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【発明の名称】 ドリルビット
【発明者】 【氏名】宮永 昌明

【要約】 【課題】穿設性能を高め、刃先外径端が欠損し難く、真円度の高い穿孔が可能なドリルビットを提供する。

【構成】ドリルビットAの外径端に外端1aが位置する主切刃部1Aと、外端1aより外端1bが内径方に位置する副切刃部1Bを周方向に放射状に複数配置し、各切刃部のすくい面2と逃げ面3の接合稜線4を切刃4A,4Bとし、2つの切刃の内径端が中心部O1で接合して先端部分に尖頭部10Aを有するcビット先端部10を備えたドリルビットAであり、複数の副切刃部1Bの切刃4Bの内径端が接合して前記尖頭部10Aが形成され、副切刃部1Bの切刃4Bが尖頭部10Aの先端から所定の傾斜角度K1,K2で基端側且つ外径方へ、主切刃部1Aの切刃4Aが尖頭部10Aの先端から基端よりの且つ外径よりの位置から前記所定の傾斜角度K1,K2よりも小さな傾斜角度K3で基端側且つ外径方へ延設される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリルビットの外径端に外端が位置する主切刃部と、該主切刃部の外端より外端が内径方に位置する副切刃部とをそれぞれ周方向に放射状に複数配置し、これら各切刃部に形成されるすくい面と逃げ面の接合稜線を切刃とし、これらの各切刃のうちの少なくとも2つの切刃の内径端がドリルビット先端の底面視における中心部で接合して先端部分に尖頭部を有するビット先端部を具備したドリルビットにおいて、
複数の前記副切刃部の切刃の内径端が中心部で接合(略接合する状態も含む:この明細書及び特許請求の範囲において同じ)することによって前記尖頭部が形成されるとともに、
前記副切刃部の切刃が前記尖頭部の先端から所定の傾斜角度で基端側且つ外径方へ延設されるとともに、前記主切刃部の切刃が前記尖頭部の先端より基端且つ外径よりの位置から前記所定の傾斜角度よりも小さな傾斜角度で基端側且つ外径方へ延設され、且つ、前記副切刃部の切刃の回転軌跡と前記主切刃部の切刃の回転軌跡が交わるように構成されることによって、該副切刃部が、前記交わった位置から内径側に位置する穴の中央部を穿設し、該主切刃部が、前記交わった位置から外径側の前記中央部の外周方の領域を穿設するようにしたことを特徴とするドリルビット。
【請求項2】
前記主切刃部が周方向において少なくとも2箇所に配置されるとともに、前記副切刃部が周方向において前記2箇所の各主切刃部の各間に少なくとも1箇所づつ配置されていることを特徴とする請求項1記載のドリルビット。
【請求項3】
前記主切刃部の内径端が、前記副切刃部の側面に接合していることを特徴とする請求項1又は2記載のドリルビット。
【請求項4】
前記副切刃部の切刃の前記傾斜角度が、ドリルビットの内径部で小さく、外径部で大きく構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1の項に記載のドリルビット。
【請求項5】
前記少なくとも2箇所に配置されている主切刃部が、底面視において前記尖頭部を通過し直径方向に延びる仮想線に沿って配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1の項に記載のドリルビット。
【請求項6】
前記ドリルビットが一体成形された超鋼合金製のもので構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1の項に記載のドリルビット。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ドリルビット、詳しくは振動ドリル装置(ロータリハンマードリル装置)に取着して石材あるいはコンクリート等に穿孔することができるドリルビットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、石材あるいはコンクリートに穴を穿設する場合には、振動ドリル装置に超硬合金製等のドリルビットを取着し、該ドリルビットに回転と軸方向の振動(打撃)とを加えることによっておこなわれる。
この種のドリルビットとして、周方向に複数の切刃部を設け、これら各切刃部に形成されるすくい面と逃げ面の接合稜線を切刃とし、これらの各切刃の内径端がビット先端の中心部で接合するよう構成されているものがある(特許文献1参照)。
【0003】
また、本出願人より、比較的高い穿設性能を備え切刃部の切刃の外径端部が欠損し難いドリルビットが提供されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2002−178328号公報
【特許文献2】国際公開WO 03/103914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1のドリルビットでは、切刃後方の前記逃げ面が、内径端部から外径端まで同じ傾斜角を有する単一の面で構成されているため、穿孔作業をおこなうべく、ドリルビットをコンクリート等の被切削物に衝撃的に当接させたときには、自由端となる外径端が欠損し易くなる。一方、刃先が外径端で欠損しないように前記逃げ面の軸方向の傾斜角を小さくすると、衝撃的に当接して被切削物を砕く所謂「破砕能力」が低下し、その結果、ドリルビットとしての穿設性能が低下する。また、前述のように、逃げ面を大きくない傾斜角からなる面で構成すると、回転方向において該逃げ面の後方に位置するすくい面との接合部分で、該逃げ面が切刃より先端側に突出するため、この部分を切り欠いて接合面を形成する必要があり、消極的な技術的理由に起因してドリルビットの構成が複雑になる。
【0005】
一方、前記特許文献2記載のドリルビットでは、副切刃部は、切削に対して切削後の切削屑の破砕という補助的に作用するにすぎず、必ずしも、効率の良い穿設がおこなわれていない。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みておこなわれたもので、穿設性能を高めた且つ刃先の外径端が欠損し難く、しかも正確にセンターの位置決めをして真円度の高い穿孔が可能なドリルビットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記本発明の目的は、以下に記載のドリルビットによって解決される。
【0008】
本発明にかかるドリルビットは、ドリルビットの外径端に外端が位置する主切刃部と、該主切刃部の外端より外端が内径方に位置する副切刃部とをそれぞれ周方向に放射状に複数配置し、これら各切刃部に形成されるすくい面と逃げ面の接合稜線を切刃とし、これらの各切刃のうちの少なくとも2つの切刃の内径端がドリルビット先端の底面視における中心部で接合して先端部分に尖頭部を有するビット先端部を具備したドリルビットにおいて、
複数の前記副切刃部の切刃の内径端が中心部で接合(略接合する状態も含む:この明細書及び特許請求の範囲において同じ)することによって前記尖頭部が形成されるとともに、
前記副切刃部の切刃が前記尖頭部の先端から所定の傾斜角度で基端側且つ外径方へ延設されるとともに、前記主切刃部の切刃が前記尖頭部の先端より基端且つ外径よりの位置から前記所定の傾斜角度よりも小さな傾斜角度で基端側且つ外径方へ延設され、且つ、前記副切刃部の切刃の回転軌跡と前記主切刃部の切刃の回転軌跡が交わるように構成されることによって、該副切刃部が、前記交わった位置から内径側に位置する穴の中央部を穿設し、該主切刃部が、前記交わった位置から外径側の前記中央部の外周方の領域を穿設するようにしたことを特徴とする。
【0009】
前述のようにドリルビットを構成すると、副切刃部が穿設しようとする穴の前記中央部を穿設し、該主切刃部が該中央部の外周方の領域を穿設するため、つまり主切刃部も副切刃部も共に積極的に且つ有機的に切削に寄与する。このため、極めて効率の良い穿設をおこなうことが可能となる。また、前記複数の主切刃部のうちのいずれか1の主切刃部と他の主切刃部との間に副切刃部が配設されているため、穿孔しようとする穴の外縁部を切削する該主切刃部をその回転に際して前記副切刃部が所定の位置に位置するのを補助し、この結果、該主切刃部が芯ぶれすることなく回転して、真円度の高い高品位の穴を穿設することが可能となる。さらに、穴の外縁部を穿設する主切刃部の切刃が前記尖頭部の先端より基端且つ外径よりの位置から前記所定の傾斜角度よりも小さな角度で基端側且つ外径方へ延設され且つ、前記副切刃部の切刃の回転軌跡と前記主切刃部の切刃の回転軌跡が前記中央部の外縁で交わるように構成されるため、ドリルビットの刃先の外径端(主切刃部の外端)が欠損し難くなる。
このように、本発明にかかるドリルビットによれば、高い穿設性能を発揮し且つ刃先の外径端が欠損することがない、しかも正確にセンターの位置決めがおこなわれた状態で穿設が実行される結果、真円度の高い高品位の穿孔が可能な、トータル的に高い性能を備えたドリルビットとなり、しかも消極的な技術的理由に起因する「構成の複雑化」を回避したドリルビットとなる。
【0010】
また、前記ドリルビットにおいて、前記主切刃部が周方向において少なくとも2箇所に配置されるとともに、前記副切刃部が周方向において前記2箇所の各主切刃部の各間に少なくとも1箇所づつ配置されていると、高い真円度の穿孔が可能なドリルビットとなる。
【0011】
また、前記ドリルビットにおいて、前記主切刃部の内径端が、前記副切刃部の側面に接合していると、剛性の高い切刃部を実現することができる。
【0012】
また、前記ドリルビットにおいて、前記副切刃部の前記傾斜角度が、内径部で小さく、外径部で大きく構成されていると、尖頭部の欠損が少ない丈夫な構成のドリルビットを実現することができる。
【0013】
また、前記ドリルビットにおいて、前記少なくとも2箇所に配置されている主切刃部が、底面視において前記尖頭部を通過し直径方向に延びる仮想線に沿って配置されていると、ドリルビットの外径端まで延設されている主切刃部が穿設中に径方向に位置ずれすることができなくなり、さらに、真円度の高い穿設が可能なドリルビットとなる。また、該ドリルビットの外径(穿設有効径)を汎用のノギス等を用いて簡単に測定できる構成となる。
【0014】
また、前記ドリルビットにおいて、前記ドリルビットが一体成形された超鋼合金製のもので構成されていると、切削効率の高い、且つ耐久性の高い強靱なドリルビットとなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかるドリルビットによれば、穿設性能を高めた且つ刃先の外径端が欠損し難い、しかも正確にセンターの位置決めをして真円度の高い高品位の穿孔が可能なドリルビットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本願発明にかかるドリルビットの実施形態を図面を参照しながら具体的に説明する。
【0017】
図1は本実施形態にかかるドリルビットのビット先端部の外観形態を示す斜視図、図2はビット先端部の底面図、図3は図2のIII-III矢視図、図4は図2のIV-IV矢視図、図5は図2のV−V矢視図、図6は図2のVI-VI矢視図、図7は図2のVII-VII矢視断面図、図8は図2のVIII-VIII矢視断面図である。
【0018】
この実施形態にかかるドリルビットAのビット先端部10は、図1、図2に図示するように、一体のブロック体の形態を有する。そして、このビット先端部10は、周方向に複数(この実施形態では5つ)の切刃部1が放射状に配置されている。これらの各切刃部1は、穿設作業に際して回転方向Rにおいて前方となる側に形成されるすくい面2を有するとともに、このすくい面2の回転方向後方に隣接して形成される逃げ面3とをそれぞれ有する。そして、この切刃部1は、前記すくい面2と逃げ面3とが接合して陵線をなす接合稜線4を有する。この接合稜線4は、このドリルビットAの切刃4A,4Bを構成している。
【0019】
また、この実施形態にかかるドリルビットAは、図2に図示するように、周方向において2箇所、主切刃部1Aが配置されており、この2箇所の各主切刃部1Aの間に形成される1つの空間(第1の空間)に、1個の副切刃部1Bが配置され、また他の空間(第2の空間)に、2個の副切刃部1Bが配置されている。つまり、このドリルビットAの場合には、周方向の2箇所に主切刃部1Aと3箇所に副切刃部1Bとが放射状になるように配置されている。しかし、別の実施形態として前記副切刃部1Bは、各主切刃部1Aの各間にそれぞれ1個の、少なくとも2箇所に配置されていれば足りる。また、各主切刃部1Aの各間に、2以上の副切刃部1Bが配置されていてもよい。
【0020】
また、図2に図示するように、前記主切刃部1Aの外端(径方向の外端)1aは、このドリルビットAの外径端となり、前記副切刃部1Bの外端1bは、前記主切刃部1Aの外端1aより内径側に位置している。つまり、前記副切刃部1Bの外端1bは、前記主切刃部1Aの外端1aに比べて、図2において「t」で表す寸法だけ径方向において内径方に位置している。
【0021】
そして、これら主切刃部1Aと副切刃部1Bに形成されている前記接合稜線4は、ドリルビットAの周方向の各位置において、放射状に配置された切刃4A,4Bを形成している。また、前記3箇所の副切刃部1Bのそれぞれの接合稜線4からなる切刃4Bの各内径端は、このドリルビットAのビット先端部10の底面視における中心O1で接合して、切刃4Bの内径部分(ドリルビットAの中心)に先端が尖った尖頭部10Aを形成している。この尖頭部10Aの先端が、穿設時のセンター(回転中心0)となる。
しかし、必要に応じて、前記3つの接合稜線4(切刃4B)の内径側に位置する一端が、所謂「チゼルエッジ」の形態により、ドリルビットAの底面における中心部で間接的に接合するような構成とすることもできる。
【0022】
また、前記主切刃部1Aの内径端は、図1,図2に図示するように、隣接する各副切刃部1Bの側面に一体に接合し、該主切刃部1Aの内径端は、前記中心O1から外径方に離間した位置に位置している。また、この主切刃部1Aの切刃4Aは、前記尖頭部10A(中心O1)の先端から基端よりの且つ外径よりの位置から、基端側且つ外径方へ延設されている。
【0023】
また、図8に図示するように、前記副切刃部1Bの、前記接合稜線4によって構成される切刃4Bが、前記尖頭部10Aの先端から所定の傾斜角度K1,K2で基端側へ延設されるとともに、図7に図示するように、前記主切刃部1Aの接合稜線4で構成される切刃4Aが、前記尖頭部10Aの先端に対して基端よりの位置から前記所定の傾斜角度K1,K2よりも小さな傾斜角度K3で延設されている。この結果、図9(a),(b)に図示するように、このドリルビットAが回転中心O(前記中心O1を通りドリルビットAの軸方向に延びる線)を中心に回転させると、前記副切刃部1Bの切刃4Bの回転軌跡と前記主切刃部1Aの切刃4Aの回転軌跡が、ドリルビットAの切刃4Aと切刃4Bの半径方向のいずれかの位置(この実施形態では中程の位置)で交わる。前記二つの回転軌跡が交わる位置、つまり図9(b)において仮想線Jで表す位置は、前記主切刃部1Aの切刃4Aと副切刃部1Bの切刃4Bの交点の回転軌跡である。
このため、前記副切刃部1Bの切刃4Bのうちの、前記交点Jより内径方の切刃部分4b(図9(a)に補助線と矢印でその領域を表示)は、穿設しようとする穴の中央部S1(図9(b)参照)を穿設し、前記主切刃部Aの切刃4Aのうちの、該交点Jより外径方の切刃部分4a(図9(a)に補助線と矢印でその領域を表示)は、穿設しようとする穴の該中央部S1より外周方の領域S2(図9(b)参照)を穿設することになる。つまり、前記主切刃部1Aと前記副切刃部1Bは、切削領域を分担した効率の良い切削を実施することが可能となる。しかも、回転中心Oに前記副切刃部1Bの尖頭部10Aの尖った先端が位置するため、確実に位置決めした状態での切削が可能となる。
【0024】
また、図8に図示するように、前記副切刃部1Bの切刃4Bの傾斜角度K1,K2は、側面視において、ドリルビットAの内径部で小さく、外径部で大きく構成されている。具体的には、この実施形態の場合、前記内径部の傾斜角度K1は、概ね30度程度に、外径部の傾斜角度K2は、概ね35度程度に設定されている。このように尖頭部10Aの先端部の傾斜角度K1が小さく構成されているため、この尖頭部10Aの先端が、穿設時に、衝撃的に被切削物に当接しても、欠損し難くなるという効果を得ることができる。なお、前記具体的な傾斜角度K1,K2の値は、単なる例示であって、被切削物の種類(硬さ)によって、つまり、コンクリート穿設用と、硬質の石材穿設用等とで適宜変更されることが効率的な切削をおこなう上で好ましい構成となる。
【0025】
さらに、この実施形態の場合、図2に図示するように、周方向において2箇所に配置されている主切刃部1Aが、前記尖頭部10Aの先端(前記中心O1)を通過し略直径方向に延びる仮想線L1に沿って配置されている。つまり、2箇所の主切刃部1Aが前記中心O1を隔てて直線状に配置されている。このため、穿設しようとする穴の外径D(図7、図9参照)が一義的に決定され、且つ主切刃部1Aの間にそれぞれ前記副切刃部1Bが配置されて回転中心がずれるのを防止している。この結果、真円に近い高品位の穿孔が可能となっている。また、このようなドリルビットの製造における検査等で、該ドリルビットAの径をノギス等を使用して、ドリルビットの外径を正確に測定することが可能となる。
【0026】
ところで、前記実施形態にかかるドリルビットAの前記切刃4A,4Bがエッジ状に形成されていると、切削時において高い切削効率を得る上から好ましく、また、ラウンド状に形成されていると高い耐摩耗性を具備させる上で且つ製造上焼結合金として製造する際に、好ましい構成となる。これらは、使用用途あるいは製造方法等に合わせて、適宜選択すればよい。
【0027】
ところで、図1〜図6に図示するように、前記主切刃部1Aのそれぞれの前記逃げ面3は、外周端部(外径端部)に位置する第1の逃げ面3Aと、その内周側(内径側)に位置する第2の逃げ面3Bとを有する。そして、前記第1の逃げ面3Aと第2の逃げ面3Bとは、曲面からなる接続面3Cによって径方向に接続されている。しかし、前記接続面3Cは、必ずしも曲面でなくともよい。
また、前記第1の逃げ面3Aは、切刃4Aに近い刃先側逃げ面3aと、該刃先側逃げ面3aの基端側に形成される基端側逃げ面3bとを有する。このドリルビットAの場合、図5、図6に図示するように、前記刃先側逃げ面3aの傾斜角が、前記基端側逃げ面3bの傾斜角より小さくなるよう構成されている。
また、この実施形態では、前記第2の逃げ面3Bの傾斜角(図5参照)が、前記刃先側逃げ面3aおよび前記基端側逃げ面3bの各傾斜角より、大きく構成されている。しかし、前記構成に限定されるものでなく、前記第2の逃げ面3Bの傾斜角は、少なくとも、前記刃先側逃げ面3aの傾斜角より大きく構成されていることが望ましい。従って、前記第2の逃げ面3Bの傾斜角は、前記基端側逃げ面3bの各傾斜角と等しい角度であってもよいし、あるいは小さい角度とすることもできる。
また、このような構成は、図10あるいは図11に図示するように、すくい面2にも採用してもよい。つまり、主切刃部1Aの該すくい面2の内径側に第1のすくい面2Bとその外径側に第2のすくい面2Aを形成してもよい。さらに、副切刃部1Bにも同様に形成してもよい。つまり、副切刃部1Bの逃げ面3の内径側に第1の逃げ面3Bとその外径側に第2の逃げ面3Aを形成し、また、すくい面2の内径側に第1のすくい面2Bとその外径側に第2のすくい面2Aを形成してもよい。そして、このように構成することによって、逃げ面3およびすくい面2の各外径端での欠損を可及的に少なくすることができる。従って、このような構成を具備することによって、高い切削能力を得るべく第1のすくい面2Aや第1の逃げ面3Aの傾斜角を大きく設定することが可能となる。
【0028】
ところで、具体的には、この実施形態では、このコンクリート(石材等も含む)用ドリルビットの場合、前記前記刃先側逃げ面3aの傾斜角は略23度程度に、前記基端側逃げ面3bの傾斜角は略45度程度に、さらに、前記第2の逃げ面3Bの傾斜角は略50度程度に設定されている。しかし、この傾斜角は、ドリルビットAの用途、使用条件、材質等によって、適宜設定されるものであり、前記数値に限定されるものではない。
【0029】
そして、この実施形態の場合、ドリルビットAのビット先端部10は、一体のブロック体の形態を有し、このビット先端部10は、この実施形態の場合には、材質的には、超硬合金によって構成されている。しかし、ドリルビットAのビット先端部10は、超硬合金以外の材質で構成することも勿論可能である。
【0030】
また、このドリルビットAのビット先端部10の基端方(図2〜図5において下方)には、ドリルビットAの軸部20(図3,図4参照)が一体に固着される。この軸部20は、図示しないが、周囲に該ドリルビットAの基端へ延びる排出溝(排出空間)が形成されるとともに、さらにその基端部にはドリル装置側への取付部(シャンク部)が形成されている。
【0031】
そして、前述のように構成された本実施形態にかかるドリルビットAは、穿設作業において以下のような作用効果を奏することができる。
即ち、穿設しようとする中心位置に、このドリルビットAの前記尖頭部10Aの先端を位置せしめて、該ドリルビットAを取着した振動ドリル装置(例えば、電動型の振動ドリル装置等)のスイッチをONにすると、ドリルビットAが、軸方向への衝撃的往復動を伴って前記尖頭部10Aの先端を中心にして回転し、その結果、まず、前記副切刃部1Bによって穴の中心部S1(図9(b)参照)が穿設され、次に、このドリルビットAの前記交点Jの位置まで穿設が進行すると、図9(b)に図示するように、同じく軸方向への衝撃的な往復動を伴った回転により、穴の中心部S1は前記副切刃部1Bによって、その外周域S2は、前記主切刃部1Aによって、それぞれ分担して切削が進行することになる。従って、このドリルビットAによれば、これら主切刃部1Aと副切刃部1Bとが有機的に作用して極めて効率的な切削がおこなわれる。
しかも、前記振動ドリル装置と被切削物との間にドリルビットAが位置して、前記尖頭部10Aに衝撃的に軸方向の押圧力と回転方向の外力が作用するが、この尖頭部10Aは、軸方向への傾斜角が小さく構成されているため、欠損は殆ど生じることがない。
また、前述のように、ドリルビットAの前記刃先側逃げ面3aの傾斜角が、前記基端側逃げ面3bの傾斜角より小さくなるように、つまり該刃先側逃げ面3aの傾斜角が該基端側逃げ面3bの傾斜角より小さく(鈍角に)なるよう構成されているため、穿設作業において衝撃力が作用しても、本来欠損が生じ易い主切刃部1Aの切刃4Aの外端部が欠損し難くい。
また、前記第2の逃げ面3Bの傾斜角および前記第1の逃げ面3Aの基端側逃げ面3bの傾斜角が大きくなっているため、前述のように前記切刃4Aの外端部が欠損し難くなっているにもかかわらず、本ドリルビットAは高い穿設性能を発揮する。
さらに、前記第2の逃げ面3Bの傾斜角を大きくすることができるため、該逃げ面3Bの回転方向R(図1,図2参照)において後方のすくい面2との間に形成される前記接合谷筋5が一本の単純な線で構成することが可能となり、また従来のドリルビットのような消極的な理由から必要となる接合面が不要となり、このため、ビット先端部10を従来のものに比べてシンプルな構成とすることができる。
加えて、本実施形態にかかるドリルビットAのビット先端部10は、前述のように比較的多くの面が複雑に組み合わされた構成からなるが、金型と焼結合金の粉末を用いて、該ビット先端部10を一体のブロック体の形態にしているため、高い生産効率で製造することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、振動ドリル装置等に取着して石材あるいはセメント等に穿設することができるドリルビットとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施形態にかかるドリルビットのビット先端部の外観形態を示す底面の斜め横方向から見た斜視図である。
【図2】図1に示すドリルビットのビット先端部の構成を示す底面図である。
【図3】図2のIII −III 矢視方向から見た側面図である。
【図4】図2のIV−IV矢視方向から見た側面図である。
【図5】図2のV−V矢視方向から見た側面図である。
【図6】図2のVI−VI矢視方向から見た側面図である。
【図7】図2のVII−VII矢視断面図である。
【図8】図2のVIII−VIII矢視断面図である。
【図9】図9は図2に示すドリルビットを回転させた際の回転軌跡を表す図で、(a)は該回転軌跡の側面図、(b)回転規制の底面図である。
【図10】図1〜図9に示す実施形態とは別の実施形態にかかるドリルビットのビット先端部の構成を示す底面図である。
【図11】図10に図示する本実施形態にかかるドリルビットのビット先端部の外観形態を示す底面の斜め横方向から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
A …ドリルビット
1A…主切刃部
1a…主切刃部の外端
1B…副切刃部
1b…副切刃部の外端
2…すくい面
3…逃げ面
4…接合稜線
4A…主切刃部の切刃
4B…副切刃部の切刃
10…ドリルビットのビット先端部
10A…尖頭部
O1…中心部
【出願人】 【識別番号】000137845
【氏名又は名称】株式会社ミヤナガ
【出願日】 平成18年9月11日(2006.9.11)
【代理人】 【識別番号】100065868
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 嘉宏

【識別番号】100106242
【弁理士】
【氏名又は名称】古川 安航


【公開番号】 特開2008−62620(P2008−62620A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−245846(P2006−245846)