬質材料との交角の値が切断の効率化の上で必要であり、交角の値についても特定することが望ましい。
【0012】
本発明は、以上の事情に鑑みて発明されたものであり、被破断面の表面に良好な引っ掻き傷を形成して、効果的、かつ安定した破断を行うことができると共に、保持用の穴(孔)をダイヤモンド切刃部等に形成することがなく、比較的安価に形成し得るダイヤモンドスクライバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、以上の目的を達成するために、請求項1の発明は、シリコンなどの硬質材料の切断処理,切削加工,穴あけ等に用いられ、先端にダイヤモンド切刃部を形成するダイヤモンドスクライバであって、該ダイヤモンドスクライバは、支持体に保持されるストレートな筒体と、該筒体の先端に前記筒体と同軸上に配設される円柱状や円盤状の前記ダイヤモンド切刃部とからなり、前記筒体及びタイヤモンド切刃部にはこれ等を保持するための穴又は孔が形成されていないことを特徴とする。
【0014】
また、請求項2の発明は、前記ダイヤモンド切刃部が、前記支持体や筒体側に固定又は枢支されることを特徴とする。
【0015】
また、請求項3の発明は、前記ダイヤモンド切刃部は、その頂面に面取り部が形成され、前記面取り部と前記筒体との交差する交差角度が91°から179°に形成されることを特徴とする。
【0016】
また、請求項4の発明は、前記交差角度が、100°乃至140°のものからなり、望ましくは120°からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の請求項1のダイヤモンドスクライバによれば、ダイヤモンド切刃部を保持する穴(孔)がなく、穴明け加工を行うための高価な加工処理を必要とせず、歩留の高い生産を行うことができる。
【0018】
また、本発明の請求項2のダイヤモンドスクライバによれば、ダイヤモンド切刃部は穴を明けることなく支持体や筒体側に枢支されるため、引っ掻き形成時においてダイヤモンド切刃部が円滑に回転し、より良好な引っ掻き傷を形成することができる。
【0019】
また、本発明の請求項3のダイヤモンドスクライバによれば、ダイヤモンド切刃部の頂面側に90°から179°交差角度が形成され、引っ掻き傷の形状が良好のものとなり、破断加工や切断加工における微細なマイクロクラックの形成が抑制され、かつ飛散粒子類も抑制され、優れた高精度の切断加工等を行うことができる。
【0020】
また、本発明の請求項4のダイヤモンドスクライバによれば、交差角度を100°乃至140°、とりわけ120°にすることにより、一層優れた切断加工を円滑に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明のダイヤモンドスクライバの実施の形態を図面を参照して詳述する。
図1は本発明のダイヤモンドスクライバ1の全体構造を示す平面図である。なお、図1にはダイヤモンドスクライバ1を保持する支持体4が一点破線で表示されているが、この支持体4の構造は本発明に直接関係するものではなく、一例として図示のような円筒体が表示されている。
【0022】
ダイヤモンドスクライバ1は、シリンダ状の細長のストレートの筒体2と、この筒体の先端に配設されるダイヤモンド切刃部3とからなる。なお、筒体2は、支持体4に角度固定又は枢支される。また、ダイヤモンド切刃部3は筒体2に固着されるか又は図略の機構により枢支される。
【0023】
ダイヤモンド切刃部3は図2及び図3に示す形状のものからなるが、勿論この形態のものに限定するものではない。
図2は筒体2の先端に同軸上に配設された円柱状のダイヤモンド切刃部3aからなり、図3は筒体の先端に同軸上に配設される円盤状のダイヤモンド切刃部3bからなる。
いずれのダイヤモンド切刃部3a,3bもその頂面側の面取り部と筒体2との交差する部分に角度θの交差角が形成される。なお、この交差角度θの値は91°から179°、少し限定して100°から140°位のものがよく、実施例では120°が適当とされている。実際上、交差角度θは120°が良好であるが、勿論これに限定するものではない。
【0024】
以上の構造のダイヤモンドスクライバ1は図1に示すように支持体4に角度αで取り付けられている。この取り付け角度αはダイヤモンド切刃部3a,3bの面取り部のコーナ5が被切断面6に当接するような角度が設定される。
【0025】
以上の構造のダイヤモンドスクライバ1により作用を説明する。
図1に示すように、被切断面6に対して取り付け角度αでダイヤモンドスクライバ1をセットしたら支持体4を矢視A方向に移動させる。これによりダイヤモンド切刃部3のコーナ5の部分により被切断面6上に引っ掻き傷が形成され、切断が行われる。
【0026】
この場合、ダイヤモンド切刃部3が固定タイプの場合はそのままの状態で線引きが行われ、支持体4を回転させることにより切削加工等が行われる。
一方、ダイヤモンド切刃部3が筒体2側に枢支されている場合には線引きや切削加工時においてダイヤモンド切刃部3が回転するため、加工時の抵抗が低減し、一層良好な線引きや切削加工等が行われる。
【0027】
本発明のダイヤモンドスクライバは、以上のように構造と機能を有するものであるが、本発明のダイヤモンドスクライバは、以上のものに限定するものではなく、同一の技術的範疇のものが適用されることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明のダイヤモンドスクライバは、硬質材料のすべての切断等に適用され、かつ従来のものに較べて簡便の形態で、比較的安価に形成されるものであり、その利用範囲は極めて広い。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のダイヤモンドスクライバの全体構造を示す平面図。
【図2】本発明のダイヤモンドスクライバのダイヤモンド切刃部の一例を示す平面図。
【図3】本発明のダイヤモンドスクライバのダイヤモンド切刃部の他の例を示す正面図。
【図4】従来のダイヤモンドスクライバの一例を示す平面図。
【符号の説明】
【0030】
1 ダイヤモンドスクライバ
2 筒体
3 ダイヤモンド切刃部
3a ダイヤモンド切刃部
3b ダイヤモンド切刃部
4 支持体
5 コーナ
6 被切断面
【出願人】 【識別番号】304059971
【氏名又は名称】エービーイーダイヤモンド株式会社
【出願日】 平成18年10月18日(2006.10.18)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−100389(P2008−100389A)
【公開日】 平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願番号】 特願2006−283201(P2006−283201)