トップ :: B 処理操作 運輸 :: B28 セメント,粘土,または石材の加工

【発明の名称】 工具装置のための可搬輸液装置
【発明者】 【氏名】ラルフ プファイフェル

【氏名】ゲオルク ホルツマイエル

【要約】 【課題】可搬式の液循環装置において、フィルタの孔に制限されることなく、使用可能な使用液の量と質を高める。

【解決手段】工具装置4のための可搬の輸液装置2であって、使用液出口18、汚液入口28、貯留容積を有する貯留槽を設け、この貯留槽には、使用液出口18と流体連通可能な使用液領域10、汚液入口28から充填可能な汚液領域12を設け、使用液領域10を汚液領域12から分離した該可搬式の輸液装置において、使用液領域10および汚液領域12を、同一の貯留空間7に設け、位置が可変である分離素子により、これらの領域を互いに隔離する。また好適には、分離素子は、使用液側の充填量と汚液S側の充填量に応じて、その位置が変位するものとし、また少なくとも部分的に透水性とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具装置(4)のための可搬式の輸液装置(2)であって、
使用液出口(18)、汚液入口(28)、および貯留容積を有する貯留槽を設け、この貯留槽には、前記使用液出口(18)に流体連通可能な使用液領域(10)、および前記汚液入口(28)から充填可能な汚液領域(12)を設け、前記使用液領域(10)を汚液領域(12)から分離した該可搬輸液装置において、
前記使用液領域(10)および前記汚液領域(12)を、同一の貯留空間(7)に設け、位置が可変である分離素子により、これらの領域を互いに隔離した可搬式の輸液装置。
【請求項2】
前記分離素子は、使用液側の充填状態と汚液S側の充填状態に応じて、その位置が変位するものとした請求項1に記載の可搬式の輸液装置。
【請求項3】
前記分離素子を、少なくとも部分的に透水性とした請求項1または2に記載の可搬式の輸液装置。
【請求項4】
前記分離素子を、少なくとも部分的に可撓性の容器(14)により形成した請求項1〜3のいずれか1項に記載の可搬式の輸液装置。
【請求項5】
前記使用液出口(18)を、前記容器(14)内に突入させた請求項4に記載の可搬式の輸液装置。
【請求項6】
前記容器(14)を、前記汚液入口(28)から充填可能とした請求項4に記載の可搬式の輸液装置。
【請求項7】
前記容器(14)を、前記輸液装置(2)内に、着脱可能に設けた請求項5または6に記載の可搬式の輸液装置。
【請求項8】
前記容器(14)を、使い捨て容器により形成した請求項7に記載の可搬式の輸液装置。
【請求項9】
前記容器(14)に、浮き底(36)を設けた請求項4〜8のいずれか1項に記載の可搬式の輸液装置。
【請求項10】
前記容器(14)を、袋により形成した請求項4〜9のいずれか1項に記載の可搬式の輸液装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、切断装置、ドリル装置、研削装置のような工具装置のための、可搬ユニットとして構成した、請求項1の冒頭に記載した特徴を有する輸液装置に関するものである。この輸液装置は、洗浄・冷却液の供給、および作業時に工具装置に付随的に発生する、泥水などの汚液の搬出に使用される。この目的のため、輸液装置には使用液出口、汚液入口および貯留容積を有する貯留槽を設け、使用液出口と流体連通可能な使用液領域、および汚液入口に流体連通可能な汚液領域を有する。このとき、使用液領域は汚液領域から分離する。
【0002】
このような可搬式の輸液装置の利点は、持ち運びに便利であり、そのため冷却液の供給と同時に汚液Sの除去を柔軟に行える点にある。
【背景技術】
【0003】
特許文献1は、可搬ユニットとして構成した、岩盤ドリル機のための輸液装置を記載している。この輸液装置には、フィルタ壁によって汚液領域と使用液領域とに分離した貯留容積を有する貯留槽を設ける。冷却および洗浄をする使用液は、この使用液領域から岩盤ドリル機にポンプ送給する。この後、泥が混ざった使用液は、ホースにより汚液として貯留槽の汚液領域に達する。
【特許文献1】独国特許第212463号
【0004】
この既知の装置の欠点は、孔の大きさが適切なフィルタを見つけるのが困難である点にある。孔の大きさが適切であることは、一方では繰り返しフィルタ作用を受ける使用液の品質維持につながり、他方ではフィルタを追加する必要性、またその結果として使用液が不足することを回避することにつながる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は、可搬式の輸液装置において、上述の欠点を回避し、使用可能な使用液の量と質を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1に記載する特徴を有する可搬式の液循環装置によって解決され、この液循環装置は、使用液領域および汚液領域を同一の貯留空間に設け、位置が可変である分離素子により互いを隔離する。
【発明の効果】
【0007】
これにより、作業開始時には、貯留槽の少なくともほとんどのを新しい使用液を貯留するために使うことができ、その一方で汚液領域は、基本的に、作業中に実際に汚液が発生してはじめて生ずる。このことにより、可搬式の輸液装置内で自由に使用できる分離された貯留槽を最適に使用でき、作業開始にあたっては、全貯留槽は、使用液、例えば飲料水を受容するために存在する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
とくに好適には、分離素子は、使用液側の容積割合と汚液側の容積割合に応じて、その位置を変位するものとする。これにより、貯留槽は、作業中のどの時点においても、その時の使用液または汚液も同様の割合で配分される。
【0009】
好適には、分離素子を、少なくとも部分的に透水性とする。これにより、使用済み使用液の一部を、フィルタ作用により汚液領域から回収することが可能となる。
【0010】
好適には、分離素子を、少なくとも部分的に可撓性の容器により形成する。このような可撓性の容器を使うことで、とくに簡単に、貯留容積に応じて、使用液領域と汚液領域とに配分することができる。
【0011】
このとき、容器内に、使用液出口を突入させると好適である。これにより、容器は使用液の貯留に使え、また、輸液装置の他の部分、とくに底部には、汚液をとくに都合よく貯留槽から、例えば下水道に排出できるように排水口を設ける。
【0012】
この代案として、容器は好適には、汚液入口から充填されるものとする。これにより、汚液領域は、輸液装置の他の部分から、可能な限り隔離することができ、よって装置の汚染を最小限に喰いとめることができる。
【0013】
好適には、輸液装置内に容器を着脱可能に設け、これにより輸液装置を、純粋に洗浄液供給装置もしくは汚液排出装置として、洗浄液をドリル装置に、または汚液を下水道のような下水装置にポンプ送給するための中間貯留槽として使用することができる。
【0014】
このとき、容器を、例えば汚液を容器と一緒に取り外すことができるように、使い捨て容器により形成すると、とくに好適である。
【0015】
この目的のため、この容器を予め決めた方法で貯留槽内に配置できるようにするには、容器に浮き底を設けると好適である。このようにして、例えば貯留槽の流入または流出に対する妨害が防がれる。
【0016】
このとき、容器の生産コストを下げるためには、容器を袋により構成すると好適である。
【実施例1】
【0017】
図1には、ダイアモンド-コアドリル装置の形式とした工具装置4に、使用液B、例えば、とくに水を供給するのに用いる輸液装置2を示す。この場合、比較的きれいな使用液Bを、例えば当該の工具または作業領域の洗浄または冷却に使用する。同時に、輸液装置2は、工具装置4の作動中に発生する汚液Sを排出するのに用いる。この汚液Sは、ほぼ使用液B、および作動中に削り出された材料粒子Mを含む。
【0018】
また、輸液装置2には、蓋6で閉鎖しかつ貯留空間7を構成する貯留槽8を設け、この貯留槽8には使用液領域10とともに汚液領域12も設ける。これら2つの領域10,12を隔てる分離素子として可撓性の容器14を使用し、この容器14は、貯留槽8内に保持し、また使用液領域10を受容する袋とする。
【0019】
容器14内には、全体的に参照符号18で示した使用液出口のフロート取水手段16を配置し、このフロート取水手段16は、押揚げポンプである導出ポンプ20に接続する。作動にあたり、この導出ポンプ20により、使用液Bは矢印で示すように、使用液領域10から供給導管22を経て、工具装置4に供給される。
【0020】
工具装置4の作業領域24を通過した後、作業領域で発生した汚液Sは、排出導管26を経て、矢印で示すように作業領域24から送出される。この目的のため、排出導管26を、汚液領域12内に開口する汚液入口28に接続する。貯留空間7全体、および、ひいては汚液領域12も、吸い上げポンプ30によって吸引される。このとき発生する負圧によって、作動中、汚液Sは汚液入口28を経て汚液領域12に送り込まれる。
【0021】
このとき双方のポンプ20,30の制御は、作動中、制御装置32によって行い、この制御装置32は工具装置4の給電ケーブル34に接続する。
【0022】
図2には、作業前の輸液装置2を示す。この時点では、容器14は、例えば工業用水または飲用水などの比較的きれいな使用液Bで満たされている。このとき、例えば発泡性であり、容器14の他の部分よりも比較的曲げ剛性のある材料で形成した、容器14の浮き底36は、貯留槽8の槽底部38に当接している。使用液領域10はこのとき、ほぼ完貯留槽8の貯留空間7全体にわたり占有する。汚液領域12は最小容積となっており、まだ汚液Sが存在しない。
【0023】
工具装置4のスイッチを入れると、制御装置32により導出ポンプ20も始動し、使用液Bを使用液領域10から供給導管22を経て工具装置4に供給する。さらに、制御装置32により、吸引ポンプ30も始動することで、貯留空間7に負圧が発生する。この結果、作業領域24で生じた汚液Sは、汚液入口28まで導出され、この汚液入口28から汚液領域12に導入される。
【0024】
図1に示すように、作動中、汚液領域12は徐々に満たされて増大するとともに、使用液領域10での使用液Bの量が徐々に減る。このように、使用液側の充填量が減少するに伴い、汚液領域12の汚液S側の充填量は増大し、このため浮き底36は徐々に浮上する。
【0025】
この過程は、使用液領域10が、図3に示すように、完全に空になるまで継続する。このとき、容器14は、浮き底36の浮力により、この時点で貯留空間7をほぼ満たしている汚液Sの液面に浮く。この時点において、使用液領域10の量は最小となる。
【0026】
輸液装置2をさらに作動させる前に、まず汚液Sを空にしなければならない。このことは槽底部38に設けた排水口40により行い、この排水口40を経て、汚液Sは下水道などの廃水処理装置42に排出される。
【実施例2】
【0027】
図4〜図6は、輸液装置2の他の実施例を示す。この実施例は、基本的に図1〜図3に示した実施例ほぼ類似する。同一素子、もしくは同一機能を持つ素子には同一参照符号を付して説明する。
【0028】
第1実施例との基本的な相違点は、使用液出口18および汚液入口28の実施形態および配置関係にある。この実施例では、汚液入口28は、これが容器14を充填できるように構成する。このため、この実施例において汚液領域12は容器14内にあり、貯留空間7の残りの領域は使用液領域10として使用する。
【0029】
図4は、作動前の輸液装置2を示す。この時点において、使用液領域10は、比較的きれいな使用液Bで満たされている。この時点では空である容器14は、浮き底36の浮力により使用液Bの液面に浮かんでいる。このため汚液領域12の容積は最小である。
【0030】
工具装置4のスイッチを入れると、制御装置32により導出ポンプ20がスタートし、使用液Bは使用液領域10から供給導管22を経て、工具装置4に供給される。さらにこの実施例においては、使用液出口18は槽底部38に隣接して配置される。
【0031】
さらに、制御装置32により吸い上げポンプ30も始動し、貯留空間7内に負圧を発生する。結果として、作業領域24で発生した汚液Sは汚液入口28に導かれ、容器14の汚液領域12に充填される。
【0032】
図5に示すように、作動中、容器14または汚液領域12は徐々に充填されて増大するとともに、貯留空間7における、つまり使用液領域10での使用液Bの量が徐々に減る。使用液側の充填量減少に伴い、容器14の汚液S側の充填量が増大することにより、浮き底36は徐々に沈下する。
【0033】
この過程は、使用液領域10が、図6に示すように、ほぼ空になるまで持続する。このとき、容器14の浮き底36は、使用液領域10内での最小充填量に対して汚液S側の充填量が高いため、槽底部38に当接する。この時点において、使用液領域10の容積は最小である。
【0034】
とくに図5および図6に示すように、容器14の上方端部44には、透水性領域46を設けることができる。この透水性領域46は多孔性にし、この孔の大きさは、汚液Sに含まれる使用液B部分が、この透水性領域46を通って汚液領域12から出ることができるとともに、材料粒子Mのほとんどが容器14内に留まるような大きさとする。このとき、汚液Sと使用液Bの圧力差を利用し、浮き底36の浮力作用により、一定の容器14のある程度の曲げ剛性に関係する浮き底36の浮力作用に基づいて、とくに使用液Bの水位が極めて低いときに発生する。このようにして付随的に発生する汚液Sの一部はフィルタ作用を受け、再び使用液領域10を充填するのに利用することができる。
【0035】
汚液領域12に回収した汚液Sを廃棄する目的のために、容器14は輸液装置2に着脱可能に取り付け、例えば使い捨て袋などの使い捨て容器により形成する。このため容器14は、保留する汚液Sと一緒に輸液装置2から取り外し、廃棄することができる。その後、新しい容器14を輸液装置2に取り付け、使用液領域10を新たに使用液Bで満たすことができる。
【0036】
着脱可能な容器14は、他にも輸液装置2を、図7および図8に示すように、使用液Bまたは汚液Sをポンプ送給するため、簡単に改造した状態で使用することができるという利点も有する。
【実施例3】
【0037】
図7には、図1〜図3に示した実施例において、容器14を取り外し、使用液出口18のフロート取水手段16を、槽底部38の近くまで達する吸引管48に置換した輸液装置2を示す。さらに、この実施例において、供給管22は工具装置4にではなく、廃水処理装置42に接続する。
【0038】
この場合、輸液装置2の作動中、吸引ポンプ30によって貯留空間7内に負圧を発生させ、この結果、作業領域24に付随的に発生した汚液Sを、排水導管26を介して吸引する。この後、このようにして中間貯留槽として機能する貯留空間7に送り込まれた汚液Sは、この汚液に適したポンプにより形成した送出ポンプ20の下に、供給管22を介して廃水処理装置42にポンプ送給される。
【実施例4】
【0039】
図8には、図4〜図6に示した実施例において、やはり容器14を取り外し、排水導管26を、作業領域24にではなく、給水装置52、例えば飲料水配管に接続した輸液置2を示す。
【0040】
この場合、輸液装置2の作動中、供水装置52から使用液Bを呼び込むために、吸引ポンプ30によって貯留空間7内に負圧を発生させることもできる。この後、このようにして中間貯留槽として機能する貯留空間7に導入した使用液Bを、導出ポンプ20の下に、供給管22を介し、工具装置4にポンプ送給される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1実施例における、輸液装置および工具装置の構成を示す部分断面図である。
【図2】作業開始時における図1の構成の部分断面図である。
【図3】作業終了時における図1の構成の部分断面図である。
【図4】本発明の第2実施例における、作業開始時の輸液装置および工具装置の構成を示す部分断面図である。
【図5】作業中における、図4の構成の部分断面図である。
【図6】作業終了間近における図4の構成の部分断面図である。
【図7】ポンプ作動時における、図1〜3の構成の部分断面図である。
【図8】ポンプ作動時における、図4〜6の構成の部分断面図である。
【符号の説明】
【0042】
2 輸液装置
4 工具装置
6 蓋
7 貯留空間
8 貯留槽
10 使用液領域
12 汚液領域
14 容器
16 フロート取水手段
18 使用液出口
20 導出ポンプ
22 供給管
24 作業領域
26 排水導管
28 汚液入口
30 吸引ポンプ
32 制御装置
34 給電ケーブル
36 浮き底
38 槽底部
40 排水口
42 廃水処理装置
44 容器の上方端部
46 透水性領域
48 吸引管
52 供水装置
B 使用液
M 材料粒子
S 汚液
【出願人】 【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
【出願日】 平成19年10月9日(2007.10.9)
【代理人】 【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司

【識別番号】100072051
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 興作

【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志

【識別番号】100107227
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 史朗

【識別番号】100134005
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 達也


【公開番号】 特開2008−94097(P2008−94097A)
【公開日】 平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願番号】 特願2007−263584(P2007−263584)