| 【発明の名称】 |
加工装置およびチャックテーブル |
| 【発明者】 |
【氏名】佐藤 正視
|
| 【要約】 |
【課題】ウエーハが大径化してチャックテーブルが大径化しても、温度変化によってチャックテーブルが湾曲したり、吸引保持部に割れが生じたり、枠体から吸引保持部が離脱したりしないようにする。
【構成】枠体22を形成するステンレスの線膨張係数10.4×10-6/℃とほぼ同じ線膨張係数9.0×10-6/℃のジルコニアを主成分とするポーラスセラミックスでチャックテーブル20を構成する吸引保持部21を形成することで、温度変化によってチャックテーブル20が湾曲したり、吸引保持部21に割れを生じたり、枠体22から吸引保持部21が離脱したりするという問題を解消し、ウエーハが大径化してチャックテーブルが大径化した場合において温度変化があってもチャックテーブル20の上面精度の低下を抑制して、ウエーハを高精度に加工できるようにした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ウエーハを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウエーハに加工を施す加工手段と、前記チャックテーブルと前記加工手段とを相対的に加工送りする加工送り手段と、前記チャックテーブルと前記加工手段とを相対的に割り出し送りする割り出し送り手段とを備える加工装置であって、 前記チャックテーブルは、ウエーハを吸引保持する吸引保持部と、該吸引保持部を囲繞する金属で形成された枠体とを備え、 前記吸引保持部は、前記枠体を形成する金属の線膨張係数とほぼ同じ線膨張係数のポーラスセラミックスで形成されていることを特徴とする加工装置。 【請求項2】 前記枠体は、ステンレスで形成され、 前記吸引保持部は、ジルコニアを主成分とするポーラスセラミックスで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の加工装置。 【請求項3】 前記加工手段は、切削ブレードが着脱自在に装着されたスピンドルと、該スピンドルを回転可能に支持するとともに回転駆動する駆動源を含むハウジングとを備える切削手段であることを特徴とする請求項1または2に記載の加工装置。 【請求項4】 ウエーハを保持するチャックテーブルであって、 ウエーハを吸引保持する吸引保持部と、該吸引保持部を囲繞する金属で形成された枠体とを備え、 前記吸引保持部は、前記枠体を形成する金属の線膨張係数とほぼ同じ線膨張係数のポーラスセラミックスで形成されていることを特徴とするチャックテーブル。 【請求項5】 前記枠体は、ステンレスで形成され、 前記吸引保持部は、ジルコニアを主成分とするポーラスセラミックスで形成されていることを特徴とする請求項4に記載のチャックテーブル。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、ウエーハに加工を施す加工装置および該加工装置で用いられてウエーハを保持するチャックテーブルに関するものである。 【背景技術】 【0002】 IC,LSI等の複数のデバイスが分割予定ラインによって区画され形成されたウエーハは、切削装置によって個々のデバイスに分割されて携帯電話、パソコン等の電子機器に利用される。 【0003】 切削装置は、ウエーハを保持するチャックテーブルと、このチャックテーブルに保持されたウエーハを切削する切削手段と、チャックテーブルと切削手段とを相対的に切削送りする切削送り手段と、チャックテーブルと切削手段とを相対的に割り出し送りする割り出し送り手段とを備え、ウエーハを効率よく個々のデバイスに分割することができる。 【0004】 ここで、ウエーハを確実に切削するためにはウエーハに対する切り込み深さを高精度に制御する必要があり、切削装置においては、実際に切削を行う前に切削ブレードのセットアップ作業を行うことにより、切削ブレードの切り込み深さの精度を確保している。この切削ブレードのセットアップ作業において、切削ブレードとチャックテーブル上面との基準位置は、切削ブレードとチャックテーブルの枠体とを接触させ、接触時の通電によって電気的に検出しているため、チャックテーブルの吸引保持部を囲繞する枠体は導電性を有する金属で形成されている(例えば、特許文献1,2等参照)。 【0005】 また、生産効率を向上させるためにウエーハの直径は300mm、さらには450mmと大径化の傾向にあり、ウエーハを保持するチャックテーブルもウエーハの直径に対応して大径化の傾向にある。 【0006】 【特許文献1】特開平11−254259号公報 【特許文献2】特開2003−291043号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 しかしながら、従来のチャックテーブルは、アルミナセラミックス(線膨張係数:6.0×10-6/℃)で形成されてウエーハを吸引保持するポーラス状の吸引保持部と、その吸引保持部を囲繞するステンレス(線膨張係数:10.4×10-6/℃)で形成された枠体とがエポキシ樹脂等で結合されて構成されているため、吸引保持部と枠体との線膨張係数の違いから、温度変化に起因してチャックテーブルが湾曲したり、吸引保持部に割れを生じたり、枠体から吸引保持部が離脱したりするという問題がある。特に、保持すべきウエーハが大径化してチャックテーブルが大径化した場合には、温度変化に起因するチャックテーブルの湾曲の程度が大きくなり、加工時の切り込み精度が低下するため、ウエーハを高精度に加工できなくなってしまう。 【0008】 本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ウエーハが大径化してチャックテーブルが大径化しても、温度変化によってチャックテーブルが湾曲したり、吸引保持部に割れが生じたり、枠体から吸引保持部が離脱したりすることのない加工装置およびチャックテーブルを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0009】 上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る加工装置は、ウエーハを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウエーハに加工を施す加工手段と、前記チャックテーブルと前記加工手段とを相対的に加工送りする加工送り手段と、前記チャックテーブルと前記加工手段とを相対的に割り出し送りする割り出し送り手段とを備える加工装置であって、前記チャックテーブルは、ウエーハを吸引保持する吸引保持部と、該吸引保持部を囲繞する金属で形成された枠体とを備え、前記吸引保持部は、前記枠体を形成する金属の線膨張係数とほぼ同じ線膨張係数のポーラスセラミックスで形成されていることを特徴とする。 【0010】 また、本発明に係る加工装置は、上記発明において、前記枠体は、ステンレスで形成され、前記吸引保持部は、ジルコニアを主成分とするポーラスセラミックスで形成されていることを特徴とする。 【0011】 また、本発明に係る加工装置は、上記発明において、前記加工手段は、切削ブレードが着脱自在に装着されたスピンドルと、該スピンドルを回転可能に支持するとともに回転駆動する駆動源を含むハウジングとを備える切削手段であることを特徴とする。 【0012】 また、本発明に係るチャックテーブルは、ウエーハを保持するチャックテーブルであって、ウエーハを吸引保持する吸引保持部と、該吸引保持部を囲繞する金属で形成された枠体とを備え、前記吸引保持部は、前記枠体を形成する金属の線膨張係数とほぼ同じ線膨張係数のポーラスセラミックスで形成されていることを特徴とする。 【0013】 また、本発明に係るチャックテーブルは、上記発明において、前記枠体は、ステンレスで形成され、前記吸引保持部は、ジルコニアを主成分とするポーラスセラミックスで形成されていることを特徴とする。 【発明の効果】 【0014】 本発明に係る加工装置およびチャックテーブルによれば、枠体を形成する金属の線膨張係数とほぼ同じ線膨張係数のポーラスセラミックスでチャックテーブルを構成する吸引保持部を形成したので、温度変化によってチャックテーブルが湾曲したり、吸引保持部に割れを生じたり、枠体から吸引保持部が離脱したりするという問題を解消することができ、よって、ウエーハが大径化してチャックテーブルが大径化した場合において温度変化があってもチャックテーブルの上面精度の低下を抑制して、ウエーハを高精度に加工することができるという効果を奏する。 【0015】 特に、ステンレス(線膨張係数:10.4×10-6/℃)で形成された枠体に対して、ジルコニアを主成分とするポーラスセラミックス(線膨張係数:9.0×10-6/℃)で吸引保持部を形成すれば、枠体の線膨張係数とほぼ同じにすることができるとともに、その製造も、ジルコニアは酸化物であるので比較的焼結しやすく、アルミナセラミックスの場合と同様の生産工程・設備等で製造可能となる。また、吸引保持部の吸着面を研磨加工によって平坦化する際、アルミナポーラス原料の場合、曲げ強度が350MPaで脆性が高くビッカース硬度が15GPaでビッカース硬度が高いので、脆性モードの加工となり、鋭利な針の先端が集合したような吸着面に形成されるのに対して、ジルコニアを主成分とするポーラス原料の場合、曲げ強度が1000MPaで靭性が高くビッカース硬度が13GPaでビッカース硬度が低いので、塑性モードによる加工が可能となり、微小平面が集合したような滑らかな吸着面として形成することができ、吸引保持するウエーハへのダメージを軽減することができ、ダイシング加工時の裏面チッピングや裏面クラックの発生を軽減できるという効果を奏する。さらには、ジルコニアを主成分とするポーラスの体積抵抗率は、106Ω・cm〜1010Ω・cmであり、体積抵抗率が1014Ω・cm以上のアルミナポーラスよりも電気抵抗が低いので、静電気が溜まりにくくウエーハに与える静電気によるダメージを小さくすることができるという効果を奏する。 【発明を実施するための最良の形態】 【0016】 以下、本発明を実施するための最良の形態である加工装置について図面を参照して説明する。 【0017】 図1は、本発明の実施の形態の加工装置の一例を示す外観斜視図であり、図2は、その加工手段周りの構成を抽出して示す斜視図である。本実施の形態の加工装置10は、ウエーハWを分割予定ラインに沿って切削する切削装置に適用したものであり、概略構成として、図1に示すように、カセット部11、搬出入手段12、搬送手段13、洗浄手段14、搬送手段15とともに、チャックテーブル20、撮像手段30および加工手段40を備える。 【0018】 カセット部11は、ウエーハWが保持テープTを介してフレームFと一体となった状態で複数枚収容する。搬出入手段12は、カセット部11に収容されたウエーハWを搬送手段13が搬送可能な載置領域に搬出するとともに、切削処理済みのウエーハWをカセット部11に搬入する。搬送手段13は、搬出入手段12によって載置領域に搬出されたウエーハWをチャックテーブル20上に搬送する。また、洗浄手段14は、加工手段40による処理済みのウエーハWを洗浄する。搬送手段15は、加工手段40による処理済みのウエーハWをチャックテーブル20上から洗浄手段14へ搬送する。 【0019】 加工手段40は、切削ブレード41が着脱自在に装着されたスピンドル42と、このスピンドル42を回転可能に支持するとともに回転駆動する図示しない駆動源を含む円筒状のハウジング43とを備え、チャックテーブル20に保持されたウエーハWに切削ブレード41が作用して切削を行う切削手段として構成されている。ここで、切削ブレード41は、例えばダイヤモンド砥粒をNiメッキで固めた電鋳ブレードである。 【0020】 撮像手段30は、図2に示すように、ハウジング43の側部に設けられたもので、チャックテーブル20に保持されたウエーハWの表面を撮像するCCDカメラ等を搭載した顕微鏡であり、切削すべき分割予定ラインに対する切削ブレード41の位置付けに供するアライメント用である。 【0021】 ウエーハWを保持するチャックテーブル20は、図2に示すように、駆動源50に連結されて回転可能とされている。駆動源50は、移動基台51に固定されている。ここで、加工装置10は、加工動作に必要な送り動作を行うための加工送り手段60、切り込み送り手段70および割り出し送り手段80を備える。 【0022】 加工送り手段60は、移動基台51をX軸方向に移動させることで、チャックテーブル20を加工手段40に対して相対的にX軸方向に加工送りするためのものである。加工送り手段60は、X軸方向に配設されたボールねじ61と、ボールねじ61の一端に連結されたパルスモータ62と、ボールねじ61と平行に配列された一対のガイドレール63とから構成され、ボールねじ61には、移動基台51の下部に設けられた図示しないナットが螺合している。ボールねじ61は、パルスモータ62に駆動されて回転し、それに伴って移動基台51がガイドレール63にガイドされてX軸方向に移動する構成となっている。 【0023】 切り込み送り手段70は、加工手段40のハウジング43を支持する支持部52を壁部53に対してZ軸方向に移動させることで、加工手段40を昇降させてウエーハWに対する切り込み量を制御するためのものである。切り込み送り手段70は、壁部53の一方の面においてZ軸方向に配設されたボールねじ71と、このボールねじ71を回動させるパルスモータ72と、ボールねじ71と平行に配列された一対のガイドレール73とを有し、支持部52の内部の図示しないナットがボールねじ71に螺合している。支持部52は、パルスモータ72によって駆動されてボールねじ71が回動するのに伴ってガイドレール73にガイドされてZ軸方向に昇降し、支持部52に支持された加工手段40の切削ブレード41もZ軸方向に昇降する構成となっている。 【0024】 割り出し送り手段80は、加工手段40のハウジング43を支持部52を介して支持する壁部53をY軸方向に移動させることで、加工手段40をチャックテーブル20に対して相対的にY軸方向に割り出し送りするためのものである。割り出し送り手段80は、Y軸方向に配設されたボールねじ81と、ボールねじ81の一端に連結されたパルスモータ82と、ボールねじ81と平行に配列された一対のガイドレール83とから構成され、ボールねじ81には、壁部53と一体に形成された移動基台54の内部に設けられた図示しないナットが螺合している。ボールねじ81は、パルスモータ82に駆動されて回転し、それに伴って移動基台54がガイドレール83にガイドされてY軸方向に移動する構成となっている。 【0025】 このような構成の加工装置10は、高速回転させた切削ブレード41を切り込み送り手段70による切り込み送りでチャックテーブル20上のウエーハWに所定の切り込み深さで切り込ませながら、加工手段40に対してチャックテーブル20を加工送り手段60でX軸方向に相対的に加工送りすることで、ウエーハW上の分割予定ラインを切削加工して切削溝を形成することができる。同一方向の次の分割予定ラインの切削加工は、チャックテーブル20に対して加工手段40の切削ブレード41を割り出し送り手段80でY軸方向に分割予定ライン幅分だけ相対的に割り出し送りすることで、同様に繰り返す。そして、同一方向の全ての分割予定ラインについて切削溝を形成した後、チャックテーブル20の回転によりウエーハWを90°回転させ、新たにX軸方向に配された全ての分割予定ラインについて加工手段40で同様の切削加工を繰り返すことにより、個々のデバイスに分割される。 【0026】 次に、本実施の形態の加工装置10におけるチャックテーブル20について詳細に説明する。図3は、チャックテーブル20の部分を示す外観斜視図であり、図4は、図3の分解斜視図であり、図5は、図4中の吸引保持部と枠体との分解斜視図であり、図6は、枠体を裏返して示す斜視図である。 【0027】 本実施の形態のチャックテーブル20は、ウエーハWを吸引保持する吸引保持部21と、この吸引保持部21を囲繞する金属で形成された枠体22と、吸引保持部21を囲繞した枠体22が搭載されるベース材23と、保持テープTを介してウエーハWが一体となったフレームFの四辺をそれぞれ押える4個のクランプ24とを備える。 【0028】 ベース材23は、適宜厚みを持たせた薄型円柱形状に形成されてテーブルカバー55に対して回動可能に設けられ、駆動源50に連結されることにより回転可能に構成されている。ベース材23の中央には吸引源に連通する吸引孔231が形成されているとともに、枠体22を位置決めする円形凹部232が形成されている。また、ベース材23上には、ベース材23に対して十字状をなす4方向に配設された4個のクランプ24をそれぞれ半径方向にスライド自在に支持する2本ずつのガイドピン25が十字状をなす4方向に延設させて固定されている。クランプ24は、調整ねじ26によってガイドピン25上の所望の位置で固定自在とされている。これにより、切削対象となるウエーハWが300mm、さらには450mmの如く大径化し、チャックテーブル20が大径化しても、そのサイズに応じてクランプ24の固定位置を調整することにより、大径化したウエーハWに対応する大きさのフレームFを押えることが可能な構成とされている。 【0029】 枠体22は、金属として線膨張係数が例えば10.4×10-6/℃のステンレス(SUS)によって適宜厚さの円盤形状に形成されたもので、下面となる裏面側には、図6に示すように、ベース材23の円形凹部232に嵌合する円形凸部221が形成されている。また、枠体22の上面となる表面側には、図5に示すように、吸引保持部21が隙間なく面一で丁度嵌合する大きさ、深さの円形凹部222が形成されている。さらに、枠体22の中央には、吸引孔231を介して吸引源に連通する吸引孔223が形成され、円形凹部222の底面には同心円状の複数本の吸引溝224が形成され、中心から半径方向に十字状に形成された連通溝225によって吸引孔223と吸引溝224とが連通している。 【0030】 また、吸引保持部21は、ウエーハWに対する吸着力を均一にするポーラス構造の円盤形状からなり、吸引孔231,223、連通溝225、吸引溝224を介して吸引源からの吸引力が作用することで、吸着面211に載置されたウエーハWを下面の保持テープTを介して吸引保持するためのもので、切削対象となるウエーハWの大きさに対応する大きさのものが用いられる。この吸引保持部21は、枠体22の円形凹部222の吸引溝224間の底面上に滴下したエポキシ樹脂等によって枠体22と一体化されるよう結合される。また、吸引保持部21は、枠体22を形成する金属であるステンレスの線膨張係数とほぼ同じ線膨張係数のポーラスセラミックス、例えば線膨張係数が9.0×10-6/℃のジルコニア(ZrO2:酸化ジルコニウム)を主成分とするポーラスセラミックスで形成されている。 【0031】 ここで、このようなジルコニアを主成分とするポーラスセラミックスによる吸引保持部21の製法例について説明する。まず、φ50μm前後の酸化ジルコニウムZrO2を体積比92%、バインダ用のSiO2を体積比7%、バインダ用のTiO2を体積比1%で混合し、1000℃強の炉の中で1時間焼結し、その後、炉内で3〜4日かけて自然冷却し、厚さ10mm程度の吸引保持部21を円盤形状に形成する。この場合のポーラスの状態は、体積比で40%程度である。その後、所望の厚さ(例えば、3mm〜4mm程度)となるように研磨装置で両面を研磨して平坦化することによって円形凹部222に面一で丁度嵌合する所望の吸引保持部21が得られる。 【0032】 このような構成において、実際に切削を行う前には、切削ブレード41のセットアップ作業を行う。すなわち、加工送り手段60による加工送りによってチャックテーブル20の枠体22の上面を切削ブレード41に対峙する位置に位置付け、この位置で切り込み送り手段70によって切削ブレード41をZ軸方向に下降させる。そして、切削ブレード41がステンレス製の枠体22の上面に接触した時点で電気的導通が得られることから、切削ブレード41とチャックテーブル20の上面との基準位置(切り込み送り手段70のZ軸方向基準位置)が決定される。 【0033】 このようなセットアップ作業が完了した後、前述したようにウエーハWに対する切削加工が実際に実行される。実際の切削動作においては、セットアップ作業で設定された基準位置に基づきチャックテーブル20上に保持されたウエーハWに対する切込み深さが高精度に制御される。 【0034】 ここで、本実施の形態のチャックテーブル20によれば、吸引保持部21がジルコニア(ZrO2:酸化ジルコニウム)を主成分とするポーラスセラミックス(線膨張係数:9×10-6/℃)で形成されており、枠体22を形成するステンレスの線膨張係数10.4×10-6/℃とほぼ同じであるので、環境温度に変化があっても、吸引保持部21と枠体22との膨張伸縮は同程度となり、温度変化によってチャックテーブル20が湾曲したり、吸引保持部21に割れが生じたり、枠体22から吸引保持部21が離脱したりするという問題を解消することができる。これにより、ウエーハWが300mm、さらには450mmの如く大径化してチャックテーブル20が大径化した場合において、温度変化があっても、チャックテーブル20の上面精度の低下を抑制することができ、チャックテーブル20上に保持されたウエーハWを切削ブレード41によって高精度に切削加工することができる。 【0035】 また、本実施の形態の吸引保持部21は、ジルコニアを主成分とするポーラスセラミックスで形成されるが、ジルコニアは酸化物であるので比較的焼結しやすく、従来のアルミナセラミックスの場合と同様の生産工程・設備・管理等で製造することができる。 【0036】 また、吸引保持部の吸着面を研磨加工によって平坦化する際、従来のアルミナポーラス原料の場合、曲げ強度が350MPaで脆性が高くビッカース硬度が15GPaでビッカース硬度が高いので、脆性モードの加工となり、鋭利な針の先端が集合したような吸着面として形成されてしまう。これに対して、本実施の形態の吸引保持部21のようにジルコニアを主成分とするポーラス原料の場合、曲げ強度が1000MPaで靭性が高くビッカース硬度が13GPaでビッカース硬度が低いので、塑性モードによる加工が可能となり、図5中の吹出し部分に拡大断面して示すように、微小平面が集合したような滑らかな吸着面211として形成することができ、吸引保持するウエーハWへのダメージを軽減することができる。これにより、ダイシング加工時の裏面チッピングや裏面クラックの発生を軽減できる。 【0037】 さらには、吸引保持部21を形成するジルコニアを主成分とするポーラスの体積抵抗率は、106Ω・cm〜1010Ω・cmであり、体積抵抗率が1014Ω・cm以上である従来のアルミナポーラスよりも電気抵抗が低いので、静電気が溜まりにくくウエーハWに与える静電気によるダメージを小さくすることができる。 【0038】 本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変形が可能である。例えば、本実施の形態では、加工装置として、切削ブレード41を有する切削手段を加工手段40として備え、切削ブレード41でウエーハWに切削加工を施す例で説明したが、このような適用例に限らない。例えば、レーザ光線照射手段を備え、チャックテーブルに保持されたウエーハの分割予定ラインに沿ってパルスレーザ光線を照射して表面に分割溝を形成したり分割予定ラインの内部に変質層を形成したりするようなレーザ加工を施す加工装置であっても同様に適用することができる。この場合、本発明を適用し、温度変化があってもチャックテーブルの上面精度の低下を抑制することで、ウエーハに対して照射するレーザ光線の焦点位置を一定に維持でき、高精度に加工することが可能となる。 【図面の簡単な説明】 【0039】 【図1】本発明の実施の形態の加工装置の一例を示す外観斜視図である。 【図2】図1の加工手段周りの構成を抽出して示す斜視図である。 【図3】チャックテーブル部分を示す外観斜視図である。 【図4】図3の分解斜視図である。 【図5】図4中の吸引保持部と枠体との分解斜視図である。 【図6】枠体を裏返して示す斜視図である。 【符号の説明】 【0040】 10 加工装置 20 チャックテーブル 21 吸引保持部 22 枠体 40 加工手段 41 切削ブレード 42 スピンドル 43 ハウジング 60 加工送り手段 80 割り出し送り手段
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000134051 【氏名又は名称】株式会社ディスコ
|
| 【出願日】 |
平成18年9月6日(2006.9.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100089118 【弁理士】 【氏名又は名称】酒井 宏明
|
| 【公開番号】 |
特開2008−62476(P2008−62476A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月21日(2008.3.21) |
| 【出願番号】 |
特願2006−241878(P2006−241878) |
|