トップ :: B 処理操作 運輸 :: B28 セメント,粘土,または石材の加工

【発明の名称】 コアビット
【発明者】 【氏名】三中 達雄

【氏名】松原 裕行

【要約】 【課題】切り始めにおけるコアビットの姿勢を安定させて穴の直進性を向上させ、精度の高い穴あけ加工ができるコアビットを提供する。

【解決手段】コアビットのボデーの一側部の表面にダイヤモンドチップ22から軸方向に一定長さにわたって外周面全体にダイヤモンドチップ22と面一をなすガイド25を形成する。ガイド25には周方向に一定間隔でコアビットの軸線に対し傾斜する溝26を多数形成し、該溝26によってガイド25を周方向に分割して一定幅の多数のガイド部27で構成する。そして各ガイド部27はダイヤモンドチップ22と反体側の先端コーナaが軸線と平行な線c上に、隣接するガイド部27と共に位置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のボデーと、該ボデー先端に固着されるダイヤモンドチップを有し、コンクリート構造物への穿孔加工に使用するコアビットにおいて、上記ボデーにはダイヤモンドチップから軸方向に一定長さにわたって外周面全体にダイヤモンドチップと面一をなすガイドを形成すると共に、該ガイドに周方向に適当間隔で冷却水もしくは冷却媒体や切粉を通す溝を多数形成し、該溝によって上記ガイドが周方向に分割されて多数のガイド部より構成されることを特徴とするコアビット。
【請求項2】
上記溝がコアビットの軸線に対し傾斜するか又は螺旋状をなし、ダイヤモンドチップと反体側のガイド部先端のコーナは、軸線と平行をなして隣接するガイド部を通る線上に位置することを特徴とする請求項1記載のコアビット。
【請求項3】
コアビットが主に長孔の穿孔加工に使用する連結式のコアビットであることを特徴とする請求項1又は2記載のコアビット。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物への穿孔加工に使用するコアビットに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来のワンボディー式コアビットについて示すもので、円筒状のボデー1の一端にフランジ2を溶接にて固定し、ボデー他端にダイヤモンドチップ3を溶接又はロウ付けしたものよりなっている。
【0003】
図2は、主に長孔の穿孔加工に使用する従来の連結式コアビットを示すもので、先端にダイヤモンドチップ4を溶接又はロウ付けした円筒状のボデーよりなるコアビット5とカップリング6をチューブ7を介して取外し可能に連結し、チューブ7を継ぎ足すことによって長く延ばすことができるようにしてあり、取外し可能に連結するためにコアビット5とチューブ7及びチューブ7とカップリング6の接合部分にはそれぞれネジ部(図示しない)が形成され、ネジ部の捩じ込みにより連結されるようになっている。
【0004】
図3は、図1又は図2に示すコアビットを用いてコンクリート構造物9を切削中の断面を示すもので、図示するようにダイヤモンドチップ3は厚みがボデー1の肉厚よりも厚く、ボデー1の内外に突出するように取付けられているため、切削溝11の内外周の壁面との間に隙間を生じ、この隙間によりボデー3がコンクリート構造物9に接触しないようにしていると共に、冷却水を通し、切粉を排出させるようにしている。
【0005】
切粉の排出を容易にするためのコアビットも知られ、下記特許文献1には、図4に示すように、ボデー12の内外周のうち、少なくとも一方に切粉排出用の螺旋状の凸部13を突設したコアビットが開示されている。
【特許文献1】特開平8−142039号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
切削中、コアビットの内外に隙間を生じることは反面、コアビットが隙間の範囲内で傾き、真直ぐな精度の高い穴あけができなくなる、という問題を生ずる。とくに図5に示すように、横向きの孔あけ作業時にはコアビット1の自重やコアビット内のコア17の自重によりコアビット1が下方に傾き、形成される穴18が下方に曲がりがちである。とりわけ図2に示すような連結式のコアビットで長孔を形成するの場合、切り始めに穴が傾いていると、その後に形成される穴の振れも大きくなるため、穴の直進性や精度を向上させるために、切り始めにおいては通常コアビット5をカップリング6に直接連結して行い、切削がある程度進行すると、コアビット5を穴から一旦引出し、コアビット5とカップリング6をチューブ7で継いで、コアビットを穴に通し、切削を再開する方法で行われている。コアビットはまた長尺になると、コアビット自体も撓み易くなり、形成される穴が大きく湾曲し易い。
【0007】
切削中、コアビットはまた、コンクリートの硬い骨材や鉄筋の影響を受けて、小刻みにダイヤモンドチップが振れ、そのため図6に示すように形成された穴19の内面やコア20の外面が小さくうねったようになり、コアビットを抜き差しする際、ボデーより出っ張ったダイヤモンドチップ3がうねりに引っ掛かって抜き差しがスムースに行えなくなる。
【0008】
上述するように穴18が曲がったり、穴19内面がうねったりしているとまた、コアビットが穴18、19の壁面に接触するようになり、その接触抵抗によりドリルモータのパワーロスを招く。とくに長孔や大口径のように穴壁面との接触面積が広く、また接触圧が強くなると、パワーロスが大きくなり、穴あけができなくなることがある。
【0009】
図4に示すコアビットの場合、凸部13の突出高さをコアビット14の高さと一致させると、切削中、凸部13が穴内壁に接触するようになり、切削が進行すると、上述する問題はある程度緩和されるが十分でない。とくに切り始めにおいて、凸部13が穴内壁に接触するのは円周方向において1ないし2か所となるため、コアビットの姿勢が安定せず、コアビットが穴内で傾いて精度の高い穴あけができなくなるおそれがある。
【0010】
本発明は、切削初期においてもコアビットの姿勢を安定させて穴の直進性を向上させ、精度の高い穴あけ加工ができるコアビットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、円筒状のボデーと、該ボデー先端に固着されるダイヤモンドチップを有し、コンクリート構造物への穿孔加工に使用するコアビットにおいて、上記ボデーにはダイヤモンドチップから軸方向に一定長さにわたって外周面全体にダイヤモンドチップと面一をなすガイドを形成すると共に、該ガイドに周方向に適当間隔で冷却水もしくは冷却媒体や切粉を通す溝を多数形成し、該溝によって上記ガイドが周方向に分割されて多数のガイド部より構成されることを特徴とする。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の溝がコアビットの軸線に対し傾斜するか又は螺旋状をなし、ダイヤモンドチップと反体側のガイド部先端のコーナは、軸線と平行をなして隣接するガイド部を通る線上に位置することを特徴とする。
本発明において、ガイド部を通る線とはガイド部のいずれかを通る線であればよく、ガイド部の根元のコーナを通る線のみに限定されるものではない。
【0013】
また請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明のコアビットが長孔の穿孔加工に使用する連結式のコアビットであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載のコアビットは、ダイヤモンドチップから軸方向に一定長さにわたって外周面全体にガイドがダイヤモンドチップと面一をなして形成されているから、切り始めにおいてもガイドが穴内壁に接触するようになり、切削時のコアビットの姿勢が安定し、また横方向の穴あけでは、コアビットの自重によりダイヤモンドチップの側面で穴の内壁を削り、穴の直径を拡幅する事がないため、コンクリート構造物に形成される穴の直進性が向上し、精度の高い穴あけ加工ができるようになること、精度の高い穴あけができ、孔のうねりがなくなることによりコアビットの抜き差しがスムースに行えること、穴内壁にはダイヤモンドチップのみならず、ガイドも接触するが、穴内壁との接触面積が大きくなるほど、ダイヤモンドチップ単独で穴内壁に接触する従来のコアビットに比べ、ダイヤモンドチップ側面の磨耗が生じにくくなることによりコアビットの寿命が延びること、ダイヤモンドチップはボデーの端面に溶接又はロウ付けされるが、ガイドによりボデー端面の溶接又はロウ付け面積が増え、溶接又はロウ付けによる強度を増大させることができること等の効果を奏する。
【0015】
コアビットは、ダイヤモンドチップと反対側のガイド部先端のコーナを通る軸線と平行な線が他のガイド部を通るか、もしくは一部が重なり合っていないと、切削時にはガイド部先端のコーナが上記線上において単独でコンクリート構造物に当たるようになってコアビット回転時に引掛かりを生じ、コーナが損傷するおそれがあるが、請求項2記載の発明のコアビットのように、ガイド先端のコーナが常に軸線と平行な線上もしくは重なり合うように、隣接するガイド部と共に位置してコンクリート構造物に当たるようにしておくと、コアビット回転時に引掛かりを生ずることがない。また溝がコアビットの軸線に対し傾斜するか又は螺旋状をなしていることにより回転時の抵抗を少なくすることができる。
【0016】
長孔を形成する場合、請求項3記載のコアビットを用いると特に有効で、切り始めの穴あけが精度よく行われるため、その後に形成される穴の直進性が向上し、全体として精度の高い穴あけ加工が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態のコアビットについて図面により説明する。
図7は、図2に示す連結式コアビットのコアビット5に代えて用いられるコアビット21について示すもので、円筒状のボデーの一端端面には周方向に一定間隔でダイヤモンドチップ22が溶接又はロウ付けにより固定されており、他側部の表面には図2に示すカップリング6又はチューブ7に捩じ込まれるネジ部23が形成されている。以上の構造は図2に示すコアビット5と同一で変わりがない。
【0018】
ボデーの一側部の表面には、ダイヤモンドチップ22から軸方向に一定長さにわたって外周面全体にダイヤモンドチップ22と面一をなすガイド25が形成されており、該ガイド25には周方向に一定間隔でコアビットの軸線に対し傾斜する溝26(この溝26は螺旋状の溝であってもよい)が多数形成され、該溝26によってガイド25が周方向に分割されて一定幅の多数のガイド部27により構成されており、各ガイド部27は図示する例においては、各ダイヤモンドチップ22より延びて周方向に一定ピッチで形成されている。そして各ガイド部27はダイヤモンドチップ22と反体側の先端コーナaが軸線と平行な線c上に、隣接するガイド部27と共に位置している(図示する例においては根元bが線c上に位置しているが、線cがb点以外のガイド部27を通るように先端コーナaを形成するようにしてもよい)。
【0019】
図8は、図7に示すコアビット21を用いてコンクリート構造物28を切削中の断面を示している。
【0020】
本実施形態のコアビットによると、切り始めにおいてもコアビットの全周に設けたガイドが穴内壁に接触するため、コアビットが傾くことなく姿勢が安定し、そのため穴の直進性が向上し、精度の高い穴あけ加工が行えること、とくに長孔を形成する場合、切り始めの孔の精度を高くできるため、その後の振れが少なくなり、全体として精度の高い穴あけ加工ができること、精度の高い穴あけ加工ができ、穴内壁やコア29外面にうねりがなくなることによりコアビット21の抜き差しがスムースに行えること、ダイヤモンドチップ22と共にガイド部25が穴内壁に接触するため、ダイヤモンドチップ単独で穴内壁に接触するよりもダイヤモンドチップ25の側面の磨耗が生じにくくなることによりコアビットの寿命が延びること、ダイヤモンドチップ22をボデー端面に溶接又はロウ付けする際、ガイド25によってボデー端面の溶接面積又はロウ付け面積が増えるためダイヤモンドチップ22の取り付け強度が増大すること、ガイド部先端のコーナaは隣接するガイド部27の根元のb点を通る線c上に位置し、線c上でコーナaは隣接するガイド部27のb点と共に穴内壁に当たるようになり、単独で当たる場合のような引掛かりを生ずることがなく、穴あけがスムースに行えること等の効果を奏する。
【0021】
上記実施形態は、図2に示す連結式コアビットのコアビット5に代えて用いられるコアビットについて示したが、図1に示すコアビットにおいても同様に構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明はコアビット、とりわけ連結式のコアビットに適用するのに適する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来のワンボディー式コアビットの斜視図
【図2】従来の連結式コアビットの斜視図
【図3】図1又は図2に示すコアビットを用いてコンクリート構造物を切削中の断面図
【図4】従来の別の例のコアビットの斜視図
【図5】切削される穴が下方に傾いた状態を示す断面図
【図6】切削される穴がうねった状態を示す断面図
【図7】連結式コアビットに用いられる本発明に係るコアビットの側面図
【図8】図7に示すコアビットを用いてコンクリート構造物を切削中の断面図
【符号の説明】
【0024】
3、4、22・・ダイヤモンドチップ
5、21・・コアビット
6・・カップリング
7・・チューブ
23・・ネジ部
25・・ガイド
26・・溝
27・・ガイド部
9、28・・コンクリート構造物
17、20、29・・コア
【出願人】 【識別番号】000165424
【氏名又は名称】株式会社コンセック
【出願日】 平成18年10月5日(2006.10.5)
【代理人】 【識別番号】100079636
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 晃一


【公開番号】 特開2008−87433(P2008−87433A)
【公開日】 平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願番号】 特願2006−273725(P2006−273725)